【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、一対のアーム部を有するバネでスイッチレバーを押圧すると共に、複数の規制部でスイッチレバーの動きを規制するようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、電動工具に設けられる、オンオフスイッチを有する電動工具用ハンドルを対象とし、この電動工具のハンドルは、
逆U字状の操作部を有し、該操作部を押圧操作されたときに上記オンオフスイッチを押圧するスイッチレバーと、
上記オンオフスイッチが装着されると共に、上記スイッチレバーの上記操作部を露出させるように収容する内周側開口を有するハンドル本体と、
被支持部及び該被支持部からそれぞれ延びる一対のアーム部を有し、上記ハンドル本体に収容されて上記スイッチレバーを押し戻すように付勢するバネと、
上記ハンドル本体及び上記スイッチレバーのいずれか一方における上記バネと離れた位置にそれぞれ設けられ、上記スイッチレバーの動きを規制する複数の規制部とを備え、
上記操作部が押し込まれると、上記一対のアーム部の間の角度が広がるように上記バネが押し込まれると共に上記オンオフスイッチが押し込まれてオンとなり、
上記スイッチレバーから手を離すと、上記バネが該スイッチレバーを付勢して非押圧時の位置に押し戻してオンオフスイッチがオフとなるように構成されている。
【0009】
上記の構成によると、ハンドル本体と、スイッチレバーと、オンオフスイッチと、バネとが基本的な構成部品であり、部品点数が少なくて構造が簡単である。また、バネ自身も被支持部と一対のアーム部とを備える簡単な構成であり、コストが安い上に、耐久性も高くて扱いやすい。バネは、コイル部を有するねじりコイルバネであってもよいし、コイル部を有さない板バネ等であってもよい。そして、1つのバネと複数の規制部のみでスイッチレバーの移動範囲を規制するので、複数のバネを用いる場合に比べてスイッチレバーの移動の自由度が高く、操作性が格段によい。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記バネの被支持部は、上記ハンドル本体に支持され、上記スイッチレバーの非押圧時に上記一対のアーム部は、上記ハンドル本体に設けたアーム係止部に当接して位置決めされている。
【0011】
すなわち、バネの一対のアーム部がハンドル本体ではなくスイッチレバーに当接して位置決めされる構造では、スイッチレバーが一対のアーム部に同時に当接しない傾いた方向に操作されたときに、一対のアーム部のいずれかがハンドル側のアーム係止部に当たるまで回動するので、アーム間角度が不安定となり、スイッチレバーが戻るときの荷重が安定せず、場合によってはスイッチレバーがオンオフスイッチのオフ状態まで戻らない可能性がある。しかし、上記の構成によると、アーム角度が安定してスイッチレバーが戻るときの荷重が安定し、元の非押圧時の位置に戻りやすい。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、
上記スイッチレバーを左右方向に握ったときに、一方の上記アーム部は上記アーム係止部に当接し、他方の上記アーム部は、上記スイッチレバーの被押圧リブに当接するように構成されている。
【0013】
上記の構成によると、スイッチレバーの動きに合わせて片側のアーム部だけに、効率的な角度(例えば直角に近い角度)で、荷重をかけることができるので、動きがスムーズで、操作性がよくなる。
【0014】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記スイッチレバー及び上記ハンドル本体の他方は、上記複数の規制部がそれぞれ収容される三角形状の開口又は凹部よりなる複数のガイド部を有し、該複数の規制部がそれぞれ各ガイド部内を移動することで移動範囲を規制されるように上記スイッチレバーが上記ハンドル本体に収容されている。
【0015】
上記の構成によると、スイッチレバーがオンオフスイッチの押圧方向に対して傾いた方向に操作された場合でも、三角形の頂角の頂点側から三角形の底角の頂点に規制部を移動させるようにスイッチレバーの移動範囲を規制するので、操作部のどの部分を押さえてもスイッチレバーがオンオフスイッチの押圧方向に誘導されてオンオフスイッチが適切にオンオフされる。
【0016】
第5の発明では、第4の発明において、
上記ガイド部の頂角の角度は、上記スイッチレバーの非押圧時における上記バネの上記一対のアーム部の間の角度と同じかそれよりも大きい。
【0017】
すなわち、一対のアーム部に対して傾いた方向へのスイッチレバーの操作により一対のアーム部間の角度(アーム間角度)が大きくなると、操作方向と反対側のアーム部もスイッチレバーに当接することにより、一対のアーム部のいずれもが押し上げられるので、荷重が安定しない。また、角度が大きくなると下方向にスイッチレバーを押す力が働き、スムーズな動きにならず、握りや戻しの荷重が重くなってスイッチの操作感覚が悪い。また、スイッチレバーとバネとが擦るように傾いた方向であれば、抵抗が大きくなり、レバー操作が重くなる。しかし、上記の構成によると、バネの荷重方向をガイド部の頂角の角度で規制できるので、摩擦抵抗を小さくでき、スイッチレバーの握りや戻しが軽くなり、滑らかなスイッチレバーの握りや戻りが可能となる。
【0018】
第6の発明では、第4又は第5の発明において、
上記三角形状のガイド部は、2箇所のみに設けられ、一対の該ガイド部内を対応する上記規制部がそれぞれ移動可能に構成されている。
【0019】
上記の構成によると、ガイド部の数が最小限であるので、スイッチレバーの動きの自由度が上がり、ハンドルを持つ位置を変更しやすくなり、ガイド部の数が多いものに比べて操作性が格段に向上する。
【0020】
第7の発明では、第6の発明において、
上記オンオフスイッチは、上記一対のガイド部の間の上記バネに対向する位置に設けられている。
【0021】
上記の構成によると、バネと一対のガイド部とオンオフスイッチとをバランスよく配置することで、スイッチレバーの操作部のどの部分を押圧しても適切にオンオフスイッチが押されると共に、押圧後にスイッチレバーが確実に非押圧時の位置に戻る。
【0022】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明において、
上記
スイッチレバーは、ループ状に連続しており、上記バネと対向する位置に上記オンオフスイッチを押圧するスイッチ押圧部が設けられている。
【0023】
上記の構成によると、スイッチレバーをループ状の形状とすることで、部品点数を減らしながら強度が上がる上に、組立が容易である。また、ループ状のスイッチレバーの逆U字状の操作部を押圧すると、内周側開口に入り込むスイッチレバーに設けたスイッチ押圧部によってオンオフスイッチが確実に押圧される。
【0024】
第9の発明では、第1から第8のいずれか1つの発明において、
上記スイッチレバーの非押圧時には、上記スイッチレバーと上記一対のアーム部との間に隙間が確保されているか又は上記一対のアーム部から付勢力が加わらない程度に上記スイッチレバーと上記一対のアーム部とが接触している。
【0025】
上記の構成によると、スイッチレバーの握りや戻しが軽くなり、また非押圧時の状態に滑らかに戻る。なお、「一対のアーム部から付勢力が加わらない程度に」とは、意図して付勢力を加えるのではなく、隙間がない状態をいう。
【0026】
第10の発明の電動工具は、第1から第9のいずれか1つの発明の電動工具用ハンドルを備えている。
【0027】
上記の構成によると、簡単な構造でコストが安く、いずれの方向にもスイッチレバーを操作しやすい商品性の高い電動工具が得られる。
【0028】
第11の発明では、第10の発明において、
上記電動工具用ハンドルをフロントハンドルとして備えるヘッジトリマーである。
【0029】
上記の構成によると、ヘッジトリマーのブレードをいずれの方向に向ける場合でも、スイッチレバーの操作感覚がよいので、作業性が極めて向上する。