(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[定義]
本明細書及び特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は、特別に明確に指示されない限り複数の参照を含む。
【0012】
患者に薬物を「投与すること」又は「投与」(及びこのような語句の文法上の等価物)とは、自己投与を含む直接的投与、及び薬物を処方する行為を含む間接的投与を含む。例えば、本明細書で使用されるように、医師が患者に薬物の自己投与を指示、及び/又は患者に薬物の処方箋を提供することが患者に薬物を投与することである。
【0013】
基の前にある「C
x」は、この基の炭素原子の数がXであることを意味する。
【0014】
「アルキル」は、1から12個の炭素原子を有する一価の非環式ヒドロカルビル基を意味する。アルキルの非限定例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む。
【0015】
「アリール」は、10個以下の炭素原子を有する一価の芳香族ヒドロカルビル基を意味する。アリールの非限定例は、フェニル及びナフチルを含む。
【0016】
「ヘテロアリール」は、芳香族環内で酸素、窒素、硫黄からなる群から選択された1から4個のヘテロ原子、及び1から10個の炭素原子の芳香族基を意味し、ヘテロアリールの窒素原子及び/又は硫黄原子は、任意に酸化される(例えば、N−酸化物、−S(O)−又は−S(O)
2−)。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジル又はフリル)又は複数の縮合環(例えば、インドリジニル又はベンゾチエニル)を有することができ、縮合環は、芳香族であってもなくてもよく、及び/又は、ヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、但し芳香族ヘテロアリール基の原子を介して付着する。ヘテロアリールの非限定例は、ピリジル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、及びフリルを含む。
【0017】
「シクロアルキル」は、3から12個の炭素原子を有する一価の非芳香族環状ヒドロカルビル基を意味する。シクロアルキルの非限定例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
【0018】
「ヘテロシクリル」は、環内に酸素、窒素、硫黄からなる群から選択される1から4個のヘテロ原子、及び1から10個の炭素原子の一価の非芳香族環状基を指し、ヘテロアリールの窒素原子及び/又は硫黄原子は、任意に酸化される(例えば、N−酸化物、−S(O)−又は−S(O)
2−)。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピペリジニル又はテトラヒドロフラニル)又は複数の縮合環を有することができ、縮合環は、芳香族であってもなくてもよく、及び/又は、ヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、但し非芳香族ヘテロシクリル基の原子を介して付着する。ヘテロシクリルの非限定例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルなどを含む。
【0020】
「アルキルアミノ」は、−NHR
Bを意味し、R
Bは、任意に1から3個のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基で置換されるC
1−C
6アルキルである。
【0021】
「ジアルキルアミノ」は、−N(R
B)
2を意味し、R
Bは、上記のように定義される。
【0022】
「含む」は、方法及び組成物が列挙された要素を含むが、その他のものが排除されないことを意味する。方法及び組成物を定義するために使用される場合の「本質的に〜からなる」は、記載された目的のための組合せに対して任意の本質的に重要なもの以外の要素が排除されることを意味する。従って、本質的に本明細書で定義される要素からなる組成物は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、保存料などの薬学的に許容される担体、及び単離及び精製法からの微量混入物を除外しない。「からなる」は、その他の成分の微量元素(trace element)及び本発明の組成物を投与するための実質的な方法の段階又は意図した結果を達成したり組成物を生成するための工程の段階以外のものが排除されることを意味する。このようなつなぎの用語及び語句の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲にある。
【0023】
本明細書に使用される化合物の「有効量」は、本明細書に記載した治療される患者に投与される場合、患者内の医学疾患のうちの1つ以上の発現に対して意図した治療効果(例えば、緩和、改善、軽減、又は、除去)を有し得る量である。十分な治療効果が、必ず1つの投与量(又は投薬量)の投与によって発生するものでなく、一連の投与量の投与後に発生することもあり得る。従って、有効量は、1回以上の投与量によって投与することができる。
【0024】
「線維症」又は「線維形成」は、例えば、修復又は反応工程で臓器又は組織における過剰の線維性結合組織が形成されることを意味する。これは、臓器又は組織の正常な構成要素として線維性組織の形成と対照的である。本技術での「線維症」という用語は、異常な治癒過程と正常な治癒過程とを区別するために使用される。線維形成又は線維症は、通常、変性(例えば、パルプの線維症)及び線維芽細胞の増殖によって線維性組織を形成する過程である。瘢痕化は、下部臓器又は組織の構造を消滅させる塊状線維化巣(confluent fibrosis)である。線維症の例は、限定されないが、異常な創傷治癒、アルコール性肝障害誘発肝線維症、架橋線維化(liver fibrosis)、クローン病(腸の線維症)、膵臓及び肺の嚢胞性線維症、特に小児達において、筋肉内注射の合併症として発生し得る注射線維症、心内膜心筋線維症又は心筋線維症(心臓の線維症)、移植片対宿主病(Graft−Versus−Host Disease、GVHD)から生じる線維症、脾臓の線維症、網膜下線維症を含む眼の線維症、手術又は注射線維症の線維性合併症、糸球体腎炎、間質性線維症、ケロイド及び肥厚性瘢痕(皮膚の線維症)、黄斑変性症、縦隔洞線維症(縦隔洞の軟組織線維症)、限局性強皮症(morphea)、結合線維組織増殖症候群、骨髄線維症(骨髄の線維症)、腎性全身性線維症(皮膚の線維症)、結節性表皮下線維組織増殖症(例えば、良性線維性組織球腫、胸膜線維症、手術(例えば、手術移植)の結果としての線維症、増殖性線維症、パイプ軸線維症、後線維素性線維症、進行性塊状線維症(肺の線維症の一種、石炭労働者の塵肺の合併症)、陳旧性心筋梗塞(心臓の線維症)、膵線維症、進行性塊状線維症、放射線線維症、腎線維症、慢性腎疾患に関連する腎線維症、後腹膜線維症(後腹膜の軟組織の線維症)、手術後の瘢痕化、強皮症/全身性硬化症(皮膚の線維症)、上皮下の線維症、子宮線維症、及びウイルス性肝炎誘発線維症を含む。
【0025】
機械的に、そして理論に縛られることなく、臓器の線維芽細胞によるフィブロネクチン(FN)及びI型コラーゲン(Col1α1)などの細胞外基質(ECM)成分の過剰沈着は、線維症を引起こすことがある。臓器線維化症は、末期の臓器不全をもたらす多くの疾患の最終的な共通経路である。急性及び慢性の炎症、血管新生、常在細胞の活性化、及びECMリモデリングを含む制御不能な創傷治癒反応は、線維症の病因に関与すると考えられる。TGF−βは、線維化臓器で増加した線維性サイトカインであり、ECM分子の合成を刺激して、α平滑筋アクチン(α−SMA)の発現筋線維芽細胞に対する線維芽細胞を活性化し、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)を下方制御することによって線維症の発症に寄与する。
【0026】
「薬学的に許容される」は、ヒト患者を含む患者への投与に適し、非毒性であることを意味する。
【0027】
「薬学的に許容される塩」は、患者への投与に適し、非毒性である塩を意味する。非限定例は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び様々な第1、第2、第3アンモニウム塩を含む。式(I)の化合物のエステルがカチオン性の部分を含む場合、例えば、エステルがアミノ酸エステルを含む場合、その塩は、様々なカルボン酸、スルホン酸、及び鉱酸塩を含んでもよい。塩の特定の非限定例は、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩を含む。
【0028】
「保護基」は、周知の官能基を指し、官能基に結合すれば、化合物のその他の部分で実行される反応及び対応する反応条件で不活性の保護された官能基が得られ、脱保護条件下で反応させて固有の官能基を再生できることを意味する。保護基は、分子の残りと適合するように選択される。「カルボン酸保護基」は、これらの合成中にフェノキシアルキルカルボン酸のカルボン酸官能基を保護する。カルボン酸保護基の非限定例は、ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、アリル、ベンズヒドリル、及びトリチルを含む。カルボン酸保護基の追加の例は、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis., 2d Ed., 1991, John Wiley & Sons, and McOmie Protective Groups in Organic Chemistry, 1975, Plenum Press のような標準リファレンス作業で発見された。本明細書に開示されたカルボン酸を保護して脱保護するための方法は、当技術分野、特に上記のGreene and Wuts、及びそこで引用される参考文献で発見される。
【0029】
医学疾患又は患者を「治療すること」は、臨床結果を含む有益又は所望の結果を得るための措置を取ることを意味する。本発明の様々な形態及び実施形態の目的のために、有益な又は所望の臨床結果は、肺線維症の1つ以上の徴候又は負の影響の減少、緩和又は改善、1つ以上の臨床的な結果の改善、線維症の程度の軽減、線維症の進行の遅延又は鈍化、線維症の状態の改善、軽減、又は、安定化、及び本明細書に記載したその他の有益な結果を含んでいるが、それらに制限されることはない。
【0030】
式(I)の化合物、又はその代謝産物、又は式(I)の化合物のエステル、又はその代謝産物、又はそれら各々の薬学的に許容される塩の有効量を投与する方法が提供され、変数は本明細書で定義される。
【化4】
【0031】
本明細書に使用される「その代謝産物」は、式(I)の化合物と実質的に同様の治療活性を示す代謝産物を意味する。このような代謝産物の非限定例は、−O−(CH
2)
nCO
2H部を含有するフェニル基に結合している式(I)の化合物の−COCH
3基が1−ヒドロキシエチル(すなわち、−CH(OH)Me)基に代謝される化合物を含む。
【0032】
このような1−ヒドロキシエチル基を含有する代謝産物は、1−ヒドロキシエチル基の1位置に非対称中心を含む。ラセミ混合物を含む対応する鏡像異性体及び混合物は、本明細書で使用する式(I)の化合物の代謝産物内に含まれる。
【0033】
本明細書で使用される「そのエステル」は、式(I)の化合物に表示されるカルボン酸のエステル及び/又はフェノール性水酸基のエステル、及び式(I)の化合物の代謝産物の1−ヒドロキシエチル基(脂肪族ヒドロキシ基)のエステルを意味する。フェノール性及び/又は脂肪族ヒドロキシ基のエステルは、制限なく対応する酸としてカルボン酸R
A−CO
2Hを含んでもよく、R
Aは、C
1−C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3−C
12シクロアルキル、又は、C
2−C
8ヘテロシクリルであり、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリルは、任意に1から4個のC
1−C
3アルキル、アリール、CO
2H、アミノ、アルキルアミノ、又は、ジアルキルアミノ基で置換される。また、1価、2価、又は3価のリン酸のようなその他の酸が考慮される。カルボン酸のエステルは、対応するアルコールとして制限なしに式R
A−OHの化合物を含んでもよく、R
Aは上記のように定義される。一実施形態において、式(I)のカルボン酸だけがエステル化される。また別の実施形態において、式(I)のフェノール性水酸基だけがエステル化される。また別の実施形態において、R
Aは、C
1−C
4アルキルである。当業者には明らかなように、このようなエステルは、式(I)の化合物又はその塩を放出するために生体内で加水分解されるプロドラッグとして作用する。
【0034】
一実施形態において、式(I)の化合物は、式(IA)の化合物である。
【化5】
【0035】
また別の実施形態において、式(I)及び(IA)の化合物の代謝産物は、式(IB)の化合物である。
【化6】
【0036】
また別の実施形態において、化合物が経口投与される。また別の実施形態において、化合物が錠剤又はカプセルで投与される。別の実施形態において、式(IA)の化合物がその他の多形体を実質的に含まない多形体Aで存在する。また別の実施形態において、化合物は、液体剤形として投与される。また別の実施形態において、化合物は、約100から約4,000mg/日の範囲の量を1回、2回、又は3回に分けて投与される。
【0037】
本明細書で使用する化合物の効能は、例えば、実施例の項で説明するように当業者に周知の方法によって試験することができる。
【0038】
[合成]
式(I)の化合物の合成及び特定の生物学的活性は、本明細書に参照として含まれる米国特許第4,985,585号に記載されている。例えば、式(IA)の化合物は、式(II)のフェノールを式(III)の化合物と反応させて式(IC)の化合物を提供することによって製造される。
【化7】
(Rは、カルボン酸保護基である)
【化8】
【化9】
【0039】
酸保護基又はR基の非限定例は、C
1−C
6アルキル、ベンジル、ベンズヒドリル及びトリチルを含み、ベンジル、ベンズヒドリル、又は、トリチル基は、任意に1から6つのC
1−C
6アルキル、ハロ、及び/又はC
1−C
6アルコキシ基で置換される。式(III)のブロモ基以外の脱離基を使用できることは当業者に明らかであろう。このような他の脱離基の非限定例は、クロロ又はトシラートを含む。
【0040】
式(IC)の保護されたカルボン酸を脱保護すると、式(IA)の化合物が提供される。本開示の内容に基づいて明らかなように、式(IC)の化合物は、一部の実施形態では、本発明に従って有用である。脱保護方法の非限定例は、Pd/C又はPt/Cのような触媒及びH
2下でのアルカリ加水分解及び水素化分解を含む。
【0041】
反応は、不活性有機溶媒で実行され、不活性有機溶媒は、例えば、制限なくアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、又は、ジメチルホルムアミドを含む。求核置換反応は、無機塩基、例えば、炭酸カリウム、又は、炭酸ナトリウム、任意にヨウ化カリウムの存在下で室温未満の温度で溶媒の還流温度まで実行されてもよい。反応は、薄層クロマトグラフィー及び
1H−NMRのような周知の方法によって決定されるような、実質的な生成物を提供するのに十分な時間で実施される。本明細書で使用されるその他の化合物は、出発物質の適切な置換時に本明細書に記載した手続に従って及び/又は当業者に周知の方法に従って製造される。米国特許第5,290,812号参照(本明細書に参照として含まれる)
【0042】
式(IA)の化合物は、必須的に純粋な斜方晶系多形体(A型結晶という)を提供するための制御された条件下で再結晶される(例えば、90%以上、好ましくは少なくとも95%のA型)。多形体A型及びその製造工程は、米国特許第7,060,854号、及び同第7,064,146号に記載されており、本明細書に全体の内容が参照として含まれる。式(I)の化合物の全ての多形体形態は活性であるが、多形体A型が好ましい。特定条件下では、このような多形体の溶解度及び生体利用率は、その他の多形体に比べて優れており、A型は、改善された固体製剤を提供してもよい。
【0043】
黄色から橙色の溶液を提供するために、25℃から40℃でエタノール5から10重量部中に式(IA)の化合物を溶解させることによってA型結晶を得ることができる。エタノール溶液に1から10部の水を注入し、20℃から25℃で約15から60分間撹拌した後、5℃から10℃でさらに1から4時間、好ましくは2.0から3.0時間撹拌して灰白色懸濁液が得られる。この懸濁液に5から15部の水を添加し、混合物を5℃から10℃でさらに1から4時間、好ましくは1.5から2.0時間撹拌する。固体の、白色から灰白色の生成物は、真空濾過によって分離して濾過ケーキを水で洗浄して25℃から40℃で12から24時間真空乾燥する。
【0044】
鏡像異性体形態で存在する本明細書で使用される化合物、例えば、式(I)の化合物の特定の代謝産物(例えば、式IBの化合物)に対して、2つの鏡像異性体を光学的に分解することができる。このような分解は、例えば、制限なく(S)−(−)−l−(l−ナフチル)エチルアミンのような塩基と対応するカルボン酸化合物のジアステレオマー塩を形成することによって、又はキラルカラムクロマトグラフィーを使用して鏡像異性体を分離することによって実行される。鏡像異性体形態で存在するこのような化合物に対する中間体は、同様に分解することができる。
【0045】
[投与及び製剤]
本明細書で使用する化合物は、経口、又は静脈内、筋肉内、及び皮下注射、又は経皮的方法によって投与することができる。効果的な投与量レベルは、例えば、1日あたり約100から約4000mgで多様に変化してもよい。一実施形態では、1日投与量の範囲は、250から2,000mgであり、1回、2回、又は3回に分けて提供される。一実施形態では、1日投与量の範囲は、100から500mgであり、例えば、100、200、300、400、又は500mgであり、1回、2回、又は3回に分けて提供される。一実施形態では、1日投与量の範囲は、250から2,000mgであり、例えば、250、500、750、1,000、1,250、1,500、1,750、又は2,000mgであり、1回、2回、又は3回に分けて提供される。一実施形態では、1日投与量の範囲は、1000から4,000mgであり、例えば、1,000、2,000、3,000、又は4,000mgであり、1回、2回、又は3回に分けて提供される。また別の実施形態において、投与量は、1000mgで1日2回提供される。その別の実施形態において、適切な投与量は、1000mg qd、1000mg bid、及び750mg tidを含む。
【0046】
実際の量は、治療される患者の環境によって異なり得る。当業者が認識するように、活性物質の作用を変更する様々な因子は、治療する医師によって考慮され、例えば、年齢、体重、性別、食事療法、及び患者の状態、投与時期、投与速度、及び投与経路である。所定の条件に対する最適な投与量は、従来の投与量決定試験を用いて当業者によって認知されることができる。
【0047】
本明細書で使用される化合物は、液体、粉末、クリーム、乳剤、丸剤、トローチ(troche)、坐薬、懸濁液、溶液などを含む、任意の薬学的に許容される形態で形成されてもよい。本明細書で使用されるこのような化合物を含有する治療組成物は、既知の確立された実施に従って一般的に1つ以上の薬学的に許容される成分で形成される。一般に、錠剤(tablet)は、担体(例えば、改質デンプン)を、単独で又はカルボキシメチルセルロース(商品名:Avicel)と共に、例えば、約10重量%用いて形成される。製剤は、錠剤成形工程で1,000から3,000ポンドの圧力で圧縮される。錠剤は、好ましくは約1.5から8.0kp/cm
2、好ましくは5.0から7.5kp/cm
2の平均硬度を示す。分解時間は、約30秒から約15又は20分まで変化する。
【0048】
経口用製剤は、本明細書で使用される治療活性がある化合物が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合した硬ゼラチンカプセルとして提供されたり、前記化合物が油性媒体、例えば、液体パラフィン又はオリーブ油と混合した軟ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどを含む。
【0049】
本明細書で使用する化合物は、水性懸濁液として、薬学的に許容される賦形剤、例えば、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントゴム、及びアカシアゴム;分散又は湿潤製剤、例えば、天然発生リン脂質、例えば、レシチン又は脂肪酸とアルカリ性酸化物の縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、又は、長鎖脂肪族アルコールとエチレン酸化物の縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又は、脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとエチレン酸化物の縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート又は脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとエチレン酸化物の縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートと混合して製造されてもよい。このような水性懸濁液は、1つ以上の保存剤、例えば、エチル−又はn−プロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及び1つ以上の甘味剤、例えば、グリセロール、ソルビトール、スクロース、サッカリン又はナトリウム又はカルシウムシクラメートを含んでもよい。
【0050】
適切な製剤は、米国特許第4,788,055号、同第4,816,264号、同第4,828,836号、同第4,834,965号、同第4,834,985号、同第4,996,047号、同第5,071,646号、及び同第5,133,974号に記載された徐放性剤形を含み、本明細書に参照として含まれる。
【0051】
経口投与に適切なその他の形態は、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤(elixir)、水性溶液を含む液状製剤、又は使用する直前に液状製剤に変換される固体製剤を含む。乳剤は、溶液、例えば、水性プロピレングリコール溶液で製造されるか、乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート又はアカシアを含有してもよい。水性溶液は、活性成分を水に溶解して適切な着色剤、香味剤、安定剤、及び増粘剤を添加して製造されてもよい。固体製剤は、活性成分と共に、着色剤、香味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0052】
本明細書で使用する化合物は、非経口投与(例、注射、例えば、ボーラス注入又は持続注入)のために製造され、アンプル、プレフィルドシリンジ(pre−filled syringe)、小容量注入において、単位剤形又は追加された保存剤を含む複数用量容器で提供されてもよい。組成物は、油性又は水性ビークル中の懸濁液、溶液、又は乳剤、例えば、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液のような形態であってもよい。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビークルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性オイル(例えば、オリーブ油)及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)を含み、形成製剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、又は懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤を含有してもよい。また、活性成分は、滅菌固体の無菌分離、又は適切なビークルと使用する前に構成する溶液、例えば、発熱物質を含まない滅菌水から凍結乾燥によって得られた粉末形態であってもよい。
【0053】
本明細書で使用する化合物は、経鼻投与用に製造されてもよい。溶液又は懸濁液が、従来の手段、例えば、点滴器(dropper)、ピペット、又は、スプレーによって鼻腔に直接適用される。製剤は、単回又は複数回投与の形態で提供されてもよい。患者は、点滴器又はピペットを介して溶液又は懸濁液の適切な所定量を投与してもよい。スプレーは、例えば、計量された霧化式スプレーポンプによって投与されてもよい。
【0054】
本明細書で使用する化合物は、経鼻投与を含む、特に気道へのエアゾール投与のために製造されてもよい。化合物は一般的に、例えば、約5ミクロン以下の小さい粒子サイズを有する。このような粒子サイズは、当技術分野で周知の手段、例えば、微細化によって得ることができる。活性成分は、適切な推進剤、例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又は、ジクロロテトラフルオロエタン)、二酸化炭素又はその他の適切な気体で加圧パック内に提供される。エアゾールは、好適にはレシチンのような界面活性剤を含有してもよい。薬物の投与量は、計量バルブによって調節されてもよい。また、活性成分は、乾燥粉末、例えば、適切な粉末ベース、例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニールピロリジン中の前記化合物の粉末混合物の形態で提供されてもよい。粉末担体は、鼻腔内にゲルを形成する。粉末組成物は、例えば、粉末が吸引器によって投与されることができるゼラチン又はブリスターパックのカプセル又はカートリッジ内で単位剤形で提供されてもよい。
【0055】
本明細書で使用される化合物は、軟膏、クリーム又はローション、又は、経皮性パッチとして表皮に局所投与するために製造されてもよい。軟膏及びクリームは、例えば、水性又は油性ベースで製造され、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤が添加される。ローションは、水性又は油性ベースで製造されてもよく、一般的に1つ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は、着色剤を含有する。口内へ局所投与するのに適切な製剤は、通常はスクロース及びアカシア又はトラガントである香味付けされた基剤に活性剤を含むロゼンジ(lozenge);ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤に活性成分を含むパステル剤(pastille);及び適切な液体担体内に活性成分を含む洗口剤(mouthwashes)を含む。
【0056】
本明細書で使用する化合物は、坐薬として投与するために製造されてもよい。このような製剤において、低融点ワックス、例えば、脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物がまず溶解し、活性成分が、例えば、撹拌によって均一に分散する。溶解した均一な混合物が便利なサイズのモールドに注入された後に冷却されて固体化する。
【0057】
本明細書で使用する化合物は、膣内投与用に製造されてもよい。活性成分と共に担体を含む腟坐剤、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレーが当該分野で適切であることが知られている。
【0058】
必要に応じて、製剤は、活性成分の持続放出投与又は制御放出投与のために変形された腸溶コーティングによって製造されてもよい。本発明の目的のために使用することができる一般的な形態の制御放出形態は、不活性コア、例えば、シュガースフィア(sugar sphere)、内部の薬物含有第2層がコーティングされた第1層、及び内層から薬物放出を調節するための第3層又は外部の膜を含む。
【0059】
コアは、水溶性又は膨張性物質であることが好ましく、従来コアとして使用されている任意の物質又はビーズ又はペレットへと製造された任意の他の薬学的に許容される水溶性又は水膨潤性物質であってもよい。コアは、スクロース/デンプン(Sugar Spheres NF)、スクロース結晶などの物質の球体、又は、一般的に賦形剤、例えば、微結晶性セルロース及びラクトースで構成された、圧出して乾燥した球体であってもよい。
【0060】
第1層内で実質的に水不溶性物質は、一般的に(溶媒内に分散又は溶解した)「GI不溶性」又は「GI部分的に不溶性」フィルム形成ポリマーである。例としては、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロース酪酸塩、ポリメタクリレート、例えば、エチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体(Eudragit NE−30−D)及びアンモニオメタクリレート共重合体タイプA及びB(Eudragit RL30D及びRS30D)、及びシリコーンエラストマが列挙されてもよい。通常、ポリマーと共に可塑剤が使用される。例示の可塑剤は、セバシン酸ジブチル、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ヒマシ油、アセチル化モノグリセリド、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸ブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、トリアセチン、椰子油(中鎖脂肪酸)を含む。
【0061】
活性成分を含有する第2層は、結合剤としてポリマーを含む又は含まない活性成分(薬物)で構成されてもよい。結合剤が使用される場合、結合剤は、通常は親水性であるが、水溶性又は水不溶性であってもよい。活性薬物を含有する第2層で使用される例示のポリマーは、親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸ポリマー、ポリメタクリレート、又は、任意のその他の薬学的に許容されるポリマーを含む。第2層内の薬物対親水性ポリマーの比は、通常は1:100から100:1(w/w)の範囲である。
【0062】
薬物放出を制御するための、第3層又は膜で使用するのに適したポリマーは、水不溶性ポリマー又はpH依存性溶解度を有するポリマー、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸セルロースフタレート、トリメリト酸酢酸セルロース、ポリメタクリレート、又は、これらの混合物から選択されることができ、任意に可塑剤(例えば、上述したもの)と結合される。
【0063】
任意に、制御された放出層は、制御された放出層の浸透性及び放出速度を調節するために、前記ポリマーと共に異なる溶解性を有するまた他の物質を含む。例えば、エチルセルロースと共に改質剤として使用することができる例示のポリマーは、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、pH依存溶解性を有するポリマー、例えば、酢酸セルロースフタレート又はアンモニオメタクリレート共重合体及びメタクリル酸共重合体又はこれらの混合物を含む。添加剤、例えば、スクロース、ラクトース、及び薬学的等級界面活性剤は、必要に応じて制御された放出層内に含まれてもよい。
【0064】
また、単位剤形の製剤が本明細書に提供される。このような形態で、製剤は、活性成分(例えば、限定されないが、式(I)の化合物又はそのエステル、又は、それら各々の塩)の適量を含有する単位投与量に再分割される。単位剤形は、パッケージ化された製剤であってもよく、製剤の別個の量を含有するパッケージは、例えば、バイアル又はアンプル内にパッケージ化された錠剤、カプセル及び粉末であってもよい。また、単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェ剤(cachet)又はトローチ剤であってもよく、パッケージ化された形態内のこれらのいずれか1つの適切な数であってもよい。
【0065】
その他の適切な薬学的担体及びこれらの製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E.W.Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Paに記載されている。
【0066】
このようにして一般的に記載された本発明は、次の実施形態を参照してさらに容易に理解され、これは、説明するために提供されるものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0067】
次の試験は、線維症でMN−001、MN−002又は本明細書で使用されるまた他の化合物(総称「本明細書で使用される化合物」)の治療上有益な効果を立証するために用いてもよい。本明細書に提示した研究では、本明細書で使用される化合物の線維症に対する効果が評価される。
[実施例1]
本明細書に用いられた化合物の線維症に対する効果は、試験管内の1次ヒトの線維芽細胞を使用し、生体外のヒトの皮膚を使用し、生体内TGF−βで治療されたマウスの皮膚内で評価される。
【0068】
[材料及び方法]
1次線維芽細胞培養物:ヒトの1次皮膚線維芽細胞が培養される。SSc患者、限局性強皮症患者、及び健常ドナーの臨床的に関連する皮膚が、1次線維芽細胞培養物に対して使用される。末梢及び皮膚の約2cmの片を切断して、上述した線維芽細胞を、10% FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン、及び抗菌剤が補充されたダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)で培養される。細胞は、3〜6代継代の間で使用される。
【0069】
[生体外のヒトの皮膚分析]
ヒトの腹部の皮膚が形成外科(corrective plastic surgery)で得られる。皮下脂肪組織を均一に除去し、皮膚組織を1.5cm×1.5cmの切片に切断する。本明細書で使用される化合物、本明細書でTGF−β(10ng/ml)との組合で使用された化合物、及びTGF−β単独(10ng/ml)を皮内注射する。一部の試験では、ヒトの皮膚にTGF−βを48時間注射した後、TGF−βと同一の注射部位に本明細書で使用する化合物を投与する。独立した試験を2回、又は3回実施する。完全な表皮層及び真皮層を含む外植片(explant)は、表皮層及びケラチン層を上にして、空気にさらした状態で気液界面で培養する。培養培地は、1日おきに交換される。1週間又は2週間後、注射部位を中心とする直径8mmの領域に対応する皮膚組織を、使い捨ての直径8mmのACUPUNCH(登録商標)(Acuderm Inc., Lauderdale,Fla.)を使用して採取する。皮膚組織は、パラフィン包埋前に10%のホルマリンで固定される。
【0070】
[生体内マウス試験]
CB57BL6/Jの雄マウスは、ジャクソン研究所(The Jackson Laboratory)(Bar Harbor、ME)から購入する。本明細書で使用される化合物を単独で、又はTGF−β(10ng/ml)と組み合せて、又はTGF−β(10ng/ml)単独でマウスの背中に皮内注射する。マウスは、2つの異なる皮膚部位に注射し、注射1週間後に犠牲にする。注射部位を囲む皮膚が採取され、パラフィン包埋前に10%のホルマリンで固定される。
【0071】
[皮膚真皮厚さの測定]
パラフィンに包埋されたヒト及びマウス皮膚組織の6μmの切片は、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色する。一部の試験では、切片は、コラーゲンを識別するマッソントリクロームで染色する。画像は、Nikon Eclipse 800顕微鏡で撮影したものである。真皮の厚さは、image/J(登録商標)のソフトウェアを使用して各切片の6つのランダムフィールドで測定される。
【0072】
[統計分析]
全ての連続変数は、平均±標準偏差として表される。2つの群の間の比較は、必要に応じて対応のあるt検定又はマンホイットニーのU検定(Mann−Whitney U test)を使用して統計的有意性について試験する。3つの群の間の比較は、分散分析(ANOVA)を用いて行い、続いてボンフェローニの検定(Bonferroni’s test)を行う。
【0073】
[実施例1A]
元気な対照群、SSc又は局所化強皮症(限局性強皮症)の患者の皮膚から得られた1次線維芽細胞は、本明細書で使用される化合物で治療する。
【0074】
[実施例1B]
α−SMAを発現する筋線維芽細胞である活性線維芽細胞は、TGF−β刺激によって誘導され、線維症において役割をする。次に、正常な皮膚線維芽細胞における本明細書に使用される化合物のα−SMA発現に対する効果が調査される。
【0075】
[実施例1C]
培養されたヒトの皮膚外植片は、線維形成因子の効果を評価するために臓器モデルとして用いられ、線維症の進行を停止させて潜在的にそれを逆転させるために抑制剤/治療薬の効能を評価するために用いてもよい。線維症の潜在的な治療薬として本明細書で使用される化合物の効能を評価するために、生体外のヒトの皮膚モデルが使用される。TGF−βが線維症において中心的な役割をする前線維性因子(pro−fibrotic factor)として作用することができるため、ヒト組換えTGF−βが線維症のレベルを評価するために皮内注射される。TGF−β注射は、注射1週間後の投与量依存方式によって真皮厚さを増加させることができる。TGF−β(10ng/ml)の線維化効果は2週間で消失する。本明細書で使用される化合物のベースライン効果は、個別に調査される。
【0076】
[実施例1D]
本明細書で使用される化合物の抗線維化効果は、生体内でさらに評価される。TGF−βと組合せて本明細書で使用される化合物をマウスの皮膚内に注射し、マウスの皮膚内の皮膚厚さを経時的に測定する。
【0077】
[実施例1E]
本明細書で使用される化合物の効能は、線維症の前臨床モデルにおいて確認され、線維症は、a)マウスの皮膚内における生体内ブレオマイシン誘導皮膚線維症、及びb)マウスの皮膚内におけるTGF−β誘導真皮線維症である。本明細書で使用される化合物又は対照化合物は、TGF−β又はブレオマイシンと共に投与されたり、TGF−β又はブレオマイシン投与の3〜4日後に投与される。マウスは、皮膚線維症のTGF−βの開始後1週間及び2週間後、及びブレオマイシン誘導線維症の2週間から3週間後に犠牲になる。本明細書に用いられた化合物が腹腔内投与される。これらの研究では、線維症は、H&E皮膚切片上の皮膚厚さを測定することによって評価され、マッソントリクローム染色によってコラーゲンレベルを評価する。
【0078】
[実施例2]
[強皮症のTskマウスモデル]
皮下線維層のコラーゲン含量及び厚さは、Tskマウスの皮膚において測定され(Rheum. Dis. Clin. north Am. 16, 153, 1990)、5週齢、10週齢、及び20週齢(n=6)の対照マウス(pallid mice)と比較する。コラーゲン含量は、HPLCを使用してコラーゲンマーカーであるヒドロキシプロリンを測定することによって決定される。線維層の厚さは、Azan染色の組織学分析後に画像分析システムを使用して線維層の面積を測定することによって決定される。
【0079】
[本明細書で使用される化合物の強皮症のTskマウスモデルに対する効果]
13週齢のTskマウス(n=5)は、本明細書で使用される化合物を、例えば、1日1回10mg〜100mg/kgの投与量で、例えば、1日1回10mg/kg、1日1回30mg/kg、又は、1日1回100mg/kgを2週間腹腔内投与する。最終投与の5時間後、皮下線維層の肥大化(hypertrophy)の程度を測定して塩水投与された群の値と比較する。
【0080】
[実施例3]
[線維化組織におけるヒドロキシプロリンレベルの測定]
肺ヒドロキシプロリン含量を定量するために、組織サンプル(例えば、限定されないが、15〜25mg)を以下のようにアルカリ酸加水分解法によって処理した。組織サンプルは、20分間121℃で6N HClの400μLで酸加水分解し、10mg/mLの活性炭を含む4N NaOHの400μLで中和した。AC緩衝剤(2.2M酢酸/0.48Mクエン酸、400μL)は、サンプルに添加した後、遠心分離して上澄液を収集した。ヒドロキシプロリンの標準曲線は、16μg/mLで開始するトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich)、米国)を連続的に薄めて製造した。準備されたサンプル及び標準(各400μL)は、400μLクロラミンT溶液(和光純薬工業社、日本)と混合して室温で25分間培養した。発色のために、サンプルをエールリヒ(Ehrlich’)溶液(400μL)と混合して65℃で20分間加熱した。サンプルを氷で冷却して遠心分離して沈殿物を除去した後、各々上澄液の光学密度を560nmで測定した。ヒドロキシプロリンの濃度は、ヒドロキシプロリン標準曲線から算出した。
【0081】
特定の実施形態を示して説明してきたが、当技術分野の通常技術によって、本明細書で以下の請求の範囲に定義された広い形態の技術から逸脱することなく変更できることを理解されたい。
【0082】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、具体的に本明細書に開示されていない任意の要素、限定がない状態で、適切に実施することができる。従って、例えば、「含む」、「含有する」などの用語は、広範かつ制限のないものと理解され得る。また、本明細書で使用される用語及び表現は、説明のために用いられたもので、これらに制限されることはなく、このような用語及び表現の使用が、図示及び記載された特徴又はその一部の任意の等価物を排除する意図はなく、請求する技術の範囲内で様々な変更が可能であることを認識されたい。
【0083】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に限定されるものではない。当業者に明らかであるように、思想及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができる。本明細書に列挙したものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び組成物は、上記の説明から当業者には明らかであろう。このような変更は、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、特許請求の範囲、及びその請求の範囲が与えられる等価物の全範囲によってのみ限定されるものである。この開示の内容は、変更することができる具体的な方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的システムに限定されないことを理解しなければならない。また、本明細書で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0084】
さらに、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群について記載されている場合、当業者は、本開示がマーカッシュ群の部材の任意の個々の部材及びその下位群の点から記載されるものと認識されるであろう。
【0085】
当業者に理解されるように、任意の目的及び全ての目的のために、特に記載する説明を提供する観点から、本明細書に開示された全ての範囲は、その可能な下位範囲及びその下位範囲の組合せを含む。任意の列挙された範囲は、十分に記載されており、同一の範囲を少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分などに分けることができることが容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書に記載した各範囲は、下位1/3、中位1/3、上位1/3に容易に分割することができる。当業者に理解されるように、「最大」、「最小」、「より大きい」、「より小さい」などのような用語は、全て記載された数値を含み、さらに上述したように下位範囲に分割可能な範囲を意味する。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、各個々の数値を含む。
【0086】
本明細書に記載した、全ての公報、特許出願、登録特許、及びその他文献は、各々の個別公報、特許出願、登録特許、又は、その他の文献が参照により全体が本明細書に含まれることが具体的かつ個別に示されたかのように、本明細書に参照として含まれる。参照として組み込まれた本文に含まれる定義は、本開示における定義に矛盾する限りにおいて除外される。
【0087】
その他の実施形態は、特許請求の範囲に記載される。