(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有人無人判定部は、警備装置が前記監視領域への侵入を検知する警備セットモードに設定されているか否かを判定し、前記警備セットモードに設定されていると判定された場合に前記監視領域は無人と判定することを特徴とする請求項1又は2記載の飛行ロボット制御システム。
前記高度決定部は、前記監視領域において任意に指定された移動目標位置に移動するときは、基準位置から移動目標位置が遠いほど移動高度を高く設定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の飛行ロボット制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、自律走行の安全性を考慮して、遠隔から移動ロボットを緊急停止するための監視室が有人のときと無人のときとで移動ロボットによる巡回の挙動を異ならせている。
【0005】
しかしながら、遠隔の監視室の有人無人と監視領域における現地の警備の必要性は異なる。監視領域全体のセキュリティ性を考慮すると、常に移動ロボットが巡回を行えることが好ましい。この場合、監視領域となる施設の職員や住人など、監視領域への存在が許可された利用者が監視領域内で活動を行う可能性によって、考慮する条件が変わってくる。例えば、利用者が監視領域内で活動を行う有人時には、移動ロボットと利用者の接触危険性が高まる。また、飛行手段により目標位置まで移動する飛行ロボットの場合には、低い高度で飛行する方が撮影画像など取得情報の精度が高まるが、飛行ロボットのプロペラ駆動音や風切り音が大きいために、周囲への騒音が問題になるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、飛行ロボットの行動や騒音による監視領域の利用者の妨げを低減することができる飛行ロボット制御システム及び飛行ロボットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る飛行ロボット制御システムは、飛行手段を備えて、監視領域内において予め設定された監視位置に移動して警備情報を収集する飛行ロボットを制御する飛行ロボット制御システムであって、
前記監視位置の情報と前記監視位置に移動するための一以上の飛行経路と前記飛行経路において許容される飛行高度範囲と有人無人に対応した飛行高度条件とを記憶する記憶部と、
前記監視領域に利用者が存在しているか否かの有人無人判定をする有人無人判定部と、
前記監視位置に移動するときに、当該監視位置への前記飛行経路に対応した飛行高度範囲と有人無人判定の結果に対応じた前記飛行高度条件とから、飛行高度を決定する高度決定部と、
前記高度決定部にて決定した飛行高度で移動するよう前記飛行手段を駆動する飛行制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る飛行ロボット制御システムは、前記有人無人に対応した飛行高度条件が、少なくとも有人時の方が無人時よりも高い高度として条件設定されてもよい。
【0009】
さらに、本発明に係る飛行ロボット制御システムは、前記有人無人判定部が、警備装置が前記監視領域への侵入を検知する警備セットモードに設定されているか否かを判定し、前記警備セットモードに設定されていると判定された場合に前記監視領域は無人と判定してもよい。
【0010】
また、本発明に係る飛行ロボット制御システムは、前記高度決定部が、前記監視領域において任意に指定された移動目標位置に移動するときは、基準位置から移動目標位置が遠いほど移動高度を高く設定してもよい。
【0011】
さらに、本発明に係る飛行ロボットは、飛行手段を備えて、監視領域内において予め設定された監視位置に移動して警備情報を収集する飛行ロボットであって、
前記監視位置の情報と前記監視位置に移動するための一以上の飛行経路と前記飛行経路において許容される飛行高度範囲と有人無人に対応した飛行高度条件とを記憶する記憶部と、
前記監視領域に利用者が存在しているか否かの有人無人判定をする有人無人判定部と、
前記監視位置に移動するときに、当該監視位置への前記飛行経路に対応した飛行高度範囲と有人無人判定の結果に対応じた前記飛行高度条件とから、飛行高度を決定する高度決定部と、
前記高度決定部にて決定した飛行高度で移動するよう前記飛行手段を駆動する飛行制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の飛行ロボット制御システムによれば、記憶部は、監視位置の情報と監視位置に移動するための一以上の飛行経路と飛行経路において許容される飛行高度範囲と有人無人に対応した飛行高度条件とを記憶する。有人無人判定部は、監視領域に利用者が存在しているか否かの有人無人判定をする。高度決定部は、監視位置に移動するときに、監視位置への飛行経路に対応した飛行高度範囲と有人無人判定の結果に対応じた飛行高度条件とから、飛行高度を決定する。飛行制御部は、高度決定部にて決定した飛行高度で移動するよう飛行手段を駆動する。かかる構成により、監視領域に利用者が存在しているか否かに応じて監視位置に移動するときの飛行ロボットの飛行高度を決定し、決定した飛行高度で飛行ロボットを移動させることができる。そして、監視領域内の利用者の有人・無人で監視位置間の飛行高度を異ならせて飛行ロボットを巡回させるので、飛行ロボットの行動や騒音による監視領域の利用者への邪魔を防止することができる。
【0013】
また、本発明の飛行ロボット制御システムによれば、有人無人に対応した飛行高度条件を、少なくとも有人時の方が無人時よりも高い高度として条件設定する。かかる構成により、監視領域に人が存在するときは、監視領域に人が存在しないときよりも高い高度で飛行高度が設定されるので、監視領域に人が存在するときに飛行ロボットが人と接触する危険性を低減させて飛行ロボットを移動させることができる。
【0014】
さらに、本発明の飛行ロボット制御システムによれば、有人無人判定部は、警備装置が監視領域への侵入を検知する警備セットモードに設定されているか否かを判定し、警備セットモードに設定されていると判定された場合に監視領域は無人と判定する。かかる構成により、監視領域の警備装置が警備セットモードに設定されているときに、監視領域が無人であると判定することができる。また、監視領域の警備装置が警備解除モードであれば、監視領域への存在が許可された利用者が監視領域内に存在し、監視領域が有人であると判定することができる。
【0015】
また、本発明の飛行ロボット制御システムによれば、高度決定部は、監視領域において任意に指定された移動目標位置に移動するときは、基準位置(例えば飛行ロボットが待機するロボポートの中心位置)から移動目標位置が遠いほど移動高度を高く設定する。かかる構成により、飛行ロボットは、基準位置から移動目標位置が遠いときに移動高度が高く設定されるので、基準位置から移動目標位置が遠いときに移動速度を速めて移動目標位置まで飛行ロボットを移動させることができる。
【0016】
さらに、本発明の飛行ロボットによれば、記憶部は、監視位置の情報と監視位置に移動するための一以上の飛行経路と飛行経路において許容される飛行高度範囲と有人無人に対応した飛行高度条件とを記憶する。有人無人判定部は、監視領域に利用者が存在しているか否かの有人無人判定をする。高度決定部は、監視位置に移動するときに、監視位置への飛行経路に対応した飛行高度範囲と有人無人判定の結果に対応じた飛行高度条件とから、飛行高度を決定する。飛行制御部は、高度決定部にて決定した飛行高度で移動するよう飛行手段を駆動する。かかる構成により、飛行ロボットは、自身の判断により監視領域に利用者が存在しているか否かに応じて監視位置に移動するときの飛行高度を決定し、決定した飛行高度で移動することができる。そして、監視領域内の利用者の有人・無人で監視位置間の飛行高度を異ならせて飛行ロボットが巡回するので、飛行ロボットの行動や騒音による監視領域の利用者への邪魔を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面の
図1〜5を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
[本発明の概要について]
本発明は、予め設定される巡回スケジュールの巡回経路(飛行経路)を移動したり、任意に指定される移動目標位置に移動して警備情報を収集する飛行ロボットと、この飛行ロボットの飛行を制御する飛行ロボット制御システムに関する。この飛行ロボット制御システムにおける飛行ロボットは、平常時における監視領域の安全確認を行うための巡回飛行として、重要監視位置を移動しつつ、重要監視位置にて一定時間停止して監視動作(例えば撮影部による撮影)を行う。なお、重要監視位置は本発明における監視位置の一例である。この監視動作を行うにあたっては、監視領域内の利用者の有人・無人に応じた重要監視位置間(飛行ロボットが離着陸する位置と最初と最後の重要監視位置との間を含む)の飛行高度を設定する高度設定処理を実行し、利用者の有人・無人で重要監視位置間の飛行高度を異ならせて飛行ロボットを巡回させる。これにより、飛行ロボットの行動や騒音による監視領域の利用者への邪魔を防止する飛行ロボット制御システムや飛行ロボットを実現する。
【0020】
[飛行ロボット制御システムの構成について]
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の飛行ロボット制御システム1は、ロボポート2、飛行ロボット3、飛行制御装置4、監視センタ5によって構築される。この飛行ロボット制御システムにおける飛行ロボット3は、
図1において、例えばロボポート2(基準位置P0)→重要監視位置P1→重要監視位置P2→重要監視位置P3→重要監視位置P4→重要監視位置P5→ロボポート2(基準位置P0)の順番に巡回経路が決められた巡回番号1の巡回を行う場合、ロボポート2から離陸した後、P1→P2→P3→P4→P5の順番に移動して巡回し、P1〜P5で一定時間停止して警備情報(例えば撮影画像)を収集してロボポート2に帰還する。なお、飛行ロボット3は移動中も警備情報を収集してもよい。飛行ロボット3が収集した警備情報は、飛行制御装置4を介して監視センタ5に送信される。監視センタ5は、飛行ロボット3から飛行制御装置4を介して送信される警備情報をモニタに表示し、監視領域Eにおける巡回経路上や重要監視位置に異常が無いかの安全確認を行う。以下、飛行ロボット制御システム1を構築する各部の構成について説明する。
【0021】
なお、本例において、重要監視位置とは、全体が監視される監視領域Eの中でも重要な位置とされ、飛行ロボット3が巡回経路(飛行経路)上で必ず停止する位置である。また、利用者とは、監視領域Eへの存在が許可された人であり、監視領域Eへの存在が許可されていない外部からの侵入者を除くものである。
【0022】
[ロボポートの構成について]
ロボポート2は、飛行ロボット3の待機場所であり、飛行制御装置4からの指示を受け、飛行ロボット3の離陸や着陸を行うための設備を備える。また、ロボポート2は、飛行ロボット3が着陸するときに飛行ロボット3をポート内に収容する機構を備え、飛行ロボット3をポート内に収容したときに、飛行ロボット3に対して接触又は非接触にて給電を行う機能を有する。
【0023】
[飛行ロボットの構成について]
飛行ロボット3は、飛行制御装置4から飛行指示を受けていない通常の状態ではロボポート2(基準位置P0)に待機しており、飛行制御装置4からの飛行指示により予め設定された巡回スケジュールの時刻になると巡回経路(飛行経路)を巡回飛行したり、監視センタ5からの指示により指定された移動目標位置に向かって飛行する。
【0024】
飛行ロボット3は、
図3に示すように、ロータ11、ロータ駆動部12、飛行状態検知部13、位置情報受信部14、高度センサ15、撮影部16、照明17、アンテナ18、測距センサ19、照度センサ20、記憶部21、電源22、ロボ制御部23を備える。
【0025】
ロータ11は、例えば4つの回転体で構成され、飛行ロボット3の機体を上昇・下降・方向転換、前進などの飛行をするようにロータ駆動部12によって駆動される。
【0026】
ロータ駆動部12は、飛行ロボット3の機体を上昇・下降・方向転換、前進などの飛行をするため、後述するロータ制御手段33bの制御により、ロータ11の各回転体を駆動する。
【0027】
飛行状態検知部13は、飛行ロボット3の飛行状態を検知するものであり、例えば飛行ロボット3の向きを検知する方位センサ、飛行ロボット3の姿勢や加速度を検知する加速度センサやジャイロセンサなどの各種センサで構成される。これら各種センサの検知結果は、飛行ロボット3の飛行状態情報として後述する姿勢制御手段33に入力される。
【0028】
位置情報受信部14は、例えば全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)などの衛星測位システムを利用し、飛行ロボット3の現在位置を検知する。位置情報受信部14にて検知した飛行ロボット3の現在位置は、飛行ロボット3の位置情報(GNSS信号)として後述する自己位置測位手段33aに入力される。
【0029】
高度センサ15は、ロボ制御部23の制御により、気圧センサの気圧値や飛行ロボット3の機体から鉛直下方に投受光されるレーザなどにより飛行ロボット3の現在高度を計測する。高度センサ15にて計測した飛行ロボット3の現在高度は、高度情報として後述する自己位置測位手段33aに入力される。
【0030】
撮影部16は、例えば撮像素子を用いたカメラで構成され、飛行ロボット3の周囲(例えば前方や下方など)をカラー画像にて撮影する。撮影部16は、後述する撮影制御手段34により撮影の許可(禁止解除)・禁止、撮影角度が制御される。撮影部16にて撮影した画像は、後述する撮影制御手段34に入力される。
【0031】
照明17は、撮影部16による撮影を補助するLED照明などの照明器具で構成され、後述する照明制御手段35により点灯・消灯が制御される。照明17は、飛行ロボット3が設定高度未満を飛行中の条件下において、飛行中の飛行ロボット3の周囲が暗くなって設定照度以下となったときに点灯する。これに対し、照明17は、飛行ロボット3が設定高度以上を飛行中の条件下において点灯が禁止される。
【0032】
アンテナ18は、ロボット本体に設けられ、小電力無線、WiFi通信などにより飛行制御装置4との間で無線通信を行う。
【0033】
測距センサ19は、ロボ制御部23の制御により、飛行ロボット3の機体の水平方向又は鉛直下方に電磁波、可視光線、音波などを投受光し、飛行ロボット3の機体と周辺との距離を計測する。測距センサ19としては、例えばレーザセンサ、マイクロ波センサ、赤外線センサ、超音波センサなどを用いることもできる。測距センサ19による計測結果は、飛行ロボット3の周囲情報として後述する障害物検知手段32に入力される。
【0034】
照度センサ20は、必要に応じて設けられるものであり、飛行ロボット3の周囲の明るさを検出する。照度センサ20の検出結果は、照度情報として後述する照明制御手段35に入力される。
【0035】
記憶部21は、飛行ロボット3が飛行中のときに撮影部16が撮影した画像を逐次記憶する。
【0036】
電源22は、例えばリチウムポリマー電池などの充電式電池で構成され、飛行ロボット3の各部に必要な電力を供給する。
【0037】
ロボ制御部23は、飛行ロボット3の全体を統括制御するものであり、
図3に示すように、通信制御手段31、障害物検知手段32、姿勢制御手段33、撮影制御手段34、照明制御手段35を備える。
【0038】
通信制御手段31は、アンテナ18を介して飛行制御装置4と無線通信を行い、各種情報(飛行制御装置4から飛行ロボット3への巡回ルート指示、移動目標位置や速度の指示、離陸指示、帰還指示、飛行ロボット3から飛行制御装置4への飛行状態情報、位置情報、高度情報など)の送受信を行う。また、通信制御手段31は、撮影部16が撮影したライブ画像を無線通信により飛行制御装置4に送信する。
【0039】
障害物検知手段32は、測距センサ19にて検知した飛行ロボット3の周囲情報に基づいて飛行ロボット3の周辺における障害物の有無を判定する。
【0040】
姿勢制御手段33は、飛行状態検知部13からの各種検知信号、位置情報受信部14からの位置情報、高度センサ15からの高度情報に基づいて飛行ロボット3の飛行中の姿勢を制御するものであり、自己位置測位手段33a、ロータ制御手段33bを備える。
【0041】
自己位置測位手段33aは、位置情報受信部14が受信した位置情報(GNSS信号)、及び高度センサ15が測定した高度情報を用いて自己位置(緯度、経度、高度)を算出する。
【0042】
ロータ制御手段33bは、飛行制御装置4から飛行指示を受けると、現在の飛行経路に対応して後述する記憶部42に記憶された高度テーブルの飛行高度を中心として障害物を回避しながら移動するようにロータ駆動部12を制御して飛行ロボット3の高度や速度を制御する。
【0043】
撮影制御手段34は、撮影部16の撮影開始や終了、撮影部16が撮影した画像を取得して通信制御手段31から飛行制御装置4へライブ画像を送信するなどの処理を行う。また、撮影制御手段34は、飛行制御装置4からの指示に従って撮影の許可(禁止解除)/禁止、撮影角度の制御を行う。
【0044】
照明制御手段35は、撮影画像の輝度情報、あるいは必要に応じて設けられた照度センサ20の照度情報を飛行制御装置4に送信し、この送信に伴う飛行制御装置4からの指示に従って照明17のオン/オフを制御する。
【0045】
なお、照明制御手段35は、撮影画像の輝度情報、又は照度センサ20の照度情報から飛行ロボット3の周囲の照度が設定照度以下か否かを判別し、この判別結果を飛行制御装置4に送信することもできる。
【0046】
[飛行制御装置の構成について]
飛行制御装置4は、例えば監視領域内の所定箇所や監視領域近傍に設置される。飛行制御装置4は、飛行ロボット3との間で無線通信し、飛行ロボット3から送信される各種情報に基づき、飛行ロボット3に各種制御指示を行う監視装置の機能を備える。なお、飛行制御装置4は、監視センタ5の監視卓5aから任意に指定された移動目標位置への飛行ロボット3の飛行指示、飛行ロボット3による撮影指示等の各種指示を受信すると、飛行ロボット4に各種制御指示を行う。
【0047】
飛行制御装置4は、飛行ロボット3の飛行を制御するものであり、
図4に示すように、通信部41、記憶部42、制御部43を備える。
【0048】
通信部41は、飛行ロボット3との間で例えば小電力無線やWiFi通信などの無線通信を行い、飛行ロボット3から飛行状態情報としての位置(緯度、経度、高度)、速度等の情報を受信し、この受信した情報に応じた各種制御信号を飛行ロボット3に送信する。また、通信部41は、監視センタ5の監視卓5aから飛行ロボット3の飛行指示を受信すると、この飛行指示に従った各種制御信号を飛行ロボット3に送信する。さらに、通信部41は、飛行ロボット3の撮影部16が撮影した画像をインターネット等の広域ネットワーク(WAN)上に構築された仮想専用ネットワーク(VPN)を介して監視センタ5に送信する。
【0049】
記憶部42は、例えばROM,RAMなどで構成され、基準位置となるロボポート2の位置情報、飛行経路(巡回経路)、重要監視位置情報(位置座標情報)、飛行高度範囲(巡回高度範囲)、飛行高度条件、巡回スケジュールを記憶している。飛行経路は、重要監視位置に移動するための少なくとも1つ以上の経路である。重要監視位置情報は、飛行経路毎に番号付けされる巡回番号と、この巡回番号に対応する複数の重要監視位置の位置情報(例えば飛行領域マップ上の緯度、経度)、各重要監視位置間の移動区間を識別する移動区間情報(飛行ロボット3が離着陸するロボポート2と最初と最後の重要監視位置との間の移動区間情報を含む)である。飛行高度範囲は、飛行経路の移動区間毎に飛行が許容される高度範囲(例えば地表から3〜7mの範囲)である。飛行高度条件は、有人又は無人に対応した飛行高度の条件であり、少なくとも有人時の方が無人時よりも高い高度として条件設定される。巡回スケジュールは、監視領域Eにおけるどの重要監視位置をどの順番でいつ巡回するかを示す日程であり、監視センタ5の監視卓5aの操作により予め監視領域E毎に設定される。
【0050】
また、記憶部42は、飛行ロボット3が飛行する領域を緯度、経度、高度の3次元にて表現した飛行領域マップ、監視領域Eに関する各種情報である監視領域情報、飛行ロボット3と通信を行うためのデータや飛行ロボット3の飛行を制御するための各種パラメータ、これら以外に飛行制御装置4の機能を実現するための各種プログラムが記憶されている。
【0051】
なお、記憶部42には、後述する有人無人判定手段43aにて選択した移動区間に対応するエリアの有人無人を判定するための情報として、監視領域E内の複数のエリアE1〜E5と巡回地点(重要監視位置P1〜P5)あるいは移動区間M1〜M6とを対応付してテーブル化した情報が予め記憶されている。具体的に、例えば
図1の巡回番号1の巡回経路では、監視領域E内の複数のエリアE1〜E5と巡回地点である重要監視位置P1〜P5あるいは移動区間M1〜M6とを対応付けてテーブル化した情報を記憶部42に記憶させておく。また、地図(飛行領域マップ)上で巡回地点(重要監視位置P1〜P5)あるいは移動区間M1〜M6から設定距離範囲内に存在するエリアE1〜E5の情報として記憶部42に記憶させておくこともできる。具体的に、例えば
図1の巡回番号1の巡回経路では、地図上で巡回地点である重要監視位置P1〜P5あるいは移動区間M1〜M6から設定距離範囲内に存在するエリアE1〜E5の情報を記憶部42に記憶させておく。
【0052】
制御部43は、記憶部42からソフトウェアモジュールを読み出し、CPU等にて各処理を行い、各部を統括制御するものであり、有人無人判定手段43a、高度決定手段43b、高度テーブル生成手段43c、飛行制御手段43d、撮影制御手段43e、状態確認手段43fを備える。
【0053】
有人無人判定手段43aは、監視領域Eにおいて対象となるエリアに利用者が存在しているか否かの有人無人を判定する。具体的に、
図1に示す監視領域EのエリアE1〜E5には、それぞれ、外部から監視領域Eへの侵入者を検知するため、例えば赤外線センサ、レーザセンサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、画像センサなどの各種検知センサを備えて構成される警備装置(不図示)が配置される。有人無人判定手段43aは、警備装置が対象のエリア(E1〜E5)への侵入を検知する警備セットモードに設定されているか否かを判別し、警備セットモードに設定されていると判定したときに監視領域Eの対象のエリア(E1〜E5)が無人であると判定する。
【0054】
ここで、警備セットモードとは、警備装置としての各種検知センサが監視領域Eの対象のエリア(E1〜E5)内へ侵入する侵入物体(例えば不審者や不審車両など)を検知すると、この検知センサの検知信号に応じて監視領域Eの対象のエリア(E1〜E5)内への侵入物体による異常判定を行うモードである。これに対し、警備解除モードは、警備装置としての検知センサから検知信号が入力しても侵入物体による異常判定を行わないモードである。
【0055】
なお、警備装置は、検知センサに限らず、監視領域EのエリアE1〜E5毎の侵入の有無を把握できるものであればよく、例えば監視領域EのエリアE1〜E毎の入退場履歴を管理する入退場管理装置などで構成することもできる。また、有人無人判定手段43aは、これに限らず対象となるエリアに利用者が存在しているか否かを判定できればどのようなものであってもよい。例えば、利用者のRF−IDを受信する手段によりこれが検出できるか否かで有人か無人かを判定してもよい。
【0056】
高度決定手段43bは、重要監視位置P1〜P5に移動するときに、重要監視位置P1〜P5への飛行経路(移動区間M1〜M6)に対応した飛行高度範囲(巡回高度範囲)と、有人無人判定手段43aの判定結果に対応した飛行高度条件とによって飛行高度を決定する。例えば有人と判定したときは飛行高度範囲の上限値あるいはその近傍の高度を飛行高度として決定し、無人と判定したときは飛行高度範囲の下限値あるいはその近傍の高度を飛行高度として決定する。なお、有人または無人により飛行高度範囲からどのように飛行高度を設定するかは、予め飛行高度条件として記憶されている。
【0057】
高度テーブル生成手段43cは、高度決定手段43bにて決定した飛行高度を飛行経路(移動区間M1〜M6)に対応付けた高度テーブルとして記憶部42に記憶する。
【0058】
飛行制御手段43dは、通信部41を介して飛行ロボット3から飛行状態情報、位置情報、高度情報を取得し、飛行ロボット3の移動目標位置、速度などの飛行ロボット3の飛行に関わる制御信号を飛行ロボット3に通信部41を介して送信し、飛行ロボット3の飛行を制御する。例えば飛行ロボット3の飛行高度が予め設定された設定高度以上であれば、飛行ロボット3が高速(例えば5〜15m/s)で飛行するように速度を制御する。また、飛行ロボット3の飛行高度が設定高度未満であれば、飛行ロボット3が基準速度以下の低速(例えば2〜3m/s:障害物を検知したときに回避可能な速度)で飛行するように速度を制御する。
【0059】
撮影制御手段43eは、飛行ロボット3の撮影部16による撮影を制御するもので、通信部41を介して飛行ロボット3から取得した現在位置における高度情報に基づいて撮影許可信号(撮影禁止解除信号)又は撮影禁止信号を通信部41を介して飛行ロボット3に送信する。例えば現在位置における飛行ロボット3の高度情報が設定高度以上のときは、撮影部16の撮影を禁止する撮影禁止信号を通信部41を介して飛行ロボット3に送信する。これに対し、現在位置における飛行ロボット3の高度情報が設定高度未満のときは、撮影部16の撮影を許可する撮影許可信号(撮影禁止解除信号)を通信部41を介して飛行ロボット3に送信する。なお、撮影制御手段43eは、必要に応じて撮影部16の撮影角度を制御するための撮影角度制御信号を通信部41を介して飛行ロボット3に送信することもある。
【0060】
また、撮影制御手段43eは、飛行ロボット3から取得した撮影画像の輝度情報や照度情報を用いて、飛行中の飛行ロボット3の周囲の照度が設定照度以下か否かを判別し、この判別結果と上述した高度情報に基づいて飛行ロボット3の照明17をオン/オフするオン/オフ制御信号を飛行ロボット3に送信する。例えば飛行ロボット3が設定照度以下の夜間を飛行中で、かつ飛行ロボット3が設定高度以上を飛行中のときは、照明17の点灯を禁止するためオフ制御信号を通信部41を介して飛行ロボット3に送信する。これに対し、飛行ロボット3が設定照度以下の夜間を飛行中で、かつ飛行ロボット3が設定高度未満を飛行中のときは、照明17を点灯するためオン制御信号を通信部41を介して飛行ロボット3に送信する。
【0061】
なお、飛行中の飛行ロボット3の周囲の照度が設定照度以下か否かを示す判別結果が飛行ロボット3から送信される場合には、この判別結果に基づいて飛行ロボット3の照明17をオン/オフするオン/オフ制御信号を撮影制御手段43bが飛行ロボット3に送信する。また、飛行中の飛行ロボット3の周囲の照度が設定照度以下か否かの判別には、現在時刻を用いることもできる。
【0062】
状態確認手段43fは、飛行ロボット3の状態を確認するもので、飛行ロボット3がロボポート2に待機しているときに定期的に飛行ロボット3の機能が正常か否かを確認する。
【0063】
[監視センタの構成について]
監視センタ5は、
図2に示すように、飛行ロボット3が撮影した映像を飛行制御装置4を介して受信し、受信した映像を表示する端末装置などの監視卓5aを備える。また、監視センタ5は、監視卓5aの操作により後述する高度設定処理の開始を指示することもできる。さらに、監視センタ5は、監視員の判断によって監視卓5aを操作することにより任意の場所に飛行ロボット3を向かわせる飛行指示(飛行ルート指示、移動目標位置や速度の指示、離陸指示、帰還指示など)を行うこともできる。例えば監視員が監視卓5aに表示された映像から監視領域E内への侵入物体(例えば不審車両や不審者など)を発見した場合、監視員が監視卓5aを操作して飛行ロボット3を現場に向かわせる移動目標位置(緯度、経度)を設定し、この設定された移動目標位置を制御信号として、飛行制御装置4を介して飛行ロボット3に送信する。
【0064】
[高度設定処理について]
次に、飛行制御装置4が実行する高度設定処理について
図5を参照しながら説明する。この高度設定処理によって設定された高度は、飛行ロボット3が複数の重要監視位置を移動しつつ、重要監視位置にて一定時間停止して監視動作を行う巡回飛行をする際に用いられる。ここでは、
図1の示す巡回番号1の飛行経路(移動区間M1〜M6)を飛行ロボット3が巡回する場合の高度設定処理を例にとって説明する。
【0065】
図5の高度設定処理は、巡回スケジュールとして設定された巡回開始時刻の所定時間前、遠隔の監視センタ5から手動操作による巡回開始の入力があったとき、予め設定された巡回パラメータの生成時刻の何れかのタイミングで開始される。例えば
図1に示す巡回番号1の飛行経路を9:00から2時間おきに巡回する巡回スケジュールの場合には、所定時間が例えば15分であれば、9:00の15分前の8:45に高度設定処理を開始する。
【0066】
上記のタイミングで高度設定処理が開始すると、飛行ロボット3が巡回する巡回番号の巡回地点情報を読み出す(ST1)。
図1に示す巡回番号1の飛行経路を飛行ロボット3が巡回する場合、巡回番号1の巡回地点情報(座標情報)、すなわち、重要監視位置P1〜P5の重要監視位置情報を記憶部42から読み出す。
【0067】
次に、巡回地点情報に基づく移動区間毎の飛行高度範囲(巡回高度範囲)の情報を読み出す(ST2)。
図1に示す巡回番号1の飛行経路では、ロボポート2と最初の重要監視位置P1との間の移動区間M1、各重要監視位置P1〜P5間の移動区間M2,M3,M4,M5、最後の重要監視位置P5とロボポート2との間の移動区間M6における飛行高度範囲の情報を記憶部42から読み出す。
【0068】
次に、ロボポート2から最初の地点(最初の重要監視位置)までの区間(移動区間)を選択する(ST3)。
図1に示す巡回番号1の飛行経路では、ロボポート2から最初の重要監視位置P1までの移動区間M1を選択する。
【0069】
次に、選択した区間に対応するエリアの有人無人を判定する(ST4)。
図1に示す巡回番号1の飛行経路において、ロボポート2から最初の重要監視位置P1までの移動区間M1が選択されると、この移動区間M1に対応するエリアE1の有人無人を判定する。この移動区間M1に対応するエリアE1の有人無人の判定は、対応する警備装置が移動区間M1に対応するエリアE1への侵入を検知する警備セットモードに設定されていれば、その移動区間M1に対応するエリアE1が無人であると判定する。これに対し、移動区間M1に対応するエリアE1への侵入を検知しない警備解除モードに設定されていれば、その移動区間M1に対応するエリアE1が有人であると判定する。
【0070】
次に、選択されている区間の飛行高度(巡回高度)として、飛行高度範囲の中から有人無人の状態に応じて決定する(ST5)。
図1に示す巡回番号1の飛行経路において、選択されている移動区間M1に対応するエリアE1が有人と判定したときは、飛行高度範囲の例えば上限値を飛行高度して決定する。これに対し、選択されている移動区間M1に対応するエリアE1が無人と判定したときは、飛行高度範囲の例えば下限値を飛行高度として決定する。
【0071】
次に、決定された高度を選択区間の飛行高度として記憶部42の高度テーブルに記憶する(ST6)。選択区間が例えば
図1に示す巡回番号1の飛行経路における移動区間M1であって、飛行高度範囲の下限値が飛行高度として決定されると、この決定された飛行高度を記憶部42の高度テーブルに記憶する。
【0072】
そして、巡回番号に対応する全ての地点までの区間の飛行高度が設定されたか否かを判別する(ST7)。
図1に示す巡回番号1の巡回経路であれば、巡回番号1に対応する全ての地点P1〜P5(および最後のロボポート2の基準位置P0)までの区間M1〜M6の飛行高度が設定されていないと判定すると、次の地点までの区間を選択し、ST4の処理に移行する。そして、巡回番号1に対応する全ての地点P1〜P5(および最後のロボポート2の基準位置P0)までの区間M1〜M6の飛行高度が設定されるまでST4〜ST7の処理を繰り返し実行する。
【0073】
このように、飛行制御装置4は、上述した高度設定処理を飛行ロボット3の巡回前に実行する。そして、飛行制御装置4は、飛行ロボット3に巡回を指示する際には、巡回する巡回番号の飛行経路における各重要監視位置の位置情報と各重要監視位置に対応する高度テーブルの飛行高度とを飛行ロボット3に送信する。飛行ロボット3は、飛行制御装置4から送信される位置情報と飛行経路(移動区間)毎の飛行高度に従い、飛行高度を中心として障害物を回避しながら飛行経路の各重要監視位置を巡回し、各重要監視位置で警備情報(例えば撮影部16による撮影画像)を収集してロボポート2に帰還する。飛行ロボット3が収集した警備情報は、飛行制御装置4を介して監視センタ5に送信され、監視センタ5の監視卓5aに表示させて安全確認を行う。
【0074】
ところで、飛行ロボット3を巡回以外の目的で監視領域の任意の移動目標位置に飛行させる場合がある。この場合、高度決定手段43bは、飛行ロボット3が待機するロボポート2の中心位置を基準位置P0として、この基準位置P0から移動目標位置が遠いほど移動するときの高度を高く設定して記憶部42の高度テーブルに記憶する。これにより、飛行ロボット3は、基準位置P0からの移動目標位置が遠いほど移動高度が高く設定されるので、障害物がほとんどない上空を高速で移動することが可能となり、移動目標位置まで安全かつ高速で移動し、到達時間の短縮を図ることができる。
【0075】
また、上述した実施の形態では、
図5に示す高度設定処理を飛行制御装置4が実行する場合を例にとって説明したが、この高度設定処理を飛行ロボット3自身が実行してもよい。この場合、ロボポート2の位置情報、飛行経路、重要監視位置情報(位置座標情報)、飛行高度範囲(巡回高度範囲)、飛行高度条件を飛行ロボット3の記憶部21に記憶させておく。また、飛行ロボット3は、警備装置が対象のエリア(E1〜E5)への侵入を検知する警備セットモードに設定されているか否かにより、監視領域に利用者が存在しているか否かの有人無人判定をする有人無人判定手段(飛行制御装置4の有人無人判定手段43aに相当)と、重要監視位置に移動するときに、重要監視位置への飛行経路に対応した飛行高度範囲と有人無人判定の結果に対応した飛行高度条件により飛行高度を決定する高度決定手段(飛行制御装置4の高度決定手段43bに相当)と、高度決定手段にて決定した飛行高度を飛行経路に対応付けた高度テーブルとして記憶部21に記憶する高度テーブル生成手段(飛行制御装置4の高度テーブル生成手段43cに相当)とを備えた構成とし、飛行制御装置4と同様に
図5の高度設定処理を実行する。これにより、飛行ロボット3は、巡回時に、高度設定処理により決定した飛行高度で移動するようロータ制御手段32bがロータ駆動部12を制御してロータ11を駆動する。
【0076】
以上、本発明に係る飛行ロボット制御システム及び飛行ロボットの最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。