(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469215
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】酸化物スイッチング層を有するメモリスタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8239 20060101AFI20190204BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20190204BHJP
H01L 45/00 20060101ALI20190204BHJP
H01L 49/00 20060101ALI20190204BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
H01L27/105 448
H01L45/00 Z
H01L49/00 Z
B41J2/14 611
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-516396(P2017-516396)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公表番号】特表2017-534170(P2017-534170A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】US2014058148
(87)【国際公開番号】WO2016053262
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ジェ,ニン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジアンファ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジーヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,マックス
(72)【発明者】
【氏名】サミュエルズ,ケイティ
【審査官】
加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0220601(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0106930(US,A1)
【文献】
特開2009−071304(JP,A)
【文献】
Ya-Ting Wu et al.,Resistance switching of thin AlOx and Cu-doped-AlOx films,Thin Solid Films,米国,Elsevier,2013年10月 1日,Vol.544,pp.24-27
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8239
B41J 2/14
H01L 27/105
H01L 45/00
H01L 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリスタであって、
第1の導電層と、
前記第1の導電層に結合されたスイッチング層と、
前記スイッチング層に結合された第2の導電層
を備え、
前記第1の導電層は、第1の導電材料及び第2の導電材料を含み、前記第2の導電材料の拡散率は、前記第1の導電材料の拡散率よりも高く、
前記スイッチング層は、前記第1の導電材料を有する第1の酸化物、及び、前記第2の導電材料を有する第2の酸化物を含み、
前記第1の導電材料がアルミニウムであり、
前記第2の導電材料が銅であり、
前記第1の導電層がケイ素を含み、
前記スイッチング層が、酸化アルミニウム、酸化銅、及び酸化ケイ素を含むことからなる、メモリスタ。
【請求項2】
前記第1の酸化物は、前記第1の導電層の前記第1の導電材料の酸化した部分を含み、前記第2の酸化物は、前記第1の導電層の前記第2の導電材料の酸化した部分を含む、請求項1のメモリスタ。
【請求項3】
前記第1の酸化物は、前記第1の導電層の前記第1の導電材料の熱酸化した部分を含み、前記第2の酸化物は、前記第1の導電層の前記第2の導電材料の熱酸化した部分を含む、請求項2のメモリスタ。
【請求項4】
前記第2の酸化物は、前記第1の導電層の前記第2の導電材料の拡散した部分を含む、請求項1〜3のいずれかのメモリスタ。
【請求項5】
前記第1の導電層は第1の電極を含み、前記第2の導電層は第2の電極を含む、請求項1〜4のいずれかのメモリスタ。
【請求項6】
不揮発性メモリを備えるプリントヘッドであって、
前記不揮発性メモリはメモリスタを備え、
前記メモリスタは、
第1の電極と、
前記第1の電極に結合されたスイッチング層と、
前記スイッチング層に結合された第2の電極
を備え、
前記第1の電極は、第1の導電材料及び第2の導電材料を含み、前記第2の導電材料の拡散率は、前記第1の導電材料の拡散率よりも高く、
前記スイッチング層は、前記第1の導電材料を有する第1の酸化物、前記第2の導電材料を有する第2の酸化物、及び酸化ケイ素を含み、
前記第1の酸化物は、前記第1の電極の前記第1の導電材料の酸化した部分を含み、前記第2の酸化物は、前記第1の電極の前記第2の導電材料の酸化した部分を含むことからなる、プリントヘッド。
【請求項7】
前記第1の酸化物は、前記第1の電極の前記第1の導電材料の熱酸化した部分を含み、前記第2の酸化物は、前記第1の電極の前記第2の導電材料の熱酸化した部分を含む、請求項6のプリントヘッド。
【請求項8】
前記第1の導電材料は、Si、Al、Ga、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Zr、Hf、Ti、Ta、W、Mo、Nb、V、Mn、Cr、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Luからなるグループから選択され、
前記第2の導電材料は、Cu、Ni、Ag、Au、Pt、Pd、Znからなるグループから選択され、
前記第1の電極はケイ素を含む、請求項6または7のプリントヘッド。
【請求項9】
前記第1の導電材料は、Ga、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Zr、Hf、Ti、Ta、W、Mo、Nb、V、Mn、Cr、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Luからなるグループから選択され、前記第2の導電材料は、Ni、Ag、Au、Pt、Pd、Znからなるグループから選択される、請求項6または7のプリントヘッド。
【請求項10】
前記第2の酸化物は、前記第1の電極の前記第2の導電材料の拡散した部分を含む、請求項6〜9のいずれかのプリントヘッド。
【請求項11】
メモリスタを製造する方法であって、
第1の導電層を形成するステップと、
前記第1の導電層上にスイッチング層を形成するステップと、
前記スイッチング層上に第2の導電層を形成するステップ
を含み、
前記第1の導電層は、第1の導電材料、第2の導電材料、及びケイ素を含み、前記第2の導電材料の拡散率は、前記第1の導電材料の拡散率よりも高く、
前記スイッチング層は、前記第1の導電層の前記第1の導電材料の一部を熱酸化することによって形成された第1の酸化物、前記第1の導電層の前記第2の導電材料の一部を熱酸化することによって形成された第2の酸化物、及び前記第1の導電層の前記ケイ素を熱酸化することによって形成された酸化ケイ素を含むことからなる、方法。
【請求項12】
前記第1の導電材料は、Si、Al、Ga、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Zr、Hf、Ti、Ta、W、Mo、Nb、V、Mn、Cr、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Luからなるグループから選択され、前記第2の導電材料は、Cu、Ni、Ag、Au、Pt、Pd、Znからなるグループから選択される、請求項11の方法。
【請求項13】
前記第1の導電材料がアルミニウムであり、
前記第2の導電材料が銅であり、
前記スイッチング層が、酸化アルミニウム、酸化銅、及び前記酸化ケイ素を含む、請求項11または12の方法。
【請求項14】
前記第2の酸化物は、前記第1の導電層の前記第2の導電材料の拡散した部分を含む、請求項11〜13のいずれかの方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プリンターは、サブストレート(基材)上にインクを配置することができるプリントヘッドを有することができる。プリントヘッドは、データを格納するためのデバイスを備えることができる。メモリスタは、電圧などのプログラミングエネルギーを加えることによって異なる抵抗状態にプログラムされることができるデバイスである。プログラムされた後で、メモリスタの状態を読み取ることができ、該状態は、一定期間にわたって安定である。したがって、メモリスタを、デジタルデータを格納するために使用することができる。たとえば、高抵抗状態はデジタル「0」を表すことができ、低抵抗状態はデジタル「1」を表すことができる。メムリスティブ素子からなる大きなクロスバーアレイを、不揮発性メモリ及び他の用途を含む様々な用途に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】(補充可能性あり)
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の詳細な説明は添付の図面を参照する。
【
図1】酸化物スイッチング層を有する例示的なメモリスタの断面図である。
【
図2】酸化物スイッチング層を有するメモリスタを備える例示的なクロスバーアレイの図である。
【
図3】酸化物スイッチング層を有するメモリスタを備える不揮発性メモリを有する例示的なプリントヘッドのブロック図である。
【
図4】酸化物スイッチング層を有するメモリスタを製造するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
画像形成装置は、データを格納するためのメモリデバイス(記憶装置)を有することができるプリントヘッドを備えることができる。揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む多くの異なるタイプのメモリがある。揮発性メモリは、自身のデータを維持するために電力を必要としえ、及び、揮発性メモリには、とりわけ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、及び同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)が含まれる。不揮発性メモリは、電力が供給されていないときに格納しているデータを保持することによって永続的なデータを提供することができ、及び、とりわけ、フラッシュメモリ、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、消去可能PROM(EPROM)、及び、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)などの抵抗変化型メモリ、ReRAM(抵抗変化メモリ。RRAMともいう)、及び、磁気抵抗メモリ(MRAM)を含むことができる。EPROMはいくつかのプリントヘッドに組み込まれている。しかしながら、偽造の増加に伴って、より大きな記憶容量を有するより安全な認証及び偽造防止用ツールが求められている。さらに、新しい技術が開発されると、回路基板上の空間に対する要求が高くなる。
【0005】
メモリスタは、プリントヘッドで使用するために提案されてきた。メモリスタは、メモリ(記憶装置)、スイッチ、高周波回路、並びに論理回路及びシステムなどの様々な電子回路内のコンポーネント(構成要素)として使用することができるデバイスである。メモリ構造では、メモリスタを有するメモリデバイス(メモリ素子)のクロスバーアレイを使用することができる。メモリスタがメモリデバイスの基本部分として使用されるときには、メモリスタを、情報のビット1または0を格納するために使用することができる。電圧または電流などの電気的刺激をメモリスタに加えることによって、メモリスタの抵抗(値)を変化させることができる。一般に、2つの状態間で切り替えることが可能な少なくとも1つのチャンネルを形成することができ、この場合、それらの2つの状態のうちの一方の状態では、該チャンネルが導電性の経路を形成し(「ON」)、他方の状態では、該チャンネルがそれより導電性の低い経路を形成する(「OFF」)。いくつかの他の場合では、導電性の経路は「OFF」を表し、それより導電性が低い経路は「ON」を表す。しかしながら、現在提案されているソリューションは、いくつかの実施例における一貫性のないスイッチング動作及び望ましくない導電率を含むいくつかの課題を提示している。
【0006】
本明細書におけるいくつかの例は、酸化物スイッチング層を有するメモリスタを提供する。例示的な実施例において、酸化物スイッチング層を有するメモリスタは、第1の導電材料及び第2の導電材料を有する第1の導電層、該第1の導電材料を有する第1の酸化物と該第2の導電材料を有する第2の酸化物とを有するスイッチング層、及び第2の導電層を備えている。該スイッチング層中の該第2の酸化物の存在によって、該スイッチング層の電気的性質をより望ましいレベルに変えることができる。さらに、該第1の酸化物及び該第2の酸化物を、該第1の導電層の材料を酸化させることによって形成することができ、これは、単一のスイッチング層に2つの酸化物を導入するための効果的かつ効率的なメカニズムを可能にする。
【0007】
ここで図面を参照すると、
図1には、酸化物スイッチング層120を有する例示的なメモリスタ100が示されている。メモリスタ100は、第1の導電層110、スイッチング層120、及び第2の導電層130を有することができる。第1の導電層110は、第1の導電材料112及び第2の導電材料114を有することができる。スイッチング層120を第1の導電層110に結合することができ、及びスイッチング層120は、第1の導電材料112を有する第1の酸化物122、及び第2の導電材料114を有する第2の酸化物124を備えることができる。第2の導電層130をスイッチング層120に結合することができる。
【0008】
メモリスタ100は、該メモリスタ100に(たとえばその両端に)加えられるかまたは該メモリスタ100中を通るように加えられる電気的刺激(電流や電圧など)に応じて変化する抵抗値を有する電気デバイスまたは電気コンポーネント(電気部品)である。さらに、メモリスタ100は、それ自体の最後の抵抗値を「記憶する」ことができる。このように、メモリスタ100を、少なくとも2つの状態に設定することができる。メモリスタ100を、クロスバーアレイなどのより大きな構造中の多くのデバイスのうちの1つとすることができるが、これについては、
図2に関してさらに後述する。複数のメモリスタ100のアレイを、たとえば、プリントヘッドなどの用途で使用するための不揮発性の抵抗変化型メモリにおいて使用することができる。
【0009】
第1の導電層110を導電性が比較的高いものとすることができる。第1の導電層110を不均一なものとすることができ、及び、第1の導電層110は、第1の導電材料112及び第2の導電材料114を有することができる。
図1は、第1の導電材料112及び第2の導電材料114を四角で表しているが、種々の形状及び構造とすることができるそれらの材料に制限はないことに留意されたい。第1の導電層110を、スイッチング層120に電気を伝えるかまたはスイッチング層120からの電気を伝えるための第1の電極とすることができる。
【0010】
第1の導電層110は、第1の導電材料112及び第2の導電材料114用の種々の材料を含むことができる。たとえば、第1の導電材料112と第2の導電材料114を、第1の導電層110を構成する金属混合物を形成する異なる金属とすることができる。第1の導電材料112の非限定的な材料の例には、Si、Al、Ga、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Zr、Hf、Ti、Ta、W、Mo、Nb、V、Mn、Cr、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Luが含まれる。第2の導電材料114の非限定的な材料の例には、Cu、Ni、Ag、Au、Pt、Pd、Znが含まれる。いくつかの特定の例では、第1の導電層110は、第1の導電材料112としてアルミニウムを有し、第2の導電材料114として銅を有する合金を含むことができる。
【0011】
第2の導電材料114は、さらに後述するスイッチング層120の材料などの別の材料に対して、第1の導電材料112よりも高い拡散率を有することができる。本明細書で使用されている「拡散率」は、別の材料中に拡散する材料の傾向ないし性質を意味する。たとえば、第2の材料に対する第1の材料の拡散率が高いほど、該第1の材料は該第2の材料中に速く拡散することになる。したがって、いくつかの例では、第2の導電材料114のスイッチング層120中への拡散速度は、第1の導電材料112のそれよりも高いであろう。さらなら詳細については、スイッチング層120に関して後述する。
【0012】
さらに、いくつかの例では、第1の導電層110は、第1の導電材料112及び第2の導電材料114の他に追加の材料を含むことができる。他の材料の存在は、追加の有益な特性を提供することができる。たとえば、第1の導電層110は、ケイ素(シリコン)を有することができるが、より詳細に後述するように、これによって、該層の特性を向上させることができ、または、追加の材料(該材料からスイッチング層120用の酸化物を形成することができる)を提供することができる。第1の導電材料112、第2の導電材料114、及び他の材料の相対的な量を変えることができる。いくつかの例では、第1の導電材料112は、第1の導電層110の組成の大部分を構成するなどの比較的大きな量で存在することができる。このような例では、第2の導電材料114及び他の材料は、第1の導電層110の組成の比較的小さな割合を構成しうる。
【0013】
スイッチング層120を、メモリスタ100のメムリスティブ特性を提供するメモリスタ100内の活性領域とすることができる。スイッチング層120は、第1の導電材料112を含む第1の酸化物122、及び第2の導電材料114を含む第2の酸化物124を備えることができる。
図1は、第1の酸化物122及び第2の酸化物124を円で表しているが、種々の形状及び構造とすることができるそれらの材料に制限はないことに留意されたい。
【0014】
いくつかの実施例では、第1の酸化物122は、第1の導電層110の第1の導電材料112の酸化した部分を有することができる。たとえば、第1の酸化物122は、第1の導電層110中の第1の導電材料112の一部を酸化させることによって形成されている。いくつかの例では、第1の導電材料112を有する第1の導電層110を最初に形成することができる。その後、スイッチング層120を、第1の導電材料112の一部を酸化して第1の酸化物122を形成することによって形成することができる。たとえば、スイッチング層120を、熱酸化を用いて第1の導電層110の第1の導電材料112から第1の酸化物122を作製することによって形成することができる。
【0015】
同様にいくつかの例では、第2の酸化物124は、第1の導電層110の第2の導電材料114の酸化した部分を有することができる。たとえば、第2の酸化物124は、第1の導電層110中の第2の導電材料114の一部を酸化させることによって形成されている。いくつかの例では、第2の導電材料114を有する第1の導電層110を最初に形成することができる。その後、スイッチング層120を、第2の導電材料114の一部を酸化して第2の酸化物124を形成することによって形成することができる。たとえば、スイッチング層120を、熱酸化を用いて第1の導電層110の第2の導電材料114から第2の酸化物124を作製することによって形成することができる。
【0016】
さらにまたは代替として、第2の酸化物124は、第1の導電層110の第2の導電材料114の拡散した部分を有することができる。たとえば、第2の酸化物124の一部は、第1の導電層110中の第2の導電材料114の一部をスイッチング層120中に拡散させることによって形成されている。いくつかの実施例では、上記の酸化や熱酸化などによってスイッチング層120を形成した後に、第2の導電材料114の一部を、第1の酸化物122及び第2の酸化物124を含む種々の材料をこの時点ですでに有していることができるスイッチング層120中に拡散させることができる。いくつかの例では、スイッチング層120中に拡散する第2の導電材料114の一部は、酸化して第2の酸化物124を形成することができる。
【0017】
説明されているように、第1の酸化物122及び第2の酸化物124は、種々の材料を含むことができる。さらに、スイッチング層120は、第1の酸化物122及び第2の酸化物124に加えて追加の材料を含むことができる。他の材料の存在は、追加の有益な特性を提供することができる。たとえば、スイッチング層120は、酸化ケイ素を有することができ、これによって、該層の特性を向上させることができる。特定の例として、スイッチング層120は、第1の酸化物122として酸化アルミニウムを含み、第2の酸化物124として酸化銅を含み、並びに酸化ケイ素を含むことができる。第1の酸化物122、第2の酸化物124、及び他の材料の相対的な量を変えることができる。いくつかの例では、第1の酸化物122は、スイッチング層120の組成の大部分を構成するなどの比較的大きな量で存在することができる。このような例では、第2の酸化物124及び他の材料は、スイッチング層120の組成の比較的小さな割合を構成しうる。
【0018】
第2の導電層130を導電性が比較的高いものとすることができる。第2の導電層130を、スイッチング層120に電気を伝えるかまたはスイッチング層120からの電気を伝えるための第2の電極とすることができる。第2の導電層130は、種々の材料を含むことができる。第2の導電層130の材料の非限定的な例には、Pt、Ta、Hf、Zr、Al、Co、Ni、Fe、Nb、Mo、W、Cu、Ti、TiN、TaN、Ta
2N、WN
2、NbN、MoN、TiSi
2、TiSi、Ti
5Si
3、TaSi
2、WSi
2、NbSi
2、V
3Si、電気的にドープされた多結晶Si、電気的にドープされた多結晶Ge、及びそれらの組み合わせを含めることができる。
【0019】
図2は、酸化物スイッチング層を有するメモリスタを備える例示的なクロスバーアレイ200を示している。クロスバーアレイ200は、少なくとも1つの第1の電極210、複数の酸化物スイッチング層220、及び、少なくとも1つの第2の電極230を有することができる。クロスバーアレイ200を、第1の電極210と第2の電極230の間に酸化物スイッチング層220を構成するための構造とすることができる。そのような構造は、たとえば、クロスバーメモリ構造内の個々のメモリセルとして機能することができる高密度のメモリスタを提供することができる。
【0020】
図1に示されているメモリスタ100の第1の導電層110と同様に、第1の電極210は、第1の電極210に結合されたスイッチング層220に電流などの電気的刺激を伝え、及びスイッチング層220からの該電気的刺激を伝える導電材料を有することができる。第1の電極210は、第1の導電材料及び第2の導電材料を含む種々の材料を有することができる。複数の酸化物スイッチング層220を第1の電極220に結合することができ、及び、酸化物スイッチング層220の各々は、該第1の導電材料を有する第1の酸化物、及び該第2の導電材料を有する第2の酸化物を含むことができる。いくつかの例では、該第1の酸化物と該第2の酸化物は、該第1の電極210の該第1の導電材料の酸化した部分と該第2の導電材料の酸化した部分をそれぞれ含むことができる。さらに、いくつかの例では、該第2の酸化物は、第1の電極210の該第2の導電材料の拡散した部分を含むことができる。第2の電極230は、酸化物スイッチング層220に電流などの電気的刺激を伝え、及び酸化物スイッチング層220からの該電気的刺激を伝えることができ、第2の電極230を、
図1の第2の導電層130に類似のものとすることができる。
【0021】
図3は、不揮発性メモリ310を有する例示的なプリントヘッド300を示しており、不揮発性メモリ310は、酸化物スイッチング層324を有するメモリスタ320を備えている。プリントヘッド300を、文字を集めて保持することができるプリンターや印刷アセンブリでしばしば使用されるコンポーネント(部品などの構成要素)もしくはデバイスとすることができ、該プリントヘッドから文字の画像を印刷媒体に転写することができる。
【0022】
不揮発性メモリ310を、任意のタイプのデータを格納するために使用することができる。いくつかの例では、不揮発性メモリ310は、インク供給源固有のデータ、インク識別データ、インク特徴データ、及びインク使用状況(たとえばインク使用量)データのうちの1以上を格納することができる。さらにまたは代替として、不揮発性メモリ310は、プリントヘッド固有のデータ、プリントヘッド識別データ、保証データ、プリントヘッド特徴データ、プリントヘッド使用状況データ、認証データ、及び偽造防止データ(ACF)のうちの1以上を格納することができる。いくつかの例では、プリントヘッド300の製造時にまたはプリントヘッド300の動作中に、不揮発性メモリ310に書き込むことができる。
【0023】
不揮発性メモリ310は、データを格納するための少なくとも1つのメモリスタ320を備えることができる。各メモリスタ320は、第1の電極322及び第2の電極326を備えることができる。第1の電極322は、第1の導電材料322A及び第2の導電材料322Bを有することができる。酸化物スイッチング層324を第1の電極322に結合することができる。酸化物スイッチング層324は、該酸化物スイッチング層324に(たとえばその両端に)加えられるかまたは該酸化物スイッチング層324中を通るように加えられる電気的刺激(電流や電圧など)に応じて変化する抵抗値を有することができる。さらに、酸化物スイッチング層324は、それ自体の最後の抵抗値を「記憶する」ことができる。詳細に上述したように、酸化物スイッチング層324は、第1の導電材料322Aを含む第1の酸化物324Aと第2の導電材料322Bを含む第2の酸化物324Bを備えることができる。
【0024】
図4は、酸化物スイッチング層を有するメモリスタを製造するための例示的な方法400を示すフローチャートである。方法400は、第1の導電層を形成するためのブロック420、該第1の導電層上にスイッチング層を形成するためのブロック430、及び、該スイッチング層上に第2の導電層を形成するためのブロック440を含むことができる。ここでは、方法400の実行を、
図1のメモリスタ100を参照して説明するが、方法400を実施するための、
図3のメモリスタ320を含む他の適切なメモリスタ構成も明らかである。
【0025】
方法400は、ブロック410から開始してブロック420に進むことができ、該ブロック420で、第1の導電層110が形成される。第1の導電層110を、メモリスタ100を他のコンポーネント(構成要素)に接続する手段として機能することができる電極とすることができる。たとえば、第1の導電層110は、メモリスタ110をクロスバーアレイのラインに接続することができる。導電層110は、第1の導電材料112及び第2の導電材料114を含むことができ、第2の導電材料114は、第1の導電材料112よりも高い拡散率を有することができる。第1の導電層110を様々な技法によって形成することができる。それらの技法には、イオンビームアシスト蒸着、スパッタリング、原子層堆積(atomic layer deposition)、蒸着、化学気相成長(化学蒸着)、及び物理蒸着を含めることができる。たとえば、第1の導電層110を、半導体チップなどのサブストレート(基材)上に堆積させることができる。上述したように、第1の導電層110は、種々の材料を有することができる。いくつかの実施例では、第1の導電材料112はアルミニウムであり、第2の導電材料114は銅である。いくつかの実施例では、第1の導電層110はケイ素を含むことができる。
【0026】
方法400は、第1の導電層110を形成した後で、ブロック430に進むことができ、該ブロック430において、スイッチング層120が、第1の導電層110上に形成される。スイッチング層120は、第1の導電層110の第1の導電材料112の一部を熱酸化することによって形成された第1の酸化物122、及び、第2の導電材料114の一部を熱酸化することによって形成された第2の酸化物124を含むことができる。たとえば、第1の導電材料112の一部が第1の酸化物122へと酸化し、及び、第2の導電材料114の一部が第2の酸化物124へと酸化するように、第1の導電層110に対して熱酸化プロセスを実行することによって、スイッチング層120を形成することができる。さらに、第1の導電層110の追加の材料を酸化させて、スイッチング層120の追加の材料を形成することができる。たとえば、第1の導電層110を構成するアルミニウム、銅、及びケイ素の一部を酸化させて、酸化アルミニウム、酸化銅、及び酸化ケイ素をそれぞれ形成して、スイッチング層120を作製することができる。
【0027】
さらに、いくつかの例では、第2の酸化物124は、第2の導電材料114の拡散した部分を含むことができる。たとえば、第2の酸化物124の一部を、第2の導電材料114の一部をスイッチング層120中に拡散させることによって形成することができる。たとえば、上記のように熱酸化をした後で、第2の導電材料114の一部を、第1の酸化物122及び第2の酸化物124を含む種々の材料をこの時点ですでに有していることができるスイッチング層120中に拡散させることができる。いくつかの例では、スイッチング層120中に拡散する第2の導電材料114の一部は、酸化して第2の酸化物124を形成することができる。
【0028】
方法400は、スイッチング層120を形成した後で、ブロック440に進むことができ、該ブロック440において、第2の導電層130がスイッチング層120上に形成される。第1の導電層110と同様に、第2の導電材料120を、メモリスタ100を他のコンポーネント(構成要素)に接続する手段として機能することができる電極とすることができる。たとえば、第2の導電層130は、メモリスタ110をクロスバーアレイのラインに接続することができる。方法400は、第2の導電層130を形成した後で、ブロック450に進んで停止することができる。
【0029】
上記では、酸化物スイッチング層を有するメモリスタのいくつかの例が説明されている。本明細書及び/又は図面に記載されているメモリスタは、追加のコンポーネント(構成要素)を含むことができること、及び、それらのメモリスタまたはそれらのメモリスタの用途の範囲から逸脱することなく、本明細書及び/又は図面に記載されているコンポーネントのいくつかを省略もしくは変更できることが理解されるべきである。図面に示されているコンポーネントは一律のスケール(拡大/縮小比)に従わずに描かれており、したがって、それらのコンポーネントは、図面に示されているものとは異なる相対的なサイズを有しうることもまた理解されるべきである。