(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(I−a)、(I−b)または(I−c)の化合物中で、請求項1記載の基(A-1)および(A-2)の基から選ばれる基が、*で示される位置に結合することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の電子素子。
式(I−a)、(I−b)または(I−c)の化合物は、請求項1記載の基(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)に加えて、さらなるアミノ基を含まないことを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載の電子素子。
式(I−a)、(I−b)または(I−c)の化合物は、請求項1記載の基(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)に加えて、さらなるカルバゾール基を含まないことを特徴とする、請求項1〜7何れか1項記載の電子素子。
有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれることを特徴とする請求項1〜8何れか1項記載の電子素子。
式(I−a)、(I−b)または(I−c)の化合物を含む有機層が、正孔輸送機能を有する層または発光層であることを特徴とする、有機エレクトロルミッセンス素子から選ばれる請求項9記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本出願は、有機層中に少なくとも一つの式(I)または(II)の化合物を含む電子素子に関する。
【0002】
本出願の意味での電子素子は、特に、機能性材料として有機半導体材料を含むいわゆる有機電子素子の意味で使用される。また、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)と以下に言及される他の電子素子の意味で使用される。
【0003】
有機半導体材料が機能性材料として用いられるOLEDの構造は、当業者に知られ、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。一般的に、用語OLEDは、有機材料を含み、電圧の印加により発光する電子素子の意味で使用される。
【0004】
電子素子、特に、OLEDの場合、特性データ、特に、寿命と効率を改善することにかなりの関心がある。ここで、重要な役割は、たとえば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層と発光層等の電子素子の正孔輸送機能を有する層によって果たされる。
【0005】
正孔輸送特性を有する新規な材料が、この目的のために引き続き探求されている。それらは、純粋物質として、さらなる材料と組み合わせて、主成分としてまたは副成分として前記層中で用いられることができる。正孔注入層、正孔輸送層および電子ブロック層においては、正孔輸送特性を有する材料は、典型的には、純粋物質として用いられる。しかしながら、それらは、ドープされたさらなる材料との混合物としてそのような層中で用いられることもできる。発光層、特に、燐光発光層中で、正孔輸送特性を有する材料は、好ましくは、さらなる材料、たとえば、エミッター材料と組み合わせて、層の主成分として用いられる。この場合、それらは、発光層のホスト材料と呼ばれる。
【0006】
前述の層中で正孔輸送特性を有する材料として、トリアリールアミンを用いることが、先行技術から知られている。これらは、たとえば、JP1995/053955、WO2006/123667およびJP2010/222268に記載されたとおりのモノトリアリールアミン、または、たとえば、US 7504163またはUS 2005/0184657に記載されたとおりのビス-もしくはポリ-アミンであり得る。このようなトリアリールアミン化合物の公知例は、とりわけ、N,N'-ジ-1-ナフチル-N,N'-ジフェニル-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)と4,4',4"-トリス-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)である。
【0007】
OLEDにおける正孔輸送化合物として、比較的複雑で非対称な構造を有するトリアリールアミン化合物の使用もまた、知られている(WO2011/021520)。これらの化合物は、ジベンゾフランまたは同様のアリール基に結合するトリアリールアミノ基を含んでいる。ここで、すべての場合に、唯一のトリアリールアミノ基が、化合物中に存在している。
【0008】
先行技術、たとえば、WO2011/004639には、二個のカルバゾール基がジベンゾフラン基に互いに反対に結合する化合物をさらに開示している。しかしながら、これらの化合物は、そのHOMO位置により、正孔輸送材料としてより適してはいない。
【0009】
これらの進歩にもかかわらず、それゆえ、電子素子での使用のための正孔輸送特性を有する化合物に対するニーズが引き続き存在する。特に、燐光OLEDで使用することを目的として、優れた正孔移動性と適切な三重項準位を有する化合物に対するニーズが引き続き存在する。さらに、化合物は、高いガラス転移温度を有する必要がある。前述した特性を有する化合物は、優れた特性データ、特に、高い効率と長い寿命を有するOLEDを得ることを可能とする。
【0010】
驚くべきことに、二個のトリアリールアミノ基もしくは一個のトリアリールアミノ基と一個のカルバゾール基がジベンゾフランもしくは同様のアリール基に「対面して」すなわち互いに反対に結合する化合物が、優れた正孔輸送特性を有することが、今回、見出された。さらに、それらは、燐光OLEDで使用することを目的として、優れた正孔移動性と適切な三重項準位を有する。またさらに、それらは、高いガラス転移温度を有し、OLEDでの薄い無定形有機層での使用に特に適したものである。
【0011】
このタイプの構造を有する個々の化合物は、先行技術(G.-Q.Li et al., Tetrahedron,2011,67,6804-6811)から知られているが、そこの技術的教示は、化合物の合成に限られている。そこには、その化合物を電子素子での機能性材料として用いる動機付けは存在しない。
【0012】
したがって、本発明は、アノード、カソードと少なくとも一つの式(I)または(II)の化合物を含む少なくとも一つの有機層を含む電子素子に関し;
【化1】
【0013】
ここで、以下の式から選ばれる基が、
【化2】
【0014】
*により示される位置に結合し;
式中
Eは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、C=O、O、S、S=O、SO
2およびNR
1から選ばれ;
Zは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1またはNであり;
Wは、出現毎に同一であるか異なり、C=O、O、S、S=O、SO
2およびNR
1から選ばれ;
Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい6〜13個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基から選ばれ;
Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい6〜13個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基から選ばれ;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、C=O、O、S、S=O、SO
2およびNR
1から選ばれ;
Yは、単結合であり;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R
2、CN、Si(R
2)
3、N(R
2)
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
2により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-R
2C=CR
2-、-C≡C-、Si(R
2)
2、C=O、C=S、C=NR
2、-C(=O)O-、-C(=O)NR
2-、NR
2、P(=O)(R
2)、-O-、-S-、SOもしくはSO
2で置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基R
1は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
2は、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり;
iは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり;
kは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ここで、式(C-1)の基毎の少なくとも一つの添え字kは、1であらねばならず、;
および、ここで、式(A-1)と式(A-2)の基から選ばれる基は、少なくとも一つの*で示される位置で結合しなければならず;
および、ここで、14個以上の芳香族環原子を有するさらなる縮合アリールもしくはヘテロアリール基は、化合物中に存在しない。
【0015】
ここで、縮合アリール基は、互いに縮合する、すなわち、一以上の芳香族結合を互いに共有する2以上の芳香族環を含むアリール基の意味で使用される。対応する定義は、ヘテロアリール基にあてはまる。縮合アリール基の例は、それらの環原子の数にかかわらず、ナフチル、アントラセニル、ピレニル、フェナントレニルおよびペリレニルである。縮合ヘテロアリール基の例は、キノリニル、インドリル、カルバゾリルおよびアクリジニルである。
【0016】
本出願のテキストでの化学基の一般的な定義は、以下のとおりである。
【0017】
本発明の意味での、アリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個は、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0018】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(環縮合)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本発明の意味での縮合(環縮合)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0019】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0020】
本発明の定義にしたがうアリールオキシ基は、酸素を介して結合する上記記載のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリール基に当てはまる。
【0021】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp
3混成のC、Si、NあるいはO原子、sp
2混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、10%より少ない)により連結されていてもよい構造の意味で使用される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0022】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記定義した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0023】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0024】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本説明の目的のために、特に、二個の基が化学結合により互いに結合することの意味で使用される。しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成することの意味で使用される。
【0025】
基Eは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、C(R
1)
2、C=O、O、SおよびNR
1から選ばれる。特に、好ましくは、単結合、OおよびSから選ばれる。
【0026】
二個を超えない隣接する基Zは、Nであることが好ましい。さらに好ましくは、芳香族環中の二個を超えない基Zは、Nである。Zは、一般的に、特に、好ましくは、CR
1である。
【0027】
基Wは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、O、SおよびNR
1から選ばれる。特に、好ましくは、OおよびSから選ばれる。
【0028】
基Ar
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい6〜10個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基から選ばれる。Ar
1は、特に、好ましくは、それぞれ、1以上の基R
1により置換されてよいフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジニルおよびトリアジニルから選ばれる。
【0029】
基Ar
2は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい6〜10個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基から選ばれる。Ar
2は、特に、好ましくは、1以上の基R
1により置換されてよいフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジニルおよびトリアジニルから選ばれる。
【0030】
基Xは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、C(R
1)
2、C=O、O、SおよびNR
1から選ばれる。
【0031】
R
1は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R
2)
3、N(R
2)
2、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基R
2により置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH
2基は、-C≡C-、-R
2C=CR
2-、Si(R
2)
2、C=O、C=NR
2、-NR
2-、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NR
2-で置き代えられてよい。)または、1以上の基R
2により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基R
1は、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0032】
添え字nは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、0または1、特に、好ましくは、0である。
【0033】
添え字iは、好ましくは、0である。
【0034】
式(I)または(II)の化合物に対して、式(A-1)および(A-2)の基から選ばれる基が、*で示される位置に結合することが、さらに好ましい。
【0035】
式(I)または(II)の化合物は、10個を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まないことが、さらに好ましい。
【0036】
式(I)または(II)の化合物は、基(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)に加えて、さらなるアミノ基を含まないことが、さらに好ましい。
【0037】
式(I)または(II)の化合物は、基(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)に加えて、さらなるカルバゾール基を含まないことが、さらに好ましい。
【0038】
式(I)または(II)の化合物は、電子不足ヘテロアリール基を含まないことが、さらに好ましい。本発明の目的のために、電子不足ヘテロアリール基は、一以上の窒素原子を有する複素環式芳香族六員環および二以上のヘテロ原子、特に、N、OおよびSから選ばれるヘテロ原子を有する複素環式芳香族五員環の意味で使用される。
【0039】
式(I)の化合物は、好ましくは、以下の式(I-1)〜(I-4)の化合物である。
【化3】
【0040】
式中E
1は、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、C=O、O、S、S=O、SO
2およびNR
1から選ばれ;ここで、式(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)の基から選ばれる基は、*により示される位置に結合し、および基(A-1)および(A-2)の基から選ばれる基は、少なくとも一つの*により示される位置に結合し、全ての他の記号は上記で定義されるとおりである。
【0041】
本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0042】
E
1は、好ましくは、C(R
1)
2、C=O、O、SおよびNR
1から選ばれる。
【0043】
式(I)の化合物は、特に、好ましくは、以下の式(I-a)〜(I-w)の化合物であり、
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【0044】
式中、化合物は、全ての遊離位置で基R
1により置換されてよく、および
ここで、式(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)の基から選ばれる基は、*により示される位置に結合し、および基(A-1)および(A-2)の基から選ばれる基は、少なくとも一つの*により示される位置に結合する。
【0045】
本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0046】
特に、好ましいのは、式(I-a)および(I-b)の化合物である。
【0047】
式(II)の化合物は、好ましくは、式(II-1)〜(II-3)の化合物であり、
【化5】
【0048】
式中、E
1は、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、C=O、O、S、S=O、SO
2およびNR
1から選ばれ;ここで、式(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)の基から選ばれる基は、*により示される位置に結合し、および基(A-1)および(A-2)の基から選ばれる基は、少なくとも一つの*により示される位置に結合し、全ての他の記号は上記で定義されるとおりである。
【0049】
本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0050】
E
1は、好ましくは、C(R
1)
2、C=O、O、SおよびNR
1から選ばれる。
【0051】
式(II)の化合物は、特に、好ましくは、以下の式(II-a)および(II-b)の化合物であり、
【化6】
【0052】
式中、化合物は、全ての遊離位置で基R
1により置換されてよく、
ここで、式(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)の基から選ばれる基は、*により示される位置に結合し、および基(A-1)および(A-2)の基から選ばれる基は、少なくとも一つの*により示される位置に結合する。
【0053】
本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0054】
本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0055】
式(A-1)の基は、好ましくは、以下の式(A-1-1)〜(A-1-6)の基に対応し、
【化7-1】
【化7-2】
【0056】
式中、出現する記号は、上記のとおり定義される。本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0057】
特に、式(A-1-1)〜(A-1-6)中のAr
1とAr
2は、好ましくは、同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよいフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジニルおよびトリアジニルから選ばれる。さらに、基Xは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、C(R
1)
2、C=O、O、SおよびNR
1から選ばれる。
【0058】
特に、好ましいものは、式(A-1-1)および(A-1-2)である。
【0059】
式(A-2)の基は、好ましくは、以下の式(A-2-1)〜(A-2-2)の基に対応すし、
【化8】
【0060】
式中、出現する記号は、上記のとおり定義される。本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0061】
特に、式(A-2-1)〜(A-2-2)中のAr
1は、好ましくは、同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよいフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジニルおよびトリアジニルから選ばれる。さらに、基Xは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、C(R
1)
2、C=O、O、SおよびNR
1から選ばれる。
【0062】
特に、好ましいものは、式(A-2-1)である。
【0063】
式(C-1)の基は、好ましくは、以下の式(C-1-1)〜(C-1-4)の基に対応し、
【化9】
【0064】
式中、出現する記号は、上記のとおり定義される。本出願で示される基の好ましい態様は、同様に好ましいとみなされる。
【0065】
特に、式(C-1-1)〜(C-1-4)中のAr
1とAr
2は、好ましくは、同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよいフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルから選ばれる。
【0066】
式(C-2)の基は、好ましくは、以下の式(C-2-1)の基に対応し、
【化10】
【0067】
式中、Ar
1は、同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよいフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジル、ピラジニルおよびトリアジニルから選ばれる
以下の構造が、本出願にしたがって、好ましい(表と組み合わせた以下のスキーム)。
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【化11-5】
【化11-6】
【化11-7】
【0068】
本出願で示された好ましい態様、特に、基(A-1)、(A-2)、(C-1)および(C-2)の好ましい態様は、上記表からの構造に当てはまる。
【0069】
以下の化合物が式(I)または(II)の化合物の例である。
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【化12-5】
【化12-6】
【化12-7】
【化12-8】
【0070】
本発明の化合物は、スキーム1-4で調製することができる。
【0071】
対応する一ボロン酸は、スズキカップリング(スキーム1)またはブッフバルトカップリング(スキーム2)と引き続くシリル化(aまたはb)により調製することができる。これらの一ボロン酸と対応するアリールブロミドもしくはアリールクロリドとのスズキカップリングによる反応は、対応する目標化合物をもたらす。
【化13】
【化14】
【0072】
さらなる可能性は、二ハロゲン化物と1当量の対応するアリールボロン酸の反応であり、引き続くスズキカップリングが所望の生成物をもたらし(スキーム3、代替a)、ここで、合成はスキーム1で示されるのと同じ工程を含む。
【0073】
さらなる可能性は、二ハロゲン化物と2当量の対応するアリールボロン酸の反応である(スキーム3、代替b)。
【化15】
【0074】
たとえば、ジベンゾフラン等の非官能化出発化合物から出発する合成経路が、以下に示される(スキーム4)。
【化16】
【0075】
化合物の合成のために示されたプロセスは、図解と理解されるべきである。当業者は、その一般的専門知識の範囲内で代替の合成経路を開発することができるであろう。
【0076】
本発明は、さらに、式(I)または(II)の化合物の電子素子、好ましくは、正孔輸送および/または発光層での使用に関する。
【0077】
本発明の電子素子は、好ましくは、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる。電子素子は、特に、好ましくは、OLEDである。
【0078】
式(I)または(II)の化合物を含む有機層は、好ましくは、正孔輸送機能を有する。特に、好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層または発光層である。
【0079】
本発明にしたがう正孔輸送層は、アノードと発光層との間に位置する正孔輸送機能を有する層である。
【0080】
本発明の意味での正孔注入層と電子ブロック層は、正孔輸送層の特定の態様の意味で使用される。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合、正孔注入層は、アノードに直接隣接するかまたはアノードの単一の被覆により分離されただけである正孔輸送層である。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合、電子ブロック層は、アノード側の発光層に直接隣接する正孔輸送層である。
【0081】
式(I)または(II)の化合物が、正孔輸送層、正孔注入層、励起子ブロック層もしくは電子ブロック層中で正孔輸送材料として使用されるならば、化合物は、純粋材料として、すなわち正孔輸送層中で100%の割合で使用することができるか、または一以上の他の材料と組み合わせて使用されることができる。好ましい態様によれば、式(I)または(II)の化合物を含む有機層は、一以上のp-ドーパントを追加的に含む。本発明にしたがうと、用いられるp-ドーパントは、好ましくは、混合物中の一以上のその他の化合物を酸化することができる有機電子受容性化合物である。
【0082】
p-ドーパントの特に、好ましい態様は、WO2011/073149、EP1968131、EP2276085、EP2213662、EP1722602、EP2045848、DE102007031220、US8044390、US8057712、WO2009/003455、WO2010/094378、WO2011/120709、US2010/0096600およびWO2012/095143に開示された化合物である。
【0083】
本発明のさらに好ましい態様では、式(I)または(II)の化合物は、US2007/0092755に記載されたとおりのヘキサアザトリフェニレン誘導体と組み合わせて、正孔輸送層中で正孔輸送材料として電子素子中に存在する。ここで、ヘキサアザトリフェニレン誘導体は、特に、好ましくは、別の層中で用いられる。
【0084】
さらに、式(I)または(II)の化合物を含む有機層は、発光層である。
【0085】
本発明のさらなる一態様では、式(I)または(II)の化合物は、一以上のドーパント、好ましくは、燐光ドーパントと組み合わせてマトリックス材料として電子素子中に存在する。
【0086】
用語燐光ドーパントは、典型的には、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0087】
適切な燐光発光ドーパントは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光ドーパントは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0088】
本発明の目的のためには、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。燐光ドーパントの例は、以下のセクションで示される。
【0089】
マトリックス材料とドーパントとを含む系中のドーパントは、混合物中でのその割合がより少ない成分の意味で使用される。対応して、マトリックス材料とドーパントとを含む系中のマトリックス材料は、混合物中でのその割合がより多い成分の意味で使用される。
【0090】
発光層中のマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層に対しては、50.0〜99.9体積%、好ましくは、80.0〜99.5体積%、特に、好ましくは、92.0〜99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0体積%である。
【0091】
対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1〜50.0体積%、好ましくは、0.5〜20.0体積%、特に、好ましくは、0.5〜8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0体積%である。
【0092】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含んでもよい。この場合にも、ドーパントは、一般的には、系中でのその割合がより少ないものであり、マトリックス材料は、系中でのその割合がより多いものである。しかしながら、個々の場合では、系中の個々のマトリックス材料の割合は、個々のドーパントの割合よりも少なくてよい。
【0093】
本発明のさらに好ましい態様では、式(I)または(II)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に、好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり、他方は電子輸送特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主としてまたは完全に結合されてもよく、さらなる混合マトリックス成分が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、特に、好ましくは、1:10〜1:1、非常に、特に、好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で用いられる。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0094】
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として特に適するマトリックス材料は、どの型のドーパントが混合マトリックス系に使用されるかに応じて、以下に示される燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料または蛍光ドーパントのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0095】
混合マトリックス系での使用のための好ましい燐光ドーパントは、以下に示される好ましい燐光ドーパントである。
【0096】
カソード、アノードおよび式(I)または(II)の化合物を含む層に加えて、電子素子は、さらなる層を含んでもよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合を含んでもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0097】
有機エレクトロルミッセンス素子の層配列は、好ましくは、以下である:
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
ここで、また、前記層の全てが、必ずしも存在する必要はないこと、および/またはさらなる層が追加的に存在してもよいことが、再度指摘されねばならない。
【0098】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色および黄色、オレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に、好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適するかもしれないことに注意する必要がある。
【0099】
本発明の素子の機能性層と機能性材料の好ましい態様は以下である。
【0100】
燐光ドーパントの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。
【0101】
燐光ドーパントの明確な例が、以下の表により示される。
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
【化17-4】
【化17-5】
【化17-6】
【化17-7】
【化17-8】
【化17-9】
【化17-10】
【化17-11】
【0102】
好ましい蛍光ドーパントは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいドーパントは、たとえば、WO 2006/10849もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンおよび、WO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。好ましいのは、同様に、WO2012/048780と未公開EP12004426.8に開示されたピレンアリールアミンである。好ましいのは、同様に、未公開EP12006239.3に開示されたベンゾインデノフルオレンアミンと未公開EP 13000012.8に開示されたベンゾフルオレンアミンである。
【0103】
好ましくは、蛍光ドーパントのための適切なマトリックス材料は、式(I)または(II)の化合物に加えて、種々のクラスの物質からである。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239)のクラスから選択される。特に、好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に、特に、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。さらに好ましいのは、WO2006/097208、WO2006/131192、WO2007/065550、WO2007/110129、WO2007/065678、WO2008/145239、WO2009/100925、WO2011/054442およびEP 1553154に開示されたアントラセン誘導体とEP1749809、EP1905754およびUS2012/0187826に開示されたピレン化合物である。
【0104】
燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料は、式(I)または(II)の化合物に加えて、たとえば、WO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627もしくはWO2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109、WO2011/000455もしくはWO2013/041176にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/15306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273もしくはWO2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、US2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107、WO2011/088877もしくはWO2012/143080にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO2012/048781にしたがうトリフェニレン誘導体、たとえば、WO2011/116865もしくはWO2011/137951にしたがうラクタムである。
【0105】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層中で、または電子ブロック層中でまたは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0106】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq
3、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq
4、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。されに、適切な材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0107】
特に、好ましい正孔輸送材料は、式(I)または(II)の化合物である。本発明のエレクトロルミッセンス素子の正孔輸送、正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896)にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847)にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくは未公開EP12000929.5にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、未公開出願EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、WO 2013/083216にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、WO 2011/1500011にしたがう)である。
【0108】
電子素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を含む合金と銀、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはAg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましいかもしれない。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0109】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましいかもしれない。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物の外部層、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウムから成ってもよい。
【0110】
製造中に、電子素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0111】
好ましい1態様では、本発明の電子素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0112】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0113】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(I)または(II)の化合物が、この目的のために必要である。高い溶解性は、化合物の適切な置換により成し遂げることができる。
【0114】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに、好ましい。
【0115】
したがって、本発明は、少なくとも一つの有機層が気相堆積により、または液相から適用されることを特徴とする本発明の電子素子の製造方法に関する。
【0116】
本発明にしたがって、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または美容用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0117】
例
A)合成例:
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で保護ガス雰囲気下で実施する。金属錯体をさらに遮光して取り扱う。溶媒及び試薬をたとえばSigma-ALDRICHまたはABCRから購入することができる。文献から公知の化合物についての角括弧中の番号はCAS番号に関連する。
【0118】
前駆体の合成:
例 Int-1:3-ジベンゾフラン-4-イル-9-フェニル-9H-カルバゾール
【化18】
【0119】
43.35g(204.1ミリモル)のジベンゾフラン-4-ボロン酸と、60g(186.2ミリモル)の3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールと、118.4ml(237ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、180mlのトルエンと、180mlのエタノールと、150mlの水との中に懸濁させる。3.9g(3.3ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は75.7g(181ミリモル)であり、理論値の96%に対応する。
【0120】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化19-1】
【化19-2】
【0121】
例 Int-2:ビスビフェニル-4-イルジベンゾフラン-4-イルアミン
【化20】
【0122】
700mlのトルエン中の43.92g(176ミリモル)の4-ブロモジベンゾフランと、47.41g(148ミリモル)のビスビフェニル-4-イルアミンとの脱気溶液を30分間、N
2で飽和させる。次いで、最初にP(tBu)
3のトルエン中の2.51ml(10.3ミリモル)の1M溶液と、次いで1.66g(7.3ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とをこの混合物に添加し、固体状態の21.24g(222ミリモル)のNaOtBuをその後、添加する。反応混合物を還流下で6時間加熱する。室温まで冷却後、500mlの水を慎重に添加する。水相を3×70mlのトルエンで洗浄し、MgSO
4で脱水し、溶媒を真空中で取り除く。粗生成物を次いで、ヘプタン/エチルアセテート(20:1)により、シリカゲルにおいてカラムクロマトグラフィーによって精製する。収率は70.91g(142.8ミリモル)であり、理論値の94%に対応する。
【0123】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化21-1】
【化21-2】
【0124】
例 Int-3:9-フェニル-3-(6-トリメチルシラニルジベンゾフラン-4-イル)-9H-カルバゾール
【化22】
【0125】
127ml(225.4ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)を、1000mlのTHF中、15℃に冷却された49g(121ミリモル)の3-ジベンゾフラン-4-イル-9-フェニル-9H-カルバゾールと28g(242ミリモル)のTMEDAとの溶液に滴下する。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで0℃に冷却し、26g(242ミリモル)のクロロトリメチルシランを30分間にわたって滴下し、その混合物を室温で16時間撹拌する。その後、溶媒を真空中で取り除き、残留物をトルエン:ジクロロメタン2:1により、シリカゲルにおいてカラムクロマトグラフィーによって精製する。収率:34g(72ミリモル)、理論値の60%。
【0126】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化23-1】
【化23-2】
【化23-3】
【0127】
例 Int-4:B-[6-(フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル]-ボロン酸
【化24】
【0128】
保護ガス下で、21g(86ミリモル)の三臭化臭素を500mlのジクロロメタン中の34g(72ミリモル)のB-[6-(フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル]ボロン酸の溶液に滴下し、その混合物を室温で10時間撹拌する。少量の水を次いで、ゆっくりとその混合物に滴下し、沈殿した残留物を濾過し、ヘプタンで洗浄する。収率は28g(62ミリモル)であり、理論値の86%に対応する。
【0129】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化25-1】
【化25-2】
【化25-3】
【0130】
例 Int-5:B-[6-(フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル]-ボロン酸
【化26】
【0131】
9g(32ミリモル)のB,B’-4,6-ジベンゾフランジイルビスボロン酸と、15g(31.6ミリモル)の3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールと、31ml(63ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノール中に懸濁させる。0.73g(0.63ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は11.1g(24ミリモル)であり、理論値の70%に対応する。
【0132】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化27】
【0133】
本発明による化合物の合成:
例6:ビフェニル-4-イル-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-{4-[6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ジベンゾフラン-4-イル]フェニル}アミン
【化28】
【0134】
32.1g(70ミリモル)のB-[6-(フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-4-ジベンゾフラニル]-ボロン酸と、36.12g(70ミリモル)のビフェニル-4-イル-(4-ブロモフェニル)-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミンと、78.9ml(158ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのエタノールと、100mlの水との中に懸濁させる。1.3g(1.1ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、ジクロロメタンをこの混合物に添加し、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過する、収率は40g(47ミリモル)であり、理論値の67.8%に対応する。残留物をトルエンから再結晶化させ、最終的に高真空中(p=5×10
−6ミリバール)で昇華させる。純度は99.9%である。
【0135】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化29-1】
【化29-2】
【化29-3】
【化29-4】
【化30】
【0136】
前駆体の合成:
例 Int-7:3-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール
【化31】
【0137】
10.43g(32ミリモル)のB-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸と、8.9g(31.6ミリモル)の4,6-ジブロモジベンゾフランと、31ml(63ミリモル)のNa
2CO
3(2M溶液)とを、120mlのトルエンと、120mlのエタノールとの中に懸濁させる。0.73g(0.63ミリモル)のPd(PPh
3)
4をこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる。収率は11.4g(23ミリモル)であり、理論値の73%に対応する。
【0138】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化32-1】
【化32-2】
【化32-3】
【0139】
本発明による化合物の合成:
以下の化合物を、対応するボロン酸との二重付加反応によって、同じように得ることができる:
【化33-1】
【化33-2】
【化33-3】
【化34】
【0140】
例8:ビスビフェニル-4-イル-(4-{1-[3-eth-(Z)-イリデン-7-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-3H-ジベンゾフラン-(2Z)-イリデン]エチル}フェニル)アミン
【化35】
【0141】
87g(180.1ミリモル)の3-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾールと、79g(180.7ミリモル)のB-[4-[ビス([1,1‘-ビフェニル]-4-イル]アミノ]フェニルボロン酸と、38.3g(180.7ミリモル)のリン酸カリウムとを、500mlのトルエンと、250mlの1,4-ジオキサンと、120mlの水中に懸濁させる。1.3g(4.1ミリモル)のトリ(o-トリル)ホスフィンと、次いで461mg(2ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とをその混合物に添加し、反応混合物を還流下で48時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、その度毎に100mlの水で三度洗浄し、蒸発させる。カラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/ジクロロメタン 3/1)による精製後、得られた発泡体を,エタノールを使用してジクロロメタン中で溶解させ沈殿させる。残留物をトルエンと、ジクロロメタンとから再結晶化させ、最終的に高真空中(p=5×10
−5ミリバール)で昇華させる。収率:129g(160ミリモル)、90%。HPLCによる純度約99%。
【0142】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化36-1】
【化36-2】
【化36-3】
【化37】
【0143】
例9:ビスビフェニル-4-イル-[4-(9,9’-ジフェニル-9H,9’H-[1,2’]ビカルバゾリル-8-イル)フェニル]アミン
【化38】
【0144】
40g(49.75ミリモル)のビスビフェニル-4-イル-[4-(9’-フェニル-9H,9’H-[1,2’]ビカルバゾリル-8-イル)フェニル]アミンと、16.7g(74.62ミリモル)のブロモベンゼンとをトルエン中に溶解させ、保護ガス中を通過させることにより脱気させる。4.9ml(トルエン中4.9ミリモル、1M溶液)のトリ-tert-ブチルホスフィンと、633.7mg(2.82ミリモル)のPd(OAc)
2と、10.2g(105.87ミリモル)のt-BuONaとをその後、添加する。固形分を前もって脱気させておき、反応混合物を後に脱気させ、その後、還流下で12時間撹拌する。温い反応溶液を酸化アルミニウムB(活性度1)を通して濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、蒸発させる。収率は29.9g(33.98ミリモル)であり、理論値の68%である。残留物をトルエンから再結晶化させ、最終的に高真空中(p=5×10
−5ミリバール)で昇華させる。純度は約99.9%である。
【0145】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化39】
【化40】
【0146】
前駆体の合成:
例 Int-10:ビスビフェニル-4-イル-(6-ブロモジベンゾフラン-4-イル)アミン
【化41】
【0147】
16.3g(50ミリモル)の4,6-ジブロモジベンゾフランと、19.2g(60ミリモル)のビスビフェニル-4-イルアミンと、7.7g(80ミリモル)のナトリウムtert-ブトキシドと、1.4g(5ミリモル)のトリシクロヘキシルアミンと、561mg(2.5ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、300mlのメシチレンとを還流下で24時間加熱する。冷却後、200mlの水を添加し、混合物をさらに30分間撹拌し、有機相を分離させ、短いセライトベッドを通して濾過し、次いで溶媒を真空中で取り除く。残留物をDMFから五度、再結晶化させ、最終的に二度、分別昇華にかける(pは約10
−6ミリバール)。収率:22.9g(40ミリモル)、81%。HPLCによる純度:99.9%。
【0148】
以下の化合物を同じように得ることができる:
【化42-1】
【化42-2】
【0149】
本発明による化合物の合成:
以下の化合物を、対応するボロン酸との第二付加反応によって、同じように得ることができる:
【化43】
【化44】
【0150】
B)素子例:OLEDの製造
本発明によるOLEDと先行技術にしたがうOLEDとが、WO 04/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、材料)に適合される。
【0151】
種々のOLEDのデータが、以下の本発明による例E1〜E5と、参照例V1〜V3で示されている。使用する基板は、厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板である。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/p−ドープされた正孔輸送層(HTL1)/正孔輸送層(HTL2)/p−ドープされた正孔輸送層(HTL3)/正孔輸送層(HTL4)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの製造に必要とされる材料については、表1に示されており、種々な素子構造は表2に示されている。
【0152】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、H1:SEB1(95%:5%)等の表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEB1が5体積%の割合で層中に在在することを意味する。同様に、電子輸送層または正孔注入層もまた、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0153】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表現「10mA/cm
2におけるEQE」は、電流密度10mA/cm
2での外部量子効率を示す。「50mA/cm
2におけるLT80(寿命)」は、OLEDの輝度が、50mA/cm
2の定電流で初期輝度の初期強度の80%に低下するまでの寿命である。
【化45-1】
【化45-2】
【表1】
【0154】
結果:
例は、正孔輸送層における正孔輸送材料としての本発明による化合物HTM1の使用について示している。
【0155】
比較素子V1を製造し、本発明による素子E1と比較する。素子V1は正孔輸送層HTL3において先行技術のHTMV1による化合物を有し、本発明による素子E1は正孔輸送層HTL3において正孔輸送材料としての本発明による化合物HTM1を有する。素子E1とV1の両者は発光層において蛍光化合物(SEB1)を有する。
【0156】
参照素子V1は、10mA/cm
2の電流密度において、7.8%の外部量子効率と、290時間の寿命(50mA/cm
2におけるLT80)を有する。比較により、本発明による素子E1の場合では、8.4%という10mA/cm
2の電流密度における外部量子効率はより高く、さらに320時間という測定された寿命(50mA/cm
2におけるLT80)も、より長い。
【0157】
比較素子V2を製造し、本発明による素子E2と比較する。素子V2は正孔輸送層HTL3において先行技術のHTMV1による化合物を有し、本発明による素子E2は正孔輸送層HTL3において正孔輸送材料としての本発明による化合物HTM1を有する。素子E1とV1の両者は発光層において燐光化合物(TEG)を有する。
【0158】
参照素子V2と比較すると、本発明による対応する素子E2は、19.4%という参照素子V2と比較して20.4%の(2mA/cm
2における)より高い量子効率と、120時間という参照素子E2と比較して180時間のより長い寿命(20mA/cm
2におけるLT80)との両者を示す。
【0159】
参照材料HTMV2(6.2%、135時間)と比較すると、青色蛍光OLEDにおいて正孔輸送材料として使用する場合、本発明による材料HTM2(7.4%、270時間)と、HTM3(9.2%、300時間と、HTM4(7.2%、210時間)は、10mA/cm
2におけるより良好な外部量子効率と、より良好な寿命(50mA/cm
2におけるLT80)を示す。
【0160】
例は、中央のリンカー基に対して「対面して」結合する2つのアリールアミノ基または1つのアリールアミノ基と1つのカルバゾール基を含む本発明による化合物HTM1〜HTM4の使用では、単一のアリールアミノ基HTMV1を含む化合物の使用あるいはジアミノ化合物HTMV2の使用と比べて、驚異的な利点があることを示している。
【0161】
例は、蛍光および燐光発光層と組み合わせて、正孔輸送材料として材料を使用することについての利点を示している。しかし、本発明をこの使用に限定しない。たとえば、化合物を、発光層においてマトリックス材料として比較的有効な効果をもって使用することもできる。
【0162】
C)ガラス転移温度の測定
T
G測定を(DSC測定用のTA−インストルメントQ2000シリーズインストルメントで行う)標準方法により行う。以下の結果が得られる(表3)。
【表2】
【0163】
本発明による材料HTM1は155℃の高いガラス転移温度を有し、このことはOLEDで使用する場合に非常に有利であることが分かった。本発明による化合物HTM2とHTM4も高いガラス転移温度を有する。対照的に、比較化合物HTMV1のガラス転移温度T
Gは非常に低い。