(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469263
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】セルフレベリングスラスト軸受リテーナ
(51)【国際特許分類】
F16C 17/06 20060101AFI20190204BHJP
F16C 35/02 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
F16C17/06
F16C35/02 Z
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-568285(P2017-568285)
(86)(22)【出願日】2016年6月13日
(65)【公表番号】特表2018-519487(P2018-519487A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】US2016037181
(87)【国際公開番号】WO2017003669
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年2月20日
(31)【優先権主張番号】14/789,265
(32)【優先日】2015年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506322271
【氏名又は名称】エリオット・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ゲスト,ネイル・エー・ジュニア
【審査官】
杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05288153(US,A)
【文献】
米国特許第05795076(US,A)
【文献】
米国特許第04456391(US,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0748595(KR,B1)
【文献】
米国特許第07237957(US,B2)
【文献】
米国特許第07311445(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/06
F16C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラスト軸受であり、
第1のリング及び第1のリングから放射状に間隔を置いて配置された第2のリングであって、その間に環状通路を画定する、第1のリング及び第2のリングと、
第2のリングの最上面から延在する少なくとも2つの軸受パッド留め配置であって、各々の軸受パッド留め配置が内部に留めチャネルを画定する、軸受パッド留め配置と、
軸受リテーナ内に周方向に間隔を置いて配置された少なくとも2つの軸受パッドと、
を含んだ軸受リテーナ、を含むスラスト軸受であって、
軸受パッドが、軸受パッド留め配置を使用して軸受リテーナ内に保持される、
スラスト軸受。
【請求項2】
各々の軸受パッドが、軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材を含む、請求項1に記載のスラスト軸受。
【請求項3】
少なくとも1つの留め部材が、ダウエルピンを含む、請求項2に記載のスラスト軸受。
【請求項4】
少なくとも1つの留め部材が、ばね付勢ダウエルピンを含む、請求項3に記載のスラスト軸受。
【請求項5】
留めチャネルが、
挿入チャネルと、
保持チャネルと、を含み、
挿入チャネルが、保持チャネルに対して実質的に垂直に延在する、請求項1に記載のスラスト軸受。
【請求項6】
軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材が、締まり嵌めを介して挿入チャネル内に挿入される、請求項5に記載のスラスト軸受。
【請求項7】
軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材が、隙間嵌めを介して保持チャネル内に保持される、請求項5に記載のスラスト軸受。
【請求項8】
保持チャネルの直径が、軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材の直径より大きい、請求項5に記載のスラスト軸受。
【請求項9】
留めチャネルが、逆Tスロットとして形成される、請求項1に記載のスラスト軸受。
【請求項10】
少なくとも1つの開口が、第1のリングの外周面に画定される、請求項1に記載のスラスト軸受。
【請求項11】
各々の軸受パッドが、軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材を含み、軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材が、第1のリングの外周面に画定された少なくとも1つの開口内に挿入される、請求項10に記載のスラスト軸受。
【請求項12】
第1のリングの外周面に画定された少なくとも1つの開口の直径が、軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材の直径より大きい、請求項11に記載のスラスト軸受。
【請求項13】
軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材が、摩擦嵌合を介して軸受パッド内に挿入される、請求項11に記載のスラスト軸受。
【請求項14】
スラスト軸受リテーナであり、
第1のリング及び第1のリングから放射状に間隔を置いて配置された第2のリングであって、その間に環状通路を画定する、第1のリング及び第2のリングと、
第2のリングの最上面から延在する少なくとも2つの軸受パッド留め配置であって、各々の軸受パッド留め配置が内部に留めチャネルを画定する、軸受パッド留め配置と、
を含むスラスト軸受リテーナ。
【請求項15】
留めチャネルが、逆Tスロットとして形成される、請求項14に記載のスラスト軸受リテーナ。
【請求項16】
留めチャネルが、
挿入チャネルと、
保持チャネルと、を含み、
挿入チャネルが、保持チャネルに対して実質的に垂直に延在する、請求項14に記載のスラスト軸受リテーナ。
【請求項17】
少なくとも1つの開口が、第1のリングの外周面に画定される、請求項14に記載のスラスト軸受リテーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年7月1日に出願されたUnited States Patent Application No. 14/789,265の利益を主張し、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、スラスト軸受に関し、より詳細には、セルフレベリングスラスト軸受リテーナに関する。
【0003】
発明の背景
回転軸受は、回転構造と接触面との間に境界面を提供することが当技術分野において周知である。軸受と回転構造との間の相互接続を最適化して、任意の軸方向のスラスト力を伝達するために、回転構造と接触面との間の境界面でパッド又は複数のパッドを使用することが多くの場合一般的である。
【0004】
軸受の負荷容量は、多くの場合、軸受のパッド境界面に大きく左右される。境界面は、軸受と回転構造との間に楔状の潤滑流体を創り出すように軸受のパッドを傾斜させることによって、軸方向のスラスト力の良好な伝達のために更に最適化され得ることが発見されている。低減した摩擦により増加する負荷容量は、楔の狭い部分において流体圧力を増加させることによって達成される。このような傾斜パッドスラスト軸受配置は、当技術分野において周知である。一般的に、このような傾斜パッド配置は、所与の回転方向の一方向又は二方向に傾斜することが可能なパッドのアレイを含み、これにより油の楔を創り出す。
【0005】
しかしながら、従来のスラスト軸受では、軸受組立体のリテーナ内でのパッドの組み立ては、多くの場合、困難であることが判明している。一般的な傾斜パッドスラスト軸受は、緩んでスラスト軸受と共に使用される機械内に紛れ込む可能性のある小さいパーツによる複雑な機械加工技術が必要なリテーナを有する。スラスト軸受配置のための一般的なリテーナは、各々のパッド内に挿入されるダウエル又はピンを含み、続いて、リテーナが、組み立ての間にリテーナ内にパッドを保持する。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、GardnerのU.S. Patent No. 5,288,153は、一般的なスラスト軸受リテーナ配置の一例を示す。回転シャフトによってパッドが周方向に移動することを防止するために、ダウエルピンが、パッド及びリテーナ内に挿入される。しかしながら、このスラスト軸受リテーナ配置におけるパッドは、スラスト軸受と共に使用される機械内にノッチから落下する可能性があり、機械に大きな損傷を引き起こす場合がある。
【0006】
したがって、スラスト軸受内における容易な組み立て及びパッドの留めを可能にするスラスト軸受リテーナの必要性が現在存在する。機械におけるスラスト軸受の使用の間のパッドの自由な移動を可能にしながら、組み立ての間にスラスト軸受パッドを適所に保持するスラスト軸受リテーナの必要性もまた現在存在する。
【0007】
概要
したがって、一般に、スラスト軸受、スラスト軸受リテーナ、及びスラスト軸受を組み立てる方法が、既存のスラスト軸受リテーナと関連した不備又は欠点のうちのいくつか又はすべてに対処して及び/又はいくつか又はすべてを克服するために提供される。
【0008】
一態様によれば、スラスト軸受は、第1のリング及び第1のリングから放射状に間隔を置いて配置された第2のリングであって、その間に環状通路を画定する、第1のリング及び第2のリングと、第2のリングの第1の面から延在する少なくとも2つの軸受パッド留め配置であって、各々の軸受パッド留め配置が内部に留めチャネルを画定する、軸受パッド留め配置と、軸受リテーナ内に周方向に間隔を置いて配置された少なくとも2つの軸受パッドと、を含んだ軸受リテーナを含む。軸受パッドは、軸受パッド配置を使用して軸受リテーナ内に保持され得る。
【0009】
各々の軸受パッドは、軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材を含むことができる。留めチャネルは、挿入チャネル及び保持チャネルを含むことができる。挿入チャネルは、保持チャネルに対して実質的に垂直に延在することができる。軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材は、締まり嵌めを介して挿入チャネル内に挿入され得る。軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材は、隙間嵌めを介して保持チャネル内に保持され得る。保持チャネルの直径は、軸受パッドの各々の側面に提供された少なくとも1つの留め部材の直径より大きくなり得る。少なくとも1つの留め部材は、ダウエルピンを含むことができる。少なくとも1つの留め部材は、ばね付勢ダウエルピンを含むことができる。留めチャネルは、逆Tスロットとして形成され得る。少なくとも1つの開口は、第1のリングの外周面に画定され得る。各々の軸受パッドは、軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材を含むことができる。軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材は、第1のリングの外周面に画定された少なくとも1つの開口内に挿入され得る。第1のリングの外周面に画定された少なくとも1つの開口の直径は、軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材の直径より大きくなり得る。軸受パッドの内面に提供された少なくとも1つの留め部材は、摩擦嵌合を介して軸受パッド内に挿入され得る。
【0010】
更なる態様によれば、スラスト軸受リテーナは、第1のリング及び第1のリングから放射状に間隔を置いて配置された第2のリングであって、その間に環状通路を画定する、第1のリング及び第2のリングと、第2のリングの第1の面から延在する少なくとも2つの軸受パッド留め配置と、を含むことができる。各々の軸受パッド留め配置は、内部に留めチャネルを画定することができる。留めチャネルは、逆Tスロットとして形成され得る。留めチャネルは、挿入チャネル及び保持チャネルを含むことができる。挿入チャネルは、保持チャネルに対して実質的に垂直に延在することができる。少なくとも1つの開口は、第1のリングの外周面に画定され得る。
【0011】
更なる態様によれば、スラスト軸受を組み立てる方法は、軸受パッドの第1の側面及び第2の側面に少なくとも1つの留め部材を挿入する工程と、軸受リテーナの第1の面から延在する対応する軸受パッド留め配置内に各々の軸受パッドの留め部材を挿入する工程と、を含むことができる。方法は、締まり嵌めを介して各々の軸受パッド留め配置内に各々の軸受パッドの留め部材を挿入する工程を更に含むことができる。方法は、各々の軸受パッドの内面に追加的な留め部材を挿入する工程と、軸受リテーナの第1のリングに画定された開口内に追加的な留め部材を挿入する工程と、を更に含むことができる。
【0012】
セルフレベリングスラスト軸受のこれらの及び他の特性及び特徴、並びに構造の関連要素及びパーツの組み合わせの製造の方法及び機能並びに製造の経済性は、すべてが本明細書の一部を形成し類似の参照番号が様々な図における対応するパーツを表す添付図面を参照して、以下の発明を実施するための形態及び添付の特許請求の範囲を考慮することで、明らかになるであろう。しかしながら、図面は、例示及び説明のみを目的とし、本発明の限界を画定する目的ではないことを特に理解すべきである。本明細書及び特許請求の範囲において使用されるとき、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別途指示している場合を除き、複数形の指示対象を包む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本開示の一態様によるセルフレベリングスラスト軸受の頂面斜視図である。
【
図1B】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受の底面斜視図である。
【
図2】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受の側面図である。
【
図3】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受の頂面図である。
【
図4】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受の組立図である。
【
図5A】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受のリテーナの頂面斜視図である。
【
図5B】セルフレベリングスラスト軸受のリテーナの別の態様の頂面斜視図である。
【
図6】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受のパッドの頂面斜視図である。
【
図7】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受におけるパッド留め配置の部分斜視図である。
【
図9】
図1Aのセルフレベリングスラスト軸受の別のパッド留め配置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、説明のために、用語「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横」、「長手」、及びこれらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関連する。しかしながら、明示して反対に規定される場合を除き、本発明は、代替的な変形例及び工程順序を想定することができることを理解すべきである。添付図面において例示され、以下の明細書において説明される特定の装置及びプロセスは、単に本発明の例示的な態様にすぎないことも理解すべきである。したがって、本明細書で開示される態様に関する特定の寸法及び他の物理的特徴は、限定的なものと考慮すべきではない。
【0015】
本開示は、一般に、セルフレベリングスラスト軸受を目的とし、特に、セルフレベリングスラスト軸受リテーナを目的とする。スラスト軸受の構成部品の特定の好適かつ非限定的な実施形態が、
図1A〜9に例示される。
【0016】
図1A〜4を参照すると、セルフレベリングスラスト軸受2(以下「スラスト軸受2」)が示される。本開示はセルフレベリングスラスト軸受2に関連して説明されるが、スラスト軸受の代替的な形式が本開示によって使用され得ることも企図される。スラスト軸受2は、軸受リテーナ6内に保持される少なくとも1つの軸受パッド4を含む。一態様では、軸受パッド4のアレイが、軸受リテーナ6の周囲に周方向に間隔を置いて配置され得る。一態様では、6つの軸受パッド4が、軸受リテーナ6に提供され得る。各々の軸受パッド4は、2つの側面5a、5b、内面5c、及び外面5dを含むことができる(
図6)。支持板8が、スラスト軸受2の下方又は底面上に提供され得る。支持板8は、ネジ又はボルトなどの、複数の締着具10を使用してスラスト軸受2に接続され得る。一態様では、軸受リテーナ6及び支持板8は、円形状であり得る。軸受リテーナ6及び支持板8は、1つのモノリシック構造として各々形成されるか又は、代替的に、2つの別個の部品として提供され得る。軸受リテーナ6は2つの別個の半部分で提供され、半部分は、下で説明されるように軸受パッド4によって共に保持されるか又は、代替的に、単一のモノリシック構造として提供され得る。支持板8は2つの別個の半部分で提供され、半部分は、締着具10によって共に軸受リテーナ6に保持されるか又は、代替的に、単一のモノリシック構造として提供され得る。スラスト軸受2は、回転構造を受けるように中央通路12を画定することができる。
【0017】
図5Aを参照すると、軸受リテーナ6は、軸受パッド4を受けるように構成された環状通路14を画定する第1の又は内部リング13a及び第2の又は外部リング13bを含むことができる。内部リング13a及び外部リング13bは、円形状であり得る。外部リング13bは、内部リング13aより大きな直径を有することができる。一態様では、軸受パッド4は、環状通路14より上の軸受リテーナ6の周囲に環状に間隔を置いて配置される。スラスト軸受2が組み立てられた後、軸受パッド4は、軸受リテーナ6内で僅かに傾斜することが可能であり、これにより環状通路14内へ回転する。一態様では、複数の軸受パッド留め配置16が、外部リング13bの第1の又は頂面18から延在することができる。軸受パッド留め配置16は、軸受リテーナ6の外部リング13bの周囲に環状に位置することができる。左側面及び右側面は、下で説明されるように、軸受パッド4の一部分を受けるように構成された留めチャネル20を含むことができる。留めチャネル20は、軸受リテーナ6の軸受パッド留め配置16内に形成されるか又は穿設され得る。
図8に示されるように、一態様では、留めチャネル20は、逆Tスロットとして形成され得る。留めチャネル20は、挿入チャネル22及び保持チャネル24を含むことができる。挿入チャネル22は、保持チャネル24に対して垂直に延在することができる。
図5A及び
図9に示されるように、内部リング13aは、下で述べられるように、軸受パッド4の一部分も保持するように開口25を画定することができる。開口25は、内部リング13a内に穿設され得る。一態様では、複数の開口25は、内部リング13aの外周面に画定され得る。
図5Bに示される別の態様では、内部リング13aは、内部リング13aの外周面全体の周囲に延在するスロット27を画定することができる。スロット27は、内部リング13aの周囲に360度延在することができる。スロット27の直径は、スロット27内での遊合を可能にするように軸受パッド4に提供された留め部材28の直径より僅かに大きくすることができる。スロット27は、内部リング13a内に機械加工され、製造者が内部リング13a内に開口25を穿設することが不可能なとき、及び内部リング13aの転回が適用可能なプロセスであるときに、使用され得る。
【0018】
図6を参照すると、スラスト軸受2の軸受パッド4が示される。軸受パッド4は、実質的に台形状を有することができる。しかしながら、軸受パッド4のための代替的な形状が、スラスト軸受2の特定の形状に従って企図される。軸受パッド4は、スラスト軸受2とスラスト軸受2を利用する回転構造との間の摩擦を低減させるように構成される。軸受パッド4はまた、上に提供される追加的な層又はコーティング(図示せず)を含むことができ、スラスト軸受2の用途及び必要性に左右される。一態様では、軸受パッド4の両方の側面5a、5bは、留め部材26を受けるために開口7a、7bを画定することができる。開口7a、7bは、軸受パッド4内に穿設され得る。軸受パッド4の内面5cはまた、別の留め部材28を受けるために開口7cを画定することができる。一態様では、軸受パッド4は、側部の留め部材26を含むことができるだけである。別の態様では、軸受パッド4は、軸受リテーナ6において軸受パッド4を保持するために両方の留め部材26、28を含むことができる。留め部材26、28は、摩擦嵌合を介して軸受パッド4の開口7a〜7c内に保持され得る。代替的に、留め部材26、28は、軸受パッド4と一体的に形成され得る。留め部材26、28が軸受パッド4に接着貼付され得るか又は軸受パッド4上に溶接され得ることも企図される。一態様では、留め部材26、28は、ダウエルピン、又は軸受パッド4に画定された開口内に挿入され得る任意の他の好適なピン形式の部材であり得る。更なる態様では、留め部材26、28は、留め部材26、28に加えられる圧力で圧縮するように構成されたばね付勢ダウエルピンであり得る。留め部材26、28は、円筒形状であり得る。しかしながら、代替的な形状が留め部材26、28のために使用され得ることも企図される。留め部材26、28の断面形状は、軸受パッド4に画定された開口7a〜7cの断面形状に実質的に対応することができる。
【0019】
図7〜9を参照すると、スラスト軸受2を組み立てる方法が説明される。開口7a〜7cが、最初に軸受パッド4内に穿設される。開口7a〜7cは、各々の軸受パッド4の各々の側面5a、5b及び内面5c内に穿設され得る。その後、留め部材26が、軸受パッド4の側面5a、5bに画定された開口7a、7b内に挿入され、留め部材28が、軸受パッド4の内面5cに画定された開口7c内に挿入され得る。留め部材26、28は、摩擦嵌合、接着剤、又は溶接を使用して軸受パッド4の開口7a〜7c内に保持され得る。留め部材28が軸受パッド4に提供される態様では、次いで、スラスト軸受2の組み立ての間に、軸受リテーナ6の内部リング13aに画定された開口25内に留め部材28を挿入するために、軸受パッド4に角度をつけることができる。留め部材28は、軸受リテーナ6における軸受パッド4の留めを補助するために開口25内に挿入され得る。一態様では、開口の直径25は、開口25内での隙間嵌めを可能にするために留め部材28の直径より僅かに大きくなり得る。スラスト軸受2の使用の間に、留め部材28は、開口25の内面に接触しないように構成され得る。軸受パッド4が軸受リテーナ6内でセルフレベリングするように構成されるので、留め部材28は、好ましくは、軸受パッド4の大きな回転に応じて開口25の内面に接触するだけでなければならない。
【0020】
留め部材28が内部リング13aに画定された開口25内に挿入された後、軸受パッド4は、外部リング13bから延在する軸受パッド留め配置16と留め部材26を接触させるために、軸受リテーナ6に対して回転する。留め部材26は、留め部材26の留めチャネル20内への挿入を可能にするために留めチャネル20より上に位置する。留め部材26は、最初に挿入チャネル22内に挿入される。一態様では、留め部材26は、締まり嵌めを介して挿入チャネル22内に挿入され得る。したがって、十分な量の力が、挿入チャネル22において締まり嵌めを通して留め部材26を押し込むために軸受パッド4に加えられなければならない。留め部材26が締まり嵌めを通して挿入された後、留め部材26は、挿入チャネル22を介して留めチャネル20から外れることを防止され得る。締まり嵌めは、締まり嵌めを通して留めチャネル20から留め部材26を引き抜くために十分な量の力が軸受パッド4に加えられるまで留め部材26を留めチャネル20内で留めるように構成され得る。
【0021】
留め部材26が締まり嵌めを通して挿入チャネル22に挿入されると、留め部材26は保持チャネル24内に移動する。保持チャネル24に位置すると、留め部材26は、スラスト軸受2の回転軸に対して横方向に移動することが可能となる。一態様では、留め部材26がスラスト軸受2の使用の間に保持チャネル24の面に接触しないように、保持チャネル24の直径は留め部材26の直径より大きくなり得る。軸受パッド4の不慮の回転の間に、留め部材26が保持チャネル24の面に接触することができることも企図される。スラスト軸受2の組み立ての間に、留め部材26は、保持チャネル24内で移動することが可能となる。特に、留め部材26は、挿入チャネル22に対して外部リング13bの内側の場所に提供される保持チャネル24の内部分へ移動することができ、留め部材26はまた、挿入チャネル22に対してスラスト軸受2の外側の場所に提供される保持チャネル24の外部分へ移動することもできる。保持チャネル24全体を通る留め部材26を可能にすることによって、大きな柔軟性が、軸受パッド4を軸受リテーナ6内に挿入するために提供される。この特性はまた、スラスト軸受2の組み立ての間に軸受パッド4を定位置に保つことを補助する。
【0022】
本明細書において説明されたスラスト軸受2は、従来のスラスト軸受と比較して容易に組み立てられ得る。従来のスラスト軸受の場合によくあるように、軸受パッドは、一般的に、スラスト軸受の組み立ての間に軸受パッドをずらさず又は落とさずに、スラスト軸受内に挿入することが困難である。いくつかの事例では、従来のスラスト軸受は、据え付けの間に軸受パッドを保持するためにリテーナを使用しない。特定の環境では、スラスト軸受は非常に高い位置で組み立てられ、軸受パッドがスラスト軸受の据え付けの間に落ち軸受パッド4が高い所から下に立っている個人へ向かって落下するときに、危険な状況を引き起こす場合がある。上で説明されたスラスト軸受2を使用することによって、個人及びオペレータは、軸受リテーナ6に軸受パッド4を容易かつ効率良く据え付けることができる。軸受パッド4が軸受リテーナ6内で垂直に据え付けられることを必要とするときに、説明された配置は特に有用である。留め部材26、28は、据え付けの間に軸受リテーナ6内での軸受パッド4の留めを補助することができ、その結果、スラスト軸受2が垂直位置へ移動するときに、軸受パッド4は軸受リテーナ6から落下しない。上で説明されたスラスト軸受2の別の有利な特性は、留め部材26、28が開口7a〜7c又は保持チャネル24から落下するか又は外れる場合に軸受リテーナ6内で留め部材26、28を保持及び留める軸受リテーナ6の能力である。従来のスラスト軸受では、留め部材が位置を変えるか又は外れると、留め部材は、スラスト軸受と共に使用される機械内に自由に落下する。留め部材は、機械内に落下し、生産時間を低下させる可能性のある機械内のパーツの交換又は修理を必要とする大きな損傷を引き起こす場合がある。上で説明されたスラスト軸受2を使用すると、留め部材26、28が外れるか又は位置を変えた場合に、留め部材26、28が機械内に落下しないように留め部材26、28は開口25又は留めチャネル20内に保持され得る。したがって、本明細書のスラスト軸受2は、スラスト軸受2の使用の安全性を向上させると同時に従来のスラスト軸受を使用したときに一般的に生じる任意の潜在的な修理又は交換コストを低減させる。
【0023】
開示されるスラスト軸受の様々な態様が上記の説明において提供されたが、当業者は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなくこれらの態様に修正及び変更を加えることができる。例えば、本開示が、可能な限り、任意の態様の1つ以上の特性を任意の他の態様の1つ以上の特性と組み合わせることができることを企図することを理解すべきである。したがって、上記の説明は、制限することではなく例示することを目的とする。本明細書の上で説明された本発明は、添付の特許請求の範囲によって画定され、特許請求の範囲の意味及び等価の範囲に含まれる本発明に対するすべての変形が特許請求の範囲内に包含されることになる。