特許第6469685号(P6469685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6469685-自動車のための剛性圧入キャップ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469685
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】自動車のための剛性圧入キャップ
(51)【国際特許分類】
   F02F 11/00 20060101AFI20190204BHJP
   F16J 13/14 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   F02F11/00 P
   F16J13/14
   F02F11/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-533981(P2016-533981)
(86)(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公表番号】特表2016-534278(P2016-534278A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】IB2014063879
(87)【国際公開番号】WO2015022642
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年7月26日
(31)【優先権主張番号】TO2013A000686
(32)【優先日】2013年8月12日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514100304
【氏名又は名称】ダイコ・ヨーロッパ・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ・ヴィラドリキ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルーカ・ペルフェッティ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ブランディン
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−010036(JP,A)
【文献】 米国特許第03635369(US,A)
【文献】 特開2005−299747(JP,A)
【文献】 特開2002−036382(JP,A)
【文献】 実開昭62−025369(JP,U)
【文献】 特開平07−071602(JP,A)
【文献】 特開平01−320373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00−1/42
F02F 7/00
F02F 11/00
F16J 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属層(2)を備える、自動車のための剛性圧入キャップ(1)において、
前記キャップ(1)が、前記第1の金属層と直接接触するポリアミド11からなる少なくとも1つの第2の層(3)を備え
前記第2の層(3)が、前記第1の金属層(2)を完全に覆っていることを特徴とするキャップ(1)。
【請求項2】
前記第1の金属層(2)が、スチール又はアルミニウムから作られていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ(1)。
【請求項3】
前記第2の層(3)が、ポリアミド11を少なくとも50%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ(1)。
【請求項4】
前記第2の層(3)が、ポリアミド11を少なくとも80%含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップ(1)。
【請求項5】
前記第2の層(3)が、ポリアミド11からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のキャップ(1)。
【請求項6】
自動車のための剛性圧入キャップの製造方法であって、
− 金属材料からなる第1の層(2)によって形成された予め形成されたキャップを加熱するステップと、
− ポリアミド11で満たされた容器内に前記予め形成されたキャップを浸漬させるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
エンジンキャップとしての、又はウォーターポンプ、オイルポンプもしくはギアボックスのハウジングのための、請求項1からのいずれか一項に記載の自動車のための剛性圧入キャップの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のための、特に自動車のエンジンのための剛性圧入キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
特にエンジンクランクケースを密封するために、自動車内で剛性圧入キャップを使用することが公知である。これらキャップは、非常時の場合又は駆動シャフト上で操作する場合にのみ取り外されなければならない。
【0003】
剛性圧入キャップは、エンジンクランクケースの密封を保証するために、通常、金属材料から作られる。現在、市販されているキャップは、特に、高温時に、エンジンの内部に存在するエンジンオイルと空気/オイル混合物とに対する流体密封を保証しなければならない。また、現在使用されているエンジンキャップは、少なくとも2バールまでの高圧に耐え、相当な熱衝撃に耐え、且つピークが145℃から155℃にさえなる−25℃以下の温度から125℃よりも高い温度に変わる温度に耐性がなければならない。
【0004】
従って、このために金属キャップのみが使用される。流体密封を保証するために、キャップを接着剤で覆うことも公知である。
【0005】
しかしながら、現在既存のキャップは、金属が接着剤で覆われているものでさえ、多くの欠点を有している。特に、金属材料は、化学薬品に対して必要な耐性を有していない。この理由のために、カバー用接着剤又はペイントが使用され、これらはキャップが取り付けられるときに塗布される。しかしながら、組み立てライン接着プロセスは、多くの欠点を引き起こし、特に、部分的にのみ覆われたキャップをもたらす可能性があり、従って、一般に、接着の品質は、気密試験を介して検査される。その結果、プロセス全体は、時間がかかり且つ高価になる。さらに、不完全な接着に起因してキャップ漏れが時間とともに生じる可能性があることも考えられる。最も適切な付着材料を適切に選択したとしても、この状況を改善することができず、従って、最適な密封と組み合わせてより迅速な組み立てを可能にする代替案が求められている。
【0006】
従って、上述した欠点を有していないキャップが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の第1の目的は、上述した問題を解決することができると同時に、製造するのに安価なシンプルな構造を有し且つ低温及び高温での最適な抵抗性を有し、且つ圧力及び化学薬品、特にエンジンオイルに対する抵抗性を有する、自動車のための剛性圧入キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の、自動車のための剛性圧入キャップによって達成される。
【0009】
本発明をよりよく理解するために、本発明が、添付の図面を参照してこれから説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による2つのキャップが適用された、エンジンの部分的な概略図である。
図2】本発明によるキャップの斜視図である。
図3】本発明による図2のキャップの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による、自動車の内部で使用される剛性圧入キャップ1は、図2及びより詳細に図3に示すように、第1の金属層2と、第1の層2と接触する少なくとも1つの第2の層3と、を備えている。
【0012】
有利には、第2の層3は、ポリアミド11を含む。
【0013】
ポリアミド11は、ヒマシ油由来の植物性のバイオポリアミド11であり、好ましくは再生可能資源から得られる。
【0014】
好ましくは、ポリアミド11は、リルサン(登録商標)ブランドで販売されているファミリーからのものである。
【0015】
さらにより有利には、第2の層3は、50%よりも多くがポリアミド11から作られる。
【0016】
さらにより有利には、第2の層3は、80%よりも多くがポリアミド11から作られる。
【0017】
好ましい一実施形態では、第2の層3は、完全にポリアミド11から作られる。
【0018】
有利には、第1の層の厚さは、0.5mmから2mmの間である。より正確には、第1の層の厚さは、0.75mmから1.5mmの間である。
【0019】
有利には、第2の層の厚さは、0.15mmから0.3mmの間である。より好ましくは、第2の層の厚さは、0.2mmから0.30mmの間である。
【0020】
より有利には、第1の層2は、エンジン4のクランクケース又はケーシングが作られる金属と類似する金属から作られる。
【0021】
より有利には、金属は、スチール又はシート金属であるが、アルミニウムを使用することも可能である。
【0022】
有利には、本発明によるキャップ1は、図1に概略的に示すようにエンジン4のクランクケース、ケーシング又はカバーを閉鎖するために使用され、この用途ではエンジンキャップとしても公知である。あるいは、本発明のキャップは、ウォーターポンプ、オイルポンプ又はギアボックスのハウジングを密封するために使用することもできる。
【0023】
本発明によるキャップを製造する手順は、金属材料の第1の層からなる予め形成されたキャップを250℃よりも高い温度に加熱し、その後、ポリアミド11で満たされた振動ドラム内に予め形成されたキャップを浸漬させるステップを含む。
【0024】
このようにして、ポリアミド11が、溶けて、予め形成されたキャップの第1の金属層の壁に均一に付着し、これにより、均一な厚さの第2の層を形成する。
【0025】
その後、キャップは冷却される。
【0026】
選択的に、光沢効果を得るために、キャップをより低い温度まで再加熱することが可能である。
【0027】
このプロセスにより、第2の層3は、第1の層2を完全に覆う。あるいは、第2の層は、キャップ1の一面のみを覆うことができる。
【0028】
有利には、キャップ1は、これまで使用されたキャップの場合のように組み立てラインを中断することなく且つさらなる中間処理を必要とすることなく、組み立て段階で圧入される。
【0029】
さらに、本発明のキャップをネジ式キャップの交換品として使用することが有利であることも分かった。この交換品では、変更は、キャップが、ネジ式応用に適したネジ山部分を備えている点のみである。
【0030】
本発明によるキャップの安定性及び耐オイル性が、150℃での参照オイル、Luprizol OS206304中の100時間及び500時間の浸漬試験で検証された。
【0031】
接着剤で覆われたキャップは、試験をパスせず、漏れのリスクを示した一方で、2つの層を備え且つ第2の層がポリアミド11を含む、本発明によるキャップは、漏れが発生しなかっただけでなく材料が部分的に溶けることすらも示さなかった。
【0032】
本発明により製造されたキャップの特性の検査から、本発明が提供することができる利点が明らかとなった。
【0033】
有利なことに、本発明によるキャップは、高温及び低温並びに熱衝撃に対して優れた抵抗性を示した。
【0034】
さらに、ポリアミド11の層は、より良好な密封を保証することを可能にすると同時に、金属層は、必要な剛性を保証する。
【0035】
本発明のキャップは、2barを超える高圧に対してさえ抵抗性を有することができ、相当な熱衝撃に耐えることができ、且つ漏れのリスクなく−40℃以下から145℃−155℃までの範囲の温度に対して抵抗性を有することができる。
【0036】
さらに、使用されるポリアミド11は、ヒマシ油由来の天然起源の材料であり、従って再生可能資源から手に入り、現在では自動車パーツを製造するためのより環境にやさしい材料を継続的に目指している。
【0037】
いつくかの実施形態を本発明を示すために説明したが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、キャップの第1の層及び第2の層の材料を変更するか又は層を加えることができることが明らかである。
【符号の説明】
【0038】
1 剛性圧入キャップ、2 第1の金属層、3 第2の層
図1
図2
図3