特許第6469359号(P6469359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469359
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】ミルクフォームを製造する装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20190204BHJP
   A47J 31/41 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   A47J31/44 410
   A47J31/41
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-93827(P2014-93827)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-213209(P2014-213209A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2017年1月5日
(31)【優先権主張番号】10 2013 104 338.0
(32)【優先日】2013年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510098962
【氏名又は名称】メリッタ プロフェッショナル コーヒー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Professional Coffee Solutions GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ブーフホルツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディースター
【審査官】 西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−532118(JP,A)
【文献】 特開平10−192671(JP,A)
【文献】 特開昭48−103773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
43/12
A23L 2/00
2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルクフォーム(40)を圧送するミルクポンプ(6)と、
ミルクフォーム(40)のちょう度を変更するミルクフォーム(40)のための後処理装置(9)と、
を備える、ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、特に自動コーヒーマシンのためのミルクフォーム(40)を製造する装置であって、
前記後処理装置(9)は、ミルクフォーム(40)の気泡(41)を微細化及び分配するホモジナイザ(95)を有し、該ホモジナイザ(95)は、多数の衝突体(97)が配置された微細化領域(953)を有し、前記衝突体(97)間には、ミルク/空気混合物(40)が貫流する通路ラビリンス(98)が延在しており、ミルクフォーム(40)の流動方向である前記ホモジナイザ(95)の延在方向(30)で見て、それぞれ複数の前記衝突体(97)が、順次、列をなして配置されており、前記ホモジナイザ(95)は、一軸線(32)を中心として同心的に延在しており、各列(972〜972)の複数の前記衝突体(97)は、それぞれ同じ数であって、前記軸線(32)周りに周方向(31)で均等に分配配置されており、
前記ホモジナイザ(95)は、延在方向(30)で先細りしており、
前記ホモジナイザ(95)は、流入領域(951)を有し、該流入領域(951)において前記ホモジナイザ(95)は、円錐台形に形成されており、延在方向(30)で拡径している、
ことを特徴とする、ミルクフォーム(40)を製造する装置。
【請求項2】
前記衝突体(97)は、それぞれ1つの衝突面(971)を有し、該衝突面(971)に、前記ミルクフォーム(40)の部分流(42)が、前記通路ラビリンス(98)の貫流時に衝突する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
隣り合う列(972〜972)の複数の前記衝突体(97)が、互いにずらされて配置されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
一列(972〜972)の複数の前記衝突体(97)は、それぞれ互いに間隔を置いている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記衝突体(97)は、延在方向(30)で見て下端で狭幅化している、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記ホモジナイザ(95)は、流出領域(952)を有し、該流出領域(952)において前記ホモジナイザ(95)は、円錐台形に形成されており、延在方向(30)で縮径している、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記後処理装置(9)は、ハウジング下側部分(92)を有し、該ハウジング下側部分(92)内に前記ホモジナイザ(95)は、形状結合式に配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項記載のミルクフォーム(40)を製造する装置を備える、ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、特に自動コーヒーマシン。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項記載の装置のホモジナイザ(95)を用いてミルクフォーム(40)を均質化する方法であって、
ミルク/空気混合物(40)を複数の部分流(42)として前記ホモジナイザ(95)の通路ラビリンス(98)を通して押し込み、
a)ミルクフォーム(40)の部分流(42)をそれぞれ衝突面(971)に衝突させ、ミルクフォーム(40)の部分流(42)及び気泡(41)を分割し、
b)その後、分割された部分流を混合させ、新しい部分流(42)を形成する、
ことを複数回繰り返す、
ことを特徴とする、ミルクフォームを均質化する方法。
【請求項10】
それぞれ隣り合う部分流(42)を前記衝突面(971)への衝突後に互いに混合させる、請求項記載の方法。
【請求項11】
前記ミルク/空気混合物(40)を前記通路ラビリンス(98)の貫流時に加速する、請求項又は10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルクフォームを圧送するミルクポンプと、ミルクフォームのちょう度を変更するミルクフォームのための後処理装置と、を備える、ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、特に自動コーヒーマシンのためのミルクフォームを製造する装置に関する。
【0002】
また本発明は、上述の装置を備える、ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、特に自動コーヒーマシンに関する。
【0003】
さらに本発明は、上述の装置のホモジナイザを用いてミルクフォームを均質化する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ミルク及び空気並びに場合によっては水からなる混合物であるミルクフォームの製造は、従来技術において種々異なる形態で公知となっている。ミルクフォームの製造は、一般に全自動コーヒーマシンの一部をなしている。公知の全自動コーヒーマシンの場合、ミルクフォームのちょう度、ここでは第1に気泡の形成は、しばしば著しく不規則である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、この問題を軽減した、ミルクフォームを製造する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るミルクフォームを製造する装置では、後処理装置は、ミルクフォームの気泡を微細化及び分配するホモジナイザを有し、ホモジナイザは、多数の衝突体が配置された微細化領域を有し、衝突体間には、ミルク/空気混合物が貫流する通路ラビリンスが延在しているようにした。
【0007】
本発明に係るミルクフォームを製造する装置の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0008】
好ましい態様において、衝突体は、それぞれ1つの衝突面を有し、衝突面に、ミルクフォームの部分流が、通路ラビリンスの貫流時に衝突する。
【0009】
好ましい態様において、ミルクフォームの流動方向であるホモジナイザの延在方向で見て、それぞれ複数の衝突体が、順次、列をなして配置されている。
【0010】
好ましい態様において、隣り合う列の複数の衝突体が、互いにずらされて配置されている。
【0011】
好ましい態様において、一列の複数の衝突体は、それぞれ互いに間隔を置いている。
【0012】
好ましい態様において、ホモジナイザは、一軸線を中心として同心的に延在しており、各列の複数の衝突体は、それぞれ軸線周りに周方向で均等に分配配置されている。
【0013】
好ましい態様において、衝突体は、延在方向で見て下端で狭幅化している。
【0014】
好ましい態様において、ホモジナイザは、延在方向で先細りしている。
【0015】
好ましい態様において、ホモジナイザは、流入領域を有し、流入領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で拡径している。
【0016】
好ましい態様において、ホモジナイザは、流出領域を有し、流出領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で縮径している。
【0017】
好ましい態様において、後処理装置は、ハウジング下側部分を有し、ハウジング下側部分内にホモジナイザは、形状結合式に配置されている。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、特に自動コーヒーマシンでは、上述のミルクフォームを製造する装置を備えるようにした。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る上述の装置のホモジナイザを用いてミルクフォームを均質化する方法では、ミルク/空気混合物を複数の部分流としてホモジナイザの通路ラビリンスを通して押し込み、a)ミルクフォームの部分流をそれぞれ衝突面に衝突させ、ミルクフォームの部分流及び気泡を分割し、b)その後、分割された部分流を混合させ、新しい部分流を形成する、ことを複数回繰り返すようにした。
【0020】
本発明に係るミルクフォームを均質化する方法の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0021】
好ましい態様において、それぞれ隣り合う部分流を衝突面への衝突後に互いに混合させる。
【0022】
好ましい態様において、ミルク/空気混合物を通路ラビリンスの貫流時に加速する。
【発明の効果】
【0023】
上述のホモジナイザにより、製造されたミルクフォームは、好ましくは均一化可能である。
【0024】
特に好ましい態様により、ミルクフォームを後処理するために、空気/ミルクエマルションあるいはミルク/空気混合物の意味でのミルクフォームの気泡を微細化するホモジナイザが形成される。このようなミルク/空気混合物は、所定量の空気が供給されている所定量のミルクを含んでいる。これに加え、任意選択的には、このようなミルク/空気混合物は、所定量の(高温)蒸気(水)を含んでいる。ホモジナイザによって、ミルクフォームのちょう度は、最適化可能である。特に入口における圧力を変更することにより、ミルクフォームのちょう度は、細かいもの、すなわち気泡が極小のものから、粗いもの、すなわち気泡が大きいものへと、そして緩めからクリーム状を経て固めへと変更可能である。
【0025】
本発明に係るホモジナイザは、好ましくはホットの飲料用の自動マシン、特に好ましくは全自動コーヒーマシン用として考えられている。ホモジナイザは、好ましくは多数の衝突体が配置された微細化領域を有している。衝突体間には、ミルク/空気混合物が貫流する通路ラビリンスが延在している。
【0026】
ミルク/空気混合物は、複数の部分流として通路ラビリンスを通して押し込まれる。このために、好ましくは複数の衝突体が、1つの列に並んで配置されている。さらに好ましくは、衝突体は、このためにそれぞれ1つの衝突面を有し、それぞれの衝突面に、ミルクフォームのそれぞれの部分流が、通路ラビリンスの貫流時に衝突する。衝突時、部分流は分割され、気泡は細分化される。これにより、より小さな気泡が発生する。
【0027】
加えて、ホモジナイザは、ミルクフォームの流動方向であるホモジナイザの延在方向で見て、それぞれ複数の衝突体よりなる順次配置された複数の列を有している。これにより、部分流は、それぞれ、延在方向で順次配置された列の衝突体に衝突し、その結果、気泡は、何度も微細化される。
【0028】
好ましくは、同じ列の複数の衝突体は、それぞれ互いに間隔を置いている。その結果、衝突体間には、通路が形成されている。さらに好ましくは、隣り合う列の複数の衝突体は、互いにずらされて配置されている。これにより、ある列の衝突体の衝突面は、延在方向でその上側に配置された列の、互いに隣接する2つの衝突体間に配置されたそれぞれの通路の、延在方向で下側に配置されている。それゆえ、このような通路の1つは、1つの部分流を画成する両衝突体のそれぞれの衝突面に衝突した2つの部分流の一部分同士を合流させる。それゆえ、各通路において、これらの部分流の各部分は、再混合され、それぞれ1つの新しい部分流を形成する。
【0029】
必須というわけではないが、好ましくは、隣り合う列の衝突体は、それぞれのセンターが互い違いにずらされている。これにより、通路は、それぞれ、隣接する上側及び/又は下側の列の衝突体のセンターを通るように延びている。このように形成されていると、新しい部分流は、それぞれ、この部分流を制限する両衝突体のそれぞれの衝突面に衝突した2つの部分流の略半分ずつにより形成される。
【0030】
好ましくは、衝突室が、延在方向で見て上側の列の、2つの衝突体間に配置された通路を、この衝突室の下側に衝突面を有する衝突体に隣接する、延在方向で見て下側の列の両通路に接続している。これにより、通路を流れる部分流は、衝突室内で分割され、直後の通路内で、隣り合う分割された部分流同士、再混合される。
【0031】
特に好ましくは、衝突体は、延在方向で見て下端で狭幅化するように、例えば三角形に形成されている。これにより、衝突室は、容易に清浄化され、汚れの堆積は、回避される。
【0032】
好ましい態様において、ホモジナイザは、一軸線を中心として同心的に延在している。本態様において、ミルク/空気混合物は、均等に軸線周りに分配されてホモジナイザ内に流入可能である。これにより、衝突体間に形成される通路内へのミルクフォームの流入時、ほぼ同じ大きさの複数の部分流が形成される。加えて、本態様は、極めて省スペースであり、唯一の流入開口しか必要としない。しかし、利用可能な構成スペース次第では、一平面に沿って延在するか、又はこれとは異なって形成されたホモジナイザが有利な場合もある。
【0033】
軸線を中心として同心的に延在するホモジナイザの場合、好ましくは、各列の複数の衝突体は、それぞれ軸線周りに周方向で均等に分配配置されている。特に好ましくは、すべての列の衝突体の数は、それぞれ同じであり、その結果、部分流は、均等に均質化される。
【0034】
正確な円錐座によりシール座を最適化し、好ましくは通路ラビリンスの貫流時のミルクフォームの速度を加速するために、好ましくは、ホモジナイザは、延在方向で先細りしている。それゆえ、ホモジナイザは、微細化領域において円錐形の形状を有している。これにより、微細化領域の、延在方向で上側の大径端部において、大きな気泡が衝突面への衝突時に細分化される。微細化領域の、延在方向で下側の小径端部において、ミルク/空気混合物の加速及び縮小された面積比に基づいて、より小さな気泡も細分化される。
【0035】
このために、ミルク/空気混合物は、ホモジナイザの延在方向でますます良好に混合される。それゆえ、均質化の強さは、ホモジナイザの長さの選択により調節可能である。
【0036】
さらにホモジナイザは、好ましくは流入領域を有し、流入領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で拡径している。これにより、ホモジナイザは、ランプ状の斜面を有し、ミルク/空気混合物は、斜面周りに周方向で均等に分配される。それゆえ、微細化領域への流入時、部分流は、常にほぼ等量のミルクフォームを有している。これにより、ミルク/空気混合物は、極めて均等に均質化され、一定のちょう度を有している。
【0037】
加えて、ホモジナイザは、好ましくは流出領域を有し、流出領域においてホモジナイザは、円錐台形に形成されており、延在方向で縮径している。これにより、ミルク/空気混合物は、流出領域で再加速される。好ましくは、均質化されたミルク/空気混合物は、背圧なしにホモジナイザから流出される。
【0038】
それゆえ、ミルクフォームの均質化は、一方では、気泡がミルクとより強く混合されること、より詳細に言えば、ミルク/空気混合物が複数の部分流に細分化され、これらが再び互いに混合されることにより、達成される。他方、気泡は、同時に、部分流が衝突エネルギをもって衝突面に衝突することにより細分化される。
【0039】
ホモジナイザは、好ましくはミルクフォームの後処理を特に最終的に実施する、ミルク/空気混合物のための後処理装置の構成部分である。その際、低温のミルク/空気混合物も、高温のミルク/空気混合物も、後処理装置により後処理可能である。原理的には、ミルクフォームを加熱する装置の上流に後処理装置を配置することも可能であるが、この配置の有利性は低い。
【0040】
好ましくは、後処理装置は、ハウジング上側部分とハウジング下側部分とを有するハウジングを有する。ホモジナイザは、好ましくはハウジング下側部分内に配置されている。
【0041】
特に好ましくは、ホモジナイザは、形状結合式にハウジング下側部分内に配置されている。本態様では、ミルクフォームが後処理装置に流入する際にホモジナイザに対して及ぼす圧力が利用される。ホモジナイザが先細りしており、ハウジング下側部分がホモジナイザに対応するように形成されている場合、ホモジナイザは、ハウジング下側部分内で圧力によりセンタリングされており、ハウジング下側部分のハウジング内壁に押し付けられる。好ましくは、ハウジング内壁とホモジナイザとは、互いに対応するように形成されている。その結果、ホモジナイザは、ハウジング内壁に押し嵌められた状態で配置されている。この押し嵌めにより、ミルク/空気混合物がハウジング内壁とホモジナイザとの間を単に流過してしまうことはなくなる。
【0042】
後処理装置は、好ましくはミルクフォームを製造する装置の構成部分である。さらに好ましくは、ミルクフォームを製造する装置は、ミルクフォームを圧送するミルクポンプを有する。
【0043】
ミルクフォームのちょう度を所望のホットの飲料毎に変更することができるように、好ましくは、ミルクポンプにより圧送されるミルクフォームの量は変更可能である。量の変更により、ミルク/空気混合物が後処理装置に流入する際の圧力は、変更される。その際、ミルク/空気混合物が後処理装置に流入する際の圧力と、ミルクフォームの流動速度とは、ミルクポンプにより圧送される量が多ければ大であり、ミルクポンプにより圧送される量が少なければ小である。これにより、一方では、それぞれの部分流がそれぞれの衝突面に衝突する衝突エネルギは、圧送される量が増えれば増えるほど、大きくなり、圧送される量が減れば減るほど、小さくなる。他方、ミルク/空気混合物は、圧送される量が増えれば増えるほど、高速でホモジナイザを通して押し込まれ、圧送される量が減れば減るほど、低速でホモジナイザを通して押し込まれる。
【0044】
供給される空気に対するミルクの比が一定であるときは、ミルク/空気混合物の圧送される量の増大が、極めて均質な特性を有するミルクフォームにつながる(供給パラメータ、特に圧力が一定である場合)ことが判っている。供給圧を変更することにより、特性は変更可能である。しかし、フォームは、それぞれ、極めて均質なフォームである。
【0045】
好ましくは、後処理装置は、ミルクフォームの流動方向で見てミルクフォームを加熱する装置の下流に配置されている。これにより、ミルクフォームの、場合によっては加熱によって変更されたちょう度は、後処理装置によって最終的に変更可能あるいは調整可能である。その際、ミルクフォームの加熱は、好ましくは任意選択的である。
【0046】
ミルクフォームを加熱する装置は、例えば蒸気供給部である。蒸気供給部において、ミルク/空気混合物は、高温蒸気の供給によって加熱される。原理的には、ミルクフォームを加熱する別の装置の使用も可能である。
【0047】
ミルクフォームの、ミルクポンプにより圧送される量と、ミルクフォームを加熱する装置により引き起こされる変化とを考慮した、ホモジナイザによる最終的な後処理が、極めて広範な調節範囲を提供し、これによりちょう度が再現可能に調節可能であり、ミルクフォームの品質が極めて良好であり、かつミルクフォームの温度が広範な温度範囲で選択可能であることが判っている。
【0048】
上記課題は、ミルクフォームを製造するこのような装置を備える、ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシンによっても解決される。ホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシンは、好ましい態様では全自動コーヒーマシンである。しかし、本発明は、その他のホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシン、例えば自動ティーマシン、自動ココアマシン又はこれらの自動マシンの組み合わせのためにも使用可能である。ミルクフォームを製造する装置の、このようなホット及び/又はコールドの飲料用の自動マシンでの使用は、選択されたホット及び/又はコールドの飲料毎に、再現可能な様々なちょう度及び様々な温度のミルク/空気混合物を製造することを可能にする。
【0049】
さらに上記課題は、後処置装置、特にミルクフォームを製造する装置のホモジナイザを用いてミルクフォームを均質化する方法において、ミルク/空気混合物を複数の部分流として通路ラビリンスを通して押し込み、
‐ミルクフォームの部分流をそれぞれ衝突面に衝突させ、ミルクフォームの部分流及び気泡を分割し、
‐その後、分割された部分流を混合させ、新しい部分流を形成する、
ことを複数回繰り返すことによって解決される。
【0050】
その際、それぞれ隣り合う部分流を衝突面への衝突後に互いに混合させる。
【0051】
ミルク/空気混合物を通路ラビリンスの貫流時に好ましくは加速する。これにより、小さな気泡もさらに細分化可能である。
【0052】
好ましくは、ミルク/空気混合物は、その際、所定の体積流量でホモジナイザに流入する。これにより、同じホモジナイザによって、ミルクフォームの様々なちょう度が実現可能である。
【0053】
それゆえ、本発明に係る方法により、ミルクフォームのちょう度は、調整可能である。その際、設定された体積流量に基づいて、ムース状のミルクフォームから、固いミルクフォームまで実現可能である。
【0054】
以下、本発明について、図面を参照しながら、一実施の形態を基に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】ミルクを泡立てる装置の構造の概略図である。
図2a】ミルクフォームのちょう度を変更する後処理装置の斜視図である。
図2b】ミルクフォームのちょう度を変更する後処理装置の側面図である。
図2c】ミルクフォームのちょう度を変更する後処理装置の、図2bに示した線A−Aに沿った断面図である。
図2d】ミルクフォームのちょう度を変更する後処理装置の分解立体図である。
図3a】後処理装置のホモジナイザの詳細側面図である。
図3b】後処理装置のホモジナイザの一部を示す図である。
図3c】後処理装置のホモジナイザの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、ミルクフォームを製造する装置を示している。以下、ミルク/空気混合物40、ミルクフォーム及び空気/ミルクエマルションなる概念を同義として使用する。当該装置は、好ましくは以下の構造を有している。
【0057】
ミルク管路3が、ミルク容器1と流出装置2とを互いに接続している。流出装置2は、流出口として形成されている。以下、流出装置2及び流出口なる概念を同義として使用する。本実施の形態において、ミルク容器1と流出口2との間のミルク管路3内には、次のコンポーネント、すなわち、遮断弁4、第1の混合室5、ミルクポンプ6、第1の逆止弁7、第2の混合室8及び後処理装置9が、この順番で接続されている。
【0058】
さらに第1の混合室5には、供給管路10が開口している。供給管路10内には、第2の逆止弁12が接続されている。供給管路10は、第2の逆止弁12の上流において2つの分岐管路13,14に分岐している。
【0059】
両分岐管路13,14は、空気源15,16(大気に向かって開いた入口、空気ポンプ、圧力容器等)に接続されている。
【0060】
さらに第2の混合室8には、蒸気供給管路11が開口しており、蒸気供給管路11を通して高温蒸気源(図示せず)から高温蒸気がミルク管路3に導入可能となっている。
【0061】
当該装置の機能は、以下の通りである。
【0062】
ミルク管路3内に接続されたミルクポンプ6によって、ミルク(特に10%未満、好ましくは7.5%未満の脂肪分を含むミルク)は、ミルク容器1から流出口2に向かって圧送される。この圧送は、好ましくはミルクフォーム製造期間中、連続的に実施される。
【0063】
圧送に際し、まず、遮断弁4が図示の遮断位置から通流位置へ切り換えられる。
【0064】
次いで、ミルクがミルク容器1から第1の混合室5内へ、そして第1の混合室5を通して圧送される。第1の混合室5、単純な形態では例えば直径が拡大された混合室領域を有するT字片状の混合室(図示せず)として形成されている第1の混合室5内で、ミルク管路3を通流するミルクに空気が導入される。こうして、ミルクと、流入した空気とが混合され、フォーム状のミルク/空気混合物40あるいは空気/ミルクエマルションが形成される。ミルク/空気混合物40は、エマルション状に形成されているので、ミルク内に気泡41が封入されている。
【0065】
好ましくは、空気の供給を規定、開始及び中断することができるように、分岐管路10内に、1つの遮断弁、少なくとも1つの絞り及び/又はこれに類する装置等の各種装置が接続されている。固定式の絞りは、正確に規定された空気量が常に供給されるという利点を提供する。絞り自体は、当業者にとって公知であるため、本明細書で殊更説明することはしない。2つの絞りの間あるいは2つの絞り配置構成の間で、(特に低温又は高温の乳製品のために)空気供給を切り換えることも可能である。
【0066】
可及的一定の特性を有するミルク/空気混合物40を製造するために、好ましくは、第1の混合室5を貫流するミルクに、ミルクフォーム製造中、連続的に一定量の空気が吸収される。
【0067】
第1の混合室5内で形成されたミルク/空気混合物40は、ミルクポンプ6により圧送される。ミルクポンプ6内でミルク/空気混合物40は圧縮される。好ましくは、圧送量に関して調節可能なミルクポンプ6が使用される。
【0068】
ミルクポンプ6から出て下流に流れる圧縮されたミルク/空気混合物40は、第2の混合室8が中間に接続されている区間を通して圧送される。例えばT字片として形成された第2の混合室8内で、ミルク/空気混合物40は、任意選択的に、ミルク/空気混合物40の温度を上昇させ、加熱されたミルクフォーム40を形成するために、管路11から流入する高温蒸気に曝される。このとき、流入する高温蒸気の量は、好ましくは一定である。しかし、ミルクフォーム40の加熱具合を調整することができるように、高温蒸気の量を変化させることも可能である。
【0069】
第2の混合室8には、ミルク管路3の減圧区分が接続されている。減圧区分は、後処理装置9に開口している。
【0070】
第2の混合室8及び減圧区分から流出した加熱されたミルク/空気混合物40は、確かにこのまま容器へ放出されてもよいが、本発明ではそうせず、フォーム品質を適当に変更するために、まず後処理装置9で後処理される。
【0071】
好ましくは、後処理装置9は、ホモジナイザ95を有している。ホモジナイザ95は、ミルクフォーム40をホモジナイズ(均質化)するために設けられている。その結果、気泡41は、微細化され、より均一にミルク内に分配される。この後処理は、好ましくは、ミルクフォーム40及び気泡41が少なくとも1回又は繰り返し衝突面971に衝突するようにしてなされる。
【0072】
その際、後処理の形態及び強さは、特にミルクポンプ6の圧送出力あるいは回転数、つまりミルクポンプ6がミルクフォーム40を後処理装置9内に送り込む圧力に依存している。こうして、コーヒーの種々異なるバリエーション、例えばカプチーノ、ミルクコーヒー又はこれに類するものにそれぞれ特に適した、(例えば気泡のサイズに関して)様々なフォーム品質を形成するために、ミルクフォーム40の特性を主にミルクポンプ6の圧送量を介して制御することが可能である。
【0073】
後処理装置9から、均質化されたミルクフォーム40は、流出口2を通して容器(図示せず)、例えばカップに放出される。
【0074】
このようにいわば連続的な運転で形成されるミルクフォーム40は、調節可能なフォーム特性を有している。こうして、本発明により、種々異なるちょう度(コンシステンシ)を有するミルクフォーム40が形成可能である。ミルクフォーム40は、極めてきめの細かいもの(極めて小さな気泡41を有するもの)から粗いもの(前者と比較して大きな気泡41を有するもの)まで、かつ緩めのものからクリーム状のものを経て固めのものまで様々である。
【0075】
図2は、後処理装置9を様々な見方で見た図である。図2aは、斜視図であり、図2bは、側面図であり、図2cは、図2bに示した線A−Aに沿った断面図であり、図2dは、分解立体図である。
【0076】
後処理装置9は、ハウジングを有している。ハウジングは、軸線32を中心として同心的に延在し、ハウジング上側部分91とハウジング下側部分92とから形成されている。ハウジング下側部分92内には、ホモジナイザ95が配置されている。ハウジング上側部分91内には、ノズル941を有する上側部材94が設けられている。ハウジング上側部分91及び上側部材94は、貫通孔(符号なし)を有している。上側部材94内には、接続挿入体93が設けられている。接続挿入体93は、ミルク/空気混合物40のための流入開口20として機能する。ミルク/空気混合物40は、流入開口20及びノズル941を通してホモジナイザ95に向かって案内される。
【0077】
ミルク/空気混合物40がホモジナイザ95に対して及ぼす圧力により、ホモジナイザ95は、ハウジング下側部分92のハウジング内壁921に押し付けられる。本実施の形態では、ホモジナイザ95は、円錐形の形状を有しているので、延在方向30でテーパ、つまり先細りしている。具体的には、ホモジナイザ95は、軸線32に対して約1°〜5°、好ましくは2°の角度αをなした外壁957を有している。これにより、良好なシール作用が達成される。加えて、ミルク/空気混合物40は、ホモジナイザ95を貫流する際に加速される。
【0078】
このために、ハウジング下側部分92及びそのハウジング内壁921は、ホモジナイザ95に対応する形状を有しており、それゆえ、やはり円錐形に形成されている。それゆえ、ホモジナイザ95は、ミルク/空気混合物40によりホモジナイザ95に働く圧力によりセンタリングされ、ハウジング内壁921に押し付けられる。その結果、ホモジナイザ95は、形状結合(formschluessig:形状による束縛)式にハウジング内壁921に当接する。それゆえ、ミルク/空気混合物40がハウジング内壁921とホモジナイザ95の外壁957との間を通って流れ去ってしまう事態はなくなる。
【0079】
ホモジナイザ95の外壁957には、通路ラビリンス98が設けられている。通路ラビリンス98を通して、ミルク/空気混合物40は押し込められる。このとき、ミルク/空気混合物40は均質化される。すなわち、ミルク/空気混合物40内の気泡は、微細化され、均一にミルク/空気混合物40内に分配される。
【0080】
均質化されたミルク/空気混合物40は、ホモジナイザ95を貫流した後、ハウジング下側部分92の貫通孔(符号なし)内に配置されている接続挿入体93内に設けられた流出開口21を通して後処理装置9から排出される。
【0081】
流入側の接続挿入体93は、上側部材94に対して、また上側部材94は、ハウジング下側部分92に対して、さらに流出側の接続挿入体93は、ハウジング下側部分92に対して、それぞれシールリング96によりシールされているので、ミルク/空気混合物40が後処理装置9の中間室(符号なし)に漏出することはない。
【0082】
図3のうち、図3aは、ホモジナイザ95の詳細側面図であり、図3b及び図3cは、それぞれ、図3aに示したホモジナイザ95の一部を示す図である。
【0083】
ホモジナイザ95は、流入領域951を有している。流入領域951は、円錐台形に形成されており、それゆえ延在方向30で円錐形に拡径している。尖端が落とされた流入側の端部には、流入面956が設けられている。流入面956にミルク/空気混合物40が流入時に衝突する。その後、ミルク/空気混合物40は、円錐形により形成されるランプ状の斜面99の周りに周方向31で一様に分配される。
【0084】
流入領域951には、微細化領域953が接続している。微細化領域953は、通路ラビリンス98が設けられた外壁957を有している。微細化領域953も、円錐形に形成されているが、延在方向30で先細りしている。
【0085】
微細化領域953には、流出領域952が接続している。流出領域952において、ホモジナイザ95は、円錐台形状に形成されており、延在方向30でさらに先細りしている。
【0086】
微細化領域953には、複数の衝突体97が設けられている。これらの衝突体97間を通路ラビリンス98が延在している。衝突体97は、それぞれ1つの衝突面971を有しており、衝突面971には、ミルクフォーム40のそれぞれの部分流42が、通路ラビリンス98を貫流する際に衝突する。衝突体97の、延在方向30で見て下面に相当する、衝突面971とは反対側の面で、衝突体97はそれぞれ狭幅化している。ここに示した実施の形態では、衝突体97は、この領域で三角形に形成されている。
【0087】
それぞれ複数の衝突体97が、周方向31で均等に分配されて、各列972,972,・・・,972に相並んで配置されている。このため、延在方向30で互いに上下に、それぞれ複数の衝突体97を有する複数の列972,972,・・・,972が設けられている。同じ列972,972,・・・,972の衝突体97は、それぞれ互いに間隔を置いているので、衝突体97間には、通路982が形成されている。各列972,972,・・・,972の衝突体97は、それぞれのセンターが互い違いにずらされている。このずれは、双方向矢印17により示してある。これにより、衝突体97の衝突面971は、それぞれ、通路982の下側に配置されている。
【0088】
これにより、このためにそれぞれの衝突体97の上側に衝突室981が形成されている。衝突室981は、略三角形に形成されており、衝突体97の衝突面971の上側の通路982を、当該衝突体97の両側で境界を接する両通路982に接続している。
【0089】
それゆえ、通路ラビリンス98は、通路982により互いに接続されている多数の衝突室981を有している。
【0090】
後処理装置9を貫流するミルク/空気混合物40は、微細化領域953の流入側の上側の端部954において、延在方向30で見て最も上側の列972の衝突体97間を通って、通路ラビリンス98内に流入する。このとき、ミルク/空気混合物40は、それぞれほぼ同じ大きさの複数の部分流42に分割される。これらの部分流42は、最も上側の列972の複数の通路982のそれぞれ1つを通って流れる。
【0091】
部分流42は、それぞれ、通路982の下側に配置された衝突面971に衝突する。このとき、部分流42が分割されるだけでなく、とりわけ気泡41も分割される。それぞれの分割された部分流42は、その後、この部分流42が衝突した衝突体97の側方に配置された通路982を通って流れる。このとき、この部分流42は、それぞれの隣接する分割された部分流42と混ざり合い、その都度、新しい、通路982を通って流れる部分流42を形成する。次に、この部分流42は、延在方向30で連続する列972,972,・・・,972の後続の衝突面971に衝突し、分割される。気泡41も再分割される。このプロセスは、ミルク/空気混合物40が、ホモジナイザ95の流出側の下側の端部955に設けられた最も下側の最後の列972を流過するまで、反復される。
【0092】
均質化された部分流42は、流出領域952において、流出開口21から流出する際に、再合流させられる。
【0093】
部分流42は、高圧下で通路ラビリンス98を通して押し込められる。この圧力は、ミルクポンプ6の圧送出力次第であり、圧送出力を介して調節可能である。気泡41は、衝突エネルギをもって衝突面971に衝突する。衝突エネルギは、気泡41が衝突時に分割されるほどに大きい。ホモジナイザ95の円錐形の形状に基づいて、面積比は減少し、部分流42は加速される。これにより、衝突エネルギは、延在方向30で見て下側の端部955においてもなお、小さな気泡41を衝突時に細分化するのに十分な大きさにある。
【0094】
それゆえ、ミルク/空気混合物40は、ホモジナイザ95を貫流する際、気泡41がさらに微細化されることにより均質化される。その結果、個々の気泡のサイズは一様化され、ミルク/空気混合物40はますます良好に混合される。
【符号の説明】
【0095】
1 ミルク容器、 2 流出装置、 3 ミルク管路、 4 遮断弁、 5 第1の混合室、 6 ミルクポンプ、 7 逆止弁、 8 第2の混合室、 9 後処理装置、 91 ハウジング上側部分、 92 ハウジング下側部分、 921 ハウジング内壁、 93 接続挿入体、 94 上側部材、 941 ノズル、 95 ホモジナイザ、 951 流入領域、 952 流出領域、 953 微細化領域、 954 流入側の端部、 955 流出側の端部、 956 流入面、 957 外壁、 96 シール、 97 衝突体、 971 衝突面、 972〜972 列、 98 通路ラビリンス、 981 衝突室、 982 流通路、 99 斜面、 10 供給管路、 11 蒸気供給管路、 12 逆止弁、 13,14 分岐管路、 15 空気源、 16 空気源、 17 ずれ、 20 流入部、 21 流出部、 30 延在方向、流動方向、 31 周方向、 32 軸線、 40 ミルク/空気混合物、 41 気泡、 42 部分流、 α 角度
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c