【実施例】
【0079】
実施例1
実験の設計および方法論
異なるインフルエンザ株由来のHA分子をそれぞれ含む、3種類の異なるインフルエンザ由来のビロソーム調合物を1つの対照組成物に調製し、「Cogent μSCALE TFFシステム」UF/DFインストルメント(Millipore)を用いて再緩衝して8種類の実験的製剤(表1)にした。溶出液を濾過滅菌(0.22μm)し、等分してガラス瓶に入れた(1瓶につき3mL)。この対照組成物は、50mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4で7.4のpHに緩衝され、かつ約82mMの濃度でNaClを含む現在市販されているInflexal(登録商標)V組成物である。
【0080】
続いてその瓶を1サイクルの凍結/解凍(F/T)にかけるか、または安定性の研究のために5±3℃でインキュベート(1ヶ月および3ヶ月の間)した。これらは、両方とも実時間条件をシミュレートしている。試料の分析が2回繰り返して行われるまで、瓶を分割量のそれらのそれぞれの対照と一緒に5±3℃で貯蔵した。試料を、発明を実施するための形態の項において前述したHA定量化のための一元放射免疫拡散法(SRID)およびビロソーム粒径測定のためのZ−sizer nano(ZS)によって分析した。
【0081】
【表1】
【0082】
結果および結論
A/カリフォルニア由来のビロソームについて平均直径サイズおよびHA濃度を1回の凍結/解凍サイクルの前および後に測定した(
図1)。1回の凍結/解凍サイクル後、対照組成物は、直径サイズ(
図1A)およびHA濃度(
図1B)の両方に関してビロソームの安定性にとって不利であることが観察された。
【0083】
予想外に、試験された実験的製剤については平均直径サイズに関して優れた性能が観察され、また単糖または二糖を、特にpH7.0で加えた場合、明らかな追加の値が観察された(
図1A)。実際にこれらの製剤ではビロソームサイズの顕著な変化は動的光散乱法により測定されなかった。試験された実験的製剤については凍結/解凍後のHA濃度の変化に関して良好な安定性プロフィールが観察された(
図1B)。
【0084】
A/カリフォルニア由来のビロソームを5±3℃で12週間貯蔵し、平均直径サイズおよびHA濃度をt=0、t=4、およびt=12週間の時点で測定した(
図2)。分析したすべての製剤についてビロソームサイズに関して経時的に顕著な変化は観察されなかった(
図2A)。対照組成物および試験された実験的製剤について経時的なHA濃度の変化の同じ傾向が観察された(
図2B)。
【0085】
B/ブリスベン由来のビロソームについて平均直径サイズおよびHA濃度を1回の凍結/解凍サイクルの前および後に測定した(
図3)。1回の凍結/解凍サイクル後、対照組成物は、直径サイズ(
図3A)およびHA濃度(
図3B)の両方に関してビロソームの安定性にとって不利であることが観察された。
【0086】
予想外に、試験された代替製剤については平均サイズ(
図3A)およびHA濃度(
図3B)の両方に関して優れた性能が観察され、また凍結/解凍後、ビロソーム直径またはHA濃度の顕著な変化は観察されなかった。単糖または二糖を加えた場合、凍結/解凍後の直径サイズの変化を防止する点で明らかな追加の値が観察された。
【0087】
B/ブリスベン由来のビロソームを5±3℃で24週間貯蔵し、平均直径サイズをt=0、t=4、t=12、およびt=24週間の時点で測定し、またHA濃度をt=0、t=4、およびt=12の時点で測定した(
図4)。分析したすべての製剤についてビロソーム直径サイズに関して(
図4A)、またHA濃度に関して(
図4B)経時的に顕著な変化は観察されなかった。総合するとこのデータは、これら実験製剤と対照製剤の良好な互換性を示唆する。
【0088】
A/ヴィクトリア由来のビロソームについて平均直径サイズおよびHA濃度を1回の凍結/解凍サイクルの前および後に測定した(
図5)。対照組成物は、このストレッサー後の安定性を確保する点で、具体的にはHA濃度に関して明らかに次善最適であった。試験したすべての実験的製剤(糖を含まないリン酸pH7.0を除く)の平均サイズに関して良好な性能が観察された(
図5A)。ビロソーム直径サイズの顕著な変化は動的光散乱法により測定されなかった。予想外に、単糖または二糖を含むすべての実験的製剤については凍結/解凍後のHA濃度の変化に関して優れた性能が観察された(
図5B)。A/ヴィクトリア由来のビロソームを5±3℃で12週間貯蔵し、平均直径サイズをt=0およびt=4週間の時点で測定し、またHA濃度をt=0、t=4、およびt=12週間の時点で測定した(
図6)。糖を含まないリン酸pH7.0を除いて、分析されたすべての実験的製剤についてはビロソームサイズに関して(
図6A)、またHA濃度に関して(
図6B)経時的に顕著な変化は観察されず、これは単糖または二糖がこの緩衝液に価値を加えることを示す。総合するとこのデータは、この代替製剤と対照製剤の良好な互換性を示唆する。
【0089】
凍結/解凍実験(
図1、3、および5)は、驚くべきことに本発明による製剤が偶発的な凍結の事態からビロソームを守るのにきわめて適しており、それによってビロソームにより大きな安定性を与えることを示している。
【0090】
すべてのことを総合すると、平均直径サイズおよびHA濃度を測定した安定性の研究(5±3℃で12週間)(
図2、4、および6)は、実験的製剤と、すでに何年にもわたって堅牢でかつ効果的であることが証明されており、ビロソームの保存のために市場で現在まだ使用されている組成物である対照製剤との良好な互換性を示す。
【0091】
上記で得られた、統計的解析後のすべてのデータを組み合わせることにより、変数の特定の組合せがビロソームに最善の安定性を与えることをはっきりと実証した。ビロソームの安定性にとって最も堅牢であることが判明した組成物は、20mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4を7.5のpHで含み、さらに8%トレハロースを含む緩衝された組成物であった。
【0092】
実施例2
実験の設計および方法論
試験された様々な製剤の温度上昇時の凝集開始および全体的サイズの変化を特定するために、温度に対するビロソーム直径サイズの変化を測定することによって温度プロフィールを得た。35℃から75℃までの温度の傾斜をZ−sizer ZS(Malvern)を用いて得て、ビロソームサイズをその同じキュベット中で3℃おきに直接に測定した。
【0093】
結果および結論
試験された様々な製剤におけるビロソームの凝集開始温度および全体的サイズ変化を表す温度依存性プロフィールを
図7(A、B、およびC)に示す。分析された3種類の株のすべてについて対照組成物は、加速温度ストレス後の熱安定性を確保するための次善最適であった。実際にすべての株についてビロソームの直径サイズは、52℃〜62℃の間の温度範囲において劇的に増大(300nmを超えるまで)した。B/ブリスベン(
図7B)の場合、試験された新規製剤のほとんどすべてが開始温度を上昇させ、pH7.5のトレハロース含有組成物は、最大サイズに与えるプラス効果を高温で到達させた。すなわち最大直径サイズは300nmに取って代わらなかった。
【0094】
A/カリフォルニア(
図7A)およびA/ヴィクトリア(
図7C)の場合、開始温度の上昇はそれほど顕著ではないが、試験された新規製剤のすべては、驚くべきことにビロソームの直径サイズの増大を緩和させる点で明白なプラス効果を示した。
【0095】
この実験の最終の結論は、7.5のpHの20mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4で緩衝され、さらに8%トレハロースを含む組成物が、ビロソームの安定性を増すための最も有望な組合せであることを示唆する実施例1で得られた結果を確認した。
【0096】
実施例3
実験の設計および方法論
塩濃度低減時の凝集開始および全体的サイズの変化を特定するために、塩濃度に対するビロソームサイズの変化を測定する滴定プロファイル分析を細胞培養したA/ヴィクトリア由来のビロソーム上で行った。130mMから33mMまでの塩(NaCl)濃度の傾斜をZ−sizer ZS(Malvern)中で実施し、ビロソームサイズを同じキュベット中でNaCl濃度を減少して19回測定した。
【0097】
結果および結論
A/ヴィクトリアのビロソームの、或る一定のNaCl濃度におけるビロソームの凝集開始と、全体的サイズ変化とを表すNaCl濃度依存性プロフィールを
図8に示す。
【0098】
7.5のpHの20mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4および130mM NaClを含有する組成物を自動的に希釈することによって、NaCl濃度を130mMから33mMまで下げた。A/ヴィクトリアのビロソームの直径サイズは、65mM未満のNaCl濃度では劇的に増大(300nmを超えるまで)した。同じ効果は、似た実験(8%トレハロースを加える)においても観察された(データは示さない)。
【0099】
この実験の最終の結論は、細胞由来のA/ヴィクトリア株の場合、許容範囲(300mM)内でビロソームサイズを維持するためには65mM NaClの最低限濃度を必要とすることを示し、これはビロソームの安定性を増すためには65mMの最低限NaCl濃度が最終組成物に加えられるべきであることを示唆する。
【0100】
実施例4
実験の設計および方法論
異なるインフルエンザ株由来のHA分子をそれぞれ含む、3種類の異なるインフルエンザ由来のビロソーム調合物を1つの対照組成物に調製し、「Cogent μSCALE TFFシステム」UF/DFインストルメント(Millipore)を用いて再緩衝して2種類の実験的製剤(表2)にした。この対照製剤はまた、緩衝液交換の影響を排除するために同じシステムで再緩衝された。
【0101】
【表2】
【0102】
溶出液を濾過滅菌(0.22μm)し、等分してガラス瓶に入れる(1瓶につき3mL)か、またはプールして三価生成物にし、次いで等分してガラス瓶に入れた。上記三価生成物(略称を「三価」ともいう)は、異なるインフルエンザ株由来の抗原をそれぞれ含有する3種類の異なるビロソームの混合物である。この実験において三価は、A/ヴィクトリア株、B/ブリスベン株、またはA/カリフォルニア株のいずれかに由来するインフルエンザ抗原を有する3種類の異なるビロソームを含有する。
【0103】
この対照組成物は、現在市販されているInflexal(登録商標)V組成物のうちの一つであり、50mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4で7.4のpHに緩衝され、かつ約82mMの濃度でNaClを含む。続いて瓶を、1サイクルの凍結/解凍(F/T)にかけるか、または安定性の研究のために5±3℃でインキュベート(1ヶ月および3ヶ月の間)した。これらは、両方とも実時間条件をシミュレートしている。試料の分析が3回繰り返して行われるまで、瓶を分割量のそれらのそれぞれの対照と一緒に5±3℃で貯蔵した。試料を、前述のHA定量化のための一元放射免疫拡散法(SRID)およびビロソーム粒径測定のためのZ−sizer nano(ZS)を用いて分析した。
【0104】
結果および結論
細胞由来のA/カリフォルニアのビロソームについて平均直径サイズおよびHA濃度を1回の凍結/解凍サイクルの前および後に測定した(
図9)。1回の凍結/解凍サイクル後、対照組成物は、直径サイズ(
図9A)およびHA濃度(
図9B)の両方に関してビロソームの安定性にとって不利であることが観察された。
【0105】
予想外に、試験された実験的製剤(緩衝液Tおよび緩衝液S)については、平均直径サイズに関して優れた性能が観察され、また二糖を加えた場合、明らかな追加の値が観察された(
図9A)。実際にこれらの製剤ではビロソームサイズの顕著な変化は動的光散乱法により測定されなかった。試験された実験的製剤ついては凍結/解凍後のHA濃度の変化に関してきわめて良好な安定性プロフィールが観察された(
図9B)。
【0106】
A/カリフォルニア細胞由来のビロソームを5±3℃で12週間貯蔵し、平均直径サイズおよびHA濃度をt=0、t=4、およびt=12週間の時点で測定した(
図10)。分析したすべての製剤についてはビロソームサイズに関して経時的に顕著な変化は観察されなかった(
図10A)。対照組成物および試験された実験的製剤について経時的なHA濃度変化の同じ傾向が観察された(
図10B)。
【0107】
B/ブリスベン由来のビロソームについて平均直径サイズおよびHA濃度を1回の凍結/解凍サイクルの前および後に測定した(
図11)。1回の凍結/解凍サイクル後、対照組成物は、直径サイズ(
図11A)およびHA濃度(
図11B)の両方に関してビロソームの安定性にとって不利であることが観察された。
【0108】
予想外に、試験された代替製剤(緩衝液Tおよび緩衝液S)の場合、平均サイズ(
図11A)に関して、またHA濃度(
図11B)に関して両方で優れた性能が観察され、凍結/解凍後にビロソーム直径サイズもHA濃度も顕著な変化は測定されなかった。二糖を加えた場合、凍結/解凍後の直径サイズの変化を防止する点で明らかな追加の値が観察された。
【0109】
B/ブリスベン由来のビロソームを5±3℃で12週間貯蔵し、平均直径サイズをt=0、t=4、およびt=12週間の時点で測定し、またHA濃度をt=0、t=4、およびt=12週間の時点で測定した(
図12)。分析したすべての製剤についてビロソームの直径サイズ(
図12A)に関して、またHA濃度(
図12B)に関して経時的に顕著な変化は観察されなかった。総合するとこのデータは、この代替製剤と対照製剤の良好な互換性を示唆する(
図12)。
【0110】
A/ヴィクトリア由来のビロソームについて平均直径サイズおよびHA濃度を1回の凍結/解凍サイクルの前および後に測定した(
図13)。対照組成物は、このストレッサー後の安定性を確保する点で、具体的にはサイズ変化に関して明らかに次善最適であった。試験された両方の実験的製剤については平均サイズに関して良好な性能が観察され(
図13A)、ビロソームの直径サイズの顕著な変化は動的光散乱法により測定されなかった。予想外に、二糖を含む実験的製剤(緩衝液Tおよび緩衝液S)の場合、凍結/解凍後のHA濃度に関して優れた性能が観察された(
図13B)。
【0111】
A/ヴィクトリア由来のビロソームを5±3℃で12週間貯蔵し、平均直径サイズおよびHA濃度をt=0、t=4、およびt=12週間の時点で測定した(
図14)。分析された実験的製剤についてはビロソームサイズ(
図14A)に関して、またHA濃度(
図14B)に関して経時的に顕著な変化は観察されず、これは二糖がこの緩衝液に価値を加えたこと示す。
【0112】
ビロソームの三価混合物について平均直径サイズおよびHA濃度を1回の凍結/解凍サイクルの前および後に測定した(
図15)。対照組成物は、HA濃度およびサイズの両方に関してこのストレッサー後の安定性を確保する点で明らかに次善最適であった。試験された両方の実験的製剤については平均サイズに関して良好な性能が観察され(
図15A)、ビロソームの直径サイズの顕著な変化は動的光散乱法により測定されなかった。予想外に、二糖を含む実験的製剤の場合、凍結/解凍後のHA濃度の変化に関して優れた性能が観察された(
図15B、15C、15D)。
【0113】
三価ビロソームを5±3℃で12週間貯蔵し、平均直径サイズおよびHA濃度をt=0、t=4、およびt=12週間の時点で測定した(
図16)。分析された実験的製剤についてはビロソームサイズ(
図16A)に関して、またHA濃度(
図16B、16C、16D)に関して経時的に顕著な変化は観察されず、これは二糖がこの緩衝液に価値を加えたことを示す。
【0114】
総合するとこのデータは、これら代替製剤と対照製剤の良好な互換性を示唆する。この凍結/解凍実験(
図9、11、13、および15)は、本発明による製剤が、驚くべきことに偶発的な凍結の事態からビロソームを守るのにきわめて適しており、それによってビロソームにより大きな安定性を与えることを示している。
【0115】
すべてのことを総合すると、平均直径サイズおよびHA濃度を測定した安定性の研究(5±3℃で12週間)(
図10、12、14、および16)は、実験的製剤と、すでに何年にもわたって堅牢でかつ効果的であることが証明されており、ビロソームの保存のために市場で現在まだ使用されている組成物である対照製剤との良好な互換性を示す。
【0116】
上記で得られた、統計的解析後のすべてのデータを組み合わせると、特定の変数の組合せがビロソームの最善の安定性をもたらすことをはっきりと実証した。ビロソームの安定性にとって最も堅牢であることが判明した組成物は、7.5のpHの20mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4および75mMのNaClを含み、さらに4%トレハロースを含む緩衝された組成物であった。
【0117】
実施例5
実験の設計および方法論
異なるインフルエンザ株由来のHA分子をそれぞれ含む、3種類の異なるインフルエンザ由来のビロソーム調合物を1つの対照組成物に調製し、「Cogent μSCALE TFFシステム」UF/DFインストルメント(Millipore)を用いて再緩衝して2種類の実験的製剤(表1に開示されているような)にした。この対照製剤はまた、緩衝液交換の影響を排除するために同じシステムで再緩衝された。
【0118】
溶出液を濾過滅菌(0.22μm)し、プールして三価生成物にし、次いで等分してガラス瓶に入れた(1瓶に付き3mL)。この対照組成物は現在市販されているInflexal(登録商標)V組成物のうちの一つであり、50mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4で7.4のpHに緩衝され、かつ約82mMの濃度でNaClを含む。続いて瓶を、安定性の研究のために<−65℃でインキュベート(12週間の間)した。試料の分析が3回繰り返して行われるまでは、瓶を分割量のそれらのそれぞれの対照と一緒に<−65℃で貯蔵した。試料を、アッセイの説明において前述したようなHA定量化のための一元放射免疫拡散法(SRID)およびビロソーム粒径測定のためのZ−sizer nano(ZS)を用いて分析した。
【0119】
結果および結論
三価ビロソームを<−65℃で12週間貯蔵し、平均直径サイズおよびHA濃度をt=0およびt=12週間の時点で測定した(
図17)。
【0120】
試験した新規製剤中のビロソームサイズに関しては経時的に顕著な変化は観察されなかった(
図17A)。試験した新規製剤は<−65℃で12週間のあいだビロソームを安定化させることができ、一方、対照試料(現行の製剤)についてはビロソームサイズの明らかな増大が観察された。
【0121】
三価組成物(
図17B、17C、および17D)中に含まれる3種類の株のそれぞれについてHA濃度を<−65℃でt=0よびt=12週間貯蔵の時点で測定した。対照(現行の製剤)と比較して試験した2種類の新規製剤については、特にB/ブリスベンおよびA/カリフォルニアについては明らかな改善が観察された。それらの2種類の株のHA濃度は、対照製剤では<−65℃で12週間の貯蔵の後に劇的に低下するが、それらビロソームをこれら試験した2種類の新規製剤に製剤化した場合には本質的に一定に保たれる。
【0122】
上記で得られた、統計的解析後のすべてのデータを組み合わせると、特定の変数の組合せが<−65℃で貯蔵の間のビロソームの最善の安定性をもたらすことをはっきりと実証した。<−65℃での貯蔵後のビロソームの安定性にとって最も堅牢であることが判明した組成物は、7.5のpHの20mM KH
2PO
4/Na
2HPO
4および75mM NaClを含み、さらに4%トレハロースを含む緩衝された組成物であった。
【0123】
参考文献
Freixeiro et al.,“Study of the stability of proteoliposomes as vehicles for vaccines against Neisseria meningitidis based on recombinant porin complexes”,Int J Pharm.2013 Feb 25;443(1−2):1−8.doi:10.1016/j.ijpharm.2012.12.046.Epub 2013 Jan 7.
Herzog et al.,“Eleven years of Inflexal V−a virosomal adjuvanted influenza vaccine”,Vaccine.2009 Jul 16;27(33):4381−7.doi:10.1016/j.vaccine.2009.05.029.Epub 2009 May 29.
Hincha et al.“Trehalose Increases Freeze−Thaw Damage in Liposomes Containing Chloroplast Glycolipids”,Cryobiology.1998 May;36(3):245−9.
Meunier F et al.“Liposomal amphotericin B(AmBisome):safety data from a phase II/III clinical trial.”J Antimicrob Chemother.1991;28 Suppl B:83-91.
Mishler et al,“Inflexal(登録商標)V a trivalent virosome subunit influenza vaccine:production”,Vaccine 20(2002)B17-B23
Stegmann et al.,“Functional reconstitution of influenza virus envelopes.”EMBO J.1987 Sep;6(9):2651−9.
Wood et al.,“An improved single−radial−immunodiffusion technique for the assay of influenza haemagglutinin antigen:application for potency determinations of inactivated whole virus and subunit vaccines”,J Biol Stand.1977;5(3):237−47.
また、本発明は以下を提供する。
[1]
a)ビロソームと、
b)KH2PO4/Na2HPO4緩衝液であって、前記リン酸の濃度が約15mM〜30mMの間の範囲にある、緩衝液と、
c)塩であって、前記塩の濃度が60mMを超える、塩と、
d)二糖と
を含む組成物であって、6.5〜8の間の範囲のpHを有する、組成物。
[2]
前記二糖の濃度が、約2%(w/w)〜10%(w/w)の間の範囲にある、[1]に記載の組成物。
[3]
前記二糖が、トレハロースおよびスクロースの群から選択される、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]
前記二糖がトレハロースである、[3]に記載の組成物。
[5]
前記二糖がスクロースである、[3]に記載の組成物。
[6]
前記組成物が、約7〜7.8の範囲のpHを有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記組成物が、約7.5のpHを有し、かつトレハロースまたはスクロースを3%(w/w)〜5%(w/w)の間の範囲の濃度で含む、[1]に記載の組成物。
[8]
塩を60mM〜85mMの間の範囲の濃度でさらに含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記塩がNaClである、[8]に記載の組成物。
[10]
前記組成物が液体組成物である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を調製することを含む、ビロソームの保存方法。
[12]
[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を調製することおよび前記組成物を2℃〜8℃の間の範囲の温度で貯蔵することを含む、ビロソームの保存方法。
[13]
[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を調製することおよび前記組成物を−80℃〜−65℃の間の範囲の温度で貯蔵することを含む、ビロソームの保存方法。
[14]
[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物を調製することおよび前記組成物を−15℃〜−30℃の間の範囲の温度で貯蔵することを含む、ビロソームの保存方法。