【実施例】
【0048】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0049】
<実施例1>
厚さ40μmのアルミニウム箔(AA8079−O材)4の一方の面にウレタン系樹脂接着剤5をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ25μmの2軸延伸ナイロンフィルム2をラミネートして積層フィルムを得た。
【0050】
次に、得られた積層フィルムのアルミニウム箔の他方の面にアクリル系接着剤6をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルム3をラミネートして、
図1に示す電池用外装材1を得た。この電池用外装材1を2枚準備した。
【0051】
得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.8N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、7.8N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、59N/15mm幅であった。
【0052】
前記2枚の電池用外装材1のうち一方の外装材1Aは、深絞り成形により略直方体形状等の立体形状に成形する一方、他方の外装材1Bは、成形を行うことなく平面状のままとして、これら2枚の電池用外装材1A、1Bの間に、電池本体部15を配置した後、2枚の電池用外装材1A、1Bの内側層3、3の周縁部同士をヒートシールすることにより電池ケース11を形成し、こうして電池ケース11の内部空間12に電池本体部15が封入されてなる電池10を得た(
図2参照)。
【0053】
<実施例2>
アクリル系接着剤6に代えてウレタン系接着剤6を用いた以外は、実施例1と同様にして
図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、5.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0054】
<実施例3>
アクリル系接着剤6に代えてオレフィン系接着剤6を用いた以外は、実施例1と同様にして
図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、28.5N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0055】
<実施例4>
ウレタン系接着剤5に代えてポリプロピレン系接着剤5を用いた以外は、実施例1と同様にして
図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、3.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0056】
<実施例5>
ウレタン系接着剤5に代えてオレフィン系接着剤5を用いた以外は、実施例1と同様にして
図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、13.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0057】
<
参考例
1>
未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて2軸延伸ポリエチレンフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして
図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、54.2N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0058】
<
参考例
2>
未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて2軸延伸ポリプロピレンフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして
図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、99.5N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0059】
<比較例1>
厚さ40μmのアルミニウム箔(AA8079−O材)4の表面にウレタン系樹脂接着剤5をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ25μmの2軸延伸ナイロンフィルム2をラミネートして、積層フィルム40を得た。
【0060】
次に、
図4に示すように、押出機から厚さ10μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6を押し出す一方、図面左側から前記積層フィルム40をアルミニウム箔4側を重ね合わせ面(
図4で上側面)にして供給しつつ、図面右側から厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム3を供給して、これら3、40の間に前記押し出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6を一対の加熱加圧ロールで挟み込んでヒートラミネートして、電池用外装材1を得た。
【0061】
得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.8N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、25.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0062】
<比較例2>
無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6に代えて未変性ポリプロピレン層6を用い、未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレン−プロピレン共重合体フィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、3.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.1N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、60.2N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0063】
<比較例3>
無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6に代えて変性ポリオレフィン層6を用い、未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレンフィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、31.4N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、7.9N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、30.3N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0064】
<比較例4>
ウレタン系接着剤5に代えてポリエステル系接着剤5を用い、未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレンフィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.8N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、1.1N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、31.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0065】
<実施例
6>
未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレン−プロピレン共重合体フィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.7N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、35.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0066】
なお、上記実施例
、参考例および比較例において、「接着強度」および「シール強度」は、それぞれ次のようにして測定した。
【0067】
<接着強度測定法>
得られた電池用外装材1から幅15mm×長さ150mmの試験体を切り出し、この試験体の長さ方向の端部をアルカリ性の剥離液に浸漬することによって、内側層3とアルミニウム箔層4とを剥離させると共に、外側層2とアルミニウム箔層4とを剥離させた。次に、この端部剥離状態の試験体の内側層3を東洋精機社製ストログラフのチャック部でチャックして引張速度100mm/分で90度剥離させた時の剥離強度を測定し、これを内側層とアルミニウム箔層との接着強度(ラミネート強度)(N/15mm幅)とした。しかる後、前記試験体の外側層2を東洋精機社製ストログラフのチャック部でチャックして引張速度100mm/分で90度剥離させた時の剥離強度を測定し、これを外側層とアルミニウム箔層との接着強度(ラミネート強度)(N/15mm幅)とした。
【0068】
<シール強度測定法>
得られた電池10の電池用外装材1A、1Bにおける内側層3、3同士がヒートシールされているシール部分から幅15mmの試験体を切り出し、東洋精機社製ストログラフにて引張速度100mm/分で試験体(シール部分の内側層同士)を90度剥離させた時の剥離強度を測定し、これをシール強度(N/15mm幅)とした。
【0069】
【表1】
【0070】
上記のようにして得られた実施例1〜
6、参考例1、2及び比較例1〜4の各電池10の電池ケース11の破裂防止性を次のようにして評価した。その結果を表1に示す。
【0071】
<破裂防止性評価法>
過充電を行って電解液の分解を促進することによって、各電池の電池ケース11の内圧を徐々に上昇せしめていき、ガス抜き又は内容液流出等の変化事象が発生するまで(最大内圧100kPaまで)上昇せしめた。電池ケース内のガスが外部に抜け始めた時の内圧(kPa)も測定した。また、ガス抜きが生じた際に内容液の流出の有無も調べた。
【0072】
表1から明らかなように、本発明の電池用外装材を用いて構成された実施例1〜
6、参考例1、2の電池は、電池ケース内の内圧が過度に上昇すると、電池ケース内のガスが外部に抜けて、内圧の過度の上昇による電池ケースの破裂を防止することができると共に、内容液の流出もなかった。
【0073】
図5は、実施例1の電池において電池ケースの内圧が過度に上昇してガス抜きがなされた後の状態を示す電子顕微鏡写真であるが、
図5、6に示すように内側層(最も黒い部分)とアルミニウム箔層(白い部分)との間に剥離隙間が生じていると共に、該剥離隙間に連通して内側層に略厚さ方向に貫通する貫通排気路が形成されているのが認められる(
図6参照)。なお、
図6における白抜き太矢印は、電池内部のガスが外部に逃げた経路を示すものである。
【0074】
これに対し、比較例1の電池では、20kPaになった時に内側層同士の間で剥離して内容液が流出した。比較例2では成形時に内側層が剥離したことから、破裂防止性評価は行わなかった。また、比較例3では、30kPaに達したときに内容物の電解液が流出した。比較例4では、成形時に外側層が剥離したことから、破裂防止性評価は行わなかった。