特許第6469270号(P6469270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469270
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】自動ドア装置及び駆動機構外装体
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20190204BHJP
   E05F 15/74 20150101ALI20190204BHJP
【FI】
   E05F15/643
   E05F15/74
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-23106(P2018-23106)
(22)【出願日】2018年2月13日
(62)【分割の表示】特願2014-557408(P2014-557408)の分割
【原出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2018-112059(P2018-112059A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年2月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-7530(P2013-7530)
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】飯白 豊充
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−042646(JP,U)
【文献】 特開2011−256593(JP,A)
【文献】 特開2001−152748(JP,A)
【文献】 実開平06−020858(JP,U)
【文献】 実開平04−004183(JP,U)
【文献】 実開平02−121576(JP,U)
【文献】 実開平01−068493(JP,U)
【文献】 実開昭63−086279(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体を駆動するための駆動機構と、
前記駆動機構を収納する外装体と、を備え、
前記外装体は、建物の壁体に重ね合わされる重合部と、前記重合部から水平方向に突出する天部と、を備え、
前記天部には、前記扉体の移動方向に沿って延びる溝部と、前記溝部に対して前記重合部とは反対側に前記溝部から間隔をおいたところで下方に突出した突出部位とが形成され、
前記溝部は、一対の垂下部と、開口が形成され前記一対の垂下部の下端同士を接続する底部とを有し、
前記溝部には、前記駆動機構の構成部品が取り付けられた板部材が前記開口を利用して締結具によって取り付けられ、
前記溝部の一方の垂下部と前記突出部位と前記天部との間の空間によって配線スペースが形成される自動ドア装置。
【請求項2】
扉体を駆動するための駆動機構と、
前記駆動機構を収納する外装体と、を備え、
前記外装体は、建物の壁体に重ね合わされる重合部と、前記重合部から水平方向に突出する天部と、を備え、
前記天部には、前記扉体の移動方向に沿って延びる溝部と、前記溝部に対して前記重合部とは反対側に前記溝部から間隔をおいたところで下方に突出した突出部位とが形成され、
前記溝部と前記突出部位と前記天部との間の空間によって配線スペースが形成され、
前記溝部には、配線を保持するための配線押え部材が装着されている自動ドア装置。
【請求項3】
前記配線押え部材は、前記天部との間に配線を通過させる空間を形成する配線挿通部を有する請求項2に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
扉体を駆動するための駆動機構と、
前記駆動機構を収納する外装体と、を備え、
前記外装体は、建物の壁体に重ね合わされる重合部と、前記重合部から水平方向に突出する天部と、を備え、
前記天部には、前記扉体の移動方向に沿って延びる溝部と、前記溝部に対して前記重合部とは反対側に前記溝部から間隔をおいたところで下方に突出した突出部位とが形成され、
前記溝部と前記突出部位と前記天部との間の空間によって配線スペースが形成され、
前記駆動機構の一部の構成部品を固定するための固定板部を備え
記固定板部は、前記突出部位に側方から当接している自動ドア装置。
【請求項5】
前記駆動機構の一部の構成部品には、ベルト部材が巻き掛けられる駆動プーリが設けられた駆動軸を有するモータが含まれており、
前記固定板部には、前記駆動軸が水平向きになる姿勢で前記モータが支持されており、
前記固定板部は、前記駆動軸の延びる方向に沿って前記突出部位に側方から当接している請求項4に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記固定板部には、モータを固定する第1固定板部と、従動プーリを固定する第2固定板部とが含まれ、
前記第1固定板部及び前記第2固定板部は、前記突出部位に側方から当接して所定位置に位置決めされている請求項4に記載の自動ドア装置。
【請求項7】
前記固定板部は、前記溝部に固定されている請求項4から6の何れか1項に記載の自動ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置及び駆動機構外装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、扉体を駆動するための駆動機構を収納する外装体を備えた自動ドア装置が知られている。具体的に、特許文献1に開示された自動ドア装置は、図13に示すように、固定側部材101とカバー部材102とを含む外装体103を備えている。固定側部材101は、ボルト104によって建物の壁面(ドア枠)105に面付けされる構成である。固定側部材101には、リニアレール106が設けられている。カバー部材102は、ガスケット107を介装した状態で固定側部材101に取り付けられている。固定側部材101へのカバー部材102の固定は、両サイド(扉体の移動方向の両端部)に設けられた図略のサイドカバーを利用して行われる。ガスケット107は、カバー部材102の振動を防止するために用いられており、カバー部材102が固定側部材101に対して相対的に振動して音鳴りすることを防止する。
【0003】
前記特許文献1に開示された自動ドア装置のように、固定側部材101とカバー部材102との間にガスケット107が介装された構成では、以下の問題がある。すなわち、ガスケット107は、ゴム等の軟質部材で構成されるため、経年劣化する。したがって、定期的にガスケット107を交換する必要がある。そして、ガスケット107が劣化した状態にあれば、固定側部材101に対するカバー部材102の相対的な振動を防止できないため、音鳴りの問題を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国実用新案出願公開DE202005001781(U1)号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、自動ドア装置の外装体において、固定側部材とカバー部材との間にガスケットが介装されない構成でありながら、固定側部材に対するカバー部材の相対的な振動を防止することである。
【0006】
本発明の一局面に従う自動ドア装置は、扉体を駆動するための駆動機構と、前記駆動機構を収納する外装体と、を備える。前記外装体は、リニアレールを有し且つ固定体に固定される固定側部材と、前記固定側部材の少なくとも前面を覆うカバー部材と、前記カバー部材を前記固定側部材に固定するための固定手段と、を含む。前記固定側部材は、前記カバー部材が前記固定手段によって前記固定側部材に固定されているときに前記カバー部材から押圧される受け面を有している。前記固定手段は、前記カバー部材が前記受け面を押圧する力が生ずるように前記固定側部材に対して前記カバー部材を固定している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る自動ドア装置が設けられた建物の壁面を正面から見たときの図である。
図2A】前記自動ドア装置の外装内の中で左半分の構成を示す図である。
図2B】前記自動ドア装置の外装内の中で右半分の構成を示す図である。
図3図2B中のIII−III線における断面図である。
図4図2A中のIV−IV線における断面図である。
図5図2A中のV−V線における断面図である。
図6】外装体内に起動センサが設けられたときの図である。
図7図2B中のVII−VII線における断面図である。
図8A】カバー部材が固定側部材に締結される前の状態を説明するための模式図である。
図8B】カバー部材が固定側部材に締結された状態を説明するための模式図である。
図9】配線押え部材が固定側部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図10】配線押え部材の斜視図である。
図11】配線固定部材が固定側部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図12A】本発明の他の実施形態において、カバー部材が固定側部材に締結される前の状態を説明するための模式図である。
図12B】カバー部材が固定側部材に締結された状態を説明するための模式図である。
図13】従来の自動ドア装置における外装体内の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
本実施形態に係る自動ドア装置10は、建物の壁体11に設けられた出入口等の開口部12を自動的に開閉するものであり、開口部12の上縁を規定する部材に固定される。例えば図1に示すように、建物の壁体11には、水平方向に延びる姿勢で固定されたフレーム材13(サッシ)が設けられている。このフレーム材13(固定体)の手前側面に自動ドア装置10が固定される。このフレーム材13は、高さ方向の幅(見付け幅)が例えば100mmのアルミニウム材からなる。
【0010】
壁体11には、前記開口部12を挟んで両側に透明なパネル材14が固定されており、これらパネル材14は、開口部12を形成するFIXパネルとして構成されている。また、フレーム材13の上側に配置された別のフレーム材15との間にも透明パネル16が嵌め込まれている。
【0011】
図2A図4に示すように、自動ドア装置10は、開口部12を開閉する扉体18を駆動するための駆動機構20と、駆動機構20を収納する外装体21と、を備えている。外装体21は、扉体18が開き位置から閉じ位置まで移動するときの範囲(移動範囲)を少なくとも含み、その移動範囲よりも長い形状を有している。
【0012】
駆動機構20は、扉体18を開閉駆動するための駆動力を発生させるモータ23と、モータ23の駆動軸に設けられる駆動プーリ24と、従動プーリ25と、駆動プーリ24及び従動プーリ25に巻き掛けられるベルト部材26と、を備えている。ベルト部材26には、ベルト金具27が固定されており、このベルト金具27は、扉体18を懸架する一方のドアハンガー28に連結されている。ドアハンガー28には戸車28aが設けられていて、戸車28aは後述するリニアレール29上を転動する。そして、ベルト部材26が周回するように走行すると、扉体18は、開口部12を開閉するようにリニアレール29に沿って開口部12の幅方向に直線的に移動する。
【0013】
外装体21は、固定側部材32と、カバー部材33と、カバー部材33を固定側部材32に固定するための固定手段34(図7参照)とを含む。固定側部材32は、建物の壁体11に固定されるように構成されており、フレーム材13の手前側面に面付けされている。外装体21内には、固定側部材32とカバー部材33とにより、扉体18の移動方向に直交する方向の断面が矩形状の空間が形成されている。
【0014】
固定側部材32は、フレーム材13の前側面に重ね合わされる重合部35と、重合部35の上面から水平方向に突出する天部36と、を有する。固定側部材32は、外装体21の奥壁と上面部とを構成している。重合部35は、フレーム材13の見付け幅よりも小さな上下幅を有しており、重合部35の外面は平面状に形成されている。天部36は、重合部35から前側(外装体21が取り付けられるフレーム材13から離れる側)に向かって張り出している。天部36の外面(上面)は水平に形成されている。したがって、重合部35は、外装体21において奥側に位置している。
【0015】
重合部35には、フレーム材13を固定するためのビス38を挿通させる挿通孔35aが形成されている。また重合部35には、リニアレール29が一体的に形成されている。リニアレール29は、重合部35の内面から突出するように形成されており、重合部35の長さ方向(開口部12の幅方向、扉体18の移動方向)の全体に亘って形成されている。
【0016】
固定側部材32には、溝部40と支持部41と係止部42と受け部43とが一体的に形成されている。溝部40、支持部41、係止部42及び受け部43は、固定側部材32の長さ方向(開口部12の幅方向、扉体18の移動方向)の全体に亘って形成されている。
【0017】
溝部40は、蟻溝によって構成されており、天部36の内面から下方に突出した一対の垂下部40a,40bと、この一対の垂下部40a,40bの下端同士を接続する底部40cとを有する。一対の垂下部40a,40bは、固定側部材32の長さ方向とは直交する方向に互いに間隔をおいて配置されている。垂下部40a,40b間の間隙は、ボルト52a等の締結具の頭部を挿通可能となっている。底部40cには、扉体18の移動方向に沿って延びる開口40dが形成されている。開口40dには、頭部が垂下部40a,40b間に挿入されたボルト52aのネジ部が挿通される。
【0018】
支持部41は、天部36の端部(重合部35とは反対側の端部)から下方に突出した支持部本体41aと、支持部本体41aの下端部から溝部40側に向かって側方に張り出した載置部41bとを一体的に有する。載置部41bは、溝部40の底部40cよりも下方に位置している。支持部41は、一方の垂下部40b(重合部35とは反対側に位置する垂下部40b;フレーム材13から離れている側の垂下部40b)から間隔をおいたところに設けられている。
【0019】
係止部42は、支持部本体41aから前側(外装体21が取り付けられるフレーム材13から離れる側)に向かって突出する係止部本体42aと、係止部本体42aの端部から下側に向けて突出する爪部42bとを有し、折れ曲がった形状に形成されている。
【0020】
受け部43は、係止部42の下方の位置で、支持部本体41aから前側に向かって突出している。支持部本体41aからの受け部43の突出幅は、支持部本体41aからの係止部42の突出幅よりも大きくなっている。受け部43の端面は、カバー部材33が当接する受け面44として機能する。
【0021】
カバー部材33は、縦部46と、縦部46の下端部から水平方向に延びる横部47とを有し、断面L字状に形成されている。カバー部材33は、外装体21の前壁及び下面部を構成する。なお、図示省略するが、カバー部材33の長手方向の両端部には、外装体21の長手方向の端部を塞ぐサイドカバーがそれぞれ取り付けられている。
【0022】
カバー部材33の縦部46には、被係止部48が一体的に形成されている。被係止部48は、縦部46の内面から奥側に向かって側方に突出するとともにその端部から上方に向かって略垂直に折れ曲がった被係止部本体48aと、被係止部本体48aの上端に形成された爪部48bとを有する。被係止部48の上下方向の幅は、係止部42の爪部42bと受け部43と間の間隙幅よりも少し大きく形成されている。このため、固定側部材32にカバー部材33を取り付けるには、横部47(被係止部本体48a)が下を向いた姿勢から横部47が水平を向く姿勢までカバー部材33を回動しながら取り付ける必要がある。したがって、カバー部材33を単に水平方向に移動させるだけでは、カバー部材33を固定側部材32から取り外すことはできない。
【0023】
図2A図4に示すように、駆動機構20の一部の構成部品は、板部材51によって固定側部材32に固定されている。板部材51は、ボルト52aを挿通させる挿通孔51cが形成された矩形平板状の固定板部51aと、固定板部51aから垂直に折れ曲がるように連続し、固定板部51aから垂下する取付け部51bと、を有している。なお、取付け部51bにもボルトを挿通させる挿通孔が形成されている。
【0024】
図2Bに示すように、駆動機構20の構成部品であるモータ23は、その長さ方向の両側にそれぞれ設けられた板部材51によって固定側部材32に取り付けられている。板部材51は、締結具(ボルト52a及びナット52b)によって固定側部材32に固定されている。具体的には、図3に示すように、板部材51の固定板部51aの挿通孔51cに挿通されるボルト52aは、頭部が溝部40の垂下部40a,40b間の間隙に挿入されるとともにネジ部が頭部から下方に延びる姿勢で配設されている。ボルトの頭部は例えば矩形状に形成されており、ナット52bをボルト52aのネジ部に螺合させるときにも回らないようになっている。そして、固定板部51aの挿通孔51cにネジ部が挿通されている。この状態で、固定板部51aの下側に位置するナット52bと溝部40の底部40cとの間に固定板部51aが挟み込まれて、ナット52bがネジ部に螺合されている。
【0025】
図2Aに示すように、駆動機構20の構成部品である従動プーリ25の取付部材53は、その長さ方向の両側にそれぞれ設けられた板部材51によって固定側部材32に取り付けられている。図4に示すように、従動プーリ25の取付部材53を固定側部材32に固定する板部材51の構成は、モータ23を固定側部材32に固定する板部材51の構成と同様である。
【0026】
図3及び図4に示すように、固定板部51aは、重合部35側(フレーム材13側)の端部が溝部40に固定される一方、他端部が支持部41の載置部41bに載置されている。固定板部51aはこの状態で水平姿勢となっている。すなわち、載置部41bは、固定板部51aの厚み相当分だけ、溝部40の前記底部40cよりも下方に位置している。これにより、固定板部51aが水平となっている。固定板部51aの端部が載置部41bに載置される構成とすることにより、ナット52bをボルト52aのネジ部に螺合する際に、作業者が板部材51を保持しておく必要がなくなる。したがって、作業負担を軽減することができる。
【0027】
固定板部51aの端部は、支持部41の側面に当接している。すなわち、図3及び図4において、固定板部51aの端部は、左側から支持部41に当接しており、これによって固定板部51aの左右方向の位置が決められている。左右方向は、モータ23の駆動軸の延びる方向及びベルト部材26の幅方向に一致するため、駆動軸の延びる方向(ベルト部材26の幅方向)におけるモータ23の位置及び従動プーリ25の取付部材53の位置が、固定板部51a(板部材51)によって所定位置に決められる。またモータ23は、駆動プーリ24が取り付けられた駆動軸がモータ23の本体部からリニアレール29側に突出する姿勢で配設されている。このため、図3及び図4の左右方向において、リニアレール29に対して所定位置に位置決めされるベルト部材26と、駆動プーリ24及び従動プーリ25との相対位置関係がずれることを防止することができる。
【0028】
図3及び図4に示すように、本自動ドア装置10には、固定板部51aを載置部41bに押し付ける押圧手段55が設けられている。押圧手段55は、固定板部51aのねじ孔51dに螺合される雄ねじ部材55aと、雄ねじ部材55aに螺合されたナット55bとを有している。雄ねじ部材55aは、固定板部51aのねじ孔51dに螺合されており、雄ねじ部材55aの先端部は、天部36の内面に当接している。この状態の雄ねじ部材55aを回転させることにより、固定板部51aからの雄ねじ部材55aの上方への突出量が次第に増大する。その反作用として固定板部51aが載置部41bに押し付けられる。ナット55bは、雄ねじ部材55aが回動するのを防止し、載置部41bへの押圧力を維持するために用いられている。なお、ナット55bを省略することが可能である。
【0029】
固定板部51aは載置部41bに載置されているため、固定板部51aの自重の一部が載置部41bにかかっている。本実施形態では、自重に加え、押圧手段55による押圧力を載置部41bに作用させている。このため、固定板部51aの長さ寸法(扉体18の移動方向の長さ寸法)を小さくしても、固定板部51a(板部材51)によってモータ23や従動プーリ25の取付部材53が安定して固定される。
【0030】
図5に示すように、溝部40には、コントローラ56の取付部材57を固定することもできる。コントローラ56は、駆動機構20による扉体18の開閉駆動を制御する。コントローラ56の取付部材57は、挿通孔が形成された平板状の固定部57aと、この固定部57aの端部から垂下する取付け部57bとを有する。溝部40に取り付けられたボルト52aを固定部57aの挿通孔に挿通し、ナット52bを螺合することにより、取付部材57は溝部40に固定される。取付け部57bには、コントローラ56が取り付けられる。
【0031】
図3図5に示すように、駆動機構20及びコントローラ56は、扉体18の移動領域に対して手前側(壁体11及びフレーム材13から遠い側)に配置されている。モータ23、駆動プーリ24、従動プーリ25、ベルト部材26及びコントローラ56が扉体18及びドアハンガー28よりも手前側にあるため、カバー部材33を固定側部材32から取り外してメンテナンス作業を行うに際して、扉体18及びドアハンガー28が作業の邪魔になることはない。
【0032】
図6に示すように、外装体21には起動センサ59を取り付けることもできる。起動センサ59は、例えば赤外線式の起動センサであり、検知部59aがカバー部材33の横部47に形成された開口から露出するようにカバー部材33に固定することができる。
【0033】
図7に示すように、カバー部材33を固定側部材32に固定するための固定手段34は、一端部(上端部)が固定側部材32に締結される固定部材61と、固定部材61の他端部(下端部)をカバー部材33に締結する固定具としてのビス62と、を有する。固定部材61の一端部は、締結具63a,63bによって溝部40に固定される。具体的には、固定部材61の一端部は、溝部40の底部40cに沿って水平に延び且つボルト63aのネジ部を挿通させる挿通孔が形成された水平部61aと、水平部61aから一方の垂下部40bに沿って上方に延びる縦部61bと、を有している。溝部40には、ボルト63aが取り付けられていて、このボルト63aのネジ部に螺合されたナット63bと底部40cとの間に、固定部材61の水平部61aが挟み込まれている。この構成により、固定部材61の一端部が溝部40に固定される。縦部46に隣接する一方の垂下部40bと縦部46との間に隙間が形成されている。
【0034】
固定部材61は、一端部から下方に延びており、固定部材61の他端部(下端部)において水平方向に折れ曲がっている。固定部材61の他端部には、ビス62を締結する締結孔61cが形成されている。ビス62は、カバー部材33の横部47に形成された凹部47aのビス孔(挿通孔)47bに挿通されている。ビス62は、頭部が凹部47a内に配置されることにより、外部からビス62が目立たないようになっている。
【0035】
ここで、固定側部材32へのカバー部材33の取付け方法について説明する。
【0036】
カバー部材33を固定側部材32に取り付けるには、横部47(被係止部本体48a)が下を向くようにカバー部材33を斜めにした状態で被係止部48を係止部42の爪部42bと受け部43と間の間隙内に挿入する。そして、被係止部48の爪部48bを係止部42の爪部42bに係合させる。被係止部48の爪部48bが係止部42の爪部42bに係合した状態で、横部47の先端が上昇する方向にカバー部材33を回動すると、カバー部材33の縦部46の内面が、固定側部材32の受け部43の先端面(受け面44)に当接する。縦部46が受け面43に当接したとき、図8Aに模式的に表すように、カバー部材33は、横部47が水平になる手前の状態となっている。すなわち、カバー部材33が受け部43の先端面(受け面44)に接触した状態のときに縦部46が自然状態にあれば、縦部46は僅かに斜めになっている。このとき、横部47のビス孔47bは、固定部材61の締結孔61cに対して、少し前側(リニアレール29から離れた側)に位置ずれしている。そして、縦部46の下端部がリニアレール29側に移動するように縦部46に力を加えて縦部46を弾性的に曲げることによって、横部47のビス孔47bを固定部材61の締結孔61cに合わせ(図8B参照)、この状態で、ビス62を締結する。したがって、受け面44は、カバー部材33が固定手段34によって固定側部材32に固定されているときにカバー部材33から押圧されている。言い換えると、ビス62によってカバー部材33を固定部材61の下端部に締結することにより、カバー部材33は弾性変形した状態に維持されている。したがって、ビス62は、固定側部材32の受け面44を押圧する力をカバー部材33に発生させている。そして、ビス62は、カバー部材33が受け面44を押圧する力が生ずるように、固定側部材32に対してカバー部材33を固定している。このとき、被係止部48は、固定側部材32の係止部42に係止されている。
【0037】
図9に示すように、固定側部材32には、信号線や電源線等の配線を保持するための配線押え部材65を固定可能となっている。図10に示すように、配線押え部材65は、樹脂製の一体成形品であり、配線挿通部66と、平板状の平板部67と、予備挿通部68と、を備えている。配線挿通部66は、天部36との間に配線を通過させる空間を形成する。平板部67は、配線挿通部66と一体的に形成され、溝部40に係止させるための一対の爪部67aが立設されている。予備挿通部68は、予備空間を形成するための部位である。平板部67は、配線押え部材65が溝部40に装着されるとき、底部40cに沿って配置される。
【0038】
一対の爪部67aは、平板部67から立設された基部67bと、この基部67bの端部から互いに離れる方向に張り出した張り出し部67cとを有する。両基部67bの外面間の距離は、溝部40の開口40dの幅よりも僅かに大きい。一方、基部67bの幅は、溝部40の開口40dの幅よりも小さい。このため、爪部67aを溝部40に装着する際には、基部67bの幅方向が溝部40の開口40dの幅方向に一致する向きで爪部67aを開口40dに挿入する。そして、配線押え部材65を90度回動させることによって、爪部67aの基部67bを溝部40の底部40cに係合させる。このとき基部67bは僅かに変形している。両基部67bの外面間の距離が溝部40の開口40dの幅よりも僅かに大きく形成されている。このため、固定具等を用いなくても配線押え部材65を固定することができ、配線押え部材65が動くことを防止することができる。
【0039】
配線挿通部66は、平板部67の一端部から下方に延びる縦部66aと、縦部66aの下端部から水平方向に延びる水平部66bと、水平部66bの端部から斜め上方に延びる傾斜部66cとを有する。傾斜部66cの端部は、載置部41bに上面に係合される。配線押え部材65が溝部40に装着されると、溝部40の一方の垂下部40bと支持部本体41aと天部36との間に空間が形成される。この空間には、配線を挿通させることができるため、この空間を配線ダクトとして機能させることができる。この配線スペースは扉体18の移動領域よりも手前側に位置するため、配線作業の施工性を向上させることができる。
【0040】
配線挿通部66には、貫通孔66dが2箇所に形成されている。この貫通孔66dは、配線を結束するための結束部材(図示省略)を挿通するのに利用することができる。
【0041】
予備挿通部68は、第1保持部68aと、第2保持部68bとを有する。第1保持部68aは、縦部46と平行に平板部67の他端部から下方に延びるとともに、その下端部において縦部46側に折れ曲がっている。第2保持部68bは、縦部46から第1保持部68a側に延出されている。第1保持部68aの先端と第2保持部68bの先端とは近接又は接触している。配線挿通部66の縦部46と予備挿通部68とにより、断面矩形状の空間が形成される。この空間は、配線を挿通させる空間として予備的に利用できる。
【0042】
図11に示すように、固定側部材32には、配線を固定するための配線固定部材69を取り付けることもできる。配線固定部材69は、ネジ部材69aと板状の固定部69bとナット69cとを有する。ネジ部材69aは、溝部40内に挿入される頭部と、雄ねじ部を有する。固定部69bは、雄ねじ部が挿通される挿通孔を有し、溝部40の底部40c及び載置部41bに接触した状態で配置される。ナット69cは、雄ねじ部に螺合される。固定部69bには、配線の固定するための結束部材70を巻き付けることができる。なお、固定側部材32には、配線を外装体21の外部に引き出すための貫通孔32aが形成されている(図2B及び図11参照)。
【0043】
なお、溝部40には端子台72も固定することができる(図2B参照)。端子台72は、コントローラ56と同様に、取付部材73を利用して溝部40に取り付けることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、カバー部材33は、受け面44において固定側部材32に押圧された状態で、固定手段34によって固定側部材32に固定されている。このため、駆動機構20によって扉体18を駆動する際に外装体21に振動が生じたとしても、カバー部材33と固定側部材32とは一体的に振動するため、カバー部材33が固定側部材32と別個に振動することを回避することができる。このため、カバー部材33が固定側部材32に対して相対的に振動することによって生ずる音鳴りを防止することができる。したがって、カバー部材33の振動防止(音鳴り防止)のためにガスケットを用いる必要がない。このため、ガスケットが介装されない状態でカバー部材33が固定側部材32に対して取り付けられる構成を採用しつつ、音鳴りを防止することができる。
【0045】
しかも本実施形態では、カバー部材33が固定手段34(図7参照)によって固定側部材32に固定されるときに、カバー部材33は弾性変形した状態となっている。このため、カバー部材33が自然状態に戻ろうとする力を利用して、カバー部材33が固定側部材32に対して固定されている。すなわち、カバー部材33の弾性力によって受け面44が押圧された状態となっている。したがって、カバー部材33が固定側部材32に対して相対的に振動することによって音鳴りすることを確実に防止することができる。
【0046】
また本実施形態では、被係止部48が固定側部材32の係止部42に係止された状態にあり、ビス孔47bが固定部材61の締結孔61cの位置からずれた状態にあるカバー部材33は、弾性的に曲げ変形されている。これにより、カバー部材33のビス孔47bが固定部材61の締結孔61cに位置合わせされる。このとき、カバー部材33の被係止部48が固定側部材32の係止部42に係止されているので、カバー部材33を容易に撓ませることができる。そして、位置合わせされたビス孔47bに挿通されたビス62が固定部材61の締結孔61cに締結される。このため、カバー部材33はビス62によって弾性変形した状態に維持され、このときカバー部材33は、固定側部材32の受け面44に押圧された状態に維持される。
【0047】
また本実施形態では、固定側部材32の天部36に、扉体18の移動方向に沿って延びる溝部40が形成されている。この溝部40は、固定部材61を固定する締結具(ボルト63a)を取り付けるための溝部40として利用でき、また、駆動機構20の一部の構成部品を締結する締結具(ボルト52a)を取り付けるための溝部40としても利用できる。
【0048】
また本実施形態において、溝部40の開口40dに挿通されるとともに固定部材61水平部61aの挿通孔に挿通されたボルト63aに、ナット63bが締め付けられる。このとき、固定部材61がナット63bと一緒になって垂直軸回りに回動しようとした場合、固定部材61の縦部46が溝部40の一方の垂下部40bに係合する。このため、固定部材61が垂直軸回りに回動することを防止することができる。したがって、固定部材61の締結作業時に、固定部材61を押さえ付けておく必要がなくなり、締結作業時における作業者の負担を軽減することができる。
【0049】
また本実施形態において、カバー部材33を弾性的に曲げ変形させても固定部材61の締結孔61cとカバー部材33のビス孔47bとが一致しない場合には、固定部材61を水平方向にずらす必要が生ずることがある。このとき、一方の垂下部40bと縦部46との間に隙間が形成されている。このため、固定部材61を水平方向に移動させるときにも、固定部材61の縦部46が溝部40の垂下部40bに干渉することを防止できる。したがって、固定部材61によってカバー部材33を固定する際の作業の手間が煩雑になることを抑制することができる。
【0050】
また本実施形態では、垂下部40bと支持部41とが互いに間隔をおいて配置されているため、駆動機構20の構成部品を固定するための固定板部51aを支持する支持部41は、配線ダクトを構成する部位としても機能し得る。したがって、外装体21内の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0051】
また本実施形態では、固定板部51aの一端部を載置部41b上に載置することにより、当該固定板部51aの仮位置決めをすることができる。また、載置部41bが固定板部51aの厚み相当分だけ溝部40の底部40cよりも下方に位置しているので、一端部が載置部41b上に位置する固定板部51aは略水平な姿勢となる。そして、この状態で、固定板部51aを溝部40の底部40cに締結することができる。したがって、固定板部51aの締結作業の作業性を向上することができる。
【0052】
また本実施形態では、固定板部51aが押圧手段55によって載置部41bに押し付けられるため、載置部41bと固定板部51aとの接触面積が小さな場合であっても、固定板部51aを安定して固定することができる。したがって、固定板部51aにおける扉体18の移動方向の長さ寸法を小さくすることが可能となる。このため、扉体18が開閉する開口部12の幅が小さい自動ドア装置10に有効となる。すなわち、開口幅の小さな開口部12を開閉する自動ドア装置10では、外装体21における開口幅方向の長さ寸法が小さくなるため、外装体21内のスペースが制限されることになる。したがって、開口部12の幅方向における固定板部51aの長さ寸法を小さくすることにより、外装体21内に配置される機器(駆動機構20の構成機器等)の配置の自由度が制限されることを抑制することができる。
【0053】
また本実施形態では、固定板部51aが支持部41に当接することによって所定位置に位置決めされ、駆動軸の延びる方向における駆動プーリ24の位置も、固定板部51aの位置にしたがって所定位置に位置決めされる。したがって、駆動プーリ24の位置がずれることを防止できる。この結果、モータ23を駆動してベルト部材26を走行させる際に、異音が発生することを防止することができる。
【0054】
また本実施形態では、開口40dに着脱可能な爪部67aを有する配線押え部材65が設けられている。配線押え部材65の爪部67aは、溝部40の底部40cに形成された開口40d内に挿入される。この状態で配線押え部材65を水平方向に回動させることにより、配線押え部材65を溝部40に装着することができる。したがって、信号線や電源線等の配線を保持する配線押え部材65を取り付ける作業を簡易化することができる。
【0055】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、カバー部材33の縦部46が撓み変形することによって、カバー部材33が固定側部材32の受け面44に押圧される構成としたが、これに限られるものではない。例えば、図12A及び図12Bに示すように、固定側部材32の天部36に形成された断面三角形状の押圧部75が、カバー部材33に形成された楔部77によって押圧され、また固定側部材32の支持部41も楔部77によって押圧される構成としてもよい。この形態では、支持部41の側面が、カバー部材33から押圧される受け面44として機能する。
【0056】
この形態において、カバー部材33のビス孔47bに挿通されたビス62を固定部材61の締結孔61cに締め込んでいくと、カバー部材33が全体的に上に向かって変位する。これに伴い、カバー部材33の縦部46の内面に形成された楔部77が、固定側部材32において支持部41と押圧部75との間に形成された断面三角形状の隙間に入り込んでいく。この隙間は奥側(上側)ほど幅の狭い三角形状に形成されている。このため、楔部77がこの隙間の奥に入り込むにしたがい、支持部41の側面(受け面44)を押圧する力が増大する。したがって、ビス62が固定部材61の締結孔61cに螺合された状態では、カバー部材33が受け面44を押圧する力が生じており、この状態でカバー部材33が固定側部材32に固定されている。
【0057】
前記実施形態では、1つの扉体18が一方向(例えば右方向)に移動することによって建物の開口部12が開放される左勝手の引き戸式の自動ドア装置10として構成されているが、これに限られるものではない。1つの扉体18が左方向に移動することによって開口部12が開放される構成であってもよく、あるいは、複数の扉体18が一方向に移動することによって開口部12を開放する二重扉式の自動ドア装置10であってもよく、あるいは、一対の扉体18が互いに反対方向に移動することによって開口部12を開放する両引き式の自動ドア装置10であってもよい。
【0058】
ここで、前記実施形態について概説する。
【0059】
(1) 前記実施形態では、カバー部材は、受け面において固定側部材に押圧された状態で、固定手段によって固定側部材に固定されている。このため、駆動機構によって扉体を駆動する際に外装体に振動が生じたとしても、カバー部材と固定側部材とは一体的に振動する。したがって、カバー部材が固定側部材と別個に振動することを回避することができる。これにより、カバー部材が固定側部材に対して相対的に振動することによって生ずる音鳴りを防止することができる。したがって、カバー部材の振動防止(音鳴り防止)のためにガスケットを用いる必要がない。このため、ガスケットが介装されない状態でカバー部材が固定側部材に対して取り付けられる構成を採用しつつ、音鳴りを防止することができる。
【0060】
(2) 前記固定手段は、一端部が前記固定側部材に締結される固定部材と、前記固定部材の他端部を前記カバー部材に締結する固定具と、を有していてもよい。この場合、前記固定具によって前記カバー部材を前記固定部材の他端部に締結することによって前記カバー部材を弾性変形させて、前記受け面を押圧する力を前記カバー部材に発生させてもよい。
【0061】
この態様では、カバー部材が固定手段によって固定側部材に固定されるときに、カバー部材は弾性変形した状態となっている。このため、カバー部材が自然状態に戻ろうとする力を利用して、カバー部材が固定側部材に対して固定されている。すなわち、カバー部材の弾性力によって受け面が押圧された状態となっている。したがって、カバー部材が固定側部材に対して相対的に振動することによって音鳴りすることを確実に防止することができる。
【0062】
(3) 前記固定側部材は、係止部を備えていてもよい。前記カバー部材には、前記係止部に係止可能な被係止部と、前記固定具を挿通させる挿通孔とが形成されていてもよい。前記固定部材には、前記固定具を締結させる締結孔が形成されていてもよい。この場合、前記カバー部材は、前記被係止部が前記係止部に係止された状態で前記受け面を押圧した状態になるとともに、当該カバー部材が自然状態にあるときには前記挿通孔が前記締結孔から位置ずれし、前記カバー部材を弾性変形させることによって前記挿通孔が前記締結孔に位置合わされるように構成されていてもよい。
【0063】
この態様では、被係止部が固定側部材の係止部に係止された状態にあり、挿通孔が締結孔の位置からずれた状態にあるカバー部材は、弾性変形されている。これにより、カバー部材の挿通孔が固定部材の締結孔に位置合わせされる。このとき、カバー部材の被係止部が固定側部材の係止部に係止されているので、カバー部材を容易に弾性変形させることができる。そして、この位置合わせされた挿通孔に挿通された固定部が、固定部材の締結孔に締結される。このため、カバー部材は固定具によって弾性変形した状態に維持され、このときカバー部材は、固定側部材の受け面に押圧された状態に維持され得る。
【0064】
(4) 前記固定側部材の天部には、前記扉体の移動方向に沿って延びる溝部が形成されていてもよい。この場合、前記溝部には、前記固定部材の前記一端部を締結する締結具が取り付けられるとともに、前記駆動機構の一部の構成部品を締結する締結具が取り付けられていてもよい。
【0065】
この態様では、固定側部材の天部に形成された溝部は、固定部材を固定する締結具を取り付けるための溝部として利用でき、また、駆動機構の一部の構成部品を締結する締結具を取り付けるための溝部としても利用できる。
【0066】
(5) 前記溝部は、前記天部の内面から下方に突出した一対の垂下部と、この一対の垂下部の下端同士を接続する底部とを有していてもよい。前記底部には、前記扉体の移動方向に沿って延びる開口が形成されていてもよい。この場合、前記固定部材の前記一端部は、前記底部に沿って水平に延び且つ前記締結具を挿通させる挿通孔が形成された水平部と、前記水平部から一方の垂下部に沿って上方に延びる縦部と、を有していてもよい。
【0067】
この態様では、溝部の開口に挿通されるとともに固定部材の水平部の挿通孔に挿通された締結具に、トルクがかけられる。固定部材を固定側部材に締結する際に、固定部材が締結具と一緒になって垂直軸回りに回動しようとした場合、固定部材の縦部が溝部の一方の垂下部に係合する。このため、固定部材が垂直軸回りに回動することを防止することができる。したがって、固定部材の締結作業時に、固定部材を押さえ付けておく必要がなくなり、締結作業時における作業者の負担を軽減することができる。
【0068】
(6) 前記一方の垂下部と前記縦部との間に隙間が形成されていてもよい。
【0069】
カバー部材を弾性変形させても固定部材の締結孔とカバー部材の挿通孔とが一致しない場合には、固定部材を水平方向にずらす必要が生ずることがある。このとき、一方の垂下部と縦部との間に隙間が形成されているので、固定部材を水平方向に移動させるときにも、固定部材の縦部が溝部の垂下部に干渉することを防止できる。したがって、固定部材によってカバー部材を固定する際の作業の手間が煩雑になることを抑制することができる。
【0070】
(7) 前記固定側部材には、前記一対の垂下部から側方に離間した位置で前記天部から垂下する支持部が設けられていてもよい。前記支持部は、前記駆動機構の一部の構成部品を固定するための固定板部を支持可能であってもよい。この場合、前記一対の垂下部と前記支持部との間の空間が配線を配置させる配線ダクトとして機能するように構成されていてもよい。
【0071】
この態様では、駆動機構の構成部品を固定するための固定板部を支持する支持部が、配線ダクトを構成する部位としても機能し得る。したがって、外装体内の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0072】
(8) 前記支持部は、前記固定板部を載置可能な載置部を有していてもよい。この場合、前記載置部は、前記固定板部の厚み相当分だけ、前記溝部の前記底部よりも下方に位置していてもよい。
【0073】
この態様では、固定板部の一端部を載置部上に載置することにより、当該固定板部の仮位置決めをすることができる。載置部が固定板部の厚み相当分だけ溝部の底部よりも下方に位置しているので、一端部が載置部上に位置する固定板部は略水平な姿勢となる。そして、この状態で、固定板部を溝部の底部に締結することができる。したがって、固定板部の締結作業の作業性を向上することができる。
【0074】
(9) 前記固定板部を前記載置部に押し付ける押圧手段が設けられていてもよい。
【0075】
この態様では、固定板部が押圧手段によって載置部に押し付けられるため、載置部と固定板部との接触面積が小さな場合であっても、固定板部を安定して固定することができる。したがって、固定板部における扉体の移動方向の長さ寸法を小さくすることが可能となる。このため、扉体が開閉する開口の幅が小さい自動ドア装置に有効となる。すなわち、開口幅の小さな開口を開閉する自動ドア装置では、外装体における開口幅方向の長さ寸法が小さくなるため、外装体内のスペースが制限されることになる。したがって、開口幅方向における固定板部の長さ寸法を小さくすることにより、外装体内に配置される機器(駆動機構の構成機器等)の配置の自由度が制限されることを抑制することができる。
【0076】
(10)前記駆動機構の構成部品には、駆動軸を有するモータが含まれていてもよい。前記固定板部には、前記駆動軸が水平向きになる姿勢で前記モータが支持されていてもよい。前記モータの前記駆動軸には、ベルト部材が巻き掛けられる駆動プーリが設けられていてもよい。この場合、前記固定板部は、前記駆動軸の延びる方向に沿って前記支持部に側方から当接していてもよい。
【0077】
この態様では、固定板部が支持部に当接することによって所定位置に位置決めされ、駆動軸の延びる方向における駆動プーリの位置も、固定板部の位置にしたがって所定位置に位置決めされる。したがって、駆動プーリの位置がずれることを防止できる。この結果、モータを駆動してベルト部材を走行させる際に、異音が発生することを防止することができる。
【0078】
(11)前記溝部には、前記開口に着脱可能な爪部を有する配線押え部材が設けられていてもよい。前記配線押え部材は、前記爪部が前記開口の内側に挿入された状態の前記配線押え部材を水平方向に回動することによって前記爪部を前記底部に係合させるように構成されていてもよい。
【0079】
この態様では、配線押え部材の爪部は、溝部の底部に形成された開口内に挿入される。この状態で配線押え部材を水平方向に回動させることにより、配線押え部材を溝部に装着することができる。したがって、信号線や電源線等の配線を保持する配線押え部材を取り付ける作業を簡易化することができる。
【0080】
(12)前記実施形態は、自動ドア装置の駆動機構を収納する駆動機構外装体であって、リニアレールを有し且つ固定体に固定される固定側部材と、前記固定側部材の少なくとも前面を覆うカバー部材と、前記カバー部材を前記固定側部材に固定するための固定手段と、を備える。前記固定側部材は、前記カバー部材が前記固定手段によって前記固定側部材に固定されているときに前記カバー部材から押圧される受け面を有している。前記固定手段は、前記カバー部材が前記受け面を押圧する力が生ずるように前記固定側部材に対して前記カバー部材を固定している。
【0081】
以上説明したように、前記実施形態によれば、固定側部材とカバー部材との間にガスケットが介装されない構成でありながら、固定側部材に対するカバー部材の相対的な振動を防止することができる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13