【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るミルクフォームを製造する装置では、後処理装置は、ミルクフォームの気泡を微細化及び分配するホモジナイザを有し、ホモジナイザは、多数の衝突体が配置された微細化領域を有し、衝突体間には、ミルク/空気混合物が貫流する通路ラビリンスが延在しているようにした。
【0007】
本発明に係るミルクフォームを製造する装置の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0008】
好ましい態様において、衝突体は、それぞれ1つの衝突面を有し、衝突面に、ミルクフォームの部分流が、通路ラビリンスの貫流時に衝突する。
【0009】
好ましい態様において、ミルクフォームの流動方向であるホモジナイザの延在方向で見て、それぞれ複数の衝突体が、順次、列をなして配置されている。
【0010】
好ましい態様において、隣り合う列の複数の衝突体が、互いにずらされて配置されている。
【0011】
好ましい態様において、一列の複数の衝突体は、それぞれ互いに間隔を置いている。
【0012】
好ましい態様において、ホモジナイザは、一軸線を中心として同心的に延在しており、各列の複数の衝突体は、それぞれ軸線周りに周方向で均等に分配配置されている。
【0013】
好ましい態様において、衝突体は、延在方向で見て下端で狭幅化している。
【0014】
好ましい態様において、ホモジナイザは、延在方向で先細りしている。
【0015】
好ましい態様において、ホモジナイザは、流入領域を有し、流入領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で拡径している。
【0016】
好ましい態様において、ホモジナイザは、流出領域を有し、流出領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で縮径している。
【0017】
好ましい態様において、後処理装置は、ハウジング下側部分を有し、ハウジング下側部分内にホモジナイザは、形状結合式に配置されている。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、特に自動コーヒーマシンでは、上述のミルクフォームを製造する装置を備えるようにした。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る上述の装置のホモジナイザを用いてミルクフォームを均質化する方法では、ミルク/空気混合物を複数の部分流としてホモジナイザの通路ラビリンスを通して押し込み、a)ミルクフォームの部分流をそれぞれ衝突面に衝突させ、ミルクフォームの部分流及び気泡を分割し、b)その後、分割された部分流を混合させ、新しい部分流を形成する、ことを複数回繰り返すようにした。
【0020】
本発明に係るミルクフォームを均質化する方法の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0021】
好ましい態様において、それぞれ隣り合う部分流を衝突面への衝突後に互いに混合させる。
【0022】
好ましい態様において、ミルク/空気混合物を通路ラビリンスの貫流時に加速する。
【発明の効果】
【0023】
上述のホモジナイザにより、製造されたミルクフォームは、好ましくは均一化可能である。
【0024】
特に好ましい態様により、ミルクフォームを後処理するために、空気/ミルクエマルションあるいはミルク/空気混合物の意味でのミルクフォームの気泡を微細化するホモジナイザが形成される。このようなミルク/空気混合物は、所定量の空気が供給されている所定量のミルクを含んでいる。これに加え、任意選択的には、このようなミルク/空気混合物は、所定量の(高温)蒸気(水)を含んでいる。ホモジナイザによって、ミルクフォームのちょう度は、最適化可能である。特に入口における圧力を変更することにより、ミルクフォームのちょう度は、細かいもの、すなわち気泡が極小のものから、粗いもの、すなわち気泡が大きいものへと、そして緩めからクリーム状を経て固めへと変更可能である。
【0025】
本発明に係るホモジナイザは、好ましくはホットの飲料用の自動マシン、特に好ましくは全自動コーヒーマシン用として考えられている。ホモジナイザは、好ましくは多数の衝突体が配置された微細化領域を有している。衝突体間には、ミルク/空気混合物が貫流する通路ラビリンスが延在している。
【0026】
ミルク/空気混合物は、複数の部分流として通路ラビリンスを通して押し込まれる。このために、好ましくは複数の衝突体が、1つの列に並んで配置されている。さらに好ましくは、衝突体は、このためにそれぞれ1つの衝突面を有し、それぞれの衝突面に、ミルクフォームのそれぞれの部分流が、通路ラビリンスの貫流時に衝突する。衝突時、部分流は分割され、気泡は細分化される。これにより、より小さな気泡が発生する。
【0027】
加えて、ホモジナイザは、ミルクフォームの流動方向であるホモジナイザの延在方向で見て、それぞれ複数の衝突体よりなる順次配置された複数の列を有している。これにより、部分流は、それぞれ、延在方向で順次配置された列の衝突体に衝突し、その結果、気泡は、何度も微細化される。
【0028】
好ましくは、同じ列の複数の衝突体は、それぞれ互いに間隔を置いている。その結果、衝突体間には、通路が形成されている。さらに好ましくは、隣り合う列の複数の衝突体は、互いにずらされて配置されている。これにより、ある列の衝突体の衝突面は、延在方向でその上側に配置された列の、互いに隣接する2つの衝突体間に配置されたそれぞれの通路の、延在方向で下側に配置されている。それゆえ、このような通路の1つは、1つの部分流を画成する両衝突体のそれぞれの衝突面に衝突した2つの部分流の一部分同士を合流させる。それゆえ、各通路において、これらの部分流の各部分は、再混合され、それぞれ1つの新しい部分流を形成する。
【0029】
必須というわけではないが、好ましくは、隣り合う列の衝突体は、それぞれのセンターが互い違いにずらされている。これにより、通路は、それぞれ、隣接する上側及び/又は下側の列の衝突体のセンターを通るように延びている。このように形成されていると、新しい部分流は、それぞれ、この部分流を制限する両衝突体のそれぞれの衝突面に衝突した2つの部分流の略半分ずつにより形成される。
【0030】
好ましくは、衝突室が、延在方向で見て上側の列の、2つの衝突体間に配置された通路を、この衝突室の下側に衝突面を有する衝突体に隣接する、延在方向で見て下側の列の両通路に接続している。これにより、通路を流れる部分流は、衝突室内で分割され、直後の通路内で、隣り合う分割された部分流同士、再混合される。
【0031】
特に好ましくは、衝突体は、延在方向で見て下端で狭幅化するように、例えば三角形に形成されている。これにより、衝突室は、容易に清浄化され、汚れの堆積は、回避される。
【0032】
好ましい態様において、ホモジナイザは、一軸線を中心として同心的に延在している。本態様において、ミルク/空気混合物は、均等に軸線周りに分配されてホモジナイザ内に流入可能である。これにより、衝突体間に形成される通路内へのミルクフォームの流入時、ほぼ同じ大きさの複数の部分流が形成される。加えて、本態様は、極めて省スペースであり、唯一の流入開口しか必要としない。しかし、利用可能な構成スペース次第では、一平面に沿って延在するか、又はこれとは異なって形成されたホモジナイザが有利な場合もある。
【0033】
軸線を中心として同心的に延在するホモジナイザの場合、好ましくは、各列の複数の衝突体は、それぞれ軸線周りに周方向で均等に分配配置されている。特に好ましくは、すべての列の衝突体の数は、それぞれ同じであり、その結果、部分流は、均等に均質化される。
【0034】
正確な円錐座によりシール座を最適化し、好ましくは通路ラビリンスの貫流時のミルクフォームの速度を加速するために、好ましくは、ホモジナイザは、延在方向で先細りしている。それゆえ、ホモジナイザは、微細化領域において円錐形の形状を有している。これにより、微細化領域の、延在方向で上側の大径端部において、大きな気泡が衝突面への衝突時に細分化される。微細化領域の、延在方向で下側の小径端部において、ミルク/空気混合物の加速及び縮小された面積比に基づいて、より小さな気泡も細分化される。
【0035】
このために、ミルク/空気混合物は、ホモジナイザの延在方向でますます良好に混合される。それゆえ、均質化の強さは、ホモジナイザの長さの選択により調節可能である。
【0036】
さらにホモジナイザは、好ましくは流入領域を有し、流入領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で拡径している。これにより、ホモジナイザは、ランプ状の斜面を有し、ミルク/空気混合物は、斜面周りに周方向で均等に分配される。それゆえ、微細化領域への流入時、部分流は、常にほぼ等量のミルクフォームを有している。これにより、ミルク/空気混合物は、極めて均等に均質化され、一定のちょう度を有している。
【0037】
加えて、ホモジナイザは、好ましくは流出領域を有し、流出領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で縮径している。これにより、ミルク/空気混合物は、流出領域で再加速される。好ましくは、均質化されたミルク/空気混合物は、背圧なしにホモジナイザから流出される。
【0038】
それゆえ、ミルクフォームの均質化は、一方では、気泡がミルクとより強く混合されること、より詳細に言えば、ミルク/空気混合物が複数の部分流に細分化され、これらが再び互いに混合されることにより、達成される。他方、気泡は、同時に、部分流が衝突エネルギをもって衝突面に衝突することにより細分化される。
【0039】
ホモジナイザは、好ましくはミルクフォームの後処理を特に最終的に実施する、ミルク/空気混合物のための後処理装置の構成部分である。その際、低温のミルク/空気混合物も、高温のミルク/空気混合物も、後処理装置により後処理可能である。原理的には、ミルクフォームを加熱する装置の上流に後処理装置を配置することも可能であるが、この配置の有利性は低い。
【0040】
好ましくは、後処理装置は、ハウジング上側部分とハウジング下側部分とを有するハウジングを有する。ホモジナイザは、好ましくはハウジング下側部分内に配置されている。
【0041】
特に好ましくは、ホモジナイザは、形状結合式にハウジング下側部分内に配置されている。本態様では、ミルクフォームが後処理装置に流入する際にホモジナイザに対して及ぼす圧力が利用される。ホモジナイザが先細りしており、ハウジング下側部分がホモジナイザに対応するように形成されている場合、ホモジナイザは、ハウジング下側部分内で圧力によりセンタリングされており、ハウジング下側部分のハウジング内壁に押し付けられる。好ましくは、ハウジング内壁とホモジナイザとは、互いに対応するように形成されている。その結果、ホモジナイザは、ハウジング内壁に押し嵌められた状態で配置されている。この押し嵌めにより、ミルク/空気混合物がハウジング内壁とホモジナイザとの間を単に流過してしまうことはなくなる。
【0042】
後処理装置は、好ましくはミルクフォームを製造する装置の構成部分である。さらに好ましくは、ミルクフォームを製造する装置は、ミルクフォームを圧送するミルクポンプを有する。
【0043】
ミルクフォームのちょう度を所望のホットの飲料毎に変更することができるように、好ましくは、ミルクポンプにより圧送されるミルクフォームの量は変更可能である。量の変更により、ミルク/空気混合物が後処理装置に流入する際の圧力は、変更される。その際、ミルク/空気混合物が後処理装置に流入する際の圧力と、ミルクフォームの流動速度とは、ミルクポンプにより圧送される量が多ければ大であり、ミルクポンプにより圧送される量が少なければ小である。これにより、一方では、それぞれの部分流がそれぞれの衝突面に衝突する衝突エネルギは、圧送される量が増えれば増えるほど、大きくなり、圧送される量が減れば減るほど、小さくなる。他方、ミルク/空気混合物は、圧送される量が増えれば増えるほど、高速でホモジナイザを通して押し込まれ、圧送される量が減れば減るほど、低速でホモジナイザを通して押し込まれる。
【0044】
供給される空気に対するミルクの比が一定であるときは、ミルク/空気混合物の圧送される量の増大が、極めて均質な特性を有するミルクフォームにつながる(供給パラメータ、特に圧力が一定である場合)ことが判っている。供給圧を変更することにより、特性は変更可能である。しかし、フォームは、それぞれ、極めて均質なフォームである。
【0045】
好ましくは、後処理装置は、ミルクフォームの流動方向で見てミルクフォームを加熱する装置の下流に配置されている。これにより、ミルクフォームの、場合によっては加熱によって変更されたちょう度は、後処理装置によって最終的に変更可能あるいは調整可能である。その際、ミルクフォームの加熱は、好ましくは任意選択的である。
【0046】
ミルクフォームを加熱する装置は、例えば蒸気供給部である。蒸気供給部において、ミルク/空気混合物は、高温蒸気の供給によって加熱される。原理的には、ミルクフォームを加熱する別の装置の使用も可能である。
【0047】
ミルクフォームの、ミルクポンプにより圧送される量と、ミルクフォームを加熱する装置により引き起こされる変化とを考慮した、ホモジナイザによる最終的な後処理が、極めて広範な調節範囲を提供し、これによりちょう度が再現可能に調節可能であり、ミルクフォームの品質が極めて良好であり、かつミルクフォームの温度が広範な温度範囲で選択可能であることが判っている。
【0048】
上記課題は、ミルクフォームを製造するこのような装置を備える、ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシンによっても解決される。ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシンは、好ましい態様では全自動コーヒーマシンである。しかし、本発明は、その他のホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、例えば自動ティーマシン、自動ココアマシン又はこれらの自動マシンの組み合わせのためにも使用可能である。ミルクフォームを製造する装置の、このようなホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシンでの使用は、選択されたホット及び/又はコールドの飲料毎に、再現可能な様々なちょう度及び様々な温度のミルク/空気混合物を製造することを可能にする。
【0049】
さらに上記課題は、後処置装置、特にミルクフォームを製造する装置のホモジナイザを用いてミルクフォームを均質化する方法において、ミルク/空気混合物を複数の部分流として通路ラビリンスを通して押し込み、
‐ミルクフォームの部分流をそれぞれ衝突面に衝突させ、ミルクフォームの部分流及び気泡を分割し、
‐その後、分割された部分流を混合させ、新しい部分流を形成する、
ことを複数回繰り返すことによって解決される。
【0050】
その際、それぞれ隣り合う部分流を衝突面への衝突後に互いに混合させる。
【0051】
ミルク/空気混合物を通路ラビリンスの貫流時に好ましくは加速する。これにより、小さな気泡もさらに細分化可能である。
【0052】
好ましくは、ミルク/空気混合物は、その際、所定の体積流量でホモジナイザに流入する。これにより、同じホモジナイザによって、ミルクフォームの様々なちょう度が実現可能である。
【0053】
それゆえ、本発明に係る方法により、ミルクフォームのちょう度は、調整可能である。その際、設定された体積流量に基づいて、ムース状のミルクフォームから、固いミルクフォームまで実現可能である。
【0054】
以下、本発明について、図面を参照しながら、一実施の形態を基に詳細に説明する。