特許第6469759号(P6469759)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469759
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20190204BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   H01M2/02 K
   H01M2/12 101
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-103567(P2017-103567)
(22)【出願日】2017年5月25日
(62)【分割の表示】特願2012-255046(P2012-255046)の分割
【原出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2017-143084(P2017-143084A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-241723(P2012-241723)
(32)【優先日】2012年11月1日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】吉野 賢二
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−277274(JP,A)
【文献】 特開2006−082464(JP,A)
【文献】 特開2001−043835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用外装材2枚と、
電池本体部と、を備えた電池であり、
前記電池用外装材は、アルミニウム箔層の一方の面に第1接着剤層を介して外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層が積層一体化され、前記アルミニウム箔層の他方の面に第2接着剤層を介して内側層としての熱可塑性樹脂未延伸フィルム層が積層一体化されてなり、前記内側層と前記アルミニウム箔層との接着強度が4N/15mm幅〜30N/15mm幅であり、前記内側層を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとして、該フィルムを2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度が30N/15mm幅を超えて110N/15mm幅以下の範囲である熱可塑性樹脂未延伸フィルムが用いられ、
前記2枚の電池用外装材のうち少なくとも一方は、立体形状であり、
前記第2接着剤層は、ドライラミネートされた酸変性ポリオレフィン接着剤層であり、
前記2枚の電池用外装材の間に前記電池本体部が配置され、前記2枚の電池用外装材の内側層の周縁部同士がヒートシールによりシール接合されることによって電池ケースが形成され、該電池ケース内部に前記電池本体部が封入され、
前記電池ケース内での発生ガスにより電池ケースの内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで上昇した際に、前記電池ケースの内部空間と連通する貫通排気路が、前記電池ケースにおける前記2枚の電池用外装材の内側層の周縁部同士がヒートシールによりシール接合されたシール部の内方縁に連接した内側層コーナー部に発生すると共に、前記アルミニウム箔層と前記内側層との間に、前記貫通排気路と連通する剥離隙間が発生し、前記電池ケース内のガスが、前記貫通排気路及び前記剥離隙間を介して外部に抜けることによって、内圧上昇による電池ケースの破裂を防止し得るものとなされており、
前記シール部の内方縁に連接した内側層コーナー部は、前記立体形状である電池用外装材の内側層に形成された湾曲状又は屈曲状のコーナー部であることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルム層である請求項1に記載の電池。
【請求項3】
電池用外装材2枚と、
電池本体部と、を備えた電池であり、
前記電池用外装材は、アルミニウム箔層の一方の面に第1接着剤層を介して外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層が積層一体化され、前記アルミニウム箔層の他方の面に第2接着剤層を介して内側層としての熱可塑性樹脂未延伸フィルム層が積層一体化されてなり、前記内側層と前記アルミニウム箔層との接着強度が4N/15mm幅〜30N/15mm幅であり、前記内側層を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとして、該フィルムを2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度が30N/15mm幅を超えて110N/15mm幅以下の範囲である熱可塑性樹脂未延伸フィルムが用いられ、
前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルム層であり、
前記2枚の電池用外装材のうち少なくとも一方は、立体形状であり、
前記第2接着剤層は、ドライラミネートされた接着剤層であり、
前記2枚の電池用外装材の間に前記電池本体部が配置され、前記2枚の電池用外装材の内側層の周縁部同士がヒートシールによりシール接合されることによって電池ケースが形成され、該電池ケース内部に前記電池本体部が封入され、
前記電池ケース内での発生ガスにより電池ケースの内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで上昇した際に、前記電池ケースの内部空間と連通する貫通排気路が、前記電池ケースにおける前記2枚の電池用外装材の内側層の周縁部同士がヒートシールによりシール接合されたシール部の内方縁に連接した内側層コーナー部に発生すると共に、前記アルミニウム箔層と前記内側層との間に、前記貫通排気路と連通する剥離隙間が発生し、前記電池ケース内のガスが、前記貫通排気路及び前記剥離隙間を介して外部に抜けることによって、内圧上昇による電池ケースの破裂を防止し得るものとなされており、
前記シール部の内方縁に連接した内側層コーナー部は、前記立体形状である電池用外装材の内側層に形成された湾曲状又は屈曲状のコーナー部であることを特徴とする電池。
【請求項4】
前記立体形状である電池用外装材は、略直方体形状である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン2次電池等の電池用の外装材に関する。
【0002】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いる。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン2次電池は、例えばノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話、電気自動車等の電源として広く用いられている。このリチウムイオン2次電池としては、電池本体部(正極、負極及び電解質を含む本体部)の周囲をケースで包囲した構成のものが用いられている。このケース用材料(外装材)としては、例えば、耐熱性樹脂フィルムからなる外層、アルミニウム箔層、熱可塑性樹脂フィルムからなる内層がこの順に接着一体化された構成のものが公知である。
【0004】
ところで、リチウムイオン2次電池等では、過充電時や過昇温時に電池本体においてガスが発生しやすく、このためにガスが徐々に外装材で覆われた内部空間に蓄積していき外装材内部の内圧が上昇する場合がある。この内圧上昇が大きくなると外装材が破裂するに至って内部の収容物が飛散することが懸念されることから、このような外装材の破裂を防止する技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、リチウムイオン電池の外装体の周縁部の一部に、外装体内部で発生したガスを外装体外部に逃がすための安全弁を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−265725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、外装体内部で発生したガスを外装体外部に逃がすための安全弁を設ける場合には、安全弁を設けるための新たな工程が必要となり、製造工程が複雑になるし、生産性も低下するという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、生産性が良好であり、十分なシール性を確保できると共に、外装材で構成される電池ケースの内圧が上昇したときにはガス抜きがなされて内圧上昇による外装材の破裂を防止できる電池用外装材及び電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]アルミニウム箔層の一方の面に第1接着剤層を介して外側層としての耐熱性樹脂延伸フィルム層が積層一体化され、前記アルミニウム箔層の他方の面に第2接着剤層を介して内側層としての熱可塑性樹脂未延伸フィルム層が積層一体化されてなり、
前記内側層と前記アルミニウム箔層との接着強度が4N/15mm幅〜30N/15mm幅であり、
前記外側層と前記アルミニウム箔層との接着強度が2N/15mm幅〜14N/15mm幅であり、
前記内側層を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとして、該フィルムを2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度が30N/15mm幅を超えて110N/15mm幅以下の範囲である熱可塑性樹脂未延伸フィルムが用いられていることを特徴とする電池用外装材。
【0011】
[2]前記第2接着剤層は、接着剤を用いたドライラミネート法により形成された層である前項1に記載の電池用外装材。
【0012】
[3]前項1または2に記載の電池用外装材2枚と、
電池本体部と、を備え、
前記2枚の電池用外装材の間に前記電池本体部が配置され、前記2枚の電池用外装材の内側層の周縁部同士がヒートシールによりシール接合されることによって電池ケースが形成され、該電池ケース内部に前記電池本体部が封入されていることを特徴とする電池。
【0013】
[4]前記電池ケース内での発生ガスにより電池ケースの内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで上昇した際に、前記電池ケースの内部空間と連通する貫通排気路が、前記内側層に発生すると共に、前記アルミニウム箔層と前記内側層との間に、前記貫通排気路と連通する剥離隙間が発生し、前記電池ケース内のガスが、前記貫通排気路及び前記剥離隙間を介して外部に抜けることによって、内圧上昇による電池ケースの破裂を防止し得るものとなされている前項3に記載の電池。
【0014】
[5]前記2枚の電池用外装材のうち少なくとも一方は、深絞り成形または張り出し成形により立体形状に成形されている前項3または4に記載の電池。
【0015】
[6]前記貫通排気路が、前記内側層における前記成形により湾曲状又は屈曲状に形成されたコーナー部又はその近傍位置で発生する前項5に記載の電池。
【発明の効果】
【0016】
[1]の発明(電池用外装材)では、内側層を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとして、該フィルムを2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度が30N/15mm幅を超えて110N/15mm幅以下の範囲である熱可塑性樹脂未延伸フィルムが用いられているから、ヒートシールした後の外装材内部の気密性を十分に確保することができる。また、外側層とアルミニウム箔層との接着強度が2N/15mm幅〜14N/15mm幅であるので、アルミニウム箔層を十分に保護できると共に成形性も向上できるという効果を奏する。また、内側層とアルミニウム箔層との接着強度が4N/15mm幅〜30N/15mm幅であり、該接着強度は、内側層同士をヒートシールした際のシール強度よりも小さいので、電池本体部でのガス発生により、外装材で構成される電池ケースの内圧が上昇した際には、内側層とアルミニウム箔層との間で最も剥離隙間が発生しやすいものとなる。従って、外装材で構成される電池ケースの内圧が上昇した際には、内側層とアルミニウム箔層との間で剥離隙間が生じ、電池ケース内部のガスを外部に逃がすことに貢献できて、外装材で構成される電池ケースの内圧上昇による外装材の破裂を防止することができる。
【0017】
[2]の発明(電池用外装材)では、第2接着剤層は、接着剤を用いたドライラミネート法により形成されているので、使用用途により接着剤を変更することで接着強度の調整が容易である。
【0018】
[3][4]の発明(電池)では、相互間に電池本体部が配置された2枚の上記電池用外装材の内側層の周縁部同士がヒートシールによりシール接合されることによって電池ケースが形成され、該電池ケースの内部に前記電池本体部が封入されており、電池ケース内での発生ガスにより電池ケースの内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで上昇した際に、電池ケースの内部空間と連通する貫通排気路が、内側層に発生すると共に、アルミニウム箔層と内側層との間に、前記貫通排気路と連通する剥離隙間が発生し、電池ケース内のガスを、貫通排気路及び剥離隙間を介して外部に逃がすことができるので、電池ケースの内圧上昇による電池ケースの破裂を防止できる。
【0019】
[5]の発明(電池)では、2枚の電池用外装材のうち少なくとも一方は、深絞り成形または張り出し成形により立体形状に成形されており、電池ケースの内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで上昇した際には、前記成形により湾曲状又は屈曲状に形成された箇所又はその近傍位置で、前記貫通排気路がより発生しやすいものとなり、電池ケースの内圧上昇による電池ケースの破裂を十分に防止できる。
【0020】
[6]の発明(電池)では、前記貫通排気路が、内側層における前記成形により湾曲状又は屈曲状に形成されたコーナー部又はその近傍位置で発生するものであるから、電池ケースの内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで上昇した際に、前記貫通排気路がより一層発生しやすいものとなり、電池ケースの内圧上昇による電池ケースの破裂をさらに十分に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の電池用外装材の一実施形態を示す断面図である。
図2】本発明の電池の一実施形態を示す断面図である。
図3】内圧上昇により、内側層に貫通排気路が生じると共に内側層とアルミニウム箔層との間に剥離隙間が生じて電池ケース内のガスが外部に抜けて、内圧上昇による破裂を防止した状態を示す、電池の模式的断面図である。
図4】電池用外装材の製造方法の一例を示す図である。
図5】実施例1の電池において電池ケースの内圧が過度に上昇してガス抜きがなされて電池ケースで貫通排気路が形成された部分及び剥離隙間を含む領域の断面を示す電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
図6図5の電子顕微鏡写真における各部位が何であるかを記載した電子顕微鏡写真の模式的説明図である。図6における白抜き太矢印は、電池内部のガスが外部に逃げた経路を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る電池用外装材1の一実施形態を図1に示す。この電池用外装材1は、リチウムイオン2次電池用外装材として用いられるものである。前記電池用外装材1は、アルミニウム箔層4の上面に第1接着剤層5を介して耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2が積層一体化されると共に、前記アルミニウム箔層4の下面に第2接着剤層6を介して熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)3が積層一体化された構成からなる。
【0023】
本発明では、前記内側層3と前記アルミニウム箔層4との接着強度が4N/15mm幅〜30N/15mm幅に設定され、前記外側層2と前記アルミニウム箔層4との接着強度が2N/15mm幅〜14N/15mm幅に設定されている。
【0024】
また、前記内側層3を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとして、該フィルムを2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度が30N/15mm幅を超えて110N/15mm幅以下の範囲である熱可塑性樹脂未延伸フィルムが用いられている。
【0025】
本発明では、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度が、内側層3同士のシール強度よりも小さい関係にあるので、電池10において外装材1で構成される電池ケース11内部のガスの内圧が上昇した際には、内側層3とアルミニウム箔層4との間で最も剥離隙間22が発生しやすいものとなる。従って、外装材1で構成される電池ケース11内部のガスの内圧が上昇した際には、内側層3とアルミニウム箔層4との間で剥離隙間22が生じることによって、電池ケース11内部のガスを外部に逃がすことに貢献できて、電池ケース11(外装材1)内部の内圧上昇による外装材1の破裂(バースト)を防止することができる。なお、ガスを外部に逃がしたのち直ちに剥離隙間22を第2接着剤6が埋めて閉塞することにより電解液の流出を阻止できているものと考えられる。
【0026】
前記内側層3と前記アルミニウム箔層4との接着強度が4N/15mm幅より小さいと、接着強度が十分ではなく、外装材に深絞り成形等の成形加工を行う際に内側層が剥離するという問題を生じる一方、同接着強度が30N/15mm幅より大きくなると、内圧が上昇した際に低圧力(40kPa〜80kPa程度)の状態でガスを外部に逃がすことができなくなり、80kPaより高い圧力に達したときに電解液が外部に流出するという問題を生じる。中でも、前記内側層3と前記アルミニウム箔層4との接着強度は5N/15mm幅〜29N/15mm幅に設定されるのが好ましい。
【0027】
前記外側層2と前記アルミニウム箔層4との接着強度が2N/15mm幅より小さいと、接着強度が十分ではなく、外装材に深絞り成形等の成形加工を行う際に外側層が剥離するという問題を生じる。なお、前記外側層2と前記アルミニウム箔層4との接着強度が14N/15mm幅より大きくなっても特段問題はないのであるが、14N/15mm幅を超えると接着強度を測定する際に外側層のフィルムが切れて測定が実際にはできないことから、この接着強度の上限を14N/15mm幅としたものである。中でも、前記外側層2と前記アルミニウム箔層4との接着強度は4N/15mm幅〜12N/15mm幅に設定されるのが好ましい。
【0028】
前記内側層3を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとして、該フィルムを2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度が30N/15mm幅、以下のものを用いると、ヒートシール強度が不十分であり、内容物の漏出が懸念されるし、同シール強度が110N/15mm幅より大きいと、内圧が上昇してもガスを外部に逃がすことができないために、外装材1の破裂(バースト)を防止できないという問題を生じる。中でも、前記内側層3を構成する熱可塑性樹脂未延伸フィルムとして、該フィルムを2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度が35N/15mm幅〜110N/15mm幅の範囲である熱可塑性樹脂未延伸フィルムを用いるのが好ましい。
【0029】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2は、外装材として良好な成形性を確保する役割を主に担う部材である、即ち成形時のアルミニウム箔のネッキングによる破断を防止する役割を担うものである。
【0030】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層(外側層)2としては、特に限定されるものではないが、例えば、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエステルフィルムが好ましく用いられる。中でも、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2としては、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムにより構成されるのが特に好ましい。
【0031】
前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2の厚さは、12μm〜50μmに設定されるのが好ましい。
【0032】
前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、外装材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
【0033】
前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。
【0034】
前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3の厚さは、20μm〜80μmに設定されるのが好ましい。20μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できると共に、80μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3の厚さは30μm〜50μmに設定されるのが特に好ましい。
【0035】
なお、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2、前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3は、いずれも単層であっても良いし、複層であっても良い。
【0036】
前記アルミニウム箔層4は、外装材に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記アルミニウム箔4としては、純AlまたはAl−Fe系合金からなる厚さ5μm〜50μmの箔が好適に用いられる。
【0037】
前記第1接着剤層5としては、前記外側層2と前記アルミニウム箔層4との接着強度を2N/15mm幅〜14N/15mm幅の範囲に設定できる接着剤層であれば特に限定されない。例えば、ウレタン系接着剤層、アクリル系接着剤層等が挙げられる。
【0038】
例えば、前記耐熱性樹脂延伸フィルム層2として延伸ナイロンフィルムを用いる場合には、前記第1接着剤層5としてウレタン系接着剤層を採用すれば、前記外側層2と前記アルミニウム箔層4との接着強度を2N/15mm幅〜14N/15mm幅の範囲に設定できる。
【0039】
前記第2接着剤層6としては、前記内側層3と前記アルミニウム箔層4との接着強度を4N/15mm幅〜30N/15mm幅の範囲に設定できる接着剤層であれば特に限定されない。例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィンの他、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマーを含有してなる樹脂等により形成された接着剤層が挙げられる。
【0040】
例えば、熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3として、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルム層を用いる場合には、前記第2接着剤層6として、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン接着剤層を採用すれば、前記内側層3と前記アルミニウム箔層4との接着強度を4N/15mm幅〜30N/15mm幅の範囲に設定できる。
【0041】
本発明に係る電池の一実施形態を図2に示す。本発明の電池10は、上述した本発明の電池用外装材1を2枚備えると共に、電池本体部15を備えてなる。前記電池本体部15は、正極、負極及び電解質を含む。
【0042】
前記2枚の電池用外装材1のうち一方の外装材1Aは、成形(張り出し成形、深絞り成形等)により略直方体形状等の立体形状に成形されていて、他方の外装材1Bは、成形が行われておらず平面状である(図2参照)。
【0043】
しかして、前記2枚の電池用外装材1A、1Bの間に前記電池本体部15が配置され、前記2枚の電池用外装材1A、1Bの内側層3、3の周縁部同士がヒートシールによりシール接合されて電池ケース11が形成され、該電池ケース11の内部空間12に電池本体部15が封入されている(図2参照)。
【0044】
前記電池10では、内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで増大した際に、前記内側層3における前記成形により湾曲状又は屈曲状に形成されたコーナー部13又はその近傍位置で貫通排気路21が発生しやすい。
【0045】
従って、前記電池10では、電池ケース11内での発生ガスにより電池ケース11の内圧が40kPa〜80kPaの範囲まで増大した時に、電池ケース11の内部空間12と連通する貫通排気路21が、内側層3におけるコーナー部13又はその近傍位置で発生すると共に、アルミニウム箔層4と内側層3との間に、前記貫通排気路21と連通する剥離隙間22が発生するので、前記電池ケース11内のガスが、前記貫通排気路21及び前記剥離隙間22を介して外部に抜けて、内圧上昇による電池ケース11の破裂を防止することができる(図3参照)。
【0046】
なお、図3では、電池ケース11の4つのコーナー部13のうち右下のコーナー部13で貫通排気路21が発生した状態を示しているが、特にこのような形態になるとは限らず、例えば、左下のコーナー部13で貫通排気路21が発生する場合もあるし、或いは右上のコーナー部13又は左上のコーナー部13で貫通排気路21が発生する場合もあり得る。
【0047】
また、図3では、剥離隙間22が形成された際に、第2接着剤層6が、アルミニウム箔層4と内側層3の両方に残った態様を示しているが、特にこのような態様に限定されるものではなく、例えば、第2接着剤6の大部分がアルミニウム箔層4側に付着している態様になる場合もあれば、第2接着剤6の大部分が内側層3側に付着している態様になる場合もある。
【実施例】
【0048】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0049】
<実施例1>
厚さ40μmのアルミニウム箔(AA8079−O材)4の一方の面にウレタン系樹脂接着剤5をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ25μmの2軸延伸ナイロンフィルム2をラミネートして積層フィルムを得た。
【0050】
次に、得られた積層フィルムのアルミニウム箔の他方の面にアクリル系接着剤6をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルム3をラミネートして、図1に示す電池用外装材1を得た。この電池用外装材1を2枚準備した。
【0051】
得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.8N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、7.8N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、59N/15mm幅であった。
【0052】
前記2枚の電池用外装材1のうち一方の外装材1Aは、深絞り成形により略直方体形状等の立体形状に成形する一方、他方の外装材1Bは、成形を行うことなく平面状のままとして、これら2枚の電池用外装材1A、1Bの間に、電池本体部15を配置した後、2枚の電池用外装材1A、1Bの内側層3、3の周縁部同士をヒートシールすることにより電池ケース11を形成し、こうして電池ケース11の内部空間12に電池本体部15が封入されてなる電池10を得た(図2参照)。
【0053】
<実施例2>
アクリル系接着剤6に代えてウレタン系接着剤6を用いた以外は、実施例1と同様にして図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、5.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0054】
<実施例3>
アクリル系接着剤6に代えてオレフィン系接着剤6を用いた以外は、実施例1と同様にして図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、28.5N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0055】
<実施例4>
ウレタン系接着剤5に代えてポリプロピレン系接着剤5を用いた以外は、実施例1と同様にして図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、3.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0056】
<実施例5>
ウレタン系接着剤5に代えてオレフィン系接着剤5を用いた以外は、実施例1と同様にして図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、13.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、58.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0057】
参考
未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて2軸延伸ポリエチレンフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、54.2N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0058】
参考
未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて2軸延伸ポリプロピレンフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして図1に示す電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、15.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、99.5N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0059】
<比較例1>
厚さ40μmのアルミニウム箔(AA8079−O材)4の表面にウレタン系樹脂接着剤5をグラビアロールで塗布し、加熱によりある程度乾燥させた後、その接着剤面に厚さ25μmの2軸延伸ナイロンフィルム2をラミネートして、積層フィルム40を得た。
【0060】
次に、図4に示すように、押出機から厚さ10μmの無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6を押し出す一方、図面左側から前記積層フィルム40をアルミニウム箔4側を重ね合わせ面(図4で上側面)にして供給しつつ、図面右側から厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム3を供給して、これら3、40の間に前記押し出された無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6を一対の加熱加圧ロールで挟み込んでヒートラミネートして、電池用外装材1を得た。
【0061】
得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.8N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、25.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0062】
<比較例2>
無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6に代えて未変性ポリプロピレン層6を用い、未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレン−プロピレン共重合体フィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、3.0N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.1N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、60.2N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0063】
<比較例3>
無水マレイン酸変性ポリプロピレン層6に代えて変性ポリオレフィン層6を用い、未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレンフィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、31.4N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、7.9N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、30.3N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0064】
<比較例4>
ウレタン系接着剤5に代えてポリエステル系接着剤5を用い、未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレンフィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.8N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、1.1N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、31.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0065】
<実施例
未延伸ポリプロピレンフィルム3に代えて未延伸ポリエチレン−プロピレン共重合体フィルム3を用いた以外は、比較例1と同様にして電池用外装材1を得た。得られた電池用外装材1において、内側層3とアルミニウム箔層4との接着強度は、14.7N/15mm幅であり、外側層2とアルミニウム箔層4との接着強度は、8.0N/15mm幅であった。また、内側層3である未延伸フィルム層を2枚重ね合わせてヒートシールした際のシール強度は、35.0N/15mm幅であった。この電池用外装材1を用いて実施例1と同様にして電池10を得た。
【0066】
なお、上記実施例、参考例および比較例において、「接着強度」および「シール強度」は、それぞれ次のようにして測定した。
【0067】
<接着強度測定法>
得られた電池用外装材1から幅15mm×長さ150mmの試験体を切り出し、この試験体の長さ方向の端部をアルカリ性の剥離液に浸漬することによって、内側層3とアルミニウム箔層4とを剥離させると共に、外側層2とアルミニウム箔層4とを剥離させた。次に、この端部剥離状態の試験体の内側層3を東洋精機社製ストログラフのチャック部でチャックして引張速度100mm/分で90度剥離させた時の剥離強度を測定し、これを内側層とアルミニウム箔層との接着強度(ラミネート強度)(N/15mm幅)とした。しかる後、前記試験体の外側層2を東洋精機社製ストログラフのチャック部でチャックして引張速度100mm/分で90度剥離させた時の剥離強度を測定し、これを外側層とアルミニウム箔層との接着強度(ラミネート強度)(N/15mm幅)とした。
【0068】
<シール強度測定法>
得られた電池10の電池用外装材1A、1Bにおける内側層3、3同士がヒートシールされているシール部分から幅15mmの試験体を切り出し、東洋精機社製ストログラフにて引張速度100mm/分で試験体(シール部分の内側層同士)を90度剥離させた時の剥離強度を測定し、これをシール強度(N/15mm幅)とした。
【0069】
【表1】
【0070】
上記のようにして得られた実施例1〜6、参考例1、2及び比較例1〜4の各電池10の電池ケース11の破裂防止性を次のようにして評価した。その結果を表1に示す。
【0071】
<破裂防止性評価法>
過充電を行って電解液の分解を促進することによって、各電池の電池ケース11の内圧を徐々に上昇せしめていき、ガス抜き又は内容液流出等の変化事象が発生するまで(最大内圧100kPaまで)上昇せしめた。電池ケース内のガスが外部に抜け始めた時の内圧(kPa)も測定した。また、ガス抜きが生じた際に内容液の流出の有無も調べた。
【0072】
表1から明らかなように、本発明の電池用外装材を用いて構成された実施例1〜6、参考例1、2の電池は、電池ケース内の内圧が過度に上昇すると、電池ケース内のガスが外部に抜けて、内圧の過度の上昇による電池ケースの破裂を防止することができると共に、内容液の流出もなかった。
【0073】
図5は、実施例1の電池において電池ケースの内圧が過度に上昇してガス抜きがなされた後の状態を示す電子顕微鏡写真であるが、図5、6に示すように内側層(最も黒い部分)とアルミニウム箔層(白い部分)との間に剥離隙間が生じていると共に、該剥離隙間に連通して内側層に略厚さ方向に貫通する貫通排気路が形成されているのが認められる(図6参照)。なお、図6における白抜き太矢印は、電池内部のガスが外部に逃げた経路を示すものである。
【0074】
これに対し、比較例1の電池では、20kPaになった時に内側層同士の間で剥離して内容液が流出した。比較例2では成形時に内側層が剥離したことから、破裂防止性評価は行わなかった。また、比較例3では、30kPaに達したときに内容物の電解液が流出した。比較例4では、成形時に外側層が剥離したことから、破裂防止性評価は行わなかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る電池用外装材は、例えば2次電池(リチウムイオン2次電池等)等の電池用外装材として用いられる。中でも、内圧が上昇したときにガス抜きができて内圧上昇による外装材の破裂を防止できることから、モバイル用電池の外装材、自動車用電池の外装材として好適に用いられる。
【0076】
本発明に係る電池は、例えば2次電池(リチウムイオン2次電池等)等の電池として用いられる。中でも、内圧が上昇したときにガス抜きができて内圧上昇による外装材の破裂を防止できることから、モバイル用電池、自動車用電池として好適である。
【符号の説明】
【0077】
1…電池用外装材
2…外側層(耐熱性樹脂延伸フィルム層)
3…内側層(熱可塑性樹脂未延伸フィルム層)
4…アルミニウム箔層
5…第1接着剤層
6…第2接着剤層
10…電池
11…電池ケース
12…内部空間
13…コーナー部
15…電池本体部
21…貫通排気路
22…剥離隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6