特許第6469745号(P6469745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469745
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20190204BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   H04N5/232 990
   H04N7/18 D
   H04N7/18 G
   H04N5/232 960
   H04N7/18 E
【請求項の数】6
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-57489(P2017-57489)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160822(P2018-160822A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 忠彦
【審査官】 ▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−103901(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/157327(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/179335(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動物体を検知するセンサと、
パン角度及びチルト角度が制御可能であり、前記センサの検知範囲を含む監視空間を撮影する撮影装置と、
を備え、
前記移動物体を移動させることによって前記センサによる前記移動物体の検知状態が変化したタイミング、又は、前記センサによって前記移動物体が検知され続けているタイミングで、前記撮影装置によって前記移動物体が画角内の所定位置に撮影される状態における前記撮影装置のパン角度及びチルト角度を当該センサに対応付けて複数回取得し、
前記センサに対応付けられている複数の前記パン角度の中心角度及び複数の前記チルト角度の中心角度を当該センサの検知範囲を撮像するための前記撮影装置の撮影パラメータとして記憶する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムであって、
前記撮影装置は、さらにズーム率が制御可能であり、
前記センサに対応付けられている複数の前記パン角度の広がりを示すパン範囲及び複数の前記チルト角度の広がりを示すチルト範囲に応じた前記撮影装置のズーム率を当該センサの前記撮影パラメータとして記憶することを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の監視システムであって、
監視対象物の高さに応じて前記チルト角度を補正した補正チルト角度を算出し、
前記センサに対応付けられている複数の前記チルト角度及び前記補正チルト角度の中心角度を当該センサの前記撮影パラメータとして記憶することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の監視システムであって、
前記センサを複数備え、
前記移動物体を移動させることによって複数の前記センサのうち2つ以上のセンサによる前記移動物体の検知状態が変化したタイミング、又は、複数の前記センサのうち2つ以上のセンサによって前記移動物体が検知され続けているタイミングで、前記撮影装置によって前記移動物体が画角内の所定位置に撮影される状態における前記撮影装置のパン角度及びチルト角度を当該2つ以上のセンサの組に対応付けて複数回取得し、
前記2つ以上のセンサの組に対応付けられている複数の前記パン角度の中心角度及び複数の前記チルト角度の中心角度を当該2つ以上のセンサの組の検知範囲を撮像するための前記撮影パラメータとして記憶する、
ことを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項4に記載の監視システムであって、
前記撮影装置は、さらにズーム率が制御可能であり、
前記2つ以上のセンサの組に対応付けられている複数の前記パン角度の広がりを示すパン範囲及び複数の前記チルト角度の広がりを示すチルト範囲に応じた前記撮影装置のズーム率を当該2つ以上のセンサの組の前記撮影パラメータとして記憶することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の監視システムであって、
前記移動物体は、移動ロボットであり、
前記センサの検知範囲を含む移動領域内を移動させるように前記移動ロボットを制御することを特徴とする監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサとカメラを連動させて画像監視を行う監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パン角度、チルト角度及びズーム率を調整可能なカメラ(以下、PTZカメラという)を用いて画像監視を行う監視システムがある。ここで、PTZカメラの設置数を抑えつつ、より広い空間を監視するために、複数の安価なセンサ(空間センサや固定カメラ)とPTZカメラを併用した監視システムが知られている。このような監視システムによれば、侵入者などを検知したセンサの検知範囲に対してPTZカメラを向けることにより、PTZカメラの設置数を抑え、低コストで広い空間を画像監視できる。
【0003】
例えば、監視地域の周辺境界部に配置されて異常を検出するセンサ群と、センサの検知範囲を首振り制御で撮影できる複数のテレビカメラとを備える監視システムが開示されている(特許文献1)。センサ群とテレビカメラの撮影範囲とを対応付けたデータを記憶しておき、センサ群のセンサが異常を検出したときに当該センサの撮影範囲を持つテレビカメラの撮影を開始させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−84698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような監視システムを実現するためには、センサ毎に、その検知範囲を画角内に過不足なく収めるための撮影パラメータ(パン角度,チルト角度,ズーム率)を予め設定しておく必要がある。
【0006】
例えば、図14(a)に示すように、センサの検知範囲302がPTZカメラの画角300内に過不足なく収まるように撮影パラメータを設定することが好ましい。一方、図14(b)に示すように、センサの検知範囲302が画角300内に収まっているが、侵入者304などが小さく映ってしまい詳細な画像監視ができない設定は好ましくない。また、図14(c)に示すように、センサの検知範囲302の一部分がPTZカメラの画角300内からはみ出してしまうと、そのはみ出した範囲に侵入者304などが存在していた場合にはPTZカメラの画角300内に侵入者304の姿を収めることができないので好ましくない。
【0007】
このため、従来の監視システムではセンサとPTZカメラの撮影範囲との対応付けを行う初期設定において、設定者の一人が監視空間を移動して、もう一人がセンサの検知状態をモニタリングしながらPTZカメラの撮影パラメータを調整することで、センサの検知範囲とPTZカメラの撮影パラメータを対応付けていた。すなわち、初期設定を人手を掛けて行っていたため、設定者に多くの負担がかかっていた。
【0008】
そこで、本発明は、前述の初期設定にかかる設定者の負担を低減できる監視システムを提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、移動物体を検知するセンサと、パン角度及びチルト角度が制御可能であり、前記センサの検知範囲を含む監視空間を撮影する撮影装置と、を備え、前記移動物体を移動させることによって前記センサによる前記移動物体の検知状態が変化したタイミング、又は、前記センサによって前記移動物体が検知され続けているタイミングで、前記撮影装置によって前記移動物体が画角内の所定位置に撮影される状態における前記撮影装置のパン角度及びチルト角度を当該センサに対応付けて複数回取得し、前記センサに対応付けられている複数の前記パン角度の中心角度及び複数の前記チルト角度の中心角度を当該センサの検知範囲を撮像するための前記撮影装置の撮影パラメータとして記憶する、ことを特徴とする監視システムである。
【0010】
ここで、前記撮影装置は、さらにズーム率が制御可能であり、前記センサに対応付けられている複数の前記パン角度の広がりを示すパン範囲及び複数の前記チルト角度の広がりを示すチルト範囲に応じた前記撮影装置のズーム率を当該センサの前記撮影パラメータとして記憶することが好適である。
【0011】
また、監視対象物の高さに応じて前記チルト角度を補正した補正チルト角度を算出し、前記センサに対応付けられている複数の前記チルト角度及び前記補正チルト角度の中心角度を当該センサの前記撮影パラメータとして記憶することが好適である。
【0012】
また、前記センサを複数備え、前記移動物体を移動させることによって複数の前記センサのうち2つ以上のセンサによる前記移動物体の検知状態が変化したタイミング、又は、複数の前記センサのうち2つ以上のセンサによって前記移動物体が検知され続けているタイミングで、前記撮影装置によって前記移動物体が画角内の所定位置に撮影される状態における前記撮影装置のパン角度及びチルト角度を当該2つ以上のセンサの組に対応付けて複数回取得し、前記2つ以上のセンサの組に対応付けられている複数の前記パン角度の中心角度及び複数の前記チルト角度の中心角度を当該2つ以上のセンサの組の検知範囲を撮像するための前記撮影パラメータとして記憶する、ことが好適である。
【0013】
また、前記撮影装置は、さらにズーム率が制御可能であり、前記2つ以上のセンサの組に対応付けられている複数の前記パン角度の広がりを示すパン範囲及び複数の前記チルト角度の広がりを示すチルト範囲に応じた前記撮影装置のズーム率を当該2つ以上のセンサの組の前記撮影パラメータとして記憶することが好適である。
【0014】
また、前記移動物体は、移動ロボットであり、前記センサの検知範囲を含む移動領域内を移動させるように前記移動ロボットを制御することが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサとPTZカメラを連動させて画像監視を行う監視システムにおいて、初期設定を容易かつ効率的に行うことが可能となり、低コストを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態における監視システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態におけるPTZカメラのパン角度及びチルト角度を説明する図である。
図3】本発明の実施の形態におけるPTZカメラのパン角度及びチルト角度にズーム率を関連付けたズーム率テーブルの例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における設定パラメータの取得方法を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態におけるパンチルト中心角度とパンチルト範囲の算出方法を説明する図である。
図6】本発明の実施の形態における検知範囲撮影パラメータテーブルの例を示す図である。
図7】本実施の形態におけるPTZカメラでの撮影結果の例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態における監視対象の高さを考慮した撮影パラメータの設定方法を説明する図である。
図9】本発明の実施の形態における動作モードの移行処理のフローチャートである。
図10】本発明の実施の形態における監視モードにおける処理のフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態における設定モードにおける処理のフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態における移動ロボットの移動処理のフローチャートである。
図13】変形例におけるパンチルト中心角度とパンチルト範囲の算出方法を説明する図である。
図14】従来技術の監視システムにおける課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[監視システム]
本発明の実施の形態における監視システム100は、図1に示すように、監視装置10、センサ12(12a,12b,12c・・・)、PTZカメラ14及び移動ロボット16を含んで構成される。なお、本実施の形態では、監視対象物を「人物」とした監視システム100を例として説明する。
【0018】
本実施形態においては、監視装置10、センサ12、PTZカメラ14及び移動ロボット16が有線又は無線のネットワークで接続され、各種の信号や情報を入出力することで監視システム100の各機能を実現する。
【0019】
監視システム100は、監視空間に設置した複数のセンサ12の検知結果と、PTZカメラ14の撮影制御を連動させて、監視空間に存在する監視対象をPTZカメラ14で撮影する。監視システム100は、PTZカメラ14で撮影された画像から監視空間内の侵入者等の監視対象物を検知すると、その監視対象物を撮影した画像を外部(監視センタなど)に出力する。具体的には、本実施形態における監視システム100は、監視空間に設置したセンサ12が監視対象物を検知すると、そのセンサ12の検知範囲全体がPTZカメラ14の撮影範囲(画角)に収まるようにPTZカメラ14の撮影パラメータを制御して撮影を行う。そして、監視センタ(図示しない)では、受信した画像を監視員が確認して監視空間内の異常の有無を判断し、適切な対応が行われる。
【0020】
また、PTZカメラ14の撮影制御を実現するために、本実施の形態における監視システム100では、センサ12(12a〜12c・・・)毎に、センサ12の検知範囲と、その検知範囲をPTZカメラ14の画角内に過不足なく収めるための撮影パラメータを予め対応付けて記憶する。この対応付けた情報を検知範囲撮影パラメータテーブルと呼び、この対応付けの処理を初期設定と呼ぶ。
【0021】
また、本実施の形態において、移動ロボット16は、初期設定を容易に行うために用いられる。なお、移動ロボット16を用いずに、初期設定を行うようにしてもよい。例えば、設定者がセンサ12の監視空間を歩くことで初期設定を行うようにしてもよい。
【0022】
監視装置10は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、周辺回路、端子、各種メモリなどを有する。
【0023】
監視装置10は、「監視モード」、「解除モード」、「設定モード」という3種類のモードで動作する。具体的には、「監視モード」では、監視装置10は、センサ12から人物等の移動物体を検知した旨の信号(検知信号)を受け取ると、PTZカメラ14のパン角度、チルト角度及びズーム率を制御して、移動物体を検知したセンサ12の検知範囲を撮影する。そして、監視装置10は、撮影した画像を外部に出力する。また、「解除モード」では、監視装置10は、「監視モード」のような監視空間内の監視を行わない。また、「設定モード」では、監視装置10は、センサ12毎に、センサ12の検知範囲と、その検知範囲全体をPTZカメラ14の画角内に過不足なく収めるための撮影パラメータの対応付けを行う(初期設定)。ここで、監視装置10は、設定者が監視空間を歩き回ることなく対応付けを行うことができるように、移動ロボット16がセンサ12の検知範囲を含む移動領域を移動するように制御し、移動ロボット16を用いて自動的に対応付けを実行する。対応付けの結果である検知範囲撮影パラメータテーブルは、メモリ等の記憶手段に記憶され、前述した「監視モード」におけるPTZカメラ14の撮影制御に用いられる。
【0024】
センサ12は、それぞれ所定の検知範囲を有し、その検知範囲内における移動物体の存在を検知する。センサ12は、監視システム100による監視の対象となる監視空間に複数設置される。センサ12は、監視装置10とネットワーク等の情報通信網を介して接続される。
【0025】
センサ12は、その検知範囲において移動物体の存在を検知すると、監視装置10に対して検知信号を送信する。また、センサ12の各々には、予め固有の識別子(センサ識別子)が付与されており、センサ12は前述の検知信号と共にセンサ識別子を送信する。これにより、監視装置10は、監視空間に設置した複数のセンサ12のうち、どのセンサ12が移動物体の存在を検知したのかを把握することができる。
【0026】
センサ12は、例えば、焦電素子を用いたPIRセンサとすることができる。PIRセンサは、赤外線をミラーやレンズなどの光学系を用いて集光し、それを焦電素子に受光させることにより、監視空間内の赤外線の変化を検知する。具体的には、PIRセンサは、焦電素子が赤外線を受光すると受光信号を生成し、その受光信号の振幅に応じた量を信号レベルとして抽出する。そして、PIRセンサは、信号レベルを閾値判定して、信号レベルが閾値以上である場合に移動物体の存在を検知する。本実施の形態では、人物を監視対象としているため、閾値は、人体とその他の要因を区別できる値に設定しておけばよい。このようにして、センサ12の検知範囲内に人物が入ったタイミングで、センサ12から監視装置10に対して検知信号が送信される。
【0027】
なお、本実施の形態のように、「設定モード」時の初期設定に移動ロボット16を使用する場合は、移動ロボット16が検知できるような閾値に設定する必要がある。すなわち、「監視モード」では人物を検出できる程度の閾値に設定し、「設定モード」では移動ロボット16を検出できる程度の閾値に設定する。このように、「監視モード」と「設定モード」で異なる閾値を設定するようにしてもよい。
【0028】
また、センサ12をPIRセンサとした場合、センサ12の各々が所定の空間(センサを中心として水平及び垂直方向にそれぞれ扇形の空間)に対して赤外線の変化を検知する。しかしながら、本実施の形態においては、監視対象が人物であり、人物は床面を移動するので、その所定の空間のうち床面に接する部分をPIRセンサの検知範囲として扱う。このように、使用するセンサ12が変化を検知可能な範囲全てを「センサの検知範囲」とするのではなく、その範囲のうち監視対象を検知するのに適した範囲のみを「センサの検知範囲」としてもよい。
【0029】
また、本実施の形態では、センサ12としてPIRセンサを用いたが、これに限定されるものではなく、その他の空間センサを用いてもよい。例えば、センサ12として、可聴帯域や超音波帯域を用いた音波センサや、マイクロ波などを用いた電波センサ等を用いてもよい。
【0030】
また、センサ12は、検知範囲に移動物体が入ったときに検知信号を送信するものとしたが、これに限定されるものではない。センサ12は、移動物体が検知範囲から出たことを検出して信号(非検知変化信号)を送信するようにしてもよい。例えば、センサ12がPIRセンサであれば、受光信号の振幅の変化(移動物体が検知範囲外に出たことによって赤外線の受光量が減少したこと)を検知して送信するようにすればよい。これらの場合、センサ12は、検知範囲の外縁を検知することができ、さらに検知信号の変化から検知範囲の外縁を把握することができる。
【0031】
また、センサ12は、検知範囲内に移動物体が存在する間、検知信号を送信するようにしてもよい。例えば、センサ12がPIRセンサであれば、赤外線の受光量が所定値以上である間、検知信号を所定時間間隔で監視装置10へ送信するようにすればよい。また、同様に、赤外線の受光量が所定値未満である間、すなわち、センサ12が移動物体を検知していない間において信号(非検知信号)を送信するようにしてもよい。これらの場合、センサ12は、検知範囲又は非検知範囲を検知することができる。
【0032】
また、センサ12は、空間センサに限定されるものではなく、画像センサとしてもよい。この場合、画像センサは、パン角度、チルト角度及びズーム率を調整できるPTZカメラとせず、画角が固定のカメラとすることがコスト面から好適である。
【0033】
なお、センサ12として画像センサを使用する場合、その画像センサの検知範囲は、画像センサに搭載したカメラの撮影範囲(画角)となる。この構成によれば、まず安価な固定カメラをセンサ12として用いて移動物体の存在を検知し、その後、PTZカメラ14でその固定カメラの撮影範囲に対して詳細な移動物体像を撮影することができる。また、固定カメラによって低解像度な画像を用いて移動物体の存在を検知し、その後、高解像度のPTZカメラ14で固定カメラの撮影範囲に存在する移動物体像を高解像度で撮影することができる。したがって、監視システム100を構築する場合に、高価なPTZカメラ14の設置数を抑えることができる。
【0034】
画像センサにおける移動物体の検知方法は、既知の画像処理技術を用いればよい。予め監視対象が特定されている場合、例えば、本実施の形態のように「人物」を監視対象とすることがわかっている場合、画像センサは画像に映った移動物体の画像特徴が「人物らしい」と判定されたときに検知信号を送信すればよい。また、前述したように「設定モード」時の初期設定に移動ロボット16を用いる場合は、移動ロボット16の画像特徴を用いて移動ロボット16を検知する必要がある。このため、PIRセンサの場合と同様に、「監視モード」と「設定モード」で画像センサの検知アルゴリズムを変えるようにしてもよい。例えば、「監視モード」では人物を検知するアルゴリズム、「設定モード」では移動ロボット16を検知するアルゴリズムに切り替えるようにすればよい。
【0035】
また、監視システム100で用いられる複数のセンサ12は、単一の種類でなくてもよい。すなわち、PIRセンサと超音波センサの両方を使うなど、複数の異なる種類のセンサ12を組み合わせるようにしてもよい。また、センサ12の設置数や配置についても本実施の形態に限るものではなく、監視目的や監視空間の広さなどに応じて、必要な個数を必要な位置にそれぞれ配置すればよい。
【0036】
PTZカメラ14は、カメラ制御信号によって制御され、監視空間を撮影する。PTZカメラ14は、監視空間に少なくとも一台設置される。PTZカメラ14は、被写体像を撮影する結像工学系、結像工学系により結像された被写体像を信号に変換するCCD素子などの光電変換素子、光電変換素子から出力された電気信号を増幅するとともにアナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器を備える。PTZカメラ14は、監視装置10とネットワーク等の情報通信網を介して接続され、A/D変換器によって生成されたデジタル信号(画像)を監視装置10に送信する。具体的には、PTZカメラ14は、監視装置10の通信部を介して監視装置10の設定部及び監視部に画像を送信する。
【0037】
また、PTZカメラ14は、監視装置10のカメラ制御部から送信されたカメラ制御信号を受けとり、カメラ制御信号に含まれる撮影パラメータに応じてパン角度、チルト角度及びズーム率を変更して撮影画角や撮影方向を調整する機構を備える。なお、撮影パラメータのうち、PTZカメラ14の撮影方向をパン方向(床面に対し水平)に制御するパラメータを「パンパラメータ(パン角度)」、チルト方向(床面に対し鉛直方向)に制御するパラメータを「チルトパラメータ(チルト角度)」、PTZカメラ14の画角を拡大縮小制御するパラメータを「ズームパラメータ(ズーム率)」と呼ぶ。本実施の形態では、これら3つのパラメータを合わせて、撮影パラメータと呼ぶ。
【0038】
図2は、PTZカメラ14の可動範囲を示した図である。図2(a)はパン方向、図2(b)はチルト方向について示した図である。PTZカメラ14は、例えば図2(b)に示すように、床面に対して水平な天井面に設置される。PTZカメラ14のパン角度の可動範囲は「0度」〜「180度」とする。また、PTZカメラ14のチルト角度の可動範囲は「0度」〜「90度」とする。このとき、床面に対して水平方向に撮影を行う状態をチルト角度「0度」とし、チルト角度を「90度」とすることで、床面を撮影できるものとする。また、PTZカメラ14は、パン角度及びチルト角度の値を様々に変更して制御することで、結果的に監視空間全域を撮影可能な位置に設置される。
【0039】
なお、監視目的や監視空間の広さによっては、PTZカメラ14が1台では足りない場合がある。この場合、PTZカメラ14を監視空間に複数設置するようにしてもよい。PTZカメラ14を監視空間に複数設置する場合には、PTZカメラ14の各々に固有の識別子(カメラ識別子)を付与し、PTZカメラ14は、監視装置10の設定部及び監視部と通信する際に自身のカメラ識別子を送信するようにすればよい。
【0040】
移動ロボット16は、監視空間内を走行するロボットである。移動ロボット16は、監視装置10が「設定モード」に設定されているときに行われる初期設定に使用される。移動ロボット16は、車体、モータ、ホイール、制御部、通信部、記憶部、衝突検知部等を含んで構成される。
【0041】
移動ロボット16は、制御部によってホイールやモータを制御することによってセンサ12の検知範囲を含む移動領域内を任意の方向に走行する。具体的には、移動ロボット16は、車体に対するホイールの向きを変えずに、複数のホイールの回転速度や回転方向をそれぞれ調整することで車体を回転させて移動方向を変更する。ただし、移動方向の変更方法は、これに限定されるものではなく、ホイールの向きを変えて移動方向を変更する等の構成としてもよい。
【0042】
移動ロボット16は、監視装置10とネットワーク等の情報通信網を介して接続される。移動ロボット16は、通信部を介して、監視装置10から各種信号を受信する。具体的には、移動ロボット16の制御部は、通信部を介して、監視装置10から起動信号を受信すると、移動ロボット16の動作を開始制御する。このとき、移動ロボット16は、起動信号を受信してから所定時間(例えば10秒)が経過した後にモータの回転制御を行う。なお、移動ロボット16の制御は、これに限定されるものではなく、起動信号を受信した後、すぐにモータを回転制御させてもよい。また、移動ロボット16の制御部は、通信部を介して、監視装置10から終了信号を受信すると移動ロボット16の動作を終了させる。
【0043】
なお、移動ロボット16の動作の開始制御及び終了制御は、手動で行ってもよい。例えば、移動ロボット16に電源スイッチなどを設け、そのスイッチを設置者が操作する事によって開始制御及び終了制御を行ってもよい。
【0044】
また、移動ロボット16は、通信部を介して、監視装置10から停止信号及び再移動信号を受信する。移動ロボット16の制御部は、通信部を介して停止信号を受信すると、モータの回転を停止制御する。また、移動ロボット16の制御部は、通信部を介して再移動信号を受信すると、停止信号によって停止制御させたモータの回転を再度回転制御する。
【0045】
また、移動ロボット16は、壁や什器などの障害物に近づく又は衝突したことを検知して移動方向を変更するようにしてもよい。具体的には、移動ロボット16は、衝突検知部にて障害物に近づく又は衝突したことを検知する。なお、衝突検知部は、例えば、接触センサ、赤外線測距センサなどで実現すればよい。移動ロボット16の制御部は、衝突検知部にて障害物に近づく又は衝突したことが検知されると、モータの回転を一旦停止制御した後に、モータ及びホイールを制御して移動ロボット16の移動方向を小さく(例えば10度)変更する。その後、移動ロボット16の制御部は、モータを制御して、変更した移動方向に対して移動ロボット16を前進させる。なお、移動ロボット16の制御部は、所定時間(例えば、60秒)内に何度も(例えば、5回)障害物への接近や衝突が検知された場合に、移動ロボット16の移動方向を大きく(例えば、140度)変更してから前進するよう制御してもよい。このような制御を行うことによって、移動ロボット16は、障害物に接近又は衝突する度に移動方向を変更して前進を行い、監視空間内(センサ12の検知範囲を含む移動領域内)を満遍なく走行することができる。
【0046】
なお、移動ロボット16が監視空間外に出てしまうことを防ぐため、監視空間の境界付近に、移動ロボット16が乗り越えられない壁や柵などを設置してもよい。
【0047】
また、移動ロボット16は、移動経路や検知した障害物に関する情報を記憶するようにしてもよい。具体的には、移動ロボット16は、記憶した過去の移動経路や障害物の位置などに基づいて、未だ移動していない場所を計算し、その場所に向って方向転換して移動するようにしてもよい。そして、移動していない場所が無くなった場合に、走行終了信号を監視装置10の撮影パラメータ算出手段に送信するようにしてもよい。
【0048】
また、移動ロボット16は、地面を走行するロボットに限らず、空中を飛行するロボットとしてもよい。ただし、その場合、壁や障害物を検知するためのセンサの他に、自身の高度を測定するための高度センサなどを設けることが好ましい。また、その場合、前述したセンサ12として画像センサを使用することが好ましい。
【0049】
また、後述する監視装置10の動体検出手段において、移動ロボット16の検出(パターンマッチなどによる検出)を容易に行うことができるように、移動ロボット16の車体を特徴的な色で着色したり、車体などに特徴的な模様を描いたりするようにしてもよい。また、移動ロボット16にLED照明等を設置し、点灯させた照明を手がかりに検出を行うようにしてもよい。
【0050】
以下、本実施形態における監視装置10を構成する各部について詳細に説明する。図1に示すとおり、監視装置10は、記憶部20、モード設定部22、カメラ制御部24、ロボット制御部26、設定部28、通信部30、監視部32及び出力部34を含んで構成される。
【0051】
記憶部20は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの半導体メモリ、ハードディスク、光ディスクなどの記憶手段を含んで構成される。記憶部20は、監視装置10の各機能を実行するためのコンピュータプログラム及び各種データを記憶し、モード設定部22、カメラ制御部24、ロボット制御部26、設定部28、監視部32との間でこれらの情報を入出力する。なお、コンピュータプログラム及び各種データは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラムなどを用いて記憶部20にインストールされてもよい。
【0052】
本実施の形態における記憶部20は、ズーム率テーブルを記憶する。ズーム率テーブルは、PTZカメラ14のパン範囲とチルト範囲とズーム率を対応付けたテーブルであり、後述する設定部28の撮影パラメータ算出手段28bにてズーム率を算出する際に用いられる。パン範囲は、PTZカメラ14の画角における水平方向の範囲(光軸を中心する水平方向の角度)を表し、チルト範囲は、PTZカメラ14の画角における鉛直方向の範囲(光軸を中心とする鉛直方向の角度)を表す。すなわち、ズーム率テーブルは、パン範囲、チルト範囲、及びそれらが示す画角を撮影するために必要なズーム率が対応付けられたテーブルである。
【0053】
図3は、ズーム率テーブルの一例を示す。この例では、PTZカメラ14の最大画角(最も広角で撮影したときの画角)は、パン範囲「60度」及びチルト範囲「45度」であり、そのときのズーム率を「1.0倍」とする。ズーム率が大きくなるにつれて画角は狭くなる(パン範囲及びチルト範囲が狭くなる)。また、パン範囲とチルト範囲の比は、PTZカメラ14の画角の縦横比に対応する。この例では、パン範囲とチルト範囲の比を4対3としている。なお、本実施の形態では、図3に示すとおり、5度刻みのパン範囲を基準としてチルト範囲とズーム率を対応付けているが、これに限定されるものではない。例えば、刻み幅を変えてもよいし、チルト範囲やズーム率を基準としてテーブルを作成してもよい。
【0054】
また、PTZカメラ14のパン範囲及びチルト範囲に対する関数としてズーム率を算出する構成としてもよい。すなわち、PTZカメラ14の光学的特性が把握できていれば、パン範囲及びチルト範囲に対して適切なズーム率を算出できるので、ズーム率テーブルを用いる代わりに演算により適切なズーム率を算出するようにしてもよい。
【0055】
また、記憶部20は、後述する設定部28の撮影パラメータ算出手段28bにて生成された検知範囲撮影パラメータテーブルを記憶する。検知範囲撮影パラメータテーブルは、後述する監視部32によって参照され、移動物体の存在を検知したセンサ12の検知範囲の様子をPTZカメラ14で撮影するために用いられる。
【0056】
モード設定部22は、モード変更信号を各部に出力し、前述した監視装置10の動作モードを切り替える。具体的には、モード設定部22は、モード変更信号を、カメラ制御部24、ロボット制御部26、設定部28及び監視部32に出力し、各部はモード変更信号に応じて動作モードを設定し、その動作モードに応じた動作を行う。ここで、モード変更信号は、監視モード信号、解除モード信号、設定モード信号の3種類である。これらのモード変更信号を受け取った各部は、それぞれ、「監視モード」、「解除モード」、「設定モード」で動作する。モード設定部22によるモード変更信号出力のトリガは、操作部(図示なし)を用いたユーザによる操作等とすればよい。すなわち、操作部を用いてユーザが監視、解除及び設定のいずれかのモードを指定することで、モード設定部22から対応するモード信号が出力される。
【0057】
なお、モード設定部22は、監視システム100の初回起動時において、各部に設定モード信号を出力する。また、モード設定部22は、設定モードにおいて、設定部28の撮影パラメータ算出手段28bから設定終了信号を受け取ると、解除モード信号を出力する。
【0058】
カメラ制御部24は、PTZカメラ14に対して、PTZカメラ14の画角や撮影方向(パン角度,チルト角度,ズーム率)を制御するためのカメラ制御信号を送信する。カメラ制御信号は、撮影パラメータ(パン角度,チルト角度,ズーム率)に関する情報を含んだ信号である。カメラ制御部24は、モード設定部22から受け取ったモード変更信号に応じて動作モードを変える。
【0059】
「監視モード」では、カメラ制御部24は、後述する監視部32から受け取った撮影パラメータに基づいて、カメラ制御信号を生成してPTZカメラ14に送信する。すなわち、移動物体を検知したセンサ12の検知範囲をPTZカメラ14の画角に過不足なく収めるための撮影パラメータをPTZカメラ14に送信する。これにより、監視システム100は、監視モードにおいて、センサ12が移動物体を検知すると、そのセンサ12の検知範囲が過不足なく収まるような画角でその検知範囲をPTZカメラ14で撮影することができる。
【0060】
「設定モード」では、カメラ制御部24は、PTZカメラ14に対して送信したカメラ制御信号に含まれる撮影パラメータを設定部28にも順次出力する。そして、「設定モード」におけるカメラ制御部24は、設定部28の動体検出手段28aからカメラ走査信号を受け取ると、監視空間内に存在する移動物体を探索するために、監視空間全体を走査するようにPTZカメラ14に撮影(走査撮影)を行わせる。このために、カメラ制御部24は、設定部28の動体検出手段28aからカメラ走査信号を受け取ると、走査撮影を行わせるために必要な撮影パラメータを含んだカメラ制御信号をPTZカメラ14に順次出力する。そして、カメラ制御部24は、走査撮影中において、設定部28の動体検出手段28aから動体検出信号を受信すると、カメラ制御信号の送信を停止し、PTZカメラ14による監視空間の走査撮影を終了させる。
【0061】
なお、走査撮影に必要な撮影パラメータは、予め記憶部20に記憶させておけばよい。例えば、パン角度やチルト角度を可動範囲内で徐々に変化させるようなパラメータを記憶させておけばよい。また、走査撮影においては、ズームは必須ではない。例えば、使用するPTZカメラ14の最大画角(最も広角で撮影できるズーム率「1倍」)で撮影すればよい。
【0062】
また、「設定モード」におけるカメラ制御部24は、設定部28の動体検出手段28aから位置合わせ信号を受信すると、移動物体が画角の中央になるよう(例えば、動体領域の重心が画像の中央になるよう)にPTZカメラ14に撮影を行わせる。このために、カメラ制御部24は、設定部28の動体検出手段28aから位置合わせ信号を受け取ると、位置合わせ信号に含まれる画角内の移動物体の位置情報、及び直近にPTZカメラ14に対して出力した撮影パラメータ等を用いて、当該移動物体を画角の中央に収めるために必要な撮影パラメータを算出し、その撮影パラメータを含んだカメラ制御信号を生成し、通信部30を介してPTZカメラ14に送信する。
【0063】
なお、カメラ制御部24は、一度、移動物体を画像の中央に収めた後は、その移動物体が常に画像の中央に収まるようにPTZカメラ14で移動物体を撮影(追尾撮影)させるようにしてもよい。例えば、移動物体を画像の中央に収めた後、設定部28の動体検出手段28aから位置合わせ信号を受信する度に、位置合わせ信号に付与された画角内の動体の位置情報、及び撮影パラメータなどを用いて、移動物体を画角の中央に撮影するために必要な撮影パラメータを含んだカメラ制御信号をPTZカメラ14に順次送信するようにすればよい。このとき、移動物体を画角の中央に収める際のズーム率は自由である。例えば、使用するPTZカメラ14の最大画角で撮影すればよい。
【0064】
ロボット制御部26は、移動ロボット16に対して各種の信号を送信することで、移動ロボット16に各種の動作を実行させる。ロボット制御部26は、モード設定部22から受け取ったモード変更信号に応じて動作モードを変える。
【0065】
なお、本実施の形態におけるロボット制御部26は、「設定モード」において移動ロボット16が動作するように制御し、「監視モード」、「解除モード」においては移動ロボット16が動作するように制御を行わない。
【0066】
ロボット制御部26は、モード設定部22から設定モード信号を受け取ると、「設定モード」に移行し、通信部30を介して移動ロボット16に起動信号を送信する。「設定モード」では、ロボット制御部26は、設定部28の動体検出手段28aから停止信号を受け取ると、通信部30を介して移動ロボット16に停止信号を送信する。また、ロボット制御部26は、設定部28の動体検出手段28aから再移動信号を受け取ると、通信部30を介して移動ロボット16に再移動信号を送信する。また、ロボット制御部26は、設定部28の撮影パラメータ算出手段28bから終了信号を受けとると、通信部30を介して移動ロボット16に終了信号を送信する。
【0067】
設定部28は、監視システム100の初期設定として、各センサの検知範囲と、その検知範囲をPTZカメラ14の画角内に過不足なく収めるための撮影パラメータを対応付けることで、検知範囲撮影パラメータテーブルを生成し、記憶部20に記憶させる。
【0068】
設定部28は、モード設定部22から受け取ったモード変更信号に応じて動作モードを変える。設定部28は、「設定モード」において動作し、「監視モード」及び「解除モード」においては動作しない。設定部28は、モード設定部22から設定モード信号を受信することにより「設定モード」に移行する。
【0069】
設定部28は、動体検出手段28aと撮影パラメータ算出手段28bを備える。以下、設定部28を構成する動体検出手段28a及び撮影パラメータ算出手段28bについて詳細に説明する。
【0070】
動体検出手段28aは、通信部30を介してセンサ12から検知信号とセンサ識別子を取得すると、ロボット制御部26に停止信号を出力する。その後、カメラ制御部24にカメラ走査信号を出力する。
【0071】
また、動体検出手段28aは、PTZカメラ14が撮影した画像を順次取得し、画像から動体領域を検出する。動体検出手段28aによる動体領域の検出には、既存の検出方法を適用すればよい。例えば、パターンマッチ方式などを用いて動体領域を検出すればよい。動体検出手段28aは、画像から動体領域を検出すると、カメラ制御部24に動体検出信号を出力する。その後、画像内における動体領域の位置情報を含んだ位置合わせ信号をカメラ制御部24に出力する。
【0072】
動体検出手段28aは、画像の中央に動体領域を検出すると、その時点におけるパン角度とチルト角度のパラメータ(設定パラメータ)をカメラ制御部24から受け取り、センサ12から受け取った検知信号に含まれるセンサ識別子とともに撮影パラメータ算出手段28bに出力する。その後、動体検出手段28aは、ロボット制御部26に再移動信号を出力する。動体検出手段28aは、この処理を、センサ12から検知信号を取得する度に行う。すなわち、動体検出手段28aは、センサ12が移動物体を検知する度に、その時点(センサ12の検知状態が変化した時点)において、移動物体が画像の中央に位置するときのPTZカメラ14のパン角度とチルト角度のパラメータ(設定パラメータ)を、撮影パラメータ算出手段28bに出力する。
【0073】
図4は、本実施の形態における設定パラメータの取得例を示した図である。図4は、センサ識別子「1」のセンサ12から検知信号を受信した際の設定パラメータの取得手順の例を示す。
【0074】
図4に示すように、本実施の形態における監視システム100は、「設定モード」において、センサ12から検知信号を受信すると、移動ロボット16を停止させ、PTZカメラ14で監視空間内を走査撮影する。そして、PTZカメラ14が走査撮影した画像から、停止中の移動ロボット16が撮影された領域を動体領域として検出する。その後、PTZカメラ14の撮影方向(光軸)をその動体領域が画角300の中央に収まるように動かす。PTZカメラ14が撮影した画像において、動体領域を画角300の中央に検出すると、その時点におけるパン角度とチルト角度をカメラ制御部24から受け取り、センサ識別子「1」の設定パラメータとして撮影パラメータ算出手段28bに出力する。以降は、センサ12が移動ロボット16を検知する度に、この処理を繰り返し、取得した設定パラメータを順次出力する。
【0075】
なお、移動ロボット16を使用しない場合は、移動ロボット16に停止信号を出力するかわりに、通信部30を介して設定者の所持する携帯端末(図示しない)等に移動を停止する旨を通知するようにしてもよい。また、移動ロボット16を使用しない場合は、移動ロボット16に再移動信号を送信するかわりに、通信部30を介して設定者の所持する携帯端末(図示しない)等に再移動する旨を通知するようにしてもよい。
【0076】
また、上記のとおり、移動物体が常に画像の中央に収まるようにPTZカメラ14で追尾撮影を行う場合、動体領域を画像の中央に収めた後(再移動信号送信後)も、順次、PTZカメラ14が撮影した画像を取得し、動体領域の検出処理を行い、位置合わせ信号をカメラ制御部24に順次出力すればよい。そして、その後、センサ12から検知信号を受け取ると、ロボット制御部26に停止信号を出力した後、その時点におけるパン角度とチルト角度(設定パラメータ)をカメラ制御部24から受け取り、センサ12から受け取った検知信号に含まれるセンサ識別子とともに撮影パラメータ算出手段28bに出力する。その後、動体検出手段28aは、ロボット制御部26に再移動信号を出力し、同様に追跡撮影を実行する。
【0077】
撮影パラメータ算出手段28bは、動体検出手段28aから受け取った複数の設定パラメータを用いて、センサ12毎に検知範囲を過不足なくPTZカメラ14の画角に収めるための撮影パラメータを算出する。そして、撮影パラメータ算出手段28bは、その撮影パラメータをセンサ識別子と対応付けて検知範囲撮影パラメータテーブルを生成し、記憶部20に記憶させる。
【0078】
撮影パラメータ算出手段28bは、まず、動体検出手段28aからセンサ識別子と設定パラメータを受け取るとそれらを記憶部20に順次記憶させる。そして、撮影パラメータ算出手段28bは、監視空間に設置されたすべてのセンサ12について、それぞれ所定の数(例えば、各10個)の設定パラメータを取得すると、又は移動ロボット16から走行終了信号を受信すると、撮影パラメータの算出処理に移行する。その際、撮影パラメータ算出手段28bは、ロボット制御部26に終了信号を出力する。
【0079】
以下、図5を参照して、本実施の形態における撮影パラメータの算出処理について説明する。
【0080】
まず、撮影パラメータ算出手段28bは、パン角度及びチルト角度に対する中心角度を算出する。具体的には、撮影パラメータ算出手段28bは、記憶部20を参照して、センサ識別子に対応づけられた設定パラメータを読み出す。そして、撮影パラメータ算出手段28bは、センサ12毎に、パン角度とチルト角度のそれぞれについて複数の設定パラメータの中から最大角度と最小角度を抽出する。そして、パン角度の最大角度と最小角度の中間の値をパン中心角度として算出する。また、同様に、チルト角度の最大角度と最小角度の中間の値をチルト中心角度として算出する。これらの算出処理をセンサ12毎に行うことで、センサ12毎にパン中心角度とチルト中心角度(以下、合わせてパンチルト中心角度という)を算出する。
【0081】
次に、撮影パラメータ算出手段28bは、パン範囲及びチルト範囲を算出する。具体的には、パン角度の最大角度と最小角度を用いてPTZカメラ14の撮影方向をパンの最大角度に向けたときの光軸と最小角度に向けたときの光軸とが成す角度をパン範囲とする。また、同様に、PTZカメラ14の撮影方向をチルトの最大角度に向けたときの光軸と最小角度に向けたときの光軸とが成す角度をチルト範囲とする。この算出処理をセンサ12毎に行うことで、センサ12毎にパン範囲とチルト範囲(以下、合わせてパンチルト範囲という)を算出する。
【0082】
図5は、本実施の形態におけるパンチルト中心角度とパンチルト範囲の一例を示した図である。なお、図5では、センサ識別子「1」に対応付けられた設定パラメータに基づいてパンチルト中心角度とパンチルト範囲を求めている。
【0083】
図5(a)は、パン方向に対する処理の例を示した図である。図5(b)は、チルト方向に対する処理の例を示した図である。なお、図5においては、センサ識別子に対応付けられたすべての設定パラメータを図示せず、設定パラメータのうち最大角度と最小角度についてのみ図示している。図5(a)に示すように、センサ識別子「1」に対応付けられた設定パラメータのうち、パン角度の最大角度が「114度」、最小角度が「88度」である場合、パン中心角度は、それらの中間の値である「101度」となる。すなわち、センサ識別子「1」のパン中心角度は「101度」となる。また、最大角度「114度」における光軸(一点鎖線)と最小角度「88度」における光軸(一点鎖線)とからなる角度は「26度」となる。すなわち、センサ識別子「1」のパン範囲は「26度」となる。また、図5(b)に示すように、センサ識別子「1」に対応付けられた設定パラメータのうち、チルト角度の最大角度が「52.5度」、最小角度が「37.5度」である場合、チルト中心角度は、それらの中間の値である「45度」となる。すなわち、センサ識別子「1」のチルト中心角度は「45度」となる。また、最大角度「52.5度」における光軸(一点鎖線)と、最小角度「37.5度」における光軸(一点鎖線)とからなる角度は「15度」となる。すなわち、センサ識別子「1」のチルト範囲は「15度」となる。
【0084】
次に、撮影パラメータ算出手段28bは、ズーム率を求める処理を行う。具体的には、撮影パラメータ算出手段28bは、記憶部20に予め記憶されているズーム率テーブルを参照して、センサ12毎に算出されたパンチルト範囲に対応するズーム率の値を抽出する。
【0085】
上記のように、センサ識別子「1」であるセンサ12に対するパン範囲が「26度」及びチルト範囲が「15度」である例について説明する。撮影パラメータ算出手段28bは、図3に示したズーム率テーブルを参照して、これらのパンチルト範囲に対応するズーム率を抽出する。このとき、ズーム率テーブルに算出されたパンチルト範囲の値に完全に一致する値が登録されていない場合は、最もパンチルト範囲の値に近くかつ大きい値に対応付けられているズーム率の値を抽出する。例えば、パン範囲「26度」の場合は、ズーム率テーブルのパン範囲「30度」に対応するズーム率「2.0倍」を抽出し、チルト範囲「15度」の場合は、そのままズーム率テーブルのチルト範囲「15度」に対応するズーム率「3.0倍」を抽出する。なお、このようにパン範囲とチルト範囲に対応するズーム率が異なる場合には、ズーム率が低い方の値を選択する。すなわち、センサ識別子「1」であるセンサ12に対するズーム率は「2.0倍」とする。
【0086】
撮影パラメータ算出手段28bは、センサ12毎に算出されたパンチルト中心角度及びズーム率を撮影パラメータとしてセンサ12のセンサ識別子に対応付けて検知範囲撮影パラメータテーブルとして記憶部20に記憶させる。
【0087】
図6は、本実施の形態における検知範囲撮影パラメータテーブルの一例を示す。図6に示すように、センサ識別子「1」のセンサ12に対してパン中心角度「101度」、チルト中心角度「45度」及びズーム率「2.0倍」が対応付けられている。また、センサ識別子「2」及びセンサ識別子「3」のセンサ12に対しても、同様に、パンチルト中心角度とズーム率が対応付けられている。検知範囲撮影パラメータテーブルを参照することによって、PTZカメラ14の撮影方向(光軸)を登録されているパンチルト中心角度に向け、登録されているズーム率で撮影することによって、パンチルト範囲を内包した画角で撮影することができる。このとき、パンチルト範囲は、設定パラメータに基づいて算出された「センサ12の検知状態が変化する範囲をPTZカメラ14の光軸の範囲で表した情報」であるため、センサ12の検知範囲そのものをPTZカメラ14の光軸の範囲で表した情報に相当する。すなわち、前述の撮影パラメータを適用してPTZカメラ14で撮影を行うことにより、その光軸の範囲を内包した画角で監視空間を撮影することができる。したがって、センサ12の検知範囲を過不足なくPTZカメラ14の画角内に収めることができる。
【0088】
図7は、センサ識別子「1」のセンサ12の撮影パラメータで撮影したPTZカメラ14の画角300の例を示す。図7は、撮影パラメータのパン角度が「101°」、チルト角度が「45°」及びズーム率が「2倍」であるときのPTZカメラ14の画角300の例である。図7に示すように、センサ12の検知範囲302を画角300内に適切な大きさで収めることができる。
【0089】
なお、上記のズーム率の算出処理において、パン範囲やチルト範囲がズーム率テーブルにおける最大画角(図3に示したズーム率テーブルの例ではパン範囲「60度」及びチルト範囲「45度」)以上である場合、最も広角で撮影してもPTZカメラ14にセンサ12の検知範囲を収めることができない。したがって、PTZカメラ14やセンサ12の設置位置を変更する必要がある。そこで、パン範囲やチルト範囲がズーム率テーブルにおける最大画角を超える場合、撮影パラメータ算出手段28bは、通信部30などを介して外部(設定者などの所持する端末や監視センタ)にその旨の通知をすることが好適である。
【0090】
撮影パラメータ算出手段28bは、監視空間に設置されたすべてのセンサ12について、それぞれ撮影パラメータを算出し、検知範囲撮影パラメータテーブルとして記憶部20に記憶させる。撮影パラメータ算出手段28bは、検知範囲撮影パラメータテーブルの生成が完了すると、モード設定部22に対して設定終了信号を出力する。
【0091】
なお、本実施の形態では、監視空間に設置されているすべてのセンサ12について設定パラメータを取得してから、撮影パラメータの算出処理を行ったが、これに限定されるものではない。例えば、センサ12毎に、動体領域の検出処理、設定パラメータの取得、撮影パラメータ算出処理を行うようにしてもよい。具体的には、センサ識別子の登録順に、各センサ12についての、動体領域の検出、設定パラメータ取得、撮影パラメータ算出を順番に行ってもよい。すなわち、あるセンサ12の撮影パラメータ算出が終了した後に、次のセンサ12についての動体領域の検出、設定パラメータ取得、撮影パラメータ算出を行ってもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、移動ロボット16を使用して初期設定を行ったが、この場合、監視対象の高さが移動ロボット16よりも高い可能性がある。例えば、監視対象が人物である場合、床面からの高さが小型の移動ロボット16よりも高い場合がある。そのため、移動ロボット16を用いて算出した撮影パラメータでは、センサ12の検知範囲は過不足なくPTZカメラ14の画角に収まるが、監視対象である人物の位置によっては身体の上部がPTZカメラ14の画角内からはみ出してしまう可能性がある。そこで、初期設定に用いる移動ロボット16の高さに比べて、想定している監視対象の高さが高い場合には、上記の方法により算出した撮影パラメータよりもチルト方向を広角に撮影できるように撮影パラメータを補正することが好適である。
【0093】
以下に、監視対象の高さに合わせた撮影パラメータの算出方法について説明する。この場合、記憶部20にPTZカメラ14の設置高さなどの情報を予め記憶しておく。図8は、本実施の形態における監視対象の高さを考慮した撮影パラメータの算出方法の一例を示した図である。
【0094】
図8(a)は、移動ロボット16を用いて算出した撮影パラメータの画像を示している。図8(a)に示すとおり、移動ロボット16を用いて推定した検知範囲302は過不足なく画角300内に収まっているが、人物306の位置によっては画角300の外にはみ出してしまう。すなわち、図8(a)の位置に人物306が存在している場合、センサ12では人物306の存在を検知できるが、そのセンサ12の検知範囲にPTZカメラ14を向けても、人物306の上部(頭部等)の像を撮影することができない。そこで、上記のように移動ロボット16を用いてセンサ12毎に設定パラメータを取得した後、これらの設定パラメータのチルト角度を人物306の高さを考慮して補正し、その補正したチルト角度(補正チルト角度)を設定パラメータに追加する。
【0095】
図8(b)は、設定パラメータのチルト角度を補正する方法を説明するための模式図である。具体的には、補正前の設定パラメータのチルト角度(以下、補正前チルト角度という)を用いて「PTZカメラ14の設置高さ方向」と「補正前チルト角度にPTZカメラ14を向けたときの光軸の方向」から成す角度θを求める。図8(b)においては、角度θ=(90°−補正前チルト角度)として求めることができる。また、PTZカメラ14の設置高さHcを用いて、PTZカメラ14の設置位置から補正前チルト角度におけるPTZカメラ14の光軸(画像の中央)までの水平距離を求める。図8(b)においては、水平距離=(Hc×tan(θ))として求めることができる。次に、想定する監視対象の高さをHh(例えば、人物の一般的な身長に相当する高さ)とし、人物306の高さを考慮して補正した補正後チルト角度θ´を求める。図8(b)においては、θ´=arctan((Hc−Hh)/(Hc×tan(θ)))となる。
【0096】
撮影パラメータ算出手段28bは、補正した設定パラメータ(パン角度は補正前のものであり、チルト角度は補正チルト角度)と補正前の設定パラメータに対して上記のようにパンチルト中心角度及びパンチルト範囲を算出する。さらに、撮影パラメータ算出手段28bは、算出されたパンチルト中心角度及びパンチルト範囲に基づいてズーム率を求める。
【0097】
このように求めた撮影パラメータを用いれば、図8(c)に示すように、センサ12の検知範囲302を過不足なくPTZカメラ14の画角300内に収めつつ、高さのある監視対象である人物306の全体を撮影することができる。なお、移動ロボット16で初期設定を行った場合に限らず、設定者を用いて初期設定を行った場合でも動体領域の重心位置が画像中央となるように設定パラメータを取得すると、前述した問題が起こる可能性がある。この場合でも、上記方法を用いれば、センサ12の検知範囲を過不足なくPTZカメラ14の画角300内に収めつつ、高さのある監視対象である人物306の全体を撮影することができる。
【0098】
以下、図1に戻り、監視装置10の通信部30、監視部32及び出力部34について説明する。
【0099】
通信部30は、ネットワーク等の情報通信網を介してセンサ12、PTZカメラ14及び移動ロボット16と接続するインタフェースを含んで構成される。例えば、通信部30は、有線又は無線のLAN、USBなどの通信インタフェースを含む。通信部30を介して、センサ12の検知信号及びセンサ識別子、PTZカメラ14が撮影した画像及びカメラ識別子等の情報が監視装置10において受信される。また、通信部30を介して、PTZカメラ14へのカメラ制御信号、移動ロボット16への各種信号等の情報が監視装置10からPTZカメラ14及び移動ロボット16に送信される。
【0100】
監視部32は、モード設定部22から受け取ったモード変更信号に応じて動作モードを変更する。監視部32は、「監視モード」において動作し、「設定モード」及び「解除モード」においては動作しない。監視部32は、モード設定部22から監視モード信号を受信することにより「監視モード」に移行する。
【0101】
「監視モード」では、監視部32は、通信部30を介してセンサ12から検知信号を受け取ると、記憶部20の検知範囲撮影パラメータテーブルを参照し、検知信号と共に受け取ったセンサ識別子に対応する撮影パラメータを取得する。そして、取得した撮影パラメータをカメラ制御部24に出力する。なお、PTZカメラ14が複数ある場合は、検知範囲撮影パラメータテーブルからカメラ識別子も取得し、該当するPTZカメラ14のカメラ制御部24に対して撮影パラメータを出力する。その後、監視部32は、出力した撮影パラメータに基づいてPTZカメラ14が撮影した画像を、通信部30を介して受け取り、出力部34に出力する。
【0102】
なお、本実施の形態では、監視部32は、PTZカメラ14が撮影した画像を出力部34に出力するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、監視部32は、PTZカメラ14が撮影した画像を解析し、その解析結果を出力部34に出力するようにしてもよい。また、監視部32は、画像から動体領域を検出し、PTZカメラ14は、その動体領域を追尾撮影するようにしてもよい。この場合、監視部32は、上記の設定部28の位置合わせ信号に相当する信号をカメラ制御部24に送信して、追尾撮影を実行させるようにすればよい。その後、動体領域を検出しなくなった時点で位置合わせ信号の送信を止めて、追尾撮影を終了させればよい。
【0103】
出力部34は、通信部30を介して、監視部32から入力された画像や解析結果を監視センタ等の外部装置に出力する。なお、出力部34は、画像や解析結果をモニタなどの表示装置(図示しない)に表示出力させるようにしてもよい。
【0104】
本実施の形態における監視システム100によれば、監視空間におけるPTZカメラ14の設置数を抑えつつ、広い監視空間に存在する監視対象を監視することができる。また、監視システム100によれば、初期設定を移動ロボット16によって自動的に行うことができる。すなわち、センサ12の検知範囲とPTZカメラ14の撮影パラメータの対応付けを行う際に、設定者が監視空間を歩き回る必要がなくなり、初期設定にかかる負担が軽減される。
【0105】
[監視方法]
以下、図9図12のフローチャートを参照しつつ、監視システム100における処理を説明する。
【0106】
図9は、監視システム100における動作モードの移行処理のフローチャートである。外部からの指示等に応じて監視システム100での処理が開始されるとステップS10において「設定モード」の処理に移行する。
【0107】
ステップS10では、モード設定部22は、監視装置10の各部に設定モード信号を出力する。「設定モード」では、図11に示すフローチャートに沿ってセンサ12毎にPTZカメラ14を用いた検知領域に対する撮影パラメータの設定処理が行われる。「設定モード」における処理については後述する。
【0108】
ステップS12では、設定終了信号が出力されているか否かが判定される。「設定モード」の処理が終了すると、設定部28の撮影パラメータ算出手段28bから設定終了信号が出力される。モード設定部22は、設定終了信号を受け取ると、解除モード信号を監視システム100の各部へ出力する。設定終了信号が出力されるまで「設定モード」における処理が繰り返され、設定終了信号が出力されるとステップS14に処理が移行される。
【0109】
ステップS14では、監視システム100は「解除モード」となる。監視システム100は、ユーザ等によって外部から「監視」、「設定」のいずれかのモードが指定されるまで「解除モード」を維持する。
【0110】
ステップS16では、監視モード信号が出力されているか否かが判定される。外部から「監視」のモードが指定されると、モード設定部22から監視システム100の各部に対して監視モード信号を出力する。監視モード信号が出力されたらステップS20に処理が移行され、監視モード信号が出力されてなければステップS18に処理が移行される。
【0111】
ステップS18では、設定モード信号が出力されているか否かが判定される。外部から「設定」のモードが指定されると、モード設定部22から設定モード信号が監視システム100の各部へ出力される。設定モード信号が出力されたらステップS10に処理が戻され、「設定モード」の処理が再度行われる。設定モード信号が出力されていなければステップS16に処理が戻される。
【0112】
ステップS20では、監視システム100は「監視モード」になる。「監視モード」では、監視装置10は、PTZカメラ14のパン角度、チルト角度及びズーム率を制御して、移動物体を検知したセンサ12の検知範囲を撮影する。「監視モード」では、図10に示すフローチャートに沿って処理が行われる。「監視モード」における処理については後述する。監視システム100は、ユーザ等によって外部から「解除」のモードが指定されるまで「監視」モードを維持する。
【0113】
ステップS22では、解除モード信号が出力されているか否かが判定される。外部から「解除」のモードが指定されると、モード設定部22から解除モード信号が監視システム100の各部へ出力される。これにより、処理はステップS14に移行され、監視システム100は「解除モード」となる。
【0114】
以下、図10のフローチャートを参照して「監視モード」における処理について説明する。
【0115】
ステップS30では、監視システム100は、センサ12から人物等の移動物体を検知した旨の信号(検知信号)を受け取ったか否かを判定する。センサ12から検知信号を受信するとステップS32に処理が移行され、そうでなければ検知信号を受信するまで待機する。
【0116】
ステップS32では、検知信号を出力したセンサ12の検知領域を撮影するための撮影パラメータが取得される。監視システム100の監視部32は、記憶部20に記憶された検知範囲撮影パラメータテーブルから検知信号と共に受信したセンサ識別子に対応付けられている撮影パラメータを読み出す。
【0117】
ステップS34では、撮影パラメータがPTZカメラ14に対して送信される。監視部32は、ステップS32にて記憶部20から読み出された撮影パラメータをカメラ制御部24へ出力する。カメラ制御部24は、PTZカメラ14に対して、PTZカメラ14の画角や撮影方向(パン角度,チルト角度,ズーム率)を制御するため撮影パラメータを含むカメラ制御信号を出力する。
【0118】
ステップS36では、撮影パラメータに基づいて撮影が行われる。PTZカメラ14は、監視装置10のカメラ制御部24から受信したカメラ制御信号に基づいて、カメラ制御信号に含まれる撮影パラメータに応じてパン角度、チルト角度及びズーム率を変更して撮影画角や撮影方向を調整する。そして、PTZカメラ14は、調整された撮影画角及び撮影方向で撮影を行う。PTZカメラ14は、撮影した画像を監視部32へ出力する。監視部32は、通信部30を介して画像を受け取り、出力部34に出力する。
【0119】
以下、図11のフローチャートを参照して「設定モード」における処理について説明する。「設定モード」では、移動ロボット16がセンサ12の検知範囲を含む移動範囲を移動するように制御される。ここでは、移動ロボット16が移動している状態であるものとして説明する。なお、移動ロボット16の制御については、図12のフローチャートを参照して後述する。
【0120】
ステップS40では、検知信号が受信されたか否かが判定される。センサ12は、その検知範囲において移動ロボット16の存在を検知すると監視装置10に対して検知信号を送信する。監視装置10の設定部28の動体検出手段28aは、通信部30を介してセンサ12から検知信号を受信する。検知信号が受信されると処理をステップS42に移行させ、受信されていないときは検知信号が受信されるまで待機する。
【0121】
ステップS42では、移動ロボット16に対して停止信号が出力される。動体検出手段28aは、センサ12から検知信号を受信すると、ロボット制御部26に停止信号を出力する。ロボット制御部26は、通信部30を介して移動ロボット16に対して停止信号を出力する。これによって、移動ロボット16はセンサ12によって検知された位置にて移動を停止する。
【0122】
ステップS44では、PTZカメラ14に対してカメラ走査信号が出力される。監視装置10のカメラ制御部24は、動体検出手段28aからカメラ走査信号を受け取ると、監視空間内に存在する移動物体を探索するために監視空間全体の走査撮影を行わせるために必要な撮影パラメータを含んだカメラ制御信号をPTZカメラ14に順次出力する。
【0123】
これにより、PTZカメラ14によって撮影(走査撮影)が行われる。PTZカメラ14は、カメラ走査信号を受け取ると撮影領域を走査しながらカメラ制御信号に含まれる撮影パラメータに応じた設定で撮影を行う。PTZカメラ14は、撮影された画像を通信部30を介して動体検出手段28aへ出力する。
【0124】
ステップS46では、動体領域が検出されたか否かが判定される。動体検出手段28aは、PTZカメラ14が撮影した画像を順次取得し、画像から移動ロボット16が撮影された動体領域を検出する。動体領域が検出されればステップS48に処理を移行させ、検出されていなければPTZカメラ14による走査撮影を繰り返す。
【0125】
ステップS48では、動体検出信号が出力される。動体検出手段28aは、画像から動体領域を検出すると、カメラ制御部24に動体検出信号を出力する。
【0126】
ステップS50では、位置合わせ信号が出力される。動体検出手段28aは、画像内における動体領域の位置情報を含んだ位置合わせ信号をカメラ制御部24に出力する。カメラ制御部24は、動体検出手段28aから位置合わせ信号を受信すると、移動ロボット16が画角の中央になるようにPTZカメラ14に撮影を行わせる。
【0127】
ステップS52では、動体領域が画像の中央に検出されたか否かが判定される。動体検出手段28aは、画像の中央に動体領域が検出されている場合にはステップS54に処理を移行させ、そうでない場合には画像の中央に動体領域が検出されるまでステップS50の処理を繰り返す。
【0128】
ステップS54では、設定パラメータの記憶が行われる。動体検出手段28aは、画像の中央に動体領域が検出されると、その時点におけるパン角度とチルト角度のパラメータ(設定パラメータ)をカメラ制御部24から受け取り、センサ12から受け取った検知信号に含まれるセンサ識別子とともに撮影パラメータ算出手段28bに出力する。撮影パラメータ算出手段28bは、動体検出手段28aから受け取った設定パラメータを検知信号を出力したセンサ12のセンサ識別子と関連付けて記憶部20に記憶させる。
【0129】
ステップS56では、再移動信号が出力される。動体検出手段28aは、ロボット制御部26に再移動信号を出力する。ロボット制御部26は、通信部30を介して移動ロボット16へ再移動信号を出力する。これにより、移動ロボット16は再度移動を開始する。
【0130】
ステップS58では、十分な設定パラメータが取得されたかが判定される。撮影パラメータ算出手段28bは、センサ12の各々について設定パラメータが所定数以上蓄積された場合にはステップS60に処理を移行させ、そうでない場合にはステップS40に処理を戻す。
【0131】
ステップS60では、設定終了信号が出力される。撮影パラメータ算出手段28bは、モード設定部22に対して設定終了信号を出力する。モード設定部22は、撮影パラメータ算出手段28bから設定終了信号を受け取ると解除モード信号を出力する。これにより「設定モード」から「解除モード」にモードが変更される。
【0132】
ステップS62では、終了信号が出力される。撮影パラメータ算出手段28bは、ロボット制御部26に対して終了信号を出力する。ロボット制御部26は、終了信号を受けとると、通信部30を介して移動ロボット16に終了信号を送信する。これにより移動ロボット16が停止する。
【0133】
ステップS64では、撮影パラメータの算出及び記憶が行われる。撮影パラメータ算出手段28bは、動体検出手段28aから受け取った複数の設定パラメータを用いて、センサ12毎に検知範囲を過不足なくPTZカメラ14の画角に収めるための撮影パラメータを算出する。撮影パラメータ算出手段28bは、監視空間に設置されたすべてのセンサ12についてそれぞれ撮影パラメータを算出すると検知範囲撮影パラメータテーブルとして記憶部20に記憶させる。
【0134】
以下、図12を参照して、移動ロボット16の制御について説明する。移動ロボット16は、「設定モード」において以下の処理にて制御される。
【0135】
ステップS70では、移動ロボット16を前進させる処理が行われる。「設定モード」において監視装置10から起動信号を受けると移動ロボット16は前進を開始する。
【0136】
ステップS72では、停止信号を受信したか否かが判定される。移動ロボット16は、監視装置10から停止信号を受信した場合にはステップS74に処理を移行させ、受信していない場合にはステップS78に処理を移行させる。
【0137】
ステップS74では、停止制御が行われる。移動ロボット16は、停止信号の受信に応じて移動を停止させる。その後、ステップS76にて再移動信号を受信したか否かが判定される。移動ロボット16は、監視装置10から再移動信号を受信した場合にはステップS98に処理を移行させ、再移動信号を受信していない場合には受信するまで待機する。
【0138】
ステップS78では、衝突を検知したか否かが判定される。移動ロボット16は、衝突検知部にて壁や什器などの障害物に近づく又は衝突したことを検知した場合にはステップS80に処理を移行させ、衝突を検知していない場合にはステップS98に処理を移行させる。
【0139】
ステップS80では、タイマーが計時中であるか否かが判定される。タイマーは、衝突回数をカウントする期間を計時するためのタイマーである。タイマーは、移動ロボット16内に内蔵されていてもよいし、監視装置10等から計時時間を受信するようにしてもよい。タイマーが計時中であればステップS84に処理を移行させ、タイマーが計時中でなければステップS82にてタイマーでの計時を開始した後にステップS84に処理を移行させる。
【0140】
ステップS84では、衝突回数がカウントされる。衝突回数のカウントは、タイマーで計時されている期間内に移動ロボット16が衝突を検知した回数を計数するものである。衝突回数のカウントは、移動ロボット16内に内蔵されているカウンタで行ってもよいし、監視装置10等との通信により外部のカウンタにて行ってもよい。当該ステップでは、衝突回数を1増加させる。
【0141】
ステップS86では、所定時間が経過したか否かが判定される。タイマーで計時されている時間が所定の基準時間(例えば60秒)を経過した場合にはステップS96に処理を移行させ、経過していない場合にはステップS88に処理を移行させる。
【0142】
ステップS88では、衝突回数のカウントが所定回数以上であるか否かが判定される。ステップS84にてカウントされている衝突回数が所定の基準回数(例えば5回)以上となっていればステップS92に処理を移行させ、基準回数未満であればステップS90に処理を移行させる。
【0143】
ステップS90では、移動ロボット16の移動方向を小さく変更する処理が行われる。移動ロボット16は、モータの回転を一旦停止制御した後、モータ及びホイールを制御して移動方向を小さく変更する。ここで、移動方向を小さく変更するとは、後述するステップS92における移動方向の変更より程度が小さいことを意味する。例えば、移動ロボット16は、移動方向を10度変更する。その後、処理はステップS98に移行される。
【0144】
ステップS92では、移動ロボット16の移動方向を大きく変更する処理が行われる。移動ロボット16は、モータの回転を一旦停止制御した後、モータ及びホイールを制御して移動方向を大きく変更する。ここで、移動方向を大きく変更するとは、ステップS90における移動方向の変更より程度が大きいことを意味する。例えば、移動ロボット16は、移動方向を140度変更する。その後、ステップS94にてタイマーの計時を終了させ、ステップS96にて衝突回数のカウントをクリアしてステップS98に処理を移行させる。
【0145】
ステップS98では、終了信号を受信したか否かが判定される。移動ロボット16は、監視装置10から終了信号を受信していない場合にはステップS70に処理を戻し、受信した場合にはステップS100に処理を移行させて移動処理を終了させる。
【0146】
以上の処理により、移動ロボット16は、障害物に近づく又は衝突したことが検知されると移動方向を小さく変更して前進する。また、移動ロボット16は、所定の基準時間内に所定の基準回数以上だけ障害物への接近や衝突が検知された場合、移動方向を大きく変更してから前進する。このような制御により、移動ロボット16は、障害物に接近又は衝突する度に移動方向を変更して前進を行い、監視空間内を満遍なく走行することができる。
【0147】
[変形例]
上記実施の形態では、センサ12毎にその検知範囲をPTZカメラ14の画角内に過不足なく収めるための撮影パラメータを対応付けるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、複数のセンサ12が同時に検知する範囲を検知範囲として、その検知範囲をPTZカメラ14の画角内に過不足なく収めるための撮影パラメータを対応付けるようにしてもよい。
【0148】
具体的には、センサ識別子「1」のセンサ12のみが検知する範囲、センサ識別子「2」のセンサ12のみが検知する範囲、センサ識別子「3」のセンサ12のみが検知する範囲、センサ識別子「1」と「2」の2つのセンサ12の両方が検知する範囲、センサ識別子「1」と「3」の2つのセンサ12の両方が検知する範囲、センサ識別子「2」と「3」のセンサ12の両方が検知する範囲のそれぞれについて、撮影パラメータを算出して、検知範囲撮影パラメータテーブルを生成してもよい。この場合、監視部32は、複数のセンサ12の検知信号を所定時間内(同時とみなせる時間内)に受け取った場合に、検知範囲撮影パラメータテーブルを参照して、そのセンサ12の組み合せに対応する撮影パラメータを取得して、PTZカメラ14を制御すればよい。
【0149】
また、上記実施の形態では、センサ12が移動物体を検知したときに送信される検知信号を用いて設定パラメータを取得したが、これに限定されるものではない。例えば、センサ12が移動物体を検知したときだけでなく、センサ12が移動物体を検知している状態から検知しなくなった状態に移行したときにも設定パラメータを取得するようにしてもよい。この場合、センサ12から移動物体を検知しなくなった旨の信号(上記の非検知変化信号)を出力し、監視装置10において受信すればよい。
【0150】
また、上記実施の形態におけるセンサ12は、検知範囲に移動物体が入ったときに検知信号を送信するものであるが、検知範囲内に移動物体が存在する間は検知信号を送信し続けるようにしてもよい。この場合、検知信号を受信する度に設定パラメータを取得してもよい。また、センサ12から検知信号を受信する度に設定パラメータを取得するのではなく、センサ12が検知していない状態から検知した状態に変化したときに設定パラメータを取得するようにしてもよい。この場合、センサ12から移動物体を検知していない旨の信号(非検知信号)を都度受信するようにして、非検知信号の次に検知信号を受信した場合に設定パラメータを取得すればよい。また、監視装置10側でセンサ12の検知信号の受信及び非受信を時系列で判定して、センサ12が検知していない状態から検知した状態になったことを検出して設定パラメータを取得するようにしてもよい。また、監視装置10にて、移動ロボット16から衝突検知の結果(衝突信号)を取得するようにして、衝突信号とセンサ12の検知信号を受信した場合、センサ12の検知している状態が連続していても設定パラメータを取得するようにしてもよい。これは、検知状態の断続を設定パラメータの条件とした場合、監視領域の壁等の付近に検知範囲があると設定パラメータを取得できなくなってしまうことを避けるためである。
【0151】
また、センサ12の検知範囲内に移動物体が入ったときに検知信号を送る場合であっても、非検知変化信号や衝突信号を参照して、検知信号を受信してから非検知変化信号を受信するまでの間に衝突信号を受信した場合には、その時点で設定パラメータの取得を行うようにしてもよい。これにより、部屋の壁際にセンサ12の検知範囲があるときに設定パラメータを取得できなくなってしまうことを回避することができる。
【0152】
また、PTZカメラ14におけるパン方向の可動範囲を「0度〜180度」としたが、これに限定されるものではない。例えば、パン方向の可動範囲が「0〜360度」のPTZカメラ14を用いてもよい。
【0153】
この場合、図13に示すように、パン中心角度とパン範囲を算出する。まず、センサ12に対応付けられた複数の設定パラメータのパン角度にPTZカメラ14を向けた時の光軸方向をすべて含む最小の角度範囲を求める。その最小の角度範囲が、PTZカメラ14の最大画角のパン範囲(例えば、60度)内に収まる場合には、その最小の角度範囲をパン範囲とする。また、同様に、そのパン範囲の中心の値をパン中心角度とする。
【0154】
図13(a)は、あるセンサ識別子のセンサ12に対応付けられた設定パラメータ(A、B、C)について、そのパン角度とそのパン角度にPTZカメラ14を向けた時の光軸(一点鎖線)の方向をそれぞれ示す。この場合、最小の角度範囲は、10度の光軸から315度の光軸までの55度となる。したがって、パン範囲は「55度」、パン中心角度は「342.5度」とされる。
【0155】
一方、PTZカメラ14の最大画角のパン範囲(例えば、60度)内に収まらない場合は、PTZカメラ14を最大画角(最も広角)で撮影してもセンサ12の検知範囲を過不足なく画角内に収めることができない。このため、PTZカメラ14やセンサ12の設置位置を変更する必要がある。したがって、通信部30などを介して、外部(設定者などの所持する端末や監視センタ)にその旨の通知をする。
【0156】
図13(b)は、あるセンサ識別子のセンサ12に対応付けられた設定パラメータ(A、B、C、D)について、そのパン角度とそのパン角度にPTZカメラ14を向けた時の光軸(一点鎖線)の方向を示す。この場合、最小の角度範囲は、図13(b)に示すように、135度の光軸から315度の光軸までの180度となる。したがって、最大広角の「60度」を超えており、外部(設定者などの所持する端末や監視センタ)にPTZカメラ14やセンサ12の設置位置を変更する必要がある旨の通知をする。
【符号の説明】
【0157】
10 監視装置、12 センサ、14 カメラ、16 移動ロボット、20 記憶部、22 モード設定部、24 カメラ制御部、26 ロボット制御部、28 設定部、28a 動体検出手段、28b 撮影パラメータ算出手段、30 通信部、32 監視部、34 出力部、100 監視システム、300 画角、302 検知範囲、304 侵入者、306 人物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14