(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469224
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】ピクセル感度及びダイナミックレンジを高める方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/355 20110101AFI20190204BHJP
H04N 5/3745 20110101ALI20190204BHJP
【FI】
H04N5/355 900
H04N5/3745
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-524351(P2017-524351)
(86)(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公表番号】特表2017-534212(P2017-534212A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】US2015049281
(87)【国際公開番号】WO2016076943
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2017年5月8日
(31)【優先権主張番号】14/536,733
(32)【優先日】2014年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】キアン,ブライアン,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァムポラ,ジョン,エル.
【審査官】
鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−124418(JP,A)
【文献】
特開2014−204364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位セルであって、
電源電圧に結合されるように構成されたフォトダイオードと、
第1のノードが前記フォトダイオードに結合された金属−酸化膜−半導体キャパシタ(MOSCap)と、
前記MOSCapの第2のノードとリセット電圧との間に結合され、前記第2のノードを前記リセット電圧に選択的に結合するように構成されるリセットスイッチと、
第1の端子が前記MOSCapの前記第1のノードに結合されたトランジスタと
を有し、
当該単位セルの第1の動作モードにおいて、前記リセットスイッチは、リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから第1レベルにあるリセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、開状態にあるように構成され、前記フォトダイオードに入射する光によって生成される電荷が、前記第1のノードにおける電圧が閾値電圧よりも低いことに応答して、前記MOSCapの前記第1のノードにて蓄積し、
当該単位セルの第2の動作モードにおいて、前記リセットスイッチは、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記開状態にあるように構成され、前記MOSCapは、前記第1のノードにおける前記電圧が前記閾値電圧よりも高いことに応答して反転モードに入り、前記フォトダイオードに入射する前記光によって生成される前記電荷が、前記MOSCapが前記反転モードに入ることに応答して、前記MOSCap上に蓄積する、
単位セル。
【請求項2】
当該単位セルは更に、
出力と、
前記トランジスタの第2の端子と前記出力との間に結合され、前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に選択的に結合するように構成される出力スイッチと
を有し、
当該単位セルの第3の動作モードにおいて、前記出力スイッチは、前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に結合するように構成され、前記リセットスイッチは、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記開状態にあるように構成され、前記MOSCapの前記第1のノードにて蓄積した前記電荷に対応する高感度信号が前記出力に提供される、
請求項1に記載の単位セル。
【請求項3】
当該単位セルの第4の動作モードにおいて、前記出力スイッチは、前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に結合するように構成され、前記リセットスイッチは、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記開状態にあるように構成され、前記MOSCap上に蓄積した前記電荷に対応する低感度信号が前記出力に提供される、請求項2に記載の単位セル。
【請求項4】
前記MOSCapのゲートに結合されたMOSCapゲートバイアス制御モジュールであり、前記閾値電圧のレベルを制御するために、MOSCapゲートバイアス電圧信号を前記MOSCapの前記ゲートに提供するように構成されたMOSCapゲートバイアス制御モジュール、を更に有する請求項3に記載の単位セル。
【請求項5】
前記リセットスイッチは、前記MOSCapの前記第2のノードに結合される第1の端子と、前記リセット電圧に結合される第2の端子とを持つトランジスタである、請求項3に記載の単位セル。
【請求項6】
前記リセットスイッチに結合された前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールであり、前記リセットスイッチの動作状態を制御するために、前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を前記リセットスイッチに提供するように構成された前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュール、を更に有する請求項5に記載の単位セル。
【請求項7】
当該単位セルの第5の動作モードにおいて、前記リセットスイッチは、第2レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記MOSCapの前記第2のノードを前記リセット電圧に結合するように構成され、前記MOSCap上に蓄積した前記電荷が放電される、請求項3に記載の単位セル。
【請求項8】
単位セルを動作させる方法であって、前記単位セルは、フォトダイオードと、第1のノードが前記フォトダイオードに結合された金属−酸化膜−半導体キャパシタ(MOSCap)と、前記MOSCapの第2のノードとリセット電圧との間に結合され、前記第2のノードを前記リセット電圧に選択的に結合するように構成されるリセットスイッチと、第1の端子が前記MOSCapの前記第1のノードに結合されたトランジスタと、前記トランジスタの第2の端子と出力との間に結合され、前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に選択的に結合するように構成される出力スイッチとを有し、当該方法は、
前記MOSCapの前記第2のノードと前記リセット電圧との間に結合された前記リセットスイッチが、リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから第1レベルにあるリセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信し、
前記単位セルの第1及び第2の動作モードのため、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記リセットスイッチを開状態に設定し、
前記第1及び第2の動作モードのため、前記出力スイッチを開状態に設定し、
前記フォトダイオードに入射する光に応答して電荷を生成し、
前記第1の動作モードにおいて、前記第1のノードにおける電圧が閾値電圧よりも低いことに応答して、前記電荷を前記MOSCapの前記第1のノードにて蓄え、
前記MOSCapが、前記第1のノードにおける前記電圧が前記閾値電圧よりも高いことに応答して反転モードに入り、
前記第2の動作モードにおいて、前記MOSCapが前記反転モードに入ることに応答して、前記電荷を前記MOSCap上に蓄える
ことを有する、方法。
【請求項9】
前記単位セルの第3の動作モードのため、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記リセットスイッチを前記開状態に設定し、
前記第3の動作モードのため、前記出力スイッチを用いて前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に結合し、
前記第3の動作モードにおいて、前記MOSCapの前記第1のノードにて蓄えた前記電荷を、高感度信号として前記出力から読み出す、
ことを更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記単位セルの第4の動作モードのため、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記リセットスイッチを前記開状態に設定し、
前記第4の動作モードのため、前記出力スイッチを用いて前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に結合し、
前記第4の動作モードにおいて、前記MOSCap上に蓄えた前記電荷を、低感度信号として前記出力から読み出す、
ことを更に有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記低感度信号及び前記高感度信号のうちの何れの一方が、前記フォトダイオードに入射する前記光の強度を正確に表すかを決定し、
前記低感度信号及び前記高感度信号のうちの前記一方を使用して、画像の一画素を生成する、
ことを更に有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記決定することは、
前記高感度信号を高感度信号閾値と比較し、
前記高感度信号が前記高感度信号閾値よりも低いとの決定に応答して、前記高感度信号を、前記フォトダイオードに入射する前記光の前記強度を正確に表すものとして特定し、
前記高感度信号が前記高感度信号閾値よりも高いとの決定に応答して、前記低感度信号を、前記フォトダイオードに入射する前記光の前記強度を正確に表すものとして特定する
ことを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記決定することは、
或る期間にわたって複数の前記高感度信号を記録し、
前記複数の高感度信号に基づく高感度信号カーブを生成し、
前記高感度信号カーブの傾きを分析し、
前記高感度信号カーブが線形であるとの決定に応答して、前記高感度信号を、前記フォトダイオードに入射する前記光の前記強度を正確に表すものとして特定し、
前記高感度信号カーブが非線形であるとの決定に応答して、前記低感度信号を、前記フォトダイオードに入射する前記光の前記強度を正確に表すものとして特定する
ことを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記単位セルの第5の動作モードにおいて、第2レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記リセットスイッチを用いて前記MOSCapの前記第2のノードを前記リセット電圧に結合し、
前記第5の動作モードにおいて、前記MOSCap上に蓄えた前記電荷を放電する、
ことを更に有する請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記閾値電圧のレベルを制御するために、MOSCapゲートバイアス電圧信号を前記MOSCapのゲートに提供する、ことを更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項16】
画像処理ユニットと、
アレイに構成されて前記画像処理ユニットに結合された複数の単位セルであり、各単位セルが、
電源電圧に結合されるフォトダイオードと、
第1のノードが前記フォトダイオードに結合された金属−酸化膜−半導体キャパシタ(MOSCap)と、
前記MOSCapの第2のノードとリセット電圧との間に結合され、前記第2のノードを前記リセット電圧に選択的に結合するように構成されるリセットスイッチと、
第1の端子が前記MOSCapの前記第1のノードに結合されたトランジスタと
を有する、複数の単位セルと
を有し、
各単位セルの第1の動作モードにおいて、リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから第1レベルにあるリセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記リセットスイッチが開状態にあるように構成され、前記フォトダイオードに入射する光によって生成される電荷が、前記第1のノードにおける電圧が閾値電圧よりも低いことに応答して、前記MOSCapの前記第1のノードにて蓄積し、
各単位セルの第2の動作モードにおいて、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記リセットスイッチが前記開状態にあるように構成され、前記MOSCapが、前記第1のノードにおける前記電圧が前記閾値電圧よりも高いことに応答して反転モードに入り、前記フォトダイオードに入射する前記光によって生成される前記電荷が、前記MOSCapが前記反転モードに入ることに応答して、前記MOSCap上に蓄積する、
イメージセンサ。
【請求項17】
各単位セルが更に、
前記MOSCapのゲートに結合されたMOSCapゲートバイアス制御モジュールであり、前記閾値電圧のレベルを制御するために、MOSCapゲートバイアス電圧信号を前記MOSCapの前記ゲートに提供するように構成されたMOSCapゲートバイアス制御モジュールと、
前記リセットスイッチに結合された前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールであり、前記リセットスイッチの動作状態を制御するために、前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を前記リセットスイッチに提供するように構成された前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールと、
を有する、請求項16に記載のイメージセンサ。
【請求項18】
前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールのうちの少なくとも1つに結合された外部クロック、を更に有する請求項17に記載のイメージセンサ。
【請求項19】
各単位セルが更に、
前記画像処理ユニットに結合された出力と、
前記トランジスタの第2の端子と前記出力との間に結合され、前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に選択的に結合するように構成される出力スイッチと
を有し、
各単位セルの第3の動作モードにおいて、前記出力スイッチは、前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に結合するように構成され、前記リセットスイッチは、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記開状態にあるように構成され、前記画像処理ユニットは、前記MOSCapの前記第1のノードにて蓄積した前記電荷を、高感度信号として前記出力から読み出すように構成され、
各単位セルの第4の動作モードにおいて、前記出力スイッチは、前記出力を前記トランジスタの前記第2の端子に結合するように構成され、前記リセットスイッチは、前記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールから前記第1レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記開状態にあるように構成され、前記画像処理ユニットは、前記MOSCap上に蓄積した前記電荷を、低感度信号として前記出力から読み出すように構成され、
各単位セルの第5の動作モードにおいて、前記リセットスイッチは、第2レベルにある前記リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を受信することに応答して、前記MOSCapの前記第2のノードを前記リセット電圧に結合するように構成され、前記MOSCap上に蓄積した前記電荷が放電される、
請求項16に記載のイメージセンサ。
【請求項20】
前記画像処理ユニットは、各単位セルから前記高感度信号及び前記低感度信号を受け取り、各単位セルからの前記低感度信号及び前記高感度信号のうちの何れの一方が、前記フォトダイオードに入射する前記光の強度を正確に表すかを決定し、且つ各単位セルからの前記低感度信号及び前記高感度信号のうちの前記一方に基づいて画像を生成する、ように構成される、請求項19に記載のイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
画像キャプチャ装置で使用されるイメージセンサは、概して、イメージセンサによって眺められるシーンからイメージセンサにて受け取られる光強度に比例した電荷を生成する。薄暗い周辺光のシーンは、イメージセンサが、高感度を提供するために、低ノイズで低キャパシタンスのコンポーネントを有することを必要とする。代わって、明るい周辺光のシーンは、イメージセンサが、生成された電荷を蓄積するために、より高いキャパシタンスのコンポーネントを有することを必要とする。これら競合するキャパシタンス要求は、画像キャプチャ装置が典型的に、明るい周辺光シーン又は薄暗い周辺光シーンの何れかに対して最適化されることの開発につながってきた。
【発明の概要】
【0002】
態様及び実施形態が、標準的なハイブリッド単位セルよりも小さいピクセルサイズ(例えば、4ミクロン以下など)を持つ高ダイナミックレンジ単位セルに向けられる。この高ダイナミックレンジ単位セルは、当該単位セル内のコンポーネントを複数の機能に利用することによって提供される。例えば、金属−酸化膜−半導体キャパシタ(MOSCap)が、高感度のアンチブルーミングゲートとして、及び増大されたウェル容量のための低感度用キャパシタとして同時に使用される。蓄積キャパシタ及びアンチブルーミングゲートの双方として(すなわち、低周辺光状況及び高周辺光状況の双方において)MOSCapを利用することにより、標準的なハイブリッド単位セルからアンチブルームスイッチのうちの1つを除去することができ、それにより、低周辺光状況及び高周辺光状況の双方で光強度に関係する正確な信号を依然として提供しながら、単位セルのサイズを小さくすることが可能になる。
【0003】
ここに記載される少なくとも1つの態様は、電源電圧に結合されるように構成されたフォトダイオードと、入力ノードが上記フォトダイオードに結合されたMOSCapと、上記MOSCapとリセット電圧との間に選択的に結合されるリセットスイッチと、上記MOSCapの上記入力ノードに結合されたトランジスタとを有する単位セルに向けられ、当該単位セルの第1の動作モードにおいて、上記リセットスイッチが開状態にあるように構成され、上記フォトダイオードに入射する光によって生成される電荷が、上記入力ノードにおける電圧が閾値電圧よりも低いことに応答して、上記MOSCapの上記入力ノードにて蓄積し、当該単位セルの第2の動作モードにおいて、上記リセットスイッチが上記開状態にあるように構成され、上記フォトダイオードに入射する上記光によって生成される上記電荷が、上記入力ノードにおける上記電圧が上記閾値電圧よりも高いことに応答して、上記MOSCap上に蓄積する。
【0004】
一実施形態によれば、当該単位セルは更に、出力と、上記トランジスタと上記出力との間に選択的に結合される出力スイッチとを有し、当該単位セルの第3の動作モードにおいて、上記出力スイッチが上記出力を上記トランジスタに結合するように構成され、上記リセットスイッチが上記開状態にあるように構成され、上記MOSCapの上記入力ノードにて蓄積した上記電荷に対応する高感度信号が上記出力に提供される。他の一実施形態において、当該単位セルの第4の動作モードにおいて、上記出力スイッチが上記出力を上記トランジスタに結合するように構成され、上記リセットスイッチが上記開状態にあるように構成され、上記MOSCap上に蓄積した上記電荷に対応する低感度信号が上記出力に提供される。
【0005】
他の一実施形態によれば、単位セルは更に、上記MOSCapに結合されたMOSCapゲートバイアス制御モジュールを有し、該MOSCapゲートバイアス制御モジュールは、上記閾値電圧のレベルを制御するために、MOSCapゲートバイアス電圧信号を上記MOSCapに提供するように構成される。一実施形態において、上記リセットスイッチはトランジスタである。他の一実施形態において、当該単位セルは更に、上記リセットスイッチに結合されたリセットスイッチゲートバイアス制御モジュールを有し、該リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールは、上記リセットスイッチの動作状態を制御するために、リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を上記リセットスイッチに提供するように構成される。一実施形態において、当該単位セルの第5の動作モードにおいて、上記リセットスイッチが上記MOSCapを上記リセット電圧に結合するように構成され、上記MOSCap上に蓄積した上記電荷が放電される。
【0006】
ここに記載される他の一態様は、単位セルを動作させる方法に向けられ、上記単位セルは、フォトダイオードと、入力ノードが上記フォトダイオードに結合されたMOSCapと、上記MOSCapとリセット電圧との間に選択的に結合されるリセットスイッチと、上記入力ノードに結合されたトランジスタと、上記トランジスタと出力との間に選択的に結合される出力スイッチとを有し、当該方法は、上記単位セルの第1及び第2の動作モードのため、上記リセットスイッチを開状態に設定し、上記第1及び第2の動作モードのため、上記出力スイッチを開状態に設定し、上記フォトダイオードに入射する光に応答して電荷を生成し、上記第1の動作モードにおいて、上記入力ノードにおける電圧が閾値電圧よりも低いことに応答して、上記電荷を上記MOSCapの上記入力ノードにて蓄え、上記第2の動作モードにおいて、上記入力ノードにおける上記電圧が上記閾値電圧よりも高いことに応答して、上記電荷を上記MOSCap上に蓄えることを有する。
【0007】
一実施形態によれば、当該方法は更に、上記単位セルの第3の動作モードのため、上記リセットスイッチを上記開状態に設定し、上記第3の動作モードのため、上記出力スイッチを用いて上記出力を上記トランジスタに結合し、上記第3の動作モードにおいて、上記MOSCapの上記入力ノードにて蓄えた上記電荷を、高感度信号として上記出力から読み出すことを有する。他の一実施形態において、当該方法は更に、上記単位セルの第4の動作モードのため、上記リセットスイッチを上記開状態に設定し、上記第4の動作モードのため、上記出力スイッチを用いて上記出力を上記トランジスタに結合し、上記第4の動作モードにおいて、上記MOSCap上に蓄えた上記電荷を、低感度信号として上記出力から読み出すことを有する。
【0008】
他の一実施形態によれば、当該方法は更に、上記低感度信号及び上記高感度信号のうちの何れの一方が、上記フォトダイオードに入射する上記光の強度を正確に表すかを決定し、上記低感度信号及び上記高感度信号のうちの上記一方を使用して、画像の一画素を生成することを有する。
【0009】
一実施形態によれば、上記決定することは、上記高感度信号を高感度信号閾値と比較し、上記高感度信号が上記高感度信号閾値よりも低いとの決定に応答して、上記高感度信号を、上記フォトダイオードに入射する上記光の上記強度を正確に表すものとして特定し、上記高感度信号が上記高感度信号閾値よりも高いとの決定に応答して、上記低感度信号を、上記フォトダイオードに入射する上記光の上記強度を正確に表すものとして特定することを有する。他の一実施形態において、上記決定することは、或る期間にわたって複数の上記高感度信号を記録し、上記複数の高感度信号に基づく高感度信号カーブを生成し、上記高感度信号カーブの傾きを分析し、上記高感度信号カーブが線形であるとの決定に応答して、上記高感度信号を、上記フォトダイオードに入射する上記光の上記強度を正確に表すものとして特定し、上記高感度信号カーブが非線形であるとの決定に応答して、上記低感度信号を、上記フォトダイオードに入射する上記光の上記強度を正確に表すものとして特定することを有する。
【0010】
他の一実施形態によれば、当該方法は更に、上記単位セルの第5の動作モードのため、上記リセットスイッチを用いて上記MOSCapを上記リセット電圧に結合し、上記第5の動作モードにおいて、上記MOSCap上に蓄えた上記電荷を放電することを有する。一実施形態において、当該方法は更に、上記閾値電圧のレベルを制御するために、MOSCapゲートバイアス電圧信号を上記MOSCapに提供することを有する。
【0011】
ここに記載される一態様は、画像処理ユニットと、アレイに構成されて上記画像処理ユニットに結合された複数の単位セルとを有するイメージセンサに向けられ、各単位セルが、電源電圧に結合されるフォトダイオードと、入力ノードが上記フォトダイオードに結合されたMOSCapと、上記MOSCapとリセット電圧との間に選択的に結合されるリセットスイッチと、上記MOSCapの上記入力ノードに結合されたトランジスタとを有し、各単位セルの第1の動作モードにおいて、上記リセットスイッチが開状態にあるように構成され、上記フォトダイオードに入射する光によって生成される電荷が、上記入力ノードにおける電圧が閾値電圧よりも低いことに応答して、上記MOSCapの上記入力ノードにて蓄積し、各単位セルの第2の動作モードにおいて、上記リセットスイッチが上記開状態にあるように構成され、上記フォトダイオードに入射する上記光によって生成される上記電荷が、上記入力ノードにおける上記電圧が上記閾値電圧よりも高いことに応答して、上記MOSCap上に蓄積する。
【0012】
一実施形態によれば、各単位セルが更に、上記MOSCapに結合されたMOSCapゲートバイアス制御モジュールであり、上記閾値電圧のレベルを制御するために、MOSCapゲートバイアス電圧信号を上記MOSCapに提供するように構成されたMOSCapゲートバイアス制御モジュールと、上記リセットスイッチに結合されたリセットスイッチゲートバイアス制御モジュールであり、上記リセットスイッチの動作状態を制御するために、リセットスイッチゲートバイアス電圧信号を上記リセットスイッチに提供するように構成されたリセットスイッチゲートバイアス制御モジュールとを有する。一実施形態において、イメージセンサは更に、上記リセットスイッチゲートバイアス制御モジュールのうちの少なくとも1つに結合された外部クロックを有する。
【0013】
他の一実施形態によれば、各単位セルが更に、上記画像処理ユニットに結合された出力と、上記トランジスタと上記出力との間に選択的に結合される出力スイッチとを有し、各単位セルの第3の動作モードにおいて、上記出力スイッチが上記出力を上記トランジスタに結合するように構成され、上記リセットスイッチが上記開状態にあるように構成され、上記画像処理ユニットが、上記MOSCapの上記入力ノードにて蓄積した上記電荷を、高感度信号として上記出力から読み出すように構成され、各単位セルの第4の動作モードにおいて、上記出力スイッチが上記出力を上記トランジスタに結合するように構成され、上記リセットスイッチが上記開状態にあるように構成され、上記画像処理ユニットが、上記MOSCap上に蓄積した上記電荷を、低感度信号として上記出力から読み出すように構成され、各単位セルの第5の動作モードにおいて、上記リセットスイッチが上記MOSCapを上記リセット電圧に結合するように構成され、上記MOSCap上に蓄積した上記電荷が放電される。
【0014】
一実施形態によれば、上記画像処理ユニットは、各単位セルから上記高感度信号及び上記低感度信号を受け取り、各単位セルからの上記低感度信号及び上記高感度信号のうちの何れの一方が、上記フォトダイオードに入射する上記光の強度を正確に表すかを決定し、且つ各単位セルからの上記低感度信号及び上記高感度信号のうちの上記一方に基づいて画像を生成するように構成される。
【0015】
これらの例示的な態様及び実施形態の更なる他の態様、実施形態、及び利点が、以下にて詳細に説明される。また、理解されるべきことには、以上の情報及び以下の詳細な説明はどちらも、様々な態様及び実施形態のうちの単なる例示的な例であり、特許請求される態様及び実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものである。ここに開示される実施形態は、ここに開示される目的、狙い、及びニーズのうちの少なくとも1つに一貫したやり方で、他の実施形態と組み合わされてもよく、“実施形態”、“一部の実施形態”、“代替実施形態”、“様々な実施形態”、“一実施形態”、又はこれらに類するものへの言及は、必ずしも相互に排他的なものではなく、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを指し示すことを意図したものである。ここにこれらの用語が現れることは、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、縮尺通りに描くことは意図していない添付の図面を参照して、少なくとも1つの実施形態の様々な態様を説明する。図面は、様々な態様及び実施形態の例示及び更なる理解を提供するために含められており、本明細書に組み込まれてその一部を構成するが、本発明の限定を規定するものとして意図したものではない。図面において、様々な図に示される同じ又は略同じ構成要素は各々、似通った参照符号によって表される。明瞭さの目的のため、全ての図で全ての構成要素にラベルを付すことはしていない場合がある。
【
図1】本発明の態様に従った画像キャプチャ装置を例示するブロック図である。
【
図2】本発明の態様に従った高ダイナミックレンジ単位セルの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、又はその他の写真及び/又は画像キャプチャ機器など、数多くの異なるタイプの画像キャプチャ装置が存在する。これらの画像キャプチャ装置は、例えばアクティブピクセルセンサ(APS)又はその他の好適な光感知デバイスなどのイメージセンサを用いて、所望のシーンから画像をキャプチャし得る。例えば、APSは、レンズを介して光を受ける単位セルアレイで構成され得る。光が、各単位セルに、その位置における光強度に比例する電荷を蓄積させる。アレイ内の各単位セルは典型的に、例えばフォトダイオード、キャパシタ、及びその他のコンポーネントなどの回路を含む。
【0018】
アレイ内の各単位セルは一般に、所望のシーンの最終的な画像における画素すなわちピクセルに対応する。ピクセルは、デジタル画像の最小部分であると考えられる。デジタル画像は一般にピクセルのアレイからなる。画像キャプチャ装置に結合された回路が、ポスト光キャプチャ処理ステップを実行して、各単位セルからの蓄積電荷をピクセル情報へと変換し得る。この情報は、色、彩度、輝度、又はデジタル画像記憶フォーマットが要求し得るその他の情報を含み得る。デジタル画像は、例えば、JPG、GIF、TIFF、又はその他の好適フォーマットなどのフォーマットで記憶され得る。
【0019】
上述のように、典型的な画像キャプチャ装置は一般に、明るい周辺光シーン(すなわち、低感度状況)又は薄暗い周辺光シーン(すなわち、高感度状況)の何れかに対して最適化される。例えば、影があったり、夜間に撮られた写真であったり、屋内で撮られた写真であったり、又は比較的少量の周辺光しか存在しないその他の状況であるなど、薄暗い周辺光の状況では、画像キャプチャ装置は一般に、その単位セル群に蓄積される様々なレベルの電荷に違いを付けるために、より高い感度を必要とする。高感度の装置においては、寄生キャパシタンス(すなわち、回路の部分間に存在するキャパシタンス)が最小化されるべきである。というのは、回路の電荷単位での小さい変化が、最終的な画像における異なるレベルに対応し得るからである。例えば、或る高感度装置では、追加の5電荷単位が、最終的な画像における異なる輝度レベルを生じさせ得る一方で、或る低感度装置では、追加の50電荷単位が、最終的な画像における異なる輝度レベルを生じさせることになる。従って、高い寄生キャパシタンスを持つ画像キャプチャ装置が、薄暗い周辺光のシーンに対して露出される場合、画像キャプチャ装置内の蓄積電荷がシーンの光強度を比例的に(又は正確に)反映することができず、それが最終的に最終画像における誤差につながり得る。
【0020】
例えば、晴れた日であったり、十分に証明された部屋であったり、又は比較的多量の周辺光が存在するその他の状況であるなど、明るい周辺光の状況は、異なる問題を提示し得る。明るい周辺光の状況では、強い強度の光が画像キャプチャ装置によってキャプチャされることにより、遥かに多い量の電荷が画像キャプチャ装置内に蓄積する。この多量の電荷は一般に、イメージセンサにて生成された蓄積電荷を格納するためのキャパシタの追加を必要とする。典型的に、十分な量の電荷をピクセル内に保持することができることを保証するように上述のキャパシタを設計するとき、寄生キャパシタの影響が考慮に入れられ得る。故に、これら2つの状況(すなわち、薄暗い周辺光の状況及び明るい周辺光の状況)に関する蓄積電荷及びキャパシタンス要求の違いに起因して、明るい周辺光の状況に対して最適化されている画像キャプチャ装置は、薄暗い周辺光の状況では最適実行しないことになる。
【0021】
薄暗い周辺光の状況及び明るい周辺光の状況のこれら異なる要求に対処するための従来の1つの試みは、低感度パス(path)及び高感度パスの双方をハイブリッド単位セルに含めるものである。例えば、典型的なデュアルパス式ハイブリッド単位セルにおいては、高周辺光状況のために低感度パスが使用され、低周辺光状況のために別個の高感度パスが使用される。しかしながら、デュアルパス式ハイブリッド単位セルでは、複数(すなわち、各パスに関して少なくとも1つ)のアンチブルームスイッチが一般的に使用される。複数のアンチブルームスイッチを使用することにより、そのようなデュアルパス式ハイブリッド単位セルのピクセルサイズは典型的に、5ミクロン未満まで縮小されることができない。
【0022】
従って、態様及び実施形態が、より小さいピクセルサイズ(例えば、4ミクロン以下など)を持つ高ダイナミックレンジ単位セルを提供するシステム及び方法に向けられる。この高ダイナミックレンジ単位セルは、当該単位セル内のコンポーネントを複数の機能に利用することによって提供される。例えば、金属−酸化膜−半導体キャパシタ(MOSCap)が、高感度のアンチブルーミングゲートとして、及び増大されたウェル容量のための低感度用キャパシタとして同時に使用される。キャパシタ及びアンチブルーミングゲートの双方として(すなわち、低周辺光状況及び高周辺光状況の双方において)MOSCapを利用することにより、上述の標準的なデュアルパス式ハイブリッド単位セルからアンチブルームスイッチのうちの1つを除去することができ、それにより、高ダイナミックレンジを依然として提供しながら、単位セルのサイズを小さくすることが可能になる。
【0023】
理解されるべきことには、ここに開示される方法及び装置の実施形態は、適用において、以下の記載に説明され又は添付図面に図示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではない。これらの方法及び装置は、他の実施形態での実装も可能であり、また、様々なやり方で実施あるいは実行されることが可能である。具体的な実装の例が、単に例示の目的でここに提供されるが、限定することを意図したものではない。また、ここで使用される言葉遣い及び用語は、記述の目的でのものであり、限定するものとして見なされるべきでない。“含む”、“有する”、“持つ”、“含有する”、“伴う”及びこれらの変形のここでの使用は、その後に挙げられる品目及びそれらの均等物並びに更なる品目を含む意味である。“又は”への言及は、“又は”を用いて記載される項目が、記載される項目のうちの、単一の、1つよりも多くの、及び全ての、の何れかを指し示し得るように、包含的なものとして解釈され得る。
【0024】
図1は、画像をキャプチャするのに使用され得る画像キャプチャ装置10を例示するブロック図である。例えば、装置10は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、又はその他の写真及び/又は画像キャプチャ機器とし得る。画像キャプチャ装置10は、イメージセンサ12と画像処理ユニット14とを有している。イメージセンサ12は、APS、又は画像をキャプチャすることができるその他の好適な光感知デバイスとし得る。画像処理ユニット14は、イメージセンサ12から信号情報を受け取って該信号情報をデジタル画像へと変換するように動作可能な、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの組み合わせとし得る。
【0025】
イメージセンサ12は、単位セル16のアレイ17を含んでいる。各単位セル16が、視野内のその位置における光強度に比例する電荷を蓄積する。各単位セル16は、キャプチャされた電子画像におけるピクセルに対応し得る。単位セル16は、画像を作成するための処理ユニット14により使用のために、蓄積電荷を一時的に格納し得る。格納された電荷は、例えば、電圧に変換されることができ、この電圧の値が、該値をデジタル化して何らかの形態のメモリに格納するために、処理ユニット14によってサンプリングされ得る。
【0026】
画像キャプチャ装置10を用いた画像キャプチャのための特定の一手法は、リプルキャプチャとし得る。リプルキャプチャは、イメージセンサ12から順次に各ロウ(行)のピクセルをキャプチャする方法である。例えば、リプルキャプチャは、イメージセンサ12の最も上のロウのピクセルを光に露出させ、次いで、イメージセンサ12の最後のロウのピクセルが光に露出されるまで、2番目のロウ、3番目の行、等々と続け得る。イメージセンサ12によってキャプチャされたピクセル情報を画像処理ユニット14が受け取るための別の特定の一手法は、リプルリードとし得る。リプルリードは、イメージセンサ12から順次に各ロウのピクセルを処理する方法である。リプルキャプチャと同様に、リプルリードは、イメージセンサ12の最も上のロウのピクセルを処理し、次いで、イメージセンサ12の最後のロウのピクセルが処理されるまで、2番目のロウ、3番目の行、等々と続け得る。イメージセンサ12のピクセルのロウ群をリセットするためのリプルリセット操作が同様に実行され得る。
【0027】
これらの方法が、連続したロウについて実行されてもよい。例えば、リプルキャプチャ操作が、イメージセンサ12の第1ロウで開始し得る。リプルキャプチャ操作が第2ロウに移るとき、リプルリード操作が、イメージセンサ12の第1ロウで開始し得る。リプルキャプチャ操作が第3ロウに移った後、リプルリード操作が第2ロウで開始するとともに、リプルリセット操作が第1ロウで開始し得る。これが、最後のロウが処理されるまで続き得る。最後のロウが処理されると、処理ユニット14によって画像が処理されて格納され得る。
【0028】
図2は、イメージセンサ12に含められ得るとともに画像処理ユニット14に結合され得る高ダイナミックレンジ単位セル16の一例の回路図である。高ダイナミックレンジ単位セル16は、MOSCap20、リセットスイッチ22、フォトダイオード24、バッファトランジスタ26、出力スイッチ28、及びカラム(列)バス30を含んでいる。一実施形態によれば、MOSCap20はPチャネル金属酸化膜半導体(PMOS)キャパシタであるが、他の実施形態において、別のタイプのMOSCapが使用されてもよい。一実施形態によれば、リセットスイッチ22はPMOS電界効果トランジスタ(FET)であるが、他の実施形態において、リセットスイッチ22は、他の適切なタイプのスイッチ又はトランジスタであってもよい。一実施形態によれば、バッファトランジスタ26はPMOSFETであるが、他の実施形態において、このトランジスタは、他の適切なタイプのトランジスタであってもよい。出力スイッチ28は、如何なる適切なタイプのトランジスタベースのスイッチともし得る。
【0029】
リセットスイッチ22は、リセット電圧(V
reset)34を提供する電圧源とMOSCap20との間に結合される。リセットスイッチ22のゲートは、リセットゲートバイアス制御モジュール32に結合される。MOSCap20は、リセットスイッチ22とフォトダイオード24との間に結合される。MOSCap20のゲートは、MOSCapゲートバイアス制御モジュール38に結合される。MOSCap20のソース/ドレインノード36は、フォトダイオード24のアノードとバッファトランジスタ26のゲートとに結合される。フォトダイオード24のカソードは、電源電圧(V
detcom)40を提供する電圧源に結合される。バッファトランジスタ26は、電源電圧(V
puc)42を提供する電圧源と出力スイッチ28の第1の端子との間に結合される。出力スイッチ28の第2の端子は、カラムバス30に結合される。カラムバス30は、画像処理ユニット14に結合されるように構成される。
【0030】
単位セル16は、比較的小さいピクセルサイズ(例えば、4ミクロン以下など)を有するように構成される。単位セル16の比較的小さいサイズは、MOSCap20を複数の機能に利用することによって提供される。例えば、MOSCap20は、高感度のアンチブルーミングゲートとして、及び増大されたウェル容量のための低感度用キャパシタとして同時に使用される。例えば、シーンからの光がフォトダイオード24に入射し、電荷がソース/ドレインノード36にて蓄積する。上述のように、ソース/ドレインノード36に蓄積する電荷の量は、フォトダイオード24に入射する光の強度を指し示す。
【0031】
低周辺光状況において、フォトダイオード24に入射する光の強度は比較的低く、結果として、ソース/ドレインノード36に蓄積される電荷の量も比較的少ない。故に、低周辺光状況において生成される電荷を格納することには、小さめのキャパシタンスが必要とされるのみである。低周辺光状況においてソース/ドレインノード36に生成される電荷の格納を提供することには、ソース/ドレインノード36に結合されたコンポーネントの生来的なキャパシタンスで十分である。また、上述のように、低周辺光状況においては、単位セルの寄生キャパシタンスを最小化することが望ましい。従って、MOSCap20上のソース/ドレインの幅を最小化することにより、入力キャパシタンス及びソース/ドレインノード36の装荷が低周辺光状況において最小化され得る。さらに、MOSCap20と並列にではなく、MOSCap20と直列に、且つフォトダイオード24とは反対のMOSCap20の側に、リセットスイッチ22を位置付けることにより、リセットスイッチ22が、ソース/ドレインノード36の装荷を落として(ロードダウンして)、ソース/ドレインノード36における利得を低下させること(すなわち、ノイズを増大させること)が防止される。
【0032】
高周辺光状況においては、フォトダイオード24に入射する光の強度は比較的高く、結果として、この高強度光に応答して生成される電荷の量も比較的多い。高周辺光状況においてソース/ドレインノード36に生成される電荷の格納を提供することには、ソース/ドレインノード36に結合されたコンポーネントの生来的なキャパシタンスでは不十分である。故に、高周辺光状況においては、生成された電荷を格納するために、より大きいキャパシタンスが必要とされる。そのような大きめのキャパシタンスが存在しないと、高周辺光状況においてソース/ドレインノード36に生成された電荷が、単位セル16の飽和及び/又はブルーミングを生じさせることになる。従って、高周辺光状況においては、単位セル16における飽和及びブルーミングを防止するように、また、フォトダイオード24に入射する高強度光によって生成される電荷を格納するように、MOSCap20が動作される。
【0033】
MOSCapゲートバイアス制御モジュール38は、MOSCap20のゲートにゲートバイアス電圧信号(スラッシュO
LG/Rst)44を提供する。MOSCap20のキャパシタンスは、MOSCap20にかかる電圧(すなわち、ソース/ドレインノード36とMOSCap20のゲートとの間の電圧)に依存する。上述のように、高周辺光状況において、電荷がソース/ドレインノード36に蓄積する(すなわち、電圧が上昇する)。MOSCap20にかかる電圧が反転モード閾値電圧(V
T)を超えると、MOSCap20が反転モードに入って、MOSCap20のキャパシタンスが増大するとともに、電荷がMOSCap20上に蓄積し始める。従って、MOSCap20のゲートに提供されるゲートバイアス電圧信号(スラッシュO
LG/Rst)44を制御することにより、MOSCap20のキャパシタンスを制御することができ、そして結果として、MOSCap20を反転モードに押し入れるためにソース/ドレインノード36に必要とされる閾値電圧レベルを制御することができる。ソース/ドレインノード36にて蓄積された電荷が特定のレベルになると反転モードに入るようにMOSCap20を制御することにより、高周辺光状況において、MOSCap20を用いて、電荷が格納され、飽和及びブルーミングが防止される。
【0034】
出力スイッチ28は、画像処理のための、単位セル16内の蓄積電荷の、カラムバス30及びひいては画像処理ユニット14への、読み出しを制御するように動作される。リセットゲートバイアス制御モジュール32は、リセットスイッチ22のゲートにゲートバイアス電圧信号(スラッシュO
BLM/Rst)46を提供する。ゲートバイアス制御信号(スラッシュO
BLM/Rst)46は、リセットスイッチ22が開かれるのか、それとも閉じられるのかを制御する。電荷が単位セル16内に蓄積していく間、ゲートバイアス電圧信号(スラッシュO
BLM/Rst)46は、リセットスイッチ22を開状態にあるように動作させる。また、電荷が単位セル16内に蓄積していく間、出力スイッチ28も、開状態にあるように制御させる(例えば、画像処理ユニット14によって)。
【0035】
画像処理ユニット14が、画像処理のために、単位セル16内の蓄積電荷を読み出すことを望むとき、画像処理ユニット14は、出力スイッチを閉じるように動作させる。出力スイッチが閉じられる(且つリセットスイッチ22が開状態に維持される)と、ソース/ドレインノード36にて蓄積された電荷が、低周辺光状況においてソース/ドレインノード36に蓄積された電荷に比例する電圧を持つ高感度信号として、バッファトランジスタ26及びカラムバス30を介して画像処理ユニット14にて読み出される。単位セル16が低周辺光状況に露出された場合、画像処理ユニット14によって読み出された高感度信号は、眺められているシーンからフォトダイオード24に入射した光の強度を正確に表す。しかしながら、単位セル16が高周辺光状況に露出された場合には、ソース/ドレインノード36から画像処理ユニット14によって読み出された高感度信号は、眺められているシーンからフォトダイオード24に入射した光の強度を正確に反映しないことがある。というのは、フォトダイオード24に入射した光に応答して生成された電荷の一部がMOSCap20上に格納されることが起こり得たからである。
【0036】
従って、ソース/ドレインノード36にて蓄積された電荷を読み出した後、リセットゲートバイアス制御モジュール32が、リセットスイッチ22を開いたままに動作させるとともに、出力スイッチ28を閉じたままに動作させる。出力スイッチ28が閉じたままである間に、MOSCap20上に蓄積された電荷が、高周辺光状況においてMOSCap20上に蓄積された電荷に比例した電圧を持つ低感度信号として、バッファトランジスタ26及びカラムバス30を介して画像処理ユニット14に読み出される。画像処理ユニット14によってMOSCap20から読み出された低感度信号は、高周辺光状況においてフォトダイオード24に入射した光の強度を正確に表す。
【0037】
一実施形態によれば、MOSCap20上に蓄積された電荷が画像処理ユニット14によって読み出されるとき、MOSCapゲートバイアス制御モジュール38は、MOSCap20が完全に反転されて低感度信号が線形であるように、MOSCap20のゲートにゲートバイアス電圧信号(スラッシュO
LG/Rst)44を提供する。しかしながら、他の実施形態において、低感度信号は非線形部分を含んでいてもよい。MOSCap20上に蓄積された電荷が読み出された後、リセットゲートバイアス制御モジュール32が、リセットスイッチ22を閉じるように動作させる。リセットスイッチ22が閉じられると、MOSCap20がリセット電圧(V
reset)34に結合され、単位セル16内に蓄積されていた電荷が放電される。単位セル16内に蓄積されていた電荷が放電されると、リセットゲートバイアス制御モジュール32は、リセットスイッチ22を開くように動作させ、単位セル16は再び、単位セル16に入射する光の強度に比例する電荷を蓄積し得る。
【0038】
一実施形態によれば、リセットゲートバイアス制御モジュール32は、クロック48に結合される。一実施形態において、クロック48は外部クロックである(すなわち、単位セル16から離して置かれる)。しかしながら、他の実施形態において、クロック48は、異なるように構成されてもよい。クロック48から受け取るクロック信号に基づいて、リセットゲートバイアス制御モジュール32は、リセットスイッチ22をオンにして(すなわち、閉じて)、単位セル16を放電させる。一実施形態によれば、クロック信号は、出力スイッチ28が閉じられて所定の時間量の後に、リセットスイッチ22をオンにする。しかしながら、他の実施形態において、クロック信号は、異なるように構成されてもよい。出力スイッチ28及びリセットスイッチ22のスイッチングは、高感度信号(低周辺光状況においてソース/ドレインノード36に蓄積される電荷に基づく)と低感度信号(高周辺光状況においてMOSCap20上に蓄積される電荷に基づく)との双方の生成を可能とするように連係させられる。低感度信号及び高感度信号の双方を生成することにより、単位セル16は、低周辺光状況及び高周辺光状況の双方で動作することができる。画像処理ユニット14は、単位セル16のアレイ17の各単位セル16から低感度信号及び高感度信号を集め、そして、その画像処理において、単位セル16ごとに、どちらの信号(すなわち、低感度信号又は高感度信号)が使用に適しているかを決定する。
【0039】
一実施形態によれば、画像処理ユニット14は、アレイ17の第1ロウ内の単位セル16が、低感度信号及び高感度信号を提供することを可能にする(すなわち、第1ロウ内の単位セル16の出力スイッチ28を閉じることによって)。アレイ17の第1ロウ内の各単位セル16から低感度信号及び高感度信号を受信した後、画像処理ユニット14は、アレイ17の第2ロウ内の単位セル16が、低感度信号及び高感度信号を提供することを可能にする(すなわち、第2ロウ内の単位セル16の出力スイッチ28を閉じることによって)。画像処理ユニット14は、同様にして、低感度信号及び高感度信号がアレイ内の各単位セル16から受信されるまで、アレイ17の各ロウを進める。
【0040】
他の一実施形態によれば、画像処理ユニット14は、アレイ17内の各単位セル16が、最初に、(各単位セル16の出力スイッチが閉じられた後に)高感度信号を提供することを可能にするよう構成される。アレイ17内の各単位セル16から高感度信号を受信した後、画像処理ユニット14は、アレイ17内の各単位セル16から低感度信号を受信するように構成される。他の実施形態によれば、画像処理ユニット14は、その他の適切なやり方で単位セル16のアレイ17をイネーブルするように構成され得る。
【0041】
アレイ17内の各単位セル16から低感度信号及び高感度信号を受信すると、画像処理ユニット14は、その画像処理において、単位セル16ごとに、どちらの信号(すなわち、低感度信号又は高感度信号)が使用に適しているか(すなわち、単位セル16に入射した光の強度を正確に表しているか)を決定する。一実施形態によれば、画像処理ユニット14内の閾値分け回路が、単位セル16からの高感度信号を分析して、高感度信号が高感度信号閾値よりも高いかを決定する。単位セル16からの高感度信号が高感度信号閾値よりも高い場合、画像処理ユニット14は、その単位セル16からの低感度信号を使用すべきことを知る。
【0042】
他の一実施形態によれば、画像処理ユニット14は、単位セル16から複数の高感度信号を受け取って、これら複数の高感度信号に基づく高感度信号カーブを生成するように構成される。高周辺光状況において、高感度信号(すなわち、低周辺光状況においてソース/ドレインノード36に蓄積される電荷に基づいて生成される)は非線形であるとし得る。従って、生成された経時的な高感度信号カーブの傾きを分析することにより、画像処理ユニット14は、低感度信号が使用されるべきか、それとも高感度信号が使用されるべきかを決定する。例えば、高感度信号カーブが線形であると画像処理ユニット14が決定する場合、画像処理ユニット14は高感度信号を使用する。そうではなく、高感度信号カーブが非線形であると画像処理ユニット14が決定する場合、画像処理ユニット14は低感度信号を使用する。
【0043】
各単位セル16について、どちらの信号(すなわち、低感度信号又は高感度信号)が使用されるべきかを特定した後、画像処理ユニットは、単位セル16からの各々特定された信号を用いて、眺められているシーンの対応する画像を生成する。
【0044】
上述のように、MOSCap20及びリセットスイッチ22に提供されるゲートバイアス信号44、46は、別個のモジュール38、32によって独立に制御される。しかしながら、他の一実施形態によれば、MOSCap20及びリセットスイッチ22に提供されるゲートバイアス信号44、46は、単一のモジュール又はコントローラを用いて独立に制御される。他の一実施形態によれば、ゲートバイアス信号44、46、及び出力スイッチ28の動作状態が全て、単一のコントローラ(例えば、画像処理ユニット14又は別の外部コントローラ)によって独立に制御される。
【0045】
高感度用アンチブルーミングゲート及び低感度用キャパシタの双方として(すなわち、低周辺光状況及び高周辺光状況の双方において)MOSCap20を利用することにより、伝統的なデュアルパス式ハイブリッド単位セルの2つのアンチブルームスイッチの1つを単一のMOSCap20によって置き換えることができるので、単位セル16のサイズが縮小される(例えば、4ミクロン以下まで)。さらに、キャパシタ及びアンチブルーミングゲートと双方としてMOSCap20を動作させることにより、低感度信号及び高感度信号の双方が生成され、単位セル16が低周辺光状況及び高周辺光状況の双方において正確な光強度信号を生成することが可能になる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様を上述してきたが、理解されるように、当業者には様々な改変、変更、及び改良が容易に浮かぶであろう。そのような改変、変更、及び改良は、この開示の一部であることが意図され、また、本発明の範囲内であることが意図される。従って、以上の説明及び図面は単に例によるものである。