(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記ヘッドギアストラップのうちの少なくとも1つが、前記ヘッドギアアンカーポイントのうちの対応する1つに通されるように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマスクシステム。
前記フレームが、前記シェル・クッション組合体の前方側から前記シェル・クッション組合体にある固定点へ押し込まれるように構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のマスクシステム。
回転可能な前記エルボーが、回転可能な当該エルボーが設定された位置留まることができるようにするブレーキシステムを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のマスクシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
いくつかの従来技術によるマスクアセンブリに関する困難さは、家庭内で毎晩快適に着用しつつ臨床的に効果的なシールを達成することが、製造を高価なものとしてしまうことである。ヘッドギアは、マスクシステムに関する製造コストの大部分を占める。製造コストは、仲介業者によって上乗せされ、患者にとっては、マスクアセンブリは、より高価なものとなる。このことは、治療に余裕がある患者が少ないことを意味する。このことは、また、診療所や病院においては、多数の患者にわたってマスクを再使用する傾向があることを意味する。相互感染を防止するための衛生システムが確立されていなければ、様々な患者にわたってマスクを再使用されることは、推奨できない。一般に、例えばSARSといったような呼吸疾病を治療する病院では、マスクシステムは、使い捨てにし得るほど十分に安価であることが望ましい。
【0016】
本発明の他の見地は、睡眠呼吸障害の治療のための安価なマスクアセンブリを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる見地は、睡眠呼吸障害の治療のための使い捨て可能なマスクアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書の全体にわたっては、シェルとクッションとの組合せは、『シェル/クッション』と称される。ただし、これは便宜上のことであって、『シェル/クッション』という表現は、常にシェルとクッションとの組合せを意味するものであると、解釈されるべきではない。
【0019】
本発明の第1見地においては、ヘッドギアと、シェル/クッションの組合せと、フレームと、エルボーと、および保持リングと、を備えてなる快適な低コストのマスクシステムが提供される。
【0020】
本発明の他の見地においては、低コストのヘッドギアが提供される。
【0021】
本発明の他の見地においては、患者の顔面上に圧力ポイントを引き起こす傾向が低減された快適なシェル/クッションが提供される。
【0022】
一実施形態においては、睡眠呼吸障害を治療するためのマスクシステムは、ヘッドギアと;前方開口に隣接したチャネルを備えたシェル/クッションと;フレームと;基端部上に少なくとも1つのアンダーカットを備えたエルボーと;シェル/クッションのチャネル内に挿入されて保持され得るよう構成された後方フランジと、エルボーの少なくとも1つのアンダーカットに対して係合して保持され得るよう構成された前方フランジと、を備えている保持リングと;を具備している。
【0023】
シェル/クッションには、チャネルに隣接したところに、薄肉部分が設けることができ、この薄肉部分は、エルボーの取外し時に裂け得るよう構成される。
【0024】
エルボーがなす構造は、通常使用時に保持リングと開口と分離を防止することを補助することができる。
【0025】
エルボーは、マスクとは個別部材とされている場合に、円筒状の出口を有することができる。
【0026】
シェル/クッションは、環状フランジを備えることができ、この環状フランジは、エルボーまたは連結部材に対して組み付けられた際には、出口のリムと係合し、これにより、フランジの出口を適切にシールする。
【0027】
他の実施形態においては、睡眠呼吸障害を治療するためのマスクシステムは、ヘッドギアと;フレームと;前方フランジおよび後方フランジによって形成されるフレーム受領チャネルを備えたシェル/クッションと;を具備し、前方フランジは、シェル/クッションの周縁回りの長さの75%〜100%にわたって延在し、フレームは、シェル/クッションのフレーム受領チャネル内に着脱可能に挿入され得るように構成されている。
【0028】
マスクシステムは、シェル/クッションに、患者の鼻ブリッジ領域と接触し得るよう構成された少なくとも1つの鼻ブリッジ領域を備えることができる。鼻ブリッジ領域の後方フランジの厚さは、1mm〜3mmとすることができる。後方フランジの厚さは、約2mmとすることができる。
【0029】
さらに他の実施形態においては、マスクとこのマスクに対してエア流を供給する導管とを連結するための連結部材が提供される。この連結部材は、入口と;出口と;これら入口と出口との間にわたってエア流を流通させるための通路壁と;入口と出口との間において出口の近傍のところに設けられた複数のベント壁と;を具備し、ベント壁は、通路壁から離間する向きに延出され、ベント壁は、貫通して形成された少なくとも1つの開口を備えている。
【0030】
連結部材は、マスクと一体的に形成することができる。これに代えて、連結部材は、マスクとは個別的なものとして形成することができ、マスクに対して連結することができるあるいは取り付けることができる。
【0031】
連結部材は、導管と一体的に形成することができる。これに代えて、連結部材は、導管とは個別的なものとして形成することができ、導管に対して連結することができるあるいは取り付けることができる。
【0032】
連結部材においては、出口は、入口に対して所定角度を形成することができる。好ましくは、出口は、入口に対して所定角度を形成し、所定角度は、90°〜180°という範囲とされる。連結部材は、90°をなすエルボーとすることができる。
【0033】
連結部材は、連結部材をマスクに対して取り付けるための取付構造を備えることができる。取付構造は、マスク上の係合フランジに対して係合し得るような少なくとも1つのスナップイン式アンダーカットを備えることができる。
【0034】
取付構造は、連結部材をマスクに対して着脱可能に取り付けることができる。
【0035】
取付構造は、スナップイン式アンダーカットが形成されているところに、移動可能部分を備えることができ、この移動可能部分は、係合フランジからのアンダーカットの取外しを可能とすることができる。
【0036】
取付構造は、マスクに対しての連結部材の回転を可能とすることができる。
【0037】
連結部材は、通路壁を通してルアーポートを備えることができ、通路壁は、連結部材の側方に配置することも、また、連結部材の前方側に配置することも、できる。
【0038】
ベント壁は、エア流に対して傾斜した角度で配置することができる。この角度は、25°〜155°という範囲とすることができる。
【0039】
連結部材は、外表面上に、ベント壁の外側壁から離間する向きに延出された壁部分を有した凹所を備えることができる。壁部分は、ベント壁から離間する向きに発散することができる。
【0040】
さらに他の実施形態においては、睡眠呼吸障害を治療するためのマスクであって、内表面および外表面を備えたシェル/クッションと;外表面から離間する向きに延出されかつシェル/クッションを囲むフランジと;フランジの外形形状に実質的に適合した形状を有する外付け式フレーム(あるいは、第1フレーム)と;を具備し、フレームは、シェル/クッションが患者による使用に適した形状とされている場合には、フランジに隣接して配置され得るとともに、フランジを保持し得る構造を有することができる。
【0041】
フランジをフレームに対して保持し得る構造は、フランジを貫通した1つ以上の開口を備えることができる。
【0042】
リベットあるいは他の固定部材は、フレームに隣接してフランジを保持し得るよう、開口を通過することができる。
【0043】
フレームは、患者の頭に対してマスクを位置決めするよう機能するヘッドギアを取り付けることができる。
【0044】
フレームは、このフレームに対して連結された少なくとも1つの連結部材を備えることができ、フレームと少なくとも1つの連結部材とが協働することによって、フレームと少なくとも1つの連結部材との間に、フランジを挟み付け得るようになっている。連結部材は、フレームに対してヒンジ連結することができる。あるいは、連結部材は、フレキシブルな連結を介して、フレームに対して連結することができる。
【0045】
フランジの外形形状と実質的に適合した形状を有する第2フレームを具備することができ、フランジは、フレーム(あるいは、第1フレーム)と第2フレームとの間に挟み付けられ得るようになっている。
【0046】
第2フレームと、フランジと、フレーム(あるいは、第1フレーム)とは、リベットおよび/または固定部材等を介して、一体的に保持することができる。
【0047】
第2フレームは、自身から延出されたリベットを備えることができ、このリベットは、フランジとフレーム(あるいは、第1フレーム)とを通過することができる。これに代えて、フレーム(あるいは、第1フレーム)は、自身から延出されたリベットを備えることができ、このリベットは、フランジと第2フレームとを通過することができる。他の代替可能な実施形態は、フランジに関するものであり、フランジは、前方へと延出された第1組をなす複数のリベットと、後方へと延出された第2組をなす複数のリベットと、を備えることができ、第1組をなす複数のリベットは、フレームを貫通する開口内に受領され、第2組をなす複数のリベットは、第2フレームを貫通する開口内に受領される。
【0048】
リベットは、変形可能な自由端を有することができる。
【0049】
リベットは、アンダーカットを備えることができ、アンダーカットは、開口を通過し得るとともに、この通過後には、部材を保持することができる。
【0050】
本発明の他の実施形態は、マスクシステムであって、ヘッドギアと;上述したようなマスクと;を具備している。このマスクシステムは、上述したような連結部材を具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明の一実施形態によるマスクシステムを示す斜視図である。
【
図2】
図1のマスクシステムにおいて使用されているのと同様のマスクアセンブリを示す正面から見た斜視図であるものの、異なるシェル/クッションを備えている。
【
図2A】
図2のマスクアセンブリを示す正面図である。
【
図3】
図2のマスクアセンブリを示す側面図である。
【
図4】
図2のマスクアセンブリを示す背面図である。
【
図5】
図2のマスクアセンブリを示す底面図である。
【
図6】
図2のマスクアセンブリを示す平面図である。
【
図7】
図2のマスクアセンブリを示す分解図である。
【
図8】
図2のマスクアセンブリを示す断面図である。
【
図9】
図2のマスクアセンブリを示すさらなる断面図であって、側面図が重ね合わせて示されている。
【
図10】
図2において使用されているのと同じシェル/クッションを備えた他のマスクアセンブリを示す正面から見た斜視図であるものの、異なるフレームを備えている。
【
図11】他のマスクアセンブリを患者の顔の近くにおいて示す分解図であって、
図10において使用されているのと同様のフレーム備えているものの、
図1および
図7において使用されているのと同様のシェル/クッションを備えている。
【
図12】
図11のマスクアセンブリを示す側面図であって、使い捨て型のヘッドギアが使用されている。
【
図13】
図2のマスクアセンブリにおいて使用された場合の3点フレームを示す正面図である。
【
図14】
図13のフレームを、XIV−XIV断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図21】
図10および
図11のマスクアセンブリにおいて使用された場合の5点フレームを示す正面図である。
【
図22】
図21のフレームを、XXIII−XXIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図27】
図26の保持リングを、XXVII−XXVII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図30】連結部材すなわちエルボーを示す正面図である。
【
図32】
図30のエルボーを、XXXII−XXXII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図33】
図30のエルボーを、XXXIII−XXXIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図35A】
図30のエルボーを、下側からかつ背面から見た斜視図である。
【
図35B】
図30のエルボーを、上側からかつ正面から見た斜視図である。
【
図38】一回のみ使用するための連結部材すなわちエルボーを示す正面図である。
【
図40】
図38のエルボーを、XL−XL断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図42】
図38のエルボーを、XLII−XLII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図43】
図38のエルボーを、下側からかつ背面から見た斜視図である。
【
図44】
図38のエルボーを、上側からかつ正面から見た斜視図である。
【
図47】フレームに対して取り付け得るよう周縁回りに互いに離間して配置された4つのポイントすなわち4つのチャネルを有したシェル/クッションを示す正面図である。
【
図49】
図47のシェル/クッションを、XLIX−XLIX断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図51】
図47のシェル/クッションを、LI−LI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図53】
図48のシェル/クッションを、LIII−LIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図54】
図47のシェル/クッションを、下側からかつ背面から見た斜視図である。
【
図55】
図47のシェル/クッションを、上側からかつ正面から見た斜視図である。
【
図56】フレームに対して取り付け得るよう周縁回りに連続的なチャネルを有したシェル/クッションを示す正面図である。
【
図58】
図56のシェル/クッションを、LVIII−LVIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図61】
図57のシェル/クッションを、LXI−LXI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図63】
図62のマスクアセンブリを、LXIII−LXIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図64】
図62のマスクアセンブリを、LXIV−LXIV断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図65】
図62のマスクアセンブリを、LXV−LXV断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図66】
図62のマスクアセンブリを、LXVI−LXVI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図67】本発明における使い捨て可能な実施形態において使用されるヘッドギアを示す図である。
【
図68A】エルボーとクッションとの間のトルク伝達を分断するためのベローズを有したシェル/クッションを示す図である。
【
図68B】
図68Aのシェル/クッションを示す図であって、ベローズが、トルクを分断するように作用している。
【
図71】
図69のフレームを、LXXI−LXXI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図72】
図69のフレームを、LXXII−LXXII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図73】
図69のフレームを、LXXIII−LXXIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図77】
図69のフレームを示す、右側から見た斜視図である。
【
図78】
図69のフレームを示す、左側から見た斜視図である。
【
図79】
図69のフレームと一緒に使用するためのクリップを示す正面図である。
【
図81】
図79のフレームを、LXXXI−LXXXI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図82】
図79のフレームを、LXXXII−LXXXII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図83】
図79のフレームを、LXXXIII−LXXXIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図87】
図79のフレームを示す、右側から見た斜視図である。
【
図88】
図79のフレームを示す、左側から見た斜視図である。
【
図89】本発明の他の実施形態によるエルボーを示す正面図である。
【
図90】
図89のエルボーを、XC−XC断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図91】
図89のエルボーを、XCI−XCI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図93】
図89のエルボーを、XCIII−XCIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図97】
図89のエルボーを、下側からかつ背面から見た斜視図である。
【
図98】
図89のエルボーを、上側からかつ正面から見た斜視図である。
【
図100】
図99のエルボーを、C−C断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図101】
図99のエルボーを、CI−CI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図102】
図99のエルボーを、CII−CII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図103】
図99のエルボーを、CIII−CIII断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図107】
図99のエルボーを、下側からかつ背面から見た斜視図である。
【
図108】
図99のエルボーを、上側からかつ正面から見た斜視図である。
【
図109】他のシェル/クッションを示す正面図である。
【
図110】
図109のシェル/クッションを、CX−CX断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図111】
図109のシェル/クッションを、CXI−CXI断面に沿って示す矢視断面図である。
【
図114A】シェル/クッションの一部を鼻ブリッジ領域において示す断面図である。
【
図116】
図109のシェル/クッションを、上側からかつ正面から見た斜視図である。
【
図117】
図109のシェル/クッションを、下側からかつ背面から見た斜視図である。
【
図118】
図109のシェル/クッションと一緒に使用するための他の保持リングを示す正面図である。
【
図123】
図122のマスクアセンブリを示す図であって、すべての構成部材を組み立てた状態で示されており、いくつかの構成部材は、断面図で示されている。
【
図124】
図122のマスクアセンブリの底部に配置された、リベットとシェル/クッション開口とフロントフレーム開口とを通しての断面図である。
【
図125】
図122および
図123のマスクアセンブリの保持リングを通しての断面図であって、左半分は、シェル/クッションとエルボーとの間をシールするための一構成を示しており、右半分は、シェル/クッションとエルボーとの間をシールするための他の構成を示している。
【
図126】
図69〜
図78に示すのと同様の側面図であって、2つのリベットシステムが、一体的に形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の他の見地は、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0053】
以下においては、添付図面を参照しつつ、本発明を何ら限定するものではなく単なる例示としての好ましい実施形態に関して、説明する。
【0054】
§1.序
様々な態様でもって、複数の実施形態は、構成部材の数が少ないような例えば単一壁からなるクッションを有しているような、快適な低コストのマスクシステムを提供する。好ましい態様においては、マスクシステムは、額支持体を備えておらず、また、ヘッドギアクリップも備えていない。しかしながら、所望された場合には、額支持体またはヘッドギアクリップを備え得ることは、容易に理解されるであろう。
【0055】
複数の実施形態においては、マスクシステムは、睡眠呼吸障害の治療に際して患者の気道に対して正圧でもってエアを供給するための装置の一部をなす交換可能なサブ構成部材を有した患者インターフェースを提供する。このマスクシステムは、ヘッドギアと、マスクアセンブリと、を備えている(
図1参照)。
【0056】
マスクシステムに関する様々なバージョンについて、図面を参照して説明する。
【0057】
バージョン1:
図1〜
図7に示されているように、クリーニングを行い得るよう分解可能とされた複数の構成部材を備えていて再使用可能なものとされ、3点式の単一部材フレームと、フレームを受領するための連続的チャネルを有したシェル/クッションと、を備えている。
【0058】
バージョン2:
図2〜
図6、
図8および
図9に示すように、クリーニングを行い得るよう分解可能とされた複数の構成部材を備えていて再使用可能なものとされ、3点式の単一部材フレームと、フレームを受領するための複数の個別チャネルを有したシェル/クッションと、を備えている。
【0059】
バージョン3:
図10に示すように、クリーニングを行い得るよう分解可能とされた複数の構成部材を備えていて単一使用型のユニットすなわち使い捨て可能なユニットとされ、5点式の単一部材フレームを備えている。
【0060】
バージョン4;
図11に示すように、クリーニングを行い得るよう分解可能とされた複数の構成部材を備えていて再使用可能なユニットとされ、5点式の単一部材フレームを備えている。
【0061】
バージョン5:図示されていないものの、単一使用型のユニットすなわち使い捨て可能なユニットとされ、3点式の2つの部材からなるフレームを備えている。
【0062】
バージョン6:図示されていないものの、クリーニングを行い得るよう分解可能とされた複数の構成部材を備えていて再使用可能なユニットとされ、3点式の2つの部材からなるフレームを備えている。
【0063】
バージョン7:
図99〜
図108に示すように、単一使用型のユニットすなわち使い捨て可能なユニットとされ、エルボーすなわち連結部材を備えている。
【0064】
バージョン8:
図89〜
図98に示すように、バージョン1,3,5と同様に再使用可能なユニットとされ、エルボーすなわち連結部材を備えている。
【0065】
バージョン9:図示されていないものの、上述した8個のバージョンのいずれかと同様に再使用可能なまたは単一使用型のユニットとされ、
図68に示すようなシェル/クッションを備えている。
【0066】
実施形態は、さらに、4つのバージョンをなすエルボーすなわち連結部材を備えている。エルボーは、マスクと導管とを接続するためのものであって、この接続によってマスクが完成される。
【0067】
バージョンA:
図30〜
図37に示すように、再使用可能なかつ着脱可能なエルボーである。
【0068】
バージョンB:マスクに対して一旦組み付けられた後にはマスクから取り外し得ないものとされた単一使用型エルボーであり、
図38〜
図46に示されている;
【0069】
バージョンC:
図89〜
図98に示すように、再使用可能なかつ着脱可能なエルボーである。
【0070】
バージョンD:マスクに対して一旦組み付けられた後にはマスクから取り外し得ないものとされた単一使用型エルボーであり、
図99〜
図108に示されている。
【0071】
実施形態は、さらに、5つのバージョンをなすフレームを備えている。フレームは、シェル/クッションとヘッドギアとを連結するためのものであり、これにより、患者上にマスクアセンブリを位置合わせする。
【0072】
バージョン(i):単一部材からなる3点式のフレームであって、
図13〜
図20に示すようにシェル/クッションのチャネル内に受領される。
【0073】
バージョン(ii):単一部材からなる5点式のフレームであって、
図21〜
図25に示すようにシェル/クッションのチャネル内に受領される。
【0074】
バージョン(iii):2つの部材からなる3点式の
図69〜
図88に示すようなフレームであって、シェル/クッション上のフランジを挟み、これにより、シェル/クッションに対して外付け式の支持構造を提供する。
【0075】
バージョン(iv):図示されていないものの、2つの部材からなる5点式のフレームであって、シェル/クッション上のフランジを挟み、これにより、シェル/クッションに対して外付け式の支持構造を提供する。このバージョンは、
図69〜
図88に示すようなバージョン(iii)に似ている。
【0076】
バージョン(v):図示されていないものの、単一部材からなるフレームであって、シェル/クッション上のフランジをリベット止めする。
【0077】
実施形態は、さらに、8個のバージョンをなすシェル/クッションを備えている。
【0078】
バージョンI:
図1,
図7,
図56〜
図66に示されているように、このシェル/クッションは、再使用型のものであり、フレームを受領し得るような単一の連続的なチャネルを有している。
【0079】
バージョンII:
図1,
図7,
図56〜
図66に示されているように、このシェル/クッションは、単一使用型のものであり、フレームを受領し得るような単一の連続的なチャネルを有している。
【0080】
バージョンIII:
図2〜
図6および
図47〜
図55に示されているように、このシェル/クッションは、再使用型のものであり、フレームを受領し得るような複数の個別のチャネルを有している。
【0081】
バージョンIV:
図2〜
図6および47〜
図55に示されているように、このシェル/クッションは、単一使用型のものであり、フレームを受領し得るような複数の個別のチャネルを有している。
【0082】
バージョンV:
図109〜
図117に示されているように、周縁回りにフランジが設けられているとともに、再使用型のものである。
【0083】
バージョンVI:
図109〜
図117に示されているように、周縁回りにフランジが設けられているとともに、単一使用型のものである。
【0084】
バージョンVII:図示されていないものの、開口の回りに複数の個別のフランジあるいはハウジングを有している点を除いては、
図109〜
図117のシェル/クッションと同様のものであり、再使用型のものである。
【0085】
バージョンVIII:図示されていないものの、開口の回りに複数の個別のフランジあるいはハウジングを有している点を除いては、
図109〜
図117のシェル/クッションと同様のものであり、単一使用型のものである。
【0086】
図1に示すように、マスクシステム1は、一般に、マスクアセンブリ10を具備している。マスクアセンブリ10は、シェル/クッション30と、フレーム40と、連結部材すなわちエルボー50と、保持リング60(
図1には示されていないものの、
図7に示されている)と、を備えている。容易に理解されるように、上述した様々な基本的構成部材の各種バージョンの様々な組合せは、多くのマスクシステム構成をもたらす。
【0087】
§2.ヘッドギア
ヘッドギア20は、
図1,
図12,
図67に示すように、3つの個別のストラップ部材20.1,20.2,20.3から構成される。これらストラップ部材は、白い非ラテックスゴムテープから形成されているとともに、互いに連結されることで、3点式のヘッドギアシステムを形成している。ヘッドギア20は、ストラップ20.1,20.2内のボタン穴20.4を介して、フレーム40に対して取り付けられる。
【0088】
以下の表1は、各ストラップ20.1,20.2,20.3の典型的な寸法を例示している。
【0090】
ボタン穴(3〜5mm)は、ストラップの長手方向の全体に沿って、幅方向中間位置に配置されている。隣接するボタン穴どうしの間の離間間隔は、およそ3.5〜6.5mmである。ストラップ20.1,20.2,20.3は、それぞれの幅が20mmであるとともに、70%のポリエステルおよび30%の非ラテックスエラストマーとから形成されていて、白色とされかつ生体適合性とされている。好ましい材料の弾性は、49±20ニュートン/メートル(N/m)である。これら寸法および材質は、例示に過ぎない。
【0091】
通常のヘッドギアは、マスクシステムの製造において、大部分のコストを占めることができる。したがって、このような格別に低コストの材料からヘッドギア20を製造することにより、ヘッドギアおよびマスクシステムの全体にとって、かなりのコスト削減を行うことができる。
【0092】
上述したヘッドギア20は、好ましくは、単一使用型として使用され、使用後には、廃棄される。しかしながら、ヘッドギアを再使用可能な態様として形成するために、ヘッドギアを、複数の構成部材から形成して、これら構成部材をボタン等によって連結することができる。これに代えて、再使用可能なヘッドギアを、単一部材から成型することができる。
【0093】
図67は、ヘッドギア20を示す平面図であり、
図12は、模擬的な頭に関して使用した状態で、ヘッドギア20を示している。
【0094】
§3.シェル/クッション
図1,
図7,
図11、および、
図56〜
図66は、シェル/クッション30を示している。このシェル/クッション30は、鼻受領キャビティ30.1を形成しているとともに、患者の顔面に対してシールを形成する。シェル/クッション30は、使用状態において患者の鼻を通過させる後方開口30.2と、連結部材すなわちエルボー50を取り付けるための前方開口30.3と、を有している。好ましい実施態様においては、シェル/クッション30は、単一の壁を有してなるものとされる。しかしながら、他の実施態様においては、シェル/クッション30は、MIRAGE(登録商標)という商標名のもので公知であるように、また、米国特許第6,112,746号明細書(この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる)に開示されているマスクと同様に、2つ以上の壁を有することができる。シェル/クッション30は、シール構造30.5と、実質的に一定の横断面を有した支持構造30.4と、を有している。シェル/クッション30は、例えばシリコーンまたは熱可塑性エラストマーといったような任意の適切な材料から成型することができる。
【0095】
シール構造30.5は、患者の顔面上においてシールを形成し得るよう構成された顔面接触サイド30.51を有している。顔面接触サイド30.51は、鼻ブリッジ領域30.6と、側方領域30.7と、唇領域30.8と、を備えている。図からわかるように、唇領域30.8は、この唇領域30.8を貫通している一連をなす4つのベントオリフィス30.9を有している。顔面接触サイド30.51は、 PAPILLION(登録商標)という商標名のもの(MAP GmbH社によって製造されている)において公知であるような、あるいは、MIRAGE(登録商標)という商標名のもの(ResMed Limited社によって製造されている)において公知であるような、マスクの顔面接触サイドと比較して、同様の形状を有している。
【0096】
シェル/クッション30サイズの範囲は、鼻の様々なサイズに適合し得るものとすることができる。例えば、1つの態様においては、シェル/クッションは、浅い鼻ブリッジ領域30.6を有することができる。
【0097】
シェル/クッション30は、前方フランジ34および後方フランジ36によって規定されたフレーム受領チャネル140を備えている。
図7,
図8,
図56〜
図61のシェル/クッション30は、連続的なすなわち分断されていないチャネルとしてのフレーム受領チャネル140の前方フランジ34を有している。前方フランジ34は、シェル/クッション30の周縁回りにおいて100%にわたって延在している。
【0098】
図56に示すように、後方フランジ36は、唇領域30.8および側方領域30.7において、少しだけ広いものとされている。両側方領域30.7上におけるこれら広幅部分には、長尺凹所30.75が設けられている。長尺凹所30.75は、後述するように、フレーム40あるいは140を位置決めして係合するための付加的構造を提供する。
【0099】
図2〜
図6,
図8,
図9,
図10、および、
図47〜
図55には、他のシェル/クッション130が示されている。シェル/クッション130は、シェル/クッション30と同様のものであり、同様の部材には、同じ符号が付されている。シェル/クッション130は、シェル/クッション30と比較して、シェル/クッションの周縁回りのすべてにわたって延在する連続的なすなわち分断されていないチャネル140に代えて、内部にフレーム40上の4つポイントを受領し得るよう個別の4つのポイントを形成するようにして第4チャネル140.4(
図48参照)と協働する個別のチャネル140.1,140.2,140.3が設けられている点において、相違している。各個別チャネル140.1,140.2,140.3,140.4は、連続的な後方フランジ36と、断続的な前方フランジ34と、の間に形成されている。後方フランジ36は、シェル/クッション130の周縁全体にわたってシェル/クッション130を囲んでいる。これにより、フレーム40あるいは140を押圧し得るようなフランジを提供することができる。より低い側方領域30.7および唇領域30.8においては、後方フランジ36の一部は、鼻ブリッジ領域30.6よりも厚いものとされている。これにより、鼻ブリッジ領域30.6に『ナイフエッジ』が形成されてしまうことを防止することができる。それどころか、構造に対して、シェル/クッション30の2つのより低い頂点を形成することができる。
【0100】
シェル/クッション130は、一連をなすベントあるいはベントオリフィス30.9を備えている。ベントオリフィスは、好ましい態様においては、4つのオリフィスを備えている。ベントオリフィス30.9は、シェル/クッション30上において一体的に形成されたより厚い壁部分30.10を貫通して形成されている。壁部分30.10は、
図3に示されている。壁部分30.10は、2つの機能を有している。第1の機能は、前方フランジを形成することである。この前方フランジは、唇領域30.8内において後方フランジ36と協働することにより、より低いチャネル140.4を形成する。第2の機能は、壁部分30.10により、ベントオリフィスを、エルボーに関しての所定角度に位置決めし得るということである。しかしながら、ベントオリフィス30.9は、(
図3に示すような向きに関して)鉛直方向から例えば10°〜15°といったような、よりフラットな角度で構成することができる。これにより、患者がマスククシステム1を着用した状態で横になったときに、ベントオリフィス30.9は、水平方向からおよそ10°〜15°に位置合わせされる。
【0101】
図4,
図8,
図9,
図48,
図49,
図56,
図57に示すように、フレーム受領チャネル140の後方フランジ36は、他の領域とは異なる厚さを有している。この特徴点は、シェル/クッション30および130の双方において共通である。しかしながら、便宜的に、シェル/クッション30のみに関しての上記チャネルについて説明する。チャネルは、鼻ブリッジ領域30.6においては、より低い側方領域30.7および唇領域30.8と比較して、より薄い。後方フランジ36は、鼻ブリッジ領域30.6においては、1〜3mmという厚さとされ、好ましくは、2mmという厚さとされる。しかしながら、より低い側方領域30.7および唇領域30.8においては、約5mmという厚さとすることができる。これは、鼻ブリッジ領域30.6においてシェル/クッション30のシール構造30.5に対して十分な支持を提供するものの、患者にとって不快であるような『ナイフエッジ』を生成することはない。『ナイフエッジ』は、シェル/クッション30のシール構造30.5が崩壊した場合や、シェル/クッション30のより硬くあるいはより厚い部分が鼻ブリッジ領域30.6で使用された場合に、形成される可能性がある。『ナイフエッジ』は、長期にわたって使用する際に患者の顔面上の床擦れを形成し得ることのために、望ましくない。
図63および64は、より厚い後方フランジ領域36を備えた
図62の一部を示している。
図65および
図66の同様の後方フランジ部分36は、より薄い後方フランジ領域を備えたものとして示されている。
【0102】
したがって、シェル/クッション30および130からわかるように、シェル/クッションは、複数の個別チャネル、あるいは、1つの連続チャネルを、備えることができる。1つまたは複数のチャネルは、それらの長さを合計したときに、シェル/クッション30の場合にはシェル/クッションの周縁長さの75%〜100%という範囲とすることができ、また、フレーム40のシェル/クッション130の場合には20%〜40%という範囲とすることができる。周縁まわりの75%〜100%にわたって延在する前方フランジの利点は、不注意に外れてしまう可能性が少ないことである。
図56および
図47から、シェル/クッション30および130が、2つのより低い頂点の周囲に延在する後方フランジ36の広幅部分を有していることがわかる。これにより、シェル/クッション30および130の周縁のおよそ60%を占めることができる。鼻ブリッジ領域において所望の構造的機能およびフレキシブルさを得るために、このより広幅フランジは、それの低い領域まわりを中心として、シェル/クッション30および130の周縁のおよそ40%〜80%を占めることができる。
【0103】
図52は、シェル/クッション130の一領域30.31に関する断面を示している。領域30.31は、前方開口30.3に関連している部分であって、保持リング60を受領することとなる。領域30.31は、チャネル524を有している。このチャネル524の内部に、保持リング60の後方フランジが受領されることとなる。開口の患者側の端部は、比較的薄くかつフレキシブルな環状フラップ526を有している。この環状フラップ526は、開口30.3の内径を低減させる。フラップ526の目的は、[§7.様々な構成部材の組立]という章において後述するように、連結部材すなわちエルボー50に対してシールを形成することである。
【0104】
図52に示すような部分522は、比較的薄い壁を有した部分である。このような薄い壁の部分は、使い捨て可能なマスクの製造において、特に有効である。薄い壁の部分522は、よって、例えばエルボー50を洗浄するという目的で連結部材すなわちエルボー50を取り外そうとしたときには、裂け得るように構成することができる。この見地は、安全性という特徴点をもたらすものであり、シェル/クッション130を有した使い捨て型のマスクの再使用を防止することができる。これにより、相互感染の傾向を低減することができる。
【0105】
これに代えて、シェル/クッション130が再使用可能型のものである場合には、部分522は、分解時に部分522が引き裂かれてしまうことを防止し得るよう、より厚い寸法を有したものとされる。シェル/クッション30は、再使用可能であるという特性のために、
図52の場合と同様の横断面を有することとなり、シェル/クッション130よりも厚いものとされた部分522を有することとなる。
【0106】
図68には、修正されたシェル/クッション230が概略的に示されている。このシェル/クッション230においては、連結部材すなわちエルボー50がシェル/クッション230に対して連結される開口30.3に対して隣接したところに、小さなベローズ230.1が設けられている(あるいは、これに代えて、フレキシブルなネックを設けることもできる)。このベローズ230.1は、フレキシブルな部分を提供するものであって、連結部材すなわちエルボー50と、シェル/クッション230と、の間の移動を許容する。このようなフレキシブルさの提供により、エルボーとシェル/クッションとの間において伝達されようとするすべてのトルクを分断することができる。
【0107】
図109〜
図117,
図122,
図123には、他のシェル/クッション330が示されている。このシェル/クッション330は、上述したシェル/クッション30および130と同様のものであって、同様の部材には同じ符号が付されている。シェル/クッション330は、シェル/クッション30および130と比較して、フレーム40を受領し得るよう周縁回りに設けられたチャネル140あるいは一連の個別チャネル140.1,140.2,140.3,140.4に代えて、1つの連続的な周縁フラップすなわちフランジ330.1が設けられている点において、相違している。フランジ330.1は、このフランジ330.1を挟み付けることとなる2つの部材からなるフレーム(
図69〜
図88に関する以下の記述を参照されたい)と同じ形状を有している。
【0108】
フランジ330.1は、貫通して形成された7つの開口330.2および330.3を備えている。4つの開口330.2は、約5.75mmという直径であり、3つの開口330.3は、約3mmという直径である。開口330.2および330.3は、後述のように、2つの部材からなるフレームの一方の部材上に形成されたリベットを貫通させて受領する。口330.2を通過するリベットが、シャンク部よりも直径の大きな逆刺付きのヘッドを有していることにより、開口330.2は、この大きな直径の逆棘を受領し得るよう、より大きな直径のものである。
【0109】
図109〜
図117は、シェル/クッション330の周縁まわりにおける連続的なフランジ330.1を示しているけれども、開口330.2および330.3の周囲に一連の7つの個別フランジあるいは個別ハウジングが設けられている場合であっても、同様に満足な結果を得ることが予想される。その場合には、シェル/クッションに対する7個の把持ポイントあるいは接触ポイントにおいてフランジを挟み付けることとなるけれども、7個のポイントであれば、使用時にシェル/クッションの形状を維持するのに十分であると予想される。
【0110】
図114からわかるように、シェル/クッション330の外面は、患者の顔面に対してシールをもたらすものであるので、ショットブラスト仕上げが施されている。このようなショットブラスト仕上げは、患者に対して、より快適な感触を提供することとなる。
図114の断面図は、シェル/クッション330の中央領域を通っての断面を示している。
図114により、フランジ330の背面側に位置した壁330.11によって表された領域においては、壁330.11の厚さが、比較的厚く維持されていて、その後、後方向きにテーパー形状となっていることがわかる。これとは対照的に、
図114Aに示すように、鼻ブリッジ領域30.6においては、横断面が異なるものとされており、壁330.11(比較のために、仮想線で示されている)は、壁330.12を形成するように薄肉化されている。壁330.12は、比較的薄いものであり、実質的に一定の横断面部分を形成している。鼻ブリッジ領域30.6におけるこのような壁厚さの減少は、使用時に患者の鼻ブリッジ領域30.6において『ナイフエッジ』が形成される可能性を低減することに寄与する。
【0111】
図109,
図110,
図112,
図113においては、シェル/クッション330が、製造タブすなわち離型タブ330.13を有しているものとして図示されている。離型タブ330.13は、ロボットによる離型を可能とし、シェル/クッション330の他の部分を把持する必要なく、シェル/クッション330を安全にかつ確実に把持することを可能とする。これにより、成型プロセスに起因するようなすべての余剰材料部分をロボットによってカットする工程において、シェル/クッション330の他の部分に対して損傷を与えてしまう可能性を制限することができる。
【0112】
シェル/クッション330は、特に、病院における1回限りの使用に好適である。
図115からわかるように、シェル/クッション330は、厚さがおよそ0.33〜0.75mmといったような薄い壁部分を有している。上述したように、このことは、脆弱ラインをもたらし、凹所524から保持リング60を取り外そうと試みた際にはシェル/クッションが裂けることを可能にする。裂けるという傾向は、再使用のためのシェル/クッション330をクリーニングする可能性をなくさせ、これにより、再使用を防止する。
【0113】
使用される材料を最適のレベルに維持しつつ付加的な剛直さを提供するために、シェル/クッション330上には、一連をなす径方向に延在する4つの補強リブ330.4が設けられる。これら補強リブ330.4は、領域30.31および開口30.3を囲んでいる全体的に円形の補強リング330.6から延出されている。補強リブ330.4および補強リング330.6は、シェル/クッション330に対して一体的に形成されているものの、領域330.5よりも厚い材料のものとされている。補強リブ330.4および補強リング330.6の厚さは、およそ2〜3mmとされ、領域330.5の厚さは、およそ1〜1.5mmとされる。この構成により、より良好な外観特性が得られるとともに、要求された場合にさらにより大きな構造的支持を得ることができ、しかも、シール部分において、よりソフトな感触を得ることができる。
【0114】
§4.フレーム
図1〜
図9,
図12〜
図18に示すように、フレーム40は、シェル/クッション30および130上に取り付けられ得るような形状に構成されているとともに、ヘッドギア20のための開口40.1,40.2,40.3を有したアンカーポイント132を提供する。フレーム40は、3つのアンカーポイント132を提供するものであり、
図13〜
図20に詳細に示されている。
【0115】
フレーム40は、全体的に三角形という形状のものであり、丸められた複数の頂点を有しており、ベースを有している。ベースは、幅がおよそ90mmであり、高さがおよそ84mmである。他の例示としての寸法は、
図13〜
図20の中に示されている。
【0116】
フレーム40は、任意の適切な配置とされた複数のアンカーポイント132を有するものとして、形成することができる。これにより、個々の使用に関する特別の要求に適するように、様々な取り付け態様を提供することができる。この点に関し、複数のアンカーポイント132の配置は、公開されたPCT特許である国際公開第02/45784号パンフレットに記載された態様で変更することができる。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。このように、マスクフレーム40が比較的安価に製造されることのために、マスクシステム1の適合性が増強される。
【0117】
各アンカーポイント132は、開口40.1,40.2,40.3を囲むフレーム部材132.2から形成される。開口40.1,40.2,40.3により、ストラップ20.1,20.2の端部を通すことができる。
【0118】
フレーム部材132.2の中央部分上には、マッシュルーム型ヘッド付き突起132.1が設けられている。この突起132.1は、ストラップ20.1,20.2の一方の端部上において、ボタン穴20.4を通すことができる。代替可能な実施形態においては、突起は、例えばフックといったような他の保持方法によって、代替することができる。
【0119】
所望によっては、使用者は、開口40.1,40.2,40.3を通す必要がなく、これに代えて、マッシュルーム型ヘッド付きの突起132.1上に直接的に取り付ける。しかしながら、ストラップ20.1,20.2の端部を各開口40.1,40.2,40.3を通した場合には、ストラップ20.1,20.2の端部のすべての移動がマッシュルーム型ヘッド付きの突起132.1を超えてボタン穴20.4を引こうとする傾向がないことのために、使用時に不注意に連結が解除されてしまうというリスクが低減する。
【0120】
図18は、
図14の横断面図内におけるアンカーポイント132のマッシュルーム型ヘッド付き突起132.1を拡大して示す図である。使用時には、患者は、適切な長さでヘッドギアストラップをセットし得るよう、ヘッドギア20の適切なボタン穴20.4を選択し、開口40.1,40.2,40.3を通過させた後に、フレーム40上のマッシュルーム型ヘッド付き突起132.1を挿し通す。
【0121】
フレーム40は、フレーム40のベースの近くにおいて、下側の2つのアンカーポイント132の近傍のところに、後方突出リブ40.7を有している。これらリブ40.7は、シェル/クッション30および130上の長尺凹所30.75内へと受領され得るようなサイズおよび形状とされる。
【0122】
フレーム40は、
図14および
図15に示されているように、さらに、患者の顔から離間する向きに延在する凹所40.4を提供する。この凹所40.4は、患者の鼻ブリッジ上に圧力ポイントを形成することなく、シェル/クッション30あるいは130の鼻ブリッジ部分のためのスペースを提供する。
【0123】
図10,
図11、
図21〜
図25には、他のフレーム140が示されている。このフレーム140は、
図14および
図15のフレーム40と同様のものである。同様の部材には同じ符号が付されている。フレーム40とフレーム140との間の相違点は、フレーム140が最大で5つのアンカーポイント132を提供するということである。
【0124】
上側のアンカーポイント132は、3つの側辺フレーム部材132.2を備えている。各側辺フレーム部材132.2上には、略中央位置に、マッシュルーム型ヘッド付き突起132.1が配置されている。
【0125】
よって、フレーム140は、ストラップの3つの端部20.1,20.2を備えているような上記ヘッドギア20と一緒に使用することができる。あるいは、フレーム140は、5つのストラップを備えているような、ヘッドギア(図示せず)の修正態様と一緒に使用することができる。
【0126】
代替例(図示せず)においては、フレーム140は、さらに、4つのアンカーポイント132を提供することができ、4つのストラップを備えているような、ヘッドギア(図示せず)の修正態様と一緒に使用することができる。
【0127】
好ましくは、上側のアンカーポイント132と一緒に使用することができる3本のストラップの各々は、開口40.2を通される。これにより、3つの側辺が直線状側辺とされているという性質が、各マッシュルーム型ヘッド付き突起132.1と相互作用することとなり、これにより、ストラップの端部を、より堅固に固定することができる。
【0128】
図69〜
図78には、フレームの第1部材240が示されている。この第1部材240は、
図109〜
図117,
図122,
図123のシェル/クッション330と一緒に使用するためのものである。第1部材240は、組み立てられた際には、フレームのうちの、外側を向く部分となる。
【0129】
図79〜
図88には、フレームの第2部材340が示されている。この第2部材340は、
図109〜
図117,
図122,
図123のシェル/クッション330と一緒に使用するためのものである。第2部材340は、組み立てられた際には、フレームのうちの、内側を向く部分となる。
【0130】
部材240,340は、フレーム40および140に対して全体的に同様の形状のものであり、同様の部材には同じ符号が付されている。
【0131】
第1部材240は、4つの大きな直径の開口240.1によって、第2部材340を内部に受領して固定する。開口240.1は、
図72および
図76において最も明瞭に示すように、後方へと延出された円筒壁240.21によって形成されたテーパー状導入路240.2を有している。代替可能な実施形態においては、1個〜5個という大きな直径の開口240.1を有することができる。テーパー状導入路240.2は、狭められた開口240.4と、この狭められた開口240.4とは反対側に位置した大径凹所240.3と、を有している。大径凹所240.3は、そのベース部分に、段部240.5を有している。
【0132】
開口240.1は、第2部材340上のリベット340.1を受領する。
図82,
図83,
図85,
図86からわかるように、リベット340.1は、テーパー状シャンク340.2と、テーパー状マッシュルーム型ヘッド340.3と、を有している。テーパー状マッシュルーム型ヘッド340.3の下側には、段部340.6が形成されている。シャンク340.2のベースを囲んで、ハウジング340.4が設けられている。ハウジング340.4は、シャンク340.2のベース部分とハウジング340.4との間に、環状凹所340.5を有している。マッシュルーム型ヘッド340.3のテーパー状端部は、ヘッド340.3が、テーパー状導入路240.2および開口240.4の中へと押し込んで通過させることを可能としており、さらに、通過後には、段部340.6,240.3が互いに隣接することによって、開口240.1からのリベット340.1の引き抜きを防止している。
【0133】
第1部材240は、3つの止まり穴240.6を備えている。これら止まり穴240.6内には、それぞれ、直線状突起340.7が受領される。代替可能な実施形態においては、止まり穴の数および直線状突起の数は、3つ以外とすることができる。例えば、1〜7個とすることができる。
【0134】
図126には、フレーム440が示されている。このフレーム440は、
図69〜
図78のフレーム第1部材240と同様のものである。したがって、同様の部材には、同じ符号が付されている。フレーム440は、フレーム240と比較して、フレーム440が、一緒に使用されることとなるフレーム第2部材を必要としない点で、相違している。代わりに、フレーム440は、各開口240.1に隣接して配置されたリベット440.1を有している。リベット440.1は、便宜上1つのものだけが図示されており、フレーム440に対してリベット440.1を連結する締め綱440.3を有している。当接表面440.4が設けられている。この当接表面440.4から、リベットシャフト440.5が延出されている。リベットシャフト440.5は、マッシュルーム型ヘッド440.6で終端している。リベット440.1は、フレーム440と一体的に成型し得る締め綱440.3を有するものであって、容易な組立手段を提供する。
【0135】
リベット440.1を組み立てるに際しては、フレーム440を、シェル/クッション330のフランジ330.1に隣接して配置し、その後、リベット440.1を、フランジ330.1の背面に当接する位置にまで移動させて押し込み、これにより、当接表面440.4を、フレーム440の背面に対して、フランジ330.1を挟み付けるあるいは押圧する。
【0136】
例示するならば、フレーム440の底部の近傍の開口240.1は、関連する様々なリベット構造を有している。リベット440.2は、フレーム440から離間する向きに延在する比較的薄いパネル440.7を有している。第2パネル440.8が、パネル440.7に対して、ヒンジ440.9によってヒンジ連結されている。パネル440.8から離間する向きに、リベットシャフト440.5が延出されている。リベットシャフト440.5は、リベット440.1の場合と同じく、マッシュルーム型ヘッド440.6で終端している。
【0137】
ヒンジ440.9とフレーム440との間の距離(パネル440.7の高さ)は、フランジ330.1に対して緩く適合するようなサイズとすることも、また、緊密に適合するようなサイズとすることも、できる。あるいは、所望によっては、フランジ330.1をできるだけ押圧し得るようなサイズとすることも、できる。フランジ330.1を、開口240.1に対して隣接するように位置合わせし、さらに、パネル440.8を上方へと折り重ねることにより、リベットのヘッド440.6を、開口240.1内へと押し込み得るとともに、リベット440.2によって、フランジ330.1を、フレーム440に対しての所定位置に保持することができる。
【0138】
フレーム40、フレーム部材240および340、ならびに、フレーム440は、例えばポリカーボネートといったような任意の適切な材料から成型することができる。
【0139】
§5.連結部材すなわちエルボー
図1,
図7,
図9,
図11,
図12,
図62〜
図66に示されているように、特に、
図30〜
図37に示されているように、エルボー50は、先端部52を備えている。先端部52は、エア供給導管(図示せず)に対して係合し得るよう構成されている。エルボー50は、回り継手またはユニオン250.2(
図1参照)を備えることもまた備えないこともできる。ユニオン250.2は、
図1に図示されているものの、付加的なものである。エルボー50に対してのユニオン52の連結に際し、先端部52の内部円筒状表面は、環状グルーブ250.1(
図11,
図32,
図35A,
図35B、参照)を備えている。環状グルーブ250.1は、回り継手250.2上の環状リップ250.3を受領する。
【0140】
エルボー50の基端部50.1は、シェル/クッション30,130,230,330と、シェル/クッションの開口30.3内に配置された保持リング60と、の双方に対して係合し得るよう構成される。周縁回りにおいて互いに等間隔に配置されたあるいは径方向反対側に配置された2つのタング50.3は、基端部50.1の近傍において、エルボー50のボディから延出されている。各タング50.3は、タング50.3の内面50.4上に配置されたアーチ形アンダーカット50.2を有している。これらアンダーカット50.2は、保持リング60に対して係合する。タング(あるいは、フィンガー)50.3は、エルボー50上において径方向反対側に配置されているとともに、エルボー50の基端部50.1のところにおいてエルボー50の両サイドに配置されている。
【0141】
タング50.3の端部には、フィンガーグリップ54が形成されている。フィンガーグリップ54により、使用者は、タング50.3を、基端部50.1に対して径方向外向きに引っ張ることができ、これにより、アンダーカット50.2が、保持リング60のリムを超えることができる。また、これにより、エルボー50を、マスクアセンブリ10から取り外すことができる。これにより、クリーニングを行うことができる。フィンガーグリップの近傍には、2つのアンダーカットが、配置されている。これら2つのアンダーカットは、保持リングに対して着脱可能に係合することができる。
【0142】
フィンガーグリップ54の内表面は、テーパー状導入路50.7を備えている。これにより、基端部50.1が保持リングのリムに対して接触するようにして押し込まれた際には、フィンガーグリップ54は、したがって、アンダーカット50.2は、保持リング60のリムから離間する向きに押し広げられ、これにより、アンダーカットを、リムを超えて押し込むことができる。これにより、径方向内向きの付勢力を得ることができる。これにより、保持リング60からの基端部50.1の脱離を防止することができる。
【0143】
エルボー50の典型的な形状および寸法が、
図30〜
図37に示されている。
【0144】
図10,
図38〜
図46には、他のエルボー150が示されている。このエルボー150は、上記エルボー50と同様のものである。同様の部材には同じ符号が付されている。しかしながら、エルボー150は、エルボー50と比較して、エルボー150が、エルボー50が備えているような移動可能タング50.3およびフィンガーグリップ54を備えていない点において、相違している。代わりに、エルボー150は、基端部50.1を囲むスカート50.6上において内周エッジ50.5回りに等間隔で配置された互いに個別の6つのアンダーカット50.2を備えている。このようにして、エルボー150は、シェル/クッション30,130,230,330から取り外されないように構成されている。したがって、この構成は、使い捨て型のマスクにとって好適である。
【0145】
アンダーカット50.2は、スカート50.6を貫通して開口50.11に隣接して形成されている。開口50.11は、アンダーカット50.2を形成する鋳型部分によって形成される。これにより、溶融したプラスチック樹脂がそのスペースを占領することが、防止される。所望によっては、より多数のあるいはより少数の個別のアンダーカット50.2を形成することができる。
【0146】
スカート50.6の内表面は、テーパー状導入路50.7を備えている。これにより、基端部50.1が保持リング60のリムに対して接触するようにして押し込まれた際には、スカート50.6は、したがって、アンダーカット50.2は、保持リング60のリムから離間する向きに押し広げられ、これにより、アンダーカット50.2を、リムを超えて押し込むことができる。スカート50.6の構成は、径方向内向きの付勢力をもたらし、これにより、リムを超えた後のアンダーカット50.2は、再度係合することとなり、これにより、保持リング60からの基端部50.1の脱離を防止することができる。
【0147】
エルボーは、例えばポリカーボネートまたはポリプロピレンといったような任意の適切な材料から成型することができる。
【0148】
エルボー50および150の各々は、マスクのシェル/クッションの内部へのアクセスを行い得るよう、例えばルアーポートといったようなポート56を備えている。例えば、圧力センサーを設けることができる。ポリプロピレン製キャップまたはシリコーン製キャップを使用することにより、非使用時にポートをカバーしてシールすることができる。
【0149】
エルボー50および150は、マスクアセンブリ10上に取り付けられた時に、自由に回転し得るようなサイズとすることができる。しかしながら、エルボーが自由に回転できないことは望ましい。したがって、マスクアセンブリ10上に取り付けられた時に、回転を許容しつつも、構成要素どうしの間の内部係合を、ブレーキシステムとして提供する。このことは、調整可能ではあるけれども、設定された位置に留まる傾向があることを意味する。これは、図示されたサイズを組み合わせることによって、および、エルボー50の1つの材料と、シェル/クッション上の他の材料と、を係合させることによって、達成される。これは、エルボー50上のアンダーカット50.2の端部と、シェル/クッション30,130,230,330と、の間のわずかな干渉性適合によって達成することができる。
【0150】
好ましくは、材料および構成部材の配置の適切な組合せは、使用者が手によって任意の所望位置へとエルボーを容易に回転させて位置決めし得るよう、なおかつ、位置決め後には、マスクがガス導管に対して取り付けられる際に印加される力を受けたとしてもまた患者の睡眠時に使用されている際に力を受けたとしても、エルボー50あるいは150が移動してしまうことがないように、選択される。これにより、使用者は、エルボー50あるいは150を位置決めすることができ、これにより、個人的な好みに応じた態様でもってマスクおよび顔に対してのガス導管の接続を調節することができる。
【0151】
エルボー50,150とフレーム40とは、直接的には連結されない。その理由は、これらの接触が、シェル/クッション30,130,230,330を介して行われるからである。シェル/クッションがフレキシブルな材料から構成されていることにより、旋回エルボーに対して取り付けられたエア供給導管の移動は、シェル/クッションのシールを直接的に妨害することはない。このようにして、エア供給導管に基づく流体抵抗の分離を、達成することができる。
【0152】
図89〜
図98には、連結部材すなわちエルボー250が示されている。このエルボー250は、エルボー50と同様のものである。同様の部材には同じ符号が付されている。エルボー250は、2つの顕著な特徴によって、エルボー50と相違している。第1は、先端部52を介してエアを供給し得るよう、導管とエルボーとが直接的に連結されていることである。エルボー250は、先端部52にグルーブ250.1を有している。これにより、先端部において、180°のユニオン250.2(
図122におけるユニオン250.2を参照)を受領することができる。その際、ユニオン250.2は、環状グルーブ250.1内に受領されているユニオン250.2上の環状リップ250.3によって、回転可能に連結される。これは、エアを供給する導管と、エルボー250と、の間において、旋回可能な連結をもたらす。
【0153】
違いの第2の特徴は、エルボー250が、
図91の横断面図において最も明瞭に示されているように、ベント壁250.4を有していることである。ベント壁250.4は、エルボー250からエア流を導いている通路壁250.5から離間する向きに延在している。
【0154】
ベント壁250.4内には、一連をなす4つのベントオリフィス250.6が形成されている。ベントオリフィス250.6は、
図95の横断面図において、より詳細に示されている。オリフィス250.6は、エルボー250からのエア流の流通方向に対して角度を有している。この角度は、およそ35°とされる。あるいは、
図90に示されているように、55°とされる。
【0155】
ベント壁250.4から離間する向きに、発散ハウジング250.7が延出されている。発散性であることにより、ベントオリフィス250.6を通過するすべての吐出ガスは、容易に分散することとなる。
【0156】
図99〜
図108,
図122,
図123には、連結部材すなわちエルボー350が示されている。このエルボー350は、エルボー150と同様のものであり、同様の部材には同じ符号が付されている。エルボー350も、また、エルボー50とエルボー250とに関して上述したのと同じ第1および第2の相違点を有している。したがって、同様の部材には同じ符号が付されている。
【0157】
エルボー350は、主に単一使用型のまた病院使用のためのマスクアセンブリを形成するために使用されるものであって、ルアーポート56を向いて配置されたサイドを備えている。ルアーポート56が取り付けられたサイドは、観測の目的のためにチューブが接続されるという状況において、特に有効である。このチューブは、エルボー350のルアーポート56上に取り付けられるものであることによって、回転自由なものとされた場合には、供給導管に対しての観測チューブの相対的捻れが一切存在しないことを意味する。これは、ルアーポート56がシェル/クッション上に取り付けられている場合には、生じ得ないことである。
【0158】
連結部材すなわちエルボー250,350は、先端部52のところにおける入口と基端部50.1のところにおける出口との間の角度が90°である例が例示されているだけであるけれども、連結部材を、先端部52のところにおける入口と基端部50.1のところにおける出口との間の角度を任意の適切な角度として、ベント壁250.4やベントオリフィス250.6や発散性ハウジング250.7を備えたものとして、構成し得ることは、容易に理解されるであろう。この角度は、180°とすることができる。これにより、インライン式の連結部材あるいはユニオン式の連結部材を形成することができる。
【0159】
§6.保持リング
マスクアセンブリ10と一緒に使用するための保持リング60は、
図7,
図8,
図9,
図11に示されており、
図26〜
図29において、より詳細に示されている。リング60は、例えばポリカーボネートといったような任意の適切な材料から形成することができる。
【0160】
リング60は、およそ33mmという外径と、9mmという厚さと、を有している。他の例示をなす寸法は、
図27に示されている。
図8および
図9は、使用中のマスクアセンブリ内において保持リングがどのように配置されているかを示している。
【0161】
図8および
図9の断面図に示すように、および、
図26〜
図29に示すように、保持リング60は、シリンダ62と、環状前方フランジ64と、後方フランジ66と、両フランジ64,66間に形成された環状グルーブ溝67と、を備えている。後方フランジ66は、シェル/クッション30,130,230,330の前方開口30.3に対して隣接した相補形状チャネル524内に挿入されて保持され得るように、構成されている。
【0162】
前方フランジ64は、グルーブ67の前方壁を形成する正方形背面65を提供する。さらに、前方フランジ64のリム68は、傾斜しているあるいはテーパー形状とされている。これにより、エルボー50のテーパー状導入路に入る際には、アンダーカット50.2に力を印加することができ、アンダーカット50.2を通過させることができる。
【0163】
後方フランジ66が対称な形状であること、なおかつ、前方フランジ64が対称形状ではないことに、注意されたい。さらに、後方フランジ66は、シリンダ62の後端部からセットバックされている。これにより、円筒状部分69が、後方フランジ66の背面から離間する向きに軸方向後方側へと突出している。
【0164】
図118〜
図123には、他の態様をなす保持リング160が示されている。この保持リング160は、保持リング60と同様のものであり、同様の部材には同じ符号が付されている。リング160は、リング60と比較して、対称な構成とされておりこのためどちら向きにでも挿入され得る点において、相違している。前方フランジと後方フランジとは、共に符号64によって示されており、互いに鏡像関係にあり、さらに、リング60の前方フランジ64と同様の形状を有している。つまり、双方のフランジが、傾斜したあるいはテーパー形状とされたリム68を備えている。リング160が、例えばリング60において円筒状部分69として設けられているような軸方向に延在する円筒状部分を備えていないことに、注意されたい。
【0165】
図120の断面図からわかるように、リング160を貫通する開口は、収束形状壁160.1および発散形状壁160.2を有している。これら壁は、20°という角度でもって、傾斜しているあるいはテーパー形状とされている。これにより、リング160の成型を補助することができ、さらに、エルボー50,250をリング160から取り外す際に、エルボー50,250の基端部50.1が引っかかることを防止することができる。
【0166】
リング160のフランジ64を受領し得るようシェル/クッション上に形成されたグルーブ524の形状は、好ましくは、相補的な形状とされる。これにより、リング160を支持することができる。
【0167】
§7.様々な構成部材の組立
上記[§1.序]において記載されたマスクシステムのバージョン1の組立につき、
図7,
図8,
図9を参照して説明する。
【0168】
フレーム40を、シェル/クッション30の前方側からシェル/クッション30上へと位置決めしつつ押し込んで挿入し、これにより、シェル/クッション30上のチャネル140に対して係合させる。保持リング60は、シェル/クッション30上のチャネル250に対して係合し得るよう構成されている。このプロセスは、第1実施形態の場合と同様である。
【0169】
図8および
図9におけるマスクアセンブリ10の断面図には、エルボー50と、保持リング60と、シェル/クッション30と、の間の連結が示されている。保持リング60の後方フランジ66は、シェル/クッション30の前方開口30.3に隣接したチャネル524内に挿入され保持され得るよう構成されている。
【0170】
エルボー50のアンダーカット50.2は、前方フランジ64の背面65に対して係合し得るよう構成されている。これにより、エルボー50を保持することができる。
【0171】
基端部50.1が保持リング60を通過したときには、シェル/クッション30のフランジまたはフラップ526と、エルボー50の基端部32と、間に、シールが形成される。このようにして、密封的なシールが形成され、なおかつ、このシールは、シェル/クッション30に対してのエルボー50の回転を可能としている。なぜなら、フランジまたはフラップ526が、環状的に、エルボーの基端部上にわたって延在しているからである。これにより、シェル/クッションとエルボーとの間に、適合したシールを形成することができる。
【0172】
上記[§1.序]において記載されたマスクシステムのバージョン7の組立につき、
図122〜
図125を参照して説明する。
【0173】
バージョン7の組立は、上記バージョン1の組立と非常に類似している。しかしながら、単一部材からなるフレーム40の代わりに、2つの部材からなるフレーム、すなわち、第1部材240と第2部材340とからなるフレーム、が使用されている点において、および、チャネル140を備えたシェル/クッション30の代わりに、周縁フランジ330.1を備えたシェル/クッション330が使用されている点において、相違している。(a)シェル/クッションに対するフレームの組立、および、(b)シェル/クッションに対する保持リングおよびエルボーの組立、については、任意の順序で行うことができる。
【0174】
フレームを組み立てる際には、リベット340.1および突起340.7を、それぞれ対応する穴330.3,330.2に対して位置合わせする。そして、シェル/クッション330の後方側から、これらリベットおよび突起を、前方向きに、それぞれ対応する穴内へと挿入する。リベットが穴330.2を通して受領された後には、また、フランジ330.1の残部が、第2部材340の前面に隣接して着座した後には、第1部材240が位置合わせされ、これにより、開口240.1がリベット340.1に対して位置合わせされる。これにより、2つの部材240,340上に圧縮力がもたらされることによって、リベット340.1のテーパー形状マッシュルーム型ヘッドが、開口240.1の狭められた開口を通過する。リベット340.1および開口240.1の各サイズを適切なものとすることにより、フランジ330.1を圧縮することができる。これにより、第1部材240および第2部材340は、リベットのマッシュルーム型ヘッドが開口240.1内へとロックされた後には、これら両部材の間に、フランジ330.1を圧縮状態で維持することができる。これに代えて、
図124に示すように、両部材240,340間のギャップを、全く圧縮することなくフランジ330.1を受領し得るようなサイズとすることができる。
【0175】
リベット340.1が開口240.1内においてロックされたときには、突起340.7が、穴330.3を通過する。3つの突起340.7は、両部材240,340によるクランプによって形成された介装状態からフランジ330.1が脱離することを防止する。
【0176】
シェル/クッション330の開口30.3上に対しての、保持リング160およびエルボー350の組立は、バージョン1に関して上述したものと同じ手順とされる。
図125に示すように、フランジ526は、エルボー350が保持リング160およびシェル/クッション330に対して組み立てられた後には、エルボー350の基端部32のリム32.1上に重なる(
図125の右半分において図示されている)、あるいは、
図125の左半分において図示されているように、フランジ526は、リム32.1に対して隣接した円筒状外表面32.2上において、周縁方向にシールを形成することができる。
【0177】
上述したものは、裂けポイントを形成し得るようシェル/クッション30,130,230,330が薄肉部分を有しているような単一使用型マスクアセンブリの特徴である。単一使用型バージョンは、そのような脆弱ラインすなわち裂けポイントを設けることなく、製造することができる。そのような単一使用型バージョンにおいては、上記エルボー150あるいは350といったような単一使用型エルボーが使用される場合には、シェル/クッション30,130,230,330(薄肉部分や裂けポイントを一切備えていない)を、組み立てられた保持リング60あるいは160ならびにエルボー150あるいは350から取り外すことができるけれども、エルボー150あるいは350は、保持リング60あるいは160を捕獲した状態のままである。このように、そのようなマスクアセンブリにおいては、エルボー150あるいは350から保持リング60あるいは160を取り外し得ないことのために、再組立を行うことができない。
【0178】
本発明につき、好ましい実施形態を参照して上述したけれども、これら実施形態が、本発明の原理を応用するに際しての単なる例示に過ぎないことは、理解されるであろう。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変形を行ったり、他の構成を採用したり、することができる。
【0179】
上記において例示し説明した本発明においては、上述した特徴点や上記説明から自明な特徴点を任意に組み合わせたものを包含し得ることは、理解されるであろう。これらすべての組合せは、本発明の様々な代替可能な見地を構成する。