特許第6469684号(P6469684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6469684チタン酸アルミニウム組成物、それから構成されたセラミック物品、およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469684
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】チタン酸アルミニウム組成物、それから構成されたセラミック物品、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/478 20060101AFI20190204BHJP
   B28B 3/20 20060101ALI20190204BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20190204BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   C04B35/478
   B28B3/20 K
   C04B38/06 D
   C04B38/00 303Z
【請求項の数】7
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2016-533520(P2016-533520)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公表番号】特表2017-501100(P2017-501100A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】US2014067292
(87)【国際公開番号】WO2015081062
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年3月30日
(31)【優先権主張番号】61/909,580
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】メルケル,グレゴリー アルバート
(72)【発明者】
【氏名】テペシュ,パトリック デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレーノ,エリザベス マリー
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−542566(JP,A)
【文献】 特開2010−235333(JP,A)
【文献】 特表2011−526575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック物品において、
少なくとも50質量%のチアライト相、
ムライトおよびコージエライから選択される少なくとも1つのケイ酸塩相、
少なくとも1質量%のMgO、
0.1質量%〜3質量%のCeOを含む、希土類酸化物、および
少なくとも0.1質量%のZrO2
を含み、
該物品の金属酸化物成分が、以下の関係式の少なくとも一方を満たし:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<1.0、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.0
式中、TiO2のモル%=100[(TiO2のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、Al23のモル%=100[(Al23のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、およびMgOのモル%=100[(MgOのモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、
ZrO2および前記希土類酸化物の合計は0.5質量%超であり、かつZrO2およびCeOの合計は少なくとも0.5質量%であり、
Fe23の量は0.5質量%未満である、セラミック物品。
【請求項2】
前記物品の金属酸化物成分が、以下の関係式の少なくとも一方を満たす:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<0.96、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.04、
請求項1記載のセラミック物品。
【請求項3】
前記希土類酸化物が、酸化イットリウムおよび酸化ランタンの少なくとも1つをさらに含む、請求項1または2記載のセラミック物品。
【請求項4】
50〜99質量%のチアライト相、0〜50質量%のムライト、および0〜50質量%のコージエライトの組成を有する、請求項1から3いずれか1項記載のセラミック物品。
【請求項5】
セラミック物品を製造する方法において、
ケイ素含有源、アルミニウム含有源、チタン含有源、マグネシウム含有源、希土類含有源、およびジルコニウム含有源を含む無機バッチ組成物を、可塑剤、滑剤、結合剤、細孔形成剤、および溶媒からなる群より選択される1種類以上の加工助剤と共に混合して、可塑化セラミック前駆体バッチ組成物を形成する工程、
前記可塑化セラミック前駆体バッチ組成物を未焼成体に成形する工程、および
前記未焼成体を、
少なくとも50質量%のチアライト相、
ムライトおよびコージエライから選択される少なくとも1つのケイ酸塩相、
少なくとも1質量%のMgO、
0.1質量%〜3質量%のCeOを含む、希土類酸化物、および
少なくとも0.1質量%のZrO2
を含むセラミック物品であって、該物品の金属酸化物成分が、以下の関係式の少なくとも一方を満たし:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<1.0、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.0
式中、TiO2のモル%=100[(TiO2のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、Al23のモル%=100[(Al23のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、およびMgOのモル%=100[(MgOのモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、
ZrO2および前記希土類酸化物の合計は0.5質量%超であり、かつZrO2およびCeOの合計は少なくとも0.5質量%であり、
Fe23の量は0.5質量%未満である、セラミック物品;
に転化させるのに効果的な条件下で、該未焼成体を焼成する工程、
を有してなる方法。
【請求項6】
0.1質量%〜15質量%のZrOを含み、かつZrO2およびCeOの合計は0.5質量%〜17質量%である、請求項1から4いずれか1項記載のセラミック物品。
【請求項7】
0.1質量%〜15質量%のZrOを含み、かつZrO2およびCeOの合計は0.5質量%〜17質量%である、請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、下記に十分に述べられたかのように、ここに全て引用される、2013年11月27日に出願された米国仮特許出願第61/909580号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示の例示の実施の形態は、セラミック組成物、セラミック物品およびその製造方法に関し、より詳しくは、チアライト(tialite)相、少なくとも1つのケイ酸塩相、希土類酸化物、および酸化ジルコニウムを含むセラミック組成物およびセラミック物品、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関からの排気ガスの後処理に、高表面積基体上に担持された触媒が、ディーゼルエンジンおよびあるガソリン直噴エンジンの場合には、炭素煤粒子の除去のために、触媒フィルタが使用されることがある。これらの用途におけるフィルタおよび触媒担体は、耐火性であり、耐熱衝撃性であり、様々な範囲のpO2条件下で安定であり、触媒系と非反応性であり、排気ガス流に対して低い抵抗を示すであろう。多孔質セラミックフロースルー式ハニカム基体および壁流式ハニカムフィルタがこれらの用途に使用されることがある。
【0004】
1970年代における基体の導入および1980年代におけるフィルタの導入から、圧力降下を減少させるために、基体とフィルタの両方において、より薄い壁が好まれる傾向が増している。さらに、最近、フィルタ壁内により多量の触媒をさらに収容するために、気孔率がより高いフィルタの要望がある。より薄い壁およびより高い気孔率の両方とも、ハニカム物品の構造を弱める;したがって、その壁を構成する骨格セラミック材料の固有曲げ強度は高くなければならない。
【0005】
また、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)の場合、「再生」として知られる過程である、蓄積した煤の定期的なその場燃焼中に到達し得る温度を最低にするために、高い体積熱容量が望ましい。より高い気孔率およびより薄い壁はフィルタの質量を減少させるので、セラミック体を構成する固体材料が、単位体積当たり高い熱容量を有することが望ましいであろう。これらの特性の組合せを満たすために、チタン酸アルミニウムに基づくDPFが導入された。
【0006】
この背景の項目に開示された先の情報は、本開示の背景の理解を向上させるためだけであり、したがって、従来技術のどの部分も形成しない情報を含むか、または従来技術が当業者に示唆するかもしれないことは含まないであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示の実施の形態は、チアライト相および少なくとも1つのケイ酸塩相を含むセラミック組成物であって、希土類酸化物および酸化ジルコニウムを含むセラミック組成物を提供する。
【0008】
本開示の例示の実施の形態は、チアライト相および少なくとも1つのケイ酸塩相からなるセラミック物品であって、希土類酸化物および酸化ジルコニウムを含むセラミック物品も提供する。
【0009】
本開示の例示の実施の形態は、チアライト相および少なくとも1つのケイ酸塩相を含むセラミック物品であって、希土類酸化物および酸化ジルコニウムを含むセラミック物品を製造する方法も提供する。
【0010】
本開示の追加の特徴は、以下の説明に述べられており、一部は、その説明から明白になるか、本開示の実施により分かるであろう。
【0011】
例示の実施の形態は、チアライト相、少なくとも1つのケイ酸塩相、少なくとも1質量%のMgO、少なくとも0.1質量%の希土類酸化物、および少なくとも0.1質量%のZrO2を含むセラミック組成物であって、このセラミック組成物の金属酸化物成分が、以下の関係式の少なくとも一方を満たし:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<1.0、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.0
式中、TiO2のモル%=100[(TiO2のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、Al23のモル%=100[(Al23のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、およびMgOのモル%=100[(MgOのモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、
ZrO2および希土類酸化物の合計は0.5質量%超であり、
Fe23の量は0.5質量%未満である、セラミック組成物を開示する。
【0012】
例示の実施の形態は、チアライト相、少なくとも1つのケイ酸塩相、少なくとも1質量%のMgO、少なくとも0.1質量%の希土類酸化物、および少なくとも0.1質量%のZrO2を含むセラミック物品であって、このセラミック物品の金属酸化物成分が、以下の関係式の少なくとも一方を満たし:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<1.0、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.0
式中、TiO2のモル%=100[(TiO2のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、Al23のモル%=100[(Al23のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、およびMgOのモル%=100[(MgOのモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、
ZrO2および希土類酸化物の合計は0.5質量%超であり、
Fe23の量は0.5質量%未満である、セラミック物品も開示する。
【0013】
例示の実施の形態は、セラミック物品を製造する方法を開示する。この方法は、ケイ素含有源、アルミニウム含有源、チタン含有源、マグネシウム含有源、希土類含有源、およびジルコニウム含有源を含む無機バッチ組成物を配合する工程を有してなる。この無機バッチ組成物を、可塑剤、滑剤、結合剤、細孔形成剤、および溶媒からなる群より選択される1種類以上の加工助剤と共に混合して、可塑化セラミック前駆体バッチ組成物を形成する工程。この可塑化セラミック前駆体バッチ組成物を未焼成体に成形する工程。前記方法は、この未焼成体を、チアライト相、少なくとも1つのケイ酸塩相、少なくとも1質量%のMgO、少なくとも0.1質量%の希土類酸化物、および少なくとも0.1質量%のZrO2を含むセラミック物品であって、このセラミック物品の金属酸化物成分が、以下の関係式の少なくとも一方を満たし:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<1.0、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.0
式中、TiO2のモル%=100[(TiO2のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、Al23のモル%=100[(Al23のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、およびMgOのモル%=100[(MgOのモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、
ZrO2および希土類酸化物の合計は0.5質量%超であり、
Fe23の量は0.5質量%未満である、セラミック物品;
に転化させるのに効果的な条件下で、その未焼成体を焼成する工程を有する。
【0014】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示かつ説明のためであり、本開示のさらなる説明を提供することが意図されるのが理解されよう。
【0015】
本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する添付図面は、本開示の例示の実施の形態を図解し、説明と共に、本開示の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例7のセラミックハニカムの通路軸に対して直角の研磨断面の35倍の倍率での走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真
図2】実施例7のセラミックハニカムの通路軸に対して直角の研磨断面の200倍の倍率でのSEMの顕微鏡写真
図3】比較例および実施例に関する収縮対焼成温度のデータをプロットしたグラフ
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の目的に関して、「X、Y、およびZの少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、または2つ以上の項目X、Y、およびZの任意の組合せ(例えば、XYZ、XYY、YZ、ZZ)として解釈することができると理解されよう。
【0018】
最近、性能の優れた新たな触媒が、市場に現れたが、既存のセラミックフィルタおよび基体との望ましくない化学的相互作用を示すことが判明した。例えば、銅は、菱沸石触媒から拡散または浸出し得、チタン酸アルミニウムのコランダムおよびルチルへの分解を促進し得、チタン酸アルミニウム製フィルタの耐熱衝撃性が損なわれ得ることが判明した。マグネシウム安定化チタン酸アルミニウムと、ムライトおよびコージエライトの少なくとも一方とからなるセラミックは、銅の存在下で、以前のマグネシウムを含まない組成物よりも、より耐久性であるフィルタを提供する。しかしながら、最適な耐熱衝撃性および細孔微細構造を達成するために、これらのセラミックは、1.0質量%超の酸化セリウムなどの、高価な希土類酸化物焼結助剤の添加に依存している。バッチ費用を減少させるために、所望の物理的性質および微細構造特性を維持しながら、酸化セリウム焼結助剤の量を減少させるためのプロセスおよび組成物が望ましいであろう。
【0019】
本開示の例示の実施の形態は、耐熱衝撃性が高く、少なくともチアライト相およびケイ酸塩を含む少なくとも第2相を含むセラミック物品であって、その組成がセリウムおよびジルコニウムを含むセラミック物品に関する。本開示の目的に関して、「チアライト相」は、少なくとも50質量%のAl2TiO5を含む擬板チタン石結晶構造を有する固溶体であることが理解されよう。このチアライト相は、マグネシウム、ケイ素、ジルコニウム、鉄、および他の元素をさらに含んでもよい。この開示において、「チアライト」は、記載を容易にするために、「チアライト相」と交換できるように使用されることがある。
【0020】
これらの例示の実施の形態によるセラミックバッチ組成物およびセラミック物品は、チアライト相、少なくとも1つのケイ酸塩相、少なくとも1質量%のMgO、少なくとも0.1質量%の希土類酸化物、および少なくとも0.1質量%のZrO2を含み、この物品の金属酸化物成分は、以下の関係式の少なくとも一方を満たし:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<1.0、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.0
式中、TiO2のモル%=100[(TiO2のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、Al23のモル%=100[(Al23のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、およびMgOのモル%=100[(MgOのモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、
ZrO2および希土類酸化物の合計は0.5質量%超であり、
Fe23の量は0.5質量%未満である。
【0021】
これらの例示の実施の形態において、そのセラミック物品の金属酸化物成分は、以下の関係式の少なくとも一方をさらに満たし得る:3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<0.99、および[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.01。例えば、そのセラミック物品の金属酸化物成分は、以下の関係式の少なくとも一方をさらに満たし得る:3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<0.98、および[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.02、またさらには、以下の関係式の少なくとも一方をさらに満たし得る:3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<0.96、および[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.04。
【0022】
これらの例示の実施の形態において、(Al23のモル%)/(TiO2のモル%)+1.280(MgOのモル%)/(TiO2のモル%)>1.28。例えば、(Al23のモル%)/(TiO2のモル%)+1.280(MgOのモル%)/(TiO2のモル%)>1.30、またさらには(Al23のモル%)/(TiO2のモル%)+1.280(MgOのモル%)/(TiO2のモル%)>1.32。
【0023】
本開示のこれらの例示の実施の形態による擬板チタン石系複合体の都合よい物理的性質の発見は、分解反応速度、熱膨張係数、および強度の間のトレードオフを含む。これらの例示の実施の形態における固溶体中のMgTi25の量は、分解反応速度を遅くする。MgTi25の濃度が高まると、熱膨張の異方性も低下し、熱膨張が最低である軸に沿った熱膨張を増加させる。熱膨張の異方性が低くなるほど、微小亀裂に必要な粒径が増し、熱膨張が最低である軸に沿った熱膨張が増加すると、所望のCTEレベルを達成するためにより多くの微小亀裂を必要とし、その両方とも、より低い強度を与える傾向にある。二次相、特に、熱膨張の低い相は、同じCTE挙動で強度を増し、プロセスのわずかな変更による性質の変動を減少させる傾向にある。各組成物および所望の性質の組(例えば、気孔率と細孔径)について、二次相含有量の最適範囲を発見した。二次相のこの最適範囲は、本開示の例示の実施の形態の組成制約に指定されている。
【0024】
本開示の例示の実施の形態によるチタン酸アルミニウム−ケイ酸塩セラミックへの酸化セリウム成分および酸化ジルコニウム成分の複合添加は、酸化セリウムまたは酸化ジルコニウムいずれか単独の等量により達成できるよりも、より低い熱膨張係数およびより高い耐熱衝撃性を提供し、それによって、所定の熱膨張係数(CTE)を達成するのに必要な酸化セリウムの量を相当減少させ、またセラミック物品を製造するための原料成分の費用を減少させることが可能になる。いくつかの実施の形態において、前記セラミックに酸化ジルコニウムを添加すると、セラミックの気孔率%も増し、それによって、より少量の細孔形成剤の使用で済むであろう。このことにより、焼成サイクルがより短くなる、または焼成後にひび割れていない品物の選択率がより高くなるであろう。
【0025】
これらの例示の実施の形態において、ケイ酸塩は、ムライト、コージエライト、およびガラス相の1つ以上を構成し得る。コージエライトは、存在する場合、組成Mg2Al4Si518およびその固溶体に基づいて、六方晶相および斜方晶相のいずれかまたは両方を構成することがある。前記セラミックは、50〜99質量%のチアライト、0〜50質量%のムライト、および0〜50質量%のコージエライトを含むことがあり、ムライト+コージエライトは0質量%超である。追加の相の例としては、コランダム、アルミン酸マグネシウムが豊富なスピネル、サファーリン、ルチル、酸化セリウム固溶体、酸化ジルコニウム固溶体、チタン酸ジルコニウム、ジルコン、およびCe2Ti26などのチタン酸セリウム相が挙げられるであろう。いくつかの例示の実施の形態において、X線回折法(XRD)により測定して、コージエライトの量は、0質量パーセントと5質量パーセントの間であり得、ムライトの量は、3質量パーセントと50質量パーセントの間であり得、例えば、ムライトの量は、10質量パーセントと30質量パーセントの間であり得、チアライトの量は、50質量パーセントと93質量パーセントの間であり得、例えば、チアライトの量は、60質量パーセントと85質量パーセントの間であり得る。例えば、前記セラミックは、コージエライトを含まないことがあり得る。他の例示の実施の形態において、コージエライトの量は、10質量パーセント(質量%)と30質量パーセントの間であり得、ムライトの量は、3質量パーセントと15質量パーセントの間であり得、チアライトの量は、50質量パーセントと75質量パーセントの間であり得る。
【0026】
これらの例示の実施の形態において、チアライト相の組成は、0.03≦m≦0.30および0.0≦f≦0.015の関係式を満たし、式中、mは、5つの酸素の式単位当たりのマグネシウム原子の数であり、fは、5つの酸素の式単位当たりの鉄原子の数である。例示の実施の形態において、「m」の値は少なくとも0.03である。何故ならば、マグネシウムの存在が、銅含有ゼオライト触媒などの銅含有相の存在下で、チアライトの熱安定性を増すことが分かったからである。例えば、「m」の値は、少なくとも0.05、少なくとも0.06、少なくとも0.08、そしてさらには少なくとも0.1であり得る。低い熱膨張係数を維持するために、「m」の値は、0.3以下、例えば、0.2以下、0.1以下、そしてさらには0.07以下であり得る。例えば、mは、0.03以上かつ0.1以下であり得、またはmは、0.03以上かつ0.07以下であり得る。
【0027】
これらの例示の実施の形態において、「f」の値は、0.015以下、例えば、0.013以下、0.011以下、0.009以下、0.007以下、またさらには0.005以下であり得る。何故ならば、チアライト相中の鉄の存在により、過剰な熱サイクル成長が生じることが分かったからである。焼成セラミック物品中のFe23の量は、0.5質量%未満、例えば、0.3質量%未満、そしてさらには0.1質量%未満であり得る。
【0028】
本開示のこれらの例示の実施の形態において、セラミック物品中の酸化ジルコニウムZrO2の量は、セラミックの化学分析により測定して、少なくとも0.1質量%、例えば、少なくとも0.2質量%、少なくとも0.5質量%、少なくとも1質量%、少なくとも3質量%、少なくとも5質量%、そしてさらには少なくとも10質量%であり得る。高い耐熱衝撃性を維持するために、酸化ジルコニウムの量は、約25質量%以下、例えば、約20質量%以下、さらには約15質量%以下であり得る。例えば、前記セラミック物品中の酸化ジルコニウムZrO2の量は、0.2質量%と10質量%の間、0.2質量%と5質量%の間、またさらには0.5質量%と3.5質量%の間であり得る。前記セラミック物品中の酸化セリウムCeO2の量は、原料の費用をまだ最小にしながら、焼結を促進するのに十分な酸化セリウムを提供するために、約0.1質量パーセントと3質量パーセントの間、例えば、約0.25質量パーセントと1.5質量パーセントの間、そしてさらには約0.4質量パーセントと1質量パーセントの間であり得る。本開示のこれらの例示の実施の形態において、前記セラミック物品中の酸化ジルコニウムZrO2および酸化セリウムCeO2の量の合計は、少なくとも0.5質量%であり得る、例えば、その合計は、セラミックの化学分析により測定して、少なくとも0.7質量%、少なくとも1質量%、少なくとも2質量%、少なくとも4質量%、少なくとも7質量%、そしてさらには少なくとも13質量%であり得る。
【0029】
本開示のこれらの例示の実施の形態において、室温と1000℃の間で測定した、セラミック物品の平均熱膨張係数は、25×10-7/℃以下、例えば、20×10-7/℃以下、15×10-7/℃以下、10×10-7/℃以下、そしてさらには7×10-7/℃以下であり得る。両方とも室温で測定した、MORが4点破壊係数であり、Eが音響共振で測定したヤング率である、MOR/Eの値は、少なくとも0.09×10-2、例えば、少なくとも0.10×10-2、少なくとも0.11×10-2、少なくとも0.12×10-2、そしてさらには少なくとも0.13×10-2であり得る。
【0030】
排ガス微粒子フィルタとして使用する場合、これらの例示の実施の形態における圧力降下を最小にするために気孔率は、水銀ポロシメトリーで測定して、少なくとも45%、例えば、少なくとも50%、少なくとも55%、そしてさらには少なくとも60%であり得る。比較的高い全気孔率に加え、これらの例示の実施の形態のセラミック体は、比較的微細なおよび/または比較的大きい細孔径の最小割合により明らかな比較的狭い細孔径分布も有し得る。これを受けて、相対細孔径分布は、ここに用いたように、水銀ポロシメトリーにより測定した気孔率の体積パーセントを100で割った細孔分率により表すことができる。例えば、数量d50は、細孔容積に基づく中央細孔径を表し、マイクロメートルで測定される;それゆえ、d50は、セラミックサンプルの開放気孔率の50%に水銀が圧入された細孔直径である。数量d90は、細孔容積の90%が、その直径がd90の値より小さい細孔からなる、細孔直径である;それゆえ、d90は、セラミックの開放気孔率の10体積%に水銀が圧入された細孔直径とも等しい。さらにまた、数量d10は、細孔容積の10%が、その直径がd10の値より小さい細孔からなる、細孔直径である;それゆえ、d10は、セラミックの開放気孔率の90体積%に水銀が圧入された細孔直径と等しい。d10およびd90の値も、マイクロメートルの単位で表される。
【0031】
本発明のセラミック物品内に存在する細孔の中央細孔径d50は、これらの例示の実施の形態において、少なくとも10μm、例えば、少なくとも14μm、または少なくとも16μmであり得る。開示されたセラミック物品内に存在する細孔の中央細孔径d50は、30μm以下、例えば、25μmを超えず、さらには20μmを超えない。開示されたセラミック物品内に存在する細孔の中央細孔径d50は、8μmから30μm、例えば、10μmから25μm、例えば、12μmから23μm、さらには15μmから20μmの範囲にあり得る。これを受けて、上述した気孔率値および中央細孔径の値の組合せは、本開示のセラミック体が排気濾過用途に使用される場合、有用な濾過効率を維持しながら、清浄状態および煤付着状態で低い圧力降下を提供することができる。
【0032】
本開示によるセラミック物品のこれらの例示の実施の形態の比較的狭い細孔径分布は、細孔分率としてさらに定量化される中央細孔径d50よりも微細な細孔径の分布の幅により示すことができる。ここに用いたように、中央細孔径d50よりも微細な細孔径の分布の幅は、数量(d50−d10)/d50を表す「df」値により表される。dfの値は、前記セラミック物品のフィルタが裸の状態または触媒を担持した状態のときに、煤の付着による圧力降下を最小にするために、0.40以下、例えば、0.30以下、0.25以下、0.20以下、そしてさらには0.15以下であり得る。これを受けて、比較的低いdf値は、微細な細孔の低い分率を示し、dfの低い値は、そのセラミック体がディーゼル濾過用途に利用される場合、煤付着状態の圧力降下を確実に低くするのに有益であり得る。
【0033】
開示されたセラミック物品の比較的狭い細孔径分布は、別の例示の実施の形態において、細孔分率としてさらに定量化される中央細孔径d50よりも微細なまたは粗い細孔径の分布の幅により示すこともできる。ここに用いたように、中央細孔径d50よりも微細なまたは粗い細孔径の分布の幅は、数量(d90−d10)/d50を表す「d」または「db」値により表される。これを受けて、本開示のセラミック構造は、これらの例示の実施の形態において、1.50未満、例えば、1.25未満、1.10未満、またさらには1.00未満のdb値を有し得る。開示されたセラミック物品内に存在する細孔のdbの値は、0.8以下、例えば、0.7以下、そしてさらには0.6以下であり得る。dbの比較的低い値は、ディーゼル濾過用途にふさわしい、比較的高い濾過効率および高い強度を提供できる。
【0034】
本開示のこれらの例示の実施の形態において、前記セラミック体は、優れた耐熱衝撃性(TSR)をもたらす低い熱膨張係数を示す。当業者が認識するように、TSRは、熱膨張係数(CTE)と反比例する。すなわち、熱膨張の小さいセラミック物品は、典型的に、より高い耐熱衝撃性を有し、例えば、ディーゼル排気濾過用途において遭遇する幅広い温度変動に耐えることができる。したがって、本開示のセラミック物品は、膨張率測定により測定して、25℃から1000℃の温度範囲に亘り、約25×10-7/℃以下、例えば、20×10-7/℃以下;15×10-7/℃以下、12×10-7/℃以下、またさらには10×10-7/℃以下である、少なくとも一方向における比較的低い熱膨張係数(CTE)を有することによって特徴付けることができる。例えば、セラミック物品がハニカム構造体である場合、その少なくとも一方向は、軸方向であり得る。
【0035】
熱衝撃限界(TSL)は、物品の表面温度が、500または600℃などのいくつかの規定温度にある場合、その物品が、破砕せずに、中心内部内で耐えられる最高温度の相対的指標である。600℃超などの高温からのセラミック物品の冷却中に、表面温度が約600℃に冷めるときに、まだ内部がそれよりいくぶん高い温度である間に、表面近くに破砕が生じることがある。本開示のこれらの例示の実施の形態において、TSLDown(℃)=600℃+(MOR/E)/CTE1000-600℃の計算値は、少なくとも800℃、例えば、少なくとも820℃、少なくとも840℃、少なくとも860℃、そしてさらには少なくとも880℃であり得る。値CTE1000-600℃は、試料がCTE測定中に室温から1000℃まで加熱された後の、冷却の際の1000℃と600℃の間の平均CTEである。TSLDownの計算値は、物品内部の温度が、表面温度が最初のより高い温度から600℃まで冷めるときに、熱応力により物品が破砕される前に、どれだけ高くあり得るかの指標である。TSLUp(℃)=500℃+(MOR/E)/CTE500-1000℃の計算値は、少なくとも850℃、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1100℃、そしてさらには少なくとも1200℃であり得、式中、CTE500-1000℃は、加熱の際の500℃と1000℃の間の平均CTEである。TSLUpの値は、物品内部の温度が、表面温度が最初のより低い温度から加熱された後に、500℃であるときに、熱応力により物品が破砕される前に、どれだか高くあり得るかの指標である。
【0036】
さらにまた、これらの例示の実施の形態は、上述した性質のどの所望の組合せも示し得ることも理解すべきである。例えば、1つの実施の形態において、CTE(25−1000℃)は、12×10-7/℃以下(例えば、10×10-7/℃以下)であり得、気孔率%Pは、少なくとも45%であり得、中央細孔径は、少なくとも14μm(例えば、少なくとも18μm)であり得、dfの値は、0.35以下(例えば、0.30以下)であり得る。そのような例示のセラミック体は、1.0を超えない、例えば、0.85を超えない、または0.75を超えないdbの値をさらに示し得る。これらの例示の実施の形態において、CTE(25−1000℃)は、18×10-7/℃以下であり得、気孔率%Pは少なくとも40%であり得る。例えば、CTE(25−1000℃)は、18×10-7/℃を超えず、気孔率%Pは少なくとも60%である。別の例において、CTE(25−1000℃)は、12×10-7/℃を超えず、気孔率%Pは少なくとも40%である。さらなる例において、CTE(25−1000℃)は、12×10-7/℃を超えず、気孔率%Pは少なくとも60%である。
【0037】
本開示のセラミック体は、特定の用途に適したどのような形状または構造を有しても差し支えない。前記セラミック体が適している、ディーゼル微粒子濾過などの高温濾過用途において、そのセラミック体は、ハニカムモノリス、またはセラミックセメントを使用することなどにより、互いに固定された多数のハニカムセグメントにより形成されたハニカムの構造のようなマルチセルラ構造を有し得る。例えば、これらの例示の実施の形態のいずれにおいても、セラミック物品は、入口端または面および出口端または面、並びに入口端から出口端まで延在する多数のセルであって、多孔質壁を有するセルを有するハニカム構造を備えることができる。そのハニカム構造は、70セル/平方インチ(10.9セル/cm2)から400セル/平方インチ(62セル/cm2)のセル密度をさらに有し得る。入口端または面でセルの一部を、ここに完全に記載されているかのように、これによって全てを引用する、米国特許第4329162号明細書に記載されているように、ハニカム構造の組成と同じまたは類似の組成を有するペーストで施栓することができる。この施栓は、一般に約1から20mmの深さまでセルの端部でのみ行われるが、この深さは様々であり得る。入口端でのセルに対応しない、出口端でのセルの一部が施栓される。したがって、各セルは、一端のみで施栓されている。例示の配置は、市松模様におけるように、所定の面が1つおきに施栓されたものである。
【0038】
この施栓形態により、排気流と基体の多孔質壁との間でより緊密に接触することが可能になる。排気流は、入口端で開放セルを通って基体に流入し、次いで、多孔質セル壁を通り、出口端で開放セルを通ってこの構造体から流出する。ここに記載されたタイプのフィルタは「壁流」フィルタとして知られている。何故ならば、交互の通路の施栓により生じた流路により、排気ガスが、フィルタを出る前に、多孔質セラミックセルを流れるために処理される必要があるからである。
【0039】
本開示の例示の実施の形態は、特定の無機粉末原料からなるセラミック形成前駆体バッチ組成物から、チタン酸アルミニウム−ケイ酸塩セラミック物品を製造する方法も提供する。一般に、この方法は、最初に、ケイ素含有源、アルミニウム含有源、チタン含有源、マグネシウム含有源、希土類含有源、およびジルコニウム含有源を含む無機バッチ組成物を提供する工程を有する。次いで、この無機バッチ組成物は、可塑剤、滑剤、結合剤、細孔形成剤、および溶媒からなる群より選択される1種類以上の加工助剤と一緒に混合されて、可塑化セラミック前駆体バッチ組成物を形成する。この無機バッチ組成物の無機粉末原料は、1種類以上の加工助剤と共に混合される前に、混合されても、混合されなくてもよい。この可塑化セラミック前駆体バッチ組成物は、未焼成体に成形または他の様式で形成し、必要に応じて乾燥させ、その後、その未焼成体をセラミック物品に転化するのに効果的な条件下で焼成することができる。この方法のこれらの例示の実施の形態によれば、セラミック物品は、チアライト相、少なくとも1つのケイ酸塩相、少なくとも1質量%のMgO、少なくとも0.1質量%の希土類酸化物、および少なくとも0.1質量%のZrO2を含み、この物品の金属酸化物成分が、以下の関係式の少なくとも一方を満たし:
3(TiO2のモル%)/(100+Al23のモル%)<1.0、および
[2(Al23のモル%)+3(MgOのモル%)]/110>1.0
式中、TiO2のモル%=100[(TiO2のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、Al23のモル%=100[(Al23のモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、およびMgOのモル%=100[(MgOのモル数)/(TiO2のモル数+Al23のモル数+MgOのモル数+ZrO2のモル数)]、
ZrO2および希土類酸化物の合計は0.5質量%超であり、
Fe23の量は0.5質量%未満である。
【0040】
前記マグネシウム含有源は、例えば、制限するものではなく、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、MgAl24、Mg2SiO4、MgSiO3、MgTiO3、Mg2TiO4、MgTi25、タルク、およびか焼タルクの1つ以上から選択することができる。あるいは、マグネシウム含有源は、緑泥石、または蛇紋石の1つ以上から選択することができる。マグネシウム含有源は、35μmを超えない、例えば、30μmを超えない中央粒径を有し得る。これを受けて、ここに称されるように、全ての粒径は、Microtrac粒径分析機などによるレーザ回折法によって測定される。
【0041】
前記アルミニウム含有源は、例えば、制限するものではなく、コランダム、Al(OH)3、ベーマイト、ダイアスポア、ガンマアルミナまたはローアルミナ等の遷移アルミナなどのアルミナ形成源から選択することができる。あるいは、アルミニウム含有源は、MgAl24、Al2TiO5、ムライト、カオリン、か焼カオリン、葉ろう石、カイヤナイトなどの別の金属酸化物とのアルミニウムの化合物であって差し支えない。これらの実施の形態において、アルミニウム含有源の重量平均中央粒径は、5μmから30μmの範囲、例えば、10μmから20μmの範囲にあり得る。さらに別の例において、アルミニウム含有源は、1種類以上のアルミナ形成源と、別の金属酸化物を含むアルミニウムの1種類以上の化合物との組合せであって差し支えない。
【0042】
前記チタン含有源は、上述したマグネシウムまたはアルミニウムを有する化合物に加え、TiO2粉末として提供することができる。
【0043】
前記ケイ素含有源は、石英、隠微晶質石英、溶融シリカ、珪藻土、低アルカリゼオライト、またはコロイドシリカなどのSiO2粉末として提供することができる。さらに、ケイ素含有源は、例えば、コージエライト、緑泥石、タルク、カオリン、カヤナイト、ムライトなどを含む、マグネシウムおよび/またはアルミニウムを有する化合物として提供することもできる。さらに別の実施の形態において、ケイ素含有源の中央粒径は、好ましくは少なくとも5μm、より好ましくは少なくとも10μm、さらにより好ましくは少なくとも20μmである。
【0044】
上述したように、希土類酸化物、例えば、酸化セリウム、および酸化ジルコニウムまたはジルコン(ZrSiO4)などのジルコニウム含有源を前駆体バッチ組成物に加えても差し支えない。例えば、酸化セリウムおよび酸化ジルコニウムを前記前駆体バッチ組成物に加えて、焼成温度を低下させ、セラミック組成物を形成するのに必要な焼成領域を広げることができる。酸化セリウムおよび酸化ジルコニウムの量の合計は、例えば、全組成物の0.5から17質量パーセントであり得る。酸化セリウムは、全組成物の0.1から3質量パーセントの量で存在し得、酸化ジルコニウムは、全組成物の0.1から15質量パーセントの量で存在し得る。例えば、酸化ジルコニウムは、全組成物の0.2から10質量パーセント、またさらには全組成物の0.2から5質量パーセントの量で存在し得る。例えば、酸化セリウムは、全組成物の0.4から1質量パーセントの量で存在し得、酸化ジルコニウムは、全組成物の0.5から3.5質量パーセントの量で存在し得る。これらの例示の実施の形態において、特定の質量百分率の酸化ジルコニウムが必要とされ、そのジルコニウムがジルコンとして提供される場合、ジルコンの質量百分率は、所望の量の酸化ジルコニウム成分を提供するように選択されることが理解されよう。
【0045】
他の焼成助剤を前駆体バッチ組成物に加えてもよく、その例としては、CaO、SrO、Y23、およびLa23の少なくとも1種類などの金属酸化物を1種類以上が挙げられる。焼結助剤は、酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、水和物などとして前駆体バッチ組成物に添加しても差し支えない。焼成助剤は、約0.1質量%と3.0質量%の間、例えば、約0.25質量%と2.0質量%の間の量で加えることができる。
【0046】
さらにまた、セラミック前駆体バッチ組成物は、界面活性剤、油滑剤および細孔形成材料などの他の添加剤を含んでもよい。成形助剤として使用できる界面活性剤の非限定的例に、C8からC22脂肪酸、および/またはそれらの誘導体がある。これらの脂肪酸と共に使用できる追加の界面活性剤成分に、C8からC22脂肪酸エステル、C8からC22脂肪酸アルコール、およびこれらの組合せがある。例示の界面活性剤に、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、およびそれらの誘導体、トール油、ラウリル硫酸アンモニウムと組み合わせたステアリン酸、並びにこれらの全ての組合せがある。実例の実施の形態において、界面活性剤は、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、トール油、およびこれらの組合せである。これらの実施の形態のいくつかにおいて、界面活性剤の量は、約0.25質量%から約2質量%までである。
【0047】
成形助剤として使用される油滑剤の非限定的例としては、軽油、トウモロコシ油、高分子量ポリブテン、ポリオールエステル、軽油とワックスエマルションのブレンド、トウモロコシ油中のパラフィン蝋のブレンド、およびこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施の形態において、油滑剤の量は、約1質量%から約10質量%である。例示の実施の形態において、油滑剤は、約3質量%から約6質量%で存在する。
【0048】
前記前駆体組成物は、所望であれば、特定の用途のための焼成体における気孔率および細孔径分布を調整するために細孔形成剤を含有しても差し支えない。細孔形成剤は、所望の、通常はより高い気孔率および/またはより粗い中央細孔径を得るために、未焼成体の乾燥または加熱中に燃焼によって蒸発するまたは気化を経る一時的材料である。適切な細孔形成剤としては、制限するものではなく、炭素;黒鉛;デンプン;木材、殻、またはナッツ粉末;ポリエチレンビーズなどの高分子;蝋などが挙げられる。粒状細孔形成剤は、使用される場合には、10μmから70μm、より好ましくは15μmから50μmの範囲の中央粒径を有し得る。
【0049】
無機セラミック形成バッチ成分は、どの随意的な焼結助剤および/または細孔形成剤とも共に、液体ビヒクルおよびそれらが成形体に形成されたときに原料に塑性成形性および生地強度を与える成形助剤と緊密にブレンドすることができる。成形が押出しにより行われる場合、最も典型的に、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース誘導体、および/またはそれらの任意の組合せなどのセルロースエーテル結合剤が、一時的有機結合剤として働き、ステアリン酸ナトリウムが滑剤として働くことができる。成形助剤の相対量は、使用する原料の性質および量などの要因に応じて変わり得る。例えば、成形助剤の典型的な量は、約2質量%から約10質量%、好ましくは3質量%から約6質量%のメチルセルロース、および約0.5質量%から約1質量%、好ましくは約0.6質量%のステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、オレイン酸またはトール油である。原料および成形助剤は、一般に、乾燥形態で一緒に混合され、次いで、ビヒクルとしての水と混合される。水の量は、ある材料のバッチから別のバッチと様々であり得、したがって、押出性について特定のバッチを予備試験することによって決定される。
【0050】
液体ビヒクル成分は、セラミックバッチ混合物中の他の成分との相溶性および最適な取扱特性を与えるために、使用する材料のタイプに応じて異なり得る。典型的に、液体ビヒクル含有量は、通常、可塑化組成物の15質量%から50質量%の範囲にある。1つの実施の形態において、液体ビヒクル成分は水を含み得る。別の実施の形態において、セラミックバッチ組成物の構成成分に応じて、例えば、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物などの有機溶媒を液体ビヒクルとして使用できると理解すべきである。
【0051】
可塑化前駆体組成物からの未焼成体の成形または造形は、例えば、一軸加圧成形または静水圧プレス成形、押出し、スリップキャスティング、および射出成形などの典型的なセラミック製造技法によって行ってよい。触媒コンバータ用のフロースルー式基体またはディーゼル微粒子壁流フィルタなどのために、セラミック物品がハニカム構造のものである場合、押出しが好ましい。結果として得られる未焼成体は、必要に応じて乾燥させ、次いで、この未焼成体をセラミック物品に転化させるのに効果的な条件下で、ガスまたは電気窯内で、またはマイクロ波加熱により、焼成することができる。例えば、未焼成体をセラミック物品に転化するのに効果的な焼成条件は、1300℃から1550℃の範囲、例えば、1300℃から1400℃の範囲、または1400℃から1500℃の範囲の最高均熱温度で未焼成体を加熱する工程、および未焼成体をセラミック物品に転化するのに十分な保持時間に亘りその最高均熱温度を維持する工程、並びに続いて、焼成された物品に熱衝撃を与えないように十分な速度で冷却する工程を有することができる。例えば、MgOの量が多い組成物は、その焼成範囲のより低い側で焼成してよい。
【0052】
壁流フィルタを得るために、ハニカム構造のセルの一部は、入口端または面で、施栓されている。その施栓は、典型的に約1から20mmの深さまでであるセルの端部でのみであるが、これは異なっても差し支えない。入口端で施栓されたセルに対応しない、セルの一部が、出口端で、施栓されている。したがって、各セルは一端のみで施栓されている。例示の配置は、1つおきのセルが所定の面で市松模様に施栓されたものである。
【実施例】
【0053】
本開示の例示の実施の形態を、ある例示の実施の形態と特定の実施の形態に関してさらに以下に説明する。それらは、説明のためだけであり、限定を意図したものではない。実施の形態のいくつかによれば、比較組成物については表2に、本開示の実施の形態の例示の組成物については表3、4および5に、また比較組成物および本開示の実施の形態の例示の組成物については表11に提供されるような一般的な無機バッチ組成を有する一連のセラミック物品を調製するために、表1に提供された組成を有する原料を使用した。表2〜5における全ての原料成分は、質量部で表されている。表2〜5は、ムライト−チタン酸アルミニウム(MAT)の比較例と実施例の原料および推定バルク組成を与える。表6〜10は、比較組成を有する比較例および例示の組成を有する実施例のムライト−チタン酸アルミニウム(MAT)の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。表11は、コージエライト−ムライト−チタン酸アルミニウム(CMAT)の比較例および実施例の原料および推定バルク組成を与える。表12および13は、比較組成を有する比較例および例示の組成を有する実施例のコージエライト−ムライト−チタン酸アルミニウム(CMAT)の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2-1】
【0056】
【表2-2】
【0057】
表2は、比較組成に関する、焼成品の酸化物の推定質量%、焼成品の100グラム当たりの酸化物の推定モル数、および焼成品の酸化物の推定モル百分率も与える。比較組成Aは、セリアもジルコニアも含有していない。比較組成B、C、D、およびEは、セリアまたはジルコニアの一方のみを有している。比較組成Bは、バッチ組成中に上乗せ添加として約0.50質量%のセリアを、焼成品において約0.50質量%を有し、これは、約0.26モルパーセントである。比較組成Cは、バッチ組成中に上乗せ添加として約1.50質量%のセリアを、焼成品において約1.48質量%を有し、これは、約0.76モルパーセントである。比較組成Dは、バッチ組成中に上乗せ添加として約3.00質量%のセリアを、焼成品において約2.92質量%を有し、これは、約1.51モルパーセントである。比較組成Eは、バッチ組成中に上乗せ添加として約2.00質量%のジルコニアを、焼成品において約1.96質量%を有し、これは、約1.41モルパーセントである。
【0058】
【表3-1】
【0059】
【表3-2】
【0060】
表3および4は、本開示の例示の実施の形態による例示の組成に関して、例示のバッチ組成中の原料の質量%、焼成品の酸化物の推定質量%、焼成品の100グラム当たりの酸化物の推定モル数、および焼成品の酸化物の推定モル百分率を与える。
【0061】
表3を参照すると、例示の組成Fは、バッチ組成中に上乗せ添加として約2.00質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアを、焼成品において約1.96質量%のジルコニアおよび約0.49質量%のセリアを有し、これは、それぞれ、約1.40モルパーセントおよび約0.25モルパーセントである。例示の組成Gは、バッチ組成中に上乗せ添加として約3.00質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアを、焼成品において約2.90質量%のジルコニアおよび約0.48質量%のセリアを有し、これは、それぞれ、約2.09モルパーセントおよび約0.25モルパーセントである。例示の組成Hは、バッチ組成中に上乗せ添加として約6.00質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアを、焼成品において約5.64質量%のジルコニアおよび約0.47質量%のセリアを有し、これは、それぞれ、約4.10モルパーセントおよび約0.24モルパーセントである。例示の組成Iは、バッチ組成中に上乗せ添加として約10.00質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアを、焼成品において約9.07質量%のジルコニアおよび約0.45質量%のセリアを有し、これは、それぞれ、約6.65モルパーセントおよび約0.24モルパーセントである。例示の組成KおよびLは、バッチ組成中に上乗せ添加として約3.00質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアを、焼成品において、それぞれ、約2.90から2.92質量%のジルコニアおよび約0.48から0.49質量%のセリアを有し、これは、それぞれ、約2.08から2.11モルパーセントおよび約0.25モルパーセントである。例示の組成KおよびLは、実質的に同量の酸化ジルコニウム、酸化セリウム、細孔形成剤、および有機物を有するが、例示の組成KおよびLは、異なる量の酸化アルミニウム、酸化チタン、石英、タルク、および水酸化マグネシウムを有する。
【0062】
表4において、例示の組成N、O、P、およびQは、バッチ組成中に上乗せ添加として、約4.59質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアまたは約9.32質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアのいずれかを有する。焼成品において、これらの例示の組成N、O、P、およびQは、約2.90から2.92質量%のジルコニアまたは約5.63から5.80質量%のジルコニアおよび約0.46から0.48質量%のセリアを有する。ジルコニアのモルパーセントは、約2.07から2.12または4.04から4.21であり、セリアのモルパーセントは、約0.23から0.25である。それぞれ、例示の組成NおよびOとほぼ同量のジルコニアおよびセリアを有する例示の組成PおよびQは、原料中の石英の量が減少している。
【0063】
【表4-1】
【0064】
【表4-2】
【0065】
【表5-1】
【0066】
【表5-2】
【0067】
表5の例示の組成S、T、およびUに含まれる水酸化マグネシウム原料の量は増加している。これらの例示の組成の全ては、バッチ組成中に上乗せ添加として約3.00質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアを、焼成品において約2.91から2.93質量%のジルコニアおよび約0.48から0.49質量%のセリアを有する。
【0068】
表5の例示の組成VおよびWは、増加する量の酸化鉄(III)原料を含む。これらの例示の組成の両方とも、バッチ組成中に上乗せ添加として約3.00質量%のジルコニアおよび約0.50質量%のセリアを、焼成品において約2.90質量%のジルコニアおよび約0.48質量%のセリアを有する。
【0069】
表6は、それぞれ、比較組成A、B、C、D、およびEを有する、ムライト−チタン酸アルミニウム(MAT)の比較例1、2、3、4、および5の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。
【0070】
【表6-1】
【0071】
【表6-2】
【0072】
表7は、それぞれ、例示の組成F、G、H、およびIを有する、ムライト−チタン酸アルミニウム(MAT)の実施例6、7、8、および9の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。表8は、それぞれ、例示の組成K、G、およびLを有する、MATの実施例10、11、および12の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。
【0073】
【表7-1】
【0074】
【表7-2】
【0075】
【表8-1】
【0076】
【表8-2】
【0077】
表9は、それぞれ、例示の組成N、O、P、およびQを有する、MATの実施例14、15、16、および17の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。
【0078】
【表9-1】
【0079】
【表9-2】
【0080】
表10は、それぞれ、例示の組成S、T、U、V、およびWを有する、MATの実施例19、20、21、22、および23の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。
【0081】
【表10-1】
【0082】
【表10-2】
【0083】
表11は、比較組成YおよびZを有するコージエライト−ムライト−チタン酸アルミニウム(CMAT)並びに例示の組成AA、AB、およびACを有するMATの原料および推定バルク組成を与える。
【0084】
【表11-1】
【0085】
【表11-2】
【0086】
表12は、それぞれ、比較組成YおよびZを有する、CMATの比較例25および26の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。表12は、それぞれ、例示の組成AAおよびABを有する、CMATの実施例27および28の焼成条件、相組成、および物理的性質も与える。
【0087】
【表12-1】
【0088】
【表12-2】
【0089】
表13は、800〜950℃の間における60℃/時の加熱速度での、それぞれ、比較組成YおよびZを有する、CMATの比較例29および30の焼成条件、相組成、および物理的性質を与える。表13は、800〜950℃の間における60℃/時の加熱速度での、それぞれ、例示の組成AAおよびABを有する、CMATの実施例31および32、並びに800〜950℃の間における30℃/時の加熱速度での、それぞれ、例示の組成AAおよびACに対応する実施例33および34の焼成条件、相組成、および物理的性質も与える。
【0090】
【表13-1】
【0091】
【表13-2】
【0092】
提供した比較例と実施例は、粉末成分を水および有機結合剤と混練し、続いて、押し出し、乾燥させ、焼成することによって作製した。いくつかの組成物は、直径8mmの棒材として押し出した。この棒材を、端部がアルミホイルでゆるく覆われたガラス管内に入れ、熱風炉内で乾燥した。他の組成物は、平方インチ当たり約300の正方形セル(平方センチメートル当たり約46.5の正方形セル)および0.013〜0.014インチ(約0.33〜0.36mm)厚の壁を有するハニカム形状に押し出した。ハニカム品をマイクロ波加熱炉内である程度乾燥させ、続いて、熱風炉内で完全に乾燥させた。その後、サンプルを、表示雰囲気内の表示焼成サイクルにより電気釜内で焼成し、続いて冷却した。均熱温度も、表6から10および12から13に与えられている。これらの例について、以下にさらに論じる。表6〜10の例について、相対的長さ変化ΔL/L乾燥および相対的直径変化ΔD/D乾燥は、乾燥後と焼成後(「乾燥対焼成」)のサンプル寸法の測定により決定した。表12〜13の例について、焼成後のハニカムサンプルの直径の基準を、「マスク対焼成」の相対的寸法変化ΔD/Dマスクを計算するために、押出ダイの前面に配置した金属マスクの直径とした。「マスク対焼成」収縮は、(−1)(ΔD/Dマスク)と等しい。CTEは、膨張率測定によって、ハニカム通路または棒材の軸に対して平行に測定した。気孔率および細孔径分布は、水銀ポロシメトリー測定から導いた。破壊係数は四点法によって室温で測定し、ヤング率は、音響共振技法によって室温で測定し、両方とも、品物の押出方向に対して平行であった。結晶相の質量百分率およびチアライト相の単位格子寸法は、リートベルト解析を使用してX線回折法によって決定した。いくつかの例に関するチアライト相の組成は、電子プローブ微量分析によって決定した。
【0093】
図1は、実施例7のセラミックハニカムの通路軸に対して直角の研磨断面の35倍の倍率での走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を示す。図2は、実施例7のセラミックハニカムの通路軸に対して直角の研磨断面の200倍の倍率でのSEMの顕微鏡写真を示す。図1は、サイズが交互になった断面積が等しくない非対称通路形状、並びに壁に亘る良好な細孔サイズおよび分布を示している。図2は、壁材料および気孔率並びに壁材料中に存在する異なる相(チアライト、薄い灰色;ムライト、濃い灰色;および単斜晶酸化ジルコニウム系相、白色)の詳細を示している。
【0094】
図3は、比較例および実施例に関する、「マスク対焼成」収縮対焼成温度のデータをプロットしたグラフを示している。図3は、CMAT組成のセラミック物品中のCeO2のみは、良好なCTEを提供するにもかかわらず、焼成温度を変えることによる、良好な収縮制御が欠けることを示している(表12および13)。ジルコニアのみを含むCMATのセラミック物品は、焼成温度を変えることによる収縮制御がまあまあから良好であるが、低いCTEを有さない(表12および13)。セリアおよびジルコニアを共に有するCMAT組成のセラミック物品は、低いCTEを示し、図3に示されるように、焼成温度を変えることによる収縮を制御する能力は良好から優れている。
【0095】
表14は、電子プローブ微量分析により決定した、比較例および実施例におけるチアライト相の組成を与える。
【0096】
【表14】
【0097】
本開示の例示の実施の形態によれば、チアライト+ケイ酸塩セラミックに酸化セリウム成分および酸化ジルコニウム成分を併せて添加すると、等量の酸化セリウムまたは酸化ジルコニウムのいずれかのみにより達成できるよりも、低い熱膨張係数、および高い耐熱衝撃性を提供し、それによって、所定のCTEを達成するのに必要な酸化セリウムの量を相当減少させることができ、セラミック物品を製造するための原料成分の費用を減少させることができる。いくつかの実施の形態において、セラミックに酸化ジルコニウムを添加すると、セラミックの気孔率%が増し、それによって、より少量の細孔形成剤の使用で済むであろう。このことにより、焼成サイクルがより短くなる、または焼成後にひび割れていない物品の選択率がより高くなるであろう。さらに、セリウムとジルコニウムの組合せにより、セリウムまたはジルコニウムのみを含有する組成物に可能であるよりも、焼成温度の変化によるマスク対焼成収縮の制御をよりよくできる。
【0098】
本開示の精神または範囲から逸脱せずに、本開示において、様々な改変および変更を行えることが当業者にとって明白であろう。それゆえ、付随する特許請求の範囲は、本開示の改変および変更を、それらが付随の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内に入るという条件で包含することが意図されている。
図1
図2
図3