特許第6469422号(P6469422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469422
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】結束バンド及びその連結体
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/10 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
   B65D63/10 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-234927(P2014-234927)
(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-131680(P2015-131680A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2013-273785(P2013-273785)
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592256140
【氏名又は名称】兼子電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】兼子 敏
【審査官】 田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−163548(JP,A)
【文献】 特開2000−226062(JP,A)
【文献】 特開2012−240751(JP,A)
【文献】 実開平06−037173(JP,U)
【文献】 実開平03−023051(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)寄りの部位に略長円形又は略長方形の係止孔(4)を有するとともに、前記可撓性短尺帯板(B)の他端部(B1)寄り部位に、前記可撓性短尺帯板(B)を長さ方向に二つ折りにしたとき、前記係止孔(4)と係止・係脱可能な係止突起(5)を有する被結束体(1)の結束バンド(3)において、
前記可撓性短尺帯板(B)における前記係止孔(4)と前記係止突起(5)との間に、前記可撓性短尺帯板(B)を二つ折りにしたとき、前記被結束体(1)に食い込む爪部(12)が立設され、かつ、その爪部(12)には、その立設を補強する補強リブ(15)が形成されることを特徴とする結束バンド。
【請求項2】
請求項1記載の結束バンドであって、
前記可撓性短尺帯板(B)の長さ方向のほぼ中間位置で他の部位よりも幅狭に形成される易折部(13)と、
前記可撓性短尺帯板(B)の幅方向の両側縁部(B3)が同帯板に対しほぼ垂直に折り曲げられることにより形成される前記爪部(12)と、
前記可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)の板面に、前記爪部(12)と同じ向きに立ち上げられる凸部(21)とを備え、
前記可撓性短尺帯板(B)が易折部(13)で長さ方向に二つ折りにされると、前記可撓性短尺帯板(B)の他端部(B1)の板面に前記凸部(21)の先端が当たることにより、前記可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)と他端部(B1)との各板面の間に前記凸部21の高さ分の隙間が保たれるように構成されたことを特徴とする結束バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に菓子やパン等の被包装体を入れた被結束体の結束バンド及びその結束バンドを多数個、横並びに連結してなる結束バンド連結体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から図4及び図5に示すように、前記被結束体としての包装袋1の収束部2を結束バンド3で結束する技術は、特開2013−163548号公報(特許文献1)で公知である。この公知技術における結束バンド3は、合成樹脂製の可撓性短尺帯板Bの一端部B1寄りに略長方形の係止孔4を有するとともに、同じく他端部B2寄りに前記係止孔4と係止・係脱可能な係合突起5を有している。
【0003】
この結束バンド3を使用して前記包装袋1を結束する場合、次に述べる結束ステップを採用する。
【0004】
(1)図6に示すように、多数個の前記結束バンド3を横並びに連結した結束バンド連結体6を準備する。(2)図7に示すように、その結束バンド連結体6を渦巻き状に巻回した結束バンド巻回物7を作る。(3)図8に示すように、前記結束バンド巻回物7を側面がY字形を有する結束装置8のリール9に装架する。
【0005】
(4)同じく図8において、一点鎖線Rに示すように、結束バンド巻回物7から繰り出された結束バンド連結体6を結束装置8の内部に潜らせて、結束バンド連結体6の最先端を前記リール9と対向する側にある結束機構Aに供給する。
【0006】
(5)前記結束機構Aを構成する特定の要素(図示なし)を使用して、前記リール9から前記結束機構Aに対して、図9に示す進行方向Yに供給されてきた結束バンド連結体6の最先端に位置する先端結束バンド31を、図10に示すように、前記進行方向Yと交叉する方向Zに変換をする。この方向変換は、前記先端結束バンド31とそれに後続する後続結束バンド32のそれぞれの接合部10間において、結束バンドを製造するとき合成樹脂製方形の可撓性シートに対して厚さ方向にハーフカットを施す過程でハーフカットされないで残った非ハーフカット部(図示なし)を起点として、他の側部3bを1/4回転させることにより行われる。
【0007】
(6)次いで、結束作業員が被結束体1を手に持ってその収束部2を、図8に示すように、結束機構Aの開口部11に押し付ける。すると、図11に示すように、結束機構Aに供給された先端結束バンド31は二つ折りにされるとともに、先端結束バンド31と後続結束バンド32との間に存在していた前記非ハーフカット部が破断して、先端結束バンド31は後続結束バンド32から分離する(図12参照)。さらに後続結束バンド32及びさらに後続する追従結束バンド3xが後退する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−163548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のステップを経て結束バンド3は、図4に示したように、被結束体(包装袋)1を確実に結束するという効果を発揮するのであるが、この結束バンド3及び結束バンド連結体6において、なお、次に点において改良する必要かあることが、その後、判明した。
【0010】
まず、第一に、図4に示すように、結束バンド3には複数個の爪部12が設けられており、結束バンド3が被結束体1を結束したとき、前記爪部12が被結束体1に部分的に食い込んで結束バンド3から被結束体1が相対的にずれる現象(相対的に変位する現象)及び両者が、矢印Wに示すように、相対的に回動する現象等を阻止してはいるが、これら現象の負荷が前記爪部12にかかると、前記爪部12が倒れ易い。特に結束バンド3が所定の厚みの合成樹脂製の可撓性短尺帯板Bをベース材として形成されている場合、前記爪部12は、前記厚みしか備えていないので、横幅方向Xに倒れやすい。
【0011】
第二に、前記結束機構A内において特定の要素により、前記先端結束バンド31が、後続結束バンド32に対して1/4回転するように、強制されているが、それをより確実にする必要がある。というのは、前記先端結束バンド31と後続結束バンド32との間に存在するそれらの接合部10は、同一合成樹脂からなる二つの連続する結束バンドの境界領域を厚さ方向にハーフカットして形成されているため、ハーフカットされないで残った部位(非ハーフカット部)は、その厚みによっては、前記先端結束バンド31と後続結束バンド32とを相対的に1/4回転するように屈曲変形させても、前記非ハーフカット部は屈曲変形前の形状を発現するために、前記非ハーフカット部を確実に屈曲させることができない。
【0012】
従って、本発明の第一の課題は、合成樹脂製の可撓性短尺帯板の一端部寄りの部位に略長円形又は略長方形の係止孔を有するとともに、前記可撓性短尺帯板の他端部寄り部位に、可撓性短尺帯板を二つ折にしたとき、前記係止孔と係止・係脱可能な係合突起を有する被結束体の結束バンドにおいて、前記係止孔と係合突起との間に設けた前記被結束体に先端が食い込む爪部の立設を確実にし、ひいては結束バンドの爪部に対して、前記被結束体を確実に捕捉させることにある。
【0013】
同じく第二の課題は、合成樹脂製方形の可撓性シートに対して、その厚さ方向にハーフカットを施して得られた可撓性短尺帯板からなる前記結束バンドを多数個、横長に連結して得られた結束バンド連結体において、その先端結束バンドの横幅方向をそれに後続する後続結束バンドの進行方向に対して確実に方向変換を可能にし、ひいては先端結束バンドに被結束体を結束するのに最適の結束姿勢を確実に維持させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための本発明の結束バンド及びその連結体は、以下の構成を採用することとした。なお、以下の構成において、カッコ書きの符号は、発明の理解を助けるために後述する実施形態の符号を付したものであり、本願発明の形態を限定するものではない。
前記第一の課題を解決するために、本発明の結束バンドは、合成樹脂製の可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)寄りの部位に略長円形又は略長方形の係止孔(4)を有するとともに、前記可撓性短尺帯板(B)の他端部(B1)寄り部位に、前記可撓性短尺帯板(B)を長さ方向に二つ折りにしたとき、前記係止孔(4)と係止・係脱可能な係止突起(5)を有する被結束体(1)の結束バンド(3)において、
前記可撓性短尺帯板(B)における前記係止孔(4)と前記係止突起(5)との間に、前記可撓性短尺帯板(B)を二つ折りにしたとき、前記被結束体(1)に食い込む爪部(12)が立設され、かつ、その爪部(12)には、その立設を補強する補強リブ(15)が形成される構成とした。
【0015】
このような構成によれば、結束バンドにより被結束体(包装袋)を結束する場合、爪部(12)に負荷がかかっても、補強リブ(15)により爪部(12)の変形を防止する。これにより、爪部(12)が倒れたり潰れたりすることなく、確実に被結束体(包装袋)の口を収束することができる。
【0016】
さらに、本発明の結束バンドは、前記の構成に加え、
前記可撓性短尺帯板(B)の長さ方向のほぼ中間位置で他の部位よりも幅狭に形成される易折部(13)と、
前記可撓性短尺帯板(B)の幅方向の両側縁部(B3)が同帯板に対しほぼ垂直に折り曲げられることにより形成される前記爪部(12)と、
前記可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)の板面に、前記爪部(12)と同じ向きに立ち上げられる凸部(21)とを備え、
前記可撓性短尺帯板(B)が易折部(13)で長さ方向に二つ折りにされると、前記可撓性短尺帯板(B)の他端部(B1)の板面に前記凸部(21)の先端が当たることにより、前記可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)と他端部(B1)との各板面の間に前記凸部21の高さ分の隙間が保たれる構成を採用した。
【0017】
本発明による結束バンドを使用する場合、被結束体の種類(薄手の包装袋や網袋など)によっては、可撓性短尺帯板(B)が二つ折りの状態になるときに、爪部(12)が内側に入りすぎて、互いに向き合う爪部(12)同士が干渉し合ったり、折り返された同帯板(B)の一端部に他端部の爪部(12)が当たって負荷を受けるといったことが起こりうる。特に、結束バンドの爪部(12)が可撓性短尺帯板(B)の幅方向の両側縁部(B3)を折り曲げて形成されるときには、上記のような問題が生じやすい。
【0018】
前記追加の構成によれば、可撓性短尺帯板(B)が易折部(13)で長さ方向に二つ折りにされると、可撓性短尺帯板(B)の板面に凸部(21)の先端が当たり、同帯板の一端部(B2)と他端部(B1)との各板面の間に凸部(21)の高さ分の隙間が保たれる。つまり、可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)と他端部(B1)とが互いに密着することなく、同帯板が二つ折りの状態になる。この結果、爪部(21)の可動範囲が制限されて内側に入りすぎることがなくなるため、爪部(12)同士の干渉や、同帯板の板面からの負荷を抑えることが可能になる。
さらには、このような追加の構成を採用すると、結束バンドが二つ折り状態のとき、可撓性短尺帯板(B)の一端部(B2)と他端部(B1)とが密着して重ならないため、これらの端部を簡単に掴んで拡げることが可能になる。これにより、一旦収束した被結束体(包装袋)の口を開放する際の作業性が良好になるといった新たな効果を得ることもできる。
【0019】
本発明の第二の課題を解決するために、合成樹脂製方形の可撓性シートに対して、その厚さ方向にハーフカットを施して得られた可撓性短尺帯板(B)からなるとともに、その一端部(B2)寄りの部位に略長円形又は略長方形の係止孔(4)を有し、同じく他端部(B1)寄り部位に、前記可撓性短尺帯板(B)を二つ折りにしたとき、前記係止孔(4)と係止・係脱可能な係止突起(5)を有する被結束体の結束バンド(3)を多数個、横長に、前記ハーフカットがなされないで残った非ハーフカット部(17)を介して、連結してなる結束バンド連結体(6)において、相隣接する任意の先端結束バンドに負荷をかけて、それとそれに後続する後続結束バンドとを、前記非ハーフカット部(17)を起点にして、相対的に屈曲・変形させた後、前記負荷を除去しても、前記非ハーフカット部(17)が前記両結束バンドを屈曲・変形する前の形状を発現しない程度の厚み(D)を有している結束バンド連結体にする。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明では、前記の手段を採用することにより、結束バンドの爪部は、前記被結束体を確実に捕捉する効果を発揮するとともに、その結束バンドからなる結束バンド連結体の先端結束バンドが結束装置の結束機構に供給された時、被結束体を結束するのに最適の結束姿勢をもたらすという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による結束バンドを示す平面図である。
図2】同実施形態による結束バンドの両側縁部を示す部分拡大斜視図である。
図3】同実施形態による結束バンド連結体を示す側面図である。
図4】従来技術による結束バンドの使用状態を示す斜視図である。
図5】従来技術による結束バンドを示す斜視図である。
図6】従来技術による結束バンド連結体を示す平面図である。
図7】従来技術による結束バンド連結体の巻回物を示す斜視図である。
図8】従来技術による結束バンドの結束装置を示す斜視図である。
図9】従来技術による結束バンド連結体を示す斜視図である。
図10】従来技術による結束バンド連結体の屈曲状態を示す斜視図である。
図11】従来技術による結束バンド連結体の使用方法を説明するもので、同連結体から結束バンドが分離する前の状態を示す正面図である。
図12】従来技術による結束バンド連結体の使用方法を説明するもので、同連結体から結束バンドが分離した後の状態を示す正面図である。
図13】本発明の実施形態による改良タイプの結束バンドを示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図14】同改良タイプの結束バンドの凸部を示す部分拡大図である。
図15】同改良タイプの結束バンドを二つ折りにした状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に図面に沿って本発明の実施形態を詳述する。本発明に係る結束バンドの基本的な構造及び形状は、図4及び図5に示した従来技術と同じである。すなわち、図1に示すように、本発明に係る結束バンド3は、合成樹脂製の可撓性短尺帯板Bから形成されており、その一端部B2寄りの部位には略長円形又は略長方形の係止孔4を有しており、同じく他端部B1寄り部位には、可撓性短尺帯板Bを二つ折りにしたとき、前記係止孔4と係止・係脱可能な係合突起5を有している。
可撓性短尺帯板Bの長さ方向のほぼ中間位置であって、短尺帯板B、言い換えれば、結束バンド3の両側縁部B3の中央には短尺帯板Bを二つ折可能な易折部13が他の部位より幅狭に形成されている。この易折部13が可撓性短尺帯板Bを二つ折りにするときの曲げ起点となる。
【0023】
さらに、前記係止孔4と易折部13との間及び易折部13と係合突起5との間における両側縁部B3は、図2に示すように、所定の高さを以って立ち上がる片持ちリブ14になって、結束バンド3そのものを補強している。そして、前記片持ちリブ14の所定箇所には、前記被結束体1に先端が食い込む山形側面を有する爪部12が、所定の厚さを以って、複数個、片持ちリブ14と一体的に立設・形成されている。
【0024】
ここで、片持ちリブ14および爪部12は、従来の結束バンドの爪部と同様に、短尺帯板Bの両側縁部B3が同帯板に対しほぼ垂直に折り曲げられることにより形成される。
しかしながら、本発明に係る結束バンド3においては、前記爪部12が存在する部位において片持ちリブ14の外側下部領域が、結束バンド3を成形した際に使用された上下金型の所定キャビティ(図示なし)により、前記結束バンド3の内方に押圧されて、前記爪部12の内側下部領域に爪部12の立設を補強する補強リブ15が形成されている点において従来技術と顕著に相異する(第一の特徴)。すなわち、本実施形態では、補強リブ15が爪部12の先端やや下側の位置から短尺帯板Bの板幅内向きに膨らんで、下方にゆくにつれて見かけ上の外周形状が大きくなるように形成されている。
【0025】
なお、結束バンド3は、原材料としての所定厚みの短尺帯板Bを前記上下金型の間に挟んで製造されるため、前記爪部12に補強リブ15を形成する過程において、補強リブ15を結束バンド3の内方に突出させるに必要な原材料の容積に相当する空間Vが片持ちリブ14の外側下部領域に形成されている。前記において見かけ上の外周形状とは、前記空間V及び補強リブ15の厚みを含む補強リブ15の水平断面積形状を意味する。こうすることで、補強リブ15の厚み(板厚)が短尺帯板Bとほぼ同一に保たれることになり、一枚の短尺帯板Bから補強リブ15を含む爪部12を効率よく簡単に形成することが可能になる。
【0026】
このように本実施形態によれば、爪部12の形状・構造に従来技術に係る爪部と異なる片持ちリブ14および補強リブ15を備えているので、結束バンド3が被結束体を結束した際に、爪部12に対して被結束体からの面状の外力F1、F2、F3、F4を受けても、その立設性を保持するという効果を発揮する。補強リブ15は、爪部12の付け根部分で短尺帯板Bの板幅内向きに膨らむように形成されるため、結束バンド3を二つ折りにする際に、作業の邪魔になりにくく、爪部12の横倒れを効果的に防止することができる。
【0027】
次に、結束バンド3の改良タイプの構成を図13及び図14に示した。なお、図13及び図14において、前述した結束バンド3と実質的に同一の構成部分は、同一の作用効果を有するため、同一の符号を付した。
改良タイプの結束バンド3は、図13(A)及び(B)に示すように、短尺帯板Bの一端部B2に円形の凸部21が設けられる。この凸部21は、円錐台形の形状で、短尺帯板Bの板面に爪部12と同じ向きに立ち上げられる。凸部21の板厚は、短尺帯板Bの板厚にほぼ等しい(図14)。これは、結束バンド3の成形時に金型で同帯板Bの板面を押し出すことにより凸部21を形成したことによる。
【0028】
改良タイプの結束バンド3によれば、短尺帯板Bを易折部13で長さ方向に二つ折りにすると(図15)、短尺帯板Bの板面に凸部21の先端が当たり、同帯板の一端部B2と他端部B1との各板面の間に凸部21の高さ分の隙間が保たれる。このとき、短尺帯板Bの一端部B2と他端部B1とが互いに密着することなく、同帯板が二つ折りの状態になる。
この結果、爪部21の可動範囲が制限されて折曲方向(図15で上下方向)の内側に入りすぎることがなくなるため、爪部12同士の干渉や、同帯板Bの板面からの負荷を抑えることが可能になり、被結束体(薄手の包装袋や網袋を含む)の収束をより確実にすることができる。
さらには、このような追加の構成を採用すると、結束バンド3が二つ折り状態のとき、短尺帯板Bの一端部B2と他端部B1とが密着して重ならないため、これらの端部を簡単に掴んで拡げることが可能になる。これにより、一旦収束した被結束体(包装袋)の口を開放する際の作業性が良好になるといった効果を得ることもできる。
【0029】
次に、本発明の第二の特徴に係る実施形態ついて説明する。本実施形態に係る結束バンド連結体6も、基本的には、図6図9及び図10に示した従来技術のそれと同様に、合成樹脂製方形の可撓性長尺シートを上下金型により多数個の横長の結束バンド形状を反復成形するとともに、各結束バンド3の接合部10なる部位をその厚さ方向にハーフカットすることにより得られる。
【0030】
しかしながら、本発明に係る結束バンド連結体6を製造する場合、図3に示すように、各結束バンド3の接合部10なる接合前駆部位16、を厚さ方向にハーフカットするとき、その深さ、別の言い方をすると、ハーフカットされないで残った非ハーフカット部17の厚みDを所定の厚みに制御するのである。制御する厚みDは、既に図10に示したように、結束バンド連結体16における先端結束バンド31に負荷をかけてそれと後続結束バンド32とを相対的に約1/4回転、確実に屈曲させた後、戦記負荷を除去しても、非ハーフカット部17が屈曲前の形状を発現しない程度の厚みとする。というのは、前記非ハーフカット部17も可撓性合成樹脂から形成されているので、その厚みが大きくなるにつれて、その部分に一旦かけた負荷を除去すると、変形前の形状を発現する性質があるからである。
【0031】
非ハーフカット部17が屈曲前の形状を発現しない程度は、好ましくは、図8に示した結束装置8の結束機構Aに検束バンド連結体6を供給した場合において、その先端結束バンド31が前記結束機構A内に設けてある進路変更手段に衝突したとき、後続結束バンド32の進行方向Yに対して、先端結束バンド31が負荷を受けて、非ハーフカット部17を起点として、約1/4回転、屈曲・変形し、逆に前記負荷をゼロにしたとき、前記非ハーフカット部17が変形前の記憶を発現しない程度とする。
【0032】
さらに好ましくは、結束バンド連結体6の一端部を一方の手に持って、他端部を上にして垂直にした場合おいて、他方の手により先端結束バンド31に負荷をかけて後続結束バンド32の垂直方向に対して約1/4回転、屈曲・変形させても、先端結束バンド31がその状態を維持する程度とする。さらに好ましくは、前記先端結束バンド31が垂直方向に維持されるバランスを崩して前記のように屈曲・変形する程度とする。
【0033】
このような物理特性を有する結束バンド連結体6を使用して、図8に示す結束装置8により被結束体1を人為的に結束する過程において、先端結束バンド31に対して被結束体1の収束部2を確実に押し付けることができ、ひいては、従来技術に係る結束作業を確実かつ効率的に高めることができる。
【0034】
本発明は、その根本的技術思想を踏襲し発明効果を著しく損なわない限度において、前記実施形態の一部分を変更して実施することができる。例えば、補強リブを形成するとき、片持ちリブ14の外側下部領域に空間Vを形成しない方法を採用することもできるし、非ハーフカット部17の断面形状も接合部10の平面形状と相異させることもできる。さらに、結束装置に対する被結束体の供給を機械的に実施することもできる。凸部21の形状は、円錐台形に代えて、ドーム形、キューブ形、多角錐形等を採用してもよい。凸部21の高さは、爪部12の機能を損なわない範囲で調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
先端結束バンドに対して被結束体を押してつけて結束する方法に広く利用できる。
【符号の説明】
【0036】
1:包装袋(被結束体)、
2:収束部、
3:結束バンド
31:先端結束バンド
32:後続結束バンド
3x:追従結束バンド
4:係止孔、
5:係合突起、
6:結束バンド連結体
7:結束バンド巻回物、
8:結束装置、
9:リール、
10:接合部.
11:開口部
12:爪部、
13:易折部
14:片持ちリブ、
15:補強リブ、
16:接合前駆部位、
17:非ハーフカット部
21:凸部
A:結束機構
B:短尺帯板
B1:一端部
B2:他端部
D:厚み
F1、F2、F3、F4:外力
R:鎖線
V:空間
X:横幅方向
Y:進行方向
Z:進行方向と交叉する方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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