(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本実施形態のカーテンレールは、カーテンの取り付けに使用されるカーテンレールであって、ランナーをレール本体部の所望の位置で保持した状態を維持できるランナー保持部品を備えており、かかるランナー保持部品がレール本体部の外部に露出しないようにしたことに特徴を有している。
【0012】
なお、本実施形態のカーテンレールを取り付けるための被対象物は、カーテンを取り付けたい場所において、カーテンレールを取り付けることができる被対象物が存在すれば、とくに限定されない。この被対象物としては、例えば、車やバス、電車などの内壁や天井、荷物棚のほか、寝台電車の個室の入り口付近の壁や枠、飛行機の機内の天井ほか、建築物の天井や窓枠、個人の専用空間を他から仕切るために設けられた枠など、様々な場所に取り付けて使用することができる。
【0013】
とくに、本実施形態のカーテンレールは、レール本体部から外方に向かって突出する部分が従来のカーテンレールと比べて極端に少ないという特徴を有している。このため、被対象物における本実施形態のカーテンレールを取り付ける場所の高さが低い場合に後述する本実施形態のカーテンレールが有する効果が顕著に発揮される。
そこで、以下では、本実施形態のカーテンレールを取り付けるための被対象物がバス(とくに長距離バス)の荷物棚である場合を代表として説明する。
【0014】
なお、
図1(A)において、天井は長距離バスの車体の天井壁を示し、側壁は長距離バスの車体の側壁を示し、符号Rは荷物棚を示し、符号Sは座席を示している。
【0015】
また、
図1に示すように、長距離バスの荷物棚Rは、一般的に、車内の側壁側の座席S上方に設けられた板状の部材であり、車体の先頭に位置する座席S上方から車体最後尾に位置する座席S上方まで延設されている。そして、バスの側壁から荷物棚Rの床面から先端部背面までの距離は、例えば、約1300mm〜1500mm程度であり、バスの側壁から先端部までの距離は、座席S幅よりもやや広くなるように形成されている。
【0016】
図1〜
図3に示すように、本実施形態のカーテンレール1(以下、単にカーテンレール1という)は、レール本体部2と、ランナー3と、ランナー3を磁力によって吸脱着可能に連結して保持するランナー保持部品10とを備えている。
【0017】
(レール本体部2)
図3に示すように、レール本体部2は、長尺な部材であり、内部に軸方向に沿って延びる中空な収容空間2hを有しており、この収容空間2h内と外部とを連通する開口2gが軸方向に沿って延びるように形成されている。
例えば、レール本体部2は、長尺な板状の底壁2aと、この底壁2aの長辺方向の両端に基端が連続して連結された一対の側壁2b、2bと、この側壁2b、2bの長辺方向の先端に基端が連続して連結された一対の開口形成壁2c、2cとを備えている。
【0018】
つまり、レール本体部2の収容空間2hは、底壁2aと一対の側壁2b、2bと一対の開口形成壁2c、2cとによって形成されており、底壁2aの背面が、レール本体部2の収容空間2hの内底面に相当するように形成されている。
【0019】
そして、レール本体部2の開口2gは、一対の開口形成壁2c、2cの対向する両端間によって形成されており、この一対の開口形成壁2c、2cの両端縁には、開口2gの開口面が形成されている。つまり、レール本体部2の開口2gの開口面は、開口形成壁2cの背面と一致する面である。
【0020】
図1または
図3に示すように、このレール本体部2は、使用する際には、底壁2aの表面が荷物棚Rの先端部背面と接するように取り付けられる。
なお、レール本体部2を荷物棚Rに取り付ける方法は、とくに限定されない。例えば、レール本体部2の収容空間2h内からネジによって底壁2aが荷物棚Rの先端部背面に接するように固定してもよいし、底壁2aと荷物棚Rの先端部背面との間に両面テープ等を設けて両者を連結してもよい。
【0021】
(ランナー3)
図1〜
図3に示すように、ランナー3は、レール本体部2の収容空間2h内に配置される摺動部3bと、ハンガー部3aと、両者を連結する連結部3cとを備えている。
【0022】
ランナー3は、摺動部3bがレール本体部2の収容空間2h内に配置することができれば、その形状や大きさはとくに限定されない。
例えば、
図2(A)〜(D)に示すように、摺動部3bは、略矩形状に形成された部材であり、収容空間2h内に配置することができる大きさに形成することができる。この場合、荷物棚Rにレール本体部2を取り付けた状態において、摺動部3bは、ハンガー部3bに対向する表面がレール本体部2の一対の開口形成壁2c、2cの背面と接するようにしてレール本体部2の収容空間2h内に配置される(
図1または
図3(C)参照)。
つまり、ランナー3は、摺動部3bをレール本体部2の収容空間2h内に配置すれば、レール本体部2の軸方向に沿って移動自在に設けられる部材である。
【0023】
そして、
図2(A)および
図2(D)に示すように、このランナー3のハンガー部3aには、表裏を貫通する貫通孔3hが形成されている。
図1(B)の拡大図に示すように、この貫通孔3hは、カーテンCの上端部に設けられるフックを係合するためのものである。
【0024】
なお、レール本体部2に取り付けられるランナー3の数は、とくに限定されず、レール本体部2に吊り下げるカーテンCの上端部に設けられたフックの数に対応して適宜取り付ければよい。
【0025】
(ランナー保持部品10)
図1〜
図3に示すように、カーテンレール1のランナー保持部品10は、移動連結部11と、固定連結部12とを備えており、移動連結部11と固定連結部12は、接近させれば、互いに磁力によって吸着する部材で形成されている。
【0026】
例えば、移動連結部11が磁石を有する部材で形成し、固定連結部12が鉄やコバルト、ニッケルやこれらの合金など磁石を接近させれば磁石に吸着する性質を有する素材を含有する部材で形成することができる。
また、その逆に固定連結部12が磁石を有する部材で形成し、移動連結部11が上述した磁石に吸着する性質を有する素材を含有する部材で形成してもよい。
さらに、移動連結部11と固定連結部12が互いに異なる極性を有する磁石を備えた構造としてもよい。
【0027】
そして、
図1および
図3に示すように、このランナー保持部品10の移動連結部11および固定連結部12は、レール本体部2に取り付けた状態において、いずれもレール本体部2の収容空間2h内に位置するように配設されている。
【0028】
ランナー保持部品10の移動連結部11は、レール本体部2の収容空間2h内に配置した状態において、ランナー3の摺動部3bと共にレール本体部2の軸方向に沿って移動自在に設けられる部材である。
具体的には、
図1または
図3に示すように、移動連結部11は、ランナー3の摺動部3bに取り付けることによって、ランナー3の移動に伴いレール本体部2の軸方向に沿って移動自在となるように配設されている。
【0029】
なお、ランナー保持部品10の移動連結部11を設けるランナー3はとくに限定されない。例えば、固定連結部12に最も近いランナー3(いわゆる先頭のランナー3)だけに設けてもよいし(
図1参照)、レール本体部2に取り付けられている複数のランナー3に設けてもよいし、先頭のランナー3と反対側の後尾に位置する後尾のランナー3に設けてもよい。
【0030】
一方、ランナー保持部品10の移動連結部11をレール本体部2の収容空間2h内に配置した状態において、この移動連結部11の動線方向の近傍には、ランナー保持部品10の固定連結部12が設けられている。
このランナー保持部品10の固定連結部12は、ランナー保持部品10の移動連結部11を接近させた際、両者が互いに吸着して連結した状態を保持できるように、レール本体部2に取り付けられている。
【0031】
なお、固定連結部12をレール本体部2に取り付ける方法はとくに限定されず、後述するランナー3の移動を制限する移動制限手段4が備えるように設けてもよいし、ネジによってレール本体部2の収容空間2hを形成する壁に連結するように設けてもよいが、詳細は後述する。
【0032】
また、移動連結部11の動線方向近傍とは、移動連結部11と固定連結部12を接近させた際に磁力の作用が及んで両者が互いに吸着しあうことができる範囲(領域)を意味する。
【0033】
以上のごとき構成であるので、
図1の拡大図または
図3(B)または
図3(C)に示すように、ランナー保持部品10の移動連結部11が設けられたランナー3をランナー保持部品10の固定連結部12に接近させれば、移動連結部11と固定連結部12を吸着した状態で所定の個所で保持した状態を維持させることができる。
つまり、かかるランナー3の摺動部3bをレール本体部2の軸方向に沿って収容空間2h内をランナー保持部品10の固定連結部12に向かって移動させる。そして、両者をある程度接近させれば、両者は磁力によって自動的に吸着し連結した状態となる。
【0034】
そして、ランナー保持部品10の固定連結部12をレール本体部2の所望の個所で固定することができるので、かかるランナー3をレール本体部2の所望の位置で止めることができる。つまり、ランナー3を止める個所を自由に調整することができるのである。
例えば、
図1に示すように、座席Sの列の上方において、通路側に沿って一本のレール本体部2を取り付ける場合、この一本のレール本体部2を軸方向に沿って前後の座席Sの背もたれ間の距離ごとにランナー保持部品10の固定連結部12を設ける。そして、この固定連結部12同士間に複数のランナー3を配設してカーテンCを取り付ける。すると、それぞれ座席S専用のカーテンCを配設することができるので、座席Sを利用する利用者は他の利用者に気兼ねすることなく自由にカーテンCを利用することができる。
【0035】
しかも、
図1または
図3に示すように、ランナー保持部品10の移動連結部11と固定連結部12がいずれもレール本体部2の収容空間2h内に配設されている。このため、本実施形態のカーテンレール1は、従来のカーテンレールのように、ライナーのハンガー部に磁石を設けた構造(
図5参照)と比べて、ランナーを保持する機構がレール本体部の外方に位置しない構造とすることができる。
【0036】
つまり、カーテンレール1を長距離バスの荷物棚Rの先端部背面に配設した状態において、カーテンCを開いた状態の使用位置(
図1(B)参照)からカーテンCを閉じた収容位置(
図1(C)参照)までランナー3を移動させる(つまり、ランナー保持部品10の移動連結部11が固定連結部12から離間する方向、
図1の拡大図においては、矢印の向きとは反対方向に向かってランナー3を移動させる。)。
すると、カーテンCを収容位置に収容した状態において、レール本体部2の開口面から突出する突出量は、後述する移動制限手段4のネジ4bの頭部などが存在する程度であり、従来のカーテンレールと比べて、非常に少なくできる。例えば、
図1(C)に示すように、レール本体部2の開口面からの突出量tが、3mm〜5mm程度となるように形成することができる。
【0037】
したがって、カーテンレール1を長距離バスの荷物棚Rのように低い位置に取り付けて使用する場合、従来のカーテンレールを使用した際に利用者に発生する事象(例えば、利用者が座席から移動する際などに、上述したレール本体部から突出した機構に頭部ぶつけたり、ぶつけそうになるといった事象)が発生するのを防止することができるようになる。
【0038】
また、長距離バスなどでは、車体が、移動や移動はしていないがエンジンを作動させている状態において、エンジン等から発生する共振や移動時の振動などの影響を常に受けている。この振動は、車体を介してカーテンレール1を取り付ける荷物棚R等に伝わり、この荷物棚Rに取り付けているレール本体部2に配設された連結状態のランナー保持部品10の移動連結部11と固定連結部12にも伝わる。このとき、移動連結部11と固定連結部12が連結状態にある場合、車体を介して伝わった振動は両者の連結状態を離間させるような力に変化する場合がある。
【0039】
ここで、仮に、移動連結部11と固定連結部12の連結機構を物理的に連結し保持する構造とした場合、上記のような力によって両者の連結が解除されて、それぞれが離間してしまう可能性がある。この場合、両者の連結機構が物理的に連結し保持する構造であれば、一旦離間した連結機構は、外部から力を加えない限り連結状態を回復することはできない。
【0040】
しかし、カーテンレール1のランナー保持部品10は、上述したように移動連結部11と固定連結部12が磁力によって連結するように形成されている。このため、振動によって両者がわずかに離間したとしても、かかる距離が磁力が作用する領域内であれば、両者が離間したとして両者の連結状態を自動的に回復させることができる。
【0041】
したがって、長距離バスなどに本実施形態のカーテンレール1を取り付けて使用すれば、ある程度の振動等が加わった場合でもランナー3を所定の個所に保持した状態を維持することができるので、移動等の際に利用者のプライベート空間を適切に確保することができるという利点も得られる。
【0042】
さらにまた、
図1または
図3(B)に示すように、本実施形態のカーテンレール1は、ランナー保持部品10が外部から視認しにくい構造となるので、外観をすっきりとさせることができるので、優れた意匠性を発揮させることができるという利点も得られる。
【0043】
なお、利用者とは、バスや電車等の乗客はもちろん、車内を点検する作業員や車内を清掃する作業員や運転手や添乗員など、車内で作業を行う作業員全てを含む概念である。
【0044】
つぎに、本実施形態のカーテンレール1の各部について詳細に説明する。
まず、ランナー保持部品10の各部について説明する。
【0045】
ランナー保持部品10の移動連結部11は、上述したようにランナー3の摺動部3bに連結した状態でレール本体部2の軸方向に沿って収容空間2h内を移動できるように形成されていれば、その形状や大きさとくに限定されない。
【0046】
例えば、移動連結部11は、矩形状、円形状、楕円状、正方形、長方形など様々な形状を採用することができるが、固定連結部12に対向する個所に固定連結部12に対向する対向面を有するものが望ましい。かかる対向面を有していれば、レール本体部2の収容空間2h内における移動連結部11と固定連結部12との相対的な位置関係が若干ずれた場合であっても互いに磁力によって連結することができる。
【0047】
このような形状としては、例えば、
図3(C)に示すような、開口2gの幅(一対の開口形成壁2c、2cの対向する両端間の距離)が約5mm〜7mm、側壁2b、2bの内面間の距離が約15mm〜17mm、開口形成壁2cの背面と底壁2aの内面との距離が約8mm〜10mmの収容空間2hを有するレール本体部2内に配置する場合、移動連結部11が平面視略矩形状(約10mm×約10mm、厚さ約3mm)となるように形成することができる。かかる形状とすれば、レール本体部2の収容空間2h内に設けた状態において、一の側面が固定連結部12に対向するように配設することができる(
図1(B)参照)。
【0048】
また、この移動連結部11をランナー3の摺動部3bに連結する方法は、とくに限定されない。例えば、両者を接着剤や両面テープ、ネジなどによって連結することができる。とくに、
図2(A)〜(D)に示すように、移動連結部11とランナー3の摺動部3bをネジ11aによって連結すれば、移動連結部11の着脱自在に取り付けることができるので好ましい。
【0049】
図2(A)〜(D)に示すように、この移動連結部11は、表裏を貫通する貫通孔が形成されている。そして、この移動連結部11に接した摺動部3bの接触面には、接触面から内方に向かって移動連結部11の貫通孔の中心軸が一致する孔が形成されている。そして摺動部3bに形成された孔は雌ネジ穴である。一方、ネジ11aは、その軸径が移動連結部11の貫通孔の直径よりも細くなっており、その軸部には雄ネジ部が形成されている。このため、移動連結部11の貫通孔にネジ11aを挿通し、雄ネジ部を摺動部3bの穴に螺合させれば、両者をしっかりと連結固定することができる。
【0050】
(固定連結部12)
ランナー保持部品10の固定連結部12は、上述したようにランナー3の移動を制限する移動制限手段4が備えるように設けてもよいし、ネジによってレール本体部2の収容空間2hを形成する壁に連結するように設けてもよい。
【0051】
(移動制限手段4がランナー保持部品10の固定連結部12を備えた構成)
まず、移動制限手段4が、ランナー保持部品10の固定連結部12を備える場合について説明する。
【0052】
(移動制限手段4)
ランナー保持部品10の固定連結部12を説明する前に、まず、移動制限手段4の概略を説明する。
図2(E)〜(H)に示すように、移動制限手段4は、レール本体部2に取り付けた状態において、レール本体部2の収容空間2h内に位置する内側制限部材4aと、レール本体部2の外方に取り付けて、外方から内側制限部材4aをレール本体部2の収容空間2h内に配置して固定するためのネジ4bとを備えている。
【0053】
図2(E)〜(H)に示すように、内側制限部材4aには、表裏を貫通する貫通孔が形成されている。この内側制限部材4aの貫通孔は雌ネジ穴である。そして、ネジ4bは、その軸径がレール本体部2の開口幅よりも細くなっており、レール本体部2の開口に挿通した状態で揺動可能な状態となっている一方、頭部の幅はレール本体部2の開口幅よりも広くなっている。そして、このネジ4bは、その軸部に雄ネジ部が形成されており、この雄ネジ部は内側制限部材4aの貫通孔に螺合している。
【0054】
なお、移動制限手段4の内側制限部材4aが、特許請求の範囲にいう「移動制限部材」に相当する。
【0055】
移動制限手段4が、以上のごとき構成であるので、ネジ4bの頭部と内側制限部材4aとの間に隙間を形成した状態で、内側制限部材4aがレール本体部2の収容空間2h内に位置するように取り付ける。かかる状態からネジ4bの頭部と内側制限部材4aとの距離が狭くなるようにネジ4bを回転させれば、両者間にレール本体部2の開口形成壁2cを挟み込んだ状態でレール本体部2に固定することができる(
図1拡大図参照)。
【0056】
(移動制限手段4がランナー保持部品10の固定連結部12を備えた構成)
つぎに、移動制限手段4がランナー保持部品10の固定連結部12を備えた構成について説明する。
【0057】
図2(E)〜(H)に示すように、移動制限手段4を、例えば、
図3(C)に示すようなレール本体部2(開口2gの幅が約5mm〜7mm、側壁2b、2bの内面間の距離が約15mm〜17mm、開口形成壁2cの背面と底壁2aの内面との距離が約8mm〜10mmの収容空間2hを有するレール本体部2)内に配置する場合、固定連結部12が平面視略矩形状(例えば、約10mm×約10mm、厚さ約3mm)となるように形成することができる。
【0058】
なお、固定連結部12は、その形状は平面視略矩形状に限定されず、辺面視円形状や、平面視楕円状、平面視正方形、平面視長方形など様々な形状を採用することができるが、移動連結部11と連結状態を適切に行うことができるように形成されているのが望ましい。具体的には、移動連結部11に対向する個所に移動連結部11に対向する対向面を有するものが望ましい。かかる対向面を有していれば、レール本体部2の収容空間2h内における固定連結部12と移動連結部11との相対的な位置関係が若干ずれた場合であっても互いに磁力によって連結することができる。
しかも、両者が上記のごとき対向面を有していれば、両者の連結状態をより適切維持することができる。つまり、両者をよりしっかりと吸着させることができるのである。
【0059】
図2(E)〜(H)に示すように、このランナー保持部品10の固定連結部12には、表裏を貫通する貫通孔が形成されている。この固定連結部12の貫通孔は雌ネジ穴である。そして、この固定連結部12の貫通孔には移動制限手段4の内側制限部材4aの貫通孔を螺合した後のネジ4bの雄ネジ部が螺合している。
つまり、移動制限手段4のネジ4bの雄ネジ部は、頭部側から移動制限手段4の内側制限部材4a、ランナー保持部品10の固定連結部12の順にそれぞれに形成された貫通孔に螺合している。
【0060】
以上のごとき構成とすれば、移動制限手段4がランナー保持部品10の固定連結部12を備えた状態となっている。このため、移動制限手段4の内側制限部材4aをレール本体部2の収容空間2h内に配置するようにレール本体部2に取り付けるだけで、ランナー保持部品10の固定連結部12も同時にレール本体部2の収容空間2h内に配置することができる。つまり、ランナー保持部品10の固定連結部12のレール本体部2の収容空間2h内への配置を簡単に行うことができる。
【0061】
しかも、ランナー保持部品10の固定連結部12を回転すれば、レール本体部2の収容空間2h内における固定連結部12の位置を簡単に調整することができる。このため、レール本体部2の収容空間2h内において、ランナー保持部品10の移動連結部11の動線上に固定連結部12が位置するように調整することができる。すると、ランナー保持部品10の移動連結部11と固定連結部12との磁力による連結をより適切に行わせることができるようになる。
【0062】
さらに、移動制限手段4がランナー保持部品10の固定連結部12を備えているので、レール本体部2において、移動連結部11が設けられたランナー3を吸着し連結保持する個所を自由に調整することができる。
例えば、カーテンCの一方の上端部を固定して他方の上端部に設けられたフックが係合した移動連結部11が設けられたランナー3の保持位置を所望の位置に変更することができるので、座席S間の距離に応じてかかるランナー3の保持位置を容易に変更することができる。
【0063】
(板状部材5)
なお、
図2(E)〜(H)に示すように、移動制限手段4は、レール本体部2に取り付けた状態において、レール本体部2の外方に配設される板状部材5を備えているのが好ましい。具体的には、移動制限手段4をレール本体部2に取り付けた状態において、ネジ4bの頭部背面とレール本体部2の開口形成壁2cの表面との間に板状部材5が位置するように配設されている。
【0064】
図2(E)〜(H)に示すように、この板状部材5は、平面視矩形の板状の部材であり、表裏を貫通する基端部貫通孔が形成された基端部5aと、表裏を貫通する先端部貫通孔5hが形成された先端部5bと、基端部5aと先端部5bとを連結する連結部5cとを備えている。
【0065】
例えば、
図2(E)〜(H)に示すように、板状部材5は、平面視において、基端部5aの基端から先端部5bの先端までの長さLが約13mm〜23mm、幅wはレール本体部本体部2の幅と同じくらいの長さかそれよりも小さく(例えば、レール本体部本体部2の幅が約20mm程度の場合、約14mm〜17mm程度)、基端部5aの背面から先端部5bの表面までの距離tが約3mm〜5mmとなるように形成することができる(
図2(F)参照)。
なお、板状部材5の基端部5aの背面から先端部5bの表面までの距離tが、上述したレール本体部2の開口面からの突出量tに相当する。
【0066】
この板状部材5の基端部5aの基端部貫通孔には、移動制限手段4のネジ4bが挿通されている。また、
図1(B)に示すように、板状部材5の先端部5bの先端部貫通孔5hには、カーテンCの上端部に設けられたフックが係合されている。
【0067】
そして、
図1、
図2(E)または(H)に示すように、この板状部材5は、連結部5cによって基端部5aと先端部5bが断面視階段状に形成されており、基端部5aの背面と先端部5bの背面が互いに平行となるように形成されている。
【0068】
なお、基端部5aの背面と先端部5bの背面が互いに平行とは、基端部5aの背面に対する先端部5bの背面の傾きが0度はもちろん、その傾きが±3〜±10度以内である場合を含むことを意味する。
なお、板状部材5の先端部5bの背面が、特許請求の範囲にいう板状部材5をレール本体部2に取り付けた状態における「レール本体部側の面」に相当する。
【0069】
以上のごとき構造の板状部材5を移動制限手段4が備えているので、板状部材5の基端部5aの背面がレール本体部2の開口形成壁2cの表面に接するようにレール本体部2に取り付けることができる。すると、
図1または
図3に示すように、レール本体部2に取り付けた状態において、板状部材5の基端部5のレール本体部2側の面(つまり先端部5bの背面)とレール本体部2の開口面とが平行となるよう配設することができる。
【0070】
しかも、板状部材5の厚み(つまり基端部5aの背面から先端部5bの表面までの距離t)が薄くなるように形成することができるので、板状部材5の先端部5bの突出量を小さくすることができる。例えば、
図1(C)に示すように、板状部材5を備えた移動制限手段4をレール本体部2に取り付けた状態において、板状部材5のレール本体部2の開口面からの突出量tが約3mm〜5mm程度となるように配設することができる。
【0071】
したがって、
図1(C)に示すように、カーテンCを収納位置に配置した状態において、レール本体部2からの突出量tを非常に少なくできるので、利用者が頭部を接触等するのを抑制できる。
しかも、かかる状態において、板状部材5の先端部5bの背面とレール本体部2の開口面とが平行となっているので、先端部5bの先端に利用者が頭部をぶつけたりするのを防止することができる。
【0072】
また、この板状部材5の先端部5bの先端部貫通孔5hには、カーテンCの一の上端部に設けられたフックが係合されているので、カーテンCの一端の移動を固定することができる(
図1参照)。
このため、カーテンCの一方の上端部を板状部材5に係合した状態で、他方の上端部のフックが係合したランナー3を移動させることができるので、カーテンCの開閉が適切に行えるようになる。
【0073】
なお、上記例では、
図1に示すように、座席S毎にカーテンCが一枚設けられた構成について説明した。つまり、カーテンCの一方の端部のフックを移動制限手段4の板状部材5に係合した状態で他方の上端部のフックが係合したランナー3を移動させて開閉するいわゆる片開きの構成について説明したが、かかる構成に限定されない。
【0074】
例えば、座席S毎に一対のカーテンCを設けた両開きの構成としてもよいのは言うまでもない。具体的には、座席Sの前後方向において、その真ん中に付近で一対のカーテンCの移動端部が接するように設けてもよい。この場合、上記真ん中付近のレール本体部2の収容空間2h内にランナー保持部品10の固定連結部12を配設すれば、かかる個所において、一対のカーテンCの他方の上端部をそれぞれ吸着して保持することができる。
【0075】
(ランナー保持部品10の固定連結部の他の実施形態)
以下では、ランナー保持部品10の固定連結部の他の実施形態について説明する。
図4に示すように、ランナー保持部品10の固定連結部22は、ネジ構造をとるように形成してもよい。
具体的には、この固定連結部22は、頭部と頭部に基端が連結した軸部を備えており、この軸部が基端から先端に向かって先細となるように形成することができる。そして、軸部には、その表面に軸方向に沿って螺旋状の溝を有する雄ネジ部が形成されている。
【0076】
このため、
図4に示すように、この固定連結部22の先端部をレール本体部2の内壁に突き刺して内壁に螺合させるだけで、レール本体部2の収容空間2h内に固定連結部22を容易に固定して配置することができる。なお、固定連結部22を螺合するレール本体部2の内壁は、とくに限定されない。例えば、
図4に示すように、レール本体部2の開口2gと反対側に位置する底壁2aに螺合して取り付けてもよいし、側壁2bに取り付けてもよい。
【0077】
しかも、
図4に示すように、固定連結部22がネジであるので、回転すれば、レール本体部2の固定連結部22を螺合した内壁に対して、固定連結部22を軸方向に沿って移動させることができる。すると、レール本体部2の収容空間2h内において、ランナー保持部品10の移動連結部11との相対的な位置関係を適切に調整することができるので、移動連結部11が設けられたランナー3と適切に吸着して連結した状態を保持することができる。
【0078】
また、固定連結部22がネジであれば、レール本体部2を荷物棚R等に取り付ける際に用いられる取り付け部材としても機能させることができるという利点が得られる。この場合、本実施形態のカーテンレール1の取り付ける際の作業性を向上させることができるという利点も得られる。
【0079】
なお、レール本体部2には、内壁を貫通する貫通孔を複数形成してもよい。
この貫通孔は、その直径が固定連結部22のネジの軸径よりも小さくなるように形成する。例えば、
図1または
図4に示すように、本実施形態のカーテンレール1のレール本体部2の底壁2aの表面が荷物棚Rの背面に接するように取り付ける場合、レール本体部2の底壁2aには、軸方向に沿って所定の間隔をあけて上記貫通孔を形成する。
この場合、この貫通孔に固定連結部22を螺合させながら挿通すれば、固定連結部22をレール本体部2の収容空間2h内に配置するとともに、レール本体部2を荷物棚Rに固定することができる。
しかも、レール本体部2の底壁2aには貫通孔があるので、位置決めが行いやすくなり、取り付けの作業性をより向上させることができる。
【0080】
とくに、固定連結部22をネジとする場合、固定連結部22がレール本体部2の内壁から抜け落ちるのを防止しするための抜止部材をレール本体部2の収容空間2h内に設けるのが望ましい。
具体的には、この抜止部材は、固定連結部22のネジの頭部とレール本体部2の開口面とを結ぶ直線状に位置するように設ける。そして、抜止部材と固定連結部22のネジとの距離が、レール本体部2の内壁に侵入した固定連結部22の先端部の長さよりも長くなるように配置する。
【0081】
上記のごとき構成とすれば、固定連結部22が振動等によって螺合状態が緩みレール本体部2の内壁からネジの頭部が離間した場合であっても、軸方向に抜止部材が設けられているので、かかる抜止部材によって固定連結部22がレール本体部2の内壁から外れるのを防止することができる。
【0082】
例えば、レール本体部2の開口面と反対側に位置するレール本体部2の底壁2aにおいて、固定連結部22の軸方向がレール本体部2の開口面に略直交するように固定連結部22をレール本体部2の底壁2aに螺合させた場合、固定連結部22のネジの頭部と開口面との間に抜止部材が位置するように配置する(
図4参照)。
【0083】
しかも、抜止部材がレール本体部2の開口形成壁2cの背面側に接するようにして配置すれば、ランナー3の摺動部3bの動線方向に位置する。この場合、抜止部材がランナー3の移動を制御するストッパーとしても機能させることができる。
【0084】
なお、抜止部材は、上記のごとき機能を有する部材であれば、とくに限定されず、例えば、
図4に示すように、移動制限手段4の内側制限部材4aを抜止部材として機能させることができる。
【0085】
また、抜止部材には、移動制限手段4の板状部材5と同様の板状部材を備えていてもよい。この板状部材の詳細な構造は、上述した移動制限手段4の板状部材5と同様であるので詳細は割愛するが、概略としては、以下のような構造を有する部材である。
【0086】
抜止部材の板状部材は、抜止部材をレール本体部2に取り付けた状態において、レール本体部2の外方に位置するように設けられる、先端部に表裏を貫通する貫通孔が形成された板状の部材である。
この板状部材も移動制限手段4の板状部材5と同様に基端部と先端部と両者を連結する連結部とを備えており、断面視において階段状となるように形成されている。そして、基端部と先端部の表面が互いに平行となるように形成されている。
【0087】
なお、抜止部材の板状部材は、上記のごとき機能を有する部材であれば、とくに限定されず、例えば、
図4に示すように、移動制限手段4の板状部材5を抜止部材の板状部材として機能させることができる。
【0088】
また、上記例では、ランナー3のハンガー部3aが、半円状に形成された部材であり、その表裏を貫通する貫通孔3hを有するように形成された場合について説明したが、ハンガー部3aの形状はかかる形状に限定されない。
【0089】
例えば、上述した移動制限手段4の板状部材5をランナー3のハンガー部3aとして機能させてもよい。具体的には、板状部材5の基端部5aの背面をランナー3の連結部3cの上面に連結すれば、板状部材5の先端部5bの先端部貫通孔5hをカーテンCの上端部に設けられるフックを係合させることができる。
【0090】
しかも、かかる構成とすれば、ランナー3のハンガー部3aが板状に形成されており、レール本体部2に取り付けた状態ではハンガー部3aとレール本体部2の開口面とのなす角が平行となるように形成することができる。このため、ハンガー部3aのレール本体部2からの突出量をより小さくできる。すると、利用者がランナー3のハンガー部3aに接触したりするのをより軽減することができるようになる。
【0091】
(レール本体部2の材質)
なお、レール本体部2は、磁石に対して吸着しにくい材質で形成されているのが望ましい。この場合、ランナー保持部品10の移動連結部11がレール本体部2の影響を受けにくい状態にできるので、ランナー3をスムースに移動させることができるから、利用者がストレスなくカーテンCを開閉することができるようになるという利点が得られる。
例えば、レール本体部2の材質とし、アルミニウム製やこれらの合金製のもの、樹脂製のものなどを採用することができる。
【解決手段】内部に軸方向に沿って延びる中空な収容空間2hを有し、収容空間2h内と外部とを連通する軸方向に沿って延びる開口2gを有する長尺なレール本体部2と、レール本体部2の軸方向に沿って移動自在に取り付けられる、収容空間2h内に配置される摺動部3aと摺動部3aに連結されたハンガー部3bを有する複数のランナー3と、ランナー3を磁力によって吸脱着可能に連結して保持し得るランナー保持部品10と、を備えており、ランナー保持部品10が、ランナー3の摺動部3aに設けられる移動連結部11と、レール本体部2の収容空間2h内に配置される固定連結部12と、を備えており、固定連結部12と移動連結部11が、レール本体部2の収容空間2h内に配設されている。