(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タンクから前記キャニスターへの炭化水素蒸気の前記移動は、前記炭化水素蒸気が前記タンクから前記キャニスターに移動するのを可能にする、較正バルブの開放信号によって検出される、請求項1に記載の方法。
前記タンク(24)から前記キャニスター(28)への炭化水素蒸気の移動を検出するための前記手段は、開放することによって前記炭化水素蒸気の前記タンクから前記キャニスターへの移動が前記コンピュータ(11)に合図されるのを可能にする較正バルブ(6)を含む、請求項6に記載の装置。
炭化水素蒸気の移動を検出する前記手段は、前記バルブの前記開放を表す圧力値(Pc)を前記コンピュータ(11)に合図するための、前記バルブ(6)の下流側の圧力センサ(7)を含む、請求項7に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料の蒸発によって起きる排気は、健康にとって有害であり、ユーザにとって不快であるガソリン臭を発生させる。こうした不快を克服するため、現在多くの車両が、関連技術分野において今日「キャニスター」として一般的に知られる、ガソリン蒸気吸着装置を装備している。フランス語の文章中では、フランス語の用語を使用するという観点から、「キャニスター」の代わりにフランス語の「フラコン(flacon)」が使用される。
【0003】
ハイブリッド駆動においては、車両を純粋に電気によって使用している間、ガソリン蒸気吸着装置、即ちキャニスターが破過(breached)または飽和に達した場合、キャニスターをパージするため、熱機関を始動する必要がある。しかし、キャニスターのチャージ度(state of charge)を推定することは、困難である。破過とは、キャニスターを通過したガソリンの蒸気がそれ以上吸着されることができず、換気口経由で大気に漏出する、キャニスターの状態を意味する。
【0004】
非ハイブリッド駆動においては、キャニスターがチャージされたという事実は、機関の運転中、パージバルブを開放したときに酸素プローブによって観測されるリッチ偏移(richness deviation)によって検出される。ハイブリッドエンジンでは、熱機関の始動を最小化することが要求される。なぜならば、ハイブリッド技術の便益は、汚染ガスの排出を可能な限り少なくし、燃料消費を可能な限り少なくすることだからである。
【0005】
米国特許第8443787号明細書は、熱機関の運転時に、燃料タンク内の条件に応じてパージを作動させる、ガソリン蒸気吸着装置のキャニスターのパージ方法について記載している。以前開示された方法は、熱機関が定期的に運転される今日のハイブリッド駆動にとって好適である。しかし、熱機関が実質上全く始動されないか、またはごく稀にのみ始動されるというところまで時には行くことができるプラグインハイブリッド駆動の場合には特に、多数の問題を生じさせている。
【発明の概要】
【0006】
先行技術の諸問題を解決するため、記載の本方法及び本装置は、始動の回数を必要なだけに制限するのに十分なほど信頼性の高い、キャニスターのチャージの推定方法を提供することを目的とする。これによって、熱機関の損耗、CO
2排出、及び燃料消費を制限することが可能になる。
【0007】
車両を純粋に電気によって使用するのが長引くのは、オール電気モードに備わっている高い走行可能距離性能(autonomy)が理由であるから、この便益は、プラグインハイブリッド駆動の場合に一層大きい。
【0008】
上記の目的に対処するため、本発明は、少なくとも1つの熱機関を含む車両のパワートレイン用の燃料タンク内で発生する炭化水素蒸気を吸着するように適合されたキャニスターによって、前記蒸気を削減する方法であって、
− 前記タンクから前記キャニスターへの炭化水素蒸気の移動を検出するステップと、
− 前記蒸気が前記タンクから前記キャニスターに移動したときにカウンター値(Counter)を増加させるステップと、
− 熱機関の始動時に、機関の方向に前記ガソリン蒸気をパージすることによってカウンター値を減少させるよう、前記キャニスターを通過するガスの体積量(nBV)を計算するステップを含むことを特徴とする、方法である。
【0009】
具体的には、前記タンクから前記キャニスターへの炭化水素蒸気の移動は、炭化水素蒸気が前記タンクから前記キャニスターに移動するのを可能にする、較正バルブ開放信号によって検出される。
【0010】
より具体的には、較正バルブ開放信号は、バルブ下流側の圧力値が閾値を超えることによって生成される。
【0011】
カウンター値は、好ましくは、前記キャニスターを通過するガスの体積量に応じてディスチャージ曲線をトラッキングすることによって減少する。
【0012】
パワートレインがハイブリッドの場合、方法は有利には、
− 非熱駆動モードを検出するステップと、
− カウンター値が最大値を超えるのを検出するステップと、
− 前記カウンター値が最大値を超えたときに、熱機関の始動要求を生成するステップを含む。
【0013】
本発明はまた、1または複数のコンピュータで実行された場合に、本発明に従って方法のステップを実行するためのプログラムコード命令を含む、コンピュータプログラムにも存する。
【0014】
本発明はまた、上記の目的に対処するため、本発明は、少なくとも1つの熱機関を含む車両のパワートレイン用の燃料タンク内で発生する炭化水素蒸気を吸着するように適合されたキャニスターによって、前記蒸気を削減するための装置であって、
− 前記タンクから前記キャニスターへの炭化水素蒸気の移動を検出する手段と、
− 前記蒸気が前記タンクから前記キャニスターに移動したときにカウンター値を増加させる前記検出手段に接続されたコンピュータと、
− 熱機関の始動時に、機関の方向に前記ガソリン蒸気をパージすることによってカウンター値を減少させるよう、ある量のガスの体積が前記キャニスターを通過するようにコンピュータによって制御されるバルブを含むことを特徴とする、装置にも存する。
【0015】
具体的には、前記タンクから前記キャニスターへの炭化水素蒸気の移動を検出するための手段には、較正バルブが含まれる。当該較正バルブは、開放することで炭化水素蒸気の前記タンクから前記キャニスターへの移動が可能になるが、開放されると、コンピュータに対する合図が出される。
【0016】
より具体的には、炭化水素蒸気の移動を検出する手段には、バルブ開放を表す圧力値をコンピュータに合図するための、バルブ下流側の圧力センサが含まれる。
【0017】
コンピュータは、好ましくは、前記キャニスターを通過するガスの体積量に応じてトラッキングすることによってカウンター値を減少させることができるディスチャージ曲線を収容している、メモリを含む。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、後述の詳細な記載を読むことによって明らかとなるであろう。その理解のために、下記の添付図面を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明において、同一の構造または類似の機能を有する要素は、同一の参照番号によって示される。
【0021】
図1は、単純化のために、減速機10を介して既知のトランスミッション21と係合する単一の電気機械8を特徴としている、ハイブリッド駆動装置を備える車両20を図式的に示す。当該ハイブリッド駆動装置にはまた、熱機関9も含まれる。熱機関9は、電気機械8及びトランスミッション10と係合するか、または負荷なしで運転する。熱機関9は、エンジンコンピュータ11によって制御される。ハイブリッドコンピュータ12は、電気機械8と熱機関9との間のトルク及びパワーの分配を管理する。
【0022】
上記のハイブリッド駆動装置は、例示目的でのみ記載されている。本発明は、例えば複数の電気機械を有するもの、及び/または、熱機関が連結されているアクスル22とは異なるアクスル23に連結されている電気機械(単数または複数)を有するものといった、他の型のハイブリッド駆動装置にも等しく適用可能である。
【0023】
燃料用、特にガソリン用のタンク24によって、ポンプ25、パイプ26及びインジェクタ27を介して、熱機関9がおのずと知られた方法によって給油されることが可能になる。
【0024】
ガソリン蒸気吸着装置、即ちキャニスター28は、ガソリン蒸気が大気中に放出されるのを防止するため、車両20のタンク24内、ガソリン表面の上方に形成されたガソリン蒸気を貯蔵する機能を有する。タンク24の換気口から、パイプ31がキャニスター28まで配管されている。キャニスター28に収容されたガソリン蒸気は、熱機関の始動時に燃焼するように、パイプ29を経由して熱機関9の方向に定期的にパージされる。燃焼補助空気と混合されたガソリン蒸気のエネルギー効果が、インジェクタ27を介して熱機関9に供給される燃料のエネルギー効果に対して加算されるように、パイプ29は、熱機関9の燃焼補助空気インテークマニホールド32の上流側かつ燃焼補助空気流量調整フラップ33の下流側に、ディスチャージを行う。
キャニスター28から来る蒸気は、エンジンコンピュータ11によって制御されるパージソレノイドバルブ30によって測定される。さらに、燃焼補助空気は、おのずと知られた方法によって、フラップ33の上流側に配置されたフィルタ34によって浄化される。
【0025】
図2でさらに詳細に示すように、キャニスター28には、射出成形されたプラスチックケーシングからなるボディ1が含まれる。ボディ1は、吸着剤2、とりわけ活性炭を収容している。キャニスターは、パイプ31に連結されたタンクタッピングカニューレ3及びパイプ29に連結されたエンジンパージタッピングカニューレ4を介して、パージシステムの残りの部分と連結されている。
【0026】
図2のキャニスター28は、U字型の構造を有する。パージ段階(左から右への矢印)の間、蒸気は、換気口開口5からパージタッピングカニューレ4の方向に進行する。チャージ段階(右から左への矢印)の間、蒸気は、タンクタッピングカニューレ3から換気口開口5の方向に移動する。
【0027】
車両の走行中に熱機関が連続して運転している熱専用の駆動装置の場合、エンジンコンピュータ11によって制御されるパージソレノイドバルブ30を開放することで、キャニスターをパージすることがしばしば可能である。エンジンコンピュータ11は、エンジン燃焼のリッチネスの調整を制御するために、これを計算に入れる。
【0028】
ハイブリッド駆動装置においては、熱機関の運転はより稀あるいは減少しているので、パージする機会はより少ない。ここで、例えば「pt」で表される較正値によって、低圧較正バルブ6でキャニスターのチャージを遅らせることが有利である。本発明の装置は、エンジンコンピュータ11に接続されたバルブ6の開放と閉鎖を検出する手段を備えており、それによって、バルブ6がどれだけの間開放されているかが検出され、コンピュータ11のメモリ(図示せず)内のカウンターに記憶されている累積チャージ時間が測定されるという点で、注目に値する。バルブ6の開放と閉鎖を検出するには、例えば、バルブ6の閉鎖/開放に応じて開放/閉鎖する(あるいはその逆)、一体型電気コンタクトをバルブに備えるといった、様々な方法が可能である。
【0029】
図2に示す実施形態で用いられる検出手段は、バルブ6の下流側に位置している圧力センサ7からなる。低コストで、電気コンタクトを備え且つ必要な値に較正されたバルブを設計するよりも、むしろ一方に個別の較正バルブを設け、他方には個別の圧力センサを設けることが、時として、より簡便であり得る。さらに、ガソリンタンクとキャニスターとの実際の連通開始は、センサ7によって与えられる圧力値によってより忠実に表わされる。バルブと別になっている場合、こうした検出手段はまた、キャニスター付近の圧力センサ7の位置と、キャニスター付近またはタンク付近の較正バルブ6の位置とを引き離すことも可能である。
【0030】
例えば、バルブ開放後のガソリン蒸気の流量を測定する流量メーターを含む手段といった、他の検出手段も用いられ得る。しかし、装置のコストを不必要に増大させないため、簡便で頑健な手段を用いるように注意されなければならない。
【0031】
「Counter」として表され、以下で
図4に関連して記載される機構によって連続的に更新される累積チャージ時間が、「Counter.max」として表されるチャージ限界時間に相当する限界値に到達すると、キャニスターは破過に近づいていると考えられる。次いで、エンジンコンピュータ11は、できるだけ早い機会に(運転中の場合は直ちに、静止時の場合は次の運転時に)パージを実施するため、熱機関9を始動させる。例えばどこかの未来の街のように電気による運転が義務であるエリアがあった場合、次に熱による運転が許可されているエリアに移動したときに熱機関を始動するための準備があってよい。
【0032】
キャニスターのパージの後、タイムカウンターは、パージが完了(約20kmまたはパージ量500BV)した場合はゼロにリセットされる。あるいはパージが停止された場合は、キャニスターのチャージに相当する時間値にリセットされる。いったん機関が始動された際に、キャニスターのパージ状態を推定する方法は複数あり、以下に記載する手段は、本発明に特有の、各方法に共通の要素を示す。BV(Bed Volume、キャニスター内に収容されている活性炭の床の体積の意味)で表される単位は、キャニスターの内容積に等しい、キャニスターを通過するガスの体積に相当し、言い換えれば「キャニスター換算」である。したがって、500BVは、キャニスターを通過した、キャニスターの体積の500倍に等しい体積のガスに相当する。
【0033】
2つのコンピュータ11、12のうちの1つにインストールされた、または2つのコンピュータ11及び12によってシェアされたコンピュータプログラムには、1または複数のコンピュータで実行されたときに、次に
図4を参照して記載される方法のステップを実行するための、プログラムコード命令が含まれる。
【0034】
本方法のステップは、本質的に、以下で
図5を参照して記載されるように、キャニスターのチャージ−ディスチャージ曲線と、Bed Volumeで表現されnBVで表される、キャニスターを通過する個別のガスの体積量に基づいて、キャニスターのチャージ度を連続的に測定し制御することである。キャニスターを通過する個別のガスの体積量は、燃焼補助空気インテークマニホールド32内の圧力「pcol」及びバルブ30の開放度「RCO」を用いて、容易に計算される。コンピュータ11は、機関内の燃焼を制御するため、例えば、コンピュータ11が燃焼補助空気インテークマニホールド32内の圧力値「pcol」を得るための、文献から広く入手可能である様々な方法を長々と討議する必要なしに、既に、燃焼補助空気インテークマニホールド32内の圧力「pcol」を周知の方法で用いている。制御ソレノイドバルブ30を制御するコンピュータは、実際、バルブ30の開放度「RCO」を知っており、もし当該コンピュータがコンピュータ11でない場合は、開放度「RCO」をCANバス経由でコンピュータ11に利用させることができる。
【0035】
車両のイグニッションのオンを検出するステップ100から始まって、イグニッションがオンにされた場合にはカウンターを読み取るステップ101が作動され、イグニッションがオンにされていない場合には温度閾値検出のステップ111が作動される。
【0036】
温度閾値検出ステップ111の目的は、外気温Tが、それを超えるとガソリンの蒸発率が上昇すると推定される温度閾値(例えば30°C)を超過するかどうかをモニタすることである。
【0037】
外気温が温度閾値を超過しない限り、ステップ111はステップ100にループする。
【0038】
外気温Tが温度閾値を超過した場合、コンピュータ11をスリープ解除(wake−up)するためにコンピュータのスリープ解除ステップ112が作動され、次いで較正バルブ6の開放をモニタするステップ113が実行される。較正バルブ6の開放が圧力センサ7によって検出される場合、好ましくは、バルブが開放される圧力である圧力値Pcが、較正圧力値Ptの半分の値でセンサ7によって検出されるように、設定される。バルブ開放時の蒸気の循環によって発生する水頭損失を計算に入れるための、較正圧力値よりも十分に低い圧力値から、不時の検出がトリガされないためのゼロよりも十分に高い圧力値までの範囲内で、Pt/2とは実質的に異なる較正値を選択することが可能である。
【0039】
バルブ6の開放が検出されない限り、ステップ113はステップ100にループする。
【0040】
バルブ6の開放が検出されると、タンク24がキャニスター28と連通する結果、バルブ6の開放に起因するガソリン蒸気のチャージを計算に入れるため、カウンターを増分させるステップ114が作動される。カウンターが更新された後、ステップ113はステップ100にループする。
【0041】
ステップ100に戻る各ループの中では車両のイグニッションがオンにされていないことが検出されるが、この各ループは、エネルギーを節約する目的でコンピュータ11をスリープ状態に戻す。ステップ100、111、及び112の部分については、恒常的にスリープ解除状態にあるコンピュータによって実行される。恒常的にスリープ解除状態にあるコンピュータとは、知られた例で言うと、例えばドアのロックや、車両のイグニッションのオン、及びイグニッションをオンするユーザが不在の時にモニタするのが有益である様々なその他のイベントをモニタするコンピュータである。
【0042】
車両のイグニッションがオンされた後に作動される、カウンターを読み取るステップ101によって、キャニスターのチャージを推定することが可能になる。
【0043】
ステップ101の後には、ハイブリッドパワートレインの動作モードを検出するステップ102が続く。別のステップがループする先の本方法の任意のステップと同様、ステップ102は、例えば1秒といったサンプリング周期の後、再び作動される。
【0044】
ステップ113と同様のステップ103は、ハイブリッドパワートレインの動作モードが熱モード以外の場合、例えば電気モードまたは空気モード、言い換えれば熱機関が停止している任意の駆動モードの場合に作動される。
【0045】
バルブ6の開放が検出されない限り、ステップ103はステップ102にループする。
【0046】
バルブ6の開放が検出されると、タンク24がキャニスター28と連通する結果、バルブ6の開放に起因するガソリン蒸気のチャージを計算に入れるため、ステップ114と同様のステップ104が作動される。カウンターが更新された後、ステップ103によって、カウンターの内容を検証する後続のステップ105が作動される。
【0047】
カウンターの内容「Counter」が、キャニスター28内の活性炭床の飽和を表す最大値「Counter.max」を超過しない限り、ステップ105はステップ102にループする。
【0048】
カウンターの内容「Counter」が最大値「Counter.max」を超過すると、熱機関の始動要求を生成することであるステップ106が作動される。
【0049】
続くステップ107は、キャニスター容積の量nBVをゼロに設定することである。
【0050】
熱機関の始動時、コンピュータ11は、サンプリング周期の間のキャニスター容積の量の増分ΔnBVが、インテークマニホールドの圧力pcol及びバルブ30の開放度RCOの関数として計算されるステップ108において、制御ソレノイドバルブ30の開放を制御する。
ΔnBV := f(pcol, RCO)
【0051】
この計算は、一方でキャニスター28とインテークマニホールド吸気口32との間の圧力差に応じて、及びキャニスター28からインテークマニホールド吸気口32まで蒸気を送る際の水頭損失に応じて、流量を生じさせる既知の流体力学の法則を適用する。バルブ30の各開放度RCOに関する水頭損失は再現可能なので、後で車両の供用寿命の間に取り出すことができるように、パワートレインのテスト段階で当該水頭損失を測定し、コンピュータ11のメモリ内の関連テーブルに提示すれば十分である。
【0052】
次いでステップ108において、キャニスター容積の量nBVは、以下の式を用いて、以前得られた当該値に対して増分ΔnBVを加算することによって、更新される。
nBV := nBV + ΔnBV
【0053】
図5のグラフでは、横軸(時間)上に0〜5600までの例によって表示されたカウンター値は、キャニスター28をガソリン蒸気でチャージする間に、ステップ104または114のいずれかで得られた値に相当する。縦軸上に表示されたキャニスター28の質量は、これに応じて、ほぼ55gからほぼ140gに変化する。グラフ中の当該部分における上昇曲線は、キャニスター28のガソリン吸着能力に相当する、GWC(Gasoline Working Capacity、ガソリン吸脱着性能)値によって制限される。キャニスターの質量が、定常状態操作条件下の当該質量の最小値とGWC値との合計に到達したときには、キャニスターを通過するガソリン蒸気はもはや吸着されることができない。時間が経過してもキャニスターの質量は一定に留まり、蒸気は、パージタッピングカニューレ4経由で除去されない限り、通風口開口5から排出される。
【0054】
キャニスター28の質量の変化曲線は、キャニスターの型によって、特にキャニスターに収容されている活性炭または他の吸着材料の量に応じて、異なる。しかし、傾向はほぼいつも同じであり、変わるのは値だけである。当該値は、それぞれの型のキャニスターの製造業者によって与えられ、必要に応じ、テスト段階の間に検証及び/または微調整される。
【0055】
図5に示す例では、約5200である値Counter.maxが採られ得るが、例えばここでは110gと140gの間(それぞれの値を含む)である予備領域BEに相当する、GWCの30%の安全マージンを保持することが好適であり得る。そのとき、縦軸が110gである曲線上の点は、横軸上では約4800の値Counter.maxとなる。
【0056】
グラフの右側部分の減少曲線は、キャニスターのディスチャージ段階の質量の変化を表す。キャニスターを通過するBVの量に応じた傾斜は、キャニスターのチャージに比例する。例えば、当該質量を110gから80gに減らすのに100BVは十分であるが、その一方、当該質量を80gから60gに減らすためには、少なくとも200BVが必要である。ここでは、定常状態操作条件下で最小である、50gよりもわずかに大きい質量を達成するためには、示されるケースの場合1分当たり15リットルに相当する500BVが必要である。定常状態操作条件下での最小質量は、通常、吸着材料の微細孔によって閉じ込められ、パージすることが不可能なガソリン蒸気の残留質量が加算される、空のときのキャニスターの質量に相当する。
【0057】
管理しているキャニスターが属しているキャニスターの型のチャージ曲線及びディスチャージ曲線のそれぞれに、メモリ内でアクセスできるコンピュータ11は、次いでステップ108で、以下の方法でグラフ中のカウンター値「counter = h(nBV, counter)」を更新することができる。
【0058】
ステップ108の開始時点のカウンター値「counter」によって、コンピュータは、チャージ段階の増加曲線の第1の点に位置されることができる。その点によって、nBVをパージする前のキャニスターの質量が示される。第1の点は、ディスチャージ段階において減少曲線上に同一の質量を持つ第2の点に対応する。第2の点は、nBVをパージした後、減少曲線に沿って第3の点に続く。第3の点は、パージされたガソリン蒸気によって減少した質量に相当する。第3の点は、増加曲線上の減少した同一の質量である第4の点に対応する。次いで第4の点は、ステップ108の終了時、低い側のカウンター値「counter」を横軸上に示す。
【0059】
ステップ108に続いて、ステップ109は、熱機関を停止することによって、ステップ107で開始されたパージ処理が中断される危険が生じるかどうかを検証することである。
【0060】
熱機関が停止されていない場合、ステップ120は、カウンターがゼロであるかどうかを検証することである。カウンターがゼロの場合、もはやキャニスター28をパージする必要はない。次いで、方法は、駆動システムが電気モードに切り替えられたかどうかを検証するため、ステップ102にループする前に、ステップ121において熱機関の停止を可能にする。
【0061】
ステップ120でカウンターがゼロではない場合、キャニスターのパージを継続する必要がある。次いで、キャニスターのパージを継続するようにさらなる繰り返しをするため、ステップ120はステップ108にループする。
【0062】
ステップ109で熱機関の停止が検出された場合、ステップ110は、熱機関の停止が(例えば、ユーザが目的地に到着したかまたは他の理由で)イグニッションをオフにした結果によるものかどうかを検証することである。ステップ110でイグニッションのオフが検出された場合、方法は、ステップ100にループする。
【0063】
ステップ110でイグニッションのオフが検出されなかった場合、熱機関の停止が電気モードへの切り替えの結果かどうかを検証するため、方法はステップ102にループする。
【0064】
ステップ100で車両のイグニッションのオンが検出されたのに続いて、またはステップ102であらかじめ電気モードが検出された場合で、熱機関が本方法の外からの理由によって(例えば、ハイブリッドコンピュータ12によってトラクション電池の充電低下が検出されたのに続いてまたは他の理由で)始動された場合には、カウンターが必ずしも最大値に到達していなくても予防的にキャニスターをパージするため、ステップ102で検出された電気モードの欠如によって、次に方法は直接ステップ107へと分岐する。
【0065】
ステップ108を繰り返す都度、またはステップ108の最新の繰り返しの後、例えば旅程の終わりなどに、上記のとおり、チャージカウンターを更新することが可能である。
【0066】
図3は、較正バルブ6及びセンサ7がキャニスター28のボディ1に一体化されている、炭化水素蒸気削減装置の例を示す。この主要な利点は、インターフェースの数の削減に起因する、スペースの節約と信頼性の増大である。圧力センサがバルブ及びキャニスターの近くにあるため、推定の品質もまた向上する。
【0067】
提案される解決法では、キャニスターに取り付けられている圧力センサからの情報取得を行うため、熱機関のコンピュータが恒常的にスリープ解除のモードになっているか、または定期的にスリープ解除されるかが必要である。例えば、較正バルブ6の開放を引き起こす有意の外気温(例えばT>30°C)の場合、気温を測定する客室のコンピュータがまず自らスリープ解除し、今度は熱機関のコンピュータに、情報を取得するためにスリープ解除するよう命令を出す。
【0068】
それぞれの型のキャニスターについて、車両の販売市場に固有の種々の温度条件のためにエンベロープ(envelope)が破過に達するまでの時間を測定することが好ましい。
【0069】
キャニスターがセンサ及び一体型バルブを含む
図3の実施形態は、半加圧蒸発システムを有する、任意のガソリン駆動車両に適用され得る。