(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469257
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】歩行者保護用自動車ヒンジ及びその展開方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/38 20110101AFI20190204BHJP
B62D 25/10 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
B60R21/38
B62D25/10 E
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-558683(P2017-558683)
(86)(22)【出願日】2016年6月3日
(65)【公表番号】特表2018-514456(P2018-514456A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】US2016035769
(87)【国際公開番号】WO2017003641
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年11月9日
(31)【優先権主張番号】62/186,127
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056403
【氏名又は名称】マルチマティック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MULTIMATIC INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】パターソン、 パトリック
【審査官】
飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−515326(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0074284(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02796328(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0084942(US,A1)
【文献】
特開2003−040143(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0227818(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0259531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/38
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者保護用自動車ヒンジであって、
第1ヒンジ部分と、
部材ピンによって互いに固定された第1部材及び第2部材を含む第2ヒンジ部分であって、前記第1部材と前記第2部材の一方が反対側の第1端部及び第2端部を備えたスロットを有する第2ヒンジ部分と、
互いに間隔を置いて配置され且つ各々が前記第1ヒンジ部分と前記第1部材に旋回可能に相互に連結された第1リンク及び第2リンクであって、第1リンクと第2リンクは前記第1ヒンジ部分と前記第2ヒンジ部分が通常閉鎖ボンネット位置と通常開放ボンネット位置との間で互いに対して移動することを可能にするように構成されている第1リンク及び第2リンクと、
前記第1端部と前記第2端部の一方に支持されるクリップと、前記第1部材と前記第2部材の他方に支持されるストップピンとを含む解放アセンブリであって、前記ストップピンは前記通常閉鎖位置と前記通常開放位置において前記クリップ内に捕捉され、前記ストップピンは、衝突入力に応答して前記クリップを破壊するように構成され、前記第2部材が前記第1部材に対して前記部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回すること及び前記ストップピンが前記スロットの前記第2端部まで移動することを可能にする解放アセンブリと、
前記衝突入力に応答して前記第2部材と係合し且つ前記第2部材を前記第1部材に対して上方に移動させて前記クリップを壊すように構成されたアクチュエーターを含むアクチュエーターシステムと
を含むヒンジ。
【請求項2】
前記第1部材が前記スロットを含み、前記ストップピンが前記第2部材に堅固に取り付けられている、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記第1ヒンジ部分は車体に取り付けられるように構成され、前記第2ヒンジ部分はボンネットに取り付けられるように構成され、前記第2端部は前記第1端部より上に配置されている、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記クリップはプラスチック材料から構成され、前記クリップは壊れるように構成された弱化領域を提供する脆弱な連結部を有する、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項5】
前記第1部材と前記第2部材の一方にあるスプリングタブと、前記第1部材と前記第2部材の他方にある傾斜部とを含む保持アセンブリであって、前記スプリングタブと前記傾斜部は前記通常閉鎖ボンネット位置と前記通常開放ボンネット位置において重なり合う関係にあり、前記スプリングタブと前記傾斜部は前記第2部材が衝突入力に応答して前記第1部材に対して前記部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回する際に互いに対してスライドするように構成され、前記スプリングタブは前記開放ボンネット衝突位置において保持面に係合して前記第1部材と前記第2部材との間の角度位置を維持する保持アセンブリを含む、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項6】
歩行者保護用自動車ヒンジであって、
第1ヒンジ部分と、
部材ピンによって互いに固定された第1部材及び第2部材を含む第2ヒンジ部分であって、前記第1部材と前記第2部材の一方は反対側の第1端部及び第2端部を備えたスロットを有する第2ヒンジ部分と、
互いに間隔を置いて配置され且つ各々が前記第1ヒンジ部分と前記第1部材に旋回可能に相互に連結された第1リンク及び第2リンクであって、第1リンクと第2リンクは前記第1ヒンジ部分と前記第2ヒンジ部分が通常閉鎖ボンネット位置と通常開放ボンネット位置との間で互いに対して移動することを可能にするように構成されている第1リンク及び第2リンクと、
前記第1部材と前記第2部材の一方にあるスプリングタブと、前記第1部材と前記第2部材の他方にある傾斜部とを含む保持アセンブリであって、前記スプリングタブと傾斜部は前記通常閉鎖ボンネット位置と前記通常開放ボンネット位置において重なり合う関係にあり、前記スプリングタブと前記傾斜部は前記第2部材が衝突入力に応答して前記第1部材に対して前記部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回する際に互いに対してスライドするように構成され、前記スプリングタブは前記開放ボンネット衝突位置において保持面に係合して前記第1部材と前記第2部材との間の角度位置を維持する保持アセンブリと
を含む、ヒンジ。
【請求項7】
前記スプリングタブと前記傾斜部はそれぞれ、互いに係合する第1表面及び第2表面を提供し、前記第1表面と前記第2表面は、前記衝突入力に応答して前記第2部材が前記第1部材に対して展開する間に増大する抵抗力を提供するように構成されている、請求項6に記載のヒンジ。
【請求項8】
前記スプリングタブは、前記第2部材を前記第1部材に対して前記部材ピンの周りで旋回させるときに前記第1部材から離れる方向にそらされるように構成されている、請求項6に記載のヒンジ。
【請求項9】
前記スプリングタブは、前記傾斜部と重なり合う関係にある前記スプリングタブの位置を超えて据え付け位置まで前記第1部材に向かってそらされるように構成されている、請求項6に記載のヒンジ。
【請求項10】
前記スプリングタブは前記第1部材に設けられた保持面に当接する端部を含む、請求項6に記載のヒンジ。
【請求項11】
前記第1端部と前記第2端部の一方に支持されるクリップと、前記第1部材と前記第2部材の他方に支持されるストップピンとを含む解放アセンブリであって、前記ストップピンは前記通常閉鎖位置と前記通常開放位置において前記クリップ内に捕捉され、前記ストップピンは、衝突入力に応答して前記クリップを破壊するように構成され、前記第2部材が前記第1部材に対して前記部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回すること及び前記ストップピンが前記スロットの前記第2端部まで移動することを可能にする解放アセンブリを含む、請求項6に記載のヒンジ。
【請求項12】
歩行者保護用自動車ヒンジを展開する方法であって、
衝突入力に応答して車両ボンネットを上方に駆動するようにアクチュエーターを作動させるステップと、
ストップピンを用いてクリップを破壊するステップであって、第2部材を第1部材に対して部材ピンの周りで旋回させる間、前記ストップピンをスロットに沿って移動させるステップと、
車両ボンネットを開放ボンネット衝突位置に保持するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記破壊するステップを開始するために前記第2部材を前記アクチュエーターに係合させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ストップピンをスロット内で下方に移動させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記保持するステップは、スプリングタブを保持面に据え付けることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
歩行者保護用自動車ヒンジを展開する方法であって、
衝突入力に応答して車両ボンネットを上方に駆動するようにアクチュエーターを作動させるステップと、
第2部材を第1部材に対して部材ピンの周りで旋回させる間、傾斜部に対してスプリングタブをスライドさせるステップと、
前記スプリングタブを保持面に据え付けることによって前記車両ボンネットを開放ボンネット衝突位置に保持するステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記スプリングタブをスライドさせるステップは、前記スプリングタブを前記傾斜部によって前記第1部材から離れる方向にそらすことを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記保持するステップは、前記開放ボンネット衝突位置を維持するために、前記スプリングタブの端部を前記第1部材の保持面に据え付けることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ストップピンを用いてクリップを破壊するステップであって、前記作動させるステップに応答して第2部材を第1部材に対して前記部材ピンの周りで旋回させる間、前記ストップピンをスロットに沿って移動させるステップを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歩行者保護用自動車ヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年6月29日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている、米国仮特許出願第61/186,127号の優先権を主張する。
【0003】
自動車産業は、自動車への歩行者保護機能の採用を拡大している。このような機能の1つは、歩行者との正面衝突時に車両の前方、特にボンネットをより柔軟にすることである。
【0004】
ボンネットで歩行者の衝撃を吸収するための1つのアプローチは、ボンネットヒンジに関連するアクチュエーターを作動させてボンネットをわずかに持ち上げ、ボンネットとエンジンルームとの間に衝撃吸収帯を作り出すことである。一般的に、シートベルトプリテンショナーのような他の車両安全システムと共通のパイロテクニックアクチュエーターが使用される。
【0005】
ヒンジはそれらの通常の機能を維持する必要があるので、ヒンジは、通常のヒンジ作動状態の間はヒンジの構成要素間の所望の構造的関係を保持するが、アクチュエーターを作動させたときにヒンジの特定の要素が互いに対して移動することを選択的に可能にする、解放アセンブリを組み込んでいる。ボンネットが歩行者衝突事故の際にわずかに持ち上げられると、パイロテクニックアクチュエーターは作動後に(安全上の理由により)圧力を解放してボンネットをこのわずかに開いた位置に維持することができないため、ボンネットを少し開いたままに保持しなければならない。
【0006】
より小排気量のエンジンを有する車両における別のアプローチは、歩行者衝突事故の際にボンネットを閉じたままにする。閉じたボンネットと小型エンジンとの間の十分な衝撃吸収帯は、歩行者衝突の際にアクチュエーターを必要とせずにボンネットがエンジンルーム内に倒れ込むことを可能にする。
【0007】
小型エンジン用途のためのボンネットヒンジの一例は、上側ヒンジと下側ヒンジとを相互に連結する一対のリンクを利用する。リンクの一方が細長いスロットを含み、細長いスロット内にクリップが保持される。クリップは、通常のヒンジ及びボンネット動作時にピボット点として機能するピンを受け入れる。歩行者衝突事故の際、クリップは破断し、ボンネットがつぶれるときにピンがスロット内で上方に移動することを可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な一実施形態において、歩行者保護用自動車ヒンジが、第1ヒンジ部分を含む。第2ヒンジ部分が、部材ピンによって互いに固定された第1部材及び第2部材を含む。第1部材と第2部材の一方が、反対側の第1端部及び第2端部を備えたスロットを有する。第1リンクと第2リンクが互いに離間し、それぞれ第1ヒンジ部分と第1部材に旋回可能に相互に連結されている。第1リンクと第2リンクは、第1ヒンジ部分と第2ヒンジ部分が通常閉鎖ボンネット位置と通常開放ボンネット位置との間で互いに対して移動することを可能にするように構成されている。解放アセンブリが、第1端部と第2端部の一方に支持されるクリップと、第1部材と第2部材の他方に支持されるストップピンとを含む。ストップピンは、通常閉鎖位置と通常開放位置においてクリップ内に捕捉されている。ストップピンは、衝突入力に応答してクリップを破壊するように構成され、第2部材が第1部材に対して部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回すること及びストップピンがスロットの第2端部まで移動することを可能にする。アクチュエーターを含むアクチュエーターシステムは、第2部材と係合し、衝突入力に応答して第2部材を第1部材に対して上方に移動させ、クリップを破壊するように構成されている。
【0009】
上記の更なる実施形態において、第1部材がスロットを含み、ストップピンが第2部材に堅固に取り付けられている。
【0010】
上記のいずれかの更なる実施形態において、第1ヒンジ部分は、車体に取り付けられるように構成されている。第2ヒンジ部分は、ボンネットに取り付けられるように構成されている。第2端部は、第1端部より上に配置されている。
【0011】
上記のいずれかの更なる実施形態において、クリップはプラスチック材料から構成されている。クリップは、壊れるように構成された弱化領域を提供する脆弱な連結部を有する。
【0012】
上記のいずれかの更なる実施形態には、第1部材と第2部材の一方にあるスプリングタブと、第1部材と第2部材の他方にある傾斜部とを含む保持アセンブリがある。スプリングタブと傾斜部は、通常閉鎖ボンネット位置と通常開放ボンネット位置において重なり合う関係にある。スプリングタブと傾斜部は、第2部材が衝突入力に応答して第1部材に対して部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回する間、互いに対してスライドするように構成されている。スプリングタブは、開放ボンネット衝突位置において保持面と係合し、第1部材と第2部材との間の角度位置を維持する。
【0013】
別の例示的な実施形態において、歩行者保護用自動車ヒンジが、第1ヒンジ部分を含む。第2ヒンジ部分が、部材ピンによって互いに固定された第1部材及び第2部材を含む。第1部材と第2部材の一方が、反対側の第1端部及び第2端部を備えたスロットを有する。第1リンクと第2リンクが互いに離間し、それぞれ第1ヒンジ部分と第1部材に旋回可能に相互に連結されている。第1リンクと第2リンクは、第1ヒンジ部分と第2ヒンジ部分が通常閉鎖ボンネット位置と通常開放ボンネット位置との間で互いに対して移動することを可能にするように構成されている。保持アセンブリが、第1部材と第2部材の一方にあるスプリングタブと、第1部材と第2部材の他方にある傾斜部とを含む。スプリングタブと傾斜部は、通常閉鎖ボンネット位置と通常開放ボンネット位置において重なり合う関係にある。スプリングタブと傾斜部は、第2部材が衝突入力に応答して第1部材に対して部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回する間、互いに対してスライドするように構成されている。スプリングタブは、開放ボンネット衝突位置において保持面と係合し、第1部材と第2部材との間の角度位置を維持する。
【0014】
上記のいずれかの更なる実施形態において、スプリングタブと傾斜部はそれぞれ、互いに係合する第1表面及び第2表面を提供し、第1表面と第2表面は、第2部材が衝突入力に応答して第1部材に対して展開する間に増大する抵抗力を提供するように構成されている。
【0015】
上記のいずれかの更なる実施形態において、スプリングタブは、第2部材を第1部材に対して部材ピンの周りで旋回させるときに第1部材から離れる方向にそらされるように構成されている。
【0016】
上記のいずれかの更なる実施形態において、スプリングタブは、傾斜部と重なり合う関係にあるスプリングタブの位置を越えて据え付け位置まで第1部材に向かってそらされるように構成されている。
【0017】
上記のいずれかの更なる実施形態において、スプリングタブは、第1部材に設けられた保持面に当接する端部を含む。
【0018】
上記のいずれかの更なる実施形態において、クリップを含む解放アセンブリが第1端部と第2端部の一方に支持されている。ストップピンが、第1部材と第2部材の他方によって支持されている。ストップピンは、通常閉鎖位置と通常開放位置においてクリップ内に捕捉されている。ストップピンは、衝突入力に応答してクリップを破壊するように構成され、第2部材が第1部材に対して部材ピンの周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回すること及びストップピンがスロットの第2端部まで移動することを可能にする。
【0019】
別の例示的な実施形態において、歩行者保護用自動車ヒンジを作動させる方法が提供される。この方法は、衝突入力に応答して車両ボンネットを上方に駆動するようにアクチュエーターを作動させるステップを含む。クリップがストップピンによって破壊され、ストップピンは、第2部材を第1部材に対して部材ピンの周りで旋回させる間、スロットに沿って移動させられる。車両ボンネットは、開放ボンネット衝突位置に保持される。
【0020】
上記のいずれかの更なる実施形態において、第2部材は、アクチュエーターと係合して破壊するステップを開始する。
【0021】
上記のいずれかの更なる実施形態において、ストップピンは、スロット内で下方に移動させられる。
【0022】
上記のいずれかの更なる実施形態において、保持するステップは、スプリングタブを保持面に据え付けることを含む。
【0023】
別の例示的な実施形態において、歩行者保護用自動車ヒンジを作動させる方法が提供される。この方法は、衝突入力に応答して車両ボンネットを上方に駆動するようにアクチュエーターを作動させるステップを含む。スプリングタブが、第2部材を第1部材に対して部材ピンの周りで旋回させる間、傾斜部に対してスライドする。車両ボンネットは、スプリングタブを保持面に据え付けることによって開放ボンネット衝突位置に保持される。
【0024】
上記のいずれかの更なる実施形態において、スプリングタブがスライドするステップは、スプリングタブを傾斜部によって第1部材から離れる方向にそらすこと含む。
【0025】
上記のいずれかの更なる実施形態において、保持ステップは、開放ボンネット衝突位置を維持するためにスプリングタブの端部を第1部材の保持面に据え付けることを含む。
【0026】
上記のいずれかの更なる実施形態において、クリップがストップピンによって壊され、ストップピンは第2部材を第1部材に対して部材ピンの周りで旋回させる間、スロットに沿って移動させられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示は、添付の図面に関連して検討するときに以下の詳細な説明を参照することによって更に理解されることができる。
【
図1】ボンネットを支持する例示的な歩行者保護用自動車ヒンジの側面図である。
【
図2】
図1に示されるヒンジの、反対側からの、ボンネットが通常閉鎖ボンネット位置にある位置での斜視図である。
【
図3】
図2に示されるヒンジの、開放ボンネット衝突位置にあるボンネットに対応する位置での斜視図である。
【
図4A】クリップを露出させるためにストップピンが除去された第2ヒンジ部分の第1部材と第2部材を示す。
【
図4B】開放ボンネット衝突位置に対応する、クリップが壊された
図4Aに示される第1部材と第2部材を示す。
【
図5A】通常のヒンジ作動状態にある保持アセンブリを示す。
【
図5B】
図5Aと比較して反対側からの保持アセンブリを示す。
【
図6A】開放ボンネット衝突位置に対応する、タブが保持面に据え付けられた保持アセンブリを示す。
【0028】
それらの様々な態様又はそれぞれの個々の特徴のいずれかを含む前の段落、請求項、又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替案は、別々に又は任意の組み合わせで採用することができる。一実施形態に関連して説明した特徴は、これらの特徴が相容れないものでない限り、すべての実施形態に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
車両10の一部が
図1に示されている。車両10は、エンジンルームの側壁である車体14に対してヒンジ12によって支持されているボンネット16を含む。ボンネット16は、通常閉鎖ボンネット位置を提供するために、位置P1において車体14に対して閉じられている。ボンネット16は、ヒンジ12の通常のヒンジ動作状態の間は、メンテナンスのためにエンジンルームへのアクセスを提供するために通常開放ボンネット位置に対応する全開位置P2まで開く。
【0030】
歩行者衝突事故の際、ボンネット16は、歩行者の衝撃をよりよく吸収し、歩行者保護を強化するために、開放ボンネット衝突位置に対応する位置P3まで部分的に持ち上げられる。
【0031】
ヒンジ12は、車体14に取り付けられた第1ヒンジ部分18を含む。第1リンク22と第2リンク24によって第1ヒンジ部分18に第2ヒンジ部分20が接続され、第1リンク22と第2リンク24はそれぞれ連結ピン26によって第1ヒンジ部分18と第2ヒンジ部分20に固定された反対側の端部を有し、連結ピン26はこれらの要素が互いに対して旋回することを可能にする。
【0032】
第2ヒンジ部分20は、通常のヒンジ動作状態の間は互いに一体となって移動する第1部材28及び第2部材30を含む。第1部材28と第2部材30は、歩行者衝突入力に応答して第1部材28に対する第2部材30の回転を可能にするように部材ピン32によって結合されている。
【0033】
アクチュエーターアセンブリ34は、コントローラー38と通信するアクチュエーター36を含む。センサー40が、車両の前方との歩行者衝突又は差し迫った歩行者衝突を示す情報を検出し、この情報をコントローラー38に伝達する。コントローラー38が歩行者の衝撃を吸収するためにボンネット16を位置P1から位置P3まで部分的に持ち上げることが望ましいと判断すると、アクチュエーター36は、矢印Fで示すように、第2部材30と係合するべくアクチュエーター36の一部を上方に駆動するように起動される。
【0034】
アクチュエーター36が第2部材30に衝突すると、解放アセンブリ42によって、第2部材30が第1部材28に対して部材ピン32の周りで回転することが可能になる。ボンネット16が位置P3に達すると、保持アセンブリ60が歩行者の衝撃を吸収するためにボンネット16を位置P3に維持する。
【0035】
図2〜4Bを参照すると、解放アセンブリ42は、第2部材30に設けられたスロット44を含む。クリップ46が第2部材30に取り付けられ、スロット44内で第1端部56に配置される。ストップピン48が第1部材28に固定され、クリップ46内の開口部を通って延びる首状部52を含む。首状部52の端部には頭部50が設けられている。
【0036】
アクチュエーター36が衝突入力に応答して始動すると、第2部材30は上方に駆動され、弱化領域を提供する脆弱な連結部54でプラスチッククリップ46を破壊する。ストップピン48は、開放ボンネット衝突位置においてスロット44の第2端部まで移動させられる。
【0037】
保持アセンブリ60は、
図2、3及び5A〜6Bにより詳細に示されている。一実施例において、保持アセンブリ60は、第2部材30から延び、通常のヒンジ動作状態の間、通常閉鎖ボンネット位置と通常開放ボンネット位置において第1部材28と重なり合うスプリングタブ62を含む。第1部材28は、スプリングタブ62の第1表面70と係合する第2表面72を提供する傾斜部64を含む。スプリングタブ62と傾斜部64は、第2部材30が衝突入力に応答して第1部材28に対して部材ピン32の周りで開放ボンネット衝突位置まで旋回するときに互いにスライドする。第1表面70と第2表面72との間に摩擦が生じる。摩擦は移動と共に増加し、ボンネット16が上方に移動するときに制御された減速及び制動力を提供する。この制御された減速は、歩行者衝突事故の際にシステムがその端止めに達するときに激しい「ボンネットのばたつき」及び歩行者接触加速度の増加を防止するために望ましい。従って、ボンネットをできるだけ早く押し上げ、且つできるだけゆっくりと停止させること(すべて約30ms以内)が望ましい。
【0038】
スプリングタブ62は、第2部材30を第1部材28に対して部材ピン32の周りで旋回させるとき、第1部材28から離れて第1方向D1にそれる。スプリングタブ62は、通常のヒンジ動作状態で傾斜部64と重なり合うときのスプリングタブ62の元の位置を越える据え付け位置まで第1部材28に向かって第2方向D2にそれる。
【0039】
スプリングタブは、開放ボンネット衝突位置P3において第1部材28の保持面66に係合する端部68を有し、端部68は、
図3に最も良く示されるように第1部材28と第2部材30との間の角度位置を維持する。
【0040】
特定の構成要素の配置が例示された実施形態において開示されているが、他の配置が本明細書により利益を得ることも理解されるべきである。特定のステップ順序が示され、説明され、特許請求されているが、ステップは、他に示されない限り任意の順序で実行され、分離され又は組み合わされることができ、それでもなお本発明から利益を得ることが理解されるべきである。
【0041】
様々な実施例が図に示される特定の構成要素を有しているが、本発明の実施形態はこれらの特定の組合せに限定されない。1つの実施例のいくつかの構成要素又は特徴を、他の実施例の特徴又は構成要素と組み合わせて使用することができる。
【0042】
例示的な実施形態が開示されているが、当業者は特定の変更が特許請求の範囲内にあることを認識するであろう。そのため、以下の特許請求の範囲は、その真の範囲と内容を決定するために検討されるべきである。