(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1位置決め受け部のうち少なくとも1箇所、および前記第2位置決め受け部のうち少なくとも1箇所は、共通の前記位置決め部に係止する、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の時計。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記時計では、表示板とソーラーセルの面内方向の位置ずれが生じやすかった。また、表示板の厚さ方向の位置にばらつきが生じやすいため、指針と表示板との間に、前記ばらつきを考慮に入れた十分な隙間を確保する必要がある。そのため、時計の薄型化の点で不利であった。
【0005】
本発明の一態様は、表示板と板部材とを精度よく位置決めすることができる時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、1箇所以上の位置決め部を有する地板と、前記位置決め部に係止する1箇所以上の第1位置決め受け部を有し、前記地板に重なる位置に配置される板部材と、前記位置決め部に係止する1箇所以上の第2位置決め受け部を有し、前記板部材に重なる位置に配置される表示板と、を備えた時計を提供する。
この構成によれば、板部材と表示板とがいずれも地板に対して位置決めされるため、板部材と表示板とを面内方向に精度よく位置決めできる。
また、表示板が直接、地板に当接して位置決めされるため、表示板を厚さ方向に精度よく位置決めすることができる。そのため、例えば指針と表示板との隙間を小さく設計することができ、時計の薄型化の点で有利である。
【0007】
前記位置決め部は、前記地板に形成された突起であり、前記第1位置決め受け部および前記第2位置決め受け部は、前記位置決め部に係止する凹部であってもよい。
この構成によれば、板部材および表示板に突起が形成され、地板に、前記突起に係止する凹部が形成されている場合に比べて、板部材および表示板の構造が簡略となり、その製造が容易となる。
【0008】
前記時計は、前記板部材を前記地板に押さえつける枠体をさらに備えている構成としてもよい。
この構成によれば、板部材の浮き上がりを防ぎ、板部材を精度よく厚さ方向に位置決めできる。また、前記枠体を前記表示板の外周を囲む形状とすることで、ケース収納時などに、誤って表示板が脱落するのを防ぐことができる。また、板部材を地板の端子に押さえつけることができるため、板部材と端子との間の確実な電気的導通が得られる。
【0009】
前記時計は、前記地板に、前記表示板に当接して前記表示板の厚さ方向の位置を定める台部が形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、表示板の厚さ方向の位置決め精度を高めることができる。
【0010】
前記時計は、前記地板に、前記表示板を固定する表示板固定部が形成され、前記表示板に、前記表示板固定部に係合する固定受け部が形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、表示板を地板に確実に固定できる。
【0011】
前記時計は、板部材が太陽電池である構成としてもよい。
この構成によれば、太陽、照明などからの光を電気エネルギーに変換して利用することができる。
【0012】
前記時計は、前記第1位置決め受け部のうち少なくとも1箇所、および前記第2位置決め受け部のうち少なくとも1箇所は、共通の前記位置決め部に係止する構成としてもよい。
この構成によれば、板部材と表示板とが係止する位置決め部が互いに異なる場合に比べ、板部材と表示板との位置決め精度を高めることができる。
【0013】
前記時計は、前記板部材の前記地板側に、耐磁板が設けられ、前記耐磁板は、前記位置決め部に係止する1箇所以上の第3位置決め受け部を有する構成としてもよい。
この構成によれば、耐磁板によって、モータ等への外部磁場の影響を抑制できる。
【0014】
前記時計は、アンテナ素子をさらに備え、前記耐磁板に、前記地板の厚さ方向から見て、前記アンテナ素子に重なる位置を回避する切欠きが形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、アンテナ素子が耐磁板によって覆われるのを回避し、アンテナ素子の送受信の特性を高めることができる。
【0015】
前記時計は、前記耐磁板が、前記地板側に設けられたアース導通部に電気的に導通する構成としてもよい。
この構成によれば、静電ノイズを抑制できる。
【0016】
前記時計は、前記地板に、前記表示板を固定する表示板固定部が形成され、前記耐磁板は、前記表示板固定部に係止する案内受け部を有する構成としてもよい。
この構成によれば、落下等により衝撃が加えられることにより第3位置決め受け部に変形が生じた場合でも、表示板固定部が案内受け部に係止することによって、耐磁板の脱落を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様は、1箇所以上の位置決め部を有する地板と、前記位置決め部に係止する1箇所以上の第1位置決め受け部を有し、前記地板に重なる位置に配置される板部材と、前記位置決め部に係止する1箇所以上の第2位置決め受け部を有し、前記板部材に重なる位置に配置される表示板と、を備える。
本発明の一態様によれば、板部材と表示板とがいずれも地板に対して位置決めされるため、板部材と表示板とを面内方向に精度よく位置決めできる。また、表示板が直接、地板に当接して位置決めされるため、表示板を厚さ方向にも精度よく位置決めすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を電子時計に適用した一例である。
<第1の実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電子時計10(時計)の分解斜視図である。
図1に示すように、電子時計10は、ムーブメント1と、表示板5とを備えている。ムーブメント1は、ムーブメント本体1Aと、地板2と、太陽電池3と、枠体4と、指針軸6とを備える。表示板5は、ムーブメント1の上側に位置する。Cは、電子時計10の中心軸線である。中心軸線Cに沿う方向のうち一方向を第1軸線方向C1といい、第1軸線方向C1と反対の方向を第2軸線方向C2という。以下、第1軸線方向C1を上方といい、第2軸線方向C2を下方ということがある。中心軸線Cは、ムーブメント1(地板2、太陽電池3、枠体4および指針軸6)、および表示板5の中心を通る。
中心軸線C周りの方向を周方向Rという。周方向Rのうち一方向を第1周方向R1といい、周方向Rのうち第1周方向R1と反対の方向を第2周方向R2という。中心軸線Cに垂直な面に沿う方向を面内方向という。
【0020】
電子時計10は、指針軸6に取り付けられる指針(時針、分針、および秒針)(図示略)を有する。電子時計10は、図示しないが、風防、裏蓋、ベゼル、ケース、およびベルトを備えた構成とすることができる。ケースは、ムーブメント1および表示板5を収納する。風防は、ケースの開口にベゼルによって取り付けられている。風防は、太陽光などの光を透過する材質、例えばガラス、プラスチックで形成されている。
【0021】
ムーブメント1(詳しくはムーブメント本体1A)は、例えば、回路ブロック(例えば発振回路、制御回路等)、電池(二次電池)、モータ等を備えている。電池は、太陽電池3によって供給された電気エネルギーによって充電される。モータは、指針軸6を駆動する。
【0022】
地板2は、板状の本体部2Aと、一対の第1位置決め突起部21(位置決め部、突起)と、一対の第2位置決め突起部22(位置決め部、突起)と、複数の固定突起部23(表示板固定部)と、一対の高さ台部群24Aと、一対の太陽電池端子25と、を有する。地板2は、ムーブメント本体1Aの上面側に設けられる。本体部2Aは、例えば、中心軸線Cと平行な方向から見て、概略、円形の環状に形成されている。
【0023】
第1位置決め突起部21は、本体部2Aの第1主面2a(第1軸線方向C1側の面)に、第1軸線方向C1(
図1の上方)に突出して形成されている。第1位置決め突起部21の形状は特に限定されないが、例えば中心軸線Cと平行な中心軸を有する円柱状である。一対の第1位置決め突起部21は、互いに周方向Rに離れた位置にある。一対の第1位置決め突起部21の相対位置は特に限定されないが、例えば中心軸線Cを軸として回転対称となる位置が好ましい。
なお、第1位置決め突起部の数は2に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)であってもよい。複数の第1位置決め突起部は、中心軸線Cに対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成することができる。
【0024】
第2位置決め突起部22は、本体部2Aの第1主面2aに、第1軸線方向C1(
図1の上方)に突出して形成されている。第2位置決め突起部22の形状は特に限定されないが、例えば中心軸線Cと平行な中心軸を有する円柱状である。一対の第2位置決め突起部22は、互いに周方向Rに離れた位置にある。一対の第2位置決め突起部22の相対位置は特に限定されないが、例えば中心軸線Cを軸として回転対称となる位置が好ましい。
【0025】
第2位置決め突起部22は、第1位置決め突起部21とは周方向Rの位置が異なる。
図1に示す電子時計10では、第2位置決め突起部22は、第1位置決め突起部21に対して周方向Rに約90°ずれた位置にある。
なお、第2位置決め突起部の数は2に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)であってもよい。複数の第2位置決め突起部は、中心軸線Cに対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成することができる。
【0026】
固定突起部23は、本体部2Aの第1主面2aに、第1軸線方向C1(
図1の上方)に突出して形成されている。固定突起部23の形状は特に限定されないが、例えば中心軸線Cと平行に見た形状が長円形である柱状(長円柱状)である。固定突起部23は、例えば、長軸方向が本体部2Aの径方向に垂直となる長円柱状である。
【0027】
複数(例えば
図1の電子時計10では4つ)の固定突起部23は、周方向Rに間隔をおいて形成されている。
図1に示す電子時計10では、複数の固定突起部23のうち一部の固定突起部23(
図1では2つの固定突起部23)の周方向Rの位置は、第2位置決め突起部22に近接する位置である。
なお、固定突起部の数は4に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)
であってもよい。
【0028】
一対の高さ台部群24Aは、それぞれ複数の高さ台部24を有する。高さ台部24は、本体部2Aの第1主面2aに、第1軸線方向C1(
図1の上方)に突出して形成されている。高さ台部24の形状は特に限定されないが、例えば中心軸線Cと平行な中心軸を有する円柱状である。
【0029】
図1に示す電子時計10では、高さ台部群24Aは、周方向Rに位置が異なる3つの高さ台部24を含む。これらの3つの高さ台部24を第1〜第3高さ台部24a〜24cという。第1高さ台部24aおよび第2高さ台部24bは、固定突起部23に近接した位置にある。第2高さ台部24bおよび第3高さ台部24cは、第2位置決め突起部22に近接した位置にある。第1高さ台部24aの周方向Rの位置は、固定突起部23に比べて第2周方向R2寄りの位置である。第2高さ台部24bの周方向Rの位置は、固定突起部23に比べて第1周方向R1寄り、かつ第2位置決め突起部22に比べて第2周方向R2寄りの位置である。第3高さ台部24cの周方向Rの位置は、第2位置決め突起部22に比べて第1周方向R1寄りの位置である。
【0030】
一対の高さ台部群24Aは、互いに周方向Rに離れた位置にある。一対の高さ台部群24Aの相対位置は特に限定されないが、例えば中心軸線Cを軸として回転対称となる位置が好ましい。
なお、高さ台部群の数は2に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)であってもよい。複数の高さ台部群は、中心軸線Cに対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成することができる。
【0031】
太陽電池端子25は、ムーブメント1の回路ブロック(例えば発振回路、制御回路等を含む)と太陽電池3との電気的な導通を行う端子である。一対の太陽電池端子25は、本体部2Aの第1主面2aに、周方向Rに間隔をおいて設けられている。
【0032】
本体部2Aの外周面2cには、複数の係合凹部26が形成されている。係合凹部26は、本体部2Aの全厚さにわたって形成されている。複数(例えば
図1の電子時計10では6つ)の係合凹部26は、周方向Rに間隔(好ましくは等間隔)をおいて形成されている。
なお、係合凹部の数は6に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)であってもよい。複数の係合凹部は、中心軸線Cに対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成することができる。
【0033】
太陽電池3は、太陽、照明などからの光を電気エネルギーに変換する発電部として動作する。太陽電池3は、板状に形成された板部材である。太陽電池3は、地板2の上に重なる位置に配置される。
【0034】
太陽電池3は、本体部3Aと、一対の第1凸部群31と、一対の導通用凸部34とを有する。
本体部3Aは、中心軸線Cと平行な方向から見て、概略、円形状に形成されている。本体部3Aの中央には、指針軸6が挿通する挿通孔35が形成されている。
【0035】
一対の第1凸部群31は、それぞれ2つの変位規制凸部32を有する。変位規制凸部32は、本体部3Aの外周縁3cに、本体部3Aの径方向外方に突出して形成されている。2つの変位規制凸部32は互いに近接し、周方向Rに間隔をおいて形成されている。
【0036】
2つの変位規制凸部32の間に形成された凹状の箇所を第1位置決め凹部33(第1位置決め受け部)という。第1位置決め凹部33は、地板2の第1位置決め突起部21が係止可能となる位置に形成される。第1位置決め凹部33の周方向Rの寸法は、地板2の第1位置決め突起部21が第1位置決め凹部33に入って係止したときに太陽電池3の位置ずれを規制することができるように設計される。
【0037】
一対の第1凸部群31は、互いに周方向Rに離れた位置にある。一対の第1凸部群31の相対位置は特に限定されないが、例えば中心軸線Cを軸として回転対称となる位置が好ましい。
なお、第1凸部群の数は2に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)であってもよい。複数の第1凸部群は、中心軸線Cに対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成することができる。
【0038】
導通用凸部34は、本体部3Aの外周縁3cに、本体部3Aの径方向外方に突出して形成されている。一対の導通用凸部34は、周方向Rに間隔をおいて形成されている。導通用凸部34は、地板2の太陽電池端子25に当接し、電気的に導通する。
【0039】
枠体4は、本体部4Aと、複数の枠体固定部41とを備えている。枠体4は、太陽電池3の上に設けられる。
本体部4Aは、例えば、中心軸線Cと平行な方向から見て、概略、円形の環状に形成されている。本体部4Aは、例えば、表示板5の外周を囲む形状である。本体部4Aは、太陽電池3の一部(例えば第1凸部群31および導通用凸部34)の上面(第1軸線方向C1側の面)に当接可能である。
【0040】
枠体固定部41は、主部42と、固定爪43とを有する。主部42は、本体部4Aの第2主面4b(第2軸線方向C2側の面)に、第2軸線方向C2(
図1の下方)に突出して形成されている。主部42は、例えば、本体部4Aの径方向に対して垂直な板状である。主部42は、厚さ方向に弾性的に曲げ変形可能である。主部42の幅(周方向Rの寸法)は、地板2の係合凹部26に入り込むことができるように定められる。
固定爪43は、主部42の下端部に、枠体4の径方向の内方に向けて突出している。
【0041】
枠体固定部41は、地板2の係合凹部26に係合するように形成されている。枠体固定部41は、係合凹部26と同数(6つ)であって、周方向Rに間隔(好ましくは等間隔)をおいて形成されている。枠体固定部41は、主部42が地板2の係合凹部26に入り、固定爪43が係合凹部26の下端で地板2に係止することによって、枠体4が上方(第1軸線方向C1)に移動するのを規制する。
【0042】
枠体4は、枠体固定部41が地板2に係止することによって、太陽電池3(例えば第1凸部群31および導通用凸部34)を上から押さえつけた状態で、地板2に固定される。枠体4によって、太陽電池3の導通用凸部34は地板2の太陽電池端子25に押さえつけられ、導通用凸部34と太陽電池端子25との間で確実な電気的導通が得られる。
【0043】
表示板5は、例えば文字板である。表示板5は、枠体4内であって太陽電池3の上に重なる位置に配置される。表示板5は、太陽電池3に当接してもよいし、太陽電池3から離間していてもよい。
【0044】
表示板5は、本体部5Aと、複数の固定用凸部群51と、一対の変位規制凸部52とを有する。表示板5は、太陽電池3において充電に必要な光を透過するように構成されている。例えば、表示板5は、前記光を透過する材質で形成される。表示板5は、充電に必要な光が透過できればよく、光を透過しない材質を用いた場合でも、例えば微小な貫通孔が複数形成され、この貫通孔を通して光が透過できればよい。
【0045】
本体部5Aは、中心軸線Cと平行な方向から見て、概略、円形状に形成されている。本体部5Aの中央には、指針軸6が挿通する挿通孔56が形成されている。本体部5Aの第1主面5aは、例えば、中心軸線C周りの全周にわたって形成されて時刻を表示する表示領域(図示略)を有する。この表示領域には、時刻を表示する複数の目盛り(指標)(図示略)が形成されている。複数の目盛りは、例えば、中心軸線Cの周囲における所定の位置に形成され、指針(図示略)により時刻を表示する。
【0046】
固定用凸部群51は、それぞれ2つの固定用凸部53を有する。固定用凸部53は、本体部5Aの外周縁5cに、本体部5Aの径方向外方に突出して形成されている。2つの固定用凸部53は互いに近接し、周方向Rに間隔をおいて形成されている。
【0047】
2つの固定用凸部53の間に形成された凹状の箇所を固定凹部54(固定受け部)という。固定凹部54は、地板2の固定突起部23が嵌合可能となる位置に形成される。固定凹部54の周方向Rの寸法は、地板2の固定突起部23が固定凹部54に嵌合して表示板5を固定できるように設計される。
複数の固定用凸部群51は、互いに周方向Rに離れた位置にある。固定用凸部群51の数は、地板2の固定突起部23と同数(4つ)である。
【0048】
変位規制凸部52は、本体部5Aの外周縁5cに、本体部5Aの径方向外方に突出して形成されている。変位規制凸部52は、固定用凸部群51を構成する2つの固定用凸部53のうち一方に近接し、かつこの固定用凸部53から周方向Rに間隔をおいて形成されている。
【0049】
変位規制凸部52と固定用凸部53との間に形成された凹状の箇所を第2位置決め凹部55という。第2位置決め凹部55の数は、地板2の第2位置決め突起部22と同数(2つ)である。第2位置決め凹部55は、地板2の第2位置決め突起部22が係止可能となる位置に形成される。第2位置決め凹部55の周方向Rの寸法は、地板2の第2位置決め突起部22が第2位置決め凹部55に入って係止したときに表示板5の位置ずれを規制することができるように設計される。
【0050】
表示板5は、例えば固定用凸部53および変位規制凸部52が地板2の高さ台部24に当接し、下方移動が規制されることによって、厚さ方向の位置決めがなされる。
図1に示す電子時計10では、2つの固定用凸部53がそれぞれ第1高さ台部24aおよび第2高さ台部24bに当接し、変位規制凸部52が第3高さ台部24cに当接する。これによって、表示板5が厚さ方向に位置決めされる。
【0051】
指針軸6は、第1軸線方向C1(
図1の上方)に突出して形成されている。指針軸6は、例えば、時針、分針、および秒針(いずれも図示略)の軸を有している。指針軸のそれぞれの軸には、時針、分針、および秒針が固定されている。指針軸6は、例えば、ムーブメント1内のモータ(図示略)によって駆動する。
【0052】
次に、電子時計10の組立方法について
図2〜
図7を参照して説明する。
図2および
図3に示すように、太陽電池3を地板2に組み付ける。地板2の第1位置決め突起部21が太陽電池3の第1位置決め凹部33に係止することによって、太陽電池3は地板2に対して面内方向に位置決めされる。導通用凸部34は、地板2の太陽電池端子25に当接し、電気的に導通する。
【0053】
次いで、
図4および
図5に示すように、枠体4を地板2に組み付ける。枠体4は、枠体固定部41の主部42が地板2の係合凹部26に入り、固定爪43が係合凹部26の下端で地板2に係止することによって、地板2に対して固定される。枠体4は、太陽電池3(例えば第1凸部群31および導通用凸部34)を上から押さえつけた状態で、地板2に固定される。枠体4によって、導通用凸部34は太陽電池端子25に押さえつけられ、確実な電気的導通が得られる。
【0054】
次いで、
図6および
図7に示すように、表示板5を地板2に組み付ける。地板2の第2位置決め突起部22が表示板5の第2位置決め凹部55に係止することによって、表示板5は地板2に対して面内方向に位置決めされる。表示板5は、地板2の固定突起部23が固定凹部54に係合することによって地板2に固定される。
これによって、
図1に示す電子時計10が組み立てられる。
【0055】
電子時計10は、太陽電池3と表示板5とがいずれも地板2に対して位置決めされるため、太陽電池3と表示板5とを面内方向に精度よく位置決めできる。また、表示板5が直接、地板2に当接して位置決めされるため、表示板5を厚さ方向に精度よく位置決めすることができる。そのため、例えば指針と表示板5との隙間を小さく設計することができ、電子時計10の薄型化の点で有利である。
【0056】
電子時計10では、地板2に第1位置決め突起部21および第2位置決め突起部22が形成され、太陽電池3に、第1位置決め突起部21に係合する第1位置決め凹部33が形成され、表示板5に、第2位置決め突起部22に係合する第2位置決め凹部55が形成されている。そのため、太陽電池および表示板に突起が形成され、地板に前記突起に係止する凹部が形成されている場合に比べて、太陽電池および表示板の構造が簡略となり、その製造が容易となる。
【0057】
電子時計10では、枠体4を有するため、太陽電池3の浮き上がりを防ぎ、太陽電池3を精度よく厚さ方向に位置決めできる。また、枠体4を表示板5の外周を囲む形状とすることで、ムーブメント1等を前記ケースに収納する際に、誤って表示板5が脱落するのを防ぐことができる。また、枠体4によって太陽電池3の導通用凸部34が地板2の太陽電池端子25に押さえつけられるため、導通用凸部34と太陽電池端子25との間の確実な電気的導通が得られる。
【0058】
電子時計10では、地板2に、表示板5に当接して表示板5の厚さ方向の位置を定める高さ台部24が形成されているため、表示板5の厚さ方向の位置決め精度を高めることができる。
【0059】
電子時計10では、地板2に、固定突起部23が形成され、表示板5に、固定突起部23に係合する固定凹部54が形成されているため、表示板5を地板2に確実に固定できる。
【0060】
電子時計10は、太陽電池3を有するため、太陽、照明などからの光を電気エネルギーに変換して利用することができる。
【0061】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。以下、既出の実施形態との共通点については同じ符号を付して説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係る電子時計110(時計)の分解斜視図である。
図8に示すように、電子時計110は、ムーブメント101と、表示板5と、を備えている。ムーブメント101は、ムーブメント本体101Aと、地板102と、太陽電池103と、枠体4と、指針軸6とを備えている。
太陽電池103は、一対の第1凸部群131の周方向Rの位置が、第1の実施形態の電子時計10における太陽電池3とは異なる。
【0062】
一対の第1凸部群131は、それぞれ2つの変位規制凸部132を有する。2つの変位規制凸部132の間に形成された凹状の箇所を第1位置決め凹部133(第1位置決め受け部)という。第1位置決め凹部133は、地板102の第2位置決め突起部22が係止可能となる位置に形成される。第1位置決め凹部133の周方向Rの寸法は、地板102の第2位置決め突起部22が第1位置決め凹部133に入って係止したときに太陽電池103の位置ずれを規制することができるように設計される。
【0063】
地板102は、第1の実施形態の電子時計10における一対の高さ台部群24Aに代えて、一対の高さ台部124を有する。高さ台部124は、本体部2Aの第1主面2aに、第1軸線方向C1(
図1の上方)に突出して形成されている。高さ台部124は、固定突起部23に近接した位置にある。
表示板5は、例えば固定用凸部53および変位規制凸部52が地板2の高さ台部124に当接し、下方移動が規制されることによって、厚さ方向の位置決めがなされる。
【0064】
電子時計110は、太陽電池103と、表示板5とが、いずれも地板102に対して位置決めされるため、太陽電池103と表示板5とを面内方向に精度よく位置決めできる。また、表示板5を、厚さ方向に精度よく位置決めすることができるため、例えば指針と表示板5との隙間を小さく設計することができ、電子時計110の薄型化の点で有利である。
【0065】
電子時計110は、太陽電池103と、表示板5とが、共通の第2位置決め突起部22に対して位置決めされるため、太陽電池と表示板とが係止する位置決め突起部が互いに異なる場合に比べ、太陽電池103と表示板5との位置決め精度を高めることができる。
【0066】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。以下、既出の実施形態との共通点については同じ符号を付して説明を省略する。
図9は、第3実施形態に係る電子時計210の分解斜視図である。
図9に示すように、電子時計210は、ムーブメント201と、表示板5と、を備えている。ムーブメント201は、ムーブメント本体201Aと、地板2と、耐磁板7と、太陽電池3と、枠体4と、指針軸6とを備えている。ムーブメント本体201Aはアンテナ素子202を内蔵する。
【0067】
耐磁板7は、ムーブメント本体201A(例えばモータ等)への外部磁場の影響を抑制する機能を有する。耐磁板7は、例えば、パーマロイ、純鉄、ステンレス鋼などの金属(導電性材料)で構成される。耐磁板7は、磁性材料(特に高透磁率材料)で構成されることが望ましい。耐磁板7は、太陽電池3の下面側(地板2側)に設けられる。
【0068】
耐磁板7は、本体部7Aと、一対の第1凸部群71と、一対の案内凸部群74とを有する。本体部7Aは、中心軸線Cと平行な方向から見て、概略、円形状に形成されている。本体部7Aの中央には、指針軸6が挿通する挿通孔77が形成されている。
【0069】
本体部7Aは切欠き78を有する。切欠き78は、本体部7Aの周縁の一部に形成されている。切欠き78は、中心軸線Cと平行に見て(すなわち地板2の厚さ方向から見て)、耐磁板7が、アンテナ素子202に重なる位置を回避するように形成されている。切欠き78によって、アンテナ素子202が耐磁板7に覆われるのを回避できる。そのため、アンテナ素子202の送受信の特性を高めることができる。
【0070】
一対の第1凸部群71は、それぞれ2つの変位規制凸部72を有する。変位規制凸部72は、本体部7Aの外周縁7cに、本体部7Aの径方向外方に突出して形成されている。2つの変位規制凸部72は互いに近接し、周方向Rに間隔をおいて形成されている。
【0071】
2つの変位規制凸部72の間に形成された凹状の箇所を第3位置決め凹部73(第3位置決め受け部)という。第3位置決め凹部73は、地板2の第1位置決め突起部21が係止可能となる位置に形成される。第3位置決め凹部73の周方向Rの寸法は、地板2の第1位置決め突起部21が第3位置決め凹部73に入って係止したときに耐磁板7の位置ずれを規制することができるように設計される。
【0072】
一対の第1凸部群71は、互いに周方向Rに離れた位置にある。一対の第1凸部群71の相対位置は特に限定されないが、例えば中心軸線Cを軸として回転対称となる位置が好ましい。
なお、第1凸部群の数は2に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)であってもよい。複数の第1凸部群は、中心軸線Cに対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成することができる。
【0073】
案内凸部群74は、それぞれ2つの案内凸部75を有する。案内凸部75は、本体部7Aの外周縁7cに、本体部7Aの径方向外方に突出して形成されている。2つの案内凸部75は互いに近接し、周方向Rに間隔をおいて形成されている。
【0074】
2つの案内凸部75の間に形成された凹状の箇所を案内凹部76(案内受け部)という。案内凹部76は、地板2の固定突起部23が入り込む位置に形成される。案内凹部76の周方向Rの寸法は、地板2の固定突起部23が案内凹部76に入って係止できるように設計される。電子時計210では、落下等により衝撃が加えられることにより第3位置決め凹部73に変形が生じた場合でも、固定突起部23が案内凹部76に係止することによって、耐磁板7の脱落を防ぐことができる。
【0075】
一対の案内凸部群74は、互いに周方向Rに離れた位置にある。一対の案内凸部群74の相対位置は特に限定されないが、例えば中心軸線Cを軸として回転対称となる位置が好ましい。
なお、案内凸部群の数は2に限らず、1であってもよいし、2以上の任意の数(複数)であってもよい。複数の案内凸部群は、中心軸線Cに対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成することができる。
【0076】
耐磁板7は、ムーブメント本体201Aに設けられたアース導通部(導通部)に電気的に導通する。これにより静電ノイズを抑制できる。耐磁板7とアース導通部とは直接、当接してもよいし、導通部材を介して当接してもよい。
【0077】
耐磁板7とアース導通部とが直接、当接する構造としては、
図10および
図11に示す構造を例示できる。
図10に示す構造では、アース導通部203は、ムーブメント本体201Aの金属板205に形成された凸部であり、耐磁板7の下面に当接する。アース導通部203は、上面が凸状であり、下面が凹状である形状(例えば、半抜き形状)である。
図11に示す構造では、アース導通部204は、ムーブメント本体201Aの金属板206から延出する弾性片であり、耐磁板7の下面に当接する。
図10および
図11に示す構造では、アース導通部203,204は、それぞれ金属板205,206に一体に形成されている。アース導通部203,204は、弾性力により耐磁板7の当接を確保できる。
【0078】
図10および
図11では、アース導通部が前述の当接構造(凸部または弾性片)を有するが、この当接構造は、耐磁板7に設けられていてもよい。すなわち、例えば、耐磁板7に設けられた半抜き形状の凸部がムーブメント本体201Aの金属板に当接する構造を採用できる。また、耐磁板7に設けられた弾性片がムーブメント本体201Aの金属板に当接する構造を採用してもよい。また、前述の当接構造(凸部または弾性片)は、耐磁板7とムーブメント本体201Aの両方に設けられていてもよい。
耐磁板7とアース導通部との間に導通部材が介在する構造を採用する場合、導通部材としては、針座、ワッシャ、板バネなどを使用できる。
【0079】
次に、電子時計210の組立方法について
図12および
図13を参照して説明する。
図12および
図13に示すように、耐磁板7を地板2に組み付ける。地板2の第1位置決め突起部21は第3位置決め凹部73に係止する。地板2の固定突起部23は案内凹部76に係止する。次いで、第1の実施形態における組立方法と同様にして、太陽電池3、枠体4、表示板5を設置する(
図2〜
図7参照)。これによって、
図9に示す電子時計210が組み立てられる。
【0080】
電子時計210は、耐磁板7と、太陽電池3と、表示板5とが、いずれも地板2に対して位置決めされるため、耐磁板7と太陽電池3と表示板5とを面内方向に精度よく位置決めできる。
【0081】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
図1に示す電子時計10は、地板2に位置決め突起部21,22が形成され、太陽電池3および表示板5に、それぞれ位置決め凹部33,55が形成されているが、実施形態の時計はこの構成に限定されない。例えば、太陽電池および表示板にそれぞれ位置決め突起部が形成され、地板に、前記位置決め突起部に係合する位置決め凹部が形成されていてもよい。この場合、太陽電池および表示板に形成された位置決め突起部はそれぞれ「第1位置決め受け部」および「第2位置決め受け部」であり、地板の位置決め凹部は「位置決め部」である。
【0082】
図1に示す電子時計10では、表示板5の固定凹部54が地板2の固定突起部23に係合するが、実施形態の時計はこれに限らず、表示板の突起(固定受け部)が地板の凹部(表示板固定部)に係合する構造を採用してもよい。
【0083】
図1に示す電子時計10は、太陽電池3の上に表示板5が配置されているが、実施形態の時計は、表示板の上に太陽電池が配置されていてもよい。
図1に示す電子時計10は、太陽電池3を保持するための枠体4を有するが、実施形態の時計は、枠体がない構成も可能である。
図1に示す電子時計10は太陽電池3を有するが、実施形態の時計は、太陽電池3に代えて、他の板部材、例えば、板状コイルからなるアンテナ、板状の有機EL(ElectroLuminescence)表示装置などを使用してもよい。
【0084】
図1に示す電子時計10では、太陽電池3は、一対の第1位置決め凹部33が第1位置決め突起部21に係止することによって地板2に位置決めされる。表示板5は、一対の第2位置決め凹部55が第2位置決め突起部22に係止することによって地板2に位置決めされる。
実施形態の時計はこの構成に限らず、複数の第1位置決め凹部のうち少なくとも1つ(1箇所)がいずれかの位置決め突起部に係止し、複数の第2位置決め凹部のうち少なくとも1つ(1箇所)がいずれかの位置決め突起部に係止する構成であってもよい。例えば、複数の第1位置決め凹部のうち一部のみが第1位置決め突起部に係止し、複数の第2位置決め凹部のうち一部のみが第2位置決め突起部に係止する構成であってもよい。
【0085】
図8に示す電子時計110では、太陽電池103は、一対の第1位置決め凹部133が第2位置決め突起部22に係止することによって地板2に位置決めされる。表示板5は、一対の第2位置決め凹部55が第2位置決め突起部22に係止することによって地板2に位置決めされる。
実施形態の時計はこの構成に限らず、太陽電池の複数の第1位置決め凹部のうち少なくとも1つ(1箇所)と、表示板の複数の第2位置決め凹部のうち少なくとも1つ(1箇所)とが共通の位置決め凹部に係止する構成であってもよい。例えば、複数の第1位置決め凹部のうち一部と、複数の第2位置決め凹部のうち一部とが、共通の第2位置決め突起部に係止する構成であってもよい。