(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キーボード装置は、例えばキートップ、パンタグラフ式のガイド機構、メンブレンシート、ベースプレート等を積層した構造が一般的であり、ある程度の厚みを有する。また、基板やこれに実装されるCPUについても、ある程度の厚みを有する。このため、上記従来構造のように、キーボード装置の下方に重なる位置に基板やCPUを配置した構成では、これらの積層部分が相当な厚みを有し、本体筐体の薄型化を阻害している。しかもCPUの放熱用のヒートパイプをキーボード装置の下方に通した構成の場合、ヒートパイプ分の厚みも積層されるため、本体筐体の薄型化が一層難しい。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、CPUを備えた筐体の薄型化を図ることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、キーボード装置を設けた本体筐体を備える電子機器であって、前記本体筐体内には、前記キーボード装置よりも後端側に配置されたCPUと、前記キーボード装置の下方に重なる位置に配置された熱拡散部品と、前記CPUと前記熱拡散部品との間を熱伝達可能に接続する熱輸送部品と、が備えられている。
【0007】
このような構成によれば、CPUで発せられた熱は、熱輸送部品を介して熱拡散部品に輸送され、ここで拡散される。このため、CPUでの発熱を効率よく吸収することができ、特にCPUの処理負担が増大した状態であってもCPUの熱飽和までの時間が延びるため、CPUの処理速度の低下を抑制できる。しかも、当該電子機器では、本体筐体内である程度大きな上下方向スペースを必要とするCPUと、これに接続される熱輸送部品の一部とが、キーボード装置の下に積層されない。その反面、CPUが配置されないことで、高さは低いが大きなスペースを確保できるキーボード装置の下のスペースには、大きな密閉空間容積を必要とする熱拡散部品を配置している。このため、当該電子機器では、CPU及びその冷却用部品を備えた本体筐体の薄型化を図りつつも、高効率な熱拡散性能が得られる。
【0008】
前記本体筐体は、上面を構成する上面カバーを備えると共に、該上面カバーに前記キーボード装置が設けられ、前記上面カバーは少なくとも、前記キーボード装置が設けられた位置よりも後端側に位置する後カバー部と、前記キーボード装置が設けられた位置よりも前端側に位置する前カバー部と、を有し、前記CPUは、基板に実装されて前記本体筐体内に設けられると共に、該基板は、前記後カバー部の下方に重なる位置に配置され構成であってもよい。そうすると、キーボード装置の下方と異なり、比較的上下方向スペースを確保し易い後カバー部の下方に、基板及びCPUを配置することで、本体筐体の薄型化が阻害されることを防止できる。しかも、発熱体であるCPUや他の発熱体である電子部品を実装した基板が、キーボード装置の後側の後カバー部の下方に配置されることで、そこでの発熱によって使用者の手が熱せられる等の不都合を生じることを回避できる。
【0009】
前記熱輸送部品は、前記キーボード装置における複数のキーのうち、最も後端側で左右方向に並んだ最後列キーの下方に重なる位置に通された構成であってもよい。すなわち、例えばファンクションキーが割り当てられ、他のアルファベットキー等に比べて上下動ストロークを小さく構成し易い最後列キーの下方には、他のキーの下方よりも厚みを拡大したスペースを確保できる。そこで、このスペースに比較的厚みの大きな熱輸送部品を設置することで、本体筐体の板厚が厚くなることを抑制しつつ、高効率な熱輸送性能を確保できる。
【0010】
前記上面カバーは、前記キーボード装置が設けられた位置の左右側部にそれぞれ側カバー部を有し、前記熱輸送部品は、前記キーボード装置の側部に外れた位置であって、前記側カバー部の下方に重なる位置に通された構成であってもよい。そうすると、比較的厚みの大きな熱輸送部品がキーボード装置に重なることを回避しつつ、キーボード装置の下方に配置された熱拡散部品に熱輸送部品を確実に接続することができる。
【0011】
前記熱輸送部品は、2本のヒートパイプであり、一方のヒートパイプは、前記キーボード装置の左側部における前記側カバー部の下方に重なる位置に通され、他方のヒートパイプは、前記キーボード装置の右側部における前記側カバー部の下方に重なる位置に通された構成であってもよい。そうすると、2本のヒートパイプによる高い熱輸送性能が得られると共に、各ヒートパイプの厚みによって本体筐体の厚みが増大することを抑制できる。
【0012】
前記熱拡散部品は、左右一対設けられると共に、一方の熱拡散部品に前記一方のヒートパイプが接続され、他方の熱拡散部品に前記他方のヒートパイプが接続されており、前記一対の熱拡散部品の間には、配線が配置される隙間が設けられた構成であってもよい。そうすると、熱拡散部品の合計容積を最大限に確保して高い熱拡散性能を確保しつつ、この熱拡散部品に配線が積層されて本体筐体の厚みが増大することを回避できる。
【0013】
前記前カバー部の下方に重なる位置にはバッテリ装置が配置されると共に、前記配線は、前記バッテリ装置と前記基板との間に接続される電源線を含む構成であってもよい。
【0014】
前記CPUと共に前記基板及び前記熱輸送部品の少なくとも一部を覆う吸熱部材を設けた構成であってもよい。そうすると、吸熱部材はCPU等での発熱を吸熱して拡散及び放熱するため、基板の周辺部温度を均一化させることができる。
【0015】
前記吸熱部材は、その板厚方向に突出したフックを有し、該フックを用いて前記基板に係合支持された構成であってもよい。そうすると、基板に吸熱部材を取り付けるためのねじ止め用のスタッド等を除去し或いは低減することができる。その結果、基板は、CPUの周囲での配線領域が大きく削られることがないため、基板の配線効率が向上し、その小型化が可能となる。
【0016】
本発明の第2態様に係る電子機器は、キーボード装置を設けた本体筐体を備える電子機器であって、前記本体筐体内では、CPUが前記キーボード装置よりも後端側に配置されている。
【0017】
このような構成によれば、本体筐体内で比較的大きな上下方向スペースを必要とするキーボード装置の後側に外れた位置であって、上下方向に比較的大きなスペースを確保できる位置にCPUが配置される。すなわち、当該電子機器では、本体筐体内である程度大きな上下方向スペースを必要とするCPUがキーボード装置の下に積層されることがない。このため、当該電子機器では、本体筐体の薄型化を図ることができる。
【0018】
前記CPUは、基板に実装されて前記本体筐体内に設けられると共に、前記基板は、少なくとも前記CPU及び該CPU以外の電子部品を実装した部分が前記キーボード装置に重ならない位置に配置された構成であってもよい。そうすると、当該電子機器は、キーボード装置の下方に基板のCPUや電子部品を実装した部分が重なることがなく、本体筐体を一層薄型化できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、CPUを備えた筐体の薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の平面図である。本実施形態では、ノート型PCである電子機器10を例示する。
【0023】
図1に示すように、電子機器10は、キーボード装置12及びタッチパッド13を設けた本体筐体14と、ディスプレイ16を設けたディスプレイ筐体18とを備える。ディスプレイ筐体18は、本体筐体14の後端部14aに対して左右一対のヒンジ20,20を介して回動可能に連結されている。
【0024】
図1は、ヒンジ20によってディスプレイ筐体18を本体筐体14から開いて使用形態とした電子機器10を上から見下ろした図である。以下、
図1に示す使用形態にある電子機器10のディスプレイ16を正面から視認する方向を基準とし、本体筐体14について手前側を前、奥側を後、厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0025】
ディスプレイ筐体18は、ヒンジ20を通過した図示しない配線によって本体筐体14と電気的に接続されている。ディスプレイ16は、例えば液晶ディスプレイである。
【0026】
図2は、本体筐体14の内部構造を示す分解斜視図である。
図2ではキーボード装置12をプレート状に簡素化して図示すると共に、タッチパッド13の図示を省略している。
【0027】
図1及び
図2に示すように、本体筐体14は、上面カバー22と、下面カバー24とで形成された薄い箱状の筐体である。
【0028】
上面カバー22は、本体筐体14の側壁となる壁を四周に突出形成したプレート状部材である。上面カバー22は、本体筐体14の上面及び四周側面を構成する。下面カバー24は、本体筐体14の底面を構成するプレート状部材である。
【0029】
上面カバー22の上面は、開口部26と、前カバー部22aと、後カバー部22bと、左右の側カバー部22c,22dとで形成されている。開口部26は、上面カバー22の中央後寄りに設けられ、キーボード装置12が配置される矩形の開口である。つまり開口部26は、キーボード装置12の設置位置となる。前カバー部22aは、開口部26の前側に位置して左右方向に延びたプレート部である。前カバー部22aの左右方向中央には、タッチパッド13が配置される開口が形成されている。後カバー部22bは、開口部26の後側に位置して左右方向に延びたプレート部である。後カバー部22bは、前後方向の幅が前カバー部22aよりも小さい。左右の側カバー部22c,22dは、それぞれ開口部26の左右側部に位置して前後方向に延びた幅狭なプレート部である。例えばキーボード装置12が上面カバー22の左右幅略一杯に配置される構成とした場合、側カバー部22c,22dはほとんど幅を持たないライン形状となるか、或いは省略される。
【0030】
図3は、本体筐体14の内部構造を模式的に示す底面図である。
図3は、下面カバー24を取り外して上面カバー22の内面側から本体筐体14内を見た模式図である。
図4は、
図3中のIV−IV線に沿う模式断面図である。
図5は、
図3中のV−V線に沿う模式断面図である。
【0031】
図2〜
図5に示すように、本体筐体14の内部には、CPU28と、基板30と、バッテリ装置32と、2本の熱輸送部品34,35と、左右一対の熱拡散部品36,37とが収納されている。
【0032】
CPU28は、基板30に実装され、当該電子機器10の主たる制御や処理に関する演算を行う中央処理装置である。CPU28は、本体筐体14内に搭載された電子部品中で最大級の発熱体である。CPU28の上下方向の厚み(板厚)は、例えば0.85mmである。
【0033】
基板30は、CPU28の他、例えばGPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、コンデンサ等の各種の電子部品38が実装されたPCB(プリント基板)である。基板30は、両端部にそれぞれ前後一対設けられた取付孔30aを用いて上面カバー22における後カバー部22bの内面にねじ止め固定される。基板30は、上面30bが上面カバー22に対する取付面となり、下面30cがCPU28や電子部品38の実装面となる。一部の電子部品38は、上面30bに実装されていてもよい。基板30は、前後方向には幅狭である一方、左右方向には本体筐体14の左右幅略一杯まで延びた帯板形状である。基板30は、その大部分が後カバー部22bの下方に重なる位置に配置されている。本実施形態の場合、基板30は、両端前端部の一部のみがキーボード装置12の下方に重なっている(
図3参照)。基板30は、キーボード装置12の下方には完全に重ならず、後カバー部22bの下方にのみ重なる配置及び形状で構成されてもよい。基板30の板厚は、例えば0.65mmである。
【0034】
バッテリ装置32は、当該電子機器10の電源となる充電池である。バッテリ装置32は、パームレストとなる上面カバー22の前カバー部22aの下方に重なる位置で左右一対設けられている。本実施形態の場合、前カバー部22aの中央にはタッチパッド13を設けているため、バッテリ装置32はその左右側部にそれぞれ設けている。タッチパッド13を設けない構造等の場合、バッテリ装置32は前カバー部22aの左右幅一杯に延在した形状とされてもよい。バッテリ装置32は、前カバー部22aに重なる位置に配置されることで、大きな容積を確保できる。バッテリ装置32からの電源線やタッチパッド13からの信号線を含む配線39は、左右の熱拡散部品36,37間に形成された隙間Cを通って基板30に接続されている。
【0035】
各熱輸送部品34,35は、一端部34a,35aがCPU28に熱伝達可能に接続され、他端部34b,35bがそれぞれ熱拡散部品36,37に熱伝達可能に接続されている。各熱輸送部品34,35は、CPU28で発生した熱を各熱拡散部品36,37へと輸送する部品である。各熱輸送部品34,35は、例えば両端部を接合して内側に密閉空間を形成した金属管を潰したヒートパイプであり、密閉空間内に封入した作動流体の相変化を利用して熱を高効率に輸送可能である。熱輸送部品34,35の板厚は、例えば0.8mmである。熱輸送部品34,35は、例えば熱輸送距離や輸送熱量が小さい場合には、ヒートパイプ以外、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属棒等で構成されてもよい。
【0036】
各一端部34a,35aは、それぞれCPU28の下面(頂面)に対して受熱板(熱伝導部材)40を挟んで熱伝達可能に接続されている。受熱板40は、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属プレートであり、その板厚は例えば0.5mmである。受熱板40は、熱輸送部品34,35とCPU28との間の密着性を確保し、熱伝達率を向上させるための部品である。受熱板40は、省略してもよい。
【0037】
一方の熱輸送部品34は、CPU28の下面後側に接続された一端部34aから左斜め前側へと延び、キーボード装置12の後端部の下方を通って左側に延びた後、前側に屈曲して前側に延びており、この前側に延びた部分が他端部34bとなる。他端部34bは、左側の側カバー部22cの下方且つキーボード装置12の左側部となる位置を通って前側に延在しつつ、左側の熱拡散部品36の左側縁部上面と接続されている。略同様に、他方の熱輸送部品35は、CPU28の下面前側に接続された一端部35aから右斜め前側へと延び、キーボード装置12の後端部の下方を通って右側に延びた後、前側に屈曲して前側に延びており、この前側に延びた部分が他端部35bとなる。他端部35bは、右側の側カバー部22dの下方且つキーボード装置12の右側部となる位置を通って前側に延在しつつ、右側の熱拡散部品37の右側縁部上面と接続されている。
【0038】
各熱拡散部品36,37は、その外形の大部分がキーボード装置12の下方に重なる位置にそれぞれ配置され、互いの隣接端面間に配線39を配設可能な隙間Cを介して並んでいる。各熱拡散部品36,37は、各熱輸送部品34,35で輸送されたCPU28からの熱をその容積範囲に拡散させると共に貯留及び放熱する部品である。各熱拡散部品36,37は、例えば2枚の金属プレートの周縁部を接合して内側に密閉空間を形成したプレート型のベーパーチャンバであり、密閉空間に封入した作動流体の相変化によって熱を高効率に拡散可能である。なお、本実施形態では、左右の熱拡散部品36,37間の隙間Cに配線39を通すことで、配線39が熱拡散部品36,37と積層されてキーボード装置12の下方での厚みが増大させ、本体筐体14が厚肉化することを防止できる。
【0039】
熱拡散部品36,37は、ベーパーチャンバ以外、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属プレート、グラファイトプレート、ヒートレーン等で構成されてもよい。なお、ヒートレーンとは、プレート内側に形成された流路内に封入された作動流体が熱吸収によって蒸発した蒸気による潜熱輸送と、液相の作動流体の振動による顕熱輸送とを生じるプレート型の熱拡散部品である。
【0040】
熱輸送部品34,35は、いずれか1本のみを用いてもよいが、2本同時に用いた方が熱輸送性能が向上する。なお、熱輸送部品34,35のいずれか1本のみを用いる場合は、熱拡散部品36,37を例えば1枚のプレート状部材で構成し、その左右いずれかの側方に配線39を通す隙間Cを確保するとよい。
【0041】
図3及び
図4に示すように、本実施形態の場合、熱輸送部品34,35の下面側には吸熱部材42を設けている。吸熱部材42は、例えば銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属プレートであり、CPU28や各種電子部品38を含む基板30の大部分と、熱輸送部品34,35の一部を覆っている。吸熱部材42の板厚は、例えば0.2mmである。吸熱部材42は、CPU28等での発熱を直接的に或いは熱輸送部品34,35を介して間接的に吸熱し、拡散及び放熱することで基板30の周辺部温度を均一化させるための部品(thermal spreader)である。吸熱部材42は、熱輸送部品34,35や受熱板40をCPU28に対して圧接支持する機能も有する。
【0042】
吸熱部材42は、CPU28の下方に位置する部分に逃げ孔42aを有する。すなわち、吸熱部材42の大部分は、その上面に熱輸送部品34,35が接触配置されている。ところが、CPU28に重なる部分では、受熱板40の厚み分だけ熱輸送部品34,35の一端部34a,35aが下方に一段押し下げられた形状及び配置となっている。このため、吸熱部材42は、この一端部34a,35aの段下がり分を逃げ孔42aによって吸収している。吸熱部材42は省略してもよい。
【0043】
図6Aは、吸熱部材42の基板30に対する取付構造を示す分解斜視図である。
図6Bは、吸熱部材42を基板30に対して取り付けた状態を示す斜視図である。
【0044】
図6A及び
図6Bに示すように、吸熱部材42は、板厚方向で上方に突出した複数のフック42bを有する。各フック42bは、吸熱部材42の端面を切り起こして断面略コ字状に形成した弾性片である。各フック42bは、一部は吸熱部材42の後端面に設けられ、別の一部は逃げ孔42aの前縁端面に設けられている。各フック42bは、基板30の前端面及び後端面に形成された凹状部30dに下面30c側から挿入され、先端の爪部42cが基板30の裏面(上面30b)に係止される。これにより、吸熱部材42は、各フック42bを用いて基板30に対して係合支持される。基板30は、凹状部30dを設けず、その端面に直接的にフック42bを係合させてもよい。吸熱部材42は、フック42bのみで基板30に取り付けるのではなく、一部は基板30に対してねじ止めされてもよいし、フック42bを省略してねじ止めのみで基板30に取り付けられてもよい。
【0045】
このように、吸熱部材42は、基板30に対して少なくとも一部にフック42bを用いて係合支持される。これにより、従来のように、基板30に吸熱部材42を取り付けるためのねじ止め用のスタッド等を設ける必要がなく、或いはスタッド等の設置数を減らすことができる。その結果、基板30は、CPU28の周囲での配線領域が大きく削られないため、基板30での配線効率が向上し、その小型化が可能となる。
【0046】
図4及び
図5に示すように、キーボード装置12は、開口部26を介して本体筐体14の上面に露出した状態で配置される。キーボード装置12は、フレームとなる上面カバー22の開口部26に下から取り付ける本実施形態の構造以外でもよく、例えばフレーム一体型構造とし、開口部26に代えて上面カバー22に設けられた凹部に載置される構造でもよい。キーボード装置12は、例えば上から順にキートップ44、ガイド機構45、メンブレンシート46、ベースプレート47を設けたアセンブリ部品である。キートップ44は、使用者が押圧操作する操作部となる部品である。ガイド機構45は、キートップ44をベースプレート47の上面側で上下動可能にガイドするパンタグラフ機構である。キートップ44とガイド機構45の組が1つのキー(キースイッチ)48を構成し、複数のキー48が所定の配列でベースプレート47の上面側に設置される。キーボード装置12は、ガイド機構45を持たないメンブレン式等でもよい。メンブレンシート46は、キートップ44が押下操作された際に図示しないラバードーム等で押圧されて接点を閉じることにより、各キー種類に応じた信号を発信するスイッチシートである。ベースプレート47は、キーボード装置12の底面を形成する部材であり、ステンレス等の薄いプレート状部材である。
【0047】
図1及び
図4に示すように、各キー48のうち、キーボード装置12の最も後端側で左右方向に並んだキー48群である最後列キー48aは、一般的な配列のキーボード装置ではファンクションキー等が割り当てられる。一方、最後列キー48a以外のキー48群であるキー48bは、アルファベット、記号、スペース、コントロール等のキーが割り当てられる。このため、最後列キー48aは、他のキー48bに比べて操作機会が少なく、打刻感や操作感に対する品質要求も低い。そこで、本実施形態の場合、キーボード装置12は、最後列キー48aの上下動ストロークが他のキー48bの上下動ストロークよりも小さい構造を採用している(
図4参照)。
【0048】
図4に示す構成例では、最後列キー48aを設けた位置でのキートップ44の頂面からベースプレート47の下面までの厚みは、例えば2.25mmに設定されている。一方、キー48bを設けた位置でのキートップ44の頂面からベースプレート47の下面までの厚みは、例えば4.5mmに設定されている。このため、キーボード装置12は、最後列キー48a以外の各キー48bの下方となる位置での下面カバー24との間のスペースS1の高さに対し、最後列キー48aの下方となる位置での下面カバー24との間のスペースS2の高さが大きい。つまり、スペースS2は、他のスペースS1に比べて高さ寸法が拡大されている。この拡大したスペースS2には、熱輸送部品34,35の一部及び吸熱部材42の一部が配設している(
図4参照)。
【0049】
次に、このような電子機器10の本体筐体14内での放熱動作を説明する。
図7は、
図3に示す本体筐体14内での熱の流れを模式的に示した説明図である。
【0050】
図7中に1点鎖線で示す矢印で示すように、CPU28で発生した熱Hは、受熱板40を介して熱輸送部品34,35の一端部34a,35aで吸熱され、他端部34b,35bまで効率よく輸送される。そして、他端部34b,35bから各熱拡散部品36,37へと伝達され、これら熱拡散部品36,37内で効率よく拡散、貯留及び放熱される。また、CPU28や電子部品38で発せられた熱の一部は、吸熱部材42によっても拡散及び放熱される。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る電子機器10は、キーボード装置12を設けた本体筐体14を備え、本体筐体14内では、CPU28がキーボード装置12よりも後端側に配置されている。
【0052】
従って、当該電子機器10では、本体筐体14内で比較的大きな上下方向スペースを必要とするキーボード装置12の後側に外れた位置であって、上下方向に比較的大きなスペースを確保できる位置にCPU28が配置される。すなわち、当該電子機器10では、本体筐体14内である程度大きな上下方向スペースを必要とするCPU28がキーボード装置12の下に積層されることがない。このため、当該電子機器10では、CPU28を備えた本体筐体14の薄型化を図ることができる(
図4参照)。
【0053】
しかも当該電子機器10では、CPU28を実装した基板30は、少なくともCPU28及びCPU28以外の電子部品38を実装した部分がキーボード装置12に重ならない位置に配置されている。このため、当該電子機器10は、キーボード装置12の下方に基板30のCPU28や電子部品38を実装した部分が重なることがない。このため、当該電子機器10では、本体筐体14を一層薄型化できる。
【0054】
また、本実施形態に係る電子機器10では、本体筐体14内には、キーボード装置12よりも後端側に配置されたCPU28と、キーボード装置12の下方に重なる位置に配置された熱拡散部品36,37と、CPU28と熱拡散部品36,37との間を熱伝達可能に接続する熱輸送部品34,35とが備えられている。
【0055】
従って、当該電子機器10では、CPU28で発せられた熱Hは、熱輸送部品34,35を介して熱拡散部品36,37に輸送され、ここで拡散、貯留及び放熱される。このため、CPU28での発熱を効率よく吸収することができ、特にCPU28の処理負担が増大した状態であってもCPU28の熱飽和までの時間が延びるため、CPU28の処理速度の低下を抑制できる。しかも、当該電子機器10では、本体筐体14内である程度大きな上下方向スペースを必要とするCPU28と、これに接続される熱輸送部品34,35の一端部34a,35aを含む一部とが、キーボード装置12の下に積層されない。その反面、CPU28等が配置されないことで、高さは低いが大きなスペースを確保できるキーボード装置12の下のスペースS1には、薄型に構成し易いが大きな密閉空間容積を必要とする熱拡散部品36,37を配置している。このため、当該電子機器10では、CPU28及びその冷却用部品を備えた本体筐体14の薄型化を図りつつも、高効率な熱拡散性能が得られる。
【0056】
当該電子機器10では、CPU28は、基板30に実装されて本体筐体14内に設けられると共に、基板30は、上面カバー22の後カバー部22bの下方に重なる位置に配置されている。このようにキーボード装置12の下方と異なり、比較的上下方向スペースを確保し易い後カバー部22bの下方に、基板30及びCPU28を配置することで、本体筐体14の薄型化が阻害されることを防止できる。しかも、発熱体であるCPU28や他の発熱体である電子部品38を実装した基板30が、キーボード装置12の後側の後カバー部22bの下方に配置されることで、そこでの発熱によって使用者の手が熱せられる等の不都合を生じることを回避できる。
【0057】
当該電子機器10では、熱輸送部品34,35が、最後列キー48aの下方に重なる位置に通されている。上記した通り、最後列キー48aは、他のアルファベットキー等のキー48bに比べて上下動ストロークを小さく構成し易い。そこで、この最後列キー48aの下方には、他のキー48bの下方よりも厚みを拡大したスペースS2を確保でき、このスペースS2に比較的厚みの大きな熱輸送部品34,35を設置することで、本体筐体14の板厚が厚くなることを抑制しつつ、高効率な熱輸送性能を確保可能となっている。
【0058】
当該電子機器10では、熱輸送部品34,35が、キーボード装置12の側部に外れた位置であって、側カバー部22c,22dの下方に重なる位置に通されている。これにより、比較的厚みの大きな熱輸送部品34,35がキーボード装置12に重なることを回避しつつ、キーボード装置12の下方に配置された熱拡散部品36,37に確実に接続することが可能となっている。
【0059】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0060】
例えばキーボード装置12は、タッチ式の液晶ディスプレイからなるオンスクリーンキーボード(ソフトウェアキーボード)で構成されてもよい。また、キーボード装置12は、一部のキー48、例えば使用頻度の少ない最後列キー48aのみをタッチ式の液晶ディスプレイからなるオンスクリーンキーボードで構成してもよい。この場合は、最後列キー48aについて、キートップ44やガイド機構45が不要となるため、
図4中のスペースS2を一層拡大できる。
【0061】
上記では、本体筐体14にディスプレイ筐体18を回動可能に連結したクラムシェル型の電子機器10を例示したが、電子機器10は、例えばタブレット型PC等で構成されたディスプレイ筐体を本体筐体14に対して着脱可能とした構成等であってもよい。換言すれば、キーボード装置12が上記のようなオンスクリーンキーボードで構成される場合、当該電子機器10は、ディスプレイ筐体18は省略してもよく、例えば本体筐体14の上面にオンスクリーンキーボードを兼ねたディスプレイを設けたタブレット型PC等で構成されてもよい。この場合にも、CPU28は、キーボード装置となるディスプレイから外れた位置に設けられるとよい。