特許第6469500号(P6469500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6469500神経再生チューブ及び神経再生チューブの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469500
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】神経再生チューブ及び神経再生チューブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/14 20060101AFI20190204BHJP
   A61L 27/44 20060101ALI20190204BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20190204BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20190204BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   A61L27/14
   A61L27/44
   A61L27/54
   A61L27/56
   A61L27/58
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-76177(P2015-76177)
(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公開番号】特開2016-195642(P2016-195642A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2018年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 英隆
(72)【発明者】
【氏名】成富 友紀
(72)【発明者】
【氏名】坂元 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】高松 聖仁
(72)【発明者】
【氏名】上村 卓也
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−019196(JP,A)
【文献】 特開2014−014382(JP,A)
【文献】 新居浜工業高等専門学校紀要, 2010, Vol.46, pp.13-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00−33/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなり、内面側から前記生体吸収性高分子からなる発泡体、前記生体吸収性高分子からなる補強材、前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の順に配置されている神経再生チューブを製造する方法であって、
予め調製した生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の内側に、予め調製した生体吸収性高分子からなる補強材を挿入し、複合体を得る工程(A)と、前記複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)と、前記複合固定芯体を生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて生体吸収性高分子からなる発泡体を形成させる工程(C)と、得られた神経再生チューブを円筒芯体から取り外す工程(D)とを有する
ことを特徴とする神経再生チューブの製造方法。
【請求項2】
生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなり、内面側から前記生体吸収性高分子からなる発泡体、前記生体吸収性高分子からなる補強材、前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の順に配置され、更に、前記生体吸収性高分子からなる発泡体と前記生体吸収性高分子からなる補強材との間にも前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体が配置されている神経再生チューブを製造する方法であって、
予め調製した生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の内側に、予め調製した生体吸収性高分子からなる補強材を挿入し、更に該補強材の内側に、予め調製した生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体を挿入し、複合体を得る工程(A’)と、前記複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)と、前記複合固定芯体を生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて生体吸収性高分子からなる発泡体を形成させる工程(C)と、得られた神経再生チューブを円筒芯体から取り外す工程(D)とを有する
ことを特徴とする神経再生チューブの製造方法。
【請求項3】
生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなり、内面側から前記生体吸収性高分子からなる発泡体、前記生体吸収性高分子からなる補強材、前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の順に配置されており、細胞接着性因子を含有する神経再生チューブを製造する方法であって、
予め調製した生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の内側に、予め調製した生体吸収性高分子からなる補強材を挿入し、複合体を得る工程(A)と、前記複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)と、前記複合固定芯体を細胞接着性因子を含有する生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて生体吸収性高分子からなる発泡体を形成させる工程(C)と、得られた神経再生チューブを円筒芯体から取り外す工程(D)とを有する
ことを特徴とする神経再生チューブの製造方法。
【請求項4】
生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなり、内面側から前記生体吸収性高分子からなる発泡体、前記生体吸収性高分子からなる補強材、前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の順に配置されており、細胞成長因子を含有する神経再生チューブを製造する方法であって、
予め調製した生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の内側に、予め調製した生体吸収性高分子からなる補強材を挿入し、複合体を得る工程(A)と、前記複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)と、前記複合固定芯体を細胞成長因子を含有する生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて生体吸収性高分子からなる発泡体を形成させる工程(C)と、得られた神経再生チューブを円筒芯体から取り外す工程(D)とを有する
ことを特徴とする神経再生チューブの製造方法。
【請求項5】
生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなり、内面側から前記生体吸収性高分子からなる発泡体、前記生体吸収性高分子からなる補強材、前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の順に配置されており、内面にシュワン細胞が播種された神経再生チューブを製造する方法であって、
予め調製した生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の内側に、予め調製した生体吸収性高分子からなる補強材を挿入し、複合体を得る工程(A)と、前記複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)と、前記複合固定芯体を生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて生体吸収性高分子からなる発泡体を形成させる工程(C)と、得られた神経再生チューブを円筒芯体から取り外す工程(D)と、前記神経再生チューブの内面に、培養液に懸濁させたシュワン細胞の懸濁液を播種する工程(E)とを有する
ことを特徴とする神経再生チューブの製造方法。
【請求項6】
生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなり、内面側から前記生体吸収性高分子からなる発泡体、前記生体吸収性高分子からなる補強材、前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の順に配置されており、内面にiPS細胞及び/又はiPS細胞から誘導された細胞が播種された神経再生チューブを製造する方法であって、
予め調製した生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の内側に、予め調製した生体吸収性高分子からなる補強材を挿入し、複合体を得る工程(A)と、前記複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)と、前記複合固定芯体を生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて生体吸収性高分子からなる発泡体を形成させる工程(C)と、得られた神経再生チューブを円筒芯体から取り外す工程(D)と、前記神経再生チューブの内面に、培養液に懸濁させたiPS細胞及び/又はiPS細胞から誘導された細胞の懸濁液を播種する工程(E)とを有する
ことを特徴とする神経再生チューブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性を有し人体の屈曲作用を受ける部位にも適用可能であり、かつ、キンキング(折れる現象)によって閉塞することなく、潰れが生じない高い圧縮特性を有する、神経が再生する過程に有する期間に完全には吸収されず、再生過程終了後に吸収される神経再生チューブ、及び、該神経再生チューブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体機能が失われたり、大きく損傷してしまったりした場合の治療方法として、生体吸収性材料を用いて生体組織を復元する、いわゆる再生医療の研究が行われている。生体吸収性材料は、移植後に分解して最終的に自己組織に置き換わることから、非吸収性材料のように異物として認識されたり、炎症等の原因となったりしにくいことから、患者のQOLを向上させることができる。
【0003】
生体吸収性材料を使用した再生医療の研究の一つに、神経の再生がある。一般的に、切断された神経再生には、切断された両端部から神経細胞の伸長に必要な管構造や貫通空間を必要とされている(非特許文献1)。そこで、生体吸収性材料からなる神経再生チューブを用いて、神経細胞の伸長に必要な管構造や貫通空間を提供する試みがなされている。
このような技術として、例えば特許文献1には、ラミニンとフィブロネクチン及びフィブロネクチンをコーティングしたコラーゲンファイバーの束からなる神経再生補助材が開示されている。また、特許文献2には、スポンジ、コイル等のコラーゲン支持体を用いる技術が開示されている。更に、特許文献3には、コラーゲン管状体中の内壁にコーラゲンスポンジを形成するとともに、コラーゲン繊維を充填させた器官再生用具が開示されている。
【0004】
人体には筋肉運動や関節の動きによって屈曲作用と同時に圧迫を受ける箇所が多数存在する。したがって、神経再生チューブには、キンキング(折れる現象)によって閉塞することなく、かつ、潰れが生じない高い圧縮特性が求められる(特許文献4)。しかしながら、従来の神経再生チューブは、切断された神経細胞の成長に必要な空間としての管構造や貫通空間を提供できるものの、硬質であることから直線部位にしか適用が困難であり、関節の動きによって屈曲作用を受ける部位には用いることができないという問題があった。一方、より柔軟な神経再生チューブを用いた場合には、外部からの圧迫に対して充分な強度を発揮させることが困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−237139号公報
【特許文献2】特開2001−70436号公報
【特許文献3】特開2005−237476号公報
【特許文献4】特開2005−143979号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of Neuropathology in Experimental Neurology, 41, 412−422(1982)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状を鑑み、柔軟性を有し人体の屈曲作用を受ける部位にも適用可能であり、かつ、キンキング(折れる現象)によって閉塞することなく、潰れが生じない高い圧縮特性を有する、神経が再生する過程に有する期間に完全には吸収されず、再生過程終了後に吸収される神経再生チューブ、及び、該神経再生チューブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなる神経再生チューブであって、前記神経再生チューブの内面側から前記生体吸収性高分子からなる発泡体、前記生体吸収性高分子からなる補強材、前記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体の順に配置されており、前記神経再生チューブを5cmの長さに切断したサンプルの両端から徐々に力を加えてU字状に湾曲させていき、完全に折れ曲がったときの両端の距離W(cm)を測定したときに、下記式(1)により算出した湾曲率が50〜100%である耐キンキング性を有する神経再生チューブである。
湾曲率(%)=(1−W/5)×100 (1)
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の神経再生チューブは、生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体、生体吸収性高分子からなる発泡体、及び、生体吸収性高分子からなる補強材からなる。
本発明者らは、柔軟性に優れ人体の屈曲作用を受ける部位にも適用可能な神経再生チューブとして、生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体と生体吸収性高分子からなる発泡体とからなり、内面が上記発泡体である神経再生チューブを検討してきた。管状の繊維集合体は、神経が再生される間、再生神経軸索の成長に必要な空間を提供し、侵入した結合組織等により阻まれて神経の再生が停止してしまうのを防ぐ役割を果たす。一方、神経再生チューブの内面に配置された発泡体は、神経軸索の再生を誘導する役割を果たす。
本発明者らは、更に鋭意検討の結果、このような神経再生チューブを、生体吸収性高分子からなる補強材によって補強することにより、人体の屈曲作用を受ける部位にも適用可能な柔軟性を維持しながら、キンキング(折れる現象)によって閉塞することなく、潰れが生じない高い圧縮特性を発揮できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
上記生体吸収性高分子からなる管状の繊維集合体(以下、単に「管状の繊維集合体」ともいう。)は、移植後に神経が再生される間、侵入した結合組織等により阻まれて神経の再生を停止してしまうのを防ぐとともに耐キンキングの役割を有する。
上記管状の繊維集合体としては、組紐、織物、編物、不織布、ナノファイバー不織布、スパイラルメッシュ及びフィルムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、関節の動きによる屈曲作用に対し滑らかに追随でき、かつ、耐キンキング性に特に優れることから、組紐が好適である。
【0011】
上記組紐は、2本以上の紐を編んで織り上げた組紐であることが好ましい。このような組紐を用いることにより、より高い耐キンキング性を発揮できるとともに、移植後に瘢痕組織が侵入することを防止することができ、より効果的に再生神経の成長を促進することができる。これは、組紐を構成する紐の本数を多くすることにより、瘢痕組織が侵入する経路が狭まるためであると考えられる。上記組紐は、8本以上の紐を編んで織り上げた組紐であることがより好ましい。
【0012】
上記管状の繊維集合体を構成する繊維としては、ナノファイバー、モノフィラメント、マルチフィラメント、紐等の繊維や、シートや、不織布等が挙げられる。
上記管状の繊維集合体を構成する繊維の好ましい直径は10〜2000μmであり、より好ましい直径は50〜1000μmである。
【0013】
上記管状の繊維集合体を構成する生体吸収性高分子としては、合成生体吸収性高分子と天然生体吸収性高分子のいずれも使用することができる。
上記合成生体吸収性高分子としては、例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸(D体、L体、DL体)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン等の脂肪族ポリエステルや、乳酸−カプロラクトン共重合体、乳酸−グリコール酸共重合体、グリコール酸−トリメチレンカーボネート共重合体、グリコール酸−トリメチレンカーボネート−ジオキサノン共重合体、グリコール酸−トリメチレンカーボネート−ε−カプロラクトン共重合体等の脂肪族ポリエステルの共重合体や、ポリ−1,4−ジオキサノン−2−オン、ポリ−1,5−ジオキセパン−2−オン、エチレングリコール−脂肪族ポリエステル共重合体、脂肪族ポリエステルとポリエステルエーテルとの共重合体等のポリエステルエーテル等が挙げられる。
上記天然生体吸収性高分子としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギン酸等が挙げられる。
上記管状体の繊維集合体を構成する生体吸収性高分子としては、なかでも、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン又はこれらの共重合体等が好適である。
【0014】
上記生体吸収性高分子からなる発泡体(以下、単に「発泡体」ともいう。)は、本発明の神経再生チューブの内面に配置され、神経軸索の再生を誘導する役割を果たす。
上記発泡体の孔径は特に限定されないが、充分な神経軸索の再生を誘導する機能を発揮でき、かつ、シュワン細胞やiPS細胞を播種したときに、細胞が発泡体内及び発泡体上に接着し増殖することができることから、好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmであり、より好ましい下限は10μm、より好ましい上限は50μmである。
なお、上記微細小孔の平均孔径は、例えば、水銀圧入法や画像解析法等の従来公知の方法により測定することができる。
【0015】
上記発泡体を構成する生体吸収性高分子としては、上記管状の繊維集合体の場合と同様のものを用いることができる。なかでも、上記発泡体を構成する生体吸収性高分子としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン又はこれらの共重合体等が好適である。
【0016】
上記生体吸収性高分子からなる補強材(以下、単に「補強材」ともいう。)は、本発明の神経再生チューブを補強して、移植後に神経が再生するまでの期間、筋肉運動や関節の動きによる圧迫作用(圧縮)に抗し再生神経を潰れから保護する役割とともに、特に関節の動きによるキンキング(折れ曲がる現象)を上記管状の繊維集合体とともに防止する役割を有する。
【0017】
上記補強材は、関節の動きによる屈曲作用に対し滑らかに追随できるものであれば特に限定されないが、糸状体であることが好適である。
上記補強材が糸状体である場合、モノフィラメント糸であってもよく、マルチフィラメント糸であってもよいが、より高い圧迫力に抗して優れた耐キンキングを発揮できることから、モノフィラメント糸が好適である。
【0018】
上記補強材が糸状体である場合、該糸の直径は特に限定されないが、好ましい下限は0.05mm、好ましい上限は2.0mmである。上記糸の直径が0.05mm未満であると、充分な耐キンキング性が得られないことがあり、2.0mmを超えると、再生する神経の成長進路を塞いでしまう可能性がある。上記糸の直径より好ましい下限は0.1mm、より好ましい上限は1.5mmである。
【0019】
上記補強材が糸状体である場合、予め形状付与されたスパイラル状、リング状又はX字状に巻回された構造であることが好ましい。なかでも、上記管状の繊維集合体の内側に配置しやすいことから、スパイラル状に巻回された構造が好適である。
上記補強材がスパイラル状に巻回された構造又はリング状に巻回された構造である場合、その巻回ピッチの好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は10mmである。上記巻回ピッチが0.1mm未満であると、柔軟性に欠け、関節等の屈曲部への適用が難しくなることがあり、10mmを超えると、充分な補強効果が得られないことがある。上記巻回ピッチのより好ましい下限は1mm、より好ましい上限は8mmである。
【0020】
上記補強材を構成する生体吸収性高分子としては、上記管状の繊維集合体の場合と同様のものを用いることができる。なかでも、上記補強材を構成する生体吸収性高分子としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン又はこれらの共重合体等が好適である。
【0021】
本発明の神経再生チューブでは、内面側から上記発泡体、上記補強材、及び、上記管状の繊維集合体の順に配置される。
上記発泡体を神経再生チューブの最内面とすることにより、神経軸索の再生を誘導することができる。
また、上記補強材を上記管状の繊維集合体の内側に配置することにより、外部からの圧迫を受けたときに、上記管状の繊維集合体の面で圧力を受けることになり、圧迫の圧力に抗しやすく圧縮力が向上して、再生された神経の潰れに対する保護効果が高い。一方、補強材は内側より上記管状の繊維集合体を支えて、高い耐キンキング性を発揮する。また、本発明の神経再生チューブの生産効率の点でも有利である。
上記管状の繊維集合体とその内側に配置された上記補強材とは、必要に応じて糸による結節、加熱処理、溶剤接着等により完全一体化されてもよい。
【0022】
本発明の神経再生チューブは、更に、上記発泡体と上記補強材との間にも、上記管状の繊維集合体が配置されていてもよい。これにより、比較的早期に上記発泡体が分解した場合でも、内面に上記補強材がむき出しになって、神経軸索の再生を妨げたりすることを防止することができる。
【0023】
上記発泡体は、上記補強材及び上記管状の繊維集合体にまで及んでいてもよい。即ち、上記発泡体により上記管状の繊維集合体と上記補強材とが完全一体化された構造となっていることが好ましい。
より具体的には、本発明の神経再生チューブの断面を見たときに、少なくとも、内面は発泡体、次に補強材、次に発泡体、次に管状の繊維集合体の4層構造、又は、内面は発泡体、次に補強材、次に発泡体、次に管状の繊維集合体、最外層が発泡体の5層構造であってもよい。また、本発明の神経再生チューブの断面を見たときに、少なくとも、内面は発泡体、次に管状の繊維集合体、次に発泡体、次に補強材、次に発泡体、次に管状の繊維集合体の6層構造、内面は発泡体、次に管状の繊維集合体、次に発泡体、次に補強材、次に発泡体、次に管状の繊維集合体、最外層が発泡体の7層構造であってもよい。
また、上記管状の繊維集合体と補強材とが一体構造となっている場合には、少なくとも内面は発泡体、次に補強材、次に管状の繊維集合体の3層構造、又は、少なくとも内面は発泡体、次に補強材、次に管状の繊維集合体、最外層が発泡体の4層構造であってもよい。
また、本発明の神経再生チューブの断面を見たときに、少なくとも、内面は発泡体、次に管状の繊維集合体、次に補強材、次に管状の繊維集合体の4層構造、内面は発泡体、次に管状の繊維集合体、次に補強材、次に管状の繊維集合体、最外層が発泡体の5層構造であってもよい。
【0024】
本発明の神経再生チューブにおいて、上記管状の繊維集合体、補強材、発泡体の生体内での分解吸収期間は同一であってもよく、異なっていてもよい。筋肉運動や関節の動きによる圧迫作用に対し長期に耐え得ることから、上記管状の繊維集合体と補強材とは、上記発泡体よりも生体内での分解吸収期間が長い方が好ましい。
なお、上記管状の繊維集合体、補強材、発泡体の生体内での分解吸収期間は、生体吸収性高分子の種類や分子量等を選択することにより制御することができる。
【0025】
本発明の神経再生チューブの内径は、好ましい下限が0.3mm、好ましい上限が20mmである。上記内径が0.3mm未満であると、縫合時に管腔が塞がってしまうことがあり、20mmを超えると、中心部までに充分に栄養成分が行きわたらないことがある。上記内径のより好ましい下限は0.5mm、より好ましい上限は10mmである。
本発明の神経再生チューブの外径は、好ましくは下限が0.4mm、好ましい上限が30mmである。上記外径が0.4mm未満であると、縫合時に管腔が塞がってしまうことがあり、30mmを超えると、中心部までの充分に栄養成分が行きわたらないことがある。上記外径のより好ましい下限は0.6mm、より好ましい上限は15mmである。
なお、本発明の神経再生チューブにおける上記管状の繊維集合体、補強材、発泡体の厚みは、上記神経再生チューブ全体としての厚みを考慮して、適当に選択すればよい。
【0026】
本発明の神経再生チューブは、5cmの長さに切断したサンプルの両端から徐々に力を加えてU字状に湾曲させていき、完全に折れ曲がったときの両端の距離W(cm)を測定したときに、上記式(1)により算出した湾曲率が50〜100%である耐キンキング性を有する。湾曲率がこの範囲内であると、人体の屈曲作用を受ける部位にも適用したときにでも、キンキング(折れる現象)によって閉塞することなく、潰れが生じない高い圧縮特性を発揮することができる。上記湾曲率の好ましい下限は60%である。
【0027】
本発明の神経再生チューブは、更に、細胞接着性因子を含有することができる。細胞接着性因子を含有することにより、神経軸索の接着・伸長を促進し、その再生を促すことができる。
上記細胞接着性因子としては特に限定されず、例えば、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、神経細胞の特異抗体等が挙げられる。
上記細胞接着性因子は、例えば、上記繊維の表面や上記管状被覆材の内壁に、コーティング等の方法等により接着させることができる。
【0028】
本発明の神経再生チューブは、更に、細胞成長因子を含有させることができる。細胞成長因子を含有することにより、神経軸索の成長を促進し、その再生を促すことができる。
上記細胞成長因子としては、例えば、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)及びニューロトロフィン−4(NT−4)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)等が挙げられる。
上記細胞成長因子は、例えば、神経再生チューブの内壁に、物理的吸着や化学結合等の方法により付着させることができる。
【0029】
本発明の神経再生チューブは、更に、シュワン細胞を含有させることができる。シュワン細胞は、上述の細胞成長因子等を分泌することから、神経軸索の再生及び成長を促進し、その再生を促すことができる。
上記シュワン細胞としては、免疫反応による拒絶を防止する目的から、患者自身の細胞を用いることが好ましい。
上記シュワン細胞は、例えば、適当な培養液に懸濁させたシュワン細胞懸濁液を神経再生チューブの内面(発泡体)に播種する方法により、付着させることができる。
【0030】
本発明の神経再生チューブに、更に、iPS細胞及び/又はiPS細胞から誘導された細胞を含有させることができる。iPS細胞は、万能幹細胞であることから神経細胞そのものに分化し増殖し、神経の再生を促すことができる。
上記iPS細胞は、例えば、適当な培養液に懸濁させたiPS細胞懸濁液を神経再生チューブの内面(発泡体)に播種する方法により、付着させることができる。
【0031】
本発明の神経再生チューブを製造する方法は特に限定されないが、例えば、予め調製した上記管状の繊維集合体の内側に、予め調製した上記補強材を挿入し、複合体を得る工程(A)と、該複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)と、該複合固定芯体を生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて発泡体を形成させる工程(C)と、得られた神経再生チューブを円筒芯体から取り外す工程(D)とを有する方法により製造することができる。
このような神経再生チューブの製造方法もまた、本発明の1つである。
【0032】
本発明の神経再生チューブの製造方法では、まず、予め調製した上記管状の繊維集合体の内側に、予め調製した上記補強材を挿入し、複合体を得る工程(A)を行う。
上記管状の繊維集合体は、例えば、生体吸収性高分子からなる不織布を適当な芯棒に巻き付け、不織布同士が重なった部分を熱溶着して管状にする方法や、生体吸収性高分子からなる糸状体を原料にして、組紐機等の製造装置により筒網状に編み上げる方法等により調製することができる。
上記補強材がスパイラル状で巻回された糸状体である場合、該補強材は、例えば、適当な芯棒に生体吸収性高分子からなる糸状体を所望のピッチで巻き付け、適当な温度に加熱して形状を付与する方法等により調製することができる。
【0033】
上記工程(A)では、上記方法により予め調製した管状の繊維集合体の内側に、補強材を挿入し、複合体を得る。上記管状の繊維集合体の内径と上記スパイラル状で巻回された糸状体の外径との関係は、上記スパイラル状で巻回された糸状体が上記管状の繊維集合体の内側に配置できればよい。
【0034】
本発明の神経再生チューブが、更に、上記発泡体と上記補強材との間にも上記管状の繊維集合体が配置されていている場合には、上記工程(A)に代えて、予め調製した上記管状の繊維集合体の内側に、予め調製した上記補強材を挿入し、更に該補強材の内側に、予め調製した上記管状の繊維集合体を挿入し、複合体を得る工程(A’)を行う。
ここで、補強材の内側に管状の繊維集合体を挿入する際には、先に両端を引っ張って管状の繊維集合体の直径を小さくしておけば、容易に補強材の内側に管状の繊維集合体を挿入することができる。
【0035】
本発明の神経再生チューブの製造方法は、必要に応じて更に、上記工程(A)(又は工程(A’))で得られた複合体を、糸で複合体の一部を結節させたり、全体的に結節させたり、超音波接着で複合体の一部又は全部を溶融接着させたり、複合体全体を形状が崩れない程度の適当な温度に加熱して複合体の一部又は全体を加熱接着させたり、複合体の一部又は全体を適当な溶剤で接着させたり方法により一体化させる、工程(A−2)を有していてもよい。
【0036】
本発明の神経再生チューブの製造方法は、次いで、工程(A)(又は工程(A’))で得られた複合体を円筒芯体の外側に固定して複合体固定芯体を得る工程(B)を行う。
上記工程(B)においては、上記複合体は筒状芯体の外側に密着するように外嵌してもよい。この場合、後述する工程 (C)において上記複合体の開口部から生体吸収性高分子溶液が侵入して発泡体が形成されることから、上記複合体を外層に含む構造の神経再生チューブが得られる。
また、上記工程(B)においては、筒状芯体の所定の位置(例えば神経再生チューブの長さに対応する位置)に、複合体を固定するための着脱可能な突出部(例えば放射状の突起、ドーナツ状の鍔等)を設けることにより、筒状芯体から離れた位置に複合体を固定してもよい。この場合、複合体と筒状芯体の隙間に生体吸収性高分子溶液が侵入するように、複合体又は上記突起部において開口を有することから、複合体と発泡体とが一体となった(複合体が発泡体で囲まれた)構造の神経再生チューブが得られる。
【0037】
本発明の神経再生チューブの製造方法は、次いで、上記工程(B)で得られた複合固定芯体を、生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて発泡体を形成させる工程(C)を行う。
【0038】
上記工程(C)においては、生体吸収性高分子溶液浸漬時に上記複合体にできる限りダメージを与えないことが重要である。従って、上記工程(C)で用いる生体吸収性高分子溶液は、発泡体を構成する生体吸収性高分子を溶解でき、かつ、上記複合体を構成する高分子をできるだけ溶かさない溶媒を用いて調製することが好ましい。該溶媒が複合体を構成する高分子を溶解し得る場合には、該溶媒の濃度が飽和溶解度に近くなるように濃度や温度を調整するか、合成生体吸収性高分子溶液に複合体固定芯体を浸漬する時間をできるだけ短くし浸漬後速やかに凍結乾燥するか、又は、上記複合体を溶融しない適度な温度での加熱処理(アニーリング処理)により結晶化度を高め、該溶媒に対する溶解性を抑制させることもできる。
【0039】
上記生体吸収性高分子溶液は、上記発泡体を構成する生体吸収性高分子に対する良溶媒のほか、該良溶媒と貧溶媒との混合溶媒を用いることができる。
上記生体吸収性高分子に対する良溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。
上記生体吸収性高分子に対する貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。
【0040】
上記生体吸収性高分子溶液の濃度の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は20重量%である。この範囲内であれば、凍結乾燥により発泡体を形成することができる。上記生体吸収性高分子溶液の濃度のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0041】
本発明の神経再生チューブが細胞接着因子及び/又は成長因子を含有する場合には、上記生体吸収性高分子溶液に、細胞接着因子及び/又は成長因子を所定の濃度で配合しておけばよい。
【0042】
上記工程(C)においては、上記生体吸収性高分子溶液に浸漬した後、凍結乾燥させて発泡体を形成させる。凍結乾燥の凍結温度や、生体吸収性高分子溶液の濃度等によって種々の孔径を有する発泡体を調製することができる。
上記工程(C)にて発泡体が形成された後、上記工程(D)において円筒芯体から外して神経再生チューブを得ることができる。
【0043】
本発明の神経再生チューブがシュワン細胞及び/又はiPS細胞及び/又はiPS細胞から誘導された細胞を含有する場合には、得られた神経再生チューブの内面(発泡体)に、適当な培養液に懸濁させたシュワン細胞及び/又はiPS細胞及び/又はiPS細胞から誘導された細胞の懸濁液を播種する工程(E)を行えばよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、柔軟性を有し人体の屈曲作用を受ける部位にも適用可能であり、かつ、キンキング(折れる現象)によって閉塞することなく、潰れが生じない高い圧縮特性を有する、神経が再生する過程に有する期間に完全には吸収されず、再生過程終了後に吸収される神経再生チューブ、及び、該神経再生チューブの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0046】
(実施例1)
ポリ乳酸からなる40デニールのマルチフィラメントからなる紐を12本用いて、組紐機により製紐し、管状の組紐を得た。一方、ポリ乳酸からなる直径0.3mmのモノフィラメント糸を、ステンレス製ロッドに2mmピッチで巻回し、この状態で150℃、14時間加熱処理して、スパイラル状で巻回された糸状体を得た。得られたスパイラル状で巻回された糸状体を、管状の組紐の内側に挿入し複合体を作製した。
次いで、得られた複合体を、ガラス棒の外側に固定して複合体固定芯体を得た。
【0047】
得られた複合体固定芯体を、乳酸−ε−カプロラクトン共重合体(モル比50/50)のジオキサン溶液(5重量%)に浸漬した後、−40℃にて凍結してから、30℃、24時間凍結乾燥して発泡体を形成した。
その後、ガラス棒から取り外して、内面に乳酸−ε−カプロラクトン共重合体からなる発泡体、その次にスパイラル状で巻回されたポリ乳酸からなる糸状体からなる補強材、ポリ乳酸からなる組紐からなる管状の繊維構造体がこの順に配置された神経再生チューブを得た。
【0048】
(実施例2)
ポリ乳酸からなる40デニールのマルチフィラメントからなる紐を12本用いて、組紐機により製紐し、管状の組紐を2本得た。一方、ポリ乳酸からなる直径0.3mmのモノフィラメント糸を、ステンレス製ロッドに2mmピッチで巻回し、この状態で150℃、14時間加熱処理して、スパイラル状で巻回された糸状体を得た。得られた管状の組紐の内側にスパイラル状で巻回された糸状体を挿入し、更に該糸状体の内側に管状の組紐を挿入して複合体を作製した。
次いで、得られた複合体を、ガラス棒の外側に固定して複合体固定芯体を得た。
【0049】
得られた複合体固定芯体を、乳酸−ε−カプロラクトン共重合体(モル比50/50)のジオキサン溶液(5重量%)に浸漬した後、−40℃にて凍結してから、30℃、24時間凍結乾燥して発泡体を形成した。
その後、ガラス棒から取り外して、内面から乳酸−ε−カプロラクトン共重合体からなる発泡体、ポリ乳酸からなる組紐からなる管状の繊維構造体、スパイラル状で巻回されたポリ乳酸からなる糸状体からなる補強材、及び、ポリ乳酸からなる組紐からなる管状の繊維構造体がこの順に配置された神経再生チューブを得た。
【0050】
(比較例1)
スパイラル状で巻回された糸状体を配置しなかった以外は、実施例1と同様にして、内面に乳酸−ε−カプロラクトン共重合体からなる発泡体、その次にポリ乳酸からなる組紐からなる管状の繊維構造体がこの順に配置された神経再生チューブを得た。
【0051】
(評価)
実施例及び比較例で得られた神経再生チューブについて、以下の方法で評価を行った。
結果を表1に示した。
【0052】
(1)湾曲率の評価
得られた神経再生チューブを5cmの長さに切断してサンプルを作製し、該サンプルの両端から徐々に力を加えて神経再生チューブをU字状に湾曲させていき、完全に折れ曲がったときのサンプル両端の距離W(cm)を測定した。下記式(1)により湾曲率(%)を算出した。また、同様の評価を、サンプルを90℃の恒温水槽中に24時間浸漬する促進加水分解後においても行った。
湾曲率(%)=(1−W/5)×100 (1)
【0053】
(2)圧縮強度の評価
得られた神経再生チューブを5mmの長さに切断してサンプルを作製し、該サンプルを圧縮試験機(島津製作所社製)により、直径が1/2になるまで圧縮させたときの試験力を測定し、下記式(2)により圧縮強度を算出した。また、同様の評価を、サンプルを90℃の恒温水槽中に24時間浸漬する促進加水分解後においても行った。
圧縮強度(kPa)=試験力(N)/(直径mm×5mm) (2)
【0054】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、柔軟性を有し人体の屈曲作用を受ける部位にも適用可能であり、かつ、キンキング(折れる現象)によって閉塞することなく、潰れが生じない高い圧縮特性を有する、神経が再生する過程に有する期間に完全には吸収されず、再生過程終了後に吸収される神経再生チューブ、及び、該神経再生チューブの製造方法を提供することができる。