(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモコン信号による番組接触状況の測定は、テレビ受像機や専用チューナー(以下STBと称する)等の視聴装置の操作をリモコンで行うことを大前提としている。しかし近年のテレビ受像機やSTB等の視聴装置はユーザが電子番組表(Electronic Program Guide)(以下EPGと称する)から番組を選択し視聴予約できる機能を有しており、予約時刻になるとテレビ受像機やSTB等の視聴装置がみずからの受信チャンネルを予約したもの(予約番組)へ自動で切替えることができる。
この場合にはリモコン装置からリモコン信号は送出されないので、リモコン信号を利用した接触状況調査では、実際に視聴した番組が正しく測定されないばかりか、見てもいない番組を見たと記録してしまうという誤判定となる場合が想定された。また、もしも調査会社が調査対象者に対して視聴予約行為を禁止するとしたら、予約したなら見たかも知れない番組が、見られなくなる可能性も考えられ、その場合、正確性を求められる調査にバイアスを与えることになりかねない。
視聴予約による誤判定を避けるために、特許文献2にあるように調査世帯に置く調査装置の中に受信チューナーを持たせて、放送中の各放送局の音声を巡回しながら、FFT分析などでテレビ受像機からサンプリングした音声との類似度を測定する方法も提唱されているが、調査装置の製造コストが増加する。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、リモコンによるというローコスト性を生かしたままで、特に視聴予約の際の正確な接触状況を測定するための調査用リモコン装置及びシステム及び方法及びプログラム、接触状況調査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の解決手段によると、
調査用リモコン装置であって、
視聴装置による視聴・接触についての時刻及び局IDを含む接触データを保存する接触データメモリーと、
視聴予約についての予約時刻及び局IDを含む視聴予約データを保存する視聴予約データメモリーと、
表示入力部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、前記視聴予約データメモリーを参照し、現在時刻が視聴予約データの予約時刻になったか否かの第1の監視を行い、
現在時刻が前記視聴予約データの予約時刻になった場合は、前記制御部は、前記視聴予約データの局IDに対応するチャンネル番号を送信し、現在時刻及び前記視聴予約データの局IDを含む接触データを、前記接触データメモリーに保存し、
前記視聴予約データメモリーに視聴予約データがない場合又は現在時刻が前記視聴予約データの予約時刻になっていない場合は、前記制御部は、前記表示入力部による操作を検出する第2の監視を行い、
前記表示入力部により、電子番組表の表示画面への切替操作が入力され且つ決定操作が入力された場合、前記制御部は、前記表示入力部により前記決定操作により選択された番組の放送時刻が現在時刻より前であると判断すると、前記選択された番組の放送時刻及び局IDを含む視聴予約データを前記視聴予約データメモリーに保存し、一方、前記制御部は、前記決定操作により選択された番組の放送時刻が現在時刻以後であると判断すると、前記選択された番組の局IDに対応するチャンネル番号を送信し、現在時刻及び局IDを含む接触データを前記接触データメモリーに保存する
ことを特徴とする調査用リモコン装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の解決手段によると、
調査用リモコンシステムであって、
上述のような調査用リモコン装置と、
前記調査用リモコン装置から送信された信号を受信し、前記信号を前記視聴装置を操作するリモコン信号に変換し、前記リモコン信号を前記視聴装置へ向けて送信するためのアダプタ
を備えたことを特徴とする調査用リモコンシステムが提供される。
【0008】
本発明の第3の解決手段によると、
接触状況調査システムであって、
上述のような調査用リモコン装置、又は、上述のような調査用リモコンシステムと、
前記視聴装置と、
前記調査用リモコン装置から、オンラインもしくはオフラインにて集めた接触データを集計し、接触率データ又は他の接触情報を計算し、契約者/顧客装置に対して接触データ又は接触率データ又は他の接触情報を提供するための集計・配信センターと
を備えたことを特徴とする接触状況調査システムが提供される。
【0009】
本発明の第4の解決手段によると、
調査用リモコン方法であって、
制御部が、視聴予約についての予約時刻及び局IDを含む視聴予約データを保存する視聴予約データメモリーを参照し、現在時刻が視聴予約データの予約時刻になったか否かの第1の監視を行い、
現在時刻が前記視聴予約データの予約時刻になった場合は、前記制御部が、前記視聴予約データの局IDに対応するチャンネル番号を送信し、現在時刻及び前記視聴予約データの局IDを含む接触データを、視聴装置による視聴・接触についての時刻及び局IDを含む接触データを保存する接触データメモリーに保存し、
前記視聴予約データメモリーに視聴予約データがない場合又は現在時刻が前記視聴予約データの予約時刻になっていない場合は、前記制御部が、前記表示入力部による操作を検出する第2の監視を行い、
前記表示入力部により、電子番組表の表示画面への切替操作が入力され且つ決定操作が入力された場合、前記制御部が、前記表示入力部により前記決定操作により選択された番組の放送時刻が現在時刻より前であると判断すると、前記選択された番組の放送時刻及び局IDを含む視聴予約データを前記視聴予約データメモリーに保存し、一方、前記制御部が、前記決定操作により選択された番組の放送時刻が現在時刻以後であると判断すると、前記選択された番組の局IDに対応するチャンネル番号を送信し、現在時刻及び局IDを含む接触データを前記接触データメモリーに保存する
ことを特徴とする調査用リモコン方法が提供される。
【0010】
本発明の第5の解決手段によると、
調査用リモコンプログラムであって、
制御部が、視聴予約についての予約時刻及び局IDを含む視聴予約データを保存する視聴予約データメモリーを参照し、現在時刻が視聴予約データの予約時刻になったか否かの第1の監視を行う手順と、
現在時刻が前記視聴予約データの予約時刻になった場合は、前記制御部が、前記視聴予約データの局IDに対応するチャンネル番号を送信し、現在時刻及び前記視聴予約データの局IDを含む接触データを、視聴装置による視聴・接触についての時刻及び局IDを含む接触データを保存する接触データメモリーに保存する手順と、
前記視聴予約データメモリーに視聴予約データがない場合又は現在時刻が前記視聴予約データの予約時刻になっていない場合は、前記制御部が、前記表示入力部による操作を検出する第2の監視を行う手順と、
前記表示入力部により、電子番組表の表示画面への切替操作が入力され且つ決定操作が入力された場合、前記制御部が、前記表示入力部により前記決定操作により選択された番組の放送時刻が現在時刻より前であると判断すると、前記選択された番組の放送時刻及び局IDを含む視聴予約データを前記視聴予約データメモリーに保存し、一方、前記制御部が、前記決定操作により選択された番組の放送時刻が現在時刻以後であると判断すると、前記選択された番組の局IDに対応するチャンネル番号を送信し、現在時刻及び局IDを含む接触データを前記接触データメモリーに保存する手順と
をコンピュータに実行させるための調査用リモコンプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、リモコンによるというローコスト性を生かしたままで、特に視聴予約の際の正確な接触状況を測定するための調査用リモコン装置及びシステム及び方法及びプログラム、接触状況調査システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第一の実施の形態
1.接触状況調査システム
図1に、接触状況調査システムの構成図の例を示す。
本接触状況調査システムは、調査対象世帯(調査用リモコンシステム)1、集計・配信センター4、契約社/顧客装置5、放送局群6を備える。調査対象世帯1は、調査用リモコン3(調査用リモコン装置)、テレビ受像機2を有する。集計・配信センター4は、受信部41、番組情報部42、通信部43、集計・配信部44を有する。調査対象世帯1と集計・配信センター4とは、ブロードバンド回線等の適宜の有線又は無線ネットワークにより接続される。
調査用リモコン3は、調査対象世帯1のテレビ受像機2に使用される近赤外線、赤外線、無線信号等のリモコン信号による制御コードを発信するものである。接触状況調査システムでは、例えば、調査対象世帯1のテレビ受像機2に対応する液晶画面等の入出力画面の付いた調査用リモコン3を配り、調査協力者にこれを使用してもらう。調査用リモコン3としては、専用の装置の他に、スマートフォンやタブレット等の汎用の無線端末にインストールされたアプリケーション・ソフトウェアによりリモコン機能を実現するものを用いてもよい。テレビ受像機2は、調査用リモコン3からの制御コードを含むリモコン信号を傍受・受信する。なお、
図1におけるテレビ受像機2としては、STBとテレビ受像機の組合せた装置や、STBと映像・音声モニターを組合せた装置、パソコンとテレビを組み合わせた装置(パソコンテレビ等)、パソコン、スマートフォン、タブレット等の適宜の視聴装置も含む。なお、以下では、リモコン信号として、一例として赤外線又は近赤外線等を用いる例について説明するが、これに限らず適宜の信号を用いることができる。
【0014】
集計・配信センター4では集計・配信部44は、各調査対象世帯1から届いた接触データを合算集計し、例えば、全世帯数又は予め定めた特定の個人若しくは世帯若しくはグループ若しくは地域等を分母とする接触率を求めて、契約社/顧客装置5に印刷物や電子データをもって提供する。
また、集計・配信センター4は、調査に協力している世帯員の性・年齢・職業・年収などのプロフィール情報を、調査開始前等にアンケート調査により集計・配信部44にあるデータベースに予め保存されている構成とすることができる。視聴コードを用いたプロフィール情報の集計を実施する場合、集計・配信センター4は、このプロフィール情報を参照して、契約社/顧客装置5の要望により、例えば30歳代の男性というような集計区分単位での接触率を計算し、契約社/顧客装置5に提供する。もし契約社/顧客装置5がプロフィール単位の集計を希望しない場合は、視聴者コードのための申告ボタンを表示入力部35に表示しないように設定すれば良く、調査協力者の負担軽減を図ることができる。この場合には接触データに記録される視聴者コードは常に予め定めた値(例えば、0)となる。
【0015】
さらに集計・配信センター4のもうひとつの役割について説明する。
集計・配信センター4の受信部41は受信チューナー群であり、少なくとも、接触率を算出しようとする放送局の数だけ設置されていて、放送局ごとのトランスポートストリームを出力する。番組情報部42は、トランスポートストリームのPSI/SI(Program Specific Information / Service Information)等の情報から電子番組表EPGに利用される各番組の放送時刻およびタイトル(番組名)を抽出した番組情報データを生成し、適宜のメモリーに一時保存する。そして、番組情報データは、集計・配信センター4の通信部43及びネットワークを介して調査対象世帯1に送られ、調査用リモコン3に保存される。
【0016】
2.調査用リモコン装置
図2に、調査用リモコン3の概略ブロック図を示す。調査用リモコン3は、受信可能局DB部30、番組情報DB部31、制御部32、蓄積部33、リモコン送信部34、表示入力部35、通信部36を備え、各部はバスで接続されている。
【0017】
番組情報DB部31は、集計・配信センター4又は、番組情報データを提供する他の装置から受信した番組情報データを記憶する。
図6に、番組情報データの一例を示す。
番組情報データは、局名、局ID、放送時刻、番組名・タイトル等を含む。
調査対象世帯1にある調査用リモコン3は、通信部36を介して番組情報データを受信し、番組情報DB31に保存する。番組情報データを送信または受信するタイミングは、例えば、1日に1回又は所定回数、予め定めた時刻・時間間隔毎等適宜のタイミングに予め定めることができる。なお、番組情報データは、集計・配信センター4から能動的・自動的に送っても、調査用リモコン3より能動的・自動的に取得してもよい。
【0018】
リモコン送信部34は、テレビ受像機2のメーカ各社のリモコン信号のデータフォーマットが記憶されているメモリーと、赤外線又は近赤外線等の発光ダイオードおよびそれを駆動する電子回路を備え、調査開始時又は装置設定時等にその家庭のテレビ受像機2の仕様に合わせるよう設定しておく。そして、リモコン送信部34は、ユーザの操作に応じてリモコン信号をテレビ受像機2へ送信する。
【0019】
表示入力部35は、液晶表示器や電子ペーパーなどの電子的描画(出力)・入力が可能な表示素子を備え、その表面にはタッチ式スイッチがあり、ソフトウエアで表示されたソフトボタンを直接指で入力できる。
【0020】
図3に、表示入力部12のリモコンボタン画面(RC画面)を表示した調査用リモコンの説明図を示す。
図3ではTVとSTBの電源ボタン、音量ボタン、EPG/RCボタン(EPG画面とRC(リモコンボタン)画面との画面切替ボタン)をハードボタンとしたが、いずれかひとつ又は複数、又は、すべてをソフトボタンとして液晶画面で描画(出力)・入力してもよい。
表示入力部35は、視聴者コードを特定するためのソフトボタン等の視聴者申告画面を備えることができる。その場合には、表示入力部35の視聴者申告画面から視聴者の識別情報(視聴者コードに対応)を入力させる。制御部32は、この入力に従い視聴者コードを接触データに含めて蓄積部33の接触データメモリー及び視聴予約データメモリーに記憶することができる。視聴者コードについて、この例は母と弟が視聴を申告しているケースである。顔イラストになっているボタンが視聴中を表している。
【0021】
また、
図7に、表示入力部12にテレビ受像機のEPG画面を表示した調査用リモコンの説明図の一例を示す。
図7のEPG画面は、
図3のRC画面のリモコンチャンネルを表示した部分が、EPG画面に切り替えられたものであり、他は
図3と同様である。
【0022】
通信部36は、蓄積部33の接触データメモリーに蓄積された接触データを、集計・配信センター4の通信部43へ送る。また、通信部36は、集計・配信センター4から番組情報データを受信する。この間の通信路・ネットワークは有線・無線を問わない。
【0023】
制御部32は、CPU、プログラムメモリーの他にも、パラメータメモリー(例えば、受像機番号、世帯番号等を記憶)、ワークメモリー(例えば、上矢印、下矢印、左矢印、右矢印の受信回数計測値等を記憶)、時計回路等を備え、調査用装置3の動作を制御している。パラメータメモリー、ワークメモリー、時計回路のうちいずれかひとつ又は複数を別ブロックとして制御部32の外部に配置するようにしてもよい。制御部32は、後述のフローチャートの処理等の各種処理を実行する。また、制御部32は、受信可能局DB部30を参照して、チャンネル番号と局IDとを変換する。
制御部32は、集計・配信センター4に対して、例えば予め定められた時間又は時刻又はタイミング等により、必要な放送局又は全ての放送局に関する番組情報データを要求する。番組情報データは、集計・配信センター4の番組情報部42から、通信部43及び、調査対象世帯1にある調査用装置3の通信部36を介して、調査用装置3に送られ、番組情報DB部31に保存される。ユーザが、調査用リモコン3により電子番組表EPGで視聴予約を行ったとき等には、制御部32は、この番組情報DB部31を参照し、予約時刻と予約放送局の局IDを求めることができる。
【0024】
蓄積部33は、接続データを記憶する接続データメモリー、及び、視聴予約データを記憶する視聴予約データメモリーを含む。
蓄積部33の接触データメモリーは、チャネル切替え操作時、テレビ受像機の電源のON/OFF操作時、視聴者の申告操作が行なわれたとき等に、その操作の時刻と局IDおよび視聴者コードを含む接触データを一時保存する。
図4に、接触データの説明図の例を示す。接触データは、時刻、局ID、視聴者コードを含む。なお、視聴者コードは、省略してもよい。
【0025】
また、蓄積部33の視聴予約データメモリーは、視聴予約データを記憶する。
図10に、視聴予約データの説明図の例を示す。視聴予約データは、視聴予約についての時刻(例、予約開始時刻)、局ID(予約局ID)、視聴者コードを含む。なお、視聴者コードは、省略してもよい。また、視聴予約データは複数記憶することもできる。
【0026】
以下、各データ項目について説明する。
「局ID」とは、全国の放送局にユニークに割り振った放送局の識別情報(放送局番号)である。
「チャネル番号」は、調査しようとする地域によって放送局が異なる場合が想定されるため、調査対象世帯1ごとにチャネル番号と局IDの対応関係を示す受信可能リストを、受信可能局DB部30にあらかじめインストールしておく。
図5に、受信可能局リストの説明図を示す。受信可能局DB部30は、受信可能局リストを保存する。
図5の例では、ユーザが、例えばチャンネル「3」番を押下すると、制御部32は、受信可能局リストを参照して、これを局ID=0046に変換する。ただし局ID=0000はテレビの電源OFFを意味する。なお、この受信可能局DB部31を集計・配信センター4側におき、集計・配信センター4が、各調査対象世帯ごとにチャンネル番号を局IDに変換しても良い。
局IDは、このようにユニークな識別情報なので、例えば、リモコンにより操作されるとチャンネル番号と実際の放送局との対応が設定変更されたり、地域毎に異なる場合等でも、制御部32は、受信可能局DB30を参照することにより、チャンネル番号に対応した番組を一意に特定することができる。
【0027】
「視聴者コード」とは、誰がテレビ受像機2等の視聴装置を視聴していたかを示す識別情報で、調査協力者に、例えば視聴開始・終了の都度や視聴予約時等にログイン・ログオフを表示入力部35のボタンで自己申告させる。
図3及び
図7の表示画面の例では、4人家族で初期状態では父・母・姉・弟というボタンが表示されていたが、母と弟が視聴を申告したことで、母と弟の文字が顔イラストボタンに変化している。視聴者コードは、この例では、世帯員それぞれに、父=1、母=2、姉=4、弟=8のような重み値を与え、その合計値で表現する。たとえば父単独の場合は1、父と母の二人の場合は3(=1+2)、姉と弟の場合は12(=4+8)となる。なお、視聴者を特定しない調査の場合や視聴者コードが入力されない場合等では、
図4で示すように視聴者コードは0である。そして、視聴者コードを用いることにより、顧客からの要望により誰がその番組と接触していたかを分析したい場合のオプション調査として実施することができる。
【0028】
ここで、
図4に示した接触データの具体例について説明する。この例では、まず2014年12月14日の19時30分45秒にテレビをONにし局ID=0024の番組が映し出され、19時30分50秒に弟が視聴を申告した。20時00分01秒に局ID=0001の番組に切替えて視聴しているところへ20時20分20秒より母が加わり、20時50分14秒まで二人で視聴しテレビをOFFにした。次に23時34分27秒にテレビがONになり局ID=0001が映し出され、23時35分00秒に父が視聴を申告したのち、23時59分53秒にテレビをOFFしたことが記録されている。
【0029】
制御部32は、蓄積部33に一時保存された接触データに世帯番号と受像機番号をヘッダーとして付加し、通信部36を介して集計・配信センター4へ送る。制御部32が接触データを送信するタイミングは、例えば、予め定めた時刻・曜日・日付に予め定めた回数、予め定めた時間間隔、視聴開始・終了・視聴者コード入力・チャンネル切換等のアクションを入力したとき等適宜のタイミングを予め定めることができる。この間の通信路は有線・無線を問わない。世帯番号とは調査対象世帯それぞれを識別するためのものであり、また受像機番号はその世帯が複数のテレビを所有している場合の識別番号で、調査開始時にパラメータとして制御部32のメモリーや蓄積部33等にインストールしておくことができる。なお、集計・配信センター4が、調査対象世帯1に対して、適宜のタイミングで接触データを要求し、制御部32が接触データを送信するようにしてもよい。
【0030】
なお、受信可能局リスト、番組情報データ、接触データ、複数予約データ等の各データは、上述に限らず、制御部32や適宜のメモリー等に記憶してもよい。
【0031】
3.動作
次に、フローチャートを用いて視聴予約の動作を説明する。
予約方式には主に次の方式がある。第1の方式のテレビ受像機では、テレビ受像機の電源がONの状態で、予約時刻になると、予約されたチャンネルに切り替わる。また、第2の方式のテレビ受像機では、テレビ受像機の電源がOFFの状態でも、予約時刻になると自動的にテレビ受像機がONに切り替わり、さらに、予約されたチャンネルに切り替わる。以下のフローチャートは、主に、テレビ受像機の電源のON/OFFを検出することにより、上述の第1の方式のテレビ受像機でも第2の方式のテレビ受像機でも接触データの取得できるように対応可能としたものである。
【0032】
図8−1及び
図8−2に、メインフローチャートを示す。
制御部32は、図示の処理を繰り返し実行する。初期状態では、表示入力部35の画面には、例えば何も表示されていない状態又は予め定められたデフォルト画面が表示されている状態である。ステップ1では、制御部32は、ユーザがテレビ電源をONにする操作を待ち受けており、もし調査用リモコン3の表示入力部35から「電源」ボタンONの制御コードが受信されたなら、ステップ1aへ進む。制御部32は、表示入力部35に視聴コードの入力を促すメッセージを表示し、表示入力部35にRC画面(
図3参照)を表示する(S1a)。表示入力部35から視聴者コードが入力されたらステップ2に進み、一方、入力されなければ、ステップ1に戻る(S1b)。ステップ2では、制御部32は、リモコン送信部34より電源信号(ON)を送信し、さらにステップ3では、蓄積部33の接触データメモリーに保存されている接触データのうち最後に記憶された接触データの局IDを取得し、これに現在時刻を附し、新たな接触データとして蓄積部33の接触データメモリーに保存する。これは電源ON時にはチャンネルボタンを操作しないためである。
なお、ステップ1a及び1b、ステップ2の順番は逆としてもよい。また視聴者コードを用いない場合は、ステップS1bは省略することができる。
【0033】
ステップ4(第1の監視)では、制御部32は、蓄積部33内の視聴予約データメモリーに視聴予約データ(視聴予約についての局ID、予約時刻を含む。さらに、視聴者コードを含むようにしてもよい。)が保存されていれば、内部の時計回路の現在時刻が視聴予約データの予約時刻と一致するかを検査する。なお、複数の視聴予約データが保存されていれば、制御部32は、全ての視聴予約データについて検出するようにすればよい。ステップ4で、視聴予約データがない場合又はまだ予約時刻になっていない場合は、制御部32は、ステップ5に進み、そしてこのあとステップ5・6・7・8・9によるボタン操作の監視ループ(第2の監視)に入る。一方、視聴予約データが有り、且つ、現在時刻が予約時刻と同じであれば、ステップ19で、制御部32は、受信可能局DB30を参照し、視聴予約データの予約局IDをチャンネル番号に変換し、予約チャンネルのチャンネル番号をテレビ受像機2へ送信する。そしてステップ20で、制御部32は、視聴予約データの局IDと視聴者コードに現在時刻を附し、接触データとして蓄積部33の接触データメモリーに保存し、視聴予約データを消去し、ステップ5に進む。そして、ステップ5では、このあとステップ5・6・7・8・9によるボタン操作の監視ループ(第2の監視)に入る。
【0034】
制御部32は、ステップ1でテレビを電源ボタン「ON」の入力を待ち受けている状態では、ステップ17(第1の監視)において上述と同様に視聴予約データの予約時刻かを監視し、もし予約時刻であれば、制御部32は、ステップ18で強制的にテレビの電源をONにするために電源信号を送信してから、上述したようにステップ19、ステップ20を実行する。
【0035】
監視ループでは、制御部32は以下の処理を実行する。
電源ボタンOFFが押下されたら(S5)、制御部32は、ステップ10で電源信号(OFF)をテレビ受像機2に送信し、ステップ11で局ID=0000と視聴者コードに時刻を含む接触データを蓄積部33の接触データメモリーに保存したあと終了する。なお局ID=0000はテレビ受像機をOFFにしたことを示すものである。
【0036】
チャンネルボタンが押下されたら(S6)、制御部32はステップ6aへと進む。前述した接触データの説明において、19時30分45秒にテレビの電源をONにしたあと、視聴者の入力が19時30分50秒に行なわれた例を挙げたが、電源ON時では視聴者の入力が遅れる傾向があるだけなく、入力そのものを忘れてしまうことがありうる。この入力忘れを防止するために、ステップ6aで、制御部32は、視聴者コードの入力を指示する旨を表示入力部35に表示し、で視聴者コードの入力が済んでいるかを検査して、もし済んでいればステップ12へ進み、まだであればステップ7へ進む。
ステップ12で、制御部32は、押下されたチャンネル番号をテレビ受像機2に送信し、ステップ13で、制御部32は、受信可能局DB30を参照してチャンネル番号を局IDに変換し、その局ID、視聴者コード、時刻を含む接触データを蓄積部33の接触データメモリーに保存したあと、ステップ4へ戻る。
EPGボタンが押下されたら(S7)、制御部32は、後述するEPG処理ルーチンを実行したあと、ステップ4へ戻る。
視聴者ボタンが押下されたら(S8)、制御部32は、ステップ15で局ID、視聴者コード、現在時刻を含む接触データを蓄積部33の接触データメモリーに保存しステップ4へ戻る。
音量ボタンが押下されたら(S9)、制御部32は、増加または減少に応じた音量信号をテレビ受像機2に送信しステップ3へ戻る。制御部32は、もしステップ9で音量ボタンを押下しなかった場合でもステップ3へ戻る。
【0037】
なお、視聴者コードを用いなくてもよく、その場合ステップ1b、6aが省略され、接触データ及び視聴予約データから視聴者コードが除かれる。また、制御部32は、視聴予約データメモリーを参照し、視聴予約データに含まれる視聴時刻が、現在時刻から予め定められた一定時間経過した場合、その視聴予約データを破棄するようにしてもよい。
【0038】
図9に、EPG選局処理(S14)のフローチャートを示す。
EPG選局処理(S14)は、EPG(電子番組表)/RC(リモコンボタン)の画面切替ボタンの制御コードを受信したときに呼出される処理である。以下、図に従い説明する。
まず、ステップ1401において、制御部32は、番組情報DB部31にある、
図6で例示するような番組情報データを参照し、表示入力部35にEPG(電子番組表)、決定ボタン等を描画・出力する。上述のように、
図7に、EPG画面の例の説明図を示した。図示のように、EPG画面では、例えば、制御部32は、表示入力部35に、現在視聴中の番組枠を目立つようにハイライトすると同時に、画面上部にその局名と番組名を表示する。
【0039】
そしてこのあと、制御部32は、ステップ1402・1403・1404によるボタン操作の監視ループに入る。
EPG/RCボタン(EPG画面からRC画面への切替ボタン)が押下されたら(S1402)、制御部32は、ステップ1410で元のリモコンボタン画面(RC画面)を描画し、この処理を終了する。
【0040】
決定ボタンが押されたなら(S1403)、制御部32は、ステップ1405で現在時刻を参照し、ハイライトしている番組枠が始まっているかいないかを検査し、もしまだ始まっていなければステップ1406でその番組枠の開始時刻と局IDと視聴コードを含む視聴予約データを、視聴予約するために制御部32の視聴予約データメモリーに一時保存し、ステップ1410へ進む。
一方、ステップ1405で、その番組枠が現在放送進行中であった場合には、制御部32は、ステップ1407で受信可能局DB30を参照して局IDをチャンネル番号に変換し、チャンネル番号をテレビ受像機2に送信し、ステップ1408で局IDと視聴者コードと時刻を含む接触データを蓄積部33の接触データメモリーに保存したあと、ステップ1410へ進む。
【0041】
ステップ1404でいずれかの番組枠が押下されたら、制御部32は、ステップ1409で、表示入力部35に、押下された番組枠をハイライト表示し、画面上部等の予め定められた所定エリアに局名と番組名等を表示し、ステップ1402に戻る。一方、ステップ1404でいずれかの番組枠が押下されなければステップ1402に戻る。
【0042】
以上の本発明の実施の形態によれば、調査用リモコン3は、ユーザがEPGからの視聴予約を行なってもテレビ受像機2へは視聴予約のためのリモコン信号を送信せずに(テレビ受像機2は視聴予約のための処理と実行しない)、調査用リモコン3側で予約時刻を監視して、予約時刻になったら予約視聴処理を実行するため、接触データの記録内容とテレビ受像機の視聴内容の実態に差異が発生せず、すなわち正確な接触率を顧客に提供することができる。
【0043】
4.番組情報データ取得の変形例
調査用リモコン3の番組情報DB31へ番組情報データを送り込んでおく理由は、ユーザがEPGを利用する都度、集計・配信センター4との通信料が課金されることや通信リソースが使用されること等を避ける為だが、例えば通信料が定額課金制又は十分な通信帯域を使用できる場合等では、番組情報DB部31を省略して、調査用リモコン3の製造コストを低減させてもよい。この場合ユーザがEPGを利用するたびに通信部36と集計・配信センター4の通信部43を介して、番組情報部42から番組情報データを取得し、後述するように表示入力部35にEPGを表示する。
【0044】
B.第二の実施の形
態
以下に、本発明における第二の実施の形態を図を用いて説明する。
図11に、補完アダプタを備えた調査対象世帯を用いた接触状況測定システムの構成図を示す。また
図12に、補完アダプタと汎用電子機器を備えた調査対象世帯の構成図を示す。
この調査対象世帯(調査用リモコンシステム)1’は、スマートフォン、タブレット、PC等の汎用電子機器(調査用リモコン装置)100、リモコン送信部及び通信部を備えた補完アダプタ101、テレビ受像機2を備える。
なお、第一の実施の形態では、接触状況調査システムと、それに用いる調査用リモコン3
等について
主に説明し
ており、また、第二の実施の形態のように、調査用リモコン3は専用に作られたハードウェアを指すだけではなく、操作画面を有し、かつ任意のソフトウェアをインストール可能なスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどの汎用電子機器100を調査用リモコン3として使用してもよい。
【0045】
補完アダプタ101は、汎用電子機器100と接続するための有線または無線のインターフェースを備えており、もし汎用電子機器100に
図2の構成の一部の機能が欠けていれば、これを充当することができる。例えば汎用電子機器100は、
図2に示した調査用リモコン3と比べて、リモコン送信部34を備えていない点で異なり、他の構成は、同様である。補完アダプタ101は、汎用電子機器100と通信する通信部51、テレビ受像機2に赤外線又は近赤外線等のリモコン信号を送信するリモコン送信部52を備える。リモコン送信部52は、前述のリモコン送信部34(
図2参照)の構成及び機能と同様である。
【0046】
汎用電子機器100に赤外線インターフェースが搭載されていれば、第一の実施の形態と同様の構成を用いることができるが、赤外線インターフェースが搭載されていない場合は、補完アダプタ101により、汎用電子機器100から有線または無線で送られてきた信号を、通信部51で受信し、リモコン送信部52で、テレビ受像器2を操作するための赤外線又は近赤外線等のリモコン信号に変換し、テレビ受像機2へ送信する。
汎用電子機器100は、ブロードバンド回線などへのインターフェースが搭載されている場合、汎用電子機器100は集計・配信センター4と通信することができる。もしも、汎用電子機器100に、このようなインターフェースが搭載されていない場合は、汎用電子機器100では、通信部51に、
図2の通信部36の機能を含めることで、汎用電子機器100と有線または無線で、集計・配信センター4と通信することができる。
【0047】
この第二の実施の形態によれば、調査対象世帯が所有する汎用電子機器100を調査用リモコン装置として用いて調査に利用できるため、よりローコストに正確な接触状況を測定することができる。
【0048】
C.第三の実施の形態(調査対象世帯における番組情報データの生成)
図13に、接触状況測定システムの他の実施の形態の構成図を示す。
本接触状況調査システムでは、調査対象世帯1’が、テレビ受像機2及び調査用リモコン3に加え、受信部41’、番組情報部42’、通信部43’を備える。
受信部41’、番組情報部42’、通信部43’は、
図1に示した集計・配信センター4に含まれる、受信部41、番組情報部42、通信部43と同様の構成及び機能を有する。
番組情報データの生成は集計・配信センター4内で行なうことに限定するものではなく、本実施の形態のように、調査対象世帯1の調査用リモコン3と通信が行なえる任意の場所であってもよい。たとえば群馬県内だけを放送エリアとするローカル放送局の電波は、東京にある集計・配信センター4では受信できない場合が想定されるため群馬県内の調査対象世帯1の中に受信部41、番組情報部42、通信部43を備えた装置を置いて番組情報データを生成するようにしてもよい。