特許第6469274号(P6469274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6469274
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20190204BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20190204BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   F04D29/64 Z
   F04D25/08 304E
   F04D29/52 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-38416(P2018-38416)
(22)【出願日】2018年3月5日
【審査請求日】2018年5月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501188306
【氏名又は名称】株式会社フナボリ
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 政則
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−004796(JP,U)
【文献】 実開昭62−038495(JP,U)
【文献】 特開平09−289912(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/081175(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
F04D 29/64
A45B
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台上に載置されて、上方に向けて風を送る送風機と、
前記支持台に取り付けた支持フレームと、
前記送風機から送られた上昇風を受けて、該上昇風の方向と交差する方向に送風方向を変更する風向変更装置とからなり、
前記風向変更装置により前記送風機を囲む周辺部に送られる方向の下降風を生じさせ、
前記支持フレームに前記風向変更装置を支持させると共に、前記送風機を該支持フレームで当該位置に規制することを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記送風機は円形の吐出口を有し、
前記風向変更装置は平面視が円形または多角形の傘状に形成された傘部を有し、
前記送風機からの風を前記傘部の中心線に沿って上昇させ、この上昇風を該傘部の内側面に沿って案内して方向を変更させることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記風向変更装置は種々の形状のものを所望により交換できるように互換性を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記送風機から温風を送ることができることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の送風装置。
【請求項5】
前記送風機の吐出口に複数個の遮蔽板を設け、該遮蔽板によって吐出口の一部を開閉可能として、所望の方向への風の吹き出しを遮断できるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の送風装置。
【請求項6】
前記支持台が飲食に供することができるテーブルであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業台で作業を行う作業者や飲食用テーブル等の周囲に居る者に対して上方から送風して、これらの作業台やテーブル等の利用者に送風することができるようにした送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
休憩所等であって、飲食や会話等を行えるようにテーブルが設置されている場所がある。例えば、テーマパークの休憩所やコンビニエンスストアの入口前広場、ファーストフード店の屋外広場、コーヒーショップのテラス席、飲食物の自動販売機の近傍などでは、飲食しながら会話を楽しんだりできるようにテーブルが設置されている場合がある。このような休憩所等であって屋外に設置されているテーブルでは、夏季の日差しを遮るように、ビーチパラソルのような大型の傘がテーブルに配されているものがある。あるいは、複数個のテーブルが大型のテントで覆われたりしている。
【0003】
しかしながら、地面からの照り返しが強い場合や外気温度が高い場合には休憩所のテーブル等の利用者は高温にさらされてしまい、日差しが遮られても暑気を十分に回避することができない。このため、休憩所に屋外用扇風機を設置して送風することが考えられる。あるいは、テーブルごとに扇風機を配することが考えられ、例えば、テーブルの端部にクリップで支持させることができるようにした扇風機等がある(特許文献1参照)。
【0004】
屋外用扇風機としては、三脚等のスタンドに昇降可能に支持ロッドが設けられ、この支持ロッドの上部に送風部が取り付けられたスタンド式扇風機や矩形の傾斜したフレームの内側に送風部が設けられた大型ファン等のように、主として工場で利用される扇風機があるが、これらは風圧が大きく休憩所に設置した場合には、利用者にとっては強過ぎる風となって適宜に寛ぐことには不向きである。また、テーブルにクリップで支持させる方式のものでは小型のものとなって、首振り機構を具備させることが難しくなり、テーブルを囲んだ全ての者に送風することは困難である。また、携帯用の扇風機がある(特許文献2参照)が、携帯する者に送風することが主であってテーブルを囲んだ者の全員に送風するものではない。
【0005】
一方、広範囲に送風可能とする扇風機として、特許文献3には、スタンドと、このスタンドの上部に設けた羽根車と、この羽根車の外周に備えた風向変更手段とから構成し、前記羽根車は、水平方向へ360度送風可能であり、前記風向変更手段は、水平方向へ送風される風と、下方向へ送風される風に分けるようにした扇風機が開示されている。また、特許文献4には、左右に回動可能な台座に互いに他の一つを背にした一対の羽根車装置が設置されている扇風機が開示されている。また、特許文献5には、ガイドと、そのガイドに移動自在に設けられた移動体と、移動体に取付けられて移動体の移動に伴ってガイドに沿って移動可能な送風機と、移動体をガイドに沿って移動させる駆動機構と、駆動機構を駆動する駆動源を備えた移動送風装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献6には、回転軸の一端を天井面側に固定する取り付け手段と、前記回転軸を中心に回転する電動機と、前記電動機の全部または一部を内包する回転体と、前記電動機または前記回転体に固定される複数の羽根板を備え、前記電動機と共に前記羽根板が回転し送風を行う天井扇で、天井扇の運転時に前記羽根板の弦長が延長されるようにした天井扇が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−221185号公報
【特許文献2】特開1998−054393号公報
【特許文献3】特開2013−127216号公報
【特許文献4】特開2004−324640号公報
【特許文献5】特開2014−031742号公報
【特許文献6】特開2012−002233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1と特許文献2に開示された扇風機では、広範囲の送風には不適であるので、休憩所等の利用者に行き渡るように送風するのに適していない。また、特許文献3に開示された扇風機では水平方向360度で送風の方向を変更できるようにしたものであり、水平方向へ送風することが基本とされている。また、特許文献4に開示された扇風機では、背面で組み合わされた一対の扇風機で反対方向に送風することにより広範囲への送風が可能であるが、水平方向へ送風するものである。これらの扇風機は屋内での使用を前提とするものであると共に、この種の扇風機のように水平方向へ送風するものでは、休憩所等のような複数個のテーブル等がある場所では扇風機から離れた場所には風が届かず、送風がされないテーブル等が存在する。また、送風域に障害物が存在する場合には風路が遮られて風が届かない場所が生じるおそれがある。なお、複数台の扇風機を設置することで風の届かない場所をなくすことができるが、設置される場所によっては利用者の歩行等の邪魔になってしまい好ましくない。
【0009】
また、特許文献5には、扇風機を移動可能として広範囲への送風を行えるようにした移動送風装置が開示されているが、送風機の移動を案内するガイドを必要とするから、壁面等にガイドを設置できる屋内などでなければならず、屋外の設置には適さない。
【0010】
さらに、特許文献6には上方から下降風を送るものとして天井に設置される天井扇が開示されているが、この種の天井扇は主として屋内の空気循環を促進させるものであって、屋外の休憩所等の利用者に送風するものではない。
【0011】
そこで、この発明は、屋外に設置されたテーブル等を利用して飲食や会話を楽しんだり休憩等したりする場合に、当該テーブルの利用者に確実に送風できて、これらの利用者が快適に過ごせることができるようにする送風装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る送風装置は、支持台上に載置されて、上方に向けて風を送る送風機と、前記支持台に取り付けた支持フレームと、前記送風機から送られた上昇風を受けて、該上昇風の方向と交差する方向に送風方向を変更する風向変更装置とからなり、前記風向変更装置により前記送風機を囲む周辺部に送られる方向の下降風を生じさせ、前記支持フレームに前記風向変更装置を支持させると共に、前記送風機を該支持フレームで当該位置に規制することを特徴としている。
【0013】
前記送風機から送られた上昇風が前記風向変更装置に衝突すると、その方向が変更される。変更後には上昇風の方向と交差する方向となり、この風向変更装置で折れ曲がるように方向を変更させると下降風が生じる。この下降風は前記送風機を囲む周辺部に送られるから、この送風機を囲む位置に居る利用者に下降風が当たることになり、夏季等ではこの風を受けて涼むことができる。
【0015】
さらに、前記送風機を任意の支持台の上に載置するようにしたものである。支持台としては工作作業等のための作業台や飲食等のためのテーブルが含まれ、この支持台上に載置した状態では振動等によって送風機が移動してしまうおそれがあるから、載置された位置から移動しないように規制することを要する場合がある。また、送風機からは上昇風が発生するから、前記風向変更装置は送風機の上方に配されて支持される必要があり、これを支持フレームで行わせ、該支持フレームで前記送風機を当該位置に規制するようにしたものである。
【0016】
また、請求項の発明に係る送風装置は、前記送風機は円形の吐出口を有し、前記風向変更装置は平面視が円形または多角形の傘状に形成された傘部を有し、前記送風機からの風を前記傘部の中心線に沿って上昇させ、この上昇風を該傘部の内側面に沿って案内して方向を変更させることを特徴としている。
【0017】
送風機の吐出口を円形とすると、この吐出口から発生する上昇風はほぼ円柱状となる。また、風向変更装置の前記傘部を平面視で円形または多角形の傘状に形成して、前記上昇風をこの傘部の中心線、すなわち該傘部を支持する柄の部分に沿って上昇させる。なお、前記支持フレームにはこの柄の端部を支持させることができるようにする。上昇風は傘部の内側面に沿って方向が変更されて、該傘部の周縁部からは下方に向かう下降風が生じることになり、この風向変更装置の下方に居る利用者に風が当たることになる。なお、下降風は傘部の内側面に沿って方向が変更されて生じるため、該風向変更装置の中心線を中心とする円の周囲に360度の範囲で送られる。
【0018】
また、請求項の発明に係る送風装置は、前記風向変更装置は種々の形状のものを所望により交換できるように互換性を備えていることを特徴としている。
【0019】
前記風向変更装置の、例えば大きさや形状、配される高さ位置等を異ならせた種々のものを用意し、所望の大きさ等のものを選択することにより、支持台の大きさや形状に応じて下降風の到達場所を変更できるようにしたものである。
【0020】
また、請求項の発明に係る送風装置は、前記送風機から温風を送ることができることを特徴としている。
【0021】
前記送風機から温風を吹き出させることで、冬季には暖を取りながら利用者が飲食や会話を行えるようにしたものである。
【0022】
また、請求項の発明に係る送風装置は、前記送風機の吐出口に複数個の遮蔽板を設け、該遮蔽板によって吐出口の一部を開閉可能として、所望の方向への風の吹き出しを遮断できるようにしたことを特徴としている。
【0023】
例えば、利用者の中に風に当たることを好まない者が居る場合には、前記遮蔽板により吐出口の一部を閉じることにより、その者に風が当たらないようにしたものである。
【0024】
また、請求項の発明に係る送風装置は、前記支持台が飲食に供することができるテーブルであることを特徴としている。
【0025】
すなわち、前記支持台を飲食用のテーブルとすることで、コンビニエンスストアやコーヒーショップ、ファーストフード店、自動販売機等で購入した飲食物をその場で飲食するのに便利となるようにして、休憩所等に設置するのに適したものとしたものである。
【発明の効果】
【0026】
この発明に係る送風装置によれば、前記送風機から発せられた風の方向が前記風向変更装置によって変更されて送風機の周囲や近傍に送風されるから、送風機の近傍に居る利用者に送風される。しかも、送風機からは上方に向けて送風され、風向変更装置によって下降風となってこれらの利用者に上方から送風されるから、この下降風の風路には障害物が存在せず、したがって、これらの利用者に確実に送風される。
【0027】
さらに、送風機が載置された支持台で作業等を行う者や休憩のための利用者に上方からの風が供給されるから、作業者が当該作業等を快適に行うことができ、利用者等にとっても快適に過ごすことができる。しかも、上方から風を受けるため、扇風機のように横から風を受ける場合と違って、支持台上の作業に係る部品や書類等が風によって不用意に吹き飛ばされることを極力防止できる。
【0028】
また、請求項の発明に係る送風装置によれば、送風機から送られた上昇風が前記風向変更装置の傘状に形成された傘部に衝突して生じる下降風は、送風機を中心とした円周上の全域にわたって送られる。このため、送風機の吐出口を円形とし、傘部の平面視の形状を円形にすると共に、前記支持台を円形とすれば、この支持台の周囲に上方から送風できて、支持台の周縁部に居る利用者に上方から風が送られる。
【0029】
また、請求項の発明に係る送風装置によれば、風向変更装置を交換することにより、送風機から発せられた上昇風の方向を所望の方向へ変更させたり、送風の届く範囲を変更させたりすることができる。
【0030】
また、請求項の発明に係る送風装置によれば、温風により暖かい雰囲気中で休憩や作業等を行うことができ、冬季であっても快適に過ごすことができる。
【0031】
また、請求項の発明に係る送風装置によれば、任意の方向への送風を行わないようにすることができ、例えば、風に当たりたくない者が同席する場合に当該者への送風を抑制することができ、送風に対する好みの違う者同士が同席することができる。
【0032】
また、請求項の発明に係る送風装置によれば、テーマパーク等の屋外休憩所やコンビニエンスストア、ファーストフード店、コーヒーショップ、自動販売機の近傍等に設置することにより、屋外での飲食や会話を楽しみながら快適に過ごすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】この発明に係る送風装置を説明する概略の斜視図である。
図2図1に示す送風装置の構成を説明する概略の分解斜視図である。
図3図1示すA−A線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る送風装置を具体的に説明する。
【0035】
図1にこの発明に係る送風装置1を示してあり、この送風装置1は、主として送風機2と風向変更装置としての風案内傘3と該風案内傘3を支持する支持フレーム4とにより構成されている。なお、この実施形態では前記送風機2を支持台である円形のテーブル5に載置させた状態を示しているが、テーブルに限らず、支持台としては、工作の際の作業台や書面等を広げるための書類机等であっても構わない。また、支持台の天板の形状は円形に限るものではない。
【0036】
前記送風機2は上方を指向させて吐出口2aが配されており、上方に向けて送風される上昇風を発生するようにしてある。また、この送風機2の吸込口は吐出口2aと反対側に設けられており、前記テーブル5には、図2に示すように、吸込口に臨んで空気を吸い込むための開口5aが形成されている。なお、この送風機2が配される作業台その他の支持台にも同様な開口が形成される。この送風機2の周囲を囲んだ状態に前記支持フレーム4の4本のロッド4aのそれぞれの脚部4bが配されている。この支持フレーム4は、脚部4bの下端部が図2に示すように固定ネジ41によってテーブル4に固定されている。このため、送風機2はこの脚部4bに規制されていて、載置位置から移動することが阻止されている。
【0037】
前記支持フレーム4はクランク状に折り曲げられた4本のロッド4aからなり、一端部に前記脚部4bが形成され、他端部が支持部4cとされている。図3に示すように、これら支持部4cの中央部に断面形状が円筒形の支持ロッド部4dが配されて、支持部4cのそれぞれが支持ロッド部4dに溶接等により固定されている。
【0038】
前記風案内傘3は、柄3aの一端部に平面視が円形または多角形をした傘状の傘部3bが支持されて構成されている。前記支持ロッド部4dには前記風案内傘3の柄3aの他端部が挿抜自在に挿入されており、この挿入位置に応じて傘部3bの高さが変更されるようにしてある。また、柄3aの構造をテレスコピックとして伸縮自在とすることにより、柄3aの長さを変更できるようにすることもできる。さらに、前記傘部3bの形状や外径寸法等が異なる種々の風案内傘3を前記支持ロッド部4dに支持させることができるようにして、種々の風案内傘3に互換性を具備させることが好ましい。なお、支持ロッド部4dに対して柄3aの先端部を固定する固定手段が設けられており、例えば、図3に示すように、支持ロッド部4dと柄3aとのそれぞれの適宜位置に透孔を形成し、これらの透孔を合致させて固定ボルト6aを挿通させ、該固定ボルト6aのネジ部に固定ナット6bを締め付ける構造その他の構造により支持ロッド部4dに風案内傘3の柄3aを固定させることができる。
【0039】
以上により構成されたこの発明に係る送風装置1の作用を、以下に説明する。
【0040】
図2に示すように、テーブル5に送風機2を載置させ、前記4本の脚部4bでこの送風機2を囲む状態に配して、脚部4bの先端部をテーブル5に固定ネジ41で固定する。これにより、送風機2が支持フレーム4のロッド4aで囲まれてその位置が規制された状態となる。次いで、前記支持ロッド部4dに前記風案内傘3の柄3aを挿入して固定ボルト6aと固定ナット6bとからなる構造その他の構造による固定手段を用いて固定すると、図1に示すように、テーブル5に送風装置1が設置された状態となる。
【0041】
前記送風機2を作動させて吐出口2aから送風すると、風案内傘3の柄3aに沿って図1上矢標Pで示す上昇風が生じる。この上昇風Pが風案内傘3に到達すると、傘部3bの内側面に案内されて方向が変更される。傘部3bの内側面は曲面の一部で形成されているから、内側面に沿って案内されると図1上矢標Rで示す方向に変更され、傘部3bの案内から離脱した後には同図上矢標Qで示す下降風が生じる。この下降風Qは円形の傘部3bの周縁部の全域から送られるため、送風機2を中心とした円周に沿って360度の範囲で送風される。このため、このテーブル5の周囲に居る利用者には上方からの風が送られる。しかも、上方から送られる風を遮る障害物が存在しないから、下降風Qは確実に利用者に届くことになる。したがって、夏季でもこのテーブル5において作業や飲食、会話等を行う利用者にとっては風を受けて暑さを凌ぐことができて、作業時や飲食時の快適性が向上する。
【0042】
なお、送風機2のオン・オフをテーブル5の利用者の操作によって行えるようにすれば、利用者が居ない場合に送風機2が作動することを防ぐことができる。あるいは、人感センサーによって送風機2のオン・オフを行わせるようにすることもできる。
【0043】
また、前記送風機2から温風を発することができるようにすれば、前記下降風Qを温風にして供給できるので、冬季にもこの送風装置1を利用することにより屋外における作業や飲食等の際の快適性を向上させることができる。
【0044】
以上に説明した実施形態では、円形のテーブル5に送風機2を載置させ、風向変更装置に平面視で円形または多角形の傘状とした傘部3bを備えた風案内傘3を用いた構造について説明したが、これらの形状に拘わることなく、例えば、細長い帯状の吐出口を備えた送風機と傾斜した屋根状の庇からなる風向変更装置とを組み合わせる構造としても構わない。この場合には、庇の下端側の先端部を下方を指向するように湾曲させ、上昇風を庇の高部に衝突させれば、該庇の傾斜に沿って方向が変更され、庇の下端側の前記湾曲された部分によって下降風を生じさせることができる。この場合には、支持台は前記吐出口の長さとほぼ等しい長さの辺を有する矩形のテーブルとすることができる。また、矩形のテーブルの中央部に送風機2を載置させて下降風を生じさせることもでき、さらに矩形のテーブルに平面視で矩形の傘部を備えた風案内傘を組み合わせることもできる。
【0045】
さらに、前記送風機2の吐出口2aを任意の数の区画に分割し、その区画ごとに遮蔽板を設けて、任意の部分からの風の吹き出しを遮断できるようにする。これにより、風に当たることを嫌う者には送風を行わないようにすることができる。さらに、前記遮蔽板による吐出口の開度を調整できるようにすれば好ましい。
【0046】
また、風向変更装置にミスト発生装置を取り付けて、送風機から発せられた風にミストを伴わせることもできる。なお、ミストを伴わせる場合には、上昇風の方向が変更される際の風や下降風に含ませることが好ましい。
【0047】
なお、以上の説明は、この送風装置1を屋外に設置した場合について説明したが、屋内に設置することもできることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明に係る送風装置によれば、設置されたテーブル等の周囲に上方から送風されるため、夏季に屋外で各種の作業を行ったり、飲食や会話を楽しんだりする際に暑気を回避でき、また、冬季には温風が上方から送られて、夏季、冬季に拘わらず快適な空間を提供することができるので、例えば、コンビニエンスストアやコーヒーショップ等の屋外に快適な飲食スペースが確保されて、これらの店舗の集客に寄与することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 送風装置
2 送風機
2a 吐出口
3 風案内傘(風向変更装置)
3a 柄
3b 傘部
4 支持フレーム
4a 脚部
4b ロッド
4c 支持部
4d 支持ロッド部
41 固定ネジ
5 テーブル(支持台)
6a 固定ボルト
6b 固定ナット
P 上昇風
Q 下降風

【要約】
【課題】 特に屋外に設置された飲食用のテーブルや作業台についた利用者に確実に送風することができ、屋外での飲食や作業等の際の快適性を向上させることができる送風装置を提供する。
【解決手段】 テーブル5に上昇風Pを発する送風機2を載置させ、上方に風案内傘3を配する。上昇風Pは風案内傘3の内側面に沿ってR方向に流れて方向が変更され、風案内傘3の傘部3bの周縁部からは下方に向かう下降風Qが生じ、テーブルを囲んだり、周囲に着座したりして居る者に対して上方から送風される。夏季には、前記風案内傘3で日差しを遮りながら送風を受けて、冬季には前記送風機2から温風を発生させることにより、屋外での飲食等の際の快適性が向上する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3