【文献】
S.H.Yun et al.,High-speed optical frequency-domain imaging,OPTICS EXPRESS,2003年,Vol. 11, No. 22,2953-2963
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明に係るOCT装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この発明に係るOCT装置は、OCTの手法を用いて被測定物体の断層像や3次元画像を形成する。この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
【0014】
以下の実施形態では、被測定物体を生体眼(被検眼、眼底)とし、スウェプトソースタイプのOCTの手法を用いて眼底のOCT計測を行うOCT装置が適用された眼底撮影装置について説明する。特に、実施形態に係る眼底撮影装置は、眼底のOCT画像を取得することが可能であり、さらに、眼底を撮影することにより眼底像を取得することが可能である。また、この実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、眼底カメラ以外の眼底撮影装置、たとえばSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡、光凝固装置などに、この実施形態に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。また、この実施形態に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。
【0015】
[構成]
図1〜
図4に示すように、眼底撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
【0016】
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efを角膜側から見た正面画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
【0017】
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。さらに、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30とが設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した測定光をOCTユニット100に導く。
【0018】
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。さらに、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
【0019】
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。さらに、この眼底反射光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
【0020】
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置と撮影画像を表示する表示装置は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
【0021】
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
【0022】
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
【0023】
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
【0024】
さらに、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
【0025】
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
【0026】
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
【0027】
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。さらに、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
【0028】
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
【0029】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、分散補償部材47と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
【0030】
分散補償部材47は、コリメータレンズユニット40と光路長変更部41との間の測定光路に配置される。分散補償部材47は、OCTユニット100内で生成された参照光と測定光の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
【0031】
光路長変更部41は、
図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
【0032】
ガルバノスキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを測定光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、たとえば、測定光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
【0033】
〔OCTユニット〕
図2を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、波長掃引光源(波長走査光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、眼底Efを経由した測定光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する干渉光学系である。干渉光学系における干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
【0034】
光源ユニット120は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、所定の波長掃引範囲で出射光の波長を掃引(走査)可能な波長掃引光源(波長走査光源)を含んで構成される。光源ユニット120は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
【0035】
光源ユニット120から出力された光L0は、光ファイバ101によりアッテネータ102に導かれて、演算制御ユニット200の制御の下で光量が調整される。アッテネータ102により光量が調整された光L0は、光ファイバ103により偏波コントローラ104に導かれてその偏光状態が調整される。偏波コントローラ104は、たとえばループ状にされた光ファイバ103に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ103内を導かれる光L0の偏光状態を調整する。
【0036】
偏波コントローラ104により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ105によりファイバカプラ106に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
【0037】
参照光LRは、光ファイバ107によりアッテネータ108に導かれて、演算制御ユニット200の制御の下で光量が調整される。アッテネータ108により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ109により偏波コントローラ110に導かれて、その偏光状態が調整される。
【0038】
偏波コントローラ110は、たとえば、偏波コントローラ104と同様の構成を有する。偏波コントローラ110により偏光状態が調整された参照光LRは、光ファイバ111によりファイバカプラ112に導かれる。
【0039】
ファイバカプラ106により生成された測定光LSは、光ファイバ113により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、分散補償部材47、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる測定光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ106に導かれ、光ファイバ114を経由してファイバカプラ112に到達する。
【0040】
ファイバカプラ112は、光ファイバ114を介して入射された測定光LSと、光ファイバ111を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ112は、所定の分岐比(たとえば50:50)で、測定光LSと参照光LRとの干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバカプラ112から出射した一対の干渉光LCは、光ファイバ115、116により検出器150に導かれる。
【0041】
検出器150は、光ファイバ115、116により導かれた一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出信号(検出結果)の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode:以下、BPD)である。検出器150は、その検出信号(検出結果)を干渉信号としてDAQ(Data Acquisition System)160に送る。検出器150により得られた検出信号(検出結果)は、この実施形態に係る「収集データ」の一例である。
【0042】
DAQ160には、波長掃引光源による波長掃引の基準タイミングとなるトリガー信号Atrが光源ユニット120から入力される。トリガー信号Atrは、波長掃引光源による所定の波長掃引範囲内の所定の波長位置に配置された信号である。たとえば、トリガー信号Atrは、波長掃引光源による掃引終了波長より掃引開始波長に近い所定の波長位置(基準波長位置)に配置されている。波長掃引光源による波長掃引範囲の少なくとも一部は画像形成処理に用いられ、その範囲を画像化範囲と呼ぶ。所定の波長位置は、この画像化範囲の境界、境界近傍またはその外部の波長位置とすることが可能である。この実施形態では、トリガー信号Atrは、光源ユニット120のトリガー信号生成光学系により、波長掃引光源からの光に基づいて光学的に生成される。ここで、「光学的に生成される」とは、主として光学部材によって生成され、電気的な遅延を受けずに生成されることを意味する。
【0043】
内部クロックICLKは、波長掃引光源と独立して動作するクロック生成部(クロック生成手段)により生成される。すなわち、内部クロックICLKは、波長掃引光源による波長掃引タイミングと非同期のクロックであってよい。この実施形態では、内部クロックICLKは、時間軸上において等間隔で変化するクロックである。内部クロックICLKの間隔は、トリガー信号Atrの半値幅以下である。すなわち、内部クロックICLKは、立ち上がりエッジ(または立ち下がりエッジ)の間隔がトリガー信号Atrの半値幅以下となる周波数を有する。
【0044】
DAQ160は、トリガー信号Atrが配置された基準波長位置を基準に、検出器150により得られた検出信号を内部クロックICLKに基づいて順次に取り込む。この実施形態では、DAQ160は、トリガー信号Atrを検出し、トリガー信号Atrの検出より後にクロック生成部163(
図4)から入力された内部クロックICLKから検出信号のサンプリングを開始する。
【0045】
図3に、光源ユニット120の構成例を示す。光源ユニット120は、光源121と、光分岐器122と、トリガー信号生成光学系123とを含んで構成される。トリガー信号生成光学系123は、FBG125と、検出器126とを含んで構成される。
【0046】
光源121は、既定の掃引開始波長から既定の掃引終了波長までの波長掃引範囲内で波長掃引を行う波長掃引光源である。光源121により出射された光は、光ファイバ127により光分岐器122に導かれる。光分岐器122は、光源121からの光を所定の分岐比(たとえば95:5)で分岐することにより、光L0(95%)と分岐光(5%)とを生成する。光L0は、光ファイバ128を介して出射端129より出射される。分岐光は、光ファイバ130によりトリガー信号生成光学系123に導かれる。
【0047】
トリガー信号生成光学系123は、分岐光から光学的にトリガー信号Atrを生成する。すなわち、光ファイバ130により分岐光がFBG125に導かれる。FBG125は、光ファイバ130により導かれた光のうち所定の波長成分だけを反射し、且つ、それ以外の波長成分を透過させる。FBG125は、たとえば光ファイバのコア部の屈折率がグレーティング周期で長手方向に変化するように形成された光学素子である。このようなFBG125に分岐光が入射すると、グレーティング周期に対応したブラッグ波長の光だけが反射され、それ以外の波長成分の光が透過する。したがって、ブラッグ波長(所定の波長)に対応したグレーティング周期で光ファイバのコア部の屈折率が変化するように形成することで、当該ブラッグ波長の波長成分だけを反射するFBGが得られる。FBG125は、波長掃引光源による所定の波長掃引範囲内の所定の波長位置の波長成分の光を反射するようにブラッグ波長が調整されている。所定の波長位置の例として、光源121による掃引終了波長より掃引開始波長に近い波長位置(基準波長位置)などがある。この波長位置(基準波長位置)は、上記のように、画像化範囲の境界、境界近傍またはその外部の波長位置とすることが可能である。
【0048】
このようなFBG125を透過した光は、光ファイバ131により検出器126に導かれる。検出器126は、たとえばフォトダイオード(Phote Diode:PD)を含んでいてよい。検出器126は、FBG125を透過した分岐光を検出することにより、波長掃引光源による所定の波長掃引範囲内の所定の波長位置に光学的に付与された基準信号を検出し、その結果としてトリガー信号Atrを出力する。トリガー信号Atrは、光ファイバ132を介して出射端133より出力される。
【0049】
図3において、検出器126は、BPDであってもよい。この場合、光分岐器122により生成された分岐光は、他のファイバカプラによりさらに一対の分岐光に分岐される。分岐された一対の分岐光の一方はFBG125を介してBPDに導かれ、他方は光ファイバを介してBPDに導かれる。BPDは、一方のみがFBG125を透過した一対の分岐光をそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出信号(検出結果)の差分に基づきトリガー信号Atrを出力することが可能である。
【0050】
図4に、DAQ160の構成例のブロック図を示す。
図4では、DAQ160の他に、検出器150及び演算制御ユニット200も図示されている。DAQ160は、検出部161と、サンプリング部162と、クロック生成部163とを含んで構成される。検出部161は、トリガー信号Atrを検出する。検出部161は、トリガー信号Atrが配置された波長位置を特定することが可能である。サンプリング部162は、検出されたトリガー信号Atrが配置された所定の波長位置を基準に、検出器150により得られた検出信号を内部クロックICLKに基づいて順次にサンプリングする。
【0051】
クロック生成部163は、光源121と独立して動作し、トリガー信号Atrの半値幅以下の間隔を有する内部クロックICLKを生成する。クロック生成部163は、公知の手法により所望の周波数を有する内部クロックICLKを生成する。クロック生成部163は、たとえば、演算制御ユニット200(後述の制御部210または主制御部211)の制御の下で、内部クロックICLKの周波数の可変制御を行うことが可能である。演算制御ユニット200は、操作部240Bを用いたユーザからの指示、または測定部位等に応じた制御部210からの指示により、内部クロックICLKの周波数の可変制御を行う。
【0052】
フーリエドメインOCTでは、深度方向の画像化範囲Lと深度方向の分解能Δzは、式(1)及び式(2)のように表される。
【0055】
式(1)及び式(2)において、λ
Oは波長掃引光源の中心波長(画像化範囲Lの中心波長としてもよい)であり、nは眼球の屈折率(たとえば、1.38)であり、Δλはサンプリング分解能である。Δλは、内部クロックICLKの1クロック当たりの波長幅に相当する。kは、定数である。
【0056】
内部クロックICLKの周波数を高くすると、式(1)よりLが大きくなり、式(2)よりΔzが大きくなる。反対に、内部クロックICLKの周波数を低くすると、式(1)よりLが小さくなり、式(2)よりΔzが小さくなる。このように、内部クロックICLKの周波数を制御することにより、深度方向の画像化範囲Lと深度方向の分解能Δzとを調整することが可能となる。
【0057】
たとえば、測定部位が前眼部の場合、クロック生成部163は、演算制御ユニット200により、内部クロックICLKの周波数が高くなるように制御される。これにより、深度方向の分解能が大きくなるが、深度方向の画像化範囲を広くすることができる。深度方向の画像化範囲が広くなると、たとえば、虹彩から角膜頂点までの範囲が描出された画像の形成が可能となる。
【0058】
また、たとえば、測定部位が網膜(後眼部)の場合、クロック生成部163は、演算制御ユニット200により、内部クロックICLKの周波数がより低くなるように制御される。これにより、深度方向の画像化範囲が狭くなるが、深度方向の分解能を小さくすることができる。深度方向の分解能が小さくなると、たとえば、網膜(後眼部)について高精細な画像の形成が可能となる。
【0059】
このように、測定部位に応じて深度方向の画像化範囲及び深度方向の分解能を変更することができ、測定の自由度を向上させることが可能となる。
【0060】
図5に、トリガー信号Atr、内部クロックICLK、及び干渉信号(検出器150により得られた検出信号)のそれぞれの波形の一例を表す。
図5において、横軸は時間軸を表し、縦軸は強度を表す。
【0061】
検出部161は、たとえば、内部クロックICLKのゼロクロス点でサンプリングされたトリガー信号Atrのピーク位置を検出することにより、サンプリングされたトリガー信号Atrの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの波長位置を特定する。また、検出部161は、内部クロックICLKのゼロクロス点でサンプリングされたトリガー信号Atrの波高値または振幅値が所定の閾値以上であるか否かを検出することにより、サンプリングされたトリガー信号Atrの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの波長位置を特定してもよい。内部クロックICLKの間隔がトリガー信号Atrの半値幅以下である場合、検出部161は、トリガー信号Atrを精度良くサンプリングすることが可能となる。また、検出部161は、たとえばトリガー信号Atrの立ち上がりエッジを検出することにより、当該立ち上がりエッジのタイミングに相当する波長位置を特定してもよい。或いは、検出部161は、トリガー信号Atrの波高値または振幅値が所定の閾値以上であるか否かを検出することにより、トリガー信号Atrの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの波長位置を特定してもよい。また、検出部161は、たとえば、基準となるトリガー信号と光源ユニット120から入力されたトリガー信号Atrとの相関値を求め、当該相関値に基づいてトリガー信号を検出してもよい。また、検出部161は、FBG125のブラッグ波長を含む所定の波長範囲を検出範囲としてトリガー信号を探索することにより検出精度を高めるようにしてもよい。
【0062】
サンプリング部162は、検出部161により検出されたトリガー信号Atrが配置された所定の波長位置を基準に、内部クロックICLKに基づいて干渉信号を順次にサンプリングする。サンプリング部162は、検出部161によるトリガー信号Atrの検出より後にクロック生成部163から入力された内部クロックICLKから干渉信号のサンプリングを開始する。すなわち、サンプリング部162は、検出部161により検出されたトリガー信号Atrが配置された所定の波長位置(基準波長位置)より後の特定波長位置から干渉信号のサンプリングを開始することが可能である。たとえば、サンプリング部162は、検出部161によるトリガー信号Atrの検出タイミングの後の次の内部クロックICLKから干渉信号をサンプリングする。DAQ160は、サンプリング部162によりサンプリングされた検出信号を演算制御ユニット200に送る。
【0063】
演算制御ユニット200は、たとえば一連の波長走査ごとに(Aライン(深度方向の走査ライン)ごとに)、検出器150により得られた検出信号に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことで断層像を形成する。演算制御ユニット200は、形成された画像を表示装置3に表示させる。
【0064】
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。
【0065】
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、検出器150から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様である。
【0066】
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底EfのOCT画像を表示装置3に表示させる。
【0067】
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15及びLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、ガルバノスキャナ42の動作制御などを行う。
【0068】
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット120の動作制御、検出器150の動作制御、アッテネータ102、108の動作制御、偏波コントローラ104、110の動作制御、検出器126の動作制御、DAQ160(検出部161やサンプリング部162)の動作制御、DAQ160からの収集データの取り込み制御などを行う。
【0069】
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼底撮影装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
【0070】
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に分かれて構成されていてもよい。
【0071】
〔制御系〕
眼底撮影装置1の制御系の構成について
図6を参照しつつ説明する。
【0072】
(制御部)
眼底撮影装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
【0073】
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、眼底カメラユニット2の合焦駆動部31A、光路長変更部41及びガルバノスキャナ42、さらにOCTユニット100の光源ユニット120(光源ユニット120の検出器126を含む)、偏波コントローラ104、110、アッテネータ102、108、検出器150、DAQ160を制御する。
【0074】
合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることができる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、被検眼Eを動画撮影して得られる画像に基づき被検眼Eの位置や向きに合わせて装置光学系をリアルタイムで移動させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
【0075】
また、主制御部211は、たとえば、トリガー信号Atrを検出するための閾値レベルなどを変更することにより、DAQ160の検出部161による検出処理を制御することが可能である。また、主制御部211は、クロック生成部163を制御することにより、内部クロックICLKの周波数を変更することが可能である。また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
【0076】
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼底撮影装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0077】
(画像形成部)
画像形成部220は、DAQ160により取得された収集データに基づいて、眼底Efの断層像の画像データを形成する。すなわち、画像形成部220は、SS−OCTにより収集された干渉光の検出結果に基づいて被検眼Eの画像を形成する。この処理には、従来のスウェプトソースタイプのOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。
【0078】
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。
【0079】
この実施形態では、波長掃引光源による所定の波長掃引範囲内にトリガー信号Atrが光学的に付与された所定の波長位置を基準に、内部クロックICLKにより検出信号がAラインごとにサンプリングされる。画像形成部220は、サンプリングにより得られた収集データに基づいて、当該Aラインの画像を形成する。これにより、ジッターの影響が除去されたトリガー信号Atrを基準に検出信号をサンプリングすることができるので、画像形成部220により形成された画像に対するジッターの影響を低減することができる。
【0080】
また、画像形成部220は、検出信号をサンプリングすることにより得られた収集データに対してリスケーリング処理を施すことが可能である。リスケーリング処理は、検出信号を内部クロックICLKにより時間軸上において等間隔でサンプリングすることにより得られた収集データを、時間軸上において波数が線形的に(直線的に)変化するように並び替える処理である。画像形成部220は、リスケーリング処理が施された収集データに対してFFTなどを施して当該Aラインの画像を形成する。リスケーリング処理を行うことにより、時間軸上において波数が線形的に変化する波数クロックにより検出信号をサンプリングする場合と同様に画像を形成することができる。なお、リスケーリング処理は、データ処理部230により行われてもよい。
【0081】
(データ処理部)
データ処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、データ処理部230は、トラッキングの実行時において、被検眼Eの前眼部を動画撮影して得られた画像を解析して被検眼Eの位置及び向きを求める処理を行う。
【0082】
データ処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240A等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
【0083】
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
【0084】
以上のように機能するデータ処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
【0085】
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部240Aと操作部240Bとが含まれる。表示部240Aは、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部240Bは、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部240Bには、眼底撮影装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部240Bは、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部240Aは、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
【0086】
なお、表示部240Aと操作部240Bは、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部240Bは、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部240Bに対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部240Aに表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部240Bとを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
【0087】
トリガー信号Atrは、この実施形態に係る「基準信号」の一例である。内部クロックICLKは、この実施形態に係る「クロック」の一例である。
図3に示す光源ユニット120において、トリガー信号生成光学系123を含む、光分岐器122から検出器126までの光学部材は、光源121による所定の波長掃引範囲内の所定の波長位置に対応する基準信号を生成し、この実施形態に係る「基準信号生成部」の一例である。サンプリング部162またはDAQ160は、この実施形態に係る「取得部」の一例である。
【0088】
[動作例]
眼底撮影装置1の動作について説明する。
【0089】
図7に、眼底撮影装置1の動作例のフロー図を示す。この動作例には、画像に基づく被検眼Eと装置光学系との位置合わせの処理と、画像に基づく走査領域の設定処理とが含まれる。位置合わせの処理には、OCT計測のためのアライメント(オートアライメント)、ピント合わせ(オートフォーカス)、トラッキング(オートトラッキング)が含まれる。
【0090】
(S1)
まず、観察光源11からの照明光(可視カットフィルタ14により近赤外光となる)で眼底Efを連続照明することにより、眼底Efの近赤外動画像の取得を開始する。この近赤外動画像は、連続照明が終了するまでリアルタイムで得られる。この動画像を構成する各フレームの画像は、フレームメモリ(記憶部212)に一時記憶され、データ処理部230に逐次送られる。
【0091】
なお、被検眼Eには、アライメント光学系50によるアライメント指標と、フォーカス光学系60によるスプリット指標とが投影されている。よって、近赤外動画像にはアライメント指標とスプリット指標とが描出されている。これら指標を用いてアライメントやピント合わせを行うことができる。また、被検眼Eには、LCD39による固視標も投影されている。被検者は、この固視標を凝視するように指示を受ける。
【0092】
(S2)
データ処理部230は、光学系によって被検眼Eを動画撮影することにより得られるフレームを逐次に解析して、アライメント視標の位置を求め、光学系の移動量を算出する。制御部210は、データ処理部230により算出された光学系の移動量に基づいて図示しない光学系駆動部を制御することにより、オートアライメントを行う。
【0093】
(S3)
データ処理部230は、光学系によって被検眼Eを動画撮影することにより得られるフレームを逐次に解析して、スプリット視標の位置を求め、合焦レンズ31の移動量を算出する。制御部210は、データ処理部230により算出された合焦レンズ31の移動量に基づいて合焦駆動部31Aを制御することにより、オートフォーカスを行う。
【0094】
(S4)
続いて、制御部210は、オートトラッキングを開始する。具体的には、データ処理部230は、光学系によって被検眼Eを動画撮影することにより逐次に得られるフレームをリアルタイムで解析して、被検眼Eの動き(位置の変化)を監視する。制御部210は、逐次に取得される被検眼Eの位置に合わせて光学系を移動させるように図示しない光学系駆動部を制御する。それにより、被検眼Eの動きに対して光学系をリアルタイムで追従させることができ、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持することが可能となる。
【0095】
(S5)
制御部210は、近赤外動画像を表示部240Aにリアルタイムで表示させる。ユーザは、操作部240Bを用いることにより、この近赤外動画像上に走査領域を設定する。設定される走査領域は1次元領域でも2次元領域でもよい。
【0096】
なお、測定光LSの走査態様や注目部位(視神経乳頭、黄斑部、病変部等)があらかじめ設定されている場合などには、これら設定内容に基づいて制御部210が走査領域を設定するように構成することも可能である。具体的には、データ処理部230による画像解析により注目部位を特定し、制御部210が、この注目部位を含むように(たとえば、この注目部位が中心に位置するように)所定パターンの領域を設定する。
【0097】
また、過去に実施されたOCT計測と同じ走査領域を設定する場合(いわゆるフォローアップ)、制御部210は、この過去の走査領域をリアルタイム近赤外動画像上に再現して設定することができる。その具体例として、制御部210は、過去の検査で設定された走査領域を表す情報(走査態様等)と、この走査領域が設定された近赤外眼底像(静止画、たとえばフレームでよい)とを対応付けて記憶部212に記憶させている(実用上は、患者IDや左右眼情報とも対応付けられる)。制御部210は、過去の近赤外眼底像と現在の近赤外動画像のフレームとの位置合わせを行い、過去の近赤外眼底像における走査領域に対応する現在の近赤外動画像中の画像領域を特定する。これにより、過去の検査で適用された走査領域が現在の近赤外動画像に対して設定される。
【0098】
(S6)
制御部210は、光源ユニット120や光路長変更部41を制御するとともに、S5で設定された走査領域に基づいてガルバノスキャナ42を制御することにより、眼底EfのOCT計測を行う。
【0099】
DAQ160は、上記のように、光源121による所定の波長掃引範囲内で付与されたトリガー信号Atrを検出し、たとえば、トリガー信号Atrが検出された次の内部クロックICLKから、検出器150により得られた検出信号のサンプリングを開始する。画像形成部220は、サンプリングより得られた収集データに基づいて、当該Aラインの断層像(画像)を形成する。走査態様が3次元スキャンである場合、データ処理部230は、画像形成部220により形成された複数の断層像に基づいて眼底Efの3次元画像を形成する。以上で、この動作例は終了となる(エンド)。
【0100】
なお、上記のS4、S5の順序を入れ替えてもよい。また、上記のS4、S5では、近赤外動画像を表示させ、この近赤外動画像上に走査領域を設定しているが、走査領域の設定態様はこれに限定されるものではない。たとえば、近赤外動画像における一のフレームの画像(基準画像と呼ぶ)を表示させるとともに、そのバックグラウンドでオートトラッキングを実行する。基準画像上に走査領域が設定されると、制御部210は、基準画像と、現にオートトラッキングに供されている画像との間の位置合わせを行うことにより、基準画像上に設定された走査領域に対応するリアルタイム近赤外動画像中の画像領域を特定する。この処理によっても上記S4、S5と同様にリアルタイム近赤外動画像中に走査領域を設定できる。さらに、この方法によれば、静止画像上に走査領域を設定することができるので、現にオートトラッキングされている動画像上に設定する場合よりも作業の容易化や確実化を図ることができる。
【0101】
図8に、
図7のOCT計測(S6)の動作例のフロー図を示す。
【0102】
(S11)
DAQ160は、検出部161において、たとえばトリガー信号Atrのピークを検出することにより、トリガー信号Atrが付与された波長位置を特定する。
【0103】
(S12)
DAQ160は、サンプリング部162において、S11において検出されたトリガー信号Atrが付与された波長位置を基準に検出信号をサンプリングする。たとえば、サンプリング部162は、S11においてトリガー信号Atrが検出された次の内部クロックICLKから検出器150により得られた検出信号のサンプリングを開始する。この際、サンプリング部162は、内部クロックICLKのゼロクロス点で検出信号をサンプリングすることにより収集データを取得することが可能である。
【0104】
(S13)
画像形成部220(またはデータ処理部230)は、S12におけるサンプリングにより取得された収集データに対して、上記のリスケーリング処理を行う。
【0105】
(S14)
画像形成部220は、DAQ160により、S13においてリスケーリング処理が施された収集データに対し、公知のFFTを施す。
【0106】
(S15)
たとえばBスキャン画像を構成するAライン数(1024ライン)分の処理が終了したとき(S15:N)、眼底撮影装置1の動作は終了する(エンド)。一方、Bスキャン画像を構成するAライン数分の処理が終了していないとき(S15:Y)、DAQ160は、S11に戻って、次のAラインについて、同様の処理を繰り返す。
【0107】
1断層像を構成する全画素の振幅成分が求められると、画像形成部220は、たとえば、FFTにより得られた振幅成分Amに対し20×log
10(Am+1)により対数変換を施す。その後、画像形成部220は、1断層像内で基準ノイズレベルを決め、この基準ノイズレベルを基準に、上記のように対数変換された振幅成分に応じて各画素に対し所定の輝度値範囲内のいずれかの値を割り当てる。画像形成部220は、割り当てられた各画素の輝度値を用いて画像を形成する。
【0108】
[効果]
眼底撮影装置1は、実施形態に係るOCT装置が適用された眼底撮影装置の一例である。以下、実施形態に係るOCT装置の効果について説明する。
【0109】
OCT装置は、所定の波長掃引範囲を有する波長掃引光源(たとえば、光源121)を用いたSS−OCTにより収集データをAラインごとに収集する。OCT装置は、クロック生成部(たとえば、クロック生成部163)と、基準信号生成部(たとえば、トリガー信号生成光学系123を含む、光分岐器122から検出器126までの光学部材)と、検出部(たとえば、検出部161)と、取得部(たとえば、サンプリング部162またはDAQ160)と、画像形成部(たとえば、画像形成部220)とを含む。クロック生成部は、波長掃引光源と独立して動作する。基準信号生成部は、所定の波長掃引範囲内の所定の波長位置に対応する基準信号(たとえば、トリガー信号Atr)を生成する。検出部は、基準信号生成部により生成された基準信号を検出する。取得部は、検出部により検出された基準信号が配置された所定の波長位置を基準に、クロック生成部により生成されたクロックに基づいて収集データを順次にサンプリングすることにより収集データを取得する。画像形成部は、取得部により取得された収集データに基づいて当該Aラインの画像を形成する。
【0110】
このような構成によれば、波長掃引光源による所定の波長掃引範囲内に基準信号が配置された所定の波長位置を基準に、波長掃引光源と独立して動作するクロック生成部により生成されたクロックに基づいて収集データを取得するようにしたので、ジッターの影響を低減することが可能になる。また、クロック生成部により生成されたクロックの周波数(クロックの間隔)により深度方向の画像化範囲及び深度方向の分解能が決定されるため、この周波数を測定部位に応じて変更することにより深度方向の画像化範囲及び深度方向の分解能の変更が可能となり、測定の自由度を向上させることができる。
【0111】
また、クロック生成部は、時間軸上において等間隔で変化するクロックを生成し、画像形成部は、収集データに対しリスケーリング処理を施し、リスケーリング処理が施された収集データに基づいて画像を形成してもよい。
【0112】
このような構成によれば、時間軸上において波数が直線的に変化する波数クロックにより収集データをサンプリングする場合と同様に画像を形成することができ、既存の処理を流用することができる。
【0113】
また、クロックの間隔が、基準信号の半値幅以下であってもよい。
【0114】
このような構成によれば、検出部161は、基準信号を精度良くサンプリングすることが可能となり、基準信号が配置された波長位置を基準に収集データを適正に収集することができる。
【0115】
また、基準信号生成部は、波長掃引光源からの光に基づいて光学的に基準信号を生成する基準信号生成光学系(たとえば、トリガー信号生成光学系123)を含んでもよい。
【0116】
このような構成によれば、基準信号を光学的に生成するようにしたので、ジッターの影響を受けない基準信号に基づいて収集データをサンプリングすることができ、簡素な構成でジッターの影響を低減することが可能になる。
【0117】
また、基準信号生成部ば、波長掃引光源による掃引終了波長より掃引開始波長に近い所定の掃引波長範囲内における基準波長位置に基準信号を付与してもよい。
【0118】
たとえば、基準波長位置が画像化範囲の外部である場合には、基準信号を当該Aラインの波長掃引のトリガー信号として用いることができ、バッファリングして収集データを並び替えるなどの制御を行うことなく時系列で処理することが可能になる。
【0119】
また、取得部は、検出部による基準信号の検出より後にクロック生成部から入力されたクロックからサンプリングを開始してもよい。
【0120】
このような構成によれば、画像化範囲の開始位置からサンプリングを開始することができ、画質に影響を与えることなく、ジッターの影響の低減及び測定の自由度の向上を図ることができる。
【0121】
また、この実施形態の構成をデータ処理方法に適用することが可能である。この場合、所定の波長掃引範囲を有する波長掃引光源を用いたスウェプトソースOCTによりAラインごとに収集された収集データを処理するデータ処理方法は、所定の波長掃引範囲内の所定の波長位置に配置された基準信号を検出し、検出された基準信号が配置された所定の波長位置を基準に、波長掃引光源と独立して動作するクロック生成手段からのクロックに基づいて収集データを順次にサンプリングし、サンプリングされた収集データに基づいて当該Aラインの画像を形成する。また、クロックは、時間軸上において等間隔で変化し、サンプリングされた収集データに対しリスケーリング処理を施し、リスケーリング処理が施された収集データに基づいて画像を形成してもよい。また、クロックの間隔が、基準信号の半値幅以下であってもよい。また、基準信号は、波長掃引光源からの光に基づいて光学的に生成されてもよい。また、基準信号は、波長掃引光源による掃引終了波長より掃引開始波長に近い基準波長位置に付与されていてもよい。また、基準信号の検出より後にクロック生成手段から入力されたクロックからサンプリングを開始してもよい。
【0122】
〔変形例〕
上記の実施形態では、波長掃引光源の掃引終了波長より掃引開始波長に近い波長位置にトリガー信号Atrを付与し、トリガー信号Atrが付与された波長位置を基準に内部クロックICLKにより検出信号をサンプリングすることにより収集データを取得した場合について説明したが、実施形態に係る眼底撮影装置の構成は上記の実施形態の構成に限定されるものではない。
【0123】
たとえば、検出信号を記憶部212などに順次にバッファリングした後、バッファリングされた検出信号を、トリガー信号Atrが配置された波長位置を基準に内部クロックICLKにより抽出してもよい。また、たとえば、バッファリングされた検出信号を、トリガー信号Atrを基準に位相が補正された内部クロックICLKにより抽出してもよい。
【0124】
この変形例によれば、収集データを時系列に処理することなく収集データの取得が可能となり、波長掃引光源による波長掃引範囲内の任意の波長位置にトリガー信号Atrを配置することができる。
【0125】
(その他の変形例)
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
【0126】
上記の実施形態または変形例では、FBGを透過した光によりトリガー信号Atrを所望の波長位置に配置する場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、光分岐器122により光源121からの光L0を分岐することにより得られた分岐光を、サーキュレータを介してFBGに導き、FBGにより反射された光によりトリガー信号Atrを所望の波長位置に配置するようにしてもよい。
【0127】
上記の実施形態または変形例においては、光路長変更部41の位置を変更することにより、測定光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、この光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光の光路に反射ミラー(参照ミラー)を配置し、この参照ミラーを参照光の進行方向に移動させて参照光の光路長を変更することによって、当該光路長差を変更することが可能である。また、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて測定光LSの光路長を変更することにより当該光路長差を変更するようにしてもよい。また、特に被測定物体が生体部位でない場合などには、被測定物体を深度方向(z方向)に移動させることにより光路長差を変更することも可能である。
【0128】
上記の実施形態またはその変形例を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。
【0129】
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。