(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作業台の高さ方向の中間部及び上端部に、パチンコ盤の下端面と上端部とをそれぞれ支持する搬送コンベア装置及び上端部支持装置とが設けられ、横方向に搬送される途中の作業位置において一時的に停止されたパチンコ盤と対峙して、当該パチンコ盤の遊技釘の調整を行うための遊技釘調整装置であって、
前記作業台の作業位置におけるパチンコ盤の背面側には、当該パチンコ盤を押圧板によって前方に向けて押圧させる押圧装置が配置され、
前記搬送コンベア装置及び上端部支持装置には、前記押圧装置により前方に押圧されたパチンコ盤の当該前方への移動を規制する移動規制部がそれぞれ設けられていることを特徴とするパチンコ盤の遊技釘調整装置。
前記押圧板は、ベニヤ又は表裏面が平面状の一般樹脂板から成るパチンコ盤を背面から押圧する一般押圧板に対して背面側のみが凹状に形成された凹状樹脂板から成るパチンコ盤を背面から押圧する凹部押圧板が位置決めされた状態で着脱可能に取付けられることで、計3種類のパチンコ盤を背面側から押圧できる構成であることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ盤の遊技釘調整装置。
パチンコ盤の上端部を支持する上端部支持装置は、垂直又は垂直に近い状態で配置された支持軸に1ないし複数のローラ単体が回転可能に支持された多数の支持ローラが、当該パチンコ盤の搬送方向に沿って一定間隔をおいて配置された構成であって、
前記一般押圧板の上端部には、前記支持ローラとの干渉を回避するための多数の干渉回避溝が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のパチンコ盤の遊技釘調整装置。
【背景技術】
【0002】
パチンコ盤の遊技釘調整装置は、作業台の高さ方向の中間部、及び上端部に、パチンコ盤の下端面と上端部とをそれぞれ支持する搬送コンベア装置及び上端部支持装置とがそれぞれ設けられ、パチンコ盤を横方向に搬送させる途中において当該パチンコ盤を一時的に停止させて、当該パチンコ盤と対峙する作業者が、ハンマー、ゲージ等を用いて遊技釘の間隔、傾斜角度の微妙な調整を行うための装置である。
【0003】
木材資源の枯渇問題を主因として、パチンコ盤自体がベニヤ製から樹脂製に徐々に移行しているため、パチンコ盤には、ベニヤ製と樹脂製の双方が混在している。このため、同一の釘調整装置により、材質の異なる複数のパチンコ盤の釘調整を行う必要がある。
【0004】
従来のパチンコ盤の遊技釘調整装置は、例えば、特許文献1に開示のパチンコ台検査装置のように、調整位置まで搬送されて、停止しているパチンコ盤の上端面を、押圧装置により下方に押圧した状態で、遊技釘の調整作業を行っていた。なお、「パチンコ台検査装置」は、パチンコ盤の表側には、遊技釘、球案内レール等が取付けられていると共に、裏側には、制御盤が取付けられて、パチンコ盤を表裏反転させて、両面の検査をする装置であって、本願発明に係る「パチンコ盤の遊技釘調整装置」により釘調整が行われた後において、使用される装置である。
【0005】
ここで、ハンマーにより遊技釘を叩いて間隔、傾斜角度等を調整する際に、振動が発生し、この振動が、微妙な釘調整の精度を低下させていた。振動発生の面では、樹脂製のパチンコ盤は、その材質からして、ベニヤ製のものに比較して、振動が発生し易い。
【0006】
そこで、樹脂製のパチンコ盤の場合には、当該パチンコ盤の背面にゴム板を当てた状態で、釘調整作業を行うことで、遊技釘を叩く際に発生する振動を抑制しているが、十分な防振対策にはなっておらず、しかも、パチンコ盤の背面に対するゴム板の着脱を、パチンコ盤毎に行う必要があって、全体としての作業能率を低下させていた。
【0007】
一方、パチンコ盤の下端面を支持する従来の搬送コンベア装置は、特許文献1に開示のように、多数の搬送ローラを一定間隔で配置したローラコンベア装置が用いられていた。従来のベニヤ製のパチンコ盤は、全体が方形状であって、下端部は、真っ直ぐで、凹凸のない形状のものが大部分であったが、樹脂製のパチンコ盤では、下端部に凹凸を有する形状のものがあり、更に、盤面サイズの拡大に伴って、重心バランスも悪くなっている。
【0008】
このため、搬送コンベア装置がローラコンベア装置の場合には、パチンコ盤の搬送時に、全体を安定した水平姿勢で支持できずに、パチンコ盤の下端部の凸部が前後の搬送ローラの間に入り込むことで、パチンコ盤が一時的に傾斜状態となって搬送されることがあり、搬送の安定性の点で問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、釘調整時におけるパチンコ盤の振動の発生を防止又は抑制すると共に、パチンコ盤の搬送時において、安定した水平姿勢で搬送可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、作業台の高さ方向の中間部及び上端部に、パチンコ盤の下端面と上端部とをそれぞれ支持する搬送コンベア装置及び上端部支持装置とが設けられ、横方向に搬送される途中の作業位置において一時的に停止されたパチンコ盤と対峙して、当該パチンコ盤の遊技釘の調整を行うための遊技釘調整装置であって、前記作業台の作業位置におけるパチンコ盤の背面側には、当該パチンコ盤を押圧板によって前方に向けて押圧させる押圧装置が配置され、前記搬送コンベア装置及び上端部支持装置には、前記押圧装置により前方に押圧されたパチンコ盤の当該前方への移動を規制する移動規制部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項1の発明によれば、作業台の高さ方向の中間部及び上端部にそれぞれ設けられた搬送コンベア装置及び上端部支持装置により、パチンコ盤の下端面と上端部とをそれぞれ支持された状態において、当該パチンコ盤は、前方への移動を防止された状態で、押圧装置により背面側から押圧されることで、パチンコ盤の剛性が高められるので、パチンコ盤の表側の遊技釘の調整時においても、当該パチンコ盤に振動が発生することなく、釘調整等を行える。釘調整後においては、押圧装置によるパチンコ盤の背面に対する押圧を解除して、そのまま搬送コンベア装置により、パチンコ盤を搬送させる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記押圧板は、ベニヤ又は表裏面が平面状の一般樹脂板から成るパチンコ盤を背面から押圧する一般押圧板に対して背面側のみが凹状に形成された凹状樹脂板から成るパチンコ盤を背面から押圧する凹部押圧板が位置決めされた状態で着脱可能に取付けられることで、計3種類のパチンコ盤を背面側から押圧できる構成であることを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明によれば、パチンコ盤が凹状樹脂板の場合のみ、一般押圧板の前面に凹部押圧板を位置決めして装着して、凹状樹脂板の背面側の凹部に凹部押圧板を入り込ませた状態で、凹状樹脂板から成るパチンコ盤の背面側を押圧することで、当該パチンコ盤の剛性を高めることができる。なお、パチンコ盤が、ベニヤ又は表裏面が平面状の一般樹脂板から成る場合には、一般押圧板のみを用いて、当該パチンコ盤を背面側から押圧する。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記一般押圧板に対して凹部押圧板は、磁力により着脱可能に取付けられることを特徴としている。
【0016】
請求項3の発明によれば、一般押圧板に対する凹部押圧板の着脱をワンタッチで行える。
【0017】
請求項4の発明は、請求項
2の発明において、パチンコ盤の上端部を支持する上端部支持装置は、垂直又は垂直に近い状態で配置された支持軸に1ないし複数のローラ単体が回転可能に支持された多数の支持ローラが、当該パチンコ盤の搬送方向に沿って一定間隔をおいて配置された構成であって、前記一般押圧板の上端部には、前記支持ローラとの干渉を回避するための多数の干渉回避溝が設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項4の発明によれば、パチンコ盤の上端部を支持する上端部支持装置を構成する多数の支持ローラとの干渉を回避して、当該パチンコ盤の背面を押圧でき、押圧面積を広くできるので、パチンコ盤の押圧状態が安定する。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記パチンコ盤は、僅かに後傾姿勢で配置されていることを特徴としている。
【0020】
請求項5の発明によれば、パチンコ盤が僅かに後傾姿勢となっているために、垂直配置に比較して、当該パチンコ盤の前面の釘調整の作業がし易くなる。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、パチンコ盤は、前方への移動を防止された状態で、押圧装置により背面側から押圧されることで、パチンコ盤の剛性が高められるので、パチンコ盤の表側の遊技釘の調整時においても、当該パチンコ盤に振動が発生することなく、釘調整等を行えると共に、釘調整後においては、押圧装置によるパチンコ盤の背面に対する押圧を解除して、そのまま搬送コンベア装置により、パチンコ盤を搬送させる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
図1ないし
図6において、後述のパチンコ盤K
1 〜K
3 の遊技釘の調整を行うための遊技釘調整装置Aは、作業台Bの高さ方向の中間部及び上端部に、前記パチンコ盤K
1 〜K
3 の下端面と上端部をそれぞれ支持する搬送コンベア装置C及び上端部支持装置Sが水平に配置された構成である。作業台Bは、作業台本体1の上面の前端部に前記搬送コンベア装置Cが水平に配置され、当該作業台本体1の前後方向の後端部であって、しかも左右方向の両端部及び中央部には、計3本の支柱2が当該作業台本体1の高さを超えて垂直に配置され、当該各支柱2の上端部には、複数本の水平支持部材3が前方に向けて片持状となって水平に支持され、各水平支持部材3の前端部に、パチンコ盤K
1 〜K
3 の上端部を支持する上端部支持装置Sが水平に設けられている。このため、パチンコ盤K
1 〜K
3 は、下端面、及び上端部をそれぞれ搬送コンベア装置C及び上端部支持装置Sで支持された状態で、正面視において、左端側から搬入されて、右端側から搬出される。
【0029】
図1及び
図3に示されるように、作業台本体1の上面の手前側の端部には、複数基(実施例では4基)の搬送コンベア装置Cが直列に配置されている。
図5、
図7及び
図8に示されるように、搬送コンベア装置Cは、駆動及び被動の各ローラ4,5に平ベルト6が掛装された構成であって、その全体が前後の各覆板7,8の間に配置され、当該平ベルト6の上方走行部6aの直下には、当該上方走行部6aの水平を維持する水平維持板9が、ほぼ全長に亘って配置されている。駆動及び被動の各ローラ4,5の回転軸心は、パチンコ盤K
1 〜K
3 を僅かに後傾姿勢で搬送可能なように、水平に対して僅かに傾斜している。水平維持板9は、金属板を直角に折り曲げることで、横断面がL字状をなしていて、垂直配置される取付板部9aが、後方の覆板8に固定されている(
図5参照)。駆動ローラ4の軸方向の一端部に設けられたVプーリ部4aと、駆動モータMの駆動軸と一体となったVプーリ11とには、Vベルト12が掛装されることで、平ベルト6は、上方走行部6aが水平維持板9の上面を走行することで、全長に亘って弛むことなく、水平を維持した状態で走行する。平ベルト6の下方走行部6bの直下には、当該下方走行部6bの弛みを吸収することで、平ベルト6に対してテンションを付与するためのテンション装置13が配置されている。テンション装置13は、基端部が支持台14に回動可能に支持されたテンションアーム15の先端部(自由端部)にテンションローラ16が回転可能に支持され、前記支持台14に、テンションアーム15が下方に回動するのを阻止する規制ボルト17が設けられた構成である。
【0030】
また、
図7に示されるように、隣接する各搬送コンベア装置Cの間、即ち、隣接する平ベルト6の間の略三角形状の隙間は、水平配置された閉塞板20で閉塞されて、複数の搬送コンベア装置Cが直列に配置されることで形成されるパチンコ盤K
1 〜K
3 の直線搬送路は、全長に亘って凹部のない平面状に形成される。これにより、
図14に示されるように、下端部に凹凸部を有するパチンコ盤K
11,K
12であっても、ローラコンベア装置で搬送される場合のように、搬送途中において傾動することなく、水平を維持して搬送可能となる。
【0031】
また、
図5に示されるように、前後の各覆板7,8の上下の各端部には、それぞれ外側に向けてフランジ部7a,8aが設けられ、上方の各フランジ部7a,8aには、走行案内溝形成板18,19がそれぞれ設けられて、各走行案内溝形成板18,19の間の走行案内溝21に、パチンコ盤K
1 〜K
3 の下端部が挿入されて、当該パチンコ盤K
1 〜K
3 の下端面が平ベルト6の上面に当接した状態で、当該平ベルト6の駆動走行により、パチンコ盤K
1 〜K
3 は、前後方向に微動することなく、側方に搬送される。
【0032】
図1、
図3及び
図6に示されるように、複数本の前記水平支持部材3の前端部には、多数の支持ローラRを取付けるための支持ローラ取付部材22が、パチンコ盤K
1 〜K
3 の搬送方向Qに沿って水平に取付けられ、当該支持ローラ取付部材22の下端面には、多数の支持ローラRが前記搬送方向Qに沿って一定間隔をおいて設けられている。支持ローラRは、支持軸23に複数個(実施例では2個)のローラ単体24が一体に取付けられた構成であって、当該支持軸23の軸心は、前記駆動及び被動の各ローラ4,5の回転軸心と直交するように、垂直に対して僅かに傾斜した状態で、前記支持ローラ取付部材22に固定されている。このため、パチンコ盤K
1 〜K
3 は、その下端面が搬送コンベア装置Cの平ベルト6に当接した状態で支持されると共に、その上端部が多数の支持ローラRに支持されることで、僅かに後傾姿勢となって搬送される。本実施例では、パチンコ盤K
1 〜K
3 の上端部を支持する上端部支持装置Sは、支持ローラ取付部材22に取付けられた多数の支持ローラRで構成される。
【0033】
本実施例では、パチンコ盤K
1 〜K
3 の釘調整作業は、1台の作業台Bにおける所定間隔をおいた2箇所において、背面側から押圧装置Pにより押圧された状態で行う。よって、
図1及び
図6に示されるように、作業台Bの2箇所の釘調整位置においては、押圧装置Pにより前面側に押圧されたパチンコ盤K
1 〜K
3 を当接支持させるための移動規制板25が、前記支持ローラ取付部材22にL字形の取付具26を介して上端部支持装置Sに対向して水平に取付けられている。移動規制板25は、パチンコ盤K
1 〜K
3 の高さ(上下方向の寸法)の差に対応可能なように、L字形の取付具26に対して上下方向との固定位置を調整可能にして取付けられている。搬送方向Qに沿って搬送中のパチンコ盤K
1 〜K
3 は、釘調整の作業位置に達すると、上下一対の光センサ27a,27bにより、パチンコ盤K
1 〜K
3 の存在が検出されて、搬送コンベア装置Cの駆動モータMを停止させることで、設定された釘調整位置で停止される。なお、
図1において、28は、搬送コンベア装置Cの駆動モータMを起動させて、停止しているパチンコ盤K
1 〜K
3 を搬送させるための起動ボタンを示し、29は、後述の押圧装置Pのエアシリンダ41を作動させて、押圧板Dを前進・後退させる押圧板進退ボタンを示す。
【0034】
ここで、
図1及び
図3において、計4基の搬送コンベア装置Cが直列に配置されていて、偶数番目の2基の搬送コンベア装置Cの部分において、パチンコ盤K
1 〜K
3 の釘調整作業を行うために、その背面側に押圧装置Pが配置されている。上記した上下一対の光センサ27a,27bは、各搬送コンベア装置Cの終端部にそれぞれ取付けられているが、偶数番目の搬送コンベア装置Cの部分で釘調整作業を行う場合には、奇数番目の一対の光センサ27a,27bを無効にすることで、奇数番目の搬送コンベア装置Cの部分においては、パチンコ盤K
1 〜K
3 は、そのまま通過するようになっている。なお、
図1及び
図4において、Nは、遊技釘を示し、30は、一対の光センサ27a,27bを無効化させる無効化ボタンを示す。
【0035】
次に、
図1、
図2、
図4、
図9ないし
図11を参照して、パチンコ盤K
1 〜K
3 を背面側から前方に向けて押圧させることで、釘調整時におけるパチンコ盤K
1 〜K
3 の剛性を高めるための押圧装置Pについて説明する。押圧装置Pは、エアシリンダ41の作用により押圧板Dがパチンコ盤K
1 〜K
3 の背面に密着して、当該パチンコ盤K
1 〜K
3 を前方に押圧する装置である。
【0036】
現在流通しているパチンコ盤には、大別して、背面側が凹状に形成された全体が樹脂製のパチンコ盤K
1 と、ベニヤ製のパチンコ盤K
2 〔
図12(a)参照〕と、全体が平板状の樹脂板91の背面が補強板92で補強されたパチンコ盤K
3 〔
図12(b)参照〕との3種類があり、押圧装置Pは、3種類のパチンコ盤K
1 〜K
3 のいずれにも対応可能である。
【0037】
作業台Bの釘調整位置の背面側には、押圧装置Pの全体を支持するための支持基板31が、パチンコ盤K
1 〜K
3 と平行となって、即ち、僅かに後傾姿勢となって、上下の各支持基板固定具32,33に固定されている。下側の支持基板固定具33は、前記覆板8の下端のフランジ部に固定され、上側の支持基板固定具32は、前記水平支持部材3に固定されている。支持基板31は、強度を高めるために幅方向の両端部が背面側に向けて折り曲げて、フランジ部31aとなっていて、支持基板31の各フランジ部31aの下端部は、下側の支持基板固定具33に連結ピン35を介して回動可能に連結され、支持基板31の各フランジ部31aの上端部は、当該支持基板31に連結される押圧板Dとパチンコ盤K
1 〜K
3 との平行を確保すべく、上側の支持基板固定具32に複数本の固定ボルト36を介して前後方向の固定位置を調整可能にして固定されている。
【0038】
押圧装置Pは、
図2、
図4、
図10及び
図11に示されるように、支持基板31の背面側にエアシリンダ41が装着され、当該エアシリンダ41のロッド42は、前記支持基板31の前面側に突出していて、当該ロッド42の先端部に、押圧板Dを構成する平板状の一般押圧板43が装着されている。支持基板31には、その前面に突出した状態で複数本(実施例では4本)のロッドガイト筒44が取付けられ、一般押圧板43の背面に垂直に取付けられた複数本のガイドロッド45は、前記各ロッドガイト筒44に挿通され、前記エアシリンダ41のロッド42の出入りにより、一般押圧板43は、複数本のガイドロッド45により支持基板31に対して平行を維持して接近・離隔する構成となっている。
【0039】
押圧板Dは、
図9に示されるように、一般押圧板43の前面に、背面が凹状に形成されたパチンコ盤K
1 の背面凹部46に嵌合される凹部押圧板47が磁力の作用によって着脱可能に装着された構成である。一般押圧板43には、凹部押圧板47の背面に突設された複数本(実施例では6本)の嵌合ピン48を嵌合させる嵌合孔49が穿孔され、各嵌合孔49の背面には、マグネット51が配置されている。マグネット51は、ボルト52によってマグネット取付板53の前面に取付けられ、当該マグネット取付板53は、マグネット51と同一厚のスペーサ54を介して一般押圧板43の背面にボルト52を介して取付けられている。なお、一般押圧板43の上端部は、作業台Bの支持ローラ取付部材22の下端面にほぼ垂直となって取付けられた多数の支持ローラRとの干渉を回避するための干渉回避溝55が形成されている。
【0040】
パチンコ盤K
1 の背面を押圧する場合には、
図9及び
図10に示されるように、一般押圧板43の前面の各嵌合孔49に、凹部押圧板47の背面の各嵌合ピン48を嵌合させると、各嵌合孔49の背面に臨んで配置されている複数のマグネット51の磁力により、一般押圧板43の前面に凹部押圧板47が配置されて、両押圧板43,47が一体化される。一方、ベニヤから成るパチンコ盤K
2 又は平面状の樹脂板から成るパチンコ盤K
3 の場合には、一般押圧板43のみが使用される。
【0041】
なお、
図1及び
図3において、パチンコ盤K
1 〜K
3 の釘調整作業は、一つのパチンコ盤K
1 〜K
3 に対して複数の作業者が割り当てられた特定部分のみを担当して行うために、本発明に係る遊技釘調整装置Aは、複数台が直列に並べられている。
【0042】
そして、
図1及び
図3に示されるように、各搬送コンベア装置Cが作動して、パチンコ盤K
1 〜K
3 が搬送されて、偶数番目の搬送コンベア装置Cに達して、上下一対の光センサ27a,27bにより検出されると、搬送コンベア装置Cは停止して、パチンコ盤K
1 〜K
3 は、釘調整位置に配置される。
【0043】
背面凹部46が設けられたパチンコ盤K
1 の場合には、一般押圧板43の前面に凹部押圧板47が一体に配置された押圧板Dが使用され、偶数番目の搬送コンベア装置Cにパチンコ盤K
1 が搬入されて停止した状態では、
図11(a)に示されるように、パチンコ盤K
1 と押圧板Dとの間には、所定の隙間が形成されている。
【0044】
上記の状態で、押圧板進退ボタン29を押すと、エアシリンダ41のロッド42の突出により、押圧板Dが前進して、凹部押圧板47がパチンコ盤K
1 の背面凹部46に入り込んで、パチンコ盤K
1 の背面に密着して、当該パチンコ盤K
1 は、エアシリンダ41のエア圧により、背面から押圧されて、その下端部及び上端部は、それぞれ走行案内溝形成板18の内端面、及び移動規制板25の内側面に押圧当接された状態が維持される。これにより、背面凹部46を有するパチンコ盤K
1 は、その曲げ剛性を主体とした全体の剛性が高められる。このため、走行案内溝形成板18及び移動規制板25は、それぞれ押圧装置Pによりパチンコ盤K
1 が背面から押圧された状態において、当該パチンコ盤K
1 の下端部及び上端部の前方への移動を規制する移動規制部となっている。
【0045】
上記のように、背面凹部46が形成された樹脂製のパチンコ盤K
1 の周縁部を除く中心部の背面が凹部押圧板47により背面から押圧されることで、当該パチンコ盤K
1 の曲げ剛性を主体とする全体の剛性が高められる。この状態で、パチンコ盤K
1 の全面に取付けられた遊技釘の間隔、傾斜等をハンマーを用いて調整する際においても、パチンコ盤K
1 の全体の剛性が高められているために、振動が発生することなく、安定した状態で釘調整を行える。
【0046】
パチンコ盤K
1 の前面の特定部の遊技釘の調整を終えると、押圧板進退ボタン29を押すと、押圧装置Pのエアシリンダ41のロッド42が引っ込むことで、
図11(b)に示されるように、パチンコ盤K
1 に対して押圧板Dが後退して、両者の間に所定の隙間が形成される。その後に、搬送コンベア装置Cの起動ボタン28を押すと、当該パチンコ盤K
1 を支持している搬送コンベア装置Cが作動して、当該パチンコ盤K
1 は、釘調整位置から側方に搬送される。
【0047】
また、上記したように、複数の搬送コンベア装置Cが直列に配置されることで形成されるパチンコ盤K
1 〜K
3 の直線搬送路は、全長に亘って凹部のない平面状に形成され、しかも搬送コンベア装置Cを構成する平ベルト6の上方走行部6aの下方に配置された水平維持板9によって、当該上方走行部6aは、常時水平維持されるので、下端部に凹凸部を有するパチンコ盤K
11,K
12であっても、ローラコンベア装置で搬送される場合のように、搬送途中において傾動することなく、水平を維持して安定して搬送することが可能となる。
【0048】
また、
図12に示されるベニヤ又は平板状の樹脂板から成るパチンコ盤K
2 ,K
3 の場合には、
図13に示されるように、押圧板Dを構成する凹部押圧板47を使用することなく、一般押圧板43のみを使用して、前記各パチンコ盤K
2 ,K
3 を背面から押圧することで、その全体剛性を高めて、釘調整時における振動の発生を防止する。
【0049】
このように、一般押圧板43の前面に凹部押圧板47が着脱可能に取付けられる構成の押圧板Dを使用することで、同一の押圧板Dにより、計3種類の異なるパチンコ盤K
1 〜K
3 を背面側から押圧できる。