(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、該金属箔層と前記耐熱性樹脂延伸フィルム層との間に配設された着色インキ層とを含む包装材を深絞り成形または張り出し成形してなる電池ケースであり、
前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2%〜20%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用い、
前記耐熱性樹脂延伸フィルムの下面にブロッキング防止剤を含有する易接着層が積層され、前記易接着層の下面に前記着色インキ層が積層され、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層と前記着色インキ層とが前記易接着層を介して積層一体化され、
前記易接着層の形成量が0.01g/m2〜0.5g/m2であり、
前記金属箔層と前記着色インキ層とが第1接着剤層で接着一体化されていることを特徴とする電池ケース。
前記易接着層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる請求項1に記載の電池ケース。
前記易接着層は、アクリル酸エステル樹脂及びメタアクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上のアクリル樹脂と、エポキシ樹脂とを含有してなる請求項1に記載の電池ケース。
前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2%〜20%の2軸延伸ポリアミドフィルム、熱水収縮率が2%〜20%の2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム又は熱水収縮率が2%〜20%の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池ケース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電池を黒色等に着色するべく、電池包装材を構成する外側樹脂層の内面にカーボンブラック等を顔料として含む着色印刷層を設けた場合には次のような問題があった。
【0007】
即ち、上記着色包装材を深絞り成形や張り出し成形により容器(ケース)形状に成形する際に、外側層である耐熱性樹脂延伸フィルム層と着色層との密着性が十分でないために着色層が剥離してしまい、下地層(黒色ではない)が外観されることにより、均一な着色(黒着色等)が損なわれるという問題があった。
【0008】
このような着色印刷層の部分的剥離は、電極や電解液を封入した後の着色包装材のシール時や、着色包装材で包装された電池が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時にも発生する。
【0009】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、成形時及びシール時において、また高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することのない包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1]外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、該金属箔層と前記耐熱性樹脂延伸フィルム層との間に配設された着色インキ層とを含む包装材であって、
前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2%〜20%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用い、
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層と前記着色インキ層とが易接着層を介して積層一体化されていることを特徴とする包装材。
【0012】
[2]前記易接着層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる前項1に記載の包装材。
【0013】
[3]前記易接着層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる前項1に記載の包装材。
【0014】
[4]前記易接着層において、前記ウレタン樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2〜40/60の範囲である前項3に記載の包装材。
【0015】
[5]前記易接着層は、アクリル酸エステル樹脂及びメタアクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上のアクリル樹脂と、エポキシ樹脂とを含有してなる前項1に記載の包装材。
【0016】
[6]前記易接着層において、前記アクリル樹脂/前記エポキシ樹脂の含有質量比が98/2〜40/60の範囲である前項5に記載の包装材。
【0017】
[7]前記易接着層は、樹脂−水系エマルジョンが前記耐熱性樹脂延伸フィルム層に塗布されて形成された接着層である前項1〜6のいずれか1項に記載の包装材。
【0018】
[8]前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2%〜20%の2軸延伸ポリアミドフィルム、熱水収縮率が2%〜20%の2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム又は熱水収縮率が2%〜20%の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる前項1〜7のいずれか1項に記載の包装材。
【0019】
[9]前記耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率が2.5%〜10%である前項1〜8のいずれか1項に記載の包装材。
【0020】
[10]前記着色インキ層は、カーボンブラック、ジアミン、ポリオール及び硬化剤を含有してなる前項1〜9のいずれか1項に記載の包装材。
【0021】
[11]前記耐熱性樹脂延伸フィルム層の外面に積層されたマットコート層をさらに備える前項1〜10のいずれか1項に記載の包装材。
【0022】
[12]前項1〜11のいずれか1項に記載の包装材を深絞り成形または張り出し成形してなる成形ケース。
【0023】
[13]電池ケースとして用いられる前項12に記載の成形ケース。
【発明の効果】
【0024】
[1]の発明では、金属箔層と耐熱性樹脂延伸フィルム層との間に着色インキ層が設けられ、耐熱性樹脂延伸フィルム層と着色インキ層とが易接着層を介して積層一体化されていると共に、耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2%〜20%の耐熱性樹脂延伸フィルムが用いられているから、この包装材に深絞り成形、張り出し成形等の成形を行った時、封止のために包装材をシールした時に、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層に十分に接着していて着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することがない。また、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することがない。
【0025】
[2]の発明では、易接着層は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる構成であるから、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することを十分に防止できる。
【0026】
[3]の発明では、易接着層は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるから、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することをより十分に防止できる。
【0027】
[4]の発明では、ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比が98/2〜40/60の範囲であるから、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することをより一層十分に防止できる。
【0028】
[5]の発明では、易接着層は、特定のアクリル樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるから、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することをより十分に防止できる。
【0029】
[6]の発明では、アクリル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比が98/2〜40/60の範囲であるから、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することをより一層十分に防止できる。
【0030】
[7]の発明では、易接着層は、樹脂−水系エマルジョンが前記耐熱性樹脂延伸フィルム層に予め塗布されて形成された接着層であるので、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することをさらに十分に防止できる。
【0031】
[8]の発明では、耐熱性樹脂延伸フィルムとして、特定の樹脂からなる熱水収縮率が2%〜20%の2軸延伸フィルムを用いるので、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することを防止する効果をさらに高めることができる。
【0032】
[9]の発明では、耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率が2.5%〜10%であるから、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することをより十分に防止できる。
【0033】
[10]の発明では、着色インキ層は、カーボンブラック、ジアミン、ポリオール及び硬化剤を含有してなるから、着色インキ層を速く形成することができるし、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することをより十分に防止できる。
【0034】
[11]の発明では、耐熱性樹脂延伸フィルム層の外面に積層されたマットコート層をさらに備えるから、表面に良好な滑り性を付与でき、成形性に優れた包装材が提供される。
【0035】
[12]の発明では、シール時は勿論のこと、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することのない成形ケースが提供される。
【0036】
[13]の発明では、シール時は勿論のこと、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することのない電池ケースが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明に係る包装材1の一実施形態を
図1に示す。この包装材1は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として用いられるものである。即ち、前記包装材1は、深絞り成形等の成形に供されて2次電池ケースとして用いられるものである。
【0039】
前記包装材1は、金属箔層4の上面に第1接着剤層5を介して耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2が積層一体化されると共に、前記金属箔層4の下面に第2接着剤層6を介して熱可塑性樹脂層(内側層)3が積層一体化された構成からなる。前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の下面には易接着層30が積層され、該易接着層30の下面に着色インキ層10が積層され、該着色インキ層10と前記金属箔層4とが第1接着剤層5を介して接着一体化されている(
図1参照)。即ち、前記金属箔層4と前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2との間に着色インキ層10が配置されている。本実施形態では、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の下面にグラビアコート法により易接着層30が積層され、該易接着層30の下面に印刷により前記着色インキ層10が積層されている。また、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の上面(外面)にマットコート層20が積層されている。
【0040】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2は、包材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である、即ち成形時のアルミニウム箔のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。本発明において、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2は、熱水収縮率が2%〜20%の耐熱性樹脂延伸フィルムにより構成される必要がある。熱水収縮率が2%未満では、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離する。一方、熱水収縮率が20%を超えると、深絞り成形や張り出し成形等の成形を行った際に包装材の着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離する。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルムとして、熱水収縮率が2.5〜10%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが好ましい。更に、熱水収縮率が3.0%〜6.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのがより好ましく、さらには熱水収縮率が3.5%〜5.0%の耐熱性樹脂延伸フィルムを用いるのが特に好ましい。
【0041】
なお、前記「熱水収縮率」とは、耐熱性樹脂延伸フィルム2の試験片(10cm×10cm)を95℃の熱水中に30分間浸漬した際の浸漬前後の試験片の延伸方向における寸法変化率であり、次式で求められる。
【0042】
熱水収縮率(%)={(X−Y)/X}×100
X:浸漬処理前の延伸方向の寸法
Y:浸漬処理後の延伸方向の寸法。
【0043】
なお、2軸延伸フィルムを採用する場合におけるその熱水収縮率は、2つの延伸方向における寸法変化率の平均値である。
【0044】
前記耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率は、例えば、延伸加工時の熱固定温度を調整することにより制御することができる。
【0045】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2としては、特に限定されるものではないが、例えば、延伸ナイロンフィルム等の延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリエステルフィルム等が挙げられる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2としては、二軸延伸ナイロンフィルム等の二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが特に好ましい。また、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2としては、同時2軸延伸法により延伸された耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。また、「T方向における熱水収縮率」に対する「M方向における熱水収縮率」の比(MD/TD)が0.9〜1.1の範囲にある耐熱性樹脂二軸延伸フィルムを用いるのが好ましい。前記比(MD/TD)が0.9〜1.1の範囲にある構成を採用した場合には、特に良好な成形性を有した包装材を得ることができる。なお、前記「M方向」は、「機械流れ方向」を意味し、前記「T方向」は、「M方向に対して直交する方向」を意味する。前記ナイロンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロン、6,6ナイロン、MXDナイロン等が挙げられる。なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2は、単層(単一の延伸フィルム)で形成されていても良いし、或いは、例えば延伸ポリエステルフィルム/延伸ポリアミドフィルムからなる複層(延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルムからなる複層等)で形成されていても良い。
【0046】
中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2として、収縮率が2〜20%の2軸延伸ポリアミドフィルム、収縮率が2〜20%の2軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム又は収縮率が2〜20%の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いるのが好ましい。この場合には、成形時、シール時、高温多湿等のやや苛酷な環境下での使用時等において、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することを防止する効果をさらに高めることができる。
【0047】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の厚さは、12μm〜50μmであるのが好ましい。ポリエステルフィルムを用いる場合には厚さは12μm〜50μmであるのが好ましく、ナイロンフィルムを用いる場合には厚さは15μm〜50μmであるのが好ましい。上記好適下限値以上に設定することで包装材として十分な強度を確保できると共に、上記好適上限値以下に設定することで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
【0048】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の内面(金属箔層4側の面)には、易接着層30を積層する必要がある。もともと接着性の乏しい耐熱性樹脂延伸フィルム層2の表面に、粘着性、接着性に優れる極性樹脂等をコートして易接着層30を積層することによって、着色インキ層10との密着性、接着性を向上させることができる。なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の内面(易接着層30を積層する面)には、易接着層30を積層する前に予めコロナ処理等を行って濡れ性を高めておくのが好ましい。
【0049】
前記易接着層30の形成方法は、特に限定されないが、例えば、耐熱性樹脂延伸フィルム2の表面に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂の水性エマルジョン(水系エマルジョン)を塗布して乾燥させることによって易接着層30を形成することができる。前記塗布方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スプレーコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、リップコート法等が挙げられる。
【0050】
しかして、前記易接着層30は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタアクリル酸エステル樹脂及びポリエチレンイミン樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有してなる構成であるのが好ましい。このような構成を採用することにより、耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層10との接着力をより向上させることができて、この包装材に深絞り成形、張り出し成形等の成形を行った時、封止のために包装材をシールした時に、着色インキ層10が耐熱性樹脂延伸フィルム層2から剥離することがないし、包装材1が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、着色インキ層10が耐熱性樹脂延伸フィルム層2から剥離することがない。
【0051】
中でも、前記易接着層30は、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成、又は、(メタ)アクリル酸エステル樹脂及びエポキシ樹脂を含有してなる構成であるのが特に好ましい。この場合には、耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層10との接着力をより一層向上させることができる。
【0052】
上記前者の構成を採用する場合において、易接着層30におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2〜40/60の範囲であるのが好ましく、この場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層10との接着力をさらに向上させることができる。前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりもウレタン樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、耐溶剤性、接着力が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記ウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりもウレタン樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、易接着層30におけるウレタン樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10〜50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0053】
また、上記後者の構成を採用する場合において、易接着層30における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は98/2〜40/60の範囲であるのが好ましく、この場合には耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層10との接着力をさらに向上させることができる。前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(98/2)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が大きくなると、架橋度が不足して、耐溶剤性、接着力が十分に得られ難くなるので、好ましくない。一方、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比(40/60)よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂の含有比率が小さくなると、架橋が完了するまでの時間がかかり過ぎるので、好ましくない。中でも、易接着層30における(メタ)アクリル酸エステル樹脂/エポキシ樹脂の含有質量比は90/10〜50/50の範囲であるのがより好ましい。
【0054】
前記易接着層30を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂−水系エマルジョン)には、グリコール類、グリコールのエチレンオキサイド付加物等の界面活性剤を添加してもよく、この場合には樹脂水性エマルジョンにおいて十分な消泡効果を得ることができるので、表面平滑性に優れた易接着層30を形成できる。前記界面活性剤は、前記樹脂水性エマルジョン中に0.01質量%〜2.0質量%含有せしめるのが好ましい。
【0055】
また、前記易接着層30を形成するための前記樹脂水性エマルジョン(樹脂−水系エマルジョン)には、シリカ、コロイダルシリカ等の無機微粒子を含有させるのが好ましく、この場合にはブロッキング防止効果を得ることができる。前記無機微粒子は、前記樹脂分100質量部に対して0.1質量部〜10質量部添加するのが好ましい。
【0056】
前記易接着層30の形成量(乾燥後の固形分量)は、0.01g/m
2〜0.5g/m
2の範囲であるのが好ましい。0.01g/m
2以上であることで、耐熱性樹脂延伸フィルム層2と着色インキ層10とを十分に接着できるし、0.5g/m
2以下であることでコストを低減できて経済的である。
【0057】
前記易接着層(乾燥後)30における前記樹脂の含有率は、88質量%〜99.9質量%であるのが好ましい。
【0058】
本発明において、前記着色インキ層10は、前記金属箔層4と前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2との間に配置される層であり、包装材1の外面側に色(無彩色を含む)を付与する層である。
【0059】
前記着色インキ層10としては、特に限定されるものではないが、例えば、黒インキ層、白インキ層、灰色インキ層、赤インキ層、青インキ層、緑インキ層、黄インキ層などが挙げられる。
【0060】
前記黒インキ層10について説明する。前記黒インキ層10は、通常、カーボンブラックを含有する組成物で形成される。
【0061】
中でも、前記黒インキ層10は、カーボンブラック、ジアミン、ポリオール及び硬化剤を含有してなる構成であるのが好ましいが、特にこのような構成に限定されるものではない。
【0062】
前記黒インキ層(乾燥後のインキ層)10において、カーボンブラックの含有率は15質量%〜60質量%であり、前記ジアミン、ポリオール及び硬化剤の合計の含有率は40質量%〜85質量%であるのが好ましい。中でも、カーボンブラックの含有率は20質量%〜50質量%であるのが特に好ましい。
【0063】
カーボンブラックの含有率が15質量%未満では、金属箔層4による金属光沢感が残ってしまって重厚感が損なわれるし、成形をした時に部分的な色ムラを生じるので、好ましくない。一方、カーボンブラックの含有率が60質量%を超えると、黒インキ層10が硬く、脆くなるため、金属箔層4に対する接着力が低下して、成形時に金属箔層4と黒インキ層10との間で剥離を生じるので、好ましくない。
【0064】
前記黒インキ層10は、前記カーボンブラック、前記ジアミン及び前記ポリオールの合計量100質量部あたり前記硬化剤を2質量部〜20質量部含有する構成であるのが好ましい。硬化剤が2質量部未満では、成形時に金属箔層4と黒インキ層10との間で剥離を生じやすくなり、硬化剤が20質量部を超えると、巻き取り状態の包装材1を繰り出す(巻き出す)際にブロッキングが発生し、耐熱性樹脂延伸フィルム層2や熱可塑性樹脂層3の外面に転写、付着が発生する等の不具合を生じるので、好ましくない。
【0065】
前記カーボンブラックとしては、平均粒子経が0.2μm〜5μmのものを用いるのが好ましい。
【0066】
前記ジアミンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、ダイマージアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン等が挙げられる。中でも、前記ジアミンとして、エチレンジアミン、ダイマージアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミンからなる群より選ばれる1種または2種以上のジアミンを用いるのが好ましい。
【0067】
前記ジアミンは、ポリオールより硬化剤(イソシアネート等)との反応速度が速く、短時間での硬化を実現できる。即ち、前記ジアミンは、前記ポリオールと共に前記硬化剤と反応し、インキ組成物の架橋硬化を促進する。
【0068】
前記ポリオールとしては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上を用いるのが好ましい。
【0069】
前記ポリオールの数平均分子量は、1000〜8000の範囲であるのが好ましい。1000以上であることで硬化後の接着強度を増大させることができると共に、8000以下であることで硬化剤との反応速度を増大させることができる。
【0070】
前記硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアネート化合物等が挙げられる。前記イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物を使用できる。具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0071】
前記着色インキ層(黒インキ層を除く)について説明する。前記着色インキ層(黒インキ層を除く)10は、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂バインダーと、無機顔料を含む着色顔料と、を含む着色インキ組成物の硬化膜からなる構成であるのが好ましい。
【0072】
前記着色顔料としては、少なくとも無機顔料を含む構成が採用される。前記着色顔料としては、前記無機顔料以外に、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料等が挙げられる。また、前記無機顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、アルミニウム粉等が挙げられる。前記無機顔料としては、平均粒径が0.1μm〜5μmのものを使用するのが好ましく、平均粒径が0.5μm〜2.5μmであるものを使用するのが特に好ましい。前記着色顔料を分散する際には、顔料分散機を用いて着色顔料を分散させるのが好ましい。前記着色顔料を分散するに際し、界面活性剤等の顔料分散剤を使用することもできる。
【0073】
前記着色顔料の50質量%以上が前記無機顔料で構成されているのが好ましい。この場合には、金属箔層4を隠蔽する隠蔽力がより十分に得られて重厚感、高級感を十分に付与できる特定の色調の着色インキ層10を形成できる。中でも、前記着色顔料の60質量%以上が前記無機顔料で構成されているのがより好ましい。
【0074】
前記着色インキ層10の厚さ(乾燥後)は、1μm〜4μmであるのが好ましい。1μm以上であることで、着色インキ層10の色調に透明感が残ることがなく、金属箔層4の色、光沢を十分に隠蔽できる。また、4μm以下であることで、成形時に着色インキ層10が部分的に割れてしまうことを十分に防止できる。
【0075】
前記着色インキ層10は、特に限定されるものではないが、例えば、
1)カーボンブラック、ジアミン、ポリオール、硬化剤及び有機溶媒を含有するインキ組成物
又は
2)主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂バインダーと、無機顔料を含む着色顔料と、を含む着色インキ組成物
をグラビア印刷法等で前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の下面の易接着層30の表面に印刷する(塗布する)ことによって、形成することができる。前記有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン等が挙げられる。
【0076】
前記着色インキ層10の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷法、リバースロールコート法、リップロールコート法等が挙げられる。
【0077】
前記熱可塑性樹脂層(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、包材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
【0078】
前記熱可塑性樹脂層3としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂未延伸フィルム層であるのが好ましい。前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。
【0079】
前記熱可塑性樹脂層3の厚さは、20μm〜80μmに設定されるのが好ましい。20μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できると共に、80μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記熱可塑性樹脂層3の厚さは30μm〜50μmに設定されるのが特に好ましい。なお、前記熱可塑性樹脂層3は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0080】
前記金属箔層4は、包装材1に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記金属箔層4としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられ、アルミニウム箔が一般的に用いられる。前記金属箔層4の厚さは、20μm〜100μmであるのが好ましい。20μm以上であることで金属箔を製造する際の圧延時のピンホール発生を防止できると共に、100μm以下であることで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
【0081】
前記金属箔層4は、少なくとも内側の面4a(第2接着剤層6側の面)に、化成処理が施されているのが好ましい。このような化成処理が施されていることによって内容物(電池の電解液、食品、医薬品等)による金属箔表面の腐食を十分に防止できる。例えば次のような処理をすることによって金属箔に化成処理を施す。即ち、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸、クロム酸及びフッ化物の金属塩の混合物からなる水溶液
2)リン酸、クロム酸、フッ化物金属塩及び非金属塩の混合物からなる水溶液
3)アクリル系樹脂又は/及びフェノール系樹脂と、リン酸と、クロム酸と、フッ化物金属塩との混合物からなる水溶液
のいずれかを塗工した後乾燥することにより化成処理を施す。
【0082】
前記第1接着剤層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、2液反応型接着剤により形成された接着剤層等が挙げられる。前記2液反応型接着剤としては、例えば、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる第2液(硬化剤)とで構成される2液反応型接着剤などが挙げられる。前記第1接着剤層5は、例えば、前記2液反応型接着剤等の接着剤が、前記「金属箔層4の上面」に、又は/及び、「前記耐熱性樹脂層2の下面に易接着層30を介して積層された着色インキ層10の下面」に、グラビアコート法等の手法により塗布されることによって形成される。
【0083】
前記第2接着剤層6としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤等により形成された接着剤層が挙げられる。中でも、アクリル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤を用いるのが好ましく、この場合には、包装材1の耐電解液性及び水蒸気バリア性を向上させることができる。
【0084】
前記マットコート層20は、耐熱性樹脂成分中に無機微粒子が分散含有された樹脂組成物からなるマットコート層である。中でも、前記マットコート層20は、二液硬化型の耐熱性樹脂に、平均粒径が1μm〜10μmの無機微粒子が0.1質量%〜60質量%含有された樹脂組成物からなる構成であるのが好ましい。前記耐熱性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、フェノキシ系樹脂等が挙げられるが、耐熱性、耐薬品性に優れる点で、テトラフルオロエチレン又はフルオロエチレンビニルエーテルをベースにしたフッ素系樹脂を用いるのが好ましい。前記無機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられ、中でもシリカを用いるのが好ましい。このようなマットコート層20が設けられていることにより、表面に良好な滑り性が付与され、成形性に優れた包装材1を得ることができる。前記マットコート層20の表面のグロス値は、1%〜15%に設定されるのが好ましい。前記グロス値は、BYK社製のグロス測定器「micro−TRI−gloss−s」により60°反射角で測定して得られた値である。
【0085】
なお、上記実施形態では、第1接着剤層5と第2接着剤層6を設けた構成を採用しているが、これら両層5、6は、いずれも必須の構成層ではなく、これらを設けない構成を採用することもできる。
【0086】
また、上記実施形態では、耐熱性樹脂延伸フィルム層2の上面にマットコート層20が積層された構成を採用しているが、このマットコート層20は、必須の構成層ではなく、例えば
図2に示すように、マットコート層20を有しない構成を採用してもよい。
【0087】
本発明の包装材1を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、成形ケース(電池ケース等)を得ることができる。
【実施例】
【0088】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0089】
<易接着層形成用接着剤>
(接着剤組成物W)
水系ウレタン樹脂として三井化学株式会社製「タケラックW−6010」70質量部、水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX−521」30質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST−C」(平均粒径10nm〜20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の接着剤組成物Wを得た。
(接着剤組成物V)
水系アクリル酸エステル樹脂として中央理化工業株式会社製「リカボンドSA−513」70質量部、水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX−521」30質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST−C」(平均粒径10nm〜20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の接着剤組成物Vを得た。
(接着剤組成物Z)
水系エポキシ樹脂としてナガセケムテック株式会社製「デナコールEX−521」100質量部、ブロッキング防止剤として日産化学工業株式会社製のコロイダルシリカ「スノーテックスST−C」(平均粒径10nm〜20nm)5質量部を混合し、さらにイオン交換水を加えて希釈して、不揮発分含有率が2質量%の接着剤組成物Zを得た。
【0090】
<実施例1>
平均粒子径0.8μmのカーボンブラック50質量部、エチレンジアミン5質量部、ポリエステル系ポリオール(数平均分子量:2500)45質量部を配合して、主剤を得た。前記主剤100質量部に対して硬化剤であるトリレンジイソシアネート(TDI)3質量部を配合し、さらにトルエンを50質量部配合して良く撹拌することによって、インキ組成物を得た。
【0091】
同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸ナイロン(6ナイロン)フィルム(耐熱性樹脂延伸フィルム層、MD/TD=0.95)2の一方の面に、上記接着剤組成物Wをグラビアロールコート法により塗布して乾燥させた後、40℃環境下で1日放置することにより硬化反応を進行させて、形成量0.1g/m
2の易接着層30を形成した。
【0092】
次に、前記二軸延伸ナイロンフィルム2の易接着層30の表面に、前記インキ組成物をグラビア印刷法により印刷した(塗布した)後、40℃環境下で1日間放置することによって、乾燥と共に架橋反応を進行させて、厚さ3μmの黒インキ層(着色インキ層)10を形成した。
【0093】
一方、厚さ35μmのアルミニウム箔4の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、クロム付着量が10mg/m
2となるようにした。
【0094】
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、ポリエステル系ポリウレタン接着剤5を介して前記二軸延伸ナイロンフィルム2をその黒インキ層(着色インキ層)10側で貼り合わせ、次いでアルミニウム箔4の他方の面に、ポリアクリル接着剤6を介して厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(熱可塑性樹脂層)3を貼り合わせた後、40℃環境下で5日間放置することによって、積層体を得た。
【0095】
更に、前記積層体の二軸延伸ナイロンフィルム2の上に(未積層面に)、フルオロエチレンビニルエステル80質量部、硫酸バリウム10質量部、粉状シリカ10質量部からなるコート組成物を塗布することによって、厚さ2μmのマットコート層20を形成して、
図1に示す包装材1を得た。
【0096】
<実施例2>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率2.5%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0097】
<実施例3>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率3.5%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0098】
<実施例4>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0099】
<実施例5>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率10%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0100】
<実施例6>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率15%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=1.05)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0101】
<比較例1>
易接着層30を設けない構成とした(即ち二軸延伸6ナイロンフィルム2の一方の面に直接に黒インキ層10を積層した)以外は、実施例1と同様にして、包装材1を得た。
【0102】
<比較例2>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率1.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、包装材1を得た。
【0103】
<比較例3>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率25%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、包装材1を得た。
【0104】
<実施例7>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率3.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=1.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0105】
<実施例8>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=1.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0106】
<実施例9>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率15%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0107】
<比較例4>
易接着層30を設けない構成とした(即ち二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム2の一方の面に直接に黒インキ層10を積層した)以外は、実施例8と同様にして、包装材1を得た。
【0108】
<比較例5>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率1.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、包装材1を得た。
【0109】
<比較例6>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率25%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、包装材1を得た。
【0110】
<実施例10>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率3.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0111】
<実施例11>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0112】
<実施例12>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率15%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0113】
<比較例7>
易接着層30を設けない構成とした(即ち二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム2の一方の面に直接に黒インキ層10を積層した)以外は、実施例11と同様にして、包装材1を得た。
【0114】
<比較例8>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率1.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、包装材1を得た。
【0115】
<比較例9>
厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率25%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、包装材1を得た。
【0116】
<実施例13>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0117】
<実施例14>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率10%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0118】
<実施例15>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Vを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0119】
<実施例16>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、同時2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率10%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0120】
<実施例17>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率5.0%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0121】
<実施例18>
接着剤組成物Wに代えて、接着剤組成物Zを用いると共に、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸6ナイロンフィルム(MD/TD=0.95)に代えて、逐次2軸延伸法で延伸して得られた、厚さ15μm、熱水収縮率4.0%の二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(MD/TD=0.9)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す包装材1を得た。
【0122】
上記のようにして得られた各包装材について下記評価法に基づいて評価を行った。その結果を表1〜4に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
【0127】
<剥離の有無の評価法>
各実施例毎、各比較例毎に、それぞれ30個の包装材を製造し、これらについて、着色インキ層(黒インキ層)の剥離の有無等を肉眼で、下記a)、b)の2つの状態時において調べ、下記判定基準に基づいて評価した。
(判定基準)
「◎」…着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離したものが、30個中0個である
「○」…着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離したものが、30個中、1個又は2個である
「△」…着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離したものが、30個中、3個又は4個である
「×」…着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離したものが、30個中、5個〜30個である。
【0128】
a)深絞り成形した直後の包装材(着色インキ層の剥離のないことを確認した包装材を、パンチとダイス等を用いて、内側のポリプロピレン層3をパンチと接触させる態様で、縦50mm×横35mm×深さ6.0mmの直方体形状に深絞り成形を行って得られた成形直後の成形ケース)
b)高温高湿試験を適用した後の包装材(着色インキ層の剥離のないことを確認した包装材を、85℃×95%RHの高温高湿試験機の中に72時間入れ続けた後、取り出して常温で5日経過後の包装材)。
【0129】
表1〜4から明らかなように、本発明の実施例1〜18の包装材は、用いる耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率が2%〜20%の範囲であり、かつ耐熱性樹脂延伸フィルム層と着色インキ層とが易接着層で接着されているので、深絞り成形を行った時でも、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することがないし、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時でも、着色インキ層が耐熱性樹脂延伸フィルム層から剥離することがない。
【0130】
これに対し、比較例1〜9では、耐熱性樹脂延伸フィルムの熱水収縮率が2%〜20%の範囲を逸脱しているか、又は、耐熱性樹脂延伸フィルム層と着色インキ層との間に易接着層が設けられていないので、上記a)、b)の2つの状態のうち少なくともいずれか一方の状態時において、着色インキ層の剥離の有無の評価が「×」であった。