【課題を解決するための手段】
【0006】
発明に係る真空ポンプ、特にターボ分子ポンプは、流体、特にプロセスガス、又は空気の為の少なくとも一つのインレット及びアウトレットを有し、その際インレットにはレシーバーが接続可能である。発明に係る真空ポンプは、その上、ハウジング内に配置された、特にレシーバーから真空ポンプのインレットからアウトレットへの流体の搬送の為の少なくとも一つのポンプ段を有する。その際、ハウジング内には、更に一つのチャンバーが形成されている。そしてその際、チャンバー内には、チャンバーを画成する少なくとも一つの面を覆う堆積の受け入れ・摂取の為の少なくとも一つの中敷きが形成されている。
【0007】
チャンバーは、好ましくはアウトレット内へと開口しており、そして好ましくは真空ポンプの吐出領域を形成する。チャンバーは、よって、好ましくはポンプの予真空領域に位置している。チャンバーは、好ましくは、ポンプ方向で見てハウジング内の予真空に最も近いポンプ段に対して後配置されている。真空ポンプを通って推移するポンプチャネル(これを通って流体がポンプ内を流れる)は、チャンバーを通って推移している。ポンプによって吸引される、流体内に含まれる堆積は、よって中敷きの上に堆積する。ポンプから中敷きを取り出すことによって、堆積が取り出されることが可能である。中敷きは、好ましくは、例えばポンプのメンテナンスの枠内でチャンバーから取り出されることが可能であるようにチャンバー内に配置されていることが可能である。取り出された中敷きは、ポンプの外で洗浄され、引き続いて再びポンプ内に挿入されることが可能である。代替として、汚染した中敷きは、新しい中敷きと交換されることが可能である。チャンバーの体積の洗浄の労力・コストは、中敷きの使用によって抑えられ、又は理想的な場合、完全に切りつめられることが可能である。これによって、予真空領域における敏感な構成グループの損傷のリスクも抑えられることが可能である。
【0008】
「堆積」の概念は、広く解され、そして真空ポンプによって搬送される流体中に含まれ、そして真空ポンプ内で、例えば付着、凝縮、再昇華、凝固、又は化学反応によって「鎮座」することが可能である例えば粒子、流体、ガス、又は、プラズマや原子状のガスのエキゾチックな状態のようなあらゆる種類の物質を含み得る。
【0009】
中敷きが少なくとも部分的に覆うチャンバーを画成する面は、チャンバーの側方の壁部、及び/又は底部であることが可能である。中敷きは、チャンバーの、又はチャンバー壁部の可能な限り大きな面積を覆うよう形成されていることが可能である。よって、できる限り多くの堆積が、中敷き上に堆積し、チャンバー表面には堆積しない。
【0010】
中敷きは、シェル状、円筒状、又は容器状に形成されていることが可能である。よって中敷きは、外からアクセス可能な容積を有する、又は定義することが可能である。この中に堆積が堆積し、そして溜まることが可能である。
【0011】
中敷きは、チャンバーの底部、及び/又は、チャンバーを半径方向外側に向かって画成する側壁部、及び/又は、チャンバーを半径方向内側に向かって画成する側壁部を、特に、少なくともほぼ完全に覆うよう形成されていることが可能である。
【0012】
好ましくは、中敷きは、特にその底部及び側壁部が、ある容積を取り囲む。その際、中敷きの少なくとも一つの面、特に中敷きの上面には、少なくとも一つの開口部が設けられているので、開口部を通して容積内へと堆積が集められることが可能である。開口部は、中敷きが、相応する面において壁部を有さないように形成されていることが可能である。開口部は代替として、壁部内に、一又は複数の突破部、例えばスリットが設けられるように形成されていることが可能である。よって中敷きは、その、底部から引き離されて位置する上面において、完全に、又は少なくとも部分的に開かれていることが可能であるので、積層は、上から容積内へと集中可能である。
【0013】
好ましくは、中敷きは、少なくとも一つの開口部が、チャンバーの前に配置されたポンプ段の方に向けられているよう形成されている、及び/又はチャンバー内に組み込まれることが可能である。ポンプ段によって吸引され、そしてアウトレットの方へと搬送される堆積は、よって、直接中敷きの容積内へと至り、そしてそこで集められることが可能である。堆積によるチャンバー壁部の可能なコンタミネーションは、これによって大幅に減少されることが可能である。
【0014】
中敷きは、好ましくはシェルとして形成されている。その形状は、特にチャンバーの形状に合わせられている。シェル形状によって、プロセス汚染、堆積、および他の物質及び粒子が、特に良好に補足され、そしてシェルによって定義される容積内に蓄えられることが可能である。シェルは、好ましくは、一方の面で少なくとも部分的に開かれており、特に、意図される組込み位置で、前に設置されるポンプ段の方向に向けられている面において少なくとも部分的に開かれている。堆積は、よって特別良好に、シェルによって形成される容積内に集められることが可能である。
【0015】
チャンバーは、特にポンプ段の下に、真空ポンプの中央の軸、特にポンプ段のローターの回転軸を中心としてリング状に延在していることが可能である。チャンバーは、ポンプ段の下でリング空間の形式を形成する。この事は、特にポンプ段の吸引能力に有利に作用する。
【0016】
チャンバーは、好ましくは、少なくとも近似的に長方形の断面を有する。この断面形状は、製造技術的に、特に簡単に実現されることが可能である。
【0017】
中敷きは、チャンバーに対応して形成された、その上面において少なくとも部分的に開かれた、好ましくはリング形状のシェルとして形成されていることが可能である。このシェルは、底部を有し、そして好ましくは底部に対して、特に上に向かって推移する、半径方向内側に位置する、又は半径方向外側に位置する側壁部を有し形成されていることが可能である。よって中敷きは、リング形状に形成されたチャンバー内に、特にちょうどこれに合うように挿入されることが可能である。その際、好ましくはシェルは(チャンバーも)、少なくとも近似的に長方形の断面を有することができる。
【0018】
中敷きは、少なくとも一つの固定部によってチャンバー内に固定されている、又は固定可能であることが可能である。固定部は、例えば少なくとも一つのスクリューを有することができる。スクリューは、例えば上から、中敷きの底部内へ、そしてその下に位置するチャンバー底部内へとねじ込まれることが可能である、又はねじ込まれていることが可能である。好ましくは、その際、大型のヘッドを有するスクリュー、例えばレンズヘッドスクリュー(独語:Linsenkopfschraube)、又はヘキサゴンスクリューが使用される。といのは、そのようなスクリューは、堆積によって覆われた底部においても簡単に場所を特定されることができ、そしてツールで解除されることが可能だからである。
【0019】
中敷きは、これが、結束状態でチャンバーの上に位置するポンプ段のステーターパケットとチャンバー内で固定されることが可能であるようにも形成されている、及び/又は構成されていることが可能である。つまり、上述したステーターパケットは、中敷きに対する固定部の形式で使用されることが可能である。
【0020】
中敷きは、特に中敷きへの押圧によって、第一の形状から第二の形状へと変更可能であることが可能である。その際、中敷きは、第二の形状において第一の形状に対してより大きな外直径、及び/又はより小さな内直径を有し、及び/又は、その際、中敷きは第二の形状において第一の形状に対して可塑的な、及び/又は弾性的な形状変化を有する。中敷きは、よって第一の形状でチャンバー内に挿入されることが可能である。そして特に中敷きへの押圧によって、又は、中敷きをチャンバー内へと挿入することによって、これは特に第二の形状とされることができる。これによって中敷きの外直径、及び/又は内直径は、すくなくともわずかに変化し、又はこれによって中敷きの可塑的形状変化、及び/又は弾性的形状変化が生じる。形状変化によって、中敷きはチャンバー内でいわば「締め付け」られることが可能であるので、中敷きはチャンバー内で固定されることができる。
【0021】
中敷きの形状変化は、可逆的であることが可能である。中敷きの取り出しのため、又は中敷きの取り出しの後、よって、これらは再び第一の形状とされることが可能である。
【0022】
形状変化は、中敷きの少なくとも一つの面、特に中敷きの半径方向外側の側壁部が、例えば中敷きの押圧によって当該面の形状幾何、特にその半径方向のサイズが変更可能であるよう形成されていることによって可能とされることができる。形状変化は、中敷きの少なくとも一つの面、特に中敷きの半径方向外側の側壁部が、例えば中敷きの押圧によって、当該面の形状幾何、特にその軸方向のサイズが変更可能であるよう形成されていることによっても可能とされることができる。これは、例えば、側壁部が、(複数の)変形要素と空所部を有し、周回する少なくとも一つの変形領域によって軸方向において接続されている少なくとも二つの部分領域から成り、そして、中敷きの押圧によって少なくとも一つの変形要素が弾性的に、又は可塑的に変形され、その際、少なくとも一つの空所部が縮小され、そして側壁部の軸方向のサイズがこれによって同様に縮小されることによって実現されることが可能である。
【0023】
中敷きが、特に中敷きへの押圧によって第一の形状から第二の形状へと変化可能であり、この第二の形状において中敷きが、特に半径方向外側の側壁部が、第一の形状に対してより高い、又はより低い軸方向の高さを有することも意図され得る。中敷きの軸方向のサイズは、よって調整可能であることができる。
【0024】
好ましくは、中敷きの外側面とチャンバーの側壁部の間に少なくとも一つのシールが設けられている。中敷きの外側面の後ろに位置するチャンバー壁部は、これによって効果的に堆積から保護されることが可能である。シールは、更に、中敷きのチャンバー内での挟み込みを実施することができ、よって固定部として作用可能である。シールは、好ましくは中敷きの上方の縁部と、その下に位置するチャンバーの側壁部の間にはめ込まれているが、更に、圧力分配機構として作用することができ、そして場合によっては存在する公差、又は発生する力、特に軸方向公差、又は軸方向力を、一方では中実機がチャンバー内でしっかりと固定されているように、そして他方ではチャンバーの前に置かれるステーターパケットが確実に挟まれているように分配する。
【0025】
中敷きは、特に真空ポンプのハウジングにおけるアウトレットと位置合わせ可能であるアウトレット開口部を有する。流体は、よって、中敷きの容積を通って中敷きのアウトレット開口部へと至り、そして更に真空ポンプのアウトレットへと至る。アウトレット開口部が、少なくとも基本的に、真空ポンプのアウトレットの直径に相当する直径を有することが可能である。アウトレット開口部は、例えば、中敷きからの材料の除去、特に切り出しによって形成されることが可能である。
【0026】
真空ポンプのアウトレットは、予真空短管を有することが可能である。この中に、チャンバーが開口している。そして中敷きは、開口部部分を有する。これは、予真空短管の中に持ち込むことが可能であり、又は持ち込まれている。開口部部分は、少なくとも部分的に、予真空短管の内壁を覆い、よってこれを堆積から保護することができる。
【0027】
開口部部分は、好ましくは中敷き材料の部分により形成されており、これは、アウトレット開口部の形成の為に中敷きから除去される、又は切り出される。その際、開口部部分は、好ましくは中敷きと一体に接続されている。よって、開口部部分のために追加的な材料が必要とされない。むしろ、アウトレット開口部の形成によって「リリースされた(独語:freigeworden)」中敷きの材料のみが使用される。
【0028】
開口部部分は、特にシェル状の中敷きに対して独立した部材として形成されていることが可能である。開口部部分は、予真空短管内に挿入可能であることが可能である。開口部部分は、その際、予真空短管に合わせて形成されていることが可能である。開口部部分の外直径は、よって基本的に、予真空短管の内直径に相当し得る。更に、開口部部分の軸方向の長さは、予真空短管の軸方向の長さに合わせられていることが可能である。予真空短管内に挿入され、合わせられた開口部部分は、よって予真空短管を効果的に堆積から保護することができる。
【0029】
中敷きは、金属から、特に薄板又はフィルムとして、又は好ましくは不活性のプラスチック、例えばPTFEとして形成されていることが可能である。PTFEは、その際、ポリテトラフルオロエチレン(独語:Polytetrafluorethylen)である。
【0030】
中敷きは、少なくとも一つのコーティングを有する。これは特に、例えばニッケル又はPTFEによる付着防止層、及び/又はフィルム状の層である。中敷きの表面は、これによって例えば腐食性の堆積から保護されることが可能である。コーティングは、これが、洗浄剤によって、特に堆積と共に除去され、そして特にチャンバーから外へと洗い出されることが可能であるように形成されていることが可能である。
【0031】
中敷きは、スプレーフィルム等の少なくとも一つの層の、覆うべき面へのスプレー又は塗布によって形成されている、又は作られることが可能である。層は、特にこの上に集められる堆積とともに、チャンバー壁部から引きはがされることが可能である。層は、これが、洗浄剤によって、特に堆積とともに除去され、特にチャンバーから外へと洗い出されることが可能であるように形成されていることが可能である。よって、新たなスプレー、又は塗布によって、新しい層が形成されることが可能である。
【0032】
中敷きは、一部材式、又は多部材式に形成されていることが可能である。ハウジングのアウトレットには、予真空ポンプ、例えばロータリーベーンポンプが接続されることが可能である。
【0033】
本発明は、更に、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプであって、流体、特にプロセスガス、又は空気の為の少なくとも一つのインレットを有するハウジングを有するものに関する。インレットにはレシーバーが接続可能である。真空ポンプは、更に、流体の為の少なくとも一つのアウトレットと、流体を特にレシーバーから真空ポンプを通してインレットからアウトレットへと搬送するための、ハウジング内に配置されるポンプ段を有している。その際、ハウジング内には、特にアウトレット内へと開口する、好ましくは真空ポンプの吐出領域を形成するチャンバーが形成されている。そして、その際、チャンバーは、少なくとも一つの加熱装置によって加熱可能である。チャンバーは、よって堆積をチャンバーから除去するために加熱されることが可能である。
【0034】
以下に本発明を添付の図面を参照しつつ例示的に説明する。