特許第6469306号(P6469306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6469306荷締部材の緩み検出装置、及び荷締部材の緩み検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469306
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】荷締部材の緩み検出装置、及び荷締部材の緩み検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/10 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
   G01L5/10 Z
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-501634(P2018-501634)
(86)(22)【出願日】2017年2月17日
(86)【国際出願番号】JP2017005894
(87)【国際公開番号】WO2017145931
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2018年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2016-31673(P2016-31673)
(32)【優先日】2016年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516055099
【氏名又は名称】株式会社阿智精機
(73)【特許権者】
【識別番号】391001619
【氏名又は名称】長野県
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】青木 久夫
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼ 淳
(72)【発明者】
【氏名】窪田 昭真
(72)【発明者】
【氏名】小林 耕治
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01783473(EP,A1)
【文献】 特開2006−214798(JP,A)
【文献】 特表2002−500977(JP,A)
【文献】 特表2008−511518(JP,A)
【文献】 実開昭52−036976(JP,U)
【文献】 特開2004−340912(JP,A)
【文献】 独国特許発明第102004057675(DE,B3)
【文献】 特開2001−165790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/04−5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を固定する長尺状の荷締部材の緩みを検出するための荷締部材の緩み検出装置であって、
前記荷締部材の途中に取付可能な取付部材と、
前記取付部材に設けられ、前記荷締部材の緩みを検出するための複数の緩み検出器と、を備え、
前記複数の緩み検出器は、各々の検出感度が異なっていることを特徴とする荷締部材の緩み検出装置。
【請求項2】
前記取付部材が、前記荷締部材を交互に掛け渡す3本の腕と、前記3本の腕を支持する支持体を有しており、
前記複数の緩み検出器が、前記3本の腕の内の中央の中央部腕に設けられていて、
前記緩み検出器が、前記荷締部材に接触して前記荷締部材に対して垂直方向に移動するようガイドされている接触子と、前記接触子を前記荷締部材側に付勢する弾性体と、前記接触子に係わり合って前記荷締部材の緩みを検出するセンサと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項3】
前記取付部材が、前記荷締部材を交互に掛け渡す3本の腕と、前記3本の腕を支持する支持体を有しており、
前記複数の緩み検出器が、前記3本の腕の内の中央の中央部腕に設けられていて、
前記緩み検出器が、前記荷締部材に接触して前記荷締部材に対して垂直方向に移動するようガイドされている接触子と、前記接触子を前記荷締部材側に付勢する弾性体と、前記接触子に係わり合って前記荷締部材の緩みを検出するセンサと、を備え、
前記複数の緩み検出器が、各々異なる弾性定数の前記弾性体を有していることで、各々の検出感度が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項4】
前記支持体及び/又は前記中央部腕が、弾性を有していることを特徴とする請求項又はに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項5】
前記複数の緩み検出器が、前記荷締部材の長手方向に沿うように、前記中央部腕に配列されていることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項6】
前記接触子が、前記荷締部材の長手方向に直交する横方向に亘って接触する形状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項7】
前記複数の緩み検出器が、前記荷締部材の長手方向に直交する横方向に沿うように、前記中央部腕に配列されていることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項8】
前記複数の緩み検出器が、同心円状に前記中央部腕に配列されていることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項9】
前記センサが、前記荷締部材が緩んでいるときと張力が加えられているときの前記接触子の位置に対応して接点の開閉状態が切り替わるスイッチであることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項10】
荷を固定する長尺状の荷締部材の緩みを検出するための荷締部材の緩み検出装置であって、
前記荷締部材に取付可能な取付部材と、
前記荷締部材の緩みを検出するよう構成された緩み検出器と、
を備え、
該緩み検出器が、前記荷締部材に接触する接触子と、該接触子が前記荷締部材に対して垂直方向に移動するようガイドするガイド部と、前記接触子に係わり合って前記荷締部材の緩みを検出するセンサと、を有していると共に、一つの前記接触子に複数の前記センサが係わり合うよう構成されており、前記接触子の移動に伴って前記荷締部材の緩みを検出するよう構成されていることを特徴とする荷締部材の緩み検出装置。
【請求項11】
前記荷締部材の緩み検出装置が、前記荷が積載される荷台に取り付けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項12】
前記緩み検出器の検出結果を外部に有線又は無線で送信する送信回路を備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項13】
前記複数の緩み検出器の内の少なくとも1つが、装置の電源スイッチを兼ねていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の荷締部材の緩み検出装置。
【請求項14】
請求項12又は請求項12に従属する請求項13に記載された荷締部材の緩み検出装置と、
前記荷締部材の緩み検出装置の前記送信回路が送信した検出結果を受信する受信回路、報知器、及び、前記受信回路が受信した検出結果を前記報知器に報知させる報知処理回路を有する受信装置と、を、備えることを特徴とする荷締部材の緩み検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷を固定する長尺状の荷締部材の緩みを検出するための荷締部材の緩み検出装置、及びその緩み検出装置を用いた荷締部材の緩み検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラック、船舶、列車、飛行機などの輸送機関で荷を運搬する際や、荷の保管の際に、荷崩れを防ぐために、ベルトやロープなどの可撓性を有する長尺状の荷締部材で荷を固定することが行われている。ところが、荷締部材を適正な張力で締めて荷を固定しても、振動や時間経過などの要因によって荷締部材が緩んでしまう場合がある。
【0003】
特許文献1には、トラックの荷物を固定する荷掛ロープ(荷締部材)の張力及び緩みを検出する荷掛ロープの張力検出装置が記載されている。この装置は、本体の左右にロープ掛け具を有しており、掛け具とトラックのフックとの間に荷掛ロープが掛け渡されるように構成されている。
【0004】
特許文献2には、ばね板の両端部に索(荷締部材)に引っ掛ける第1、第2フックと、ばね板の中間に直角に固定されて索に係合する押圧片と、ばね板の変形ひずみに感応するセンサ部とを備える張力計が記載されている。この張力計は索の中間に挿入して使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01−162123号公報
【特許文献2】特開平07−43228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された荷掛ロープの張力検出装置は、2本の荷締部材の間に直列的に連結されて使用される。そのため、荷締部材の一端を外した状態でないと装置を取り付けることができず、取り付け作業が煩雑である。
【0007】
特許文献2に記載された張力計は、荷締部材の中途の位置に挿入することが可能なため、荷締部材に簡便に取り付けることができる。しかしながら、特に輸送機関で荷を運搬する際には、大きな振動が発生する。この張力計では、ばね板の中央部に押圧片が直角に固定されている。振動によって荷締部材から押圧片に斜め方向に力が印加されると、張力が正確に測定されずに誤検出してしまう場合がある。又、振動によって押圧片に斜め方向の過大な力が印加されると、破損してしまい検出できなくなる可能性がある。
【0008】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、荷締部材に簡便に取り付けることができ、振動が発生する環境下であっても荷締部材の緩みを確実に検出することができる荷締部材の緩み検出装置、及び荷締部材の緩み検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された荷締部材の緩み検出装置は、荷を固定する長尺状の荷締部材の緩みを検出するための荷締部材の緩み検出装置であって、前記荷締部材の途中に取付可能な取付部材と、前記取付部材に設けられ、前記荷締部材の緩みを検出するための複数の緩み検出器と、を備え、前記複数の緩み検出器は、各々の検出感度が異なっていることを特徴とする。ここで、本発明における「荷締部材の途中」とは、荷締部材の両端部を含む概念である。
【0010】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項に記載のものであり、前記取付部材が、前記荷締部材を交互に掛け渡す3本の腕と、前記3本の腕を支持する支持体を有しており、前記複数の緩み検出器が、前記3本の腕の内の中央の中央部腕に設けられていて、前記緩み検出器が、前記荷締部材に接触して前記荷締部材に対して垂直方向に移動するようガイドされている接触子と、前記接触子を前記荷締部材側に付勢する弾性体と、前記接触子に係わり合って前記荷締部材の緩みを検出するセンサとを備えることを特徴とする。ここで、本発明における「前記荷締部材に接触して」とは、接触子が直接的に荷締部材に接触する態様の他、接触子が間接的に荷締部材に接触する態様を好適に包含する。
【0011】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項に記載のものであり、前記取付部材が、前記荷締部材を交互に掛け渡す3本の腕と、前記3本の腕を支持する支持体を有しており、前記複数の緩み検出器が、前記3本の腕の内の中央の中央部腕に設けられていて、前記緩み検出器が、前記荷締部材に接触して前記荷締部材に対して垂直方向に移動するようガイドされている接触子と、前記接触子を前記荷締部材側に付勢する弾性体と、前記接触子に係わり合って前記荷締部材の緩みを検出するセンサとを備え、前記複数の緩み検出器が、各々異なる弾性定数の前記弾性体を有していることで、各々の検出感度が異なっていることを特徴とする。ここで、本発明における「前記荷締部材に接触して」とは、接触子が直接的に荷締部材に接触する態様の他、接触子が間接的に荷締部材に接触する態様を好適に包含する。
【0012】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項又はに記載のものであり、前記支持体及び/又は前記中央部腕が、弾性を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項からのいずれかに記載のものであり、前記複数の緩み検出器が、前記荷締部材の長手方向に沿うように、前記中央部腕に配列されていることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項に記載のものであり、前記接触子が、前記荷締部材の長手方向に直交する横方向に亘って接触する形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項からのいずれかに記載のものであり、前記複数の緩み検出器が、前記荷締部材の長手方向に直交する横方向に沿うように、前記中央部腕に配列されていることを特徴とする。
【0016】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項からのいずれかに記載のものであり、前記複数の緩み検出器が、同心円状に前記中央部腕に配列されていることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項からのいずれかに記載のものであり、前記センサが、前記荷締部材が緩んでいるときと張力が加えられているときの前記接触子の位置に対応して接点の開閉状態が切り替わるスイッチであることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載された荷締部材の緩み検出装置は、荷を固定する長尺状の荷締部材の緩みを検出するための荷締部材の緩み検出装置であって、前記荷締部材に取付可能な取付部材と、前記荷締部材の緩みを検出するよう構成された緩み検出器と、を備えている。そして、当該緩み検出器が、前記荷締部材に接触する接触子と、該接触子が前記荷締部材に対して垂直方向に移動するようガイドするガイド部と、前記接触子に係わり合って前記荷締部材の緩みを検出するセンサと、を有していると共に、一つの前記接触子に複数の前記センサが係わり合うよう構成されており、前記接触子の移動に伴って前記荷締部材の緩みを検出するよう構成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項1から10のいずれかに記載のものであり、前記荷締部材の緩み検出装置が、前記荷が積載される荷台に取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項1から11のいずれかに記載のものであり、前記緩み検出器の検出結果を外部に有線又は無線で送信する送信回路を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載された荷締部材の緩み検出装置は、請求項1から12のいずれかに記載のものであり、前記複数の緩み検出器の内の少なくとも1つが、装置の電源スイッチを兼ねていることを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載された荷締部材の緩み検出システムは、請求項12又は請求項12に従属する請求項13に記載された荷締部材の緩み検出装置と、前記荷締部材の緩み検出装置の前記送信回路が送信した検出結果を受信する受信回路、報知器、及び、前記受信回路が受信した検出結果を前記報知器に報知させる報知処理回路を有する受信装置とを、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の荷締部材の緩み検出装置によれば、荷締部材の途中に取付可能な取付部材に、荷締部材の緩みを検出するための複数の緩み検出器が設けられていることで、いずれか1つの緩み検出器が緩みを検出したときに荷締部材が緩んでいると判定できるため、振動が発生する環境下であっても荷締部材の緩みを確実に検出することができる。又、例え1つが故障したとしても他の緩み検出器が作動するため、振動が発生する環境下であっても荷締部材の緩みを確実に検出することができる。
【0024】
複数の緩み検出器の各々の検出感度が異なっている場合、荷締部材の緩み具合を段階的に検出することができるため、荷締部材の緩み始めを確実に検出することができる。そのため、振動が発生する環境下であっても荷締部材の緩みが大きくなる前に緩みの発生を確実に検出することができる。
【0025】
緩み検出器として、荷締部材に対して垂直方向に移動するようガイドされ、荷締部材方向に弾性体で付勢された接触子が緩みを検出するセンサに係わり合う構成のものを用いることで、振動が発生する環境下であってもセンサに対して接触子が真っすぐに安定して作用するため、センサが正常に動作して、荷締部材の緩みを確実に検出することができる。さらに、複数の緩み検出器が各々異なる弾性定数の弾性体を有している場合、複数の緩み検出器の検出感度を簡便な構造で異ならせることができる。
【0026】
支持体及び/又は中央部腕が弾性を有している場合、取付部材が荷締部材を挟み込むように撓むため、振動が発生する環境下であっても取付部材を荷締部材にしっかりと保持させることができるため、緩みの発生を確実に検出することができる。
【0027】
複数の緩み検出器が荷締部材の長手方向に沿うように中央部腕に配列されている場合、荷締部材が取付部材に対して多少片寄った状態になったとしても、緩み検出器が荷締部材に接触するため、荷締部材の緩みを確実に検出することができる。
【0028】
接触子が荷締部材の長手方向に直交する横方向に亘って接触する形状に形成されている場合、荷締部材に接触子が強く押し付けられても力が均等に分散することから、荷締部材に接触子の跡が付くことを防止することができる。
【0029】
複数の緩み検出器が荷締部材の長手方向に直交する横方向に沿うように中央部腕に配列されている場合、装置を小型化することができる。さらに中央部腕が弾性を有する場合には、中央部腕が弾性によって撓むため、中央部腕の根元側の緩み検出器の方が強く、先端側の緩み検出器の方が弱く荷締部材に押し当てられるため、複数の緩み検出器の検出器として同じ検出感度のものを用いたとしても、各々の緩み検出器の検出感度を異らせることができる。
【0030】
複数の緩み検出器が同心円状に中央部腕に配列されている場合、装置を小型化することができる。
【0031】
センサが荷締部材が緩んでいるときと張力が加えられているときの接触子の位置に対応して接点の開閉状態が切り替わるスイッチである場合、構造が簡便であるため振動が発生する環境下であっても正常に動作すると共に破損しにくいため、荷締部材の緩みを確実に検出することができる。
【0032】
本発明の第2の荷締部材の緩み検出装置によれば、荷締部材に接触すると共に当該荷締部材に対して移動する接触子がガイド部によって荷締部材に対して垂直方向に移動するようにガイドされる構成であるため、振動が発生する環境下であってもセンサに対して接触子が真っすぐに安定して作用するため、センサが正常に動作して、荷締部材の緩みを確実に検出することができる。
【0033】
緩み検出器が、一つの接触子に複数のセンサが係わり合うように構成されている場合、例えセンサの一つが故障したとしても他のセンサが作動するため、振動が発生する環境下であっても荷締部材の緩みを確実に検出することができる。
【0034】
荷締部材の緩み検出装置が、荷が積載される荷台に取り付けられている場合、荷締部材の張力の全てを緩み検出器に作用させることができるため、荷締部材の緩みをより確実に検出することができる。
【0035】
緩み検出器の検出結果を外部に有線又は無線で送信する送信回路を備える場合、離れた場所に緩みが発生したことを送信することができる。複数の緩み検出器の内の少なくとも1つが電源スイッチを兼ねている場合、操作者が電源スイッチを操作することなく自動的に装置を作動させることができる。又、電源スイッチを切り忘れることが防止できる。本発明の荷締部材の緩み検出システムによれば、緩み検出装置及び受信装置を備えることにより、例えばトラックの運転席のように荷から離れた場所で、荷締部材が緩んだか否かを監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置の分解斜視図である。
図2】本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置の使用状態を示す断面図である。
図3】本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置の別の使用状態を示す断面図である。
図4】本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置の別の使用状態を示す断面図である。
図5】本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置の取付部材及び本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置の別の取付部材を示す平面図である。
図6】本発明を適用する別の荷締部材の緩み検出装置の分解斜視図である。
図7】本発明を適用する別の荷締部材の緩み検出装置の要部を拡大した斜視図である。
図8】本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置の電気的なブロック図である。
図9】本発明を適用する別の荷締部材の緩み検出装置の電気的なブロック図である。
図10】本発明を適用する荷締部材の緩み検出システムの使用状態を示す概要図である。
図11】本発明を適用する荷締部材の緩み検出システムにおける受信装置の電気的なブロック図である。
図12】変形例の荷締部材の緩み検出装置の構成の概略を示す概略構成図である。
図13図12のB−B線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0038】
図1に、本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置1の分解斜視図を示す。この緩み検出装置1は、取付部材11、第1の緩み検出器121、第2の緩み検出器122、及びケース13を備え、荷を固定する長尺状の荷締ベルト91(二点鎖線で図示)の緩みを検出可能に構成されている。荷締ベルト91は本発明における荷締部材の一例である。荷締部材として荷締ロープや荷締チェーンを用いてもよい。
【0039】
取付部材11は、荷締ベルト91の途中に取付可能なものである。取付部材11は、荷締ベルト91を互い違いに掛け渡すための3本の腕と、3本の腕を支持する支持体21を備えている。具体的には、取付部材11は、支持体21、支持体21の両端部に設けられた一対の端部腕22、22、及び支持体21の中央部に設けられた中央部腕25を有している。同図に示すように、3本の腕となる一対の端部腕22、22及び中央部腕25に、荷締ベルト91が互い違いに掛け渡されることで、取付部材11が荷締ベルト91に取り付けられる。
【0040】
支持体21は、弾性を有するものであることが好ましく、例えば板ばねである。支持体21は、板状又は棒状などの任意の形状に形成されている。
【0041】
端部腕22は、荷締ベルト91の横幅に対応する長さに形成されている。荷締部材として荷締ロープを用いる場合、端部腕22は荷締ロープの直径に対応する長さに形成する。端部腕22は、荷締ベルト91から荷重が掛かっても変形しないような強度を有するように、幅広形状に形成されている。端部腕22が板状に形成されている例を図示しているが、丸棒状、角棒状などの任意の形状に形成されていてもよい。各々の端部腕22、22の形状を互いに異ならせてもよい。
【0042】
端部腕22、22の間の開口部29から荷締ベルト91が取付部材11にセットされる。同図に示すように、端部腕22、22の先端に、端部腕22、22を互いの方向に曲げた形状の腕先片23を設けることが好ましい。腕先片23を設けて開口部29を狭くすることで、取付部材11から荷締ベルト91の脱落を防止することができる。さらに、端部腕22、22の開口部29を開閉可能に閉じる脱落防止部材(図示せず)を設けてもよい。
【0043】
中央部腕25は、弾性を有するものであることが好ましく、例えば板ばねである。中央部腕25は、弾性を有するように、端部腕22よりも細い幅で形成されている。弾性変形量(変位量)は、弾性体(板ばね)の長さを長くした方が大きくなる。本例では、中央部腕25の弾性変形量を適切な量にするために、中央部腕25の根元の支持体21に2本のスリット26、26が形成されていて、中央部腕25が支持体21側に延長されている。
【0044】
同図では、支持体21、一対の端部腕22、22、及び中央部腕25を有する取付部材11が、一体的に板状に形成されている例を示している。取付部材11は、全体的に略E字型の形状に形成されている。取付部材11の材質は、板ばねに用いられる弾性を有する材質であることが好ましく、例えば、弾性を有する樹脂、ガラス繊維若しくは炭素繊維等と組み合わせた繊維強化樹脂、又は金属である。このように、板状に形成されている場合、シンプルな形状であるため、簡便に製造することができる。又、板状であるので、材質、板厚、長さ、幅を適宜設定することで、任意の位置に板ばねとしての機能(弾性)を持たせることができる。
【0045】
中央部腕25には、複数(一例として2個)の緩み検出器121、122が設けられる。中央部腕25は、その先端側に、緩み検出器121、122を取り付けるための取付部27を有している。取付部27には、緩み検出器121、122が取り付けられる取付孔28、28が形成されている。
【0046】
緩み検出器12(121、122)は、荷締ベルト91の緩みを検出するためのものである。緩み検出器12は、一例として、接触子31、座金35、ばね36、ガイド筒37、止め輪45、及びセンサ62を備えて構成されている。センサ62は、ケース13の中に配置されている。
【0047】
接触子31は、荷締ベルト91に接触するものであり、荷締ベルト91の長手方向(荷締ベルト91の面)に対して垂直方向に移動するようガイドされている。接触子31は、一例として、頭部が円形の押しボタン型に形成されている。接触子31は、頭部に一端が繋がるガイド軸33を有している。ガイド軸33の他端部の外周には、溝34が形成されている。接触子31の頭部及びガイド軸33は、一例として、樹脂により一体的に形成されている。接触子31は、ガイド筒37の筒内に入ってスライドする径で形成されている。接触子31は、ばね36(361、362)によって荷締ベルト91側に付勢されている。なお、図示しないが、接触子31と座金35との間に、ガイド軸33に嵌るOリングを防水のために入れることが好ましい。その場合、ガイド軸33の一端側にOリングが嵌る溝を形成してもよい。又、座金35が接触子31と一体的に樹脂で形成されていてもよい。接触子31の構造は適宜変更することができる。
【0048】
第1の緩み検出器121は第1のばね361を有し、第2の緩み検出器122は第2のばね362を有している。ばね361、362は、弾性体の一例であり、圧縮コイルばねである。ばね361、362は、各々のばね定数(弾性定数)が異なっている。ここでは一例として、緩み検出器121には、ばね定数が比較的小さい(弱い)ばね361が用いられ、緩み検出器122には、ばね定数が比較的大きい(強い)ばね362が用いられている。このように、ばね定数が異なることで、緩み検出器121の検出感度と、緩み検出器122の検出感度とが異なっている。
【0049】
ガイド筒37は、円筒状に形成されており、一端側にフランジ38が形成されている。ガイド筒37の外周には、雄螺子41が形成されている。ガイド筒37の他端の縁には、螺子回し具(一例としてマイナスドライバ)が嵌る溝43(一例としてマイナス溝)が形成されている。ガイド筒37は、本発明におけるガイド部の一例である。
【0050】
ガイド筒37の他端側の筒内には、ばね36及び止め輪45を係止するために筒の内壁を環状に突設させたストッパ42(図2参照)が形成されている。止め輪45は、一例としてE型止め輪である。ストッパ42は、ガイド軸33が通りスライドする径で形成されている。ガイド筒37は、接触子31がスライドする径で形成され、ストッパ42は、ガイド軸33がスライドする径で形成されているので、接触子31は、ガイド筒37の筒の軸方向に移動するように移動方向がガイドされている。
【0051】
ケース13は、電気回路や電池を収容するためのものである。ケース13は、軽量であることが好ましく、一例として、樹脂で形成されている。電池の収容部には、蓋55が開閉可能に取り付けられている。ケース13には、取付部材11の中央部腕25の取付部27に連結されるための固定部51が形成されている。固定部51は、ケース13が荷締ベルト91に干渉しないように、ケース13から突出して設けられている。固定部51には、ガイド筒37の雄螺子41に対応する雌螺子を有する螺子孔52が形成されている。螺子孔52は、固定部51を貫通して、ケース13内に通じている。取付部材11の中央部腕25の取付部27に固定部51が連結される態様は、本発明における「緩み検出器が取付部材に設けられる」態様に対応する実施構成の一例である。
【0052】
緩み検出器12は次のように組み立てられる。先ず、接触子31のガイド軸33に、座金35、ばね36を通して、ガイド軸33をガイド筒37の一端側から筒内に挿入する。接触子31をガイド筒37側に押してばね36を押し縮め、ガイド筒37の他端側からガイド軸33の他端を突出させる。この状態で、ガイド軸33の溝34に止め輪45を嵌め込む。これにより、ガイド筒37に接触子31が組み付けられる。
【0053】
次に、ガイド筒37を取付部材11の取付孔28に差し込んで、ガイド筒37の雄螺子41をケース13の螺子孔52に螺子締めして固定する。螺子締めは、ケース13を分割して、ケース13の内側からガイド筒37の溝43に螺子回し具(図示せず)を嵌め合わせてガイド筒37を回転させることで行う。これにより、ガイド筒37のフランジ38とケース13の固定部51との間に取付部27が挟み込まれて固定される。なお、溝43をガイド筒37の一端側(フランジ側)ではなく他端側に設けているのは、溝43の角が当たって荷締ベルト91を傷つけないようにするためである。
緩み検出器12は複数あるので、いずれも同様に組み立てる。
【0054】
以上により、中央部腕25に複数の緩み検出器12及びケース13が固定される。
【0055】
図2に、図1に示した緩み検出装置1のA−A線断面図を示す。同図には、緩み検出装置1と共に、完全に緩んだ状態の荷締ベルト91を示している。
【0056】
図2に示すように、ケース13の内部には、電気部品を実装するプリント配線基板61がケース13に対して螺子止めされて固定されている。プリント配線基板61には、第1のセンサ621、第2のセンサ622、無線送受信モジュール65、報知器67、及び電源スイッチ66が実装されている。図示しないが、ケース13の内部には、無線送信用のアンテナ、及び電源用の乾電池が備えられている。アンテナは必要性に応じて、ケース13の外部まで出ていてもよい。
【0057】
センサ62(621、622)は、接触子31(311、312)のガイド軸33に係わり合って(当接して)荷締ベルト91の緩みを検出するものである。センサ62は、荷締ベルト91が緩んでいるときと張力が加えられているときの接触子31の位置に対応して接点の開閉状態が切り替わるスイッチである。同図では、センサ62の内部構造の図示を省略している。
【0058】
具体的には、センサ62は、一例として、公知のタクタイルスイッチである。タクタイルスイッチは、モーメンタリ型のプッシュ(押しボタン)スイッチとも呼ばれている。タクタイルスイッチは、操作部63を有しており、操作部63は、内部のばね(図示せず)で外界側に付勢されている。タクタイルスイッチは、操作部63を押しているときに接点が閉(オン)になり、操作部63を離すと接点が開(オフ)になる。センサ62として、接点の開閉状態が逆のタクタイルスイッチを使用してもよい。タクタイルスイッチは、構造が簡便であるため振動で破損しにくく安価に入手することができるため、本装置に好ましく用いることができる。
【0059】
センサ62は、操作部63が接触子31のガイド軸33の端部に同軸で当接するように位置合わせされて、プリント配線基板61に実装されている。
【0060】
無線送受信モジュール65は、後述する検出結果処理回路71及び送信回路75として動作するよう一体的にモジュール化されたものである。同図では、図を見やすく理解しやすくするために、無線送受信モジュール65を二点鎖線で図示している。
【0061】
報知器67は、一例として、LED(発光ダイオード)である。報知器67は、ケース13に穴開けされて防水処理が施されて取り付けられている。
【0062】
電源スイッチ66は、操作部(一例として回転式のつまみ)を操作することで、装置の電源をオン/オフするためのスイッチである。電源スイッチ66は、ケース13に防水処理が施されて取り付けられている。
【0063】
緩み検出装置1の機構的な動作について説明する。
【0064】
緩み検出装置1は、図2に示すように、荷締ベルト91が緩んでいる状態で、荷締ベルト91の中途の任意の位置に取り付けられる。取付部材11の開口部29(図1参照)から、荷締ベルト91を入れることができるので、緩み検出装置1を荷締ベルト91に簡便にセットすることができる。
【0065】
接触子311、312は、ばね361、362に付勢されているため、荷締ベルト91側(図の左側)に突出している。止め輪45がストッパ42に当接して、接触子311、312の突出量は最大になっている。この状態では、センサ621、622の操作部63,63は接触子311、312に押されていないため、センサ621、622の接点は共に開である。
【0066】
同図に示す状態から、荷締ベルト91を締め上げる。
【0067】
図3に、荷締ベルト91を適正な張力まで締め上げた状態を示す。荷締ベルト91は、ほぼ真っすぐに張られた状態になる。この荷締ベルト91の張力によって、端部腕22、22と中央部腕25とには、互いに逆向きの力が作用する。この力の作用で、弾性を有する取付部材11の支持体21が撓んで図の左側に反り返った状態になる。又、弾性を有する中央部腕25が撓んで支持体21から図の右側に曲がった状態になる。これら支持体21及び中央部腕25の撓む弾性力によって、端部腕22、22と中央部腕25とにより荷締ベルト91が挟み込まれるため、荷締ベルト91に緩み検出装置1(取付部材11)がしっかりと保持されて装着される。
【0068】
中央部腕25には、緩み検出器121、122の接触子311、312が突出して設けられているため、荷締ベルト91の張力によって接触子311、312が押されてガイド筒37側に移動(スライド)する。ばね361、362のばね定数は、いずれも適正な張力で荷締ベルト91が締められたときに、接触子311、312が押されて移動するように設定されている。接触子311、312がガイド筒37、37側に移動することで、操作部63、63が押されてセンサ621、622の接点が共に閉になる。
【0069】
このようにセンサ621、622の接点が共に閉であるときは、適正な張力で荷締ベルト91が締められている状態であると判定することができる。
【0070】
接触子31は、同図中に示すように、二点鎖線で示した位置(図2の位置)から移動距離Dだけ移動するように、移動範囲が規制されている。センサ62に過大な荷重が掛からないように、操作部63のストローク量の許容範囲に対応させて移動距離Dが設定されている。
【0071】
接触子31は、ガイド筒37にガイドされて荷締ベルト91に対して垂直方向に移動するため、振動が激しい環境下であっても、操作部63に対して斜めになることがなく、操作部63に安定して接触する。又、接触子31は、操作部63に固定されておらず、当接(接触)しているだけであるため、仮に接触子31に斜め方向の力が作用したとしても、センサ62に無理な力が作用しない。このため、振動が激しくても、センサ62が正常に動作するため、適正な張力で荷締ベルト91が締められていることを確実に検出することができる。さらに、センサ62の破損を防止することができる。
【0072】
図4に、荷締ベルト91が緩み始めた状態(僅かに緩んでいる状態)を示す。このような緩み始めのときに、接触子311は殆ど移動せず、接触子312は大きく移動するように、ばね361のばね定数を小さく、ばね362のばね定数を大きく設定する。この状態では、センサ621の接点は閉のままを維持する。又、センサ622の接点は、接触子312の移動により開に切り替わる。つまりセンサ622の方がセンサ621よりも検出感度が高くなっている。センサ621の接点が閉であり、センサ622の接点が開であるときは、荷締ベルト91が緩み始めている状態であると判定することができる。
【0073】
同図に示した状態よりも、さらに荷締ベルト91が緩んだときには、図2に示すように、接触子311もばね361の付勢により荷締ベルト91側に移動して、センサ621の接点が開に切り替わる。したがって、少なくともセンサ621の接点が開であるときに、荷締ベルト91が緩んだ状態であると判定することができる。なお、センサ621の接点が開であると共に、センサ622の接点が開であるときに、荷締ベルト91が緩んだ状態であると判定してもよい。
【0074】
図2に示したように荷締ベルト91が大きく緩みすぎてしまう前に緩みを検出できるよう、ばね361のばね定数を適宜設定することが好ましい。
【0075】
このように、複数の緩み検出器12を備えて、各々の検出感度を異ならせておくことで、どの程度緩んでいるかという荷締ベルト91の緩み具合を段階的に検出することができる。そのため、緩み検出器12を1つだけ備える場合よりも、荷締ベルト91の緩み始めを確実に検出することができる。特に、振動が多い環境下では、荷締ベルト91が緩み始めてしまうと、振動によって緩みが急速に大きくなる場合がある。そのため、緩み始めを逃さずに検出できることで、荷締ベルト91の緩みが大きくなる前に、緩みを確実に検出することができる。
【0076】
複数の緩み検出器12を有することで、いずれか1つの緩み検出器12が緩みを検出したときに荷締ベルト91が緩んでいると判定することができる。そのため、荷締ベルト91の緩みを確実に検出することができる。又、振動によりいずれかの緩み検出器12が故障したとしても、残りの緩み検出器12が作動するため、荷締ベルト91の緩みを確実に検出することができる。冗長性を持たせて装置の信頼性を向上させる場合には、複数の緩み検出器12に同じばね定数のばね36を用いて、各々の検出感度を同様に設定してもよい。
【0077】
なお、ばね361、362のばね定数を異ならせることで複数の緩み検出器12の検出感度を異ならせた例を説明したが、例えばセンサ621、622の検出感度が異なるものを使用することで、同じばね定数のばね361、362を使用するようにしてもよい。
【0078】
緩み検出器12の数は2個に限られず、より多くの緩み検出器12を備えてもよい。緩み検出器12の数は多い方が緩み具合をより細かく段階的に検出することができる。緩み具合を複数段階で検出する必要性が無い場合、緩み検出器12を1つだけ備えてもよい。
【0079】
センサ62としてタクタイルスイッチを用いた例を説明したが、これに限られず、センサとして例えば荷重センサ(ロードセル)を用いてもよい。荷重センサを用いる場合、接触子31のガイド軸33の端部を荷重センサに当接させる。接触子31は大きく動かないが、荷重センサは、接触子31が押す荷重を測定する。荷重センサの測定する荷重の大きさによって、荷締ベルト91の締め具合を複数段階で判別すればよい。センサとしてロードセルを用いる場合、緩み検出器を1つ設ければ、荷締ベルト91の締め具合を複数段階で判別できるが、振動による破損等を考慮して冗長性を持たせるために、ロードセルを用いた緩み検出器を複数備えることが好ましい。
【0080】
また、各緩み検出器121、122の各接触子311、312の各ガイド軸33には、それぞれ一つのセンサ621、622が係わり合う構成としたが、各緩み検出器121、122の各接触子311、312の各ガイド軸33には、それぞれ複数のセンサ62が係わり合う構成としても良い。当該構成によれば、例えセンサ62の一つが故障したとしても他のセンサ62が作動するため、振動が発生する環境下であっても荷締ベルト91の緩みを確実に検出することができる。
【0081】
支持体21及び中央部腕25が共に弾性を有する場合について説明したが、支持体21及び中央部腕25の一方が弾性を有していてもよいし、支持体21及び中央部腕25が共に弾性を有していない非弾性であってもよい。支持体21及び中央部腕25が共に弾性を有している場合、取付部材11が荷締ベルト91に保持される保持力が最も強くなる。支持体21及び中央部腕25の一方が弾性を有している場合、取付部材11が荷締ベルト91に保持される保持力は有するが多少弱くなる。支持体21及び中央部腕25が共に非弾性である場合、取付部材11が荷締ベルト91に保持される保持力は有するがさらに弱くなる。保持力が不足する場合には、クリップ等の固定補助部材(図示せず)を用いて、取付部材11を荷締ベルト91に取り付ければよい。ただし、支持体21及び中央部腕25が共に弾性定数が小さくて柔らかすぎる場合には、荷締ベルト91が接触子31を押す力が逃げてしまうため、接触子31がしっかりと荷締ベルト91に押されるように弾性定数を設定する必要がある。
【0082】
図5(a)に、図1図4に示した取付部材11の平面図を示す。同図に、二点鎖線で荷締ベルト91を示す。取付部材11では、複数の緩み検出器121、122(接触子311、312)が、中央部腕25の取付部27に取り付けられて、荷締ベルト91の長手方向に沿って一列に配列されている。このように、緩み検出器121、122が荷締ベルト91の長手方向に沿って配列されていると、荷締ベルト91が取付部材11に対して多少片寄った状態になったとしても緩み検出器121、122が荷締ベルト91に接触するため、荷締ベルト91の緩みを確実に検出することができる。又、荷締部材として荷締ロープを用いる場合、荷締ロープは荷締ベルト91に比べて横幅(径)が小さいが、緩み検出器121、122が長手方向に並んでいるので荷締ロープに接触させることができる。又、緩み検出器12の数を、3個、4個・・・等のように数多く設けやすい。緩み検出器121、122は、荷締ベルト91の横幅方向の中央部にちょうど位置するように配置されていることが好ましい。
【0083】
図5(b)に、取付部材11vの平面図を示す。この取付部材11vを緩み検出装置1に適用してもよい。同図に、二点鎖線で荷締ベルト91を示す。取付部材11vは、複数の緩み検出器121、122(接触子311、312)が、中央部腕25vの取付部27vに取り付けられて、荷締ベルト91の長手方向に直交する横方向に沿って配列されている。この場合、荷締ベルト91の長手方向に対する同様の位置に複数の緩み検出器121、122が接触するため、取付部材11vの長手方向の長さを短く形成することができる。したがって、装置を小型化することができる。又、複数の緩み検出器121、122が、いずれも同じばね定数のばね36、36を有している場合であっても、中央部腕25vが弾性を有していると先端の方が大きく変形するため、接触子311、312に掛かる力が異なる。そのため、同じばね定数のばね36、36を使用して、複数の緩み検出器121、122の検出感度を異ならせることができる。この場合、先端に近い方が検出感度が高くなる。
【0084】
図5(a)、(b)に示されるように、荷締ベルト91の横幅よりも接触子31の径の方が小さい。荷締ベルト91の材質や、幅、厚さ等の形態にもよるが、荷締ベルト91には接触子31が強く押し付けられるため、荷締ベルト91に接触子31の跡が付いてしまう場合がある。荷締ベルト91に押し付ける力を分散させるために、接触子31は、接触面積がなるべく大きい面積で形成されている方が好ましい。又、接触子31は平坦な形状であることが好ましい。又、接触子31の圧力が荷締ベルト91の横幅全体に均一に掛かるように、接触子31が、荷締ベルト91の長手方向に直交する横方向(横幅方向)に亘って接触する形状に構成されていることが好ましい。
【0085】
例えば、図6に、荷締ベルト91の長手方向に直交する横方向に亘って接触子が接触する形状に構成した、本発明を適用する荷締部材の緩み検出装置1aを示す。緩み検出装置1aは、既に説明した緩み検出装置1の接触子31の構成に変更を加えたものである。他の構成は緩み検出装置1と同様であるので、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
緩み検出装置1aは、第1の緩み検出器12a1の接触子になる第1の接触板1111、及び、第2の緩み検出器12a2の接触子になる第2の接触板1112を備えている。接触板111(1111、1112)は、荷締ベルト91(図1参照)の横幅よりも長い長さ(幅)で形成されている。接触板111には、取付孔112が形成されている。軸状のガイド軸33aの一端部には、螺子孔118が形成されている。接触板111は、螺子115が取付孔112に通されてガイド軸33aの螺子孔118に螺子止めされて、ガイド軸33aに固定される。この例では、ガイド軸33aとして、図1に示した緩み検出装置1のガイド軸33付きの接触子31に、螺子孔118を形成したものを用いている。つまり、緩み検出装置1aは、緩み検出装置1の接触子31に接触板111を取り付けた構成になっている。接触板111とガイド軸33aとが一体的に樹脂で形成されたものを用いてもよい。
【0087】
接触板111は、荷締ベルト91に接触する表面が平坦に形成されている。接触板111の表面から螺子115の頭が突出しないように、螺子115には皿螺子が用いられている。
【0088】
接触板111をガイド軸33aに固定しただけでは、接触板111がガイド軸33aを軸心として回転してしまうため、接触板111に回り止め機構が付加されている。例えば、接触板1111と接触板1112とが、各々の一端側で接続板113によって繋がれている。これら接触板1111、接触板1112、及び接続板113は、取付部材11と同様の弾性を有する材質で、一体的に形成されている。接続板113には、中央部に貫通孔114が形成されている。取付部材11には、貫通孔114に対応する位置に、貫通孔121が形成されている。
【0089】
接続板113と取付部材11との間に、高さを調整するためのスペーサ117が挿入されて、貫通孔114、スペーサ117、及び貫通孔121に螺子116が挿通され、ナット125が螺子締められている。これにより、接続板113が取付部材11に対して固定されるため、接触板1111、1112が回り止めされる。接触板1111、1112は、弾性を有するため、接続板113から各々が独立的に曲がる(撓む)。
【0090】
荷締ベルト91(図示省略)は、接触板1111、1112よりも図の手前側に位置するように、接触板1111、1112に掛けられる。荷締ベルト91が接触板1111、1112を押すことで、ガイド軸33a、33aが押されてセンサ62、62の操作部63、63が押される。荷締ベルト91に接触板1111、1112が強く押し付けられても、接触板1111、1112は荷締ベルト91の横幅よりも長いため、荷締ベルト91の横幅全体に亘って力が均等に掛けられることから、荷締ベルト91に跡が付くことを防止できる。
【0091】
接触板111の形状、及び回り止め機構は適宜変更することができる。
【0092】
図7に、別の例として、中央部腕25wに取り付けられた第1の緩み検出器12w1、及び第2の緩み検出器12w2の拡大斜視図を示す。ケース13の図示は省略している。この中央部腕25w、第1の緩み検出器12w1、及び第2の緩み検出器12w2を緩み検出装置1に適用してもよい。この例は、複数の緩み検出器12w1、12w2が、同心円状に中央部腕25wに配列されている例である。
【0093】
中央部腕25wの先端部には、取付部27wが形成されている。取付部27wには、1つの取付孔28が形成されている。緩み検出器12w1、12w2は、1つの取付孔28に入るガイド筒37wを有し、ガイド筒37w内に同心円状に設けられている。ガイド筒37wには、一端側にフランジ38が形成されている。ガイド筒37wの外周には、ケース13(図示省略)に螺子締めされる雄螺子41が形成されている。
【0094】
緩み検出器12w1は、ガイド筒37wの中心部に設けられている。緩み検出器12w1の接触子31w1は、ガイド筒37wと同軸の円形の押しボタン型に形成されている。緩み検出器12w2は、緩み検出器12w1の周囲(外周)に設けられている。緩み検出器12w2の接触子31w2は、ガイド筒37wと同軸で、中心部に接触子31w1の形状で孔開けされた円形の押しボタン型に形成されている。
【0095】
接触子31w1は、ガイド軸33w1を有している。ガイド軸33w1は、第1のセンサ62w1の操作部63w1に同軸で当接している。接触子31w2は、筒状のガイド軸33w2を有している。筒状のガイド軸33w2は、その下端の縁に、棒状(円柱状)に下側(第2のセンサ62w2側)に突出した当接部39を有している。当接部39は第2のセンサ62w2の操作部63w2に当接している。
【0096】
接触子31w1は、ガイド筒37w内のばね(図示省略)によって荷締ベルト91側(図の上側)に付勢されている。接触子31w2は、ガイド筒37w内のばね(図示省略)によって荷締ベルト91側(図の上側)に付勢されている。接触子31w1の方が、接触子31w2よりも荷締ベルト91側に突出している。緩み検出器12w1(接触子31w1)のばねのばね定数(弾性定数)の方が小さく、緩み検出器12w2(接触子31w2)のばねのばね定数の方が大きい。
【0097】
接触子31w1は荷締ベルト91に押されるとガイド筒37w内の方向に移動する。接触子31w2は荷締ベルト91に押されるとガイド筒37w内の方向に移動する。接触子31w1と接触子31w2とは各々が独立して動く。接触子31w1のストロークは、長さL1+長さL2である。接触子31w2のストロークは、長さL2である。長さL1は、接触子31w1が接触子31w2よりも荷締ベルト91側(図の上側)に突出している長さである。長さL2は、接触子31w2がフランジ38よりも荷締ベルト91側に突出している長さである。接触子31w1のストロークの方が接触子31w2のストロークよりも大きい。接触子31w1のストロークに対応するストロークの操作部63w1を有するセンサ62w1を使用する。接触子31w2のストロークに対応するストロークの操作部63w2を有するセンサ62w2を使用する。又、センサ62w1として、操作部63w1を押されていないときに接点が開、長さL1で押されたときに接点が接、長さL1+L2で押されたときも接点が接のものを用いる。センサ62w2として、操作部63w2を押されていないときに接点が開、長さL2で押されたときに接点が接のものを用いる。
【0098】
この緩み検出器12w1、12w2では、荷締ベルト91が適正な張力で締められているときに、接触子31w1及び接触子31w2は共にフランジ38の位置まで押された状態になる。このとき、接触子31w1が長さL1+L2だけ押されてセンサ62w1の接点が接になると共に、接触子31w2が長さL2だけ押されてセンサ62w2の接点が接になる。
【0099】
荷締ベルト91が僅かに緩んだときに、接触子31w2が長さL2だけフランジ38から荷締ベルト91側に突出し、これにより接触子31w1も接触子31w2と同じ長さL2だけフランジ38から荷締ベルト91側に突出する。このときに、センサ62w1の接点は接のままを維持し、センサ62w2の接点は開になる。
【0100】
荷締ベルト91がさらに緩んだときに、接触子31w1が接触子31w2よりもさらに長さL1だけ荷締ベルト91側に突出して、センサ62w1の接点が開になり、センサ62w2の接点は開を維持する。したがって、センサ62w1、センサ62w2の接点の開閉状態を判別することで、荷締ベルト91の緩みを段階的に検出することができる。
【0101】
図8に、緩み検出装置1の電気的なブロック図を示す。
緩み検出装置1は、第1のセンサ621、第2のセンサ622、検出結果処理回路71、出力部73、電源79、及び電源スイッチ66を備えている。検出結果処理回路71は、センサ621、622の接点の開閉状態から荷締ベルト91の緩みの発生を検出し、検出結果を出力部73に出力する。
【0102】
出力部73は、緩みの発生の検出結果を出力する。出力部73は、緩みの検出結果を人間が感知可能な光及び/又は音で出力する報知器67、及び、緩みの検出結果を外部の機器に出力する送信回路75の少なくとも一方を備えている。報知器67は、例えば、図2に示したLEDである。LEDが例えば緑色、黄色、赤色の3色で発光可能なものである場合、検出結果処理回路71は、例えば緩みが無い状態(センサ621が閉、センサ622が閉)で緑色、緩み始めた状態(センサ621が閉、センサ622が開)で黄色、緩んでいる状態(センサ621が開、センサ622が開)で赤色にLEDを発光させる。LEDが単色の場合、検出結果処理回路71は、LEDを、例えば緩みが無い状態で消灯、緩み始めた状態で遅い点滅、緩んでいる状態で早い点滅又は点灯させる。報知器67として画像を表示する液晶パネルなどの画像表示器を備えて、文字や画像を表示させることで報知してもよい。報知器67としてブザーを備え、緩み始めた状態と緩んでいる状態とで、鳴動パターンを変えて音で報知してもよい。複数のセンサ62を有する場合、緩みの程度を段階的に報知器67が報知してもよいし、少なくとも1つの接点が開のときに、緩みが発生したということだけを報知器67が報知するようにしてもよい。必要性に応じ、報知器67を省略し備えなくてもよい。
【0103】
送信回路75は、無線又は有線で緩みの検出結果を外部に出力可能に構成されている。送信回路75は、自局を特定可能な識別番号と共に緩みの検出結果を外部に出力する。送信回路75は、複数のセンサ621、622の何れが緩みを検出したかを判別可能に検出結果を送信する。送信回路75が無線で出力するものである場合、図2に示すように、無線送受信モジュール65を使用すると小型化に有利である。無線送受信モジュール65として、例えば、上市されている公知の微弱無線モジュール、特定小電力無線モジュール、Bluetooth(登録商標)モジュール、無線LANモジュール、携帯電話モジュールなどを使用することができる。この場合、送信回路75は、アンテナ77を有している。
【0104】
送信回路75が有線で出力するものである場合、外部機器と接続するための電線、又は光ケーブルなどの接続コネクタ(図示省略)が備えられる。
【0105】
電源79は、一次又は二次電池である。二次電池が用いられる場合、充電回路を備えていてもよい。トラックなどの輸送機関から電源供給されるようにしてもよい。電源スイッチ66(図2参照)は、操作部を操作することで各部への電源供給をオン/オフさせるものである。必要性に応じて、電源スイッチ66を省略し備えなくてもよい。
【0106】
図9に、操作者が操作する電源スイッチ66を備えずに、複数のセンサ62(621、622)のうちの少なくとも1つが電源スイッチを兼ねている緩み検出装置1bを示す。センサ62はタクタイルスイッチなどの接点を有するスイッチである。
【0107】
同図に示すように、電源79はリレー68を介して各回路に電力を供給する。検出結果処理回路71は、第1のセンサ621及び第2のセンサ622のうちの少なくとも1つの接点が閉(オン)になったときに、リレー68を接(オン)にする。これにより、緩み検出装置1bが動作を開始する。
【0108】
検出結果処理回路71は、複数のセンサ(第1のセンサ621及び第2のセンサ622)の接点がすべて開になったときに、タイマ69の作動を開始させ、所定の期間(例えば10分から3時間)が経過したときに、リレー68を断(オフ)にして、各回路への電源供給を停止させる。これにより、緩み検出装置1bが動作を停止する。このような構成にすることで、操作者が操作しなくても、緩み検出装置1bの動作を自動的にオン/オフすることができる。
【0109】
次に、本発明の荷締部材の緩み検出システムについて説明する。
【0110】
図10に、緩み検出システムの使用状態を示す。同図では、緩み検出システムがトラック101に使用されている例を示している。緩み検出システムは、既に説明した緩み検出装置1を備えると共に、受信装置2を備えている。緩み検出装置1は、出力部73として少なくとも送信回路75(図8参照)を備えている。
【0111】
同図では、トラック101に積載された荷105に、4本の荷締ベルト91が掛けられている状態を示している。荷締ベルト91は、ラチェット式のベルト締金具92が取り付けられているものであり、例えばラッシングベルト(登録商標)である。ベルト締金具92を操作することで、荷締ベルト91が適正な張力に締められる。各々の荷締ベルト91には、少なくとも1台の緩み検出装置1が取り付けられている。1本の荷締ベルト91に、緩みの発生しやすい部位が複数個所ある場合、各々の部位に緩み検出装置1を取り付けることが好ましい。例えば、1本の荷締ベルト91に対し、図で視認可能な車体左側に1台、図で視認できない車体右側に1台の計2台の緩み検出装置1を取り付けることが好ましい。同図では、1本の荷締ベルト91に2台、4本で計8台の緩み検出装置1が取り付けられているものとする。複数(8台)の緩み検出装置1には、個々を識別可能な、例えば1〜8までの識別番号が付されている。
【0112】
トラック101の運転席102に、受信装置2が取り付けられている。
【0113】
図11に、受信装置2の電気的なブロック図を示す。受信装置2は、受信回路81、報知処理回路82、報知器83、電源87、及び電源スイッチ89を備えている。受信回路81は、緩み検出装置1の送信回路75(図8参照)が送信した検出結果を受信可能なものである。送信回路75が無線で送信するものである場合、同図に示すように、受信回路81は、アンテナ85を有している。送信回路75が有線で送信するものである場合、電線又は光ケーブルなどの接続コネクタ(図示省略)が備えられる。受信回路81は、例えば、緩み検出装置1に用いられている無線送受信モジュールと同様のものが用いられる。報知処理回路82は、受信回路81が受信した検出結果を処理して、報知器83が報知可能な信号に変換処理する。
【0114】
報知器83は、緩みの検出結果を人間が感知可能な光及び/又は音で報知するものである。報知器83は、例えば、液晶パネルなどの表示器であり、運転手が視認しやすい位置に設けられている。報知器83は、緩み検出装置1、1・・・のうちのいずれのものが緩みを検出したかを識別可能に表示して報知することが好ましい。さらに、報知器83は、荷締ベルト91が緩んでいないか、緩み始めであるか、緩んでいるかというように緩み具合を判別可能に、緩みの検出結果を段階的に報知可能なものであることが好ましい。例えば、報知器83となる液晶パネルに、緩みを検出した検出装置1の識別番号の数字、及び緩み具合を示すレベルメータの画像を表示させる。報知器83が、緩みが発生したことを音声で報知するスピーカであってもよい。
【0115】
電源87は、例えばトラック101の電源から動作用の電力の供給を受けるための回路である。電源スイッチ89は、各回路への電力の供給をオン/オフ操作するためのものである。
【0116】
図10に示す緩み検出システムでは、緩み検出装置1、1・・・が緩みを検出したときに、その識別番号及び緩みの検出結果を直ちに送信する。受信装置2は、この緩みの検出結果を受信すると、受信した識別番号及び緩みの検出結果を報知器83から直ちに報知する。したがって、運転手は緩みの発生を知ることができる。運転手は、いずれの緩み検出装置1が送信したかを識別できるので、緩んでいる荷締ベルト91を迅速に特定することができる。さらに緩み具合が報知器83に段階的に示されて報知されるので、振動が発生して緩みやすい環境下であっても、運転手は荷締ベルト91が緩み始めたことを確実に知ることができる。したがって、運転手は荷締ベルト91が大きく緩んでしまう前に締め直すことができ、荷崩れを確実に防止することができる。
【0117】
又、緩み検出装置1は、緩みを検出したときに報知器67を直ちに作動させる。そのため、運転席102を降りてトラック101の荷台の位置まで来た運転手は、報知器67の作動している緩み検出装置1を見つけることで、緩んでいる荷締ベルト91を一層迅速に特定することができる。
【0118】
なお、緩み検出システムは、緩み検出装置1と受信装置2との間に、信号を中継するための中継装置を有していてもよい。
【0119】
本発明の実施の形態に係る荷締部材の緩み検出装置1(図1図5参照)および上述した他の形態に係る荷締部材の緩み検出装置1a,1b(図6図7図9参照)では、緩み検出装置1,1a,1b自体が荷締ベルト91に取り付けられる構成としたが、これに限らない。例えば、図12および図13に例示する変形例の荷締部材の緩み検出装置1cに示すように、荷締部材の緩み検出装置1cがトラック101のあおり101a(図12参照)に取り付けられる構成とすることができる。
【0120】
変形例の緩み検出装置1cは、図13に示すように、上述した本実施の形態の緩み検出装置1に対して取付部材11を取付部材511に置き換えると共に、緩み検出器12(121,122)を緩み検出器512(5121,5122)に置き換え、さらに、緩み検出器512(5121,5122が支持具BRを介してトラック101のあおり101a(図12参照)に取り付けられる点を除いて本実施の形態の緩み検出装置1と同一の構成をしている。重複する説明を回避するため、変形例の緩み検出装置1cの構成のうち本実施の形態の緩み検出装置1の構成に相当する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここで、あおり101aは、本発明における「荷台」に対応する実勢構成の一例である。
【0121】
取付部材511は、図12に示すように、金属製の矩形環状部材として構成されており、取付部材511を構成する四つの側面のうちの一つの側面に緩み検出器512(5121,5122)が締結される。緩み検出器512(5121,5122)が締結される取付部材511の当該締結面には、緩み検出器512(5121,5122)を締結するためのボルトBLTなどの締結部材が挿通される挿通孔(図示せず)が形成されている。
【0122】
緩み検出器5121,5122は、図13に示すように、上述した本実施の形態の緩み検出器121,122に対して接触子31(311,312)を接触子531(5311,5312)に置き換えたものである。接触子531(5311,5312)の頭部には、螺子孔SHが形成されており、接触子531(5311,5312)の頭部に取付部材511を当接させた状態で、ボルトBLTなどの締結部材を取付部材511の挿通孔から挿通させて、螺子孔SHに螺子係合させることによって取付部材511が接触子531(5311,5312)の頭部に締結される。
【0123】
支持具BRは、図12に示すように、側面視略U字状の金属製ブラケットとして構成されており、開口側の両端部にはトラック101のあおり101aに締結するための締結フランジが設けられている。また、支持具BRの底面は、図13に示すように、ボルトBLTなどの締結部材によって緩み検出器512(5121,5122)、より具体的には、ケース13の底面(固定部51が形成された側とは反対側の面)が締結される締結面として構成されている。
【0124】
次に、緩み検出装置1cをトラック101のあおり101aに取り付ける際の様子について説明する。まず、緩み検出器512(5121,5122)を支持具BRの底面に締結する。続いて、取付部材511を緩み検出器512(5121,5122)の接触子531(5311,5312)の頭部に締結する。そして、支持具BRをボルトなどの締結部材によってトラック101のあおり101aに締結する。これにより、緩み検出装置1cのトラック101のあおり101aへの取り付けが完了する。そして、図12に示すように、トラック101のあおり101aに取り付けられた緩み検出装置1cの取付部材511に荷締ベルト91を挿し通し、当該状態で荷締ベルト91を締め上げることによって、荷締ベルト91の緩みを検知可能な状態で荷の荷台への固定が完了する。ここで、トラック101のあおり101aに取り付けられた緩み検出装置1cの取付部材511に荷締ベルト91を挿し通すことによって、荷締ベルト91が取付部材511を介して緩み検出器512(5121,5122)に接触する態様は、本発明における「前記緩み検出器が、前記荷締部材に接触して」に対応する実施構成の一例である。
【0125】
こうした変形例の緩み検出装置1cによれば、荷が積載されるトラック101のあおり101aに緩み検出装置1cが取り付けられる構成であるため、荷締ベルト91の張力の全てを緩み検出器512(5121,5122)に作用させることができる。これにより、荷締ベルト91の緩みを感度良く検出することができる。この結果、荷締ベルト91の緩みをより確実に検出することができる。
【0126】
上述した変形例の緩み検出装置1cでは、当該緩み検出装置1cをトラック101のあおり101aに直接取り付ける構成としたが、これに限らない。例えば、トラック101のあおり101aに直接取り付けられた荷締ベルトや荷締ロープ、荷締チェーンなどを介して緩み検出装置1cを間接的にトラック101のあおり101aに取り付ける構成としても良い。なお、緩み検出装置1cが取り付けられる箇所はトラック101のあおり101aに限らず、トラック101側であれば車体など如何なる箇所であっても良いことは言うまでもない。
【0127】
また、上述した変形例の荷締部材の緩み検出装置1cでは、ボルトBLTなどの締結部材によって取付部材511を接触子531(5311,5312)の頭部に締結する構成としたが、これに限らない。例えば、取付部材511と接触子531(5311,5312)とを溶接により一体にする構成や、取付部材511と接触子531(5311,5312)とを一体成形する構成としても良い。
【0128】
さらに、上述した変形例の荷締部材の緩み検出装置1cでは、ボルトBLTなどの締結部材によって支持具BRをトラック101のあおり101aに取り付ける構成としたが、これに限らない。例えば、溶接によって支持具BRをトラック101のあおり101aに取り付ける構成としても良い。
【0129】
また、上述した変形例の荷締部材の緩み検出装置1cでは、支持具BRを用いて緩み検出装置1cをトラック101のあおり101aに取り付ける構成としたが、これに限らない。緩み検出装置1cをトラック101のあおり101aに取り付けることができれば如何なる構成でも良く、例えば、緩み検出装置1cが緩み検出装置1と同様、取付部材11を有する構成として、当該取付部材11を用いて緩み検出装置1cをトラック101のあおり101aに取り付ける構成としても良い。
【0130】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0131】
1・1a・1b・1cは荷締部材の緩み検出装置、2は受信装置、11・11vは取付部材、121・12a1・12w1・5121は第1の緩み検出器、122・12a2・12w2・5122は第2の緩み検出器、13はケース、21は支持体、22は端部腕、23は腕先片、25・25v・25wは中央部腕、26はスリット、27・27v・27wは取付部、28は取付孔、29は開口部、31・531は接触子、311・31w1・5311は第1の接触子、312・31w2・5312は第2の接触子、33・33a・33w1・33w2はガイド軸、34は溝、35は座金、361は第1のばね、362は第2のばね、37・37wはガイド筒、38はフランジ、39は当接部、41は雄螺子、42はストッパ、43は溝、45は止め輪、51は固定部、52は螺子孔、55は蓋、61はプリント配線基板、62はセンサ、621・62w1は第1のセンサ、622・62w2は第2のセンサ、63・63w1・63w2は操作部、65は無線送受信モジュール、66は電源スイッチ、67は報知器、68はリレー、69はタイマ、71は検出結果処理回路、73は出力部、75は送信回路、77はアンテナ、79は電源、81は受信回路、82は報知処理回路、83は報知器、85はアンテナ、87は電源、89は電源スイッチ、91は荷締ベルト、92はベルト締金具、101はトラック、102は運転席、105は荷、第1の接触板1111、第2の接触板1112、112は取付孔、113は接続板、114は貫通孔、115は螺子、116は螺子、117はスペーサ、118は螺子孔、121は貫通孔、125はナット、Dは移動距離、L1・L2は距離、511は取付部材、BLTはボルト、BRは支持部具、SHは螺子孔である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13