(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成は、モータの駆動力によってコネクタを進退させ、携帯用情報機器の側面に設けられた接続端子に接続する機構を備える。この機構は、携帯用情報機器が機器載置部に載置されたことを検出器で検出した場合に動作する。このため、例えばユーザが携帯用情報機器を機器載置部に載置した直後、すなわち検出器がオン信号を出力した直後に携帯用情報機器を取り上げた場合であっても機構の動作が実行され、携帯用情報機器が不在の状態でコネクタのみが突出した状態となる可能性がある。そうすると、次に携帯用情報機器をドッキングする際にコネクタが邪魔となるため、コネクタを退動させる操作が必要となって手間がかかる。また、突出した状態にあるコネクタが携帯用情報機器に干渉し、装着動作が円滑に行われない可能性もある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、側面に接続端子が設けられた携帯用情報機器に対しても確実にコネクタ接続を行うことができるドッキング装置及び携帯用情報機器とドッキング装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るドッキング装置は、携帯用情報機器を載置する機器載置部と、前記機器載置部に載置された携帯用情報機器の係合穴に対して係合し、前記機器載置部と前記携帯用情報機器との間を連結する係合部材と、前記係合部材が前記係合穴に係合したことを検出する連結検出器と、前記機器載置部に載置された携帯用情報機器の側面に設けられた接続端子に対して接続可能なコネクタと、モータの駆動力によって動作し、前記コネクタを進退させて前記接続端子に対して接離させる進退機構と、前記連結検出器によって前記携帯用情報機器が前記機器載置部に連結されたことが検出された場合に前記進退機構を動作させ、前記コネクタを進動させて前記接続端子に接続する制御部とを備える。
【0008】
このような構成によれば、携帯用情報機器を装着する場合に、機器載置部に携帯用情報機器を載置すると、係合部材の係合穴に対する係合動作の完了後にコネクタの接続端子に対する接続動作が実行される。このため、例えばユーザが携帯用情報機器を機器載置部に載置した直後に装着作業を中止して携帯用情報機器を機器載置部から取り上げた場合には、コネクタの接続端子に対する接続動作が実行されない。つまり当該ドッキング装置は、機器載置部に携帯用情報機器が不在の状態でコネクタのみが突出した状態となることを防止できる。その結果、次に携帯用情報機器を装着する際にコネクタが邪魔となり、或いはコネクタが携帯用情報機器に干渉することもなく、確実に且つ円滑にコネクタの接続を含む携帯用情報機器の装着動作を実行できる。
【0009】
前記機器載置部に前記携帯用情報機器が連結され、前記コネクタが前記接続端子に接続された装着状態を解除する装着解除操作部を備え、前記制御部は、前記装着解除操作部が操作された場合に、前記進退機構を動作させて前記コネクタを前記接続端子から離脱させた後、前記係合部材を動作させて該係合部材の前記係合穴に対する係合状態を解除する構成であってもよい。そうすると、装着解除動作時にはコネクタが接続端子から離脱するまでの間は係合部材が係合穴に対して係合された状態に維持される。このため、コネクタが接続端子に接続された状態のままで機器載置部から携帯用情報機器を持ち上げてしまい、コネクタと接続端子との接続部に過大な負荷が付与されることを防止できる。
【0010】
前記携帯用情報機器によって押下されることで前記機器載置部に前記携帯用情報機器が載置されたことを検出する載置検出器を備え、前記制御部は、前記連結検出器によって前記携帯用情報機器が前記機器載置部に連結されたことが検出されると共に、前記載置検出器によって前記携帯用情報機器が前記機器載置部に載置されたことが検出された場合に前記進退機構を動作させ、前記コネクタを進動させて前記接続端子に接続する構成であってもよい。そうすると、携帯用情報機器が機器載置部に確実に載置されると共に、係合部材が係合穴に係合した場合にのみ進退機構が動作する。その結果、実際には携帯用情報機器が機器載置部に載置されていないにもかかわらず装着動作が実行される誤動作を確実に防止できる。
【0011】
前記制御部は、前記係合部材を動作させて該係合部材の前記係合穴に対する係合状態を解除した後、前記載置検出器によって前記携帯用情報機器が前記機器載置部から離脱したことが検出されるまでは前記係合部材を前記係合穴に対する係合解除位置に維持しておき、前記載置検出器によって前記携帯用情報機器が前記機器載置部から離脱したことが検出された後に前記係合部材を前記係合解除位置から前記係合穴に対して係合する前の初期位置へと復帰させる構成であってもよい。そうすると、携帯用情報機器の装着状態を解除する動作時には、携帯用情報機器を機器載置部から取り上げるまでの間、係合部材を係合解除位置に維持しておく制御を容易に実行でき、高い利便性が得られる。
【0012】
前記携帯用情報機器によって押下されることで前記機器載置部に前記携帯用情報機器が載置されたことを検出する載置検出器を備え、前記制御部は、前記係合部材を動作させて該係合部材の前記係合穴に対する係合状態を解除した後、前記載置検出器によって前記携帯用情報機器が前記機器載置部から離脱したことが検出されるまでは前記係合部材を前記係合穴に対する係合解除位置に維持しておき、前記載置検出器によって前記携帯用情報機器が前記機器載置部から離脱したことが検出された後に前記係合部材を前記係合解除位置から前記係合穴に対して係合する前の初期位置へと復帰させる構成であってもよい。
【0013】
前記進退機構は、前記モータの駆動力によってスライドし、前記コネクタを進退させるスライド部材を有する構成であってもよい。そうすると、簡素な構成でコネクタの進退動作を実現できる。
【0014】
当該ドッキング装置は、前記係合部材を前記係合穴に対する係合方向に付勢する弾性体と、前記弾性体の付勢力に抗して前記係合部材を前記係合方向とは反対方向の係合解除方向に移動させる係合解除部材とを備え、前記進退機構は、前記スライド部材と前記モータとの間に介在し、前記モータの駆動力によってスライドすることで前記スライド部材をスライドさせるラック部材を有し、前記係合解除部材は、前記ラック部材を介して前記モータの駆動力によって動作する構成であってもよい。そうすると、モータで駆動される1つのラック部材を介してスライド部材及び係合解除部材を所望のタイミングで駆動でき、構造が簡素化されると共に部品点数を低減できる。
【0015】
前記係合穴は、前記携帯用情報機器の底面に設けられており、前記係合部材は、前記係合穴に対する係合方向に付勢されたフック状部材であってもよい。そうすると、携帯用情報機器を機器載置部に対して確実に且つ安定して連結することができる。また、フック状部材である係合部材が係合穴に係合する際のロック音が発生することで、ユーザは携帯用情報機器が機器載置部に確実に連結されたことを認識できる。
【0016】
本発明の第2態様に係る電子機器は、上記構成のドッキング装置と、前記携帯用情報機器とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、側面に接続端子が設けられた携帯用情報機器に対しても確実にコネクタ接続を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るドッキング装置について、この装置に着脱される携帯用情報機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、一実施形態に係るドッキング装置10に対して携帯用情報機器12を装着する状態を示す分解斜視図である。
図2は、ドッキング装置10に携帯用情報機器12を装着した状態での斜視図である。
図3は、携帯用情報機器12の側面図である。
【0021】
本実施形態に係るドッキング装置10は、例えばノート型PCである携帯用情報機器12を着脱可能な装置である。ドッキング装置10は、装着された携帯用情報機器12の処理機能、電源機能或いは周辺機器やネットワークに対する接続機能等を拡張・補強する拡張装置である。従って、ドッキング装置10に携帯用情報機器12を装着した電子機器は、携帯用情報機器12を単独で使用する場合よりも各機能の性能が向上している。ドッキング装置10は、ノート型PC以外の携帯用情報機器の拡張用として使用することもでき、例えばタブレット型PC、携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等の機能拡張用として用いてもよい。
【0022】
以下、
図2に示すようにドッキング装置10に携帯用情報機器12を搭載した状態を基準とし、
図2における手前側を前、奥側を後、ドッキング装置10の厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0023】
図3に示すように、ドッキング装置10に対する接続対象の一例である携帯用情報機器12は、本体筐体16と、ディスプレイ筐体18と、ヒンジ20とを備える。携帯用情報機器12は、本体筐体16とディスプレイ筐体18の後端部間をヒンジ20で回動可能に連結したノート型PCである。本体筐体16の内面にはキーボード22が設けられ、ディスプレイ筐体18の内面にはディスプレイ24が設けられている。
【0024】
本体筐体16の左側の側面16aには、接続端子26と、一対のロック穴27,27とが設けられている。接続端子26は、ドッキング装置10のコネクタ28(
図1参照)を接続可能な端子である。携帯用情報機器12は、接続端子26にコネクタ28が接続されることにより、ドッキング装置10の各種拡張機能を使用できる。一対のロック穴27,27は、接続端子26を跨ぐようにその両側部に配置されている。一対のロック穴27,27は、ドッキング装置10の一対のロックピン29,29(
図1参照)を係合可能である。携帯用情報機器12は、各ロック穴27に各ロックピン29が係合されることにより、ドッキング装置10に対して機械的にロックされる。ロック穴27及びロックピン29は、それぞれ一対設けた2組の構成でなくてもよく、例えばそれぞれ1つ設けた1組の構成であってもよい。ロック穴27及びロックピン29は、省略されてもよい。
【0025】
本体筐体16の底面16bには、係合穴30が設けられている。係合穴30は、ドッキング装置10の係合部材32を係合可能である。係合穴30及び係合部材32は、左右一対設けられている。携帯用情報機器12は、係合穴30に係合部材32が係合されることにより、ドッキング装置10に対して機械的に連結される。
【0026】
図1及び
図2に示すように、ドッキング装置10は、携帯用情報機器12の本体筐体16を載置させた状態で用いられる。ドッキング装置10は、合成樹脂等によって成形した装置筐体34を備える。装置筐体34には、機器載置部36及び操作機構部38が設けられている。
【0027】
機器載置部36は、携帯用情報機器12の後側略半分の部分を載置することのできる大きさの上面を有し、合成樹脂等で形成された薄い箱体である。機器載置部36は、前側から後側に向かうに従って漸次高さ寸法が大きくなるように傾斜した載置面36aを備える。載置面36aには、携帯用情報機器12の底面16bが着地する。載置面36aの後側には、載置面36aより一段低く形成された逃げ面36bが設けられている。逃げ面36bは、携帯用情報機器12の底面16bの後部から図示しないバッテリ等が突出している場合に、該バッテリ等を避けるための部分である。逃げ面36bの上面には、携帯用情報機器12の底面16bを受け止める脚材37が左右一対設けられている。
【0028】
載置面36aの上面には、左寄りの位置に一方の係合部材32が設けられ、中央やや右寄りの位置に他方の係合部材32が設けられている。各係合部材32は、載置面36aの上面から突出したフック状部材である。各係合部材32は、前後方向に移動可能に設けられると共に、後方に向かって常時付勢されている。係合部材32は、1個のみ或いは3個以上設けられてもよい。左側の係合部材32の右側部には、載置検出器40が設けられている。載置検出器40は、載置面36aの上面から出没可能に突出しており、図示しない弾性体によって突出方向に付勢されている。載置検出器40は、携帯用情報機器12の底面16bで押下可能なセンサであり、載置面36aに携帯用情報機器12が載置されているか否かを検出可能である。係合部材32や載置検出器40は、例えば操作機構部38の壁部38aから水平方向に突出するように設けられていてもよい。
【0029】
操作機構部38は、機器載置部36よりも大きな高さ寸法を有した直方体状の箱体であり、機器載置部36の側方に設けてある。
【0030】
操作機構部38は、機器載置部36の側部で起立し、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12の側面16aに対面配置される壁部38aを有する。コネクタ28及びロックピン29は、壁部38aから携帯用情報機器12の側面16aに向かって進退可能に設けられている。操作機構部38の上面には、手動操作によってコネクタ28及びロックピン29を壁部38aから進退移動させる際に使用する操作レバー44が設けられている。操作レバー44は、省略されてもよい。操作機構部38の上面後方寄りには、解除スイッチ(装着解除操作部)45が設けられている。解除スイッチ45は、ドッキング装置10から携帯用情報機器12を取り外す際に操作するスイッチである。壁部38aの後端部には、位置決め部材46が設けられている。位置決め部材46は、機器載置部36に携帯用情報機器12を載置する際にその後端面を位置決めするためのものである(
図2参照)。
【0031】
このようなドッキング装置10は、機器載置部36に携帯用情報機器12が載置され、各係合部材32が各係合穴30に係合した後、自動的にコネクタ28及びロックピン29を接続端子26及びロック穴27に接続する電動機構50を搭載している。
【0032】
図4は、ドッキング装置10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0033】
図4に示すように、電動機構50は、モータ51を有するモータユニット52と、モータユニット52からの駆動力によって動作する進退機構54と、コントローラ56とを備える。電動機構50は装置筐体34内に搭載されている。
【0034】
モータユニット52は、モータ51と、ラック部材58と、第1ピニオン60と、第2ピニオン61とを有する。
【0035】
モータ51は、図示しない電源からの電力供給を受けて駆動される電動モータである。モータ51は、複数のギア62a,62bを有する減速機62が出力軸に噛合している。減速機62は、1個又は3個以上のギアで構成されてもよい。
【0036】
ラック部材58は、減速機62を経由したモータ51の駆動力を受けて左右方向に進退する。ラック部材58は、左右両端が前後方向に幅狭に形成された略T字形状のプレートである。ラック部材58は、右側の幅狭部分の後側面に入力ギア58aが設けられ、左側の幅狭部分の後側面に第1出力ギア58bが設けられ、中央の幅広部分の後側面左端部に第2出力ギア58cが設けられている。入力ギア58aは、減速機62のギア62bと噛合したラックギアである。第1出力ギア58bは、第1ピニオン60と噛合したラックギアである。第2出力ギア58cは、第2ピニオン61と噛合したラックギアである。第1出力ギア58bの左側部には、第1滑り面64が連続形成されている。第2出力ギア58cの右側部には、第2滑り面65が連続形成されている。各滑り面64,65は、各ピニオン60,61が噛合せずに滑るように設けられた逃げ面である。
【0037】
モータユニット52は、例えばモータ51、減速機62、ラック部材58、第1ピニオン60及び第2ピニオン61を1つの筐体で支持したユニット構造である。モータユニット52は、例えば装置筐体34の底面を形成するベースプレート34aの内面にビス止め等によって取付固定される。モータ51等のモータユニット52の各要素はユニット構造ではなく、ベースプレート34aの内面等にそれぞれ取付支持されてもよい。
【0038】
図4に示すように、進退機構54は、スライド部材70と、係合解除部材72とを備える。
【0039】
スライド部材70は、コネクタ28を進退させるための部材である。スライド部材70は、ベースプレート34aの内面上で左右方向にスライド可能に設けられ、左右方向に延びたプレートである。スライド部材70は、右端部の前側面に第1ピニオン60と噛合したラックギア70aを有する。スライド部材70は、第1ピニオン60の回転駆動力をラックギア70aで受けて左右方向にスライドする。スライド部材70は、左端部近傍の上面にコネクタ28及びロックピン29を支持した基板74が取り付けられている。スライド部材70の左端部には、操作レバー44が連結されている。これにより、スライド部材70が左右方向にスライドすることでコネクタ28及びロックピン29が左右方向に進退し、操作レバー44も同時に進退する。
【0040】
係合解除部材72は、係合部材32の係合穴30に対する係合状態を解除するための部材である。係合解除部材72は、ベースプレート34aの内面上で左右方向にスライド可能に設けられ、左右方向に延びたプレートである。係合解除部材72は、スライド部材70よりも前後方向で幅狭なプレートであり、スライド部材70の後側に近接配置されている。係合解除部材72は、中央やや右寄り位置の前側面に第2ピニオン61と噛合したラックギア72aを有する。係合解除部材72は、第2ピニオン61の回転駆動力をラックギア72aで受けて左右方向にスライドする。係合解除部材72は、左端部近傍及び右端部近傍にそれぞれ押圧傾斜面72bを有する。押圧傾斜面72bは、係合解除部材72の係合解除方向(
図4中で左側)に沿って前側から後側に傾斜した傾斜面である。
【0041】
図5Aは、係合部材32が係合穴30に係合する直前の状態を模式的に示す側面断面図である。
図5Bは、係合部材32が係合穴30に係合した状態を模式的に示す側面断面図である。
【0042】
図4及び
図5Aに示すように、各係合部材32は、装置筐体34内で前後方向にスライド可能に設けられたフックベース76の上面に突設されている。フックベース76は、前後方向に延びた棒状部材である。フックベース76は、例えば載置面36aの内面に対してスライド可能に支持されている。フックベース76は、弾性体77によって係合部材32が係合穴30に係合する係合方向(
図4中で後側)に常時付勢されている。フックベース76は、後端面に受圧傾斜面76aを有し、左側面に検出片76bを有する。受圧傾斜面76aは、係合部材32の係合解除方向(
図4中で前側)に沿って左側から右側に傾斜した傾斜面である。受圧傾斜面76aは、係合解除部材72の押圧傾斜面72bと摺接可能に対向配置されている。検出片76bは、フックベース76の左側面から左側に突出した棒状部材である。検出片76bは、その後側面で連結検出器78の検出ピン78aを押圧可能である。
【0043】
図5Aに示すように、係合部材32は、係合穴30の係止片30aに摺接且つ係合可能な爪部32aを有するフック状部材である。爪部32aの外面は、係合部材32の係合穴30に対する係合方向(
図5A中で左側)に向かって次第に上方から下方に傾斜した傾斜面32bを有する。
【0044】
図5A及び
図5Bに示すように、載置面36aに携帯用情報機器12が載置される際、係合部材32は傾斜面32bが係止片30aに摺接することで、フックベース76と共に弾性体77の付勢力に抗して係合解除方向(
図5A中で右側)に退動する。そして、傾斜面32bが係止片30aを乗り越えると、
図5Bに示すように係合部材32はフックベース76と共に弾性体77の付勢力によって係合方向に進動し、爪部32aが係合穴30(係止片30a)に係合する。これにより、ドッキング装置10と携帯用情報機器12との間が係合部材32によって機械的に連結される。この際、フック状部材である係合部材32が係合穴30に係合する際のロック音が発生することで、ユーザは携帯用情報機器12が機器載置部36に確実に連結されたことを認識できる。
【0045】
図4に示すように、コントローラ56は、各連結検出器78及び載置検出器40からのオン信号やオフ信号を受信してモータ51の駆動制御を行う制御部である。さらにコントローラ56は、解除スイッチ45からの装着解除信号に基づくモータ51の駆動制御も行う。コントローラ56は、例えば中央演算装置であるCPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0046】
コントローラ56は、例えば機器載置部36の載置面36aに携帯用情報機器12が載置された場合にモータ51を駆動してドッキング装置10の携帯用情報機器12に対する装着動作を実行させる。またコントローラ56は、例えば解除スイッチ45が操作された場合にドッキング装置10に対する携帯用情報機器12の装着状態を解除する装着解除動作を実行させる。
【0047】
次に、ドッキング装置10と携帯用情報機器12の装着動作について説明する。
【0048】
図6は、
図4に示す状態から機器載置部36に携帯用情報機器12を載置している途中の状態を示す平面図である。
図7は、
図6に示す状態から係合部材32及び電動機構50が動作して装着動作が完了した状態を示す平面図である。
図8は、
図7に示す状態から解除スイッチ45が操作され、電動機構50が動作してコネクタ28が退動した状態を示す平面図である。
図9は、
図8に示す状態から電動機構50が継続動作して係合部材32が退動した状態を示す平面図である。
【0049】
先ず、ドッキング装置10に携帯用情報機器12を装着する前の状態(初期状態)では、
図4に示すようにスライド部材70が最も左側にスライドした初期位置にある。この状態では、コネクタ28及びロックピン29は壁部38aの内側に埋没した位置にある。また、係合解除部材72は最も右側に後退した初期位置にある。このため、各フックベース76は、受圧傾斜面76aが係合解除部材72の押圧傾斜面72bからの押圧力を受けていない。その結果、各係合部材32が弾性体77の付勢力によって最も後側に進動した係合位置にある(
図5A参照)。
【0050】
この初期状態から機器載置部36に携帯用情報機器12を装着する際には、先ず
図1及び
図2に示すように携帯用情報機器12の後端角部を位置決め部材46に当てて機器載置部36上に位置決め載置する。そうすると、携帯用情報機器12の接続端子26及びロック穴27が設けられた側面16aが操作機構部38の壁部38aに対面配置される。同時に、係合部材32は、傾斜面32bが係合穴30の係止片30aに摺接し(
図5A及び
図6中に実線で示す矢印参照)、弾性体77の付勢力に抗して一旦非係合方向である前側に退動する。続いて傾斜面32bが係止片30aを乗り越えると、係合部材32は再び係合方向である後側に進動し、係合穴30に係合する(
図5B及び
図6中に破線で示す矢印参照)。これにより、携帯用情報機器12は、ドッキング装置10に対して係合部材32を介して機械的に連結された状態となる。この際、載置検出器40は携帯用情報機器12の底面16bによって押下操作される。なお、
図6は、係合部材32が最も前側に退動した位置(係合解除位置)にある状態を図示している。
【0051】
このような係合部材32の係合穴30に対する係合動作時、フックベース76は、検出片76bが連結検出器78の検出ピン78aに対するオン位置から一旦検出ピン78aから離間したオフ位置となり、再びオン位置となる。そこで、コントローラ56は、連結検出器78がオフ信号の後にオン信号を出力したことを受信すると、係合部材32の係合穴30への係合動作が完了したと判断し、次にモータ51を装着方向に駆動制御する装着動作を実行する。
【0052】
なお、コントローラ56は、連結検出器78の出力情報に加えて、載置検出器40からのオン信号も受信した場合に装着動作する制御を行ってもよい。これにより、ユーザが誤って指先等で係合部材32を操作してしまい、実際には携帯用情報機器12が機器載置部36に載置されていないにもかかわらず装着動作が実行される誤動作を確実に防止できる。
【0053】
装着動作が実行されると、
図7に示すように減速機62を介してラック部材58が左側に進動し、第1出力ギア58bと噛合した第1ピニオン60が図中で時計方向に回転する。このため、スライド部材70は、ラックギア70aが第1ピニオン60からの駆動力を受けて右側にスライドする。なお、
図7に示すようにラック部材58が左側に進動した際、第2ピニオン61は第2滑り面65を滑るため回転しない。このため、係合解除部材72は移動せずに初期位置に留まる。
【0054】
スライド部材70が右側にスライドすると、コネクタ28及びロックピン29も右側に進動する。そして、
図7に示すようにスライド部材70が最も右側までスライドすると、コネクタ28が接続端子26に接続されると共にロックピン29がロック穴27に挿入される。
【0055】
なお、ロックピン29は、ロック穴27に挿入後に90度回転駆動され、その先端部がロック穴27に十字状に係合する構成であってもよい(
図7参照)。そうすると、携帯用情報機器12は、ドッキング装置10に対してロックピン29を介して機械的にロックされた状態となる。ロックピン29の回転動作は、例えば図示しないモータを利用してもよいし、スライド部材70とロックピン29との間に設けた図示しないリンク機構を使用してもよい。ロックピン29の回転動作は例えば操作機構部38の一側面に設けた図示しないキー穴に挿入しロックキーを挿入して回転操作することにより実行されてもよい。ロックピン29は、回転動作を実行せず、単に位置決めピンとして機能するものでもよい。
【0056】
このように当該ドッキング装置10では、
図4に示す初期状態で機器載置部36に携帯用情報機器12を載置すると、係合部材32の係合穴30に対する係合動作の完了を待って電動機構50が動作し、コネクタ28が接続端子26に接続される。その結果、ドッキング装置10に対する携帯用情報機器12の装着が完了する。
【0057】
次に、
図7に示す装着状態にある携帯用情報機器12をドッキング装置10から取り外す際には、解除スイッチ45を操作する。そうすると、コントローラ56は、モータ51を装着方向とは逆の装着解除方向に駆動制御する装着解除動作を実行する。
【0058】
装着解除動作が実行されると、
図8に示すように減速機62を介してラック部材58が右側に退動し、第1出力ギア58bと噛合した第1ピニオン60が図中で反時計方向に回転する。このため、スライド部材70は、ラックギア70aが第1ピニオン60からの駆動力を受けて今度は左側にスライドする。なお、
図7に示すようにラック部材58が右側に進動する際、スライド部材70がスライドしているタイミングでは第2ピニオン61は第2滑り面65を滑るため回転しない。このため、係合解除部材72は今度も移動せずに初期位置に留まる。
【0059】
スライド部材70が左側にスライドすると、コネクタ28及びロックピン29も左側に退動する。そして、
図8に示すようにスライド部材70が最も左側までスライドすると、コネクタ28が接続端子26から離脱すると共にロックピン29がロック穴27から離脱する。その結果、コネクタ28及びロックピン29は壁部38aの内側に埋没した位置に戻る。なお、ロックピン29がロック穴27に係合したロック状態となっている場合は、ロックピン29がロック穴27から離脱する前に90度逆回転されてロック穴27に対する係合状態が解除される。
【0060】
但し、コネクタ28が接続端子26から離脱した後も係合部材32の係合穴30への係合状態は維持されている。そこで、コントローラ56は、この装着解除動作では、スライド部材70を最も左側までスライドさせた後もモータ51の装着解除方向への駆動を継続する。
【0061】
そうすると、
図9に示すように第2ピニオン61が第2出力ギア58cと噛合して図中で反時計方向に回転する。このため、係合解除部材72は、ラックギア72aが第2ピニオン61からの駆動力を受けて左側に進動する。なお、
図9に示すように係合解除部材72が左側に進動しているタイミングでは、第1ピニオン60は第1滑り面64を滑るため回転しない。このため、スライド部材70は移動せず、コネクタ28の位置も変化しない。
【0062】
係合解除部材72が左側に進動すると、押圧傾斜面72bがフックベース76の受圧傾斜面76aに摺接しつつこれを押圧する。このため、フックベース76は、
図9に示すように弾性体77の付勢力に抗して前側に退動し、係合部材32が係合穴30に対する係合解除方向に退動する。最終的には押圧傾斜面72bが受圧傾斜面76aを乗り越えて受圧傾斜面76aが係合解除部材72の前側面に当接することで、フックベース76が最も前側に退動した位置に保持される。その結果、係合部材32は、係合穴30内に配置された状態で爪部32aが係止片30aから離脱した係合解除位置に保持される。なお、係合部材32が係合解除位置となったタイミングは、予め設定された制御プログラムや連結検出器78の検出結果に基づき判断され、コントローラ56はモータ51の係合解除方向への駆動を停止する。
【0063】
携帯用情報機器12をドッキング装置10から完全に離脱させる場合は、
図9に示す装着解除状態において携帯用情報機器12を機器載置部36の載置面36aから持ち上げる。そうすると、載置検出器40は携帯用情報機器12の底面16bによる押下状態が解除されるため、初期位置に上昇復帰してオフ信号を出力する。コントローラ56は、この載置検出器40のオフ信号を受信すると、携帯用情報機器12が載置面36aから取り上げられたと判断し、次にモータ51を装着方向に駆動制御する。その結果、係合解除部材72が今度は右側に退動する。このため、フックベース76は、弾性体77の付勢力によって受圧傾斜面76aが押圧傾斜面72bに摺接しつつ、係合方向である前側へと再び進動する。この際、係合解除部材72が退動しているタイミングでは、第1ピニオン60は第1滑り面64を滑るため回転しない。このため、スライド部材70は移動せず、コネクタ28の位置も変化しない。
【0064】
最終的には、係合部材32が再び係合位置に復帰することで、検出片76bによって連結検出器78が再びオン信号を出力する。そこで、コントローラ56は、このオン信号を受けてモータ51の装着方向への駆動を停止する。その結果、スライド部材70が
図4に示す初期位置に維持された状態で、ラック部材58、係合解除部材72及び係合部材32が再び
図4に示す初期位置に復帰し、ドッキング装置10が再び初期状態に復帰する。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るドッキング装置10は、携帯用情報機器12を載置する機器載置部36と、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12の係合穴30に対して係合し、機器載置部36と携帯用情報機器12との間を連結する係合部材32と、係合部材32が係合穴30に係合したことを検出する連結検出器78と、機器載置部36に載置された携帯用情報機器12の側面16aに設けられた接続端子26に対して接続可能なコネクタ28と、モータ51の駆動力によって動作し、コネクタ28を進退させて接続端子26に対して接離させる進退機構54とを備える。さらにドッキング装置10は、連結検出器78によって携帯用情報機器12が機器載置部36に連結されたことが検出された場合に進退機構54を動作させ、コネクタ28を進動させて接続端子26に接続する制御部であるコントローラ56を備える。
【0066】
従って、当該ドッキング装置10は、携帯用情報機器12を装着する場合に、機器載置部36に携帯用情報機器12を載置すると、係合部材32の係合穴30に対する係合動作の完了後にコネクタ28の接続端子26に対する接続動作が実行される。このため、例えばユーザが携帯用情報機器12を機器載置部36に載置した直後に装着作業を中止して携帯用情報機器12を機器載置部36から取り上げた場合であっても、コントローラ56はモータ51を駆動せず、コネクタ28の接続端子26に対する接続動作が実行されることがない。つまり当該ドッキング装置10は、機器載置部36に携帯用情報機器12が不在の状態でコネクタ28のみが突出した状態となることを防止できる。その結果、次に携帯用情報機器12を装着する際にコネクタ28が邪魔となり、或いはコネクタ28が携帯用情報機器12に干渉することもなく、確実に且つ円滑にコネクタ28の接続を含む携帯用情報機器12の装着動作を実行できる。
【0067】
換言すれば、コントローラ56は、連結検出器78によって携帯用情報機器12が機器載置部36に連結されたことが検出されるまでの間は進退機構54の動作を規制し、コネクタ28の接続端子26に対する接続動作を規制する接続規制部を構成する。
【0068】
当該ドッキング装置10は、機器載置部36に携帯用情報機器12が連結され、コネクタ28が接続端子26に接続された装着状態を解除する解除スイッチ45を備える。そして、コントローラ56は、解除スイッチ45が操作された場合に、進退機構54を動作させてコネクタ28を接続端子26から離脱させた後、係合部材32を動作させて係合部材32の係合穴30に対する係合状態を解除する。このように当該ドッキング装置10は、装着解除動作時にはコネクタ28が接続端子26から離脱するまでの間は係合部材32が係合穴30に対して係合された状態に維持される。このため、コネクタ28が接続端子26に接続された状態のままで機器載置部36から携帯用情報機器12を持ち上げてしまい、コネクタ28と接続端子26との接続部に過大な負荷が付与されることを防止できる。
【0069】
当該ドッキング装置10は、携帯用情報機器12によって押下されることで機器載置部36に携帯用情報機器12が載置されたことを検出する載置検出器40を備える。従って、載置検出器40は、例えば装着解除動作時に使用することで、解除スイッチ45を操作した後は、携帯用情報機器12を機器載置部36から取り上げるまでの間、係合部材32を係合解除位置に維持しておく制御を容易に実行できる。また、載置検出器40は、例えば装着動作時に使用することで、携帯用情報機器12が機器載置部36に確実に載置されると共に、係合部材32が係合穴30に係合した場合にのみ装着動作を実行する制御が可能となる。その結果、実際には携帯用情報機器12が機器載置部36に載置されていないにもかかわらず装着動作が実行される誤動作を確実に防止できる。
【0070】
当該ドッキング装置10は、モータ51で駆動される1つのラック部材58を介してスライド部材70及び係合解除部材72を所望のタイミングで駆動でき、構造が簡素化されると共に部品点数を低減できる。なお、例えば係合解除部材72は、モータ51ではなく、別に設けられるモータの駆動力によってスライド部材70やラック部材58とは独立して動作する構成等としてもよい。
【0071】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0072】
上記では、係合部材32がフック状部材である構成を例示したが、係合部材32は、例えばTバー形状の部材が軸回りに回転して係合穴30に十字状に係合する構成等であってもよい。また、係合部材32の進退方向は、前後方向ではなく左右方向等であってもよい。
【0073】
上記では、モータ51を用いた電動機構50によってコネクタ28の進退動作等を実行する構成とした。しかしながら、当該ドッキング装置10は、例えばユニット構造のモータユニット52を取り外し、操作レバー44の手動操作によってコネクタ28の進退動作等を実行する簡素な構成に容易に変更することもできる。この構成では、例えばスライド部材70と係合解除部材72との間に互いのスライドを連動させるリンク機構を設け、操作レバー44によってこれらスライド部材70等をスライドさせればよい。