(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記不均一触媒が、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、又はPbのうちの2つ以上の酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1つのヒドリドハロシランが、トリクロロシラン、ジクロロシラン、メチルジクロロシラン、又はジメチルクロロシランである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記製造されたオルガノハロシランが、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、又はフェニルジメチルクロロシランである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記ヒドリドハロシランがメチルジクロロシランであり、前記製造されたオルガノハロシランがフェニルメチルジクロロシランである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。上記に要約された本発明の実施形態、使用、及び利点は、以下で更に説明する。
【0011】
本発明の態様は、様々な一般的な表現方法を使用して本明細書に記載されている。例えば、特に断らない限り、物質の全ての状態は、25℃及び101.3kPaで測定した。別段の記述又は表示がない限り、全ての%は重量による。全ての%値は、特に注記しない限り、組成物を合成又は製造するために使用される全成分の総量に基づいており、合計で100%になる。分類群及び下位分類群を含む任意のマーカッシュ群は、分類群に含まれる下位分類群を包含し、例えば、「Rはヒドロカルビル又はアルケニルである」では、Rはアルケニルであってもよく、あるいはRは他の下位分類群の中でも、アルケニルを含むヒドロカルビルであってもよい。
【0012】
本発明の態様は、様々な特許用語を使用して本明細書に記載されている。例えば、「別法として」、又は「あるいは」(alternatively)は、異なる及び別個の実施形態を指す。比較例、比較上のプロセス又は比較上の方法に使用される「比較」は、非発明的な試行であることを意味し、先行技術として解釈してはならない。「を含む(comprises)」及びその変形(comprising、comprised of)は、オープンエンドである。「からなる(consists of)」及びその変形(consisting of)は、クローズドエンドである。「接触させる」は、物理的に接触させることを意味する。「であってもよい/することがある/し得る/ことができる(may)」は、選択肢を与えるものであり、必須ではない。「任意に」は、存在しない、あるいは存在することを意味する。
【0013】
本発明は、オルガノハロシランの製造方法に関し、当該方法は、ハロゲン置換若しくは非置換アルカン、ハロゲン置換若しくは非置換アルケン、又は芳香族化合物を含む有機化合物と、少なくとも1つの式R
nSiH
mX
4−m−nのヒドリドハロシラン(式中、各Rは独立してC
1−C
14ヒドロカルビル又はC
1−C
14ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードであり、nは0、1、又は2であり、mは1、2又は3であり、m+n=1、2又は3である)とを、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、又はPbのうちの1つ以上の元素の酸化物を含む不均一触媒の存在下、100℃超の温度、及び少なくとも690kPaの圧力で反応させて、オルガノハロシランを含む粗反応生成物を製造することを含む。
【0014】
有機化合物は、ハロゲン置換若しくは非置換アルカン、ハロゲン置換若しくは非置換アルケン、及び/又はハロゲン置換若しくは非置換芳香族化合物を含む。有機化合物は、1〜14個の炭素原子、あるいは4〜10個の炭素原子、あるいは4〜8個の炭素原子、あるいは6〜8個の炭素原子を有する。有機化合物は、分枝状、非分枝状、環式又は縮合、架橋若しくはスピロなどの多環式構造を有し得る。
【0015】
非置換アルカンの例としては、限定するものではないが、非環状、直鎖若しくは分枝鎖アルカン、例えば、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン;環状アルカン、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、メチルシクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、シクロデカン、ビシクロ[4.3.1]デカン、シクロウンデカン、及びシクロドデカンが挙げられる。ハロゲン置換アルカンの例としては、限定するものではないが、アルカンの水素原子の1つがフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、あるいは塩素原子で置換された、上に例示したアルカンが挙げられる。
【0016】
非置換アルケンの例としては、限定するものではないが、非環状の直鎖又は分枝鎖アルケン、例えば、次のアルケン及びその異性体が挙げられる:エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、2−メチルペンテン、3−メチルペンテン、2,3−ジメチルブテン、n−ヘキセン、ネオヘキセン、へプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン;環状アルケン、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンタン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロへプテン、ビシクロ[2.2.1]へプテン、メチルシクロへプテン、シクロオクテン、シクロノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、シクロデセン、ビシクロ[4.3.1]デセン、シクロウンデセン、シクロドデセン。ハロゲン置換アルケンの例としては、限定するものではないが、アルケンの水素原子の1つがフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、あるいは塩素原子で置換された、上に例示したアルケンが挙げられる。本明細書で使用するとき、「異性体」は、同じ分子式を有するが、空間内の原子の配置が異なる分子を意味する。例えば、ブタン及びその異性体には、1−ブテン、cis−ブタ−2−エン、trans−ブタ−2−エン、及び2−メチルプロペンが挙げられる。
【0017】
非置換芳香族化合物の例としては、限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1−フェニルエテン、1−フェニル−1−プロペン、ナフタレン、キシレン、及び1,1−ジフェニルエテンが挙げられる。ハロゲン置換芳香族化合物の例としては、限定するものではないが、芳香族化合物の水素原子の1つがフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、あるいは塩素原子で置換された、上に例示した芳香族化合物、例えば、クロロベンゼン又はジクロロベンゼンが挙げられる。
【0018】
ヒドリドハロシランは、式R
nSiH
mX
4−m−nに従い、式中、RはC
1−C
14ヒドロカルビル又はC
1−C
14ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xはフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードであるか、あるいはXはクロロであり、nは0、1、又は2、あるいはnは0又は1であり、mは1、2又は3、あるいはmは1又は2、あるいはmは1であり、m+n=1、2又は3、あるいはm+nは1又は2、あるいはm+nは2である。Rによって表されるヒドロカルビル基は、典型的には、1〜14個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子、あるいは1又は2個の炭素原子、あるいは1個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。Rによって表されるC
1−C
14ヒドロカルビル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、及びテトラデシルなどのアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;フェニル及びナフチルなどのアリール;トリル及びキシリルなどのアルカリール;ベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキル;ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニルなどのアルケニル;エチニル及びプロピニルなどのアルキニルが挙げられる。
【0019】
本発明によるヒドリドハロシランの例としては、限定するものではないが、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、メチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジエチルクロロシラン、プロピルクロロシラン、プロピルジクロロシラン、ジプロピルクロロシラン、ブチルクロロシラン、ブチルジクロロシラン、ジブチルクロロシラン、ペンチルクロロシラン、ペンチルジクロロシラン、ジペンチルクロロシラン、へキシルクロロシラン、へキシルジクロロシラン、ジへキシルクロロシラン、オクチルクロロシラン、オクチルジクロロシラン、ジオクチルクロロシラン、デシルクロロシラン、デシルジクロロシラン、ジデシルクロロシラン、テトラデシルクロロシラン、テトラデシルジクロロシラン、ジテトラデシルクロロシラン、フェニルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ビニルクロロシラン、ビニルジクロロシラン、ジビニルクロロシラン、アリルクロロシラン、アリルジクロロシラン、ジアリルクロロシラン、ベンジルクロロシラン、ベンジルジクロロシラン、ジベンジルクロロシラン、エチニルクロロシラン、エチニルジクロロシラン、ジエチニルクロロシラン、プロピニルクロロシラン、プロピニルジクロロシラン、ジプロピニルクロロシランが挙げられる。一実施形態において、ヒドロハロシランは、メチルジクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、又はジフェニルクロロシランである。本発明のヒドリドハロシランの製造方法は、当該技術分野において既知である。
【0020】
本明細書で触媒に言及して使用するとき、「不均一」は、限定するものではないが、例えば、固相触媒と反応物質及び/又は生成物のための気体、液体、及び超臨界相との組み合わせなど、その触媒が反応物質及び生成物に対して独自の相にあることを意味し、「可溶性」は、その触媒及び反応物質が1つの相を形成することを意味し、「酸化物」は、その化学式に少なくとも1個の酸素及び少なくとも1個のその他の元素を有する化合物を意味する。
【0021】
不均一触媒は、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、又はPbのうち1つ以上の酸化物、あるいはSc、Y、Ti、Zr、B、Al、Si、又はGeのうちの1つ以上の酸化物、あるいはSc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、又はPbのうちの2つ以上の酸化物、あるいはSc、Y、Ti、Zr、B、Al、Si、又はGeのうちの2つ以上の酸化物、あるいは、アルミナ、酸化ジルコニウム、Alと元素B、Zr、Ti、若しくはSiのうちの1つとを含む酸化物、又はZrとB、Ti、若しくはSiのうちの1つとを含む酸化物、あるいはZrとB、AlとB、又はAlとSiを含む酸化物、あるいはγ−アルミナ又は酸化ジルコニウム、あるいはAlとBとを含む酸化物、又はZrとBとを含む酸化物、あるいはγ−アルミナ、あるいは式Al
9B
2O
15又はAl
4B
2O
9の酸化物を含む。本発明の酸化物の全てが酸素を含有し、酸素原子は他の原子の原子価要求を満足するのに十分な量で酸化物中に存在することは、当業者に明らかであろう。
【0022】
一実施形態において、不均一触媒は式M
1aM
2bM
3cM
4dO
xの酸化物であり、市中M
1、M
2、M
3及びM
4はそれぞれ独立してSc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、又はPbであり、a、b、c、及びdはそれぞれ独立して0〜1であり、a+b+c+d>0、かつx>0〜1であるか、
あるいは、M
1、M
2及びM
3はそれぞれ独立してSc、Y、Ti、Zr、B、Al、Si、又はGeであり、aは0〜1であり、bは0〜1であり、cは0〜1であり、dは0であり、かつa+b+c>0であるか、あるいはM
1はTi、Zr、B、又はAlであり、M
2はTi、Zr、B、又はAlであり、M
3はSc又はYであり、M
4はSi又はGeであり、aは0〜1であり、bは0〜1.00であり、cは0〜0.10であり、dは0〜0.50であり、a+b+c+d>0であり、かつa=0のときb>0であり、b=0のときa>0であるか、あるいは、M
1はAlであり、M
2はZrであり、M
3はB、Ti、又はSiであり、aは0又は0〜1であり、bは0又は0〜1であり、cは0〜0.5又は0〜0.3であり、dは0であり、a+b+c>0であり、かつa=0のときb>0であり、b=0のときa>0であるか、あるいはM
1はZr又はAlであり、aは>0〜1であり、b、c、及びd=0であり、かつ全ての場合にxは酸化物中の酸素原子の数であり、酸化物中の他の原子の原子価を満足するのに十分な数であり、あるいはxは>0〜1である。文字a、b、c、d、及びxは、酸化物中に存在する元素のグラム原子比を表す。全ての場合において、M
1、M
2、M
3、及びM
4は、式M
1aM
2bM
3cM
4dO
x中に存在するとき、全て異なる元素である。
【0023】
不均一触媒の例としては、限定するものではないが、任意の形態のアルミナ、例えば、η−アルミナ、ナノシート、α−アルミナ、及びγ−アルミナ;単斜晶系、正方晶系、又は立方晶系などの任意の形態の酸化ジルコニウム、ZrO
2;式Al
9B
2O
15及びAl
4B
2O
9を有する酸化物を含むがこれらに限定されない、Al及びTi、Zr、又はBのうちの少なくとも1つの元素を含む複合酸化物;並びに、元素Zr及びTi、Al、又はBのうちの少なくとも1つの複合酸化物が挙げられる。アルミナ及び酸化ジルコニウムは当該技術分野において既知であり、種々の形態で市販されている。例えば、γ−アルミナは、Clariant International,Ltd.(Munich,Germany)から購入できる。
【0024】
不均一触媒の組成は、当該技術分野において既知の方法を用いて決定されてもよい。例えば、当該技術分野において既知である元素分析、X線結晶学、電子顕微鏡、質量分光法、及び電子化学的方法のうちの1つ以上を使用してもよい。
【0025】
不均一触媒は、結合剤又は担体も含んでよい。例えば、不均一触媒は、黒鉛又はステアリン酸アルミニウム結合剤を含んでもよい。黒鉛及びステアリン酸アルミニウムは市販されている。結合剤は、典型的には、不均一触媒の形状を制御するために使用される。
【0026】
一実施形態において、不均一触媒は、結合剤及び酸化物の重量に基づいて、25%(w/w)未満、あるいは10%(w/w)未満の結合剤を含む。結合剤を含む不均一触媒は、Clariant International,Ltd.から市販されている。
【0027】
不均一触媒は、任意の形状であってもよい。例えば、不均一触媒は、粉末、顆粒、ペレット又は任意の押出品形態であってもよい。
【0028】
不均一触媒は、単一元素の酸化物、2種以上の元素の酸化物、異なる元素の2種以上の酸化物の物理的混合物、単一元素の複合酸化物、又は2種以上の元素の複合酸化物であってもよい。本明細書で使用するとき、「複合酸化物」は、限定するものではないが、酸素と2種以上の元素との組み合わせを含む酸化物を意味することを意図し、結晶子と非晶質との複合体;他の活性構成成分でコーティング、ドープ、装填、又は支持された複合体;マトリックス材料;1つ以上の金属酸化物相がその中に分散されているマトリックス材料を含むハイブリッド複合体;及びミクロ細孔、メソ細孔及びマクロ細孔のような多孔性系を有する階層的多孔性複合体が挙げられる。
【0029】
不均一触媒は、当該技術分野において既知の方法によって調製されてもよく、又は、例えば、Sigma Aldrich又はClariant International,Ltd.(Munich,Germany)から購入してもよい。不均一触媒が結合剤及び/又は2種以上の金属酸化物を含む場合、金属酸化物は、押出又はその他の当該技術分野において既知の調製及び混合技法により、結合剤及びその他の金属酸化物と物理的に混合されてもよい。複合不均一触媒を形成するために、その場で(in situ)のゾル−ゲル加水分解又は共沈、その後の焼成、コア−シェル成長、相互成長、表面成長、又は共結晶化のような、当該技術分野において既知の方法も使用してよい。例えば、B及びAlを含む複合酸化物は、粉砕したH
3BO
3、グリセロール、粉砕したAl(NO
3)
3・9H
2O及び脱イオン水を合わせ、90℃で2時間加熱した後、150℃、次いで400℃に加熱して複合体を形成するという、実施例に記載の手順に従って製造されてもよい。
【0030】
本発明の方法は、連続的に実施されても、バッチプロセスで実施されてもよい。本明細書において使用するとき、「連続的」は、有機化合物及びヒドリドハロシランの流れが不均一触媒を含有する反応器に常に供給され、その間にオルガノハロシラン生成物、未反応有機化合物及びヒドリドハロシラン、並びに任意の副産物は取り除かれることを意味する。
【0031】
本発明のプロセス、本発明の種類の反応を実施するのに好適な任意の反応器で実施してもよい。例えば、本プロセスは、密閉筒型反応器又はオートクレーブのような回分反応器で実施してもよく、充填カラムのような連続反応器で実施してもよい。筒型反応器及び充填カラムのような反応器は市販されている。例えば、密閉筒型反応器及びオートクレーブは、Parr Instrument Company(Moline、IL)から購入できる。好適な圧力反応器のその他の製造業者としては、High Pressure Equipment Company(Erie,Pennsylvania)、Parker Autoclave Engineers(Erie Pennsylvania)、Buchi AG(Uster,Switzerland)、Bergh(Eningen,Germany)及びZeyon、Inc.(Erie,Pennsylvania)が挙げられる。
【0032】
本発明のプロセスは、少なくとも100℃、あるいは100℃〜300℃、あるいは150℃〜275℃の温度で実施される。300℃をはるかに超える温度では、金属酸化物は不安定になり、不均一触媒として有効でなくなる場合がある。
【0033】
本発明のプロセスは、少なくとも590kPa、あるいは少なくとも690kPa、あるいは少なくとも3500kPa、あるいは4000〜15,000kPa、あるいは4000〜11000kPa、あるいは4000〜9000kPa、あるいは4000〜6000kPa、あるいは5000〜12,000kPa、あるいは8000〜12,000kPaの絶対圧力で実施されてもよい。
【0034】
本発明のプロセスが連続プロセスで実施される場合、接触時間は0.001秒〜100分、あるいは1秒〜50分、あるいは10〜30分である。本明細書で使用するとき、「接触時間」は、1反応器容量の反応物質(すなわち、有機化合物及びヒドリドハロシラン)が、触媒が充填された反応器を通過する時間を意味することを意図する。
【0035】
触媒は、典型的には、有機化合物及びヒドリドハロシランを基準にした触媒有効量である。連続プロセスを実施するための反応器内の触媒有効量は、有機化合物とヒドリドハロシランとの間の反応を触媒するのに十分な量である。例えば、触媒有効量の触媒は、少なくとも0.01mg触媒/cm
3反応器容量、あるいは少なくとも0.5mg触媒/cm
3反応器容量、あるいは1〜10,000mg触媒/cm
3反応器容量であり、あるいは、触媒有効量は反応器内の全試薬の重量に基づいて0.01〜50mol%、あるいは0.1〜15mol%、あるいは0.1〜5mol%である。当業者は、バッチ式又は連続プロセスのいずれを使用するか及び使用する反応器の種類に応じて、適正量の触媒を決定する方法がわかるであろう。例えば、塔内での連続反応では、反応器に触媒を充填し、反応物質は触媒中の空隙の間を通過してもよい。
【0036】
バッチプロセスを使用するとき、反応に必要な添加順序はない。連続プロセスでは、ヒドリドハロシラン及び有機化合物は、典型的には、不均一触媒の存在下で接触する。例えば、有機化合物及びヒドリドシランが混合され、一緒に連続反応の不均一触媒上に流される。
【0037】
ヒドリドハロシランに対する有機化合物のモル比は、典型的には0.5〜10、あるいは、0.5〜4、あるいは、1〜4である。
【0038】
不均一触媒は、有機化合物及びヒドリドハロシランの反応の前に酸で処理されてもよい。酸は、表面上のヒドロキシル基の数を低減し、水分を除去すると予想される任意の酸であってもよい。一実施形態において、触媒は、プロセス内で反応が起こる前に酸で処理される。
【0039】
不均一触媒を処理するために使用してもよい酸の例としては、限定するものではないが、ハロシラン、ハロシランの混合物、塩化水素、及び塩化水素とハロシランとの混合物が挙げられる。あるいは、不均一触媒はHClで処理される。不均一触媒を処理するためのハロシランの例としては、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルクロロシラン、及びジメチルクロロシランなどのクロロシランが挙げられる。塩化水素及びハロシランは、市販されており、又は当該技術分野で既知の方法を用いて製造されてもよい。本明細書で使用するとき、ハロシランの定義は、ハロシランのみ、アルキルハロシランのみ、又はハロシランとアルキルハロシランとの組み合わせを含むことを意図する。
【0040】
不均一触媒は、触媒をHCl又はハロシランで処理するための当該技術分野で既知の手段によって、酸で処理されてもよい。例えば、不均一触媒は、塩化水素、ハロシラン、ハロシランの混合物、又はHClとハロシランとの混合物を、60℃〜300℃、あるいは100℃〜200℃の温度で不均一触媒上に流すことによって処理されてもよい。あるいは、不均一触媒は、連続プロセスにおいて、100℃〜300℃、あるいは150℃〜275℃の温度で、有機化合物の流れの前にヒドリドハロシランの流れを開始することによって、有機化合物との反応について上記したヒドリドハロシランと処理されてもよい。当業者は、本発明に従って不均一触媒を酸で処理する方法がわかるであろう。
【0041】
本発明によって製造されたオルガノハロシランは、反応後、粗反応生成物から回収されてもよい。本明細書で使用するとき、「粗反応生成物」は、オルガノハロシランを回収又は精製するための任意の後続処理の前の、オルガノハロシランを含有する混合物を意味する。オルガノハロシランを回収する方法の例としては、濾過及び蒸留が挙げられるがこれらに限定されない。当業者は、本発明により製造されたオルガノハロシランの濾過及び蒸留の方法がわかるであろう。
【0042】
本発明の方法は、オルガノハロシランを含む粗反応生成物を製造する。本発明により製造されたオルガノハロシランは、式R’
pR
nSiH
mX
4−m−n−pを有し、式中、R及びXはヒドリドハロシランについて上に定義されたとおりであり;各R’は、独立して、C
1−C
14ヒドロカルビル又はハロゲン置換ヒドロカルビルであり、pは1又は2、あるいは1であり、nは0、1、又は2、あるいは1又は2、あるいは1であり;mは0、1、又は2、あるいは0又は1、あるいは0であり;m+n+p=1、2又は3、あるいは1又は2、あるいは2である。
【0043】
R’によって表されるヒドロカルビル基及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、典型的には、1〜14個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜6個の炭素原子、あるいは6個の炭素原子を有する。ヒドロカルビル基の例は、上記の有機化合物から水素原子を除去することによって生成するものである。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。ヒドロカルビル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、及びテトラデシルなどのアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、へプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、及びテトラデセニルなどのアルケニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロデセニル、及びシクロドデセニルなどのシクロアルケニル、フェニル、及びナフチルなどのアリール;トリル、及びキシリルなどのアルカリール;並びにベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキル;ベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキル、並びにこれらの異性体が挙げられる。R’によって表されるヒドロカルビル基は、ハロゲン置換されていてもよい。R’によって表されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、ヒドロカルビル基の水素原子が塩素、臭素又はヨウ素などのハロゲンで置換されたR’に関して上記で定義されたものが挙げられる。
【0044】
本発明により製造されるオルガノハロシランの例としては、限定するものではないが、トリクロロ(メチル)シラン、トリクロロ(エチル)シラン、トリクロロ(プロピル)シラン、トリクロロ(ブチル)シラン、トリクロロ(ペンチル)シラン、トリクロロ(オクチル)シラン、トリクロロ(テトラドデシル)シラン、トリクロロ(クロロメチル)シラン、トリクロロ(2−クロロエチル)シラン、トリクロロ−(3−クロロプロピル)シラン、トリクロロ−(4−クロロブチル)シラン、トリクロロ(シクロヘキシル)シラン、トリクロロ−(3−クロロシクロヘキシル)シラン、トリクロロ(フェニル)シラン、トリクロロ(ナフチル)シラン、トリクロロ(3−クロロフェニル)シラン、トリクロロ(4−クロロナフチル)シラン、トリクロロ(トリル)シラン、キシリルトリクロロシラン、ジクロロ(ジメチル)シラン、ジクロロ(エチル)メチルシラン、ジクロロ(メチル)プロピルシラン、ジクロロ(ブチル)メチルシラン、ジクロロ(メチル)ペンチルシラン、ジクロロ(メチル)オクチルシラン、ジクロロ(テトラドデシル)メチルシラン、ジクロロ(クロロメチル)メチルシラン、2−ジクロロ(クロロエチル)メチルシラン、ジクロロ(3−クロロプロピル)メチルシラン、4−ジクロロ(クロロブチル)メチルシラン、ジクロロ(シクロヘキシル)メチルシラン、ジクロロ(3−クロロシクロヘキシル)メチルシラン、ジクロロ(フェニル)メチルシラン、ジクロロ(ナフチル)メチルシラン、ジクロロ(キシリル)メチルシランジクロロ(m−クロロフェニル)メチルシラン、ジクロロ(4−クロロナフチル)メチルシラン、ジクロロ(クロロトリル)メチルシラン、ジクロロ(クロロキシリル)メチルシラン、ジエチルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジペンチルジクロロシラン、ジクロロメチルジクロロシラン、ビス−(2−クロロエチル)ジクロロシラン、ビス−(3−クロロプロピル)ジクロロシラン、ジへキシルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、ビス−(3−クロロシクロヘキシル)ジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジナフチルジクロロシラン、ビス−(3−クロロフェニル)ジクロロシラン、ビス−(4−クロロナフチル)ジクロロシラン、クロロ(トリメチル)シラン、クロロ(トリエチル)シラン、クロロ(トリプロピル)シラン、クロロ(トリブチル)シラン、クロロ(トリペンチル)シラン、クロロ(トリへキシル)シラン、クロロ(トリヘプチル)シラン、クロロ(トリオクチル)シラン、クロロ(トリノニル)シラン、クロロ(トリドデシル)シラン、クロロ(トリテトラドデシル)シラン、トリス(クロロメチル)クロロシラン、トリス(2−クロロエチル)クロロシラン、トリス(3−クロロプロピル)クロロシラン、トリス(4−クロロブチル)クロロシラン、(トリシクロヘキシル)クロロシラン、トリス(3−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、トリス(3−クロロシクロヘキシル)クロロシラン、クロロ(トリフェニル)シラン、クロロ(トリナフチル)シラン、トリス(3−クロロフェニル)クロロシラン、トリス−(クロロナフチル)クロロシラン、クロロ(ジエチル)メチルシラン、クロロ(メチル)ジプロピルシラン、クロロ(ジブチル)メチルシラン、クロロ(メチル)ジペンチルシラン、クロロ(メチル)ジオクチルシラン、クロロ(ジテトラドデシル)メチルシラン、クロロ(ビス−クロロメチル)メチルシラン、クロロ(ビス−2−クロロエチル)メチルシラン、クロロ(ビス−3−クロロプロピル)メチルシラン、クロロ(ビス−4−クロロブチル)メチルシラン、クロロ(シクロヘキシル)メチルシラン、クロロ(ビス−3−クロロシクロヘキシル)メチルシラン、クロロ(ジフェニル)メチルシラン、クロロ(メチル)ジナフチルシラン、クロロ(ジキシリル)メチルシラン、クロロ(ジ−m−クロロフェニル)メチルシラン、ビス−4−クロロナフチル(クロロ)メチルシラン、クロロ(ジクロロトリル)メチルシラン、クロロ(ジクロロキシリル)メチルシランが挙げられる。
【0045】
一実施形態において、粗反応生成物は、50ppm未満のBCl
3又はAlCl
3を含み、あるいは、非検出量のBCl
3又はAlCl
3が粗反応生成物中に存在し、あるいは、本方法は、BCl
3又はAlCl
3が当該方法において添加されないことを条件とし、あるいは本方法で反応するBCl
3又はAlCl
3が50ppm未満であることを条件とする。BCl
3及びAlCl
3は、粗反応生成物からの除去がより困難であり、その後の処理において副生成物の生成を触媒し得ることから、本発明の方法ではBCl
3及びAlCl
3を避ける必要がある。この問題は、後続の処理工程の前の触媒除去が容易という、不均一触媒使用の利益を低減する。
【0046】
本発明の方法は、既知のプロセスよりも低圧及び低温で、より高い収率、より少ない副生成物、及びより経済的に、オルガノハロシランを製造する。加えて、本方法は、粗反応生成物から容易に除去できる不均一触媒を用いる。
【0047】
本発明の方法のオルガノハロシラン生成物は、多数の商業的用途を有するアリールシロキサンなどの多種の市販製品を製造するための前駆体として使用される。
【実施例】
【0048】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に説明され、本発明の実施形態は、この非限定的な実施例の特徴及び限定の任意の組合せを含んでもよい。
【0049】
下記の実施例は、本発明の具体的な実施形態を示すために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明者により本発明の実施において良好に機能することが発見された技術を表し、したがって、その実施のための態様を構成するとみなすことができるものと当業者に理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示を考慮すると、開示される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでもなお本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を得ることができることを理解するべきである。特記のない限り、全てのパーセンテージは重量%(wt.%)である。単位「百万分率」(ppm)が実施例で使用されるとき、それは重量に基づく。以下の表に、実施例で使用される略称を記載する。
【0050】
【表1A】
【0051】
アルミナ/ボリア触媒の調製方法
1.91gのH
3BO
3(乳鉢及び乳棒で予備粉砕したもの)を6.83gのグリセロールと共に陶器の皿に入れ、粘稠なペーストが得られるまでスパチュラで撹拌した(5〜10分)。次いで、65.63gのAl(NO
3)
3・9H
2O(乳鉢及び乳棒で予備粉砕したもの)を、上記混合物に添加し、2分間撹拌した。4.08gの脱イオン水を添加し、粘稠なペーストが得られるまで撹拌した。次いで、この皿をホットプレート上で加熱し、90℃に加熱した時点で、黄色い蒸気(ニトレート)が観察された。加熱を2時間継続し、水並びにニトレートを除去した。次いで、皿を150℃の空気循環式オーブン内に2時間置いた。オーブンから取り出したとき、材料は、黄色く膨らんだ固体であった。次いで、皿を400℃の空気循環式オーブン内に一晩置いた。得られた触媒は、15%(w/w)ボリア及び85%(w/w)アルミナであった。アルミナ及びボリアを含むその他の触媒を、実施例に記載のボリア及びアルミナのパーセンテージを提供するように試薬の量を変えたことを除いて、同じ方法で調製した。
【0052】
GCによる分析
熱伝導率検出器(TCD)並びに30m DB−210カラム(内径0.25mm及び膜厚0.50μm)を取付けたHP5890及びHP6890ガスクロマトグラフ(GC)を用いて分析を実施した。
【0053】
実施例に使用する前の触媒及び反応物質の調製
全ての反応物質混合物は、N
2パージしたグローブバッグ内で調製した。触媒試料は、N
2気流下、300〜400℃で一晩乾燥することによって調製した。触媒試料を、まだ温かい間に、N
2パージ下でバイアル瓶に移し、密封した。触媒が入ったバイアル瓶を、次に、N
2パージしたグローブバッグ内のデシケータに移した。触媒を移すためのバイアル瓶は、使用前に、空気循環オーブン内で150℃で一晩乾燥し、使用直前にオーブンから取り出した。
【0054】
実施例で使用した実験手順
触媒及び反応物質混合物をガラス管に装填し、N
2パージしたグローブバッグ内で一端を封止し、他端をゴムセプタムで仮封止した。ガラス管には、液体の場合には触媒及びその他の全ての反応物質の重量に基づいて1%(w/w)の触媒が含まれ、固体の場合には一定の目視量(consistent visual amount)(触媒及び反応物質の重量に基づいて約1%(w/w))が含まれた。ゴムセプタムで封止した装填済みガラス管を、次に、グローブバッグから取り出し、開放端のゴム栓の下をガラス用バーナーで封止した。反応物質及び触媒が入った封止ガラス管を、次に、金属加熱ブロック内で、所与の温度及び時間で加熱して反応を実施した。加熱ブロックから取り出した後、ガラス管を最初に室温、次にドライアイス/アセトン浴中で冷却した。低温の間にガラス管を割って開封し、反応混合物が完全に解凍するまでゴムセプタムで仮封止した。解凍後、反応生成物をガラス管反応器から分析用バイアル瓶に移した。報告されているガラス管内圧力は絶対圧力であり、連続操作時の圧力は、ゲージ圧である。
【0055】
実施例1
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれ20%ボリア/80%アルミナ及び黒鉛結合剤を含む触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表1Bに示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積比率(GC−TCD面積%)として表す。
【0056】
【表1B】
【0057】
実施例2:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれ15%ボリア/85%アルミナ−黒鉛結合剤触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表2に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0058】
【表2】
【0059】
実施例3:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれ20%ボリア/80%アルミナ−ステアリン酸アルミニウム結合剤触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表3に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0060】
【表3】
【0061】
実施例4:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−1アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表4に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0062】
【表4】
【0063】
実施例5:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−3アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表5に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0064】
【表5】
【0065】
実施例6:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−4アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表6に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0066】
【表6】
【0067】
実施例7:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−5アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表7に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0068】
【表7】
【0069】
実施例8:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−4Bアルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表8に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0070】
【表8】
【0071】
実施例9:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−9アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表9に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0072】
【表9】
【0073】
実施例10:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS332アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表10に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0074】
【表10】
【0075】
実施例11:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS308アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表11に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0076】
【表11】
【0077】
実施例12:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS501(T−2555)アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表12に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0078】
【表12】
【0079】
実施例13:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS601(T−2555)アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表13に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0080】
【表13】
【0081】
実施例14:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれアルミナ担持0.5%白金触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表14に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0082】
【表14】
【0083】
実施例15:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS332HTアルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表15に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0084】
【表15】
【0085】
実施例16:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれα−アルミナ/ベーマイトナノシート(C18−NAAC−7)触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表16に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0086】
【表16】
【0087】
実施例17:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれ100%α−アルミナナノシート(C04−NAAC−18)触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、275℃、推定内圧10,342kPaで、表17に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0088】
【表17】
【0089】
実施例18:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれ高多孔性酸化ジルコニウム(MEL Chemicals XZO 1501/23)触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表18に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0090】
【表18】
【0091】
実施例19:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれ硫酸化ジルコニウム(MEL Chemicals XZO 1715/04)触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表19に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0092】
【表19】
【0093】
実施例20:
2:1のモル比のベンゼンとメチルジクロロシランとを含有する混合物を、それぞれ酸化タングステンジルコニウム(MEL Chemicals XZO 2056/02)触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、250℃、推定内圧10,342kPaで、表20に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0094】
【表20】
【0095】
実施例21
内径0.95cmの固定床反応器に、粉砕したClariant、CS331−4活性アルミナ3.0gを装填した。触媒材料を、反応器の両端の適所に、ガラスウールの層及び5gの3mmホウケイ酸ガラスビーズにより保持した。反応器にHeを流し、触媒床の温度を300℃で4時間維持することによって触媒を乾燥した。
【0096】
下記の表21は、同じ触媒床を使用し、250℃の一定反応器温度で、供給混合物としてモル比2:1のベンゼンとMeHSiCl
2を用いて、種々の圧力で実施した5通りの8時間の反応によるPhMeSiCl
2の生成結果を含む。それぞれの反応の終了時に、系に乾燥ベンゼンを流して洗い、冷却し、次に反応を実施するまで乾燥窒素環境下に維持した。反応器系への液体供給速度は5mL/分であった。供給物は、固定床反応器自体の前にプレヒーターに通した。固定床反応器は、触媒床内温度を250℃に維持するために必要に応じて加熱した。
【0097】
【表21】
【0098】
実施例22
固定床反応器を、内径5.08cm、フランジ間の加熱長さ91.44cmで構築した。供給材料は、固定床反応器内に供給する前に予備加熱した。系への一般的な供給速度は20mL/分であり、この結果、触媒床内での滞留時間は約17分であった。
【0099】
反応器は、7.62cmのホウケイ酸ガラスビーズ、続いて91.44cmのClariant CS−331−1、0.318cm(1/8”)γ−アルミナ押出物、次いで7.62cmのホウケイ酸ガラスビーズにより、底部から頂部まで充填した。次いで、反応器温度を400℃に維持しながら、反応器の底部から頂部まで、N
2を100mL/分の流量で流すことによって、触媒を一晩乾燥した。
【0100】
反応器への供給混合物は、2:1のモル比のベンゼンとMeHSiCl
2とからなっていた。供給速度は20mL/分であった。システムには、反応器を出る粗反応生成物を30分毎に試料採取してTCD検出器を用いてGC分析するためのオンラインGCシステムを装備した。反応器は、250℃及び8274kPa±69kPaで16時間操作した。PhMeSiCl
2の量は、反応のこの部分の間に採取した粗反応生成物試料で、3.0±0.2GC−TCD面積%であった。
【0101】
反応器温度を270℃まで上げ、反応を更に8時間継続し、粗生成物の試料を30分毎に採取した。この期間中に回収した粗生成物試料は、7.5±0.3GC−TCD面積%を含有した。
【0102】
実施例23
B対Alのモル比が1:4のボリアアルミナの複合体を含む不均一触媒数kgを、上記「アルミナ/ボリア触媒の調製方法」の手順を用いて調製した。この不均一触媒材料を、黒鉛又はステアリン酸アルミニウム結合剤のいずれかを用いて製造した0.32×0.32cmの錠剤形態として、固定床反応器内で試験した。反応器系は、実施例22で記載したものと同じであった。
【0103】
反応は、ステアリン酸アルミニウム結合剤を使用して製造した0.32×0.32cmの錠剤を用いて実施した。反応器に、26cmのホウケイ酸ガラスビーズ及びガラスウール層、続いて25cmの触媒錠剤、次にガラスウール層及び更に51cmのガラスビーズを装填した。反応器を150℃に維持しながら、固定床の底部から頂部へ乾燥N
2を18時間流すことによって、床を乾燥した。
【0104】
供給混合物は、1.5:1.0のモル比のベンゼンとMeHSiCl
2とであった。反応器は、250℃の温度及び8274kPaで、合計28時間操作した。反応器からの粗生成物を定期的に試料採取し、TCD検出器付きGCを用いて分析した。粗生成物は、反応開始時には14GC−TCD面積%のPhMeSiCl
2を含有し、ゆっくりと低下して8時間後に約10GC−TCD面積%になり、残りの反応時間は比較的一定に保たれた。
【0105】
実施例24
この実施例では、例外を特に示さない限り、実施例23で使用したものと同じ条件、反応器、パラメータ及び反応物質を使用した。反応は、黒鉛結合剤を用いて調製した0.32×0.32cm錠剤を用いて実施した。反応器に、30cmのホウケイ酸ガラスビーズ及びガラスウール層、続いて41cmの触媒錠剤、次にガラスウール層及び更に30cmのガラスビーズを装填した。反応器を150℃に維持しながら、固定床の底部から頂部へ乾燥N
2を18時間流すことによって、床を乾燥した。
【0106】
供給混合物は、1.53:1.0のモル比のベンゼンとMeHSiCl
2とであった。反応器は、250℃の温度及び8274kPaで、合計26時間操作した。反応器からの粗生成物を1時間毎に試料採取し、TCD検出器付きGCを用いて分析した。系が定常状態に達した後、粗生成物は13.5〜14.0GC−TCD面積%のPhMeSiCl
2を含有していた。PhMeSiCl
2の量は、反応の間徐々に減少した。20時間後、粗生成物は10.0GC−TCD面積%のPhMeSiCl
2を含有していた。
【0107】
実施例25
ガラス管内でのベンゼンとMeHSiCl
2との反応にγ−アルミナの試料を触媒として使用した。反応は、2:1のモル比のベンゼンとMeHSiCl
2とを用いて、250℃で16時間実施した。反応に使用する触媒は、反応前の触媒の処理が異なっていた。2種の触媒試料は酸処理なしで乾燥し、2種の試料は酸処理ありで乾燥した。非酸処理金属酸化物触媒試料は、He気流下で300〜325℃で一晩(〜16時間)乾燥した。酸処理した金属酸化物触媒は、最初に、Heと無水HClとの50/50混合物の気流下、300〜325℃で4〜5時間、その後He気流下300〜325℃で一晩(〜16時間)乾燥した。2種類の処理方法を用いた反応結果を下の表22に示す。全ての反応パラメータは、反応で触媒として使用する前の触媒処理を除いて、同一であった。結果は、ベンゼンとMeHSiCl
2との反応において、触媒として使用する前に、触媒の酸処理を乾燥と組み合わせた場合、乾燥のみと比較してPhMeSiCl
2の収率が改善されたことを示す。
【0108】
【表22】
【0109】
実施例26
2:1のモル比のシクロヘキサンとメチルジクロロシランとを含有する混合物をCS−331−4、γ−アルミナ触媒と共に一連のガラス管反応器に入れた。ガラス管反応器を密封し、275℃、推定内圧8.3MPa(1200psi)で、16時間加熱した。次いで、ガラス管反応器を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。粗生成物混合物は、19.0GC−TCD面積%のシクロヘキシルメチルジクロロシラン(ガスクロマトグラフ/質量分光計(GC/MS)分析により検証)を含有した。
【0110】
実施例27
2:1のモル比のシクロヘキサンとメチルジクロロシランとを含有する混合物をPP−8015、ジルコニア触媒と共に一連のガラス管反応器に入れた。ガラス管反応器を密封し、8.3MPa(1200psi)の予想内圧で、275℃で16時間加熱した。次いで、ガラス管反応器を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。粗生成物混合物は、15.2GC−TCD面積%のシクロヘキシルメチルジクロロシラン(GC/MS分析により検証)を含有した。
【0111】
実施例28
1.55:1のモル比のオクテンとジメチルクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−4アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、150℃、推定内圧10,342kPaで、下記の表23に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0112】
【表23】
【0113】
実施例29
1.55:1のモル比のオクテンとジメチルクロロシランとを含有する混合物を、それぞれCS331−4アルミナ触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、100℃、推定内圧10,342kPaで、下記の表24に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0114】
【表24】
【0115】
実施例30
1.55:1のモル比のオクテンとジメチルクロロシランとを含有する混合物を、それぞれPP−8015ジルコニア触媒と共に一連のガラス管に入れ、管を密封した。上記ガラス管を、100℃、推定内圧10,342kPaで、下記の表25に示す時間にわたって加熱した。表示時間の時点で、ガラス管を冷却し、内容物をGC−TCDで分析した。結果を、GC−TCD分析で画定される曲線の下側の面積%として表す。
【0116】
【表25】