(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、待機モードにおける前記油圧ポンプの吐出圧を増大させることによって、前記油圧アクチュエータに負荷が掛かる前に、前記過給機による過給圧を増大させる、
請求項1に記載のショベル。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、
図1を参照して、本発明の実施例に係る建設機械としてのショベルについて説明する。なお、
図1は、本実施例に係るショベルの側面図である。
図1に示すショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン11等の動力源が搭載される。
【0012】
図2は、
図1のショベルの駆動系の構成例を示すブロック図であり、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気制御系をそれぞれ二重線、太実線、破線、及び点線で示す。
【0013】
ショベルの駆動系は、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、圧力センサ29、コントローラ30、圧力制御弁31、大気圧センサP1、吐出圧センサP2、過給圧センサP3、及び切換操作部50を含む。
【0014】
エンジン11は、ショベルの駆動源である。本実施例では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作する内燃機関としてのディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。なお、本実施例では、エンジン11には過給機11aが設けられている。過給機11aは、例えば、エンジン11からの排気を利用してタービンを回転させ、その回転力で遠心式圧縮機を駆動することにより吸気圧を増大させる(過給圧を発生させる)。なお、過給機11aは、エンジン11の出力軸の回転を利用して過給圧を発生させてもよい。この構成により、エンジン11は、負荷の増大に応じて過給圧を増大させ、エンジン出力を増大させることができる。
【0015】
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための装置であり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0016】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御するための装置である。本実施例では、レギュレータ13は、例えば、メインポンプ14の吐出圧、又はコントローラ30からの制御信号等に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
【0017】
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置26及び圧力制御弁31を含む各種油圧制御機器に作動油を供給するための装置であり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0018】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14が吐出する作動油の流れを制御する複数の流量制御弁を含む。そして、コントロールバルブ17は、それら流量制御弁を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給する。なお、油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(左用)、走行用油圧モータ1B(右用)、及び旋回用油圧モータ2Aを含む。
【0019】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施例では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダル(図示せず。)の操作方向及び操作量に応じた圧力である。
【0020】
圧力センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するためのセンサである。本実施例では、圧力センサ29は、例えば、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、操作装置26の操作内容は、圧力センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
【0021】
コントローラ30は、ショベルを制御するための制御装置である。本実施例では、コントローラ30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータで構成される。また、コントローラ30は、過給圧増大要否判定部300及び吸収馬力制御部301のそれぞれに対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、それぞれに対応する処理をCPUに実行させる。
【0022】
具体的には、コントローラ30は、圧力センサ29、大気圧センサP1、吐出圧センサP2、過給圧センサP3、切換操作部50等が出力する信号を受信する。そして、それらの信号に基づいて過給圧増大要否判定部300及び吸収馬力制御部301のそれぞれによる処理を実行する。その後、コントローラ30は、過給圧増大要否判定部300及び吸収馬力制御部301のそれぞれの処理結果に応じた制御信号を適宜にレギュレータ13、圧力制御弁31等に対して出力する。
【0023】
より具体的には、過給圧増大要否判定部300は、過給圧を増大させる必要があるか否かを判定する。そして、過給圧を増大させる必要があると過給圧増大要否判定部300が判定した場合、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御してメインポンプ14の吐出圧を増大させる。また、吸収馬力制御部301は、追加的に、レギュレータ13を調節してメインポンプ14の吐出量を増大させてもよい。
【0024】
圧力制御弁31は、コントローラ30が出力する指令に応じて動作する弁である。本実施例では、圧力制御弁31は、コントローラ30が出力する電流指令に応じてパイロットポンプ15からコントロールバルブ17内の特定の流量制御弁のパイロットポートに導入される制御圧を調整する電磁減圧弁である。コントローラ30は、その特定の流量制御弁を作動させてメインポンプ14が吐出する作動油の流れを制限することで、メインポンプ14の吐出圧を増大させる。
【0025】
このように、コントローラ30は、メインポンプ14の吸収馬力を自発的に増大させるために、メインポンプ14の吐出圧を増大させる。また、コントローラ30は、メインポンプ14の吸収馬力を自発的に増大させるために、追加的に、メインポンプ14の吐出量を増大させてもよい。なお、「吸収馬力を自発的に増大させる」は、掘削反力等の外力とは無関係に吸収馬力を増大させること、すなわち油圧負荷の増大が無いにもかかわらず吸収馬力を増大させることを意味する。
【0026】
大気圧センサP1は、大気圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。また、吐出圧センサP2は、メインポンプ14の吐出圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。また、過給圧センサP3は、過給機11aが発生させる過給圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0027】
切換操作部50は、コントローラ30がメインポンプ14の吸収馬力を自発的に増大させる機能(以下、「吸収馬力増大機能」とする。)の作動・停止を切り換えるスイッチであり、例えばキャビン10内に設置される。操作者は、切換操作部50をオン位置に切り換えることで吸収馬力増大機能を作動させ、切換操作部50をオフ位置に切り換えることで吸収馬力増大機能を停止させる。具体的には、コントローラ30は、切換操作部50がオフ位置に切り換えられると、過給圧増大要否判定部300及び吸収馬力制御部301の実行を停止させ、それらの機能を無効にする。
【0028】
ここで、
図3を参照しながら、メインポンプ14の吸収馬力を変化させる機構について説明する。なお、
図3は、
図1のショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す概略図である。
図3は、
図2と同様に、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気制御系を、それぞれ二重線、太実線、破線、及び点線で示す。
【0029】
図3において、油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14L、14Rから、センターバイパス管路40L、40R、パラレル管路42L、42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。なお、メインポンプ14L、14Rは、
図2のメインポンプ14に対応する。
【0030】
センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁171、173、175及び177を通る高圧油圧ラインである。センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁172、174、176及び178を通る高圧油圧ラインである。
【0031】
流量制御弁171は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を走行用油圧モータ1A(左用)へ供給し、且つ、走行用油圧モータ1A(左用)が吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0032】
流量制御弁172は、メインポンプ14Rが吐出する作動油を走行用油圧モータ1B(右用)へ供給し、且つ、走行用油圧モータ1B(右用)が吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0033】
流量制御弁173は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回用油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0034】
流量制御弁174は、メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
【0035】
流量制御弁175、176は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。また、本実施例では、流量制御弁175は、ブーム4の上げ操作が行われた場合にのみ作動し、ブーム4の下げ操作が行われた場合には作動しない。具体的には、流量制御弁175は、ブーム4の上げ操作が行われた場合、中央の弁位置(C)から右側の弁位置(R)に向かって移動する。一方で、流量制御弁175は、ブーム4の下げ操作が行われた場合であっても、中央の弁位置(C)から左側の弁位置(L)に向かって移動せず、中央の弁位置(C)に留まる。したがって、流量制御弁175の左側の弁位置(L)は他の用途に利用可能である。そのため、コントローラ30は、吸収馬力増大機能を作動させるために流量制御弁175の左側の弁位置(L)を利用する。
【0036】
流量制御弁177、178は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0037】
パラレル管路42Lは、センターバイパス管路40Lに並行する高圧油圧ラインである。パラレル管路42Lは、流量制御弁171、173、175の何れかによってセンターバイパス管路40Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の流量制御弁に作動油を供給する。また、パラレル管路42Rは、センターバイパス管路40Rに並行する高圧油圧ラインである。パラレル管路42Rは、流量制御弁172、174、176の何れかによってセンターバイパス管路40Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の流量制御弁に作動油を供給する。
【0038】
本実施例では、パラレル管路42Lの断面積はセンターバイパス管路40Lの断面積より小さい。そのため、パラレル管路42Lはセンターバイパス管路40Lに比べて作動油が流れにくい。また、センターバイパス管路40Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断されてパラレル管路42Lを通る作動油が増大した場合、メインポンプ14Lの吐出圧は増大する。また、ネガティブコントロール絞り18Lに至る作動油の流量も減少する。センターバイパス管路40R及びパラレル管路42Rについても同様である。
【0039】
レギュレータ13L、13Rは、メインポンプ14L、14Rの吐出圧に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。なお、レギュレータ13L、13Rは、
図2のレギュレータ13に対応する。具体的には、レギュレータ13L、13Rは、メインポンプ14L、14Rの吐出圧が所定値以上となった場合にメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないようにするためである。なお、以下では、この制御を「全馬力制御」と称する。
【0040】
アーム操作レバー26Aは、操作装置26の一例であり、アーム5を操作するために用いられる。また、アーム操作レバー26Aは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用して、レバー操作量に応じた制御圧を流量制御弁177、178のパイロットポートに導入させる。具体的には、アーム操作レバー26Aは、アーム閉じ方向に操作された場合に、流量制御弁177の右側パイロットポート177Rに作動油を導入させ、且つ、流量制御弁178の左側パイロットポート178Lに作動油を導入させる。また、アーム操作レバー26Aは、アーム開き方向に操作された場合には、流量制御弁177の左側パイロットポート177Lに作動油を導入させ、且つ、流量制御弁178の右側パイロットポート178Rに作動油を導入させる。
【0041】
ブーム操作レバー26Bは、操作装置26の一例であり、ブーム4を操作するために用いられる。また、ブーム操作レバー26Bは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用して、レバー操作量に応じた制御圧を流量制御弁175、176のパイロットポートに導入させる。具体的には、ブーム操作レバー26Bは、ブーム上げ方向に操作された場合に、流量制御弁175の右側パイロットポート175Rに作動油を導入させ、且つ、流量制御弁176の左側パイロットポート176Lに作動油を導入させる。一方、ブーム操作レバー26Bは、ブーム下げ方向に操作された場合には、流量制御弁175の左側パイロットポート175Lに作動油を導入させることなく、流量制御弁176の右側パイロットポート176Rにのみ作動油を導入させる。
【0042】
圧力センサ29A、29Bは、圧力センサ29の一例であり、アーム操作レバー26A、ブーム操作レバー26Bに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0043】
左右走行レバー(又はペダル)、バケット操作レバー、及び旋回操作レバー(何れも図示せず。)はそれぞれ、下部走行体1の走行、バケット6の開閉、及び、上部旋回体3の旋回を操作するための操作装置である。これらの操作装置は、アーム操作レバー26Aと同様に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用して、レバー操作量(又はペダル操作量)に応じた制御圧を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁の左右何れかのパイロットポートに導入させる。また、これらの操作装置のそれぞれに対する操作者の操作内容は、圧力センサ29Aと同様、対応する圧力センサによって圧力の形で検出され、検出値がコントローラ30に対して出力される。
【0044】
コントローラ30は、圧力センサ29A等の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13L、13Rに対して制御信号を出力し、メインポンプ14L、14Rの吐出量を変化させる。
【0045】
圧力制御弁31は、コントローラ30が出力する電流指令に応じてパイロットポンプ15から流量制御弁175の左側パイロットポート175Lに導入される制御圧を調整する。したがって、流量制御弁175の左側の弁位置(L)への移動は、ブーム操作レバー26Bを含む何れの操作レバーにも連動することなく、圧力制御弁31が発生させるパイロット圧のみによってもたらされる。また、圧力制御弁31は、流量制御弁175を中央の弁位置(C)から左側の弁位置(L)に移動させる際に、流量制御弁175を第1中間位置及び第2中間位置の2段階で停止できるように制御圧を調整可能である。具体的には、第1中間位置は、センターバイパス管路40Lの開口面積が最大開口面積の70%となる弁位置であり、第2中間位置は、センターバイパス管路40Lの開口面積が最大開口面積の30%となる弁位置である。なお、最大開口面積は、流量制御弁175が弁位置(C)にあるときの開口面積である。また、流量制御弁175が弁位置(L)にあるときの開口面積は0%である。
【0046】
ここで、
図3の油圧システムで採用されるネガティブコントロール制御(以下、「ネガコン制御」とする。)について説明する。
【0047】
センターバイパス管路40L、40Rは、最も下流にある流量制御弁177、178のそれぞれと作動油タンクとの間にネガティブコントロール絞り18L、18Rを備える。メインポンプ14L、14Rが吐出した作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rで制限される。そして、ネガティブコントロール絞り18L、18Rは、レギュレータ13L、13Rを制御するための制御圧(以下、「ネガコン圧」とする。)を発生させる。
【0048】
破線で示されるネガコン圧管路41L、41Rは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生させたネガコン圧をレギュレータ13L、13Rに伝達するためのパイロットラインである。
【0049】
レギュレータ13L、13Rは、ネガコン圧に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。また、レギュレータ13L、13Rは、導入されるネガコン圧が大きいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を減少させ、導入されるネガコン圧が小さいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させる。
【0050】
具体的には、
図3で示されるように、ショベルにおける油圧アクチュエータが何れも操作されていない場合(以下、「待機モード」とする。)、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、センターバイパス管路40L、40Rを通ってネガティブコントロール絞り18L、18Rに至る。そして、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、レギュレータ13L、13Rは、メインポンプ14L、14Rの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油がセンターバイパス管路40L、40Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。
【0051】
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する流量制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rに至る量を減少或いは消失させ、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧を低下させる。その結果、低下したネガコン圧を受けるレギュレータ13L、13Rは、メインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。
【0052】
上述のような構成により、
図3の油圧システムは、待機モードにおいては、メインポンプ14L、14Rにおける無駄なエネルギー消費を抑制できる。なお、無駄なエネルギー消費は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油がセンターバイパス管路40L、40Rで発生させるポンピングロスを含む。
【0053】
また、
図3の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14L、14Rから必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できるようにする。
【0054】
次に、
図4を参照して、レギュレータ13による全馬力制御とネガコン制御との関係について説明する。なお、
図4は、メインポンプ14の吐出量Qとメインポンプ14の吐出圧Pとの関係の一例を示すグラフである。
【0055】
レギュレータ13は、
図4の実線で示す全馬力制御曲線にしたがってメインポンプ14の吐出量Qを制御する。具体的には、レギュレータ13は、メインポンプ14の吸収馬力がエンジン出力を上回らないよう、吐出圧Pが増大するにつれて吐出量Qを減少させる。また、レギュレータ13は、全馬力制御とは別に、ネガコン圧に応じてメインポンプ14の吐出量Qを制御する。具体的には、レギュレータ13は、ネガコン圧が増大するにつれて吐出量Qを減少させ、ネガコン圧がさらに増大して所定値を上回った場合に、吐出量Qを許容最小吐出量としてのネガコン流量Qnまで減少させる。その結果、ネガコン圧は所定圧Pnまで減少するが、レギュレータ13は、ネガコン圧がネガコン解除圧Pr(<Pn)を下回るまでは、吐出量Qを増大させずにネガコン流量Qnのままで推移させる。
【0056】
さらに、本実施例では、レギュレータ13は、全馬力制御及びネガコン制御とは別に、コントローラ30からの制御信号に応じてメインポンプ14の吐出量Qを制御する。具体的には、レギュレータ13は、過給圧増大要否判定部300が過給圧を増大させる必要があると判定した場合にコントローラ30が出力する制御信号に応じて吐出量Qを増減させる。
【0057】
より具体的には、過給圧増大要否判定部300は、例えば、ショベルが待機モードにある場合に、過給圧を増大させる必要があると判定する。このとき、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御してメインポンプ14の吐出圧を増大させる。本実施例では、吸収馬力制御部301は、流量制御弁175の左側パイロットポート175Lに作動油を導入させ、中央の弁位置(C)から左側の弁位置(L)に向かって流量制御弁175を移動させる。左側の弁位置(L)に向かって移動した流量制御弁175は、センターバイパス管路40Lを流れる作動油の流量を制限してメインポンプ14Lの吐出圧を増大させる。その結果、吸収馬力制御部301は、過給圧を増大させることができる。メインポンプ14の吸収馬力が増大し、エンジン負荷が増大するためである。また、吸収馬力制御部301は、過給圧センサP3の出力に基づいて過給機11aによる過給圧が所望の過給圧となったか否かを監視する。
【0058】
その後、吸収馬力制御部301は、現在の過給圧が所望の過給圧になっていない場合、レギュレータ13Lに対して制御信号を出力し、レギュレータ13Lを調節してメインポンプ14Lの吐出量を追加的に調整してもよい。具体的には、吸収馬力制御部301は、現在の過給圧が所望の過給圧より低い場合、レギュレータ13Lを調節してメインポンプ14Lの吐出量を増大させてメインポンプ14Lの吸収馬力を増大させてもよい。また、吸収馬力制御部301は、現在の過給圧が所望の過給圧より高い場合、レギュレータ13Lを調節してメインポンプ14Lの吐出量を減少させてメインポンプ14Lの吸収馬力を低下させてもよい。
【0059】
次に、
図5を参照して、コントローラ30がメインポンプ14の吸収馬力を自発的に増大させる処理(以下、「吸収馬力増大処理」とする。)について説明する。なお、
図5は、吸収馬力増大処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定周期で繰り返しこの吸収馬力増大処理を実行する。また、本実施例では、切換操作部50が手動でオン位置に切り換えられているため、コントローラ30は、過給圧増大要否判定部300及び吸収馬力制御部301を有効に機能させることができる。なお、高地等、大気圧が比較的低い環境では、油圧負荷の増大を検出した時点で過給圧を増大させようとしても、大気圧が比較的高い環境における場合のようには増大させることができない。その結果、燃料の不完全燃焼による黒煙の発生、エンジン出力の不足等を引き起こし、さらにはエンジンを停止させてしまうおそれがある。
【0060】
最初に、コントローラ30の過給圧増大要否判定部300は、過給圧を増大させる必要があるか否かを判定する。本実施例では、過給圧増大要否判定部300は、ショベルが待機モードにあるか否かを判定する(ステップS1)。また、本実施例では、過給圧増大要否判定部300は、メインポンプ14の吐出圧が所定圧以上であるか否かに基づいて、ショベルが待機モードにあるか否かを判定する。例えば、過給圧増大要否判定部300は、メインポンプ14の吐出圧が所定圧未満であれば、ショベルが待機モードにある、すなわち過給圧を増大させる必要があると判定する。なお、過給圧増大要否判定部300は、油圧アクチュエータの圧力に基づいて、ショベルが待機モードにあるか否かを判定してもよい。
【0061】
ショベルが待機モードにある(油圧負荷が掛かっていない)と過給圧増大要否判定部300が判定した場合(ステップS1のYES)、コントローラ30の吸収馬力制御部301は、過給圧を増大させるために、メインポンプ14の吸収馬力を増大させる(ステップS2)。本実施例では、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31に対して電流指令を出力し、流量制御弁175の左側パイロットポート175Lに導入される制御圧を増大させる。左側パイロットポート175Lに導入される制御圧が増大すると、流量制御弁175は、中央の弁位置(C)から左側の弁位置(L)に向かって移動し、センターバイパス管路40Lを流れる作動油の流量を制限してメインポンプ14Lの吐出圧を増大させる。また、流量制御弁175は、ネガティブコントロール絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、ネガティブコントロール絞り18Lの上流で発生するネガコン圧を低下させる。その結果、低下したネガコン圧を受けるレギュレータ13Lは、メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。このようにして、吸収馬力制御部301は、メインポンプ14Lの吐出圧及び吐出量を増大させてその吸収馬力を増大させる。この構成により、吸収馬力制御部301は、待機モードであっても、過給圧を増大させるのに十分な負荷をエンジン11に与えることができる。なお、メインポンプ14Lの吸収馬力が増大するとエンジン11の回転負荷が増大するため、エンジン11は、所定回転数を維持すべく燃料噴射量を増大させる。燃料噴射量の増大は、排気圧の増大、タービンの回転速度の増大、及び遠心式圧縮機の回転速度の増大をもたらし、ひいては過給圧の増大をもたらす。
【0062】
その後、吸収馬力制御部301は、過給圧センサP3の出力に基づいて過給圧が所望の過給圧に達したか否かを監視しながら、メインポンプ14Lの吸収馬力を微調整する(ステップS3)。本実施例では、吸収馬力制御部301は、レギュレータ13Lに対して制御信号を出力する。その制御信号を受信したレギュレータ13Lは、ネガコン圧に応じた斜板傾転角の調節を中断する。そして、制御信号に応じて斜板傾転角を調節し、メインポンプ14Lの吐出量を増減させる。その結果、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を用いて増大させたメインポンプ14Lの吸収馬力を微調整して過給圧を微調整することで所望の過給圧を実現できる。但し、吸収馬力制御部301は、レギュレータ13によるメインポンプ14Lの吸収馬力の微調整を省略してもよい。
【0063】
一方、ショベルが待機モードにない(油圧負荷が掛かっている)と過給圧増大要否判定部300が判定した場合(ステップS1のNO)、吸収馬力制御部301は、過給圧を増大させるためにメインポンプ14Lの吸収馬力を増大させている場合にはその増大を中止させる(ステップS4)。油圧アクチュエータの作動によってメインポンプ14の吸収馬力が増大することで過給圧が増大するため、自発的にメインポンプ14Lの吸収馬力を増大させる必要がないためである。本実施例では、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31に対して電流指令を出力している場合にはその出力を中止する。そして、吸収馬力制御部301は、流量制御弁175の左側パイロットポート175Lに導入される制御圧を増大させている場合にはその増大を中止させる。左側パイロットポート175Lに導入される制御圧の増大が中止されると、流量制御弁175は、左側の弁位置(L)から中央の弁位置(C)に向かって移動する。そして、センターバイパス管路40Lを流れる作動油の流量の制限を解除してメインポンプ14Lの吐出圧の増大を中止させる。また、流量制御弁175は、左側の弁位置(L)に向かって移動させられていた場合に比べ、ネガティブコントロール絞り18Lに至る量を増大させ、ネガティブコントロール絞り18Lの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、増大したネガコン圧を受けるレギュレータ13Lは、メインポンプ14Lの吐出量を低下させる。このようにして、吸収馬力制御部301は、メインポンプ14Lの吐出圧及び吐出量の増大を中止させてその吸収馬力の増大を中止させる。なお、メインポンプ14Lの吸収馬力の増大が中止されるとエンジン11の回転負荷が吸収馬力増大前の状態に戻るため、エンジン11は、燃料噴射量を吸収馬力増大前の状態に戻す。燃料噴射量が吸収馬力増大前の状態に戻ると、排気圧、タービンの回転速度、及び遠心式圧縮機の回転速度も吸収馬力増大前の状態に戻り、過給圧も吸収馬力増大前の状態に戻る。
【0064】
このようにして、コントローラ30は、待機モードの際にメインポンプ14の吸収馬力を増大させる。そのため、コントローラ30は、エンジン11に対して所定の負荷を自発的に掛けることで、掘削反力等の外力による油圧負荷が掛かっていない場合であっても、過給機11aにおける過給圧を増大させることができる。すなわち、エンジン11及び過給機11aを直接制御することなく、外力による油圧負荷の増大に先だって過給圧を所定幅だけ予め増大させておくことができる。その結果、大気圧が低いために過給圧を迅速に増大させることができない場合であっても、エンジン回転数の低下(応答性及び作業性の低下)やエンジン停止を引き起こす前に、増大する油圧負荷に見合う過給圧を発生させることができる。
【0065】
次に、
図6を参照して、吸収馬力増大処理を実行する場合の各種物理量の時間的推移について説明する。なお、
図6は、それら各種物理量の時間的推移を示す図であり、上から順に、大気圧、レバー操作量、油圧負荷(吸収馬力)、過給圧、燃料噴射量、及びエンジン回転数のそれぞれの時間的推移を示す。
図6の破線で示す推移は、ショベルが低地(大気圧が比較的高い環境)にある場合に吸収馬力増大処理を実行しないときの推移を表す。
図6の一点鎖線で示す推移は、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合に吸収馬力増大処理を実行しないときの推移を表す。また、
図6の実線で示す推移は、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合に吸収馬力増大処理を実行するときの推移を表す。
【0066】
本実施例では、時刻t1において、例えば、掘削のためにアーム5を動かすためのレバー操作が行われる場合を想定する。
【0067】
まず、比較のために、ショベルが低地(大気圧が比較的高い環境)にある場合に吸収馬力増大処理を実行しないとき、及び、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合に吸収馬力増大処理を実行しないときの各種物理量の時間的推移について説明する。
【0068】
時刻t1において、掘削動作を行うために、アーム操作レバーの操作が開始される。アーム操作レバーの操作量(操作レバーを傾ける角度)は時刻t1から時刻t2まで増大され、時刻t2においてアーム操作レバーの操作量は一定に維持される。すなわち、時刻t1からアーム操作レバーが操作されて傾けられ、時刻t2においてアーム操作レバーの傾きは一定に保持される。時刻t1においてアーム操作レバーの操作が開始されると、アーム5が動き始め、時刻t2になると、アーム操作レバーが最も傾けられた状態になる。
【0069】
アーム操作レバーが最も傾けられた状態になった時刻t2から、アーム5に加わる負荷によりメインポンプ14の吐出圧が増大し、メインポンプ14の油圧負荷が増大し始める。すなわち、メインポンプ14の油圧負荷は、破線及び一点鎖線に示すように、時刻t2付近から増大し始める。また、メインポンプ14の油圧負荷はエンジン11の負荷に相当し、エンジン11の負荷もメインポンプ14の油圧負荷と共に増大する。その結果、ショベルが低地(大気圧が比較的高い環境)にある場合には、エンジン11の回転数は、破線で示すように所定回転数に維持されるが、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合には、エンジン11の回転数は、一点鎖線で示すように時刻t2を過ぎたあたりから大きく低下していく。大気圧が比較的低い環境では過給圧の増大に遅れが生じ、エンジン11の負荷に見合うエンジン出力を実現できないためである。
【0070】
具体的には、エンジン11の負荷が増大すると、通常、エンジン11の制御が働き、燃料噴射量が増大する。これにより、過給圧も増大し、エンジン11の燃焼効率が高められ、エンジン11の出力も増大する。しかしながら、過給圧が低い間は燃料噴射量の増大が制限され、エンジン11の燃焼効率を十分に高めることができない。その結果、エンジン11の負荷に見合うエンジン出力を実現できず、エンジン11の回転数を低下させてしまう。
【0071】
そこで、操作者は、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合には、切換操作部50をオン位置に切り換えることで吸収馬力増大機能を作動させる。そして、コントローラ30は、吸収馬力増大処理を実行することによって、レバー操作が行われる前に過給圧を高めるようにする。
【0072】
なお、ここでは、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合に吸収馬力増大処理を実行するときの各種物理量の時間的推移について、同じく
図6を参照しながら説明する。
図6において、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合に吸収馬力増大処理を実行するときの各種物理量の時間的推移は実線で示される。
【0073】
オペレータのレバー操作としては上述のように、時刻t1において、掘削動作を行うために、アーム操作レバーの操作が開始される。アーム操作レバーの操作量(操作レバーを傾ける角度)は時刻t1から時刻t2まで増大され、時刻t2においてアーム操作レバーの操作量は一定に維持される。すなわち、時刻t1からアーム操作レバーが操作されて傾けられ、時刻t2においてアーム操作レバーの傾きは一定に保持される。時刻t1においてアーム操作レバーの操作が開始されると、アーム5が動き始め、時刻t2になると、アーム操作レバーが最も傾けられた状態になる。
【0074】
吸収馬力増大処理を実行する場合、コントローラ30は、時刻t1以前に、すなわち、レバー操作が行われる前に、メインポンプ14の吸収馬力を増大させている。そのため、エンジン11では、エンジン回転数を所定回転数に維持しようとする制御が働き、燃料噴射量が増大した状態にある。その結果、過給圧は、ショベルが低地(大気圧が比較的高い環境)にある場合と同様の比較的高い状態にある。また、アーム操作レバーが最も傾けられた状態となる時刻t2において直ちに増大可能な状態にある。
【0075】
このように、コントローラ30は、メインポンプ14の吸収馬力を増大させてエンジン11に負荷を加えておくことで、油圧負荷が増大し始める時刻t2において過給圧を直ちに増大させることができる。
【0076】
時刻t2を過ぎると油圧負荷が増大してエンジン11の負荷も増大し、燃料噴射量をさらに増大する指示が出され、燃料消費量が徐々に増加する。このときの燃料消費量の増加分は、油圧負荷の増大に対応する分だけである。エンジン回転数はすでに所定回転数に維持されており、エンジン回転数を増大させるための燃料消費量が必要ないためである。また、時刻t3では、過給圧が所定値以上に増大しているため、油圧負荷が増大しても、エンジン11は、効率的にエンジン出力を増大できる状態にある。
【0077】
以上のように、レバー操作が行われる前に、メインポンプ14の吸収馬力を増大させてエンジン11に負荷を加えておくことで、油圧負荷が増大し始める時点より前に過給圧の増大を開始させることができる。
【0078】
なお、上述の通り、大気圧が比較的高い環境では、吸収馬力増大処理を実行しなくとも、過給圧(破線参照。)は、時刻t1において既に比較的高い状態にある。
【0079】
そのため、吸収馬力増大処理を実行しなくとも、過給機11aは、過給圧を迅速に増大させることができる状態にある。また、エンジン11は、エンジン回転数の低下やエンジン停止を引き起こすことなく、外力による油圧負荷に見合う駆動力を供給できる状態にある。
【0080】
しかしながら、大気圧が比較的低い環境では、吸収馬力増大処理を実行しない場合、過給圧(一点鎖線参照。)は、時刻t2においても比較的低い状態にある。また、大気圧が比較的低い環境にあるため、過給機11aは、過給圧を迅速に増大させることができない。具体的には、過給機11aは、時刻t3になるまで十分な過給圧を実現できず、エンジン11は、燃料噴射量を十分に増大させることができない。
【0081】
その結果、エンジン11は、エンジン回転数を一定に維持するだけの駆動力を出力できず、エンジン回転数(一点鎖線参照。)を低下させ、場合によってはエンジン回転数を増大させることができずそのまま停止してしまう。
【0082】
そこで、コントローラ30は、大気圧が比較的低い環境では、吸収馬力増大処理を実行することによって、時刻t1以前に、すなわち、レバー操作が行われる前に、メインポンプ14の吸収馬力を増大させている。そのため、メインポンプ14の吸収馬力である油圧負荷は比較的高い状態にあり、過給圧(実線参照。)も時刻t2において既に比較的高い状態にある。
【0083】
その結果、大気圧が比較的低い環境であっても、過給機11aは、大気圧が比較的高い環境の場合と同様に、過給圧を迅速に増大させることができる状態にある。また、エンジン11は、エンジン回転数の低下やエンジン停止を引き起こすことなく、外力による油圧負荷に見合う駆動力を供給できる状態にある。
【0084】
この場合、時刻t2において、アーム5が地面に接すると掘削反力の増大に応じて油圧負荷が増大する。そして、メインポンプ14の吸収馬力に相当するこの油圧負荷の増大に応じてエンジン11の負荷も増大する。このとき、エンジン11は、所定のエンジン回転数を維持するため、過給機11aにより過給圧を迅速に増大させることができる。
【0085】
このように、コントローラ30は、大気圧が比較的低い場合には、レバー操作が行われる前にメインポンプ14の吸収馬力を自発的に高めておくことで、過給圧を比較的高いレベルで維持し、レバー操作が行われた後に過給圧を遅滞なく増大させることができる。その結果、レバー操作が行われたときにエンジン回転数が低下したり、エンジンが停止したりするのを防止できる。
【0086】
次に、
図7を参照して、吸収馬力増大処理の別の実施例について説明する。なお、
図7は、本実施例に係る吸収馬力増大処理の流れを示すフローチャートである。本実施例に係る吸収馬力増大処理は、ステップS11における判定条件が、
図5の吸収馬力増大処理におけるステップS1の判定条件と相違するが、ステップS12〜S14は、
図5の吸収馬力増大処理のステップS2〜S4と同じである。そのため、ステップS11を詳細に説明し、他のステップの説明を省略する。また、本実施例では、切換操作部50が省略されており、コントローラ30は、過給圧増大要否判定部300及び吸収馬力制御部301を常に有効に機能させることができる。但し、切換操作部50を省略せずに、切換操作部50をオン位置に切り換えた構成であってもよい。
【0087】
ステップS11において、過給圧増大要否判定部300は、過給圧を増大させる必要があるか否かを判定する。本実施例では、過給圧増大要否判定部300は、ショベルが待機モードにあり且つショベル周辺の大気圧が所定圧未満であるという条件を満たすか否かを判定する。なお、本実施例では、コントローラ30は、ショベルに搭載される大気圧センサP1の出力に基づいてショベル周辺の大気圧が所定圧未満であるか否か、すなわち高地であるか否かを判定する。
【0088】
そして、上述の条件を満たすと判定された場合(ステップS11のYES)、コントローラ30は、ステップS12及びS13を実行してメインポンプ14Lの吸収馬力を増大させ、且つ微調整する。
【0089】
一方、上述の条件を満たさないと判定された場合(ステップS11のNO)、コントローラ30は、ステップS14を実行し、メインポンプ14Lの吸収馬力を増大させている場合にはその増大を中止させる。大気圧が比較的高いため、過給圧を自発的に増大させる必要がないと判断できるためである。
【0090】
これにより、コントローラ30は、
図5の吸収馬力増大処理の場合と同様の効果を実現できる。
【0091】
また、大気圧センサP1の出力を用いる本実施例では、コントローラ30は、大気圧の大きさに応じて目標とする過給圧の大きさを決定してもよい。この場合、コントローラ30は、大気圧の大きさに応じて目標とする過給圧の大きさを段階的に設定してもよく、無段階に設定してもよい。そして、コントローラ30は、圧力制御弁31が発生させるパイロット圧、流量制御弁175の移動量、ひいてはメインポンプ14Lの吐出圧を段階的に或いは無段階に制御し、目標とする過給圧を実現する。この構成により、コントローラ30は、待機モードにおける増大後の吸収馬力の大きさを段階的に或いは無段階に制御でき、無駄なエネルギー消費をさらに抑制することができる。
【0092】
また、コントローラ30は、GPS(Global Positioning System)等の測位装置の出力と地図情報とに基づいてショベルの現在位置の標高を導き出し、その標高に応じて目標とする過給圧の大きさを決定してもよい。
【0093】
以上の構成により、コントローラ30は、過給圧増大要否判定部300が過給圧を増大させる必要があると判定した場合に、吸収馬力制御部301が圧力制御弁31を制御してメインポンプ14Lの吐出圧を増大させてその吸収馬力を自発的に増大させることができる。そして、メインポンプ14Lの吸収馬力の増大は、エンジン11の回転負荷の増大、燃料噴射量の増大、排気圧の増大、タービンの回転速度の増大、及び遠心式圧縮機の回転速度の増大を順にもたらし、最終的に過給機11aによる過給圧の増大をもたらす。そのため、コントローラ30は、油圧負荷の増大が発生する前に過給機11aによる過給圧を増大させておくことで、油圧負荷の増大が発生したときにも過給圧の増大を追従させることができ、過給圧の増大の遅れを防止できる。その結果、コントローラ30は、高地で作業する際の油圧アクチュエータの応答性及びショベルの作業性を改善できる。
【0094】
なお、上述の実施例では、操作者は、ショベルが高地(大気圧が比較的低い環境)にある場合に切換操作部50をオン位置に切り換えることで吸収馬力増大機能を作動させる。或いは、ショベルは、大気圧が所定圧未満の場合に自動的に吸収馬力増大機能を作動させる。そのため、コントローラ30は、レバー操作が行われる前にメインポンプ14の吸収馬力を自発的に増大させておくことで、過給圧を比較的高いレベルで維持し、レバー操作が行われた後に過給圧を遅滞なく増大させることができる。その結果、レバー操作が行われたときにエンジン回転数が低下したり、エンジンが停止したりするのを防止できる。しかしながら、操作者は、ショベルが高地にある場合以外にも、切換操作部50をオン位置に切り換えて吸収馬力増大機能を作動させてもよい。例えば、操作者は、燃料の不完全燃焼に起因する黒煙の発生を検知した場合に切換操作部50をオン位置に切り換えることで吸収馬力増大機能を作動させてもよい。この場合、コントローラ30は、レバー操作が行われる前に吸収馬力を自発的に高めておくことで、過給圧を比較的高いレベルで維持し、レバー操作が行われた後に過給圧を遅滞なく増大させることができる。その結果、コントローラ30は、黒煙の発生を抑制或いは防止することができる。
【0095】
また、上述の実施例では、吸収馬力制御部301は、ショベルが待機モードにあると過給圧増大要否判定部300が判定した場合、過給圧を増大させるためにメインポンプ14の吸収馬力を増大させる。但し、吸収馬力制御部301は、油圧アクチュエータの操作が中止された直後の待機モードでは、所定時間が経過するまではメインポンプ14の吸収馬力を増大させないようにしてもよい。具体的には、吸収馬力制御部301は、操作中の油圧アクチュエータに対応する操作レバーが中立位置に戻ってから所定時間が経過するまでは圧力制御弁31に対して電流指令を出力しないようにしてもよい。過給圧は、立ち上がり及び立ち下がりが共に遅く、所定時間が経過するまでは依然として高い状態にあるためである。なお、吸収馬力制御部301は、過給圧センサP3の出力(過給圧)が所定値を下回るまでは圧力制御弁31に対して電流指令を出力しないようにしてもよい。
【0096】
また、上述の実施例では、吸収馬力増大機能は、コントロールバルブ17における別の用途で既に用いられている流量制御弁の未使用の弁位置を利用して実現される。具体的には、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁175の左側の弁位置(L)を利用して実現される。しかしながら、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、吸収馬力増大機能は、コントロールバルブ17における未使用の流量制御弁を利用して実現されてもよい。
【0097】
また、上述の実施例では、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御して流量制御弁175を動かし、メインポンプ14Lの吐出圧を増大させることでその吸収馬力を増大させる。しかしながら、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御して別の流量制御弁を動かし、メインポンプ14Rの吐出圧を増大させることでその吸収馬力を増大させてもよい。また、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御して1又は複数の流量制御弁を動かし、メインポンプ14L、14Rの双方の吐出圧を増大させることでそれらの吸収馬力を同時に増大させてもよい。
【0098】
図8は、別の流量制御弁を含む油圧システムの構成例を示す概略図である。具体的には、
図8の油圧システムは、左側の弁位置(L)のない流量制御弁175、流量制御弁179、及びリリーフ弁180L、180Rを有する点で
図3の油圧システムと相違する。但し、その他の構成は
図1の油圧システムと共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳細に説明する。
【0099】
本実施例では、吸収馬力制御部301は、流量制御弁179のパイロットポートに作動油を導入させて右側の弁位置から左側の弁位置に向かって流量制御弁179を移動させる。左側の弁位置に向かって移動した流量制御弁179は、センターバイパス管路40Lを流れる作動油の流量を制限してメインポンプ14Lの吐出圧を増大させる。
【0100】
また、本実施例では、流量制御弁179はコントロールバルブ17内に配置される。具体的には、ネガコン圧を迅速に低減させることができるように、センターバイパス管路40Lの最下流、すなわち、流量制御弁179の下流側で且つネガティブコントロール絞り18Lの上流側に配置される。但し、流量制御弁179は、コントロールバルブ17内において、流量制御弁171、173、175、177のうちの何れかの上流側に配置されてもよい。具体的には、流量制御弁179は、流量制御弁171、173、175のうちの何れかの下流側に配置されてもよく、流量制御弁171とメインポンプ14Lとの間に配置されてもよい。なお、配置場所がメインポンプ14Lに近いほどメインポンプ14Lの吐出圧をより迅速に高めることができる。
【0101】
リリーフ弁180L、180Rは、油圧システム内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧以下に維持するための弁である。具体的には、リリーフ弁180L、180Rは油圧システム内の作動油の圧力が所定のリリーフ圧以上となった場合に開いて作動油を作動油タンクに排出する。例えば、リリーフ弁180Lは、流量制御弁179によってセンターバイパス管路40Lが遮断されてメインポンプ14Lの吐出圧が所定のリリーフ圧以上となった場合に開いて作動油を作動油タンクに排出する。
【0102】
また、上述の実施例では、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御してセンターバイパス管路40L上にある流量制御弁175を動かし、メインポンプ14Lの吐出圧を増大させることでその吸収馬力を増大させる。しかしながら、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御してセンターバイパス管路40R上にある別の流量制御弁を動かし、メインポンプ14Rの吐出圧を増大させることでその吸収馬力を増大させてもよい。
【0103】
また、上述の実施例では、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御して3位置スプール弁としての流量制御弁175を動かし、メインポンプ14Lの吐出圧を増大させることでその吸収馬力を増大させる。しかしながら、吸収馬力制御部301は、圧力制御弁31を制御して4位置スプール弁としての別の流量制御弁を動かし、メインポンプ14Lの吐出圧を増大させることでその吸収馬力を増大させてもよい。4位置スプール弁は、例えば、3位置スプール弁としての流量制御弁171に吸収馬力増大処理用の1位置を追加した流量制御弁である。
【0104】
次に、
図9を参照して、吸収馬力増大処理のさらに別の実施例について説明する。なお、
図9は、本実施例に係る吸収馬力増大処理の流れを示すフローチャートである。本実施例に係る吸収馬力増大処理は、大気圧の大小にかかわらず、レバー操作が開始された時点でメインポンプ14の吸収馬力を一時的に且つ自発的に増大させる。そのため、本実施例では、切換操作部50が省略されており、コントローラ30は、過給圧増大要否判定部300及び吸収馬力制御部301を常に有効に機能させることができる。但し、切換操作部50を省略せずに、切換操作部50をオン位置に切り換えた構成であってもよい。
【0105】
具体的には、本実施例に係る吸収馬力増大処理は、ステップS21における判定条件が、
図5の吸収馬力増大処理におけるステップS1の判定条件と相違するが、ステップS22〜S24は、
図5の吸収馬力増大処理のステップS2〜S4と同じである。そのため、ステップS21を詳細に説明し、他のステップの説明を省略する。
【0106】
ステップS21において、過給圧増大要否判定部300は、過給圧を増大させる必要があるか否かを判定する。本実施例では、過給圧増大要否判定部300は、ショベルが待機モードにあり且つレバー操作が開始されたという条件を満たすか否かを判定する。なお、本実施例では、コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて、レバー操作が開始されたか否かを判定する。
【0107】
そして、上述の条件を満たすと判定された場合(ステップS21のYES)、コントローラ30は、ステップS22及びS23を実行してメインポンプ14Lの吸収馬力を増大させ、且つ微調整する。
【0108】
一方、上述の条件を満たさないと判定された場合(ステップS21のNO)、コントローラ30は、ステップS24を実行し、メインポンプ14Lの吸収馬力を増大させている場合にはその増大を中止させる。レバー操作が開始されていないため、過給圧を自発的に増大させる必要がないと判断できるためである。
【0109】
このようにして、コントローラ30は、レバー操作が開始された場合に、一時的に且つ自発的にメインポンプ14の吸収馬力を増大させる。すなわち、油圧アクチュエータの負荷が増大する前にエンジン負荷を増大させる。そのため、コントローラ30は、エンジン11に対して所定の負荷を掛けることで、外力による油圧負荷が未だ発生していない場合であっても、過給機11aの過給圧を増大させることができる。すなわち、エンジン11及び過給機11aを直接制御することなく、外力による油圧負荷の増大に先だって過給圧を所定幅だけ増大させることができる。その結果、過給機11aは、外力による油圧負荷が急激に増大する場合であっても、エンジン回転数の低下(作業性の低下)やエンジン停止を引き起こす前に、外力に応じて増大する油圧負荷に見合う過給圧を発生させることができる。なお、過給圧の増大が外力による油圧負荷(エンジン負荷)の増大に追いつかない場合、エンジン11は、燃料噴射量を十分に増大させることができず、エンジン回転数を低下させ、場合によってはエンジン回転数を増大させることができずそのまま停止してしまう。
【0110】
次に、
図10を参照して、
図9の吸収馬力増大処理を実行する場合の各種物理量の時間的推移について説明する。なお、
図10は、それら各種物理量の時間的推移を示す図であり、上から順に、レバー操作量、油圧負荷(メインポンプ14の吸収馬力)、過給圧、燃料噴射量、及びエンジン回転数のそれぞれの時間的推移を示す。また、
図10の実線で示す推移は、
図9の吸収馬力増大処理を実行するときの推移を表し、
図10の破線で示す推移は、
図9の吸収馬力増大処理を実行しないときの推移を表す。
【0111】
本実施例では、時刻t1において、例えば、掘削のためにアーム5を動かすためのレバー操作が開始された場合を想定する。
【0112】
まず、比較のために、
図9の吸収馬力増大処理を実行しないときの各種物理量の時間的推移について説明する。なお、アーム操作レバーのレバー操作量の時間的推移は、
図6の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0113】
図9の吸収馬力増大処理を実行しない場合、油圧負荷(破線参照。)は、時刻t2となるまで増大しないまま推移する。その後、時刻t2において、アーム5が地面に接すると掘削反力の増大に応じて油圧負荷が増大する。
【0114】
また、過給圧(破線参照。)も、時刻t2となるまで増大しないまま推移し、時刻t2においても比較的低い状態にある。そのため、過給機11aは、時刻t2後の油圧負荷の増大に過給圧の増大を追従させることができない。その結果、エンジン11は、燃料噴射量を十分に増大させることができずにエンジン出力の不足を生じさせ、エンジン回転数(破線参照。)を維持できずに低下させてしまい、場合によってはエンジン回転数を増大させることができずそのまま停止してしまう。
【0115】
これに対し、
図9の吸収馬力増大処理を実行する場合、油圧負荷(実線参照。)は、時刻t1において増大し始め、時刻t2になる前に所定レベルまで増大する。つまり、コントローラ30は、時刻t1においてアーム操作レバーの操作の開始を検出すると、油圧アクチュエータに負荷が掛かる前に圧力制御弁31を制御して所定の時間にわたってメインポンプ14の吐出圧を増大させる。この所定の時間とは、時刻t1から時刻t2の時間よりも十分に短い僅かな時間(例えば約0.3秒未満)である。なお、コントローラ30は、追加的に、レギュレータ13を調節してメインポンプ14の吐出量を増大させてもよい。これにより、アーム5に加わる負荷によってメインポンプ14の吐出圧が上昇する前にメインポンプ14の吸収馬力を増大させることができる。そして、メインポンプ14の吸収馬力に相当するこの油圧負荷の増大に応じてエンジン11の負荷も増大する。このとき、エンジン11は、所定のエンジン回転数を維持するため、過給機11aにより過給圧を増大させる。そのため、過給圧(実線参照。)は、時刻t1において増大し始め、時刻t2になる前に所定レベルまで増大する。そのため、過給機11aは、時刻t2後においても、油圧負荷の増大に大きな遅れを取ることなく、過給圧を増大させることができる。その結果、エンジン11は、エンジン出力の不足を生じさせることなく、エンジン回転数(実線参照。)を維持できる。具体的には、エンジン回転数(実線参照。)は、油圧負荷の自発的な増大に起因する時刻t1から時刻t2の間での僅かな低下を除き、一定に維持される。
【0116】
このように、コントローラ30は、レバー操作が開始された後、掘削反力等の外力による油圧負荷が増大する前に、外力によらない油圧負荷を自発的に高めておく。そして、コントローラ30は、メインポンプ14の吸収馬力を増大させ、エンジン負荷を増大させることによって、エンジン11の過給機11aに間接的に影響を与え、過給圧を比較的高いレベルまで増大させる。その結果、コントローラ30は、掘削反力等の外力による油圧負荷が急増した場合にも、既に比較的高いレベルにある過給圧を迅速に増大させることができる。また、過給圧を増大させる際に、エンジン回転数の低下(作業性の低下)、エンジン11の停止等を引き起こすこともない。
【0117】
また、
図9及び
図10で説明した吸収馬力増大処理は、
図3の油圧システム及び
図8の油圧システムの何れで実行されてもよい。
【0118】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0119】
例えば、上述の実施例では旋回機構2が油圧式であったが、旋回機構2は電動式であってもよい。
【0120】
また、上述の実施例では、油圧式ショベルに本発明を適用した例について説明したが、本発明は、エンジン11と電動発電機とをメインポンプ14に接続してメインポンプ14を駆動するいわゆるハイブリッド式ショベルにも適用することもできる。さらに、本発明は、クレーン、リフティングマグネット機、アスファルトフィニッシャ等、過給機を備えるとともに一定回転数で制御される内燃機関と油圧ポンプとを搭載する他の任意の建設機械に適用されてもよい。
【0121】
また、本願は、2014年2月24日に出願した日本国特許出願2014−033316号に基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。