特許第6469751号(P6469751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6469751ケーブルをストリップするための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469751
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】ケーブルをストリップするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20190204BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20190204BHJP
   G01B 21/06 20060101ALI20190204BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   H02G1/12 056
   H01B13/00 521
   G01B21/06 101
   B26D3/00 603Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-79782(P2017-79782)
(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-200429(P2017-200429A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】16166466.9
(32)【優先日】2016年4月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503231561
【氏名又は名称】コマツクス・ホールデイング・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ビビロリ
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−079157(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/002721(WO,A1)
【文献】 特開2011−188669(JP,A)
【文献】 特開平02−151221(JP,A)
【文献】 特開2008−061460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
B26D 3/00
G01B 21/06
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御デバイス(9)と少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)とを備えたストリップデバイス(1)を用いて、絶縁被覆(82)で包囲された少なくとも1つの導体(81)を備えたケーブル(8)のストリップおよび試験を行うための方法であって、
a)第1のフェーズにおいて、縦方向(x)に伸びるケーブル(8)の絶縁被覆(82)の切断のために、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)を横断方向(y)に伸長するステップと、
b)第2のフェーズにおいて、切断された絶縁被覆(82)を剥ぎ取るために、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)を、ケーブル(8)に対して、導体(81)と平行な縦方向(x)に変位させるステップと、
c)第1のフェーズおよび/または第2のフェーズにおいて、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)による導体(81)への少なくとも第1の接触を検出するステップと、
d)接触が検出されると、接触を取り除くために、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)を横断方向(y)に後退させるステップと、
を含む方法において、
e)少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の移動データが、導体(81)の接触の時刻において記録され、
f)問題になっている導体(81)の接触に関し、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)のさらなる移動進路が、確認された移動データから決定され、場合に応じて、対応する局所品質値(QL)が形成され、
g)局所品質値(QL)が形成される限りにおいて、導体(81)の品質が要件を満たすかどうかを確認するため、局所品質値(QL)が、品質仕様(QR)と比較され
少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)が導体(81)の中に貫入するときに結果的に生じる最大の許容可能なノッチのための最大プロファイル(pMAX)が、品質仕様(QR)として確立され、最大プロファイル(pMAX)は、好ましくは、少なくとも、最大の許容可能な貫入深度(eMAX)および/または最大の許容可能な貫入長(lMAX)を含む、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の移動データが、横断方向(y)の移動および/または縦方向(x)の移動に関し、接触の継続時間の間、記録されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のフェーズおよび/または第2のフェーズにおいて、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の導体(81)への貫入深度(e)が、接触の間に確認された移動データに基づいて局所品質値(QL)として決定され、好ましくは、品質仕様(QR)として最大の許容可能な貫入深度(eMAX)と比較されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2のフェーズにおいて、貫入長(l)が、接触の間に確認された移動データに基づいて局所品質値(QL)として決定され、好ましくは、品質仕様(QR)として最大の許容可能な貫入長(lMAX)と比較されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
駆動デバイス(51)のデバイスパラメータ(DP)および/または少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)のブレードパラメータ(MP)および/またはケーブル(8)のケーブルパラメータ(CP)が、貫入深度(e)および/または貫入長(l)の決定のために追加的に考慮されることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
a)少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)に接続された、移動された部分の質量、第1および/または第2の駆動(51、52)の特性、ならびに、好ましくは、スイッチング遅延が、デバイスパラメータ(DP)として考慮され、かつ/または
b)少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の形状が、ブレードパラメータ(MP)として考慮され、かつ/または
c)ケーブルの幾何学的形状、特に導体(81)の直径と、導体(81)と絶縁被覆(82)との強度とが、ケーブルパラメータ(CP)として考慮される
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ケーブル(8)の中への切開深度(s)の以前に確立された値が、検出された接触のうちの少なくとも1つに基づいて常に最適化され、第1の駆動(51)は、横断方向(y)に伸長されるときの少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の速度が、最適化された切開深度(s)に到達したときに、固定された限界値未満であるように調節されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
横断方向(y)における少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の後退のためのパラメータが、導体(81)の接触が取り除かれるように、決定された貫入深度(e)に応じて選択されることを特徴とする、請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の横断方向(y)の後退の後で、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)が絶縁被覆(82)の切断の間に伸長された速度よりも低い速度、好ましくは数倍低い速度で、再び横断方向(y)に伸長されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
切断された絶縁被覆(82)を剥ぎ取るための少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の縦方向(x)の変位が、導体(81)への接触の検出の後、接触が取り除かれるまで遅延もしくは停止され、かつ/または、切断された絶縁被覆(82)を剥ぎ取るための少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の縦方向(x)の変位が、接触が取り除かれた後で加速されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
移動データ、特に、一方で位置と、他方で横断方向(y)および縦方向(x)における経路および/または速度、および/または加速度とが、各接触に関して記録されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
最大プロファイル(pMAX)またはその一部が、縦方向の変位(x)に応じて変更され、最大の許容可能な貫入深度(eMAX)および/または最大の許容可能な貫入長(lMAX)が、好ましくは、縦方向の変位(x)に応じて、少なくとも1つの重み因子を用いて重み付けされることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
局所品質値(QL1、QL2、...、QLn)が、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)と導体(81)との各接触に関する確認された移動データから各ケースにおいて形成され、全体品質値(QG)は、局所品質値(QL1、QL2、...、QLn)から形成され、導体(81)の品質が要件を満たすかどうかを確認するために、品質仕様(QR)と比較されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を用いることにより、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)でケーブル(8)のストリップおよび試験を行うのに適した、ストリップデバイス(1)。
【請求項15】
保持デバイス(10)が提供され、保持デバイス(10)により、ケーブル(8)が、第1および第2の駆動(51、52)を用いて、縦方向(x)に位置合わせされて、任意選択により軸方向に変位可能に保持され、第1および第2の駆動によって少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)が、制御デバイス(9)を用いて、導体(81)に向かって伸長され、横断方向(y)に後退させられ、導体(81)に平行な縦方向(x)に変位可能であり、制御デバイス(9)が、制御プログラム(90)により、少なくとも1つのストリップブレード(4、4’)の移動データをモニタし、第1および第2の駆動(51、52)を制御し、導体(81)のストリップされた端部片(810)の品質をチェックすることを特徴とする、請求項14に記載のストリップデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケーブルをストリップするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気ケーブルは、プラスチック製の絶縁被覆に加え、たとえばワイヤまたはストランドなど、少なくとも1つの導体を備えているが、絶縁被覆は、その導体をその長さに沿って包囲し電気的に絶縁している。ケーブルを他の電気的コンポーネント(たとえば、プラグ、端子)に接続するためは、絶縁被覆の一部が、ケーブルの一端において除去されて導体が露出される。絶縁被覆を除去するこの手順は、ストリップとも称される。
【0003】
ストリッププロセスは、今日では、ストリップブレードを含むデバイスによって、自動的に行われるのが通常である。ストリップブレードの移動により絶縁被覆を切断しそれを導体から剥ぎ取るために、好ましくは、直線に沿った対向する方向からケーブルに向かって変位可能な2つのストリップブレードが提供される。
【0004】
このストリッププロセスでは、理想的には、ストリップブレードが導体に触れることなく、絶縁被覆が完全に切断され剥ぎ取られるべきである。しかし、ストリップブレードによる導体への接触は絶縁被覆の切断を知らせるために用いられるため、ストリップが実行される領域における導体との短い接触が望まれる。したがって、現実には、導体とのこの短い接触の間の損傷を回避することが重要である。
【0005】
したがって、ストリップパラメータの選択には、対立が存在する。導体への損傷を回避するために、切開深度が十分に大きく選択されない場合には、導体が接触されることは期待されないし、絶縁被覆の内部への切開が十分に行われない場合には、剥ぎ取る間に絶縁被覆がちぎれてしまい、きれいな絶縁エッジが生じないということが発生し得る。さらには、絶縁被覆がストリップブレードからすり抜けてしまい、完全に剥ぎ取られないこともあり得る。
【0006】
他方で、切開深度の選択が大き過ぎる場合には、結果的に導体への損傷が生じ、それにより、処理されたケーブルの使用ができなくなってしまう可能性があり得る。さらに、ストリップブレードに対する応力も生じる。
【0007】
この問題を避けるため、WO2014/060218A1では、容量センサを用いてストリップブレードによる導体への接触を検出し、接触が存在する場合には、ストリップブレードを再調整することが提案されている。この目的のため、参照センサがある電圧を用いて充電され、好ましくは周期的に、ストリップブレードが金属製の導体との接触を生じる場合には増加するストリップブレードのキャパシタンスに接続される。ストリップブレードが導体に接触するかしないかに応じて、その結果として、参照キャパシタの充電の変化と電圧の対応する変化とが生じ、接触が存在するかどうかを確認するために、これが参照値と比較される。
【0008】
ストリッププロセスをさらに改善するために、EP2919340A1では、それによりストリップパラメータが最適化される方法が提案されている。この目的のため、導体が接触されている切開深度が、オプションである第1のフェーズで決定される。第2のフェーズにおいて、絶縁被覆の切断および剥ぎ取りを伴うストリップが行われる。絶縁被覆の切断の後では、ストリップブレードが、所定の寸法だけ離れるように移動されるのであるが、これは、いわゆるウェイバックであり、切断された絶縁被覆の剥ぎ取りの間、もはや導体への接触は存在しないが、絶縁被覆は確実に保持されるように選択される。第2のフェーズにおいては、一方で絶縁被覆を切断し他方で絶縁被覆を剥ぎ取る間に導体へのさらなる接触が生じなくなるまで、ケーブルが、連続的にストリップされる。オプションである第3のフェーズにおいて、最適なストリップパラメータを用いて処理されたケーブルが、最適化の結果をチェックするために、視覚的に検査される。
【0009】
しかし、注意すべきであるが、ケーブルの幾何学的形状は、不明である場合が多く、ケーブルの長さ全体に亘り一定でないこともある。ケーブルの幾何学的形状は、同じケーブルの束の内部でも、製造バッチごとに変化することがあり、その場合には、以前に最適化されたストリップパラメータが、もはや満足できるものではないことになる。また、ストリップパラメータの決定を知っておくためには、複数の切開が統計的に評価されなければならず、それには時間を要するし、材料の廃棄にも至る。フェーズ3における導体の視覚的検査もまた、相当な支出につながる。
【0010】
述べたように、ストリップブレードによる導体への接触のすべてが重要であるとは限らない。ストリップされたケーブルのどれが品質要件を満たすのかを確立するために、ストリッププロセスをモニタするためのEP2717399A1が、提案されている。絶縁被覆を切断した後の、剥ぎ取りプロセスの間に、そこでストリップブレードのうちの少なくとも1つが導体に接触したと検出デバイスによって決定されるストリップブレードの長さ位置が、決定される。そこで導体への接触が生じたという長さ位置の評価が、ストリップされたケーブルの分類を可能にする。
【0011】
述べられている方法によると、ストリップパラメータが各点ごとに最適化されることが可能になり、処理されたケーブルの品質分析と分類とが各点ごとに行われることが可能になる。しかし、ストリップデバイスの動作パラメータを最適化するために説明されているプロセスは、依然として、非常に多くの時間を要する。
【0012】
導体への説明されている接触が生じると、導体が損傷されるだけでなく、ストリップブレードも応力を受け、より大きな摩耗の対象となる、ということが、さらに注意されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2014/060218号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2919340号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2717399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の根底にある課題は、説明されているストリップ方法をさらに改善させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
特に、方法が発明され、その助けによると、ケーブルのストリップのパフォーマンスにおける精度を向上させることが可能で、ストリップブレードに対する応力とストリップデバイスに関する維持費用とを対応して減らすことが可能になる。導体に対する容認不可能な損傷と、絶縁被覆の不完全な切断とが、ほとんどの場合に回避される。他方で、欠陥を有するようにストリップされたケーブルは、直ちに識別される。
【0016】
最適化されたストリップパラメータは、より迅速に、より低いコストで、決定されることが可能になるはずである。本発明による方法を用いると、ストリップパラメータもまた、ケーブルの特性の変化に対して直ちに適応されることが可能になるはずである。切開深度と、いわゆる「ウェイバック」、すなわち切開の後でストリップブレードが僅かに後退するすなわち再度開いてしまうという後退方向の移動とに対し、いずれの場合でも行う必要があり得る再調整は、自動的に高い精度で生じる。ストリップブレードを離隔し過ぎた状態まで移動させることは、絶縁被覆の層の厚さが小さい場合には特に致命的であるが、回避されることになる。ストリップされたケーブルの視覚的検査も、要求されないはずである。ケーブルの検査と、規定されている品質規準を満たさないストリップ済みケーブルの確認とが、自動的により高い精度で実行されるはずである。
【0017】
ストリップされた導体の端部部分の品質は、容易で効率的に、決定されるはずである。ストリップされたケーブルによって満たされるべき品質規準は、ユーザに望まれるように、確立されるはずである。
【0018】
この課題は、請求項1および15にそれぞれ記載の方法およびストリップデバイスによって解決される。本発明の有利な実施形態は、それ以降の請求項で与えられている。
【0019】
本発明の方法は、絶縁被覆で包囲された少なくとも1つの導体を備えたケーブルのストリップおよび試験を行うために用いられ、本発明では、制御デバイスと少なくとも1つのストリップブレードとを備えたストリップデバイスが、用いられる。たとえば、ストリップデバイスの少なくとも1つのストリップブレードは、第1の駆動によって、導体に向けて伸長させ横断方向に後退させることが可能であり、第2の駆動によって、導体と平行な縦方向に変位させることが可能である。この方法は、以下のステップを含む。第1のフェーズにおいて、少なくとも1つのストリップブレードが、絶縁被覆またはケーブル被覆を切断するために、縦方向に伸びるケーブルに向かい、横断方向に伸長される。好ましくは、横断方向に相互に向かう方向に変位可能な2つのストリップブレードが、提供される。したがって、以下においては、2つのストリップブレードを備えたストリップデバイスの好適実施形態だけが、言及される。
【0020】
第2のフェーズにおいて、絶縁被覆の切断された部分を導体から剥ぎ取り、導体を露出させるために、ストリップブレードが、ケーブルに対して、縦方向に変位される。絶縁を剥ぎ取るためのこの相対的移動は、たとえば、ケーブルを固定された状態で保持しながら1つまたは複数のストリップブレードを変位させること、または、1つまたは複数のストリップブレードを固定された状態で保持しながらケーブルを変位させること、を含むが、さらには、上述した移動パターンがいずれかのように混合された形態も考えられ得る。第1のフェーズおよび/または第2のフェーズにおいて、ストリップブレードによる導体への少なくとも第1の接触が、検出される。接触の検出の後では、接触を再び取り除くために、ストリップブレードが、横断方向に後退させられる。
【0021】
本発明によると、ストリップブレードの移動データは、導体との接触の時点で、直ちに記録される。関心の対象である導体との接触に関しては、ケーブルとの関係におけるストリップブレードのさらなる移動進路が、利用可能な移動データから決定される。たとえば、移動進路の解析は、品質モニタリングに用いられ得ることにより、欠陥のあるケーブルが容易に排除されることが可能になる。移動データは、プロセスが改良されるようにストリップブレードまたはケーブルの移動を制御するのに、用いられ得る。ストリップブレードのさらなる移動進路と、それからの対応する局所品質値が利用可能な移動データから形成されるならば、それは特に有利であり、ここで、前記品質値は、導体の品質がユーザによって設定された要件を満たすかどうかを確認するために、品質仕様と比較される。2つのストリップブレードが提供されるときでさえ、結果的に、ただ1つのノッチだけが導体に生じる。しかし、配置は想像可能であり、2つのストリップブレードに起因して、2つのほとんど同一のノッチが導体に生じ、これは、導体との接触の後のストリップブレードのさらなるまたは外挿された移動進路に対応する。
【0022】
横断方向および縦方向に踏破された経路の一方側および他方側におけるストリップブレードの位置、および/または、速度、および/または、加速度が、好ましくは、各接触に対する移動データとして記録される。これらの運動学的な大きさは、位置センサ、速度センサおよび加速度センサによって、決定され得る。これらの運動学的な大きさは、駆動をモニタすることによって、特に有利に決定され得る。踏破された距離は、駆動モータの軸の回転数に比例する。ストリップブレードの速度は、たとえば、駆動モータの軸の回転速度に対応し、ストリップブレードの加速度は、たとえば、駆動モータの軸の回転速度の変化に対応する。よって、移動データは、ストリップブレードの位置を含め、駆動デバイスから遅延なく導出され得る。さらには、発生している力もまた、測定可能であり、考慮され得る。
【0023】
接触プロファイルまたはノッチプロファイルを作成するために、移動データは、好ましくは接触の開始時においてだけではなく接触の時間全体を通じて、そして、好ましくは横断方向の移動および/または縦方向の移動に関して連続的に、記録され評価される。
【0024】
ストリップブレードが貫入するときに、その結果としてノッチが生じるが、前記ノッチは、第1のフェーズにおいて、絶縁被覆の切断の間に、導体の中心軸に向かって半径方向に走る。第2のフェーズで接触が生じる場合には、ストリップブレードの切削端が、一方では導体の縦軸に向かい、他方では縦方向の縦軸と平行に、変位されるが、その結果として対応するノッチプロファイルが生じる。
【0025】
第1および第2のフェーズにおけるノッチプロファイルの進路は、主に、接触の時点におけるストリップブレードの移動に左右され、その理由により、結果的なノッチプロファイルは、ストリップブレードの移動データに基づいて有利に決定され得る。
【0026】
ノッチプロファイルは、したがって、たとえば複雑で細かな業務における顕微鏡の助けを借りて視覚的に決定されることはもはや不要であり、それどころか最短可能時間で入手可能である。制御デバイスに提供されているマイクロプロセッサの数クロックサイクルの後で入手可能な仮想的なノッチプロファイルは、一方では導体の端部片をチェックするために用いられ得るし、他方では駆動ユニットの動作パラメータを最適化するために用いられ得る。
【0027】
接触の開始時におよび/または接触の継続時間の間に第1のフェーズおよび/または第2のフェーズで記録された移動データによると、たとえば、ストリップブレードの導体の中への貫入深度を、局所品質値として決定することが可能になる。決定された貫入深度は、ストリップされたケーブルがユーザの要件を満たすかどうかを確認するために、品質仕様として利用可能である最大の許容可能な貫入深度との比較が可能である。
【0028】
第2のフェーズにおいて、貫入長が、好ましくは、局所品質値として移動データに基づいて決定されて、好ましくは、品質仕様として、最大の許容可能な貫入長と比較される。本発明による方法は、任意のノッチプロファイルを決定すること、そして、そのノッチプロファイルを対応する品質仕様と比較することを可能にする。
【0029】
さらには、駆動デバイスのデバイスパラメータ、および/または、ストリップブレードのブレードパラメータ、および/または、ケーブルのケーブルパラメータが、好ましくは、貫入深度および/もしくは貫入長または全体のノッチプロファイルを決定するために、考慮される。少なくとも1つのストリップブレードに接続された移動されたデバイスの部分の質量、第1および/または第2の駆動の特性、ならびに好ましくは発生したスイッチング遅延が、デバイスパラメータとして考慮される。小さな質量が移動される場合には、駆動は、小さな遅延と取得されたスイッチング信号で機能し、測定信号と制御信号とが小さな遅延で利用可能であり、より小さなノッチプロファイルが結果的に生じる。そうでない場合には、対応するより大きなノッチプロファイルが結果的に生じる。
【0030】
さらに、その切削端はたとえばVの形状、円弧の形状またはのこぎり歯の形状を有しより大きなまたはより小さな開口角度を有するストリップブレードの形状は、ノッチプロファイルと関連している。
【0031】
ケーブルの幾何学的形状、特に導体の直径、および強度も、ケーブルパラメータと特に関連する。絶縁被覆の直径および強度もまた、好ましくは、考慮される。ケーブルパラメータが変化する場合には、仮想的なノッチプロファイルが、対応して、適応される。強度がより小さい導体に対しては、より大きな貫入深度が予測される。
【0032】
ノッチプロファイルを決定するときには、経験的な値または特性曲線を用いて作業することが好ましいのであって、その場合に、デバイスパラメータ、および/または、ブレードパラメータ、および/または、ケーブルパラメータが、追加的に考慮される。たとえば、異なる移動データに対するノッチプロファイルが、記録される。これらのノッチプロファイルは、したがって、対応する移動データが存在するときに、データベースから抽出され得る。ケーブルパラメータは、好ましくは、品質仕様を確立するのにも用いられる。導体(たとえば、ワイヤまたはストランド)がより大きな半径を有する場合には、より大きな絶対貫入深度が許容され得る。好ましくは、したがって、半径に対する貫入深度の比率からもたらされる相対貫入深度が、予測される。たとえば、5%未満の貫入深度が許容される。
【0033】
ストリッププロセスの開始においては、絶縁被覆が完全に切断されるが導体は損傷を受けないことが期待される切開深度が、好ましくは、仮に確立される。切開深度のこの値は、検出された接触のうちの少なくとも1つに基づいて、絶えず最適化されるのであるが、第1の駆動は、好ましくは、少なくとも1つのストリップブレードの横断方向に伸長されるときの速度が、それが最適化された切開深度に到達したときに固定された限界値よりも下にあるように、調整される。この限界値は、たとえば、ゼロまたはゼロに近い値であり得る。したがって、この効果は、ストリップブレードが導体の中に貫入する速度は、場合によっては、既に低下されていて、導体へのより大きな損傷またはストリップブレードの対応する応力が回避され得ることである。
【0034】
横断方向にストリップブレードが後退するためのパラメータは、好ましくは、決定された貫入深度に応じて、導体への接触が取り除かれるように、選択される。ストリップブレードが後退させられるときには(ウェイバック)、ストリップブレードは、広く開放されることが回避されるべきであり、切断された絶縁被覆との要求される接触が失われることが回避される。これは、絶縁被覆の層の厚さが小さな場合には、特に重要である。本発明による方法は、決定された貫入深度に基づいて、導体との接触が取り除かれ切断された絶縁被覆が依然として確実に保持されるようにだけ、ストリップブレードが広く開放された状態であることを可能にする。ストリップブレードの小移動を、したがって、導体の直径の変化に迅速に適応させることが可能である。
【0035】
ストリッププロセスをさらに改善するため、好ましくは、ストリップブレードを横断方向に後退させた後で、絶縁被覆の切断の間にストリップブレードが伸長されたときの速度よりも低い速度、好ましくは数倍低い速度で、ストリップブレードが再び横断方向に伸長されるように、構成される。この重要なプロセスのステップにより、導体表面に対するストリップブレードの位置の連続的な適応が生じる。ストリップブレードが導体表面の進路に従うことにより、相当な起伏を有する導体表面を有するケーブルでさえも、高い信頼性でストリップされることが可能になる。
【0036】
さらに好適な実施形態では、切断された絶縁被覆を剥ぎ取るためのケーブルに対する縦方向のストリップブレードの変位は、導体への接触が検出された後では、その接触が取り除かれるまで、遅延されるか、または、停止される。このようにして、貫入長またはノッチ長、したがって、一方ではノッチプロファイルの体積とストリップブレードの応力とが相当に減り、それにより、ストリッププロセスの間のそれらの摩耗が著しく減少する。ストリップデバイスのための維持費用も、それに対応して減らされる。
【0037】
好ましくは、切断された絶縁被覆の剥ぎ取りのためのストリップブレードの縦方向の変位は、接触が取り除かれた後で再び加速されるが、それにより、ストリッププロセスは、ストリップブレードとケーブルとを注意深く扱っているにもかかわらず、高いサイクル速度で進行することが可能になる。
【0038】
品質仕様として、ストリップブレードが導体の中に貫入するときに結果として生じる最大の許容可能なノッチに対し、好ましくは、最大プロファイルが確立される。この最大プロファイルは、好ましくは最大の許容可能な貫入深度と最大の許容可能な貫入長とを含むのであるが、好ましくは、ケーブルの幾何学的形状とケーブル材料の強度とに応じて選択される。
【0039】
最大プロファイルは、好ましくは、ストリップブレードの縦方向の変位に応じて変更される。たとえば、最大の許容可能な貫入深度および/または最大の許容可能な貫入長は、縦方向の変位に応じて、少なくとも1つの重み因子を用いて、重み付けされる。たとえば、絶縁被覆の切断領域における最大の貫入深度と導体の端部における最大の貫入深度とが確立され、それらの間に存在する最大の許容可能な貫入深度と貫入長とが、対応して選択される。たとえば、1.00から0.75の変位に対して線形に変化する重み因子が、用いられる。
【0040】
さらに好適な実施形態では、少なくとも1つのストリップブレードの導体への各接触に対する確認された移動データから、局所品質値が、各ケースにおいて形成される。その後に、全体的な品質値が、説明されたように、好ましく重み付けされた局所品質値から形成されるのであるが、前記全体的な品質値は、導体の品質が要件を満たすかどうかを確認するために、品質仕様と比較される。このようにして導体を確認することが可能になるが、その場合、貫入深度と貫入長との許容可能な値を超えていないが、多数の脆弱性に起因する相当な品質上の欠陥が存在している。
【0041】
以下では、本発明によるデバイスが、好適な実施形態における例を用いて、図面の助けを借りながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1および第2の駆動51、52によって駆動される2つのストリップブレード4、4’を備えた本発明によるストリップデバイス1を示す図であり、絶縁被覆82で包囲された導体81を含むケーブル8は、これらのストリップブレード4、4’を用いて、本発明による方法によって、ストリップされ得る。
図2】ストリップブレード4の3つの異なる移動進路を有する第1の図であり、ストリップブレード4は、ストリッププロセスの第1のフェーズにおいて、絶縁被覆82を切断するために、時間に応じて、導体81に対して法線方向である横断方向の軸yに沿って伸長され、再び後退される(ウェイバック)。
図3】第2のフェーズにおけるストリップブレード4の移動進路を有する第2の図であり、第2のフェーズにおいて、絶縁被覆82の切断された部分が、縦軸xに沿って剥ぎ取られる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、好適な実施形態における、本発明によるストリップデバイス1を示しており、ケーブル8を固定された状態でまたはその縦軸81xに沿って軸方向に変位可能に保持する保持デバイス10を備えている。ストリップデバイス1は、相互に向かう横断方向軸yと、縦軸xとに沿って変位可能な2つのストリップブレード4、4’を備えており、これらのストリップブレード4、4’を用いて、絶縁被覆82によって包囲された導体81を含むストリップブレードケーブル8が、ストリップされ得る。ストリップの結果として、導体81の端部片810が露出されるのであるが、この端部片810は、この後の動作ステップで、たとえばケーブルラグなどの接触要素に接続され得る。
【0044】
2つのストリップブレード4、4’を駆動するために、2つの駆動ユニット51、52が提供される。ストリップブレード4、4’は、第1の駆動ユニット51により、導体81に向かって、縦軸xに対して法線方向である横断方向yに変位され得る。ストリップブレード4、4’は、したがって、それらのVの形状を有する切削端を用いて絶縁被覆82を切断するため、相互に向かって伸長され、後退されることが可能である。ストリップブレード4、4’は、絶縁被覆82の切断された部分を剥ぎ取るために、第2の駆動ユニット52により、導体81の縦軸81xと平行な縦方向xに変位され得る。この実施形態における例のようにストリップブレード4、4’を縦方向に変位させる代わりに、たとえば、ストリップブレード4、4’を固定状態のまま保持しながら、保持デバイス10によるケーブル8の変位が実行される変形例も、考察され得る。ストリップブレードの移動データが記録され処理される後述の方法を、絶縁被覆82の剥ぎ取りと縦方向に移動されるケーブル8とのためにストリップブレード4、4’が固定された状態で保持されるストリップデバイス1にも、同様に適用することが可能である。
【0045】
ストリップブレード4、4’の移動データは、2つの駆動ユニット51、52によって利用可能になり、要求に応じて変換される。たとえばステッピングモータなどの電気モータが駆動ユニット51、52において用いられる限り、モータ軸の回転を検出して、ストリップブレード4、4’の横断方向yまたは縦方向xにおける対応する変位に変換することが可能である。回転速度と回転速度の変化とを考慮することによって、変位の間のストリップブレード4、4’の速度および加速度もまた、決定され得る。ストリップブレード4、4’の移動データは、センサライン511、521を経由して、駆動ユニット51、52から制御デバイス9に伝送される。
【0046】
ストリップブレード4、4’は、また、空気圧駆動など、他の駆動デバイスによって駆動されることも可能である。ストリップブレード4、4’の移動データは、また、駆動ユニット51、52とは別個の、光学的、容量性および誘導性センサなど、さらなるセンサによって供給されることもあり得る。
【0047】
ストリップデバイス1は、また、検出デバイス6を備えており、この検出デバイス6により、ストリップブレード4、4’による導体81への接触が検出される。これは、たとえば、ストリップブレード4、4’に接続されることが可能であり導体81への接触が生じるとそのキャパシタンスが増加する参照キャパシタにおける電圧変化を測定することによって、行われる。
【0048】
導体81への接触の検出は、また、別の方法でも、たとえば、ストリップブレード4、4’から導体81への電気信号のガルバニック伝送によっても行われ得るが、この場合に、導体81は、好ましくは、別の地点の導体81から容量的に分離されている。ケーブル8は、いわゆる漏れ線として用いられる。検出デバイス6は、信号線61を経由して制御デバイス9に接続され、制御デバイス9は、制御線512、522を経由して、第1および第2の駆動ユニット51、52を制御することができる。
【0049】
駆動ユニット51、52および検出デバイス6から到着する情報は、本発明による方法を実行するように設計された動作プログラムまたは制御プログラム90では、制御デバイス9で処理される。
【0050】
本発明による方法の実行においては、制御プログラム90が、好ましくは、リスト50に格納されているデバイスパラメータDPおよび測定パラメータMP、リスト80に格納されているケーブルパラメータCP、およびリスト90に格納されている品質仕様QRなど、他の情報を考慮する。
【0051】
制御プログラム90により、局所品質パラメータQL、またはより正確にはストリップブレード4、4’による導体81への各接触に対するQL1、QL2...と、導体81のストリップされた端部片310に対する全体としての品質値QGと、決定Dとが、その後で決定され得るのであって、この決定により、ストリップされたケーブル8がそれ以後の製造プロセスのために用いられ得るのか、または、廃棄されなければならないのかが確認される。
【0052】
導体81をストリップするプロセスは、以下のステップを含む。第1のフェーズにおいて、縦方向xに伸びるケーブル8の絶縁被覆82を切断するために、ストリップブレード4、4’が、相互に向かい、横断方向yに伸長される。第2のフェーズにおいて、切断された絶縁被覆82を導体81から剥ぎ取るために、ストリップブレード4、4’が、縦方向xに変位される。第1のフェーズおよび/または第2のフェーズにおいて、すべての接触が、または、個別的な接触だけが、検出されることも可能である。接触が検出された後では、導体81への接触を取り除くために、好ましくは最大速度で、ストリップブレード4、4’が、横断方向yに再び後退させられる。
【0053】
導体81の縦軸81xに対して法線方向である横断方向yにおけるストリップブレード4、4’の伸長および後退、すなわち前進および復帰運動には、二重線の矢印dyという記号が付されている。縦方向xにおけるストリップブレード4、4’の変位には、矢印dxという記号が付されている。
【0054】
ストリッププロセスを改善するために、ストリップブレード4、4’の移動データが、導体81への接触の時点で、記録される。利用可能なデータに基づき、ストリップブレード4、4’のさらなる移動進路が、その後で決定されるが、その際には、それによって駆動ユニット51、52が切り換えられる切り換え手順が考慮される。すべての利用可能なデータに基づいて、導体81またはその一部の内部におけるストリップブレード4、4’の移動進路を外挿することが可能である。好ましくは、ストリップブレード4、4’の移動データは、始動時だけではなく、横断方向yの移動および/または縦方向xの移動に関する接触の継続時間全体の間にも、記録される。
【0055】
移動進路の決定または実際の移動進路のシミュレーションは、単なる1次元に限定され得るし、好ましくは2次元にまたは3次元にさえ拡張され得るのであるが、それにより、導体81におけるノッチの空間的プロファイルが、損傷を受けた導体81の視覚的な検査がなくても、全体としてまたは部分的に、決定され得る。この接触およびその結果として生じるノッチに対する局所品質値QLは、したがって、ストリップブレード4、4’の外挿された移動進路または決定されたノッチプロファイルの対応するデータに基づいて、ほとんど遅延なく、決定され得る。
【0056】
ノッチに関する確認されたデータの評価は、原理的に、どのような方法であっても行い得る。
【0057】
決定された局所品質値QLは、好ましくは、導体81の品質が要件を満たすかどうかを確認するために、品質仕様QRと比較される。
【0058】
接触の間の第1および第2のフェーズにおいて確認された移動データに基づき、少なくとも1つのストリップブレード4、4’の導体81への貫入深度e(図2を参照)は、好ましくは局所品質値QLとして決定され、好ましくは品質仕様QRとして最大の許容可能な貫入深度eMAXと比較される。絶対貫入深度eは、好ましくは、より有意義な相対貫入深度e/rを得るために、導体81の半径rに基づいて標準化され、相対貫入深度e/rは、対応する品質仕様QRと比較される。
【0059】
貫入深度eと共に、貫入長l(図3を参照)、すなわち縦方向xに沿ったノッチの長さもまた、好ましくは局所品質値QLとして決定され、好ましくは品質仕様QRとして最大の許容可能な貫入長lMAXと比較される。あるいはまたは追加的に、ノッチプロファイルの体積が、局所品質値QLとして決定されることが可能であり、品質仕様QRとして最大の許容可能な貫入体積と比較される。品質仕様QRは、導体81の純粋な視覚的検査で用いられるのと同じように、確立されることが可能であり、その際に、好ましくはケーブル特性CPが考慮される。
【0060】
図2は、ストリッププロセスの第1のフェーズにおいて絶縁被覆82を切断するために、横断方向軸yに沿って時間に応じて伸長され再び後退させられる(ウェイバック)ストリップブレード4の3つの異なる移動進路を有する図を示している。
【0061】
横断方向yにおけるストリップブレード4の変位は、縦座標上にプロットされ矢印の記号が付されており、その矢印の先端は、ストリップブレード4が絶縁被覆82を切断して導体81の表面に到達する理想的な切開深度sを、指示している。導体81の半径rと、最大の許容可能な貫入深度eMAXと、したがって、ストリップブレード4が導体81を許容できないほどに損傷を与えず導体81の対応する最小半径rMINに届かずに到達し得る最大切開深度sも、プロットされている。
【0062】
ストリッププロセスの開始において、この理想的な切開深度sが推定され、それに対応してプログラムされる。ストリップブレード4が伸長されると、時刻t1において、この理想的切開深度sに到達する。理想的切開深度sの不正確な評価、製造上の公差による、および、ストリップブレード4が導体81に接触するように設定する対応するプログラミングによるなど、様々な理由により、ストリップブレード4は、時刻t1では、依然として移動中である。対応する移動データbdが、ストリップブレード4が導体81に接触している時間の間のストリップブレード4のさらなる移動進路を決定するために、ライン511および521を経由して制御デバイス9に伝送され、そこで評価される。接触期間の間に、たとえば駆動ユニット51、52によって供給されるさらなるデータを、ノッチプロファイルまたはその一部の決定の際に、追加的に考慮することがあり得る。しかし、導体81への接触の時刻t1における移動パラメータは最も重要なものである。
【0063】
連続線で表されているストリップブレード4の第1の移動進路は、貫入深度eを示しているが、これは、最大貫入深度eMAXを超えない。2つのさらなる移動線は、両方とも、最大貫入深度eMAXを超えており、この理由により、ストリップされたケーブル8は、これらの場合には排除される。時間的に僅かにシフトしている異なる複数の貫入深度eが、導体81への接触の間のストリップブレード4の進入速度が異なることを主な理由として、生じる。
【0064】
接触の検出の後では、ストリップブレード4は、導体81との接触を取り除き、ストリップブレード4を導体81との係合から解消するために、再び後退させられるのであるが(ウェイバック)、これは、第1の移動進路に対しては、ほぼ時刻t3において、生じる。導体81の変形のために、検出デバイス6は、典型的にはストリップブレード4が導体81の外径に到達する前に、横断方向軸yだけに沿った変位による接触の中断を報告する。縦軸xに沿った追加的な変位により、典型的には、ストリップブレード4が導体81の外径に到達するまで、接触がそのままの位置に留まる。ストリップブレード4が導体81と接触している時間の間のストリップブレード4の変位は、したがって、少なくとも近似的には、貫入長lに対応する。
【0065】
決定された貫入深度eに基づいて、ウェイバックが、すなわち、ストリップブレード4が後退する寸法を、有利に確立することが可能である。たとえば、ストリップブレードは、貫入深度eと補正因子kとを乗算した寸法だけ後退させられる(ウェイバック=e*k)のであり、ここで、補正因子kは、好ましくは、1.1から1.5の範囲で選択される。本発明による方法は、このようにして、ストリップブレード4による導体81の半径までの小移動を迅速に適応させることを可能にするが、なお、導体81の半径は、多くの場合、ケーブルの長さ全体を通じて一定とは限らないのである。
【0066】
接触の間に確認されたデータに基づいて、理想的な切開深度sのために以前に確立された値は、好ましくは、絶えず最適化される。そこで、第1の駆動51は、横断方向yに伸長されたときの少なくとも1つのストリップブレード4、4’の速度が、最適化された切開深度sに到達したときに、確立された限界値よりも下にあるように、調整される。しかし、導体81への接触は、絶縁被覆82の完全な切断が確立され得るようになることが確かに望まれているため、最終速度はゼロよりも大きくなるように選択される。しかし、応用分野によっては、導体への接触が端的に回避されるようにストリッププロセスを最適化することが有利である場合も、あり得る。
【0067】
図3は、ストリップブレード4の移動進路が第2のフェーズにある場合の図を示しており、この第2のフェーズにおいて、絶縁被覆82の切断された部分が縦軸xに沿って剥ぎ取られる。移動進路は、ストリップブレード4の導体81の半径rまでの小移動の適応が、第2のフェーズ全体の間、連続的に追求される。図3における例によって表されている小移動を有するそれぞれの切開深度が、sx1、sx2、sx3およびsx4によって示されている。横断方向yにおけるストリップブレード4、4’の迅速な後退の後で、ストリップブレード4、4’は、横断方向yにおいて、絶縁被覆82の切断の間に少なくとも1つのストリップブレード4、4’が伸長された速度よりも低い速度、好ましくは数倍(by a multiple)低い速度で、再び伸長される。ストリップブレード4は、このように、導体81の表面を走査する測定ヘッドのように振る舞う。ストリップブレード4が導体81の中に局所的に再び侵入してノッチを生じさせることがあり得るのであって、このノッチに関しては、ノッチプロファイルまたはその一部を決定するために、次に、移動データが記録される。図3は、貫入深度e、貫入長lおよび断面積または切り欠きプロファイルaまたはノッチの体積vが決定されることを示している。
【0068】
説明された適応は、ストリッププロセスが完了するまで、好ましくは継続される。第2のフェーズにおいて、ストリップブレード4はより低い速度で伸長されるので、導体81に対する許容不可能な損傷が予想されることはほとんどあり得ない。しかし、ノッチに関する確認されたデータは、好ましくは、第2のフェーズにおいても、規定された品質仕様QRと比較される。
【0069】
特に、貫入長lである、ノッチプロファイルを減らすために、切断された絶縁被覆82を剥ぎ取るときのストリップブレード4、4’の縦方向xの変位は、好ましくは、ウェイバックによって接触が再び取り除かれるまで、遅延させるか、または、導体81への接触の検出の後で停止される。このようにして、導体81の変形を、短いノッチへと減らすことが可能になる。接触が取り除かれるとすぐに、切断された絶縁被覆82を剥ぎ取る縦方向xのストリップブレード4、4’の変位が、好ましくは、所定の最大速度まで、再び加速される。
【0070】
ストリップブレード4、4’の導体81の中への貫入の間に超えてはならない、最大の許容可能な貫入深度eMAXまたは最大の許容可能な貫入長lMAX、または最大の許容可能なノッチに対する最大プロファイルpMAXもが、品質仕様QRとして確立され得る。これらの大きさは、好ましくは、ケーブル特性に応じて、特にケーブルの幾何学的形状と用いられているケーブルの材料とに応じて、確立される。
【0071】
第1のフェーズでの絶縁被覆82の切断領域における導体81の損傷は、通常、第2のフェーズでのストリップブレード4、4’の縦方向への変位の間に生じる損傷よりも、致命的である。品質仕様QRの値は、好ましくは、したがって、縦方向の変位xに応じて変更される。たとえば、最大の許容可能な貫入深度eMAXおよび/または最大の許容可能な貫入長lMAXは、たとえば線形に変化する重み因子を用いて、縦方向の変位xに応じて重み付けされる。
【0072】
ケーブル8の全体的状態をチェックするため、局所品質値QL1、QL2、...、QLnが、好ましくは、導体81とのストリップブレード4、4’の各接触に対する確認された移動データから、各ケースにおいて、形成される。局所品質値QL1、QL2、...、QLnからは、全体的な品質値QGが形成され、これは、導体81の品質が要件を満たすかどうかを確認するために、品質仕様QRの対応する値と比較される。
【符号の説明】
【0073】
1 ストリップデバイス
4、4’ ストリップブレード
6 検出デバイス
8 ケーブル
9 制御デバイス
10 保持デバイス
51、52 駆動、駆動デバイス、駆動ユニット
81 導体
82 絶縁被覆
512、522 制御線
810 端部片
図1
図2
図3