(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469488
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】飛行装置
(51)【国際特許分類】
B64C 27/08 20060101AFI20190204BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20190204BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20190204BHJP
B64C 39/02 20060101ALN20190204BHJP
【FI】
B64C27/08
B64D47/00
H05K7/20 G
!B64C39/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-56283(P2015-56283)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-175489(P2016-175489A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】古関 明
(72)【発明者】
【氏名】田中 義久
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 浩
(72)【発明者】
【氏名】木塚 慶次
(72)【発明者】
【氏名】西村 一眞
【審査官】
諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−051545(JP,A)
【文献】
特開2010−023825(JP,A)
【文献】
特開昭63−255198(JP,A)
【文献】
特開2002−193193(JP,A)
【文献】
特開2004−345602(JP,A)
【文献】
特開2005−119654(JP,A)
【文献】
特開2014−146141(JP,A)
【文献】
特開2011−255893(JP,A)
【文献】
特表2008−505800(JP,A)
【文献】
特開2014−044935(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0241553(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0220873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/08−27/10
B64C 27/20
B64C 29/00−29/04
B64C 39/02
B64D 47/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を内蔵する本体と、
前記本体の周囲に配置された複数の回転翼と、
前記回転翼の回転によって発生する気流の風上側又は前記回転翼の回転面近傍に配置されるとともに前記本体の内部と外部を連通するように前記本体に形成された第1の通風部と、
前記回転翼の回転によって発生する気流の風下側に配置されるとともに前記本体の内部と外部を連通するように前記本体に形成された第2の通風部と、
を備えたことを特徴とする飛行装置。
【請求項2】
前記回転翼の回転面における前記本体の外形を前記回転翼の回転軌跡に沿った曲面とし、当該曲面に前記第1の通風部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の飛行装置。
【請求項3】
前記回転翼の回転方向に沿って前記第1の通風部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の飛行装置。
【請求項4】
前記風上側において前記回転翼を保持するとともに部品を内蔵した内部が前記本体の内部に連通する保持部を有し、
前記保持部は、前記回転面と対向する位置に前記保持部の内部と外部を連通する第3の通風部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の飛行装置。
【請求項5】
前記本体の内部において前記第2の通風部から前記第1の通風部に至る空気の流通経路に、前記部品が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の飛行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の用途で使用されている無人の飛行装置に係り、特に内蔵する電子機器等が発生する熱を格別の冷却装置を設けることなく放散し、冷却することができるようにした飛行装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な用途で無人の飛行装置が使用されている。このような飛行装置では、搭載できる電源の容量に限りがあるため、飛行持続時間を長くすべく装置の小型化・軽量化が必要となる。しかし、かかる飛行装置は、飛行するだけでなく用途に応じてその他の所定の動作を実行する必要もあるため、その用途に必要な動作を可能にすることと、飛行持続時間を長くすることの両立を図る必要がある。
【0003】
例えば、警備用途に使用される飛行装置として、下記特許文献1に記載のような撮影機能を備えた飛行装置に関する発明が開示されている。この発明の飛行装置は、センサによって検知した不審者を上空から撮影できる位置に飛行し、不審者を追跡しつつ撮影し、撮影した画像を外部の警備装置に送信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−146141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような従来の飛行装置の発明では、必要な動作を実行すると、その動作を実行する内蔵の電子機器が熱を発生する。この熱が過度に発生すると、電子機器が破損したり電子機器の動作精度が落ちたりするため、電子機器からの熱を放散して電子機器を冷却する機能が必須となる。そのような機能を実現する手段としては、従来から知られている冷却ファンなどの冷却用機器を飛行装置に設けることが考えられる。しかしながら、冷却用機器を別途設けると飛行装置の大型化・重量化を招くため、飛行するための電力消費量が増大し、ひいては飛行持続時間が短くなるという事態に陥ってしまう。
【0006】
本発明は、以上説明した従来の飛行装置における課題を解決するためになされたものであり、飛行装置において内蔵する部品等が発生する熱を格別の冷却装置を設けることなく確実に放散し、冷却できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された飛行装置は、
部品を内蔵する本体と、
前記本体の周囲に配置された複数の回転翼と、
前記回転翼の回転によって発生する気流の風上側又は前記回転翼の回転面近傍に配置されるとともに前記本体の内部と外部を連通するように前記本体に形成された第1の通風部と、
前記回転翼の回転によって発生する気流の風下側に配置されるとともに前記本体の内部と外部を連通するように前記本体に形成された第2の通風部と、
を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された飛行装置は、請求項1に記載の飛行装置において、
前記回転翼の回転面における前記本体の外形を前記回転翼の回転軌跡に沿った曲面とし、当該曲面に前記第1の通風部を形成したことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された飛行装置は、請求項2に記載の飛行装置において、
前記回転翼の回転方向に沿って前記第1の通風部を形成したことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載された飛行装置は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の飛行装置において、
前記風上側において前記回転翼を保持するとともに部品を内蔵した内部が前記本体の内部に連通する保持部を有し、
前記保持部は、前記回転面と対向する位置に前記保持部の内部と外部を連通する第3の通風部を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載された飛行装置は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の飛行装置において、
前記本体の内部において前記第2の通風部から前記第1の通風部に至る空気の流通経路に、前記部品が配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された飛行装置によれば、飛行するために回転翼を回転させると、回転翼の回転面を境界面として気流の風上側の気圧が気流の風下側の気圧に比べて低くなり、これによって揚力が発生し、本体が上昇し、飛行することができる。この時、回転翼が発生させる気流により生じる風上側の気圧の低下に伴い、本体の内部の空気が第1の通風部から外部に吸い出されるとともに、外部の空気が第2の通風部を介して本体の内部に吸い込まれる流れが形成される。これにより、飛行のために回転させる回転翼の回転動作を用いて、別途冷却機器を備える必要もなく、本体の内部にある電子部品等の部品を効率的に冷却することができる。
【0013】
請求項2に記載された飛行装置によれば、回転翼と本体との隙間を微小にすることができるので、飛行するために回転翼を回転させると、本体の内部から第1の通風部を経て外部に向かう気流がより生じやすくなる。すなわち第1の通風部から本体の外に空気が吸い出されやすくなる。このため、本体の内部に空気の流れを確実に発生させることができ、本体の内部にある部品の冷却効果をさらに高めることができる。
【0014】
請求項3に記載された飛行装置によれば、回転翼を回転させたときに本体の内部から第1の通風部を介して外部に向かう気流をより効率的に生じやすくする位置に第1の通風部を配置できる。
【0015】
請求項4に記載された飛行装置によれば、飛行するために回転翼を回転させると、回転翼の回転面を境界面として気流の風上側の気圧が気流の風下側の気圧に比べて低くなり、これによって揚力が発生し、本体を飛行させることができる。この時、回転翼が発生させる気流によって生じる風上側の気圧の低下に伴い、本体に連通する保持部の内部の空気が第3の通風部から外部に吸い出されるとともに、外部の空気が第2の通風部を介して本体の内部に吸い込まれる流れが形成される。これにより、飛行のために回転させる回転翼の回転動作を用いて、別途冷却機器を備える必要もなく、本体の内部だけでなく、保持部の内部にある電子部品等の部品を効率的に冷却することができる。
【0016】
請求項5に記載された飛行装置によれば、飛行するために回転翼を回転させると、外部から第2の通風部を経て本体の内部に流入した空気は、本体の内部で流通経路に沿って流れ、第1の通風部から本体の外部に流出する。ここで、本体内の流通経路には冷却すべき部品が配置されており、これら部品には流れる空気が当たって効率的な冷却が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】実施形態の飛行装置を斜め上方から見た斜視図である。
【
図7】実施形態の飛行装置を斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】実施形態の飛行装置の本体及び保持部の模式的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態の飛行装置の構成について
図1〜
図8を参照して説明する。
図1〜
図7に示すように、この飛行装置1は、概ね球状に突出した頂部2と、平坦な略星型の底部3と、頂部2と底部3をつなぐ凹面状の4つの側部4とによって概ね構成される本体5を有している。
図8に示すように、この本体5の内部は空洞であり、この内部には、この飛行装置1を飛行させるとともに、特定の任務を遂行させるために必要な制御部などの部品6が収納されている。部品6には、作動時に熱を発生する電子機器や電池等の電子部品類の他、各種機構等の機械部品類等も含まれる。本体5の底部3には、4本の脚7が周方向に45度間隔で取り付けられており、平坦な着陸面の上に本体5を水平に支持できるようになっている。
【0019】
図1〜
図7に示すように、本体5の球状の頂部2には、4本の保持部8が連結されている。
図2〜
図5に示すように、各保持部8は、本体5の頂部2の球状に合致した湾曲形状のアーム体であり、本体5の頂部2から下方に向けて延設されている。また、
図1及び
図6に示すように、各保持部8は、水平面内において45度間隔で配置されている。また、
図8に示すように、各保持部8の内部は空洞であり、本体5の内部に連通している。
【0020】
図1〜
図7に示すように、各保持部8の先端には、揚力を発生させる回転翼9が取り付けられている。各回転翼9は2枚で構成され、保持部8の先端に内蔵された図示しないモータに連結されている。
図1及び
図3〜
図6に示すように、4つの回転翼9は、各回転軸が互いに平行であり、各回転翼9の回転面PRは一致している。従って、飛行装置1が水平面上に着陸した状態において、各回転翼9の各回転面PRは共通の水平面内にあり、当該水平面は本体5の略半分の高さの位置にある。また、
図1、
図2及び
図6に示すように、各保持部8の先端には、4つの回転翼9を囲む保護部10が連結されており、回転翼9をカバーし、回転翼9が周囲の物体等に接触する危険性を減少させている。
【0021】
なお、この実施形態では、上述したように、4つの回転翼9は、各回転軸が互いに平行であり、各回転面PRが同一平面内にあるように配置されていたが、回転翼9の配置をこれに限定するものではない。例えば、各回転軸を、その延長線が本体5の頂部2の上方の1点で交差するように中央方向に傾斜させ、各回転面PRの下側が本体5側から外方に向くように傾斜した配置構成としてもよいし、各回転軸を、その延長線が本体5の底部3の下方の1点で交差するように中央方向に傾斜させ、各回転面PRの下側が本体5側に向かって内方に向くように傾斜した配置構成としてもよい。
【0022】
図8に示すように、保持部8の内部は空洞であり、この内部にも本体5と同様に必要な部品6等が収納されている。保持部8に収納された部品6としては、例えば作動時に熱を発生するESC(electric speed controller )等の電子機器が含まれる。このESCは、本体5の内部に収納された電池と、保持部8の先端に収納されたモータを接続する回路の中途に設けられ、制御部からの指示に基づいて電池からモータに与えられる電流を制御する装置であって、使用時には相応の発熱があるため冷却の必要性が高い部品であり、実施形態では、保持部8の中央部又はこれよりも本体5に近い側に配置されている。
【0023】
図6に示すように、各回転翼9の回転面PRにおける本体5の側部4の外形は、各回転翼9の回転軌跡Lに沿った凹状かつ円弧状の曲面とされている。そして、
図2〜
図5、
図7及び
図8に示すように、曲面とされた本体5の側部4には、回転面PRよりも上方の位置に、回転面PRと平行なスリット状の第1の通風部11が形成されている。第1の通風部11は貫通孔であり、本体5の内部と外部を連通している。ここで、回転面PRよりも上方の位置とは、回転翼9の回転によって発生する気流の風上側であり、回転面PRよりも下方の位置である気流の風下側に比べ、回転翼9の回転時には気圧が低くなる。
【0024】
図6及び
図7に示すように、本体5の底部3には、スリット状の第2の通風部12が形成されている。第2の通風部12も貫通孔であり、本体5の内部と外部を連通している。第2の通風部12は、回転面PRよりも下方の位置にあるが、この回転面PRよりも下方の位置とは、回転翼9の回転によって発生する気流の風下側であり、回転面PRよりも上方の位置である気流の風上側に比べ、回転翼9の回転時には気圧が高くなる。
【0025】
図6〜
図8に示すように、保持部8には、その中央部であって、回転翼9の回転面PRと対向する側に、保持部8の内部と外部を通風する第3の通風部13が形成されている。第3の通風部13は貫通孔であり、保持部8及び本体5の内部と外部を連通している。第3の通風部13は、回転翼9が先端の下側に取り付けられた保持部8の下面に設けられているので、回転翼9の回転面PRよりも上方の位置にある。この第3の通風部13の位置は、第1の通風部11が設けられた位置と同様、回転翼9の回転によって発生する気流の風上側であり、回転面PRよりも下方の位置である気流の風下側に比べ、回転翼9の回転時には気圧が低くなる。
【0026】
なお、
図3及び
図7に示すように、本体5の正面側には、カメラ14及び2個の照明装置15が取り付けられている。また、
図6及び
図7に示すように、本体5の底部3には、充電用の外部接続端子16が設けられており、着陸した場合に、地上の設備に設けられた充電用電極に接続できるようになっている。
【0027】
実施形態の飛行装置1の作用について
図8を中心に
図1〜
図7を参照しつつ説明する。
この飛行装置1において、回転翼9を回転させると、回転翼9の回転面PRを境界面として気流の風上側の気圧が、気流の風下側の気圧に比べて低くなり、これによって揚力が発生するので、本体5を上昇させ、又は空中で停止させ、又は飛行させることができる。
【0028】
この時、回転翼9が発生させる気流によって生じる風上側の気圧の低下に伴い、本体5の内部の空気が第1の通風部11から外部に吸い出されるとともに、外部の空気が第2の通風部12を介して本体5の内部に吸い込まれる流れが形成される。従って、本体5の内部では、第2の通風部12から第1の通風部11に至る空気の流通経路が形成され、その流通経路に沿って配置された部品6には空気の流れが当たり、これを冷却する。すなわち、部品6を冷却するための冷却機器を設けなくとも、飛行のために回転させる回転翼9の回転動作を用いて、本体5の内部に冷却空気の流れを作り、その流通経路中、又は経路近傍にある電子部品等の部品6を効率的に冷却することができる。
【0029】
また、この飛行装置1によれば、前述した通り、本体5の外形は前記回転翼9の回転軌跡Lに沿った曲面になっている。すなわち、回転翼9の回転面PRを仮想的な切断面とした場合、本体5の外形は前記回転翼9の回転軌跡Lに沿った形状、すなわち本体5の内方に凹となる円弧状となっている。このため、本体5の外形を平面等にした場合に比べて回転翼9の回転軌跡Lと本体5の隙間は微小であり、この隙間からは回転面PRよりも下側(風下側)に一旦押し出された空気が戻りにくくなるため、回転面PRよりも上側(風上側)において本体5の近傍で発生する負圧は本体5の前記曲面に配置された第1の通風部11や保持部8に配置された第3の通風部13から空気をより吸い出すように効果的に作用する。
【0030】
さらに、当該曲面に形成した第1の通風部11の形状は、回転翼9の回転方向に沿った横長のスリット形状となっている。すなわち、第1の通風部11の形状を回転翼9の回転方向に沿わないように例えば縦長に配置された同等のスリット形状よりも、回転翼9を回転させたときに第1の通風部11を介して本体5の内部から外部に向かう気流をより効率的に生じやすくする位置に第1の通風部11を配置できる。従って、当該曲面に横長に形成された第1の通風部11にはより強い負圧が作用し、第1の通風部11から本体5の外には強い力で空気が吸い出される。換言すれば、本体5の内部から外部に向かう気流が生じやすくなる。このため、本体5の内部に空気の流れを確実に発生させることができ、本体5の内部にある部品6の冷却効果をさらに高めることができる。
【0031】
また、回転翼9が発生させる気流によって、第2の通風部12から第1の通風部11に至る空気の流通経路が本体5の内部に形成されるとともに、本体5の第2の通風部12から、本体5に連通する保持部8に形成された第3の通風部13に至る空気の流通経路も形成される。このため、本体5の内部にある部品6だけでなく、保持部8の内部にある電子部品6等の部品6も効率的に冷却することができる。
【0032】
なお、本体5及び保持部8の内部に配置する部品6は、互いに密集させずに適当な間隔をおき、かつその隙間が、第2の通風部12から第1の通風部11及び第3の通風部13に至る経路を構成するように配置するものとしてもよい。このようにすれば、第2の通風部12から本体5の内部に流入した空気が、これら部品6と部品6の間をに構成された多様に分岐した流通経路を流れ、結果としてより多くの部品6を効果的に冷却することができる。
【0033】
以上、本発明に係る実施形態について説明をしたが、本発明は、上記の実施形態の他、種々の実施形態として実現可能である。
例えば、上述の実施形態では、回転翼9を4つ有する飛行装置、いわゆるクワッドコプター(quadcopter)を例に説明をしたが、本体5の周囲に回転翼9が3つ配置されるトライコプター(tricopter )など、本体5の周囲に回転翼9を複数有する飛行装置、いわゆるマルチコプター(multicopter )などに適用することが可能である。
【0034】
また、上述の実施形態では、4つある回転翼9に対応する側部4の全てについて第1の通風部11を設けたが、全ての側部4に設けなくてもよい。飛行装置1に必要な冷却効率を実験的に調べ、その必要となる効率に応じ、複数の側部4のうち、1〜3つのいずれかの側部4について第1の通風部11を適宜設けることとしてもよい。また、第3の通風部13についてもこれと同様で全ての保持部8に設けなくてもよい。
【0035】
さらに、第1の通風部11は回転翼9の回転面PRよりも上側(風上側)であって本体5に設けられればよく、上述の実施形態の
図3〜5で示した位置に限られるものではない。第1の通風部11の位置は、例えば、
図3〜5で示した位置よりも上方の側部4に設けてもよい。そして、第2の通風部12についても、回転翼9の回転面PRよりも下側(風下側)であって本体に設けられればよく、上述の実施形態の
図6及び
図7で示した位置に限られるものではない。例えば、
図3〜5において回転面PRよりも下側の本体5の側部4に設けてもよい。また、第1の通風部11は、回転翼9の回転面PRよりも上側(風上側)に設けるのが、内部から空気を吸い出す効果を効率的に得られるが、これに限られず、回転面PRの下側(風下側)であっても、
図8に示した回転翼9の回転面PR近傍に相当する側部4に第1の通風部11を設けていれば、内部から外部に吸い出す効果を得ることができる。なお、この場合の第1の通風部11を回転面PR近傍のどの位置に配置するかについては、回転翼9の回転面PRの上側(風上側)から下側(風下側)に流れる空気流によって本体5の内部から外部へと空気が吸い出される効果を得られる位置であればよく、第1の通風部11を回転翼9の回転面PR近傍のさまざまな位置に配置して吸い出しの効果を実験的に確認できる位置に設ければよい。
【0036】
また、上述の実施形態では、第1の通風部11及び第2の通風部12を長丸状のスリット状、第3の通風部13を略円形に配置された複数の丸孔とした形状とし、そして、図示したような大きさとしているが、これらの通風部の形状や大きさは、回転翼9の回転面PRの上側(風上側)から下側(風下側)に流れる空気流による吸い込み又は吸い出しの効果を得られることを実験的に確認した形状や大きさとすればよい。例えば、形状については、第1の通風部11は、第3の通風部13のように略円形に配置された複数の丸孔としたり、回転翼9の回転方向に沿って第1の通風部11を形成する場合には、回転翼9の回転方向に沿って複数の丸孔を直列となるように配置したりするようにしてもよい。また、第2の通風部12も、第3の通風部13のように略円形に配置された複数の丸孔などとしてもよい。さらに、第3の通風部13は、第1の通風部11や第2の通風部12のようにスリット状としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…飛行装置
4…回転翼の回転軌跡に沿った曲面とされた側部
5…本体
6…部品
8…保持部
9…回転翼
11…第1の通風部
12…第2の通風部
13…第3の通風部
PR…回転翼の回転面