(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、便鉢内の溜水面上に供給される泡としては、用便時の跳ね返りを抑制する観点から、きめ細かい均質な泡であることが求められる。また、特に用便前の使用を考慮した場合には、このようなきめ細かい均質な泡を、短時間で便鉢内の溜水面上に広く張ることが求められる。しかしながら、特許文献1および2に開示された技術では、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢内の溜水面上に広く張る検討についてはなされていないのが現状である。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢内の溜水面上に広く張ることができる便器装置および該便器装置が取り付けられた便器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するため(1)の発明は、便鉢(例えば、後述の便鉢102)内に溜水(例えば、後述の溜水W)を有する便器(例えば、後述の便器100)に取り付けられる便器装置(例えば、後述の便器装置1)であって、泡を吐出する泡吐出口(例えば、後述の泡吐出口24b)を有する吐出部(例えば、後述の吐出ノズル20)を備え、前記泡吐出口は、該泡吐出口に対向する前記便鉢に向けて泡を吐出する便器装置を提供する。
【0008】
(1)の発明の便器装置では、泡吐出口に対向する便鉢に向けて、泡吐出口から泡を吐出する。これにより、泡吐出口から吐出された泡は、泡吐出口に対向する便鉢または溜水面に衝突する。すると、吐出された泡は、衝突時の衝撃によって弾けて素早くより小さい泡となって広がり、きめ細かい均質な泡が短時間で生成される。従って、(1)の発明の便器装置によれば、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢内の溜水面上に広く張ることができる。
【0009】
(2)前記泡吐出口は、該泡吐出口に対向する前記便鉢の傾斜部(例えば、後述の後方傾斜部102b)のうち、溜水面(例えば、後述の溜水面L)よりも上部に泡を吐出することが好ましい。
【0010】
(2)の発明の便器装置では、泡吐出口に対向する便鉢の傾斜部のうち溜水面よりも上部に、泡吐出口から泡を吐出する。これにより、泡吐出口から吐出された泡は、泡吐出口に対向する便鉢の傾斜部のうち溜水面よりも上部に衝突する。すると、吐出された泡は、衝突時の衝撃によって弾けて素早くより小さい泡となって広がり、きめ細かい均質な泡が短時間で生成される。従って、(2)の発明の便器装置によれば、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢内の溜水面上に広く張ることができる。
【0011】
(3)前記吐出部は、先端側に前記泡吐出口を有する吐出ノズル(例えば、後述の吐出ノズル20)で構成されることが好ましい。
【0012】
(3)の発明では、吐出部を、先端側に泡吐出口を有する吐出ノズルで構成する。これにより、泡吐出口に対向する便鉢の傾斜部に向けて泡を吐出し易くなり、上記(1)および(2)の発明の効果がより確実に得られる。
【0013】
(4)前記吐出部を移動させることで、前記泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を調節する調節機構(例えば、後述の調節機構33)を備えることが好ましい。
【0014】
(4)の発明では、吐出部を移動させることで泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を調節する調節機構を設ける。これにより、調節機構によって吐出部を移動させることで、泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を任意に調節でき、便鉢の傾斜部の任意の位置に泡を吐出できる。従って、(4)の発明によれば、便器の形状の相違に関わらず、泡吐出口に対向する便鉢の傾斜部に向けて泡を安定して吐出でき、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢内の溜水面上に広く張ることができる。
【0015】
(5)前記調節機構を操作する操作部(例えば、後述の操作部30)を備えることが好ましい。
【0016】
(5)の発明では、調節機構を操作する操作部を設ける。これにより、使用者が操作部により調節機構を操作することで、吐出部を所望の位置に移動させることができ、泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を所望の位置に調節できる。
【0017】
(6)前記便器の形状を検知する検知部(例えば、後述のセンサ部31)と、前記検知部により検知された前記便器の形状に応じて前記調節機構を制御することで、前記泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を調節する制御部(例えば、後述の制御部32)と、を備えることが好ましい。
【0018】
(6)の発明では、便器の形状を検知する検知部と、検知された便器の形状に応じて調節機構を制御することで泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を調節する制御部と、を設ける。これにより、検知部によって便器の形状を検知し、検知された便器の形状に応じて制御部によって調節機構を制御することで、泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を最適な位置に調節できる。従って、(5)の発明によれば、泡吐出口から吐出される泡の吐出位置を自動で最適な位置に調節できる。
【0019】
(7)前記吐出部は、局部洗浄水を吐出する洗浄水吐出口(例えば、後述の洗浄水吐出口23b)を有することが好ましい。
【0020】
(7)の発明では、吐出部に、局部洗浄水を吐出する洗浄水吐出口を設ける。通常、便器には使用者の局部を洗浄するための局部洗浄ノズルが取り付けられるところ、(7)の発明によれば、泡を吐出する泡吐出口と局部洗浄水を吐出する洗浄水吐出口とを同一の吐出部に設けることで、部品点数を削減でき、低コスト化および省スペース化が図れる。
【0021】
(8)の発明では、(1)から(7)いずれかの便器装置が取り付けられた便器を提供する。これにより、(1)から(7)の発明と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢内の溜水面上に広く張ることができる便器装置および該便器装置が取り付けられた便器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る便器装置1が取り付けられた便器100の部分断面側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る便器装置1は、水洗式の便器100の後方側に配置されて便器100に取り付けられる。なお、
図1では、後段で詳述する吐出ノズル20が便器100の前方(
図1の右側)に進んで泡を吐出している状態を示している。
【0025】
先ず、便器100について説明する。
図1に示すように、便器100は、便器本体101と、便鉢102と、吐水口103と、排水路104と、を備える。この便器100は、衛生陶器により形成される。
【0026】
便器本体101は、上面に開口が形成されており、前方周壁部101aと、後方周壁部101bと、を備える。
前方周壁部101aは、前方側の上面周縁から下方に向かうに従い内側に傾斜して延びている。前方周壁部101aの下端は、床面Fに当接している。この前方周壁部101aの内側には、後述する便鉢102が設けられる。
後方周壁部101bは、後方側の上面周縁から略鉛直下方に延びている。後方周壁部101bの下端は、床面Fに当接している。この後方周壁部101bの内側には、後述する便器装置1の一部が収容される図示しない収容空間が設けられる。
【0027】
便鉢102は、上述したように前方周壁部101aの内側に設けられる。便鉢102は、前方傾斜部102aと、後方傾斜部102bと、図示しない右側傾斜部および左側傾斜部と、リム通水路102cと、排出口102dと、を備える。
前方傾斜部102a、後方傾斜部102b、右側傾斜部および左側傾斜部は、それぞれ中央側に向かうに従い下方に傾斜している。隣接する傾斜部同士は、なだらかな曲面状に接続される。
【0028】
リム通水路102cは、便鉢102の上部周縁に形成される。より詳しくは、便器本体101の上端周縁から内側に突出するリム105の下方に形成される。このリム通水路102cには、吐水口103から吐出される洗浄水が流通する。リム通水路102cに洗浄水が流通する際には、内側に突出したリム105によって洗浄水が外側に飛散するのが回避される。
【0029】
排出口102dは、溜水面Lの下方に形成される。排出口102dは、後方傾斜部102bの下方で鉛直方向に開口している。汚物は、この排出口102dを介して排出される。
【0030】
吐水口103は、便器装置1が取り付けられている便鉢102の後方に設けられる。この吐水口103は、リム通水路102cに沿って流れる洗浄水を吐出する。
【0031】
排水路104は、便鉢102の排出口102dの下流側に設けられる。使用後の溜水Wは、洗浄水とともにこの排水路104を介して排水される。排水路104は、第1下降排水路104aと、上昇排水路104bと、第2下降排水路104cと、を備える。
第1下降排水路104aは、便鉢102の溜水部の下流側に連通し、後方に向かって斜めに下降している。
上昇排水路104bは、第1下降排水路104aの下流側に連通し、後方に向かって斜めに上昇している。
第2下降排水路104cは、上昇排水路104bの下流側に連通し、鉛直下方に下降している。
これにより、便鉢102の溜水面Lよりも下方の部分と、第1下降排水路104aと、上昇排水路104bとで形成されるトラップ流路によって、溜水Wが貯留される便鉢102の溜水部(封水部)が形成される。
【0032】
図1に示すように、便器100には、便座2および便蓋3が取り付けられている。
便座2および便蓋3は、便器本体101の後方上面に、軸支部4を介して回動自在に軸支される。これにより、便座2および便蓋3はそれぞれ独立して、便器本体101上に倒伏した倒伏状態と、便器本体101に対して略垂直方向に起立した起立状態と、を取り得る。
【0033】
便器100の動作について説明する。
先ず、使用者が便器100を使用した後、図示しない後述のリモコン操作部を操作して便器洗浄(小洗浄または大洗浄)を実行すると、吐水口103から洗浄水が吐水される。吐水口103から吐水された洗浄水は、リム通水路102cに沿って便鉢102の上端を周回して流れた後、便鉢102の内壁を形成する各傾斜部に沿って周回しながら下方に流れ、溜水面L上に流れ落ちる。即ち、便鉢102の内部に洗浄水による旋回流が形成され、この旋回流により各傾斜部等に付着した汚物等が洗い流されて溜水部の中央側に集められた後、第1下降排水路104a、上昇排水路104b、第2下降排水路104cを順次通って排出される。そして、新たな洗浄水が再び溜水部に貯留され、溜水Wが形成される。
【0034】
次に、便器装置1について説明する。
本実施形態の便器装置1は、泡吐出機能を有する。この泡吐出機能を有する便器装置1は、後段で詳述する操作部30を操作することで制御部32により制御される。ここで、
図2は、
図1に示す便器装置1の泡吐出機能を説明するための図である。なお
図2では、
図1と同様に、後段で詳述する吐出ノズル20が便器100の前方に進んで泡を吐出している状態を示している。また
図2では、説明の便宜上、便器本体101の後方部を後方側に拡張して示している(
図6も同様)。
図2に示すように、便器装置1は、水供給路10と、水用バルブ11と、バキュームブレーカ(VB)12と、薬剤供給路13と、薬剤タンク14と、薬剤ポンプ15と、空気供給路16と、空気ポンプ17と、泡発生機構18と、泡供給路19と、吐出ノズル20と、を備える。
【0035】
水供給路10は、図示しない水道管と泡発生機構18とを接続する。即ち、水供給路10は、水道水が流通し、給水圧の水を泡発生機構18に供給する。
水用バルブ11は、水供給路10の途中に設けられ、流通する水道水の流量を調整する。
バキュームブレーカ12は、水供給路10の水用バルブ11の下流側に設けられ、内部に図示しない遮断弁を備える。バキュームブレーカ12は、水供給路10内に負圧が生じると、図示しない吸気口より空気を吸引して遮断弁を閉じることで、水供給路10を遮断して水の逆流を防止する。
【0036】
薬剤供給路13は、薬剤タンク14と泡発生機構18とを接続する。即ち、薬剤供給路13は、薬剤タンク14内に貯蔵されていた液体薬剤が流通し、泡発生機構18に液体薬剤を供給する。
薬剤タンク14は、内部に液体薬剤を貯蔵する。液体薬剤としては、例えば台所用洗剤等の従来公知の液体薬剤を用いることができる。
薬剤ポンプ15は、薬剤供給路13の途中に設けられる。薬剤ポンプ15は、薬剤供給路13内を流通する液体薬剤に所定圧を付加することで、液体薬剤を泡発生機構18に圧送する。
【0037】
空気供給路16は、空気ポンプ17と泡発生機構18とを接続する。即ち、空気供給路16は、空気が流通し、泡発生機構18に空気を供給する。なお、空気供給路16は、薬剤供給路13よりも下流側にて泡発生機構18に接続されている。
空気ポンプ17は、空気供給路16に接続され、図示しない吸気口から空気を取り込んで所定圧を付加することで、空気を泡発生機構18に圧送する。
【0038】
泡発生機構18は、水供給路10を介して供給される水、薬剤供給路13を介して供給される液体薬剤および空気供給路16を介して供給される空気を混合することで、泡を発生させる。泡発生機構18としては、例えばエゼクタ効果を利用したものの他、撹拌羽根による撹拌を利用したもの等、従来公知のものを用いることができる。
泡供給路19は、泡発生機構18と吐出ノズル20とを接続する。即ち、泡供給路19は、泡が流通し、吐出ノズル20に泡を供給する。
【0039】
吐出ノズル20は、便器本体101の後方上部に設けられ、先端側に吐出口を有する長尺状の部材で構成される。吐出ノズル20は、作動前の初期状態では、便器装置1の内部に収容されており、泡の吐出時に前進して移動する。吐出ノズル20は、泡供給路19を介して供給された泡を、吐出口から便鉢102内に吐出する。以下、吐出ノズル20について、
図3を参照して詳しく説明する。
【0040】
図3は、本実施形態に係る吐出ノズル20を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図3に示すように、吐出ノズル20は、内部が中空の上部半体21で構成された局部洗浄部23と、内部が中空の下部半体22で構成された泡吐出部24と、を備える。これら上部半体21で構成された局部洗浄部23と下部半体22で構成された泡吐出部24は、上部半体21の両側面下部に長手方向に沿って延設された係合凸部21aと、下部半体22の両側面上部に長手方向に沿って延設された係合凹部22aとが、互いに係合することで接合される。
【0041】
局部洗浄部23は、上述したように吐出ノズル20の上部半体21により構成される。局部洗浄部23は、局部洗浄水供給口23aと、複数の洗浄水吐出口23bと、を備える。
局部洗浄水供給口23aは、局部洗浄部23を構成する上部半体21の基端側(便器100の後方)の側面に設けられる。この局部洗浄水供給口23aは、局部洗浄部23を構成する上部半体21の中空内部に局部洗浄水を供給する。供給された局部洗浄水は、上部半体21の中空内部を流通する。
複数の洗浄水吐出口23bは、局部洗浄部23を構成する上部半体21の先端側(便器100の前方)の上面に設けられる。これら複数の洗浄水吐出口23bは、小径の円孔で形成され、上部半体21の中空内部を流通した局部洗浄水を、上方に向けて勢いよく吐出する。
【0042】
泡吐出部24は、上述したように吐出ノズル20の下部半体22により構成される。泡吐出部24は、泡供給口24aと、泡吐出口24bと、ギア歯24cと、を備える。
泡供給口24aは、泡吐出部24を構成する下部半体22の基端側(便器100の後方)の上面に設けられる。この泡供給口24aは、上述の泡供給路19が接続されることで、泡発生機構18で生成された泡を、下部半体22の中空内部に供給する。供給された泡は、下部半体22の中空内部を流通する。
泡吐出口24bは、泡吐出部24を構成する下部半体22の先端側(便器100の前方)の下面に設けられる。泡吐出口24bは、矩形状の孔で形成され、下部半体22の中空内部を流通した泡を、下方に向けて吐出する。
ギア歯24cは、泡吐出部24を構成する下部半体22の下面に設けられる。ギア歯24cは、後述する調節機構33からの動力の伝達を受ける。これにより、吐出ノズル20は、便器100の前後方向にスライド移動可能となっている。なお、調節機構33については、後段で詳述する。
【0043】
ここで、
図4は、本実施形態に係る便器装置1が泡を吐出しているときの状態を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は吐出した泡が衝突する便鉢102の後方傾斜部102bの拡大図である。
図5は、本実施形態に係る便器装置が泡を吐出しているときの状態を示す図であり、(a)は初期状態を示す平面図であり、(b)は吐出した泡が便鉢内の溜水面L上に広がった状態を示す平面図である。
【0044】
図4(a)に示すように、便器装置1は、泡吐出口24bに対向する便鉢102の後方傾斜部102bのうち、溜水面Lよりも上部の所定位置(以下、最適吐出位置Pという。)に、泡吐出口24bから泡を吐出する。吐出された泡は、落下して後方傾斜部102bの最適吐出位置Pに衝突する。すると、
図4(b)に示すように、吐出された泡は、衝突時の衝撃によって弾けてより小さい泡となり、きめ細かい均質な泡が生成される。
【0045】
次いで、
図5(a)に示すように、生成されたきめ細かい均質な泡は、便鉢102の後方傾斜部102bから右側傾斜部および左側傾斜部に沿って左右に分散しながら勢いよく溜水面L上に流れ落ちる。そして、
図5(b)に示すように、溜水面L上に流れ落ちた泡は、溜水面L上を前方傾斜部102a方向に広がっていくことで、溜水面L全体に素早く広がる。これにより、溜水面L上が短時間できめ細かい均質な泡で満たされるようになっている。
【0046】
次に、便器装置1の泡吐出位置の調節機能について説明する。
図6は、本実施形態に係る便器装置1の泡吐出位置の調節機能を説明するための図である。
図6に示すように、便器装置1は、泡吐出位置を調節するための手段として、操作部30と、センサ部31と、制御部32と、調節機構33と、を備える。
【0047】
操作部30は、使用者が操作する入力部である。操作部30は、便器装置1の側面上部等に設けられる他、便器装置1とは別体としてトイレ室内の側壁に取り付けられたリモコン操作部として設けられる。操作部30は、制御部32を介して調節機構33の操作が可能である他、制御部32を介して便器装置1の水用バルブ11、薬剤ポンプ15、空気ポンプ17および泡発生機構18等を操作して、泡の吐出の操作が可能となっている。また、リモコン操作部は、用便後の洗浄や局部洗浄等の通常の操作も可能となっている。
【0048】
センサ部31は、例えばレーザセンサ等の非接触式の形状測定センサが用いられる。センサ部31は、便器100の後方上面に取り付けられた便器装置1の前端部下面に設けられる。センサ部31は、便器100の形状、具体的には便鉢102の形状を検知する。センサ部31により検知された検知信号は、制御部32に入力される。
【0049】
制御部32は、便器装置1の内部に設けられる。制御部32は、CPUおよびメモリ等の電気回路から構成される。制御部32は、操作部30からの入力信号に応じて、泡の吐出や用便後の洗浄、局部洗浄等を実行する。
また、制御部32には、予め実験を行って得られた種々の便器(便鉢)の形状パラメータと最適吐出位置Pとの関係が記憶されている。そのため、制御部32は、センサ部31により検知された便器100の形状に応じて、上記関係を参照して最適吐出位置Pを決定し、決定された最適吐出位置Pとなるように調節機構33を制御する。これにより、吐出ノズル20の泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を、最適吐出位置Pに対応した最適な位置に自動的に調節できるようになっている。ただし、便器装置1を便器100に取り付けた後は、通常は便器形状が変化することはないため、センサ部31による便器形状の検知は通常省略され、一旦設定された最適な位置に自動的に調節される。
また、制御部32は、使用者が操作部30により調節機構33の操作を入力した場合には、該入力信号に応じて調節機構33を制御することも可能となっている。これにより、マニュアル操作で調節機構33を制御して泡の吐出位置を調節可能となっている。
【0050】
調節機構33は、吐出ノズル20を移動させることで、泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を調節する。具体的には、制御部32からの出力信号が入力されることで、吐出ノズル20の移動を調節する。
ここで、
図7は、本実施形態に係る吐出ノズル20の調節機構33を説明するための図である。
図7では、便鉢102の後方傾斜部102bの位置が前後方向にずれて異なる場合を一例として示している。
図7に示すように、この場合には、調節機構33により吐出ノズル20を前後方向に移動させることで、泡の吐出位置を最適吐出位置PAやPBに調節可能であり、泡吐出口24bからの泡の吐出位置を最適な位置に調節可能である。このように、便器100の形状、特に便鉢102の形状が相違し、最適吐出位置Pが相違する場合であっても、調節機構33により吐出ノズル20を移動させることで、泡吐出口24bからの泡の吐出位置を最適な位置に調節可能となっている。
【0051】
調節機構33は、いずれも図示しない、モータや各種シリンダ(水圧、油圧または空気圧シリンダ)等の駆動源と、該駆動源により駆動されて吐出ノズル20を移動させるギアボックス等の移動機構と、を備える。これにより、吐出ノズル20は、種々の動作が可能となっている。
【0052】
ここで、
図8は、本実施形態に係る吐出ノズル20の調節機構33による動作を示す図であり、(a)は吐出ノズル20の前後スライド動作を示し、(b)は吐出ノズル20の角度変更動作を示し、(c)は吐出ノズル20の先端折れ曲がり動作を示す。
図8(a)に示すように、調節機構33は、吐出ノズル20を前後方向に進退させることで、前後スライド動作が可能となっている。
また、
図8(b)に示すように、調節機構33は、吐出ノズル20の基端に左右方向に延びる図示しない回動軸を設け、該回動軸を中心として吐出ノズル20(便器100の前方)を上下方向に回動させることで、角度変更動作が可能である。なお、回動軸を上下方向に設けることで、吐出ノズル20を左右方向に回動させることも可能である。
また、
図8(c)に示すように、調節機構33は、吐出ノズル20の途中に左右方向に延びる図示しない回動軸を設け、吐出ノズル20の先端側のみを上下方向に回動させることで、先端折れ曲がり動作が可能である。
【0053】
次に、便器装置1の動作の一例について説明する。
先ず、便器装置1を新たに便器100に取り付けた場合には、施工者がリモコン操作部を操作して、センサ部31により便器100の便鉢102の形状を検知する。すると、検知された便鉢102の形状に応じて、最適吐出位置Pに対応した泡吐出口24bの最適な位置が決定され、吐出ノズル20の移動方向および距離が決定される。施工者は、リモコン操作部を操作して、決定された吐出位置情報を制御部32に記憶させる。ただし、便器100の形状に応じた吐出位置情報を予め記憶させていてもよい。
【0054】
使用者は、用便前にリモコン操作部を操作して、吐出ノズル20の泡吐出口24bから泡を吐出させる。このとき、制御部32は、通常上記のようにして予め決定された吐出位置情報を読み出し、読み出した吐出位置情報に応じて調節機構33を制御する。これにより、吐出ノズル20の移動が制御されて、泡吐出口24bからの泡の吐出位置が最適吐出位置Pに自動的に調節される。
【0055】
便器装置1内に収容されていた吐出ノズル20が前進して移動が完了すると、泡吐出口24bから泡が吐出される。このとき吐出される泡は、次のようにして生成される。即ち、水用バルブ11で流量制御されて水供給路10を流通する水と、薬剤ポンプ15で流量制御されて薬剤供給路13を流通する液体薬剤と、空気ポンプ17に流量制御されて空気供給路16を流通する空気が泡発生機構18に供給される。すると、これら水、液体薬剤および空気が泡発生機構18内にて撹拌されることで、泡が生成する。生成された泡は、泡供給路19および泡供給口24aを通じて、吐出ノズル20の下部半体22の中空内部に供給され、泡吐出口24bから吐出される。
【0056】
泡吐出口24bからの泡の吐出が完了すると、吐出ノズル20は、元の位置まで後退し、便器装置1内に収容される。
【0057】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態の便器装置1では、泡吐出口24bに対向する便鉢102の後方傾斜部102bのうち溜水面Lよりも上部(最適吐出位置P)に、泡吐出口24bから泡を吐出した。これにより、泡吐出口24bから吐出された泡は、泡吐出口24nに対向する便鉢102の後方傾斜部102bのうち溜水面Lよりも上部(最適吐出位置P)に衝突する。すると、吐出された泡は、衝突時の衝撃によって弾けて素早くより小さい泡となり、きめ細かい均質な泡が短時間で生成される。そして、生成されたきめ細かい均質な泡は、便鉢102の後方傾斜部102bに沿って勢いよく流れ落ち、便鉢102内の溜水面L上に素早く広がる。従って、本実施形態の便器装置1によれば、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢102内の溜水面L上に広く張ることができる。
【0058】
また本実施形態では、泡吐出部24を、先端側に泡吐出口24bを有する吐出ノズル20で構成した。これにより、泡吐出口24bに対向する便鉢102の後方傾斜部102bのうち溜水面Lよりも上部(最適吐出位置P)に泡を吐出し易くなり、上記の効果がより確実に得られる。
【0059】
また本実施形態では、吐出ノズル20を移動させることで泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を調節する調節機構33を設けた。これにより、調節機構33によって吐出ノズル20を移動させることで、泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を任意に調節でき、便鉢102の後方傾斜部102bの任意の位置に泡を吐出できる。従って、本実施形態によれば、便器100の形状の相違に関わらず、泡吐出口24bに対向する便鉢102の後方傾斜部102bのうち溜水面Lよりも上部(最適吐出位置P)に泡を安定して吐出でき、きめ細かい均質な泡を短時間で便鉢102内の溜水面L上に広く張ることができる。
【0060】
また本実施形態では、調節機構33を操作する操作部30を設けた。これにより、使用者が操作部30により調節機構33を操作することで、吐出ノズル20を所望の位置に移動させることができ、泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を所望の位置に調節できる。
【0061】
また本実施形態では、便器100の形状を検知するセンサ部31と、検知された便器100の形状に応じて調節機構33を制御することで泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を調節する制御部32と、を設けた。これにより、センサ部31によって便器100の形状を検知し、検知された便器100の形状に応じて制御部32によって調節機構33を制御することで、泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を最適な位置に調節できる。従って、本実施形態によれば、泡吐出口24bから吐出される泡の吐出位置を自動で最適な位置に調節できる。
【0062】
また本実施形態では、吐出ノズル20に、局部洗浄水を吐出する洗浄水吐出口23bを設けた。通常、便器には使用者の局部を洗浄するための局部洗浄ノズルが取り付けられるところ、本実施形態によれば、泡を吐出する泡吐出口24bと局部洗浄水を吐出する洗浄水吐出口23bとを同一の吐出ノズル20に設けたことで、部品点数を削減でき、低コスト化および省スペース化が図れる。
【0063】
また本実施形態では、便器装置1が取り付けられた便器100を提供した。これにより、上述の各効果と同様の効果が得られる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形、改良等は本発明に含まれる。
上記実施形態では、泡吐出口24bに対向する便鉢102の後方傾斜部102bのうち溜水面よりも上部(最適吐出位置P)に泡吐出口24bから泡を吐出したが、これに限定されない。泡吐出口24bに対向する便鉢102に向けて泡を吐出すればよく、例えば溜水面L上に直接吐出してもよい。この場合には、吐出された泡は、溜水面Lとの衝突時の衝撃によって弾けて素早くより小さい泡となって広がり、きめ細かい均質な泡が短時間で生成される。