(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、光ファイバの接続作業を容易に行うことができ、かつ、光ファイバをアダプタにガイドする案内路から光ファイバが飛び出してしまうことが効果的に抑制される接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、光ファイバの接続作業を容易に行うことができ、かつ、光ファイバをアダプタにガイドする案内路から光ファイバが飛び出してしまうことが効果的に抑制される接続箱が提供される。この接続箱は、基板と、上記基板に固定され、第1の光ファイバと第2の光ファイバとを接続するアダプタと、上記基板に固定され、上記第1の光ファイバの余長を収容する余長収容部と、上記第1の光ファイバを上記余長収容部から上記アダプタにガイドしつつ保持する光ファイバガイド部とを備える。上記光ファイバガイド部は、上記基板に固定され、上記基板に垂直な奥行方向に延びるガイド壁と、上記基板に沿った可動方向に移動できるように上記基板に可動的に固定され、上記ガイド壁に接近した接近状態において上記ガイド壁とともに上記第1の光ファイバを上記アダプタに案内する案内路を形成する可動部材とを含む。上記ガイド壁は、上記可動方向において上記案内路の入口端と出口端との間に位置する湾曲壁と、上記入口端において上記奥行方向及び上記可動方向の双方に垂直な可動垂直方向に突出する
入口側ガイド壁突出部と、上記出口端において上記可動方向に突出する
出口側ガイド壁突出部とを有する。上記可動部材は、上記入口端において上記可動垂直方向に突出する
入口側可動部材突出部と、上記出口端において上記可動方向に突出する
出口側可動部材突出部と、上記ガイド壁の上記湾曲壁とともに上記案内路の少なくとも一部に湾曲路を形成する湾曲部とを有する。そして、上記
入口側可動部材突出部は、上記案内路の上記入口
端において上記
入口側ガイド壁突出部とともに上記第1の光ファイバの一部を覆
い、上記出口側可動部材突出部は、上記案内路の上記出口端において上記出口側ガイド壁突出部とともに上記第1の光ファイバの一部を覆う。
【0007】
このような構成によれば、案内路の入口端と出口端との双方がガイド壁突出部と可動部材突出部とによって完全に覆われた状態となることにより、第1の光ファイバの奥行方向の移動がガイド壁突出部と可動部材突出部とによって規制されるため、第1の光ファイバが案内路から脱落してしまう(飛び出してしまう)ことが抑制される。
【0008】
また、可動部材を動かすことによりガイド壁と可動部材との間の間隔を広げることができるため、第1の光ファイバを容易に案内路に配置することができる。さらに、この案内路は湾曲路を含んでいるため、湾曲路を介して第1の光ファイバをアダプタまでガイドすることができる。このように、第1の光ファイバを容易に案内路に配置することができ、かつ、湾曲路を介して第1の光ファイバをアダプタまでガイドすることができるため、光ファイバの接続作業を容易に行うことができる。
【0009】
ここで、上記接近状態において、上記入口
端で上記
入口側ガイド壁突出部と上記
入口側可動部材突出部とが上記奥行方向に重なってもよい。あるいは、上記接近状態において、上記入口
端で上記
入口側ガイド壁突出部と上記
入口側可動部材突出部とが上記可動方向に当接してもよい。
また、上記接近状態において、上記出口端で上記出口側ガイド壁突出部と上記出口側可動部材突出部とが上記奥行方向に重なってもよい。あるいは、上記接近状態において、上記出口端で上記出口側ガイド壁突出部と上記出口側可動部材突出部とが上記可動方向に当接してもよい。このような構成により、第1の光ファイバが案内路から脱落してしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0010】
また、上記
入口側可動部材突出部
の上記可動垂直方向に突出する部分の先端が上記基板側に屈曲していてもよい。このような構成により、第1の光ファイバが可動垂直方向に飛び出してしまうことが効果的に抑制される。
【0011】
ここで、上記奥行方向が水平方向であってもよい。これにより、接続箱を壁に設置する(すなわち、縦置きする)ことが可能となる。また、上記奥行方向が鉛直方向であってもよい。これにより、接続箱を床に設置する(すなわち、横置きする)ことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、案内路の入口端と出口端との双方がガイド壁突出部と可動部材突出部とによって完全に覆われた状態となるため、光ファイバをアダプタにガイドする案内路から光ファイバが飛び出してしまうことが効果的に抑制される。また、可動部材を動かすことにより光ファイバを容易に案内路に配置することができるとともに、この案内路によって光ファイバをアダプタまでガイドすることができるため、光ファイバの接続作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る接続箱の実施形態について
図1から
図6を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図6において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図6においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態における接続箱1を示す斜視図である。
図1に示すように、接続箱1は、屋外から屋内に導入されたケーブル12と、集合住宅やビルなどの各部屋から延びるケーブル17とを接続させ、ケーブル12から伝送された光情報を各部屋に分配するためのものである。この接続箱1は、集合住宅やビル内の壁面900に固定されている。ここで、本明細書において、Y方向は壁面900の鉛直方向に対応しており、+Y方向側は、壁面900の鉛直方向における上側に、−Y方向側は壁面900の鉛直方向における下側にそれぞれ対応するものである。
【0016】
図1に示すように、接続箱1は、X方向及びY方向に延びる基板10と、基板10の+Z方向側を覆うカバー11を有している。基板10は、略正方形の板状部材により形成されている。カバー11は、基板10に垂直なZ方向(奥行方向)に延びており、基板10の縁部から+Z方向に延びる枠部11Aと、枠部11Aの+Z方向側を塞ぐ蓋部11Bとが一体的に形成された構造を有している。このような構成により、基板10とカバー11との間に、アダプタや光ファイバなどを収容する収容空間が形成される。
図1に示すように、この収容空間には屋外から屋内に導入されたケーブル12が導入されるとともに、屋内の各部屋につながるケーブル17が導出される。
【0017】
図2は、
図1に示す接続箱1のカバー11を取り外した状態における接続箱1を示す平面図である。
図2に示すように、接続箱1の基板10には、その四隅にネジ孔15が形成されており、基板10は、これらのネジ孔15と壁面900に形成されたネジ孔(図示せず)とにネジ2を螺合させることによって、壁面900に固定されている。
【0018】
図2に示すように、この基板10には、基板10の中央部に位置し、ケーブル12の複数の光ファイバ14(第1の光ファイバ)とケーブル17の複数の光ファイバ13(第2の光ファイバ)とが接続されるアダプタ40と、光ファイバ14の余長が収容されるように光ファイバ14が巻回される余長収容部20と、余長収容部20から導出された光ファイバ14をアダプタ40にガイドしつつ保持する光ファイバガイド部30と、ケーブル17の複数の光ファイバ13を巻回させつつ、これらの光ファイバ13を保持してアダプタ40に案内する複数の光ファイバホルダ60と、複数の光ファイバ13のうちアダプタ40に接続されていない光ファイバ13(以下、このような光ファイバ13を「未接続光ファイバ13A」という。)を保留する複数の光ファイバ保留構造50とが設けられている。すなわち、接続箱1は、余長収容部20と、光ファイバガイド部30と、アダプタ40と、複数の光ファイバホルダ60と、複数の光ファイバ保留構造50とをさらに有している。
【0019】
図2に示すように、屋外から屋内に導入されたケーブル12は、接続箱1の右下側から接続箱1内に導入される。そして、基板10の−X方向側(
図2の右側)には、ケーブル12に含まれる複数の光ファイバ14(第1の光ファイバ)の余長を収容するための余長収容部20が設けられている。この余長収容部20は、余長収容部20における+X方向側に立設された第1の壁部21Aと、−X方向側に立設された第2の壁部21Bとを含んでいる。
【0020】
図2に示すように、第1の壁部21Aは、Y方向に延びる略長楕円形の外形を有しているが、その−X方向側にはY方向の略全長にわたって壁が設けられていない。第2の壁部21Bは、第1の壁部21Aの−X方向側で第1の壁部21Aから離間した位置に立設されており、Y方向に延びる直線状の外形を有している。この第2の壁部21Bは、Y方向における全長が第1の壁部21AのY方向における全長よりもやや短くなるように形成されている。このような構成により、余長収容部20の
図2における右下側にケーブルや光ファイバなどを余長収容部20に導入する導入部23が形成され、右上側にケーブルや光ファイバなどを余長収容部20から導出する導出部24が形成される。
【0021】
図2に示すように、ケーブル12は、余長収容部20の導入部23から余長収容部20内に導入されている。ケーブル12の複数の光ファイバ14は、この導入部23においてケーブル12から露出されている。露出されたこれらの光ファイバ14は、余長収容部20の第1の壁部21A及び第2の壁部21Bに沿って巻回された後、導出部24から余長収容部20の外部に導出される。このように、余長収容部20で光ファイバ14を必要な巻き数だけ巻回することにより、光ファイバ14の余長が吸収され、光ファイバ14が適切な長さに調整される。
【0022】
なお、第1の壁部21A及び第2の壁部21Bの頂部(+Z方向側の部分)には、余長収容部20の内側に向かって突出する複数の突出部22が形成されており、このような突出部22によって光ファイバ14が余長収容部20から脱落しないように(飛び出さないように)なっている。
【0023】
図2に示すように、余長収容部20の導出部24から導出された複数の光ファイバ14は、導出部24においてシリコンチューブ16によって束ねられる。そしてこのシリコンチューブ16は、後に詳細に説明する光ファイバガイド部30によって基板10の+Y方向側の部分に保持されつつ、基板10の中央部に設けられたアダプタ40に向かって案内される。
【0024】
図2に示すように、複数の光ファイバ14は、光ファイバガイド部30から導出された(すなわち、基板10の中央部に向かって案内された)シリコンチューブ16から露出されている。これら光ファイバ14の先端のそれぞれには、コネクタ18が接続されている。一方、基板10の中央部に位置するアダプタ40の上半分には、光ファイバガイド部30から導出された複数の光ファイバ14の数に対応した入力ポート41が設けられている。そして、光ファイバ14のコネクタ18が、対応するアダプタ40の入力ポート41に嵌入されることにより、光ファイバ14がアダプタ40に接続される。
【0025】
一方、
図2に示すように、集合住宅やビルの屋内を延びるケーブル17は、基板10の左下側から接続箱1内に導入されており、その先端側において複数の光ファイバ13が露出されている。そして、これら露出された光ファイバ13のそれぞれの先端には、コネクタ19が接続されている。
【0026】
図2に示すように、基板10の左下側には、複数の(本実施形態では2つの)光ファイバホルダ60が設けられている。光ファイバホルダ60のそれぞれは、円筒面62を有しており、露出された光ファイバ13のそれぞれは、光ファイバホルダ60の円筒面62に巻回される。これにより、光ファイバ13が基板10に対して相対的に近い側(−Z方向側)から相対的に遠い側(+Z方向側)、すなわち、作業者に近い側に案内される。
【0027】
図2に示すように、アダプタ40の下半分には光ファイバ13の数に対応した数の出力ポート42が設けられている。本実施形態によれば、上述の光ファイバホルダ60が基板10に設けられているため、作業者は、この光ファイバホルダ60によって光ファイバ13を適切な長さに調整した上で、光ファイバ13(コネクタ19)を対応する出力ポート42に嵌入することができる。そして、これにより、光ファイバ13がアダプタ40に接続される。
【0028】
このように、本発明に係る接続箱1によれば、ある部屋から延びる光ファイバ13(第2の光ファイバ)と、この光ファイバ13に対応する光ファイバ14(第1の光ファイバ)とがアダプタ40を介して接続されることにより、ケーブル12から伝送された光情報が所定の部屋まで伝送される。
【0029】
なお、
図2に示すように、互いに対応する入力ポート41と出力ポート42とは、1対の側壁45,45の間に設けられた板状部材44に固定されている。この板状部材44は、+Y方向側の端部をX方向に貫通する軸を介して、1対の側壁45,45に回動自在に取り付けられている。したがって、板状部材44を回動させることで出力ポート42の挿入口を作業者の側に向けることができ、これにより、光ファイバ13(コネクタ19)を容易に出力ポート42に嵌入することができる。
【0030】
ところで、基板10の
図2における左上側には、複数の(本実施形態では2つの)光ファイバ保留構造50が設けられている。この光ファイバ保留構造50は、光ファイバ13を吊り下げて保留できるように構成されている。より具体的には、屋内に空き部屋や、ケーブル12からの光情報を所望しない部屋がある場合等、アダプタ40に接続する必要がない未接続光ファイバ13Aが存在する場合には、これら未接続光ファイバ13Aを光ファイバ保留構造50に吊り下げて保留することができるようになっている。
【0031】
図2に示すように、光ファイバ保留構造50のそれぞれは、基板10に固定された固定部70と、固定部70に回動可能に軸支されている回動部80とを有している。この回動部80は、固定部70に軸支されることにより、基板10に対して平行な状態(
図2の状態)から90°回動できるようになっている。回動部80の
図2の状態における+Y方向側(先端部)には、リール状の筒部84が設けられている。
【0032】
図2に示すように、上述の未接続光ファイバ13Aは、筒部84の円筒面84Aの上半分に沿って巻回されている。これにより、未接続光ファイバ13Aは、基板10に相対的に近い側(−Z方向側)から相対的に遠い側(+Z方向側)にガイドされるとともに、筒部84から吊り下げられて保留される。すなわち、作業者に近い側(+Z方向側)で筒部84から吊り下げられた状態で保留される。このように、作業者の近い側で未接続光ファイバ13Aが保留されているため、作業者は所望の未接続光ファイバ13Aを容易に識別することができる。
【0033】
また、上述のように、光ファイバ保留構造50は、回動部80が
図2の状態から90°回動できるように構成されている。したがって、光ファイバを接続する作業者は、未接続光ファイバ13Aを出力ポート42に接続する際に、この回動部80を90°回動させることで作業者により近い側に引き寄せることができるため、出力ポート42への接続作業を容易に行うことができる。
【0034】
ところで、上述したように、本実施形態によれば、アダプタ40の板状部材44を回動させることで、コネクタ19を出力ポート42に容易に嵌入することができる。しかしながら、このように板状部材44を回動させると、入力ポート41に接続されている光ファイバ14がこの回動に伴ってたわみ、光ファイバ14(シリコンチューブ16)を保持するガイド部から外れてしまうおそれがある。同様に、建物の揺れに伴って接続箱1が揺れた場合でも、光ファイバ14(シリコンチューブ16)がガイド部から外れてしまうおそれがある。しかしながら、本発明に係る接続箱1は以下に詳細に述べる光ファイバガイド部30を備えているため、光ファイバ14(シリコンチューブ16)が光ファイバガイド部30から外れてしまうことが効果的に抑制される。
【0035】
図2に示すように、このような光ファイバガイド部30は、基板10に固定されたガイド壁130と、基板10に可動的に固定された可動部材230とを含んでいる。ここで、
図3は、このようなガイド壁130を示す斜視図であり、可動部材230が基板10に取り付けられる前の状態を示す図である。
【0036】
図2及び
図3に示すように、ガイド壁130は、基板10から+Z方向(奥行方向)に立設された壁本体131と、壁本体131から突出するガイド壁突出部132とを含んでいる。壁本体131は、全体として、基板10の+Y方向側の縁部近傍をX方向に沿って延びている。このような壁本体131は、壁本体131の−X方向側の端部から+X方向に延びる直線壁133と、直線壁133の+X方向側の端部から湾曲して略四半円状の外形をなす湾曲壁134とを有している。一方、ガイド壁突出部132は、壁本体131の−X方向側の端部から−Y方向に突出する第1の突部135と、壁本体131(湾曲壁134)の+X方向側の端部から−X方向に突出する第2の突部136とを有している。
【0037】
ここで、
図4Aは可動部材230を示す正面斜視図、
図4Bは可動部材230を示す背面斜視図である。
図2、
図4A、及び
図4Bに示すように、可動部材230は、本体部231と、本体部231から突出する可動部材突出部232とを含んでいる。
【0038】
図2、
図4A、及び
図4Bに示すように、本体部231は、ガイド壁130の壁本体131の直線壁133の位置よりもやや−Y方向側の位置で、全体としてX方向に延びている。このような本体部231は、軽量化のためにその中央部がくり抜かれており、本体部231の−X方向側で直線状に延びる平面部231Aと、平面部231Aの+X方向側の端部に接続された半円部234とを有している。
図4Bに示すように、半円部234の背面234Bからは係合突起237が突出している。
【0039】
図2、
図4A、及び
図4Bに示すように、可動部材突出部232は、平面部231AのX方向における中央部近傍から+Y方向に突出する第1の凸部235と、半円部234から+X方向に突出する第2の凸部236とを有している。
図4A及び
図4Bに示すように、第1の凸部235は、平面部231Aから+Y方向(
図2参照)に突出する第1の突片235Aと、第1の突片235Aの先端から基板10側(−Z方向)に突出する第2の突片235Bとを有している。第1の凸部235は、そのZ方向の位置がガイド壁130の第1の突部135のZ方向の位置と同じになるように形成されている。
【0040】
図2に示すように、第2の凸部236は、半円部234のY方向における中央部から+X方向に突出している。この第2の凸部236は、そのY方向における位置がガイド壁130の第2の突部136のY方向における位置と同じになるように形成されている。すなわち、第2の凸部236と第2の突部136とは互いにX方向に沿って一直線上に延びるように形成されている。また、第2の凸部236は、第2の突部136のZ方向の位置に対して−Z方向側に位置するように形成されている。
【0041】
図4A及び
図4Bに示すように、可動部材230は、平面部231Aの先端から突出する補助凸部239をさらに有している。この補助凸部239は、第1の凸部235が延びている平面部231Aの縁部とは反対側の縁部から平面部231Aと垂直な方向(
図2のY方向)に延びる第1の補助凸部239Aと、第1の補助凸部239Aの先端から平面部231Aと平行な方向(Z方向)に延びる第2の補助凸部239Bとを有している。
【0042】
図4Bに示すように、半円部234の背面234Bからは係合突起237が突出しているが、この係合突起237は、略直方体状の突起本体237Aと、突起本体237Aの中央部における両側で拡張する拡張部237Bとを有している。より具体的には、突起本体237Aは、半円部234を2等分するように半円部234の中心から半円部234の径方向に延びている。すなわち、この突起本体237Aは、第2の凸部236が延びる方向(
図2のX方向)に延びている。そして、拡張部237Bは、第2の凸部236が延びる方向における中央部の両側から、第2の凸部236が延びる方向と垂直な方向(
図2のY方向)に拡張するように形成されている。
【0043】
図2及び
図3を再び参照すると、基板10のX方向における中央部よりもやや−X方向側かつ+Y方向側の縁部近傍には、X方向に沿って延びるスリット238が形成されている。このスリット238のY方向における位置と、ガイド壁130の第2の突部136とのY方向における位置とは略同一であり、スリット238と第2の突部136とはX方向に沿って一直線上に延びている。
図3に示すように、このようなスリット238は、X方向に延びるスリット領域238Aと、スリット領域238AのX方向における中央部から−X方向側にずれた位置において+Y方向及び−Y方向に切り欠かれた切欠き領域238Bとを含んでいる。
【0044】
ここで、
図5及び
図6は、光ファイバガイド部30の近傍を拡大して示す拡大平面図である。上述の切欠き領域238Bの外形は、上述した係合突起237の拡張部237B(
図4B参照)の外形よりもやや大きくなるように形成されている。したがって、可動部材230の拡張部237Bを切欠き領域238Bに貫通させて基板10の裏側に位置させることができる。また、スリット領域238AのY方向における全長は、突起本体237AのY方向における全長よりもやや長く形成されている。したがって、拡張部237Bを基板10の裏側に位置させることで、突起本体237A(可動部材230)をスリット領域238Aに沿って移動させることができる(
図6参照)。すなわち、可動部材230は、ガイド壁130から離間した離間状態(
図5参照)からガイド壁130に接近した接近状態(
図2参照)まで、X方向(可動方向)に沿ってスライドすることができる。そして、このようにスライドしている状態では、可動部材230の半円部234と拡張部237Bとの間に基板10が挟み込まれた状態となっているため、可動部材230が基板10から外れてしまうことが防止される。
【0045】
なお、
図5に示す離間状態では、半円部234の−Y方向側の端部234Cが、余長収容部20の第1の壁部21Aの+Y方向側の端部25に当接しているが、この余長収容部20の端部25は、スリット238の切欠き領域238Bよりもやや+X方向側にずれた場所に位置している。このような構成により、可動部材230の−X方向へのスライドがこの端部25によって規制されるため、可動部材230が切欠き領域238Bの位置に達してしまうこと(すなわち、可動部材230が基板10から外れてしまうこと)が防止される。
【0046】
上述したように、可動部材230は、スリット領域238Aに沿って(すなわち、X方向に沿って)スライドできるようになっている。より具体的には、
図6に示すように、離間状態(
図5参照)からガイド壁130に向かってX方向(可動方向)にスライドできるようになっている。このように可動部材230をスライドさせた場合、上述したように、可動部材230の平面部231Aには、ガイド壁130の第1の突部135とZ方向(奥行方向)における位置を同じくし、かつ、−Y方向に延びる第1の凸部235が設けられているため、+Y方向に延びる第1の凸部235と−Y方向に延びる第1の突部135とがX方向において当接する。また、上述したように、可動部材230の半円部234には、ガイド壁130の第2の突部136とY方向(可動垂直方向)における位置を同じくし、かつ、第2の突部136よりも−Z方向側の位置に第2の凸部236が設けられているため、+X方向に延びる第2の凸部236と−X方向に延びる第2の突部136とが、第2の凸部236が第2の突部136の−Z方向側(基板10に近い側)に位置するようにZ方向において重なる。このように、第1の突部135と第1の凸部235とがX方向に当接し、第2の突部136と第2の凸部236とがZ方向に重なることにより、
図2に示す接近状態となる。
【0047】
図2に示すように、この接近状態では、第1の突部135と第1の凸部235とが当接する部分を入口端34Aとし、第2の突部136と第2の凸部236とが重なる部分を出口端34Bとする案内路34が、ガイド壁130の壁本体131と可動部材230の本体部231との間に形成される。この案内路34は、壁本体131の湾曲壁134と、本体部231の半円部234のうち+Y方向側に位置する四半円部234A(湾曲部)との間に形成された四半円状の湾曲路34Cを含んでいる。
【0048】
このような構成により、余長収容部20の導出部24から導出された光ファイバ14(シリコンチューブ16)が入口端34Aから案内路34に導入され、案内路34の湾曲路34Cを通って出口端34Bから案内路34の外側に導出されることにより、アダプタ40の入力ポート41に向かってガイドされる。より具体的には、シリコンチューブ16は、入口端34Aをくぐって案内路34内に導入され、出口端34Bをくぐって案内路34から導出される。換言すれば、第1の突部135及び第1の凸部235の下側(−Z方向側)を通って案内路34内に導入され、第2の突部136及び第2の凸部236の下側(−Z方向側)を通って案内路34から導出される。
【0049】
ここで、シリコンチューブ16の一部を案内路34に収容する際には、可動部材230を−X方向にスライドさせて
図5に示す離間状態とすることにより、ガイド壁130と可動部材230との間の間隔を広げた上で、大きく離間したガイド壁130と可動部材230との間からシリコンチューブ16を挿入し、その後、可動部材230を+X方向にスライドさせることにより(
図6参照)、シリコンチューブ16を容易に案内路34内に収容することができる(
図2参照)。
【0050】
以上のように、本発明に係る光ファイバガイド部30によれば、ガイド壁130と可動部材230との間に形成される案内路34の入口端34Aと出口端34Bとの双方が、ガイド壁130のガイド壁突出部132と可動部材突出部232とによって完全に覆われた状態となっているため、光ファイバ13を出力ポート42に接続させる際にアダプタ40の板状部材44を回動させたり、接続箱1が揺れたりすることによって、光ファイバ14(シリコンチューブ16)がたわんでも、入口端34Aと出口端34Bとによって光ファイバ14(シリコンチューブ16)のたわみが規制されるため、光ファイバ14(シリコンチューブ16)が案内路34から外れてしまうことが効果的に抑制される。
【0051】
また、本発明に係る光ファイバガイド部30によれば、案内路34が上述した湾曲路34Cを含んでいることにより、光ファイバ14(シリコンチューブ16)がこの湾曲路34Cを通ってアダプタ40の入力ポート41の直上(+Y方向側)まで案内されるため、光ファイバ14を容易に入力ポート41に嵌入することができる。
【0052】
また、可動部材230を−X方向にスライドさせることでガイド壁130と可動部材230との間の間隔を広げることができるため、光ファイバ14(シリコンチューブ16)を案内路34に容易に収容することができる。
【0053】
また、上述のように、第1の凸部235は、第1の突片235Aの先端から−Z方向(基板10側)に延びる第2の突片235Bを有しているため、案内路34の入口端34Aにおいて光ファイバ14(シリコンチューブ16)が+Y方向に飛び出してしまうことが効果的に抑制される。さらに、第1の凸部235のさらに−X方向側には、シリコンチューブ16の下方(−Z方向側)から+Z方向に突出する第2の補助凸部239Bを含む補助凸部239が設けられているため、この第2の補助凸部239Bによってシリコンチューブ16が+Y方向に飛び出してしまうことがより効果的に抑制される。
【0054】
なお、上述した実施形態では、案内路34の入口端34Aにおいて第1の突部135(ガイド壁突出部132)と第1の凸部235(可動部材突出部232)とがX方向(可動方向)に当接するように構成されているが、入口端34Aにおいて第1の突部135と第1の凸部235とがY方向(奥行方向)に重なるように構成してもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、案内路34の出口端34Bにおいて第2の突部136(ガイド壁突出部132)と第2の凸部236(可動部材突出部232)とがY方向(奥行方向)に重なるように構成されているが、出口端34Bにおいて第2の突部136と第2の凸部236とがX方向(可動方向)に当接するように構成してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、光ファイバ14が+Y方向に飛び出すことを抑制するために第1の凸部235に−Z方向に延びる第2の突片235Bを形成したが、必ずしもこのような第2の突片235Bを形成する必要はない。また、同様に、光ファイバ14が+Y方向に飛び出すことを抑制するために可動部材230に補助凸部239を設けたが、このような補助突片を設ける必要もない。
【0057】
また、上述した実施形態では、接続箱1を壁面900に(すなわち、鉛直方向に)設置するものとして説明したが、接続箱1を床に(すなわち、水平方向に)設置してもよいことは言うまでもない。
【0058】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0059】
なお、本明細書において使用した用語「下」、「上」、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。