(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469850
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】エンジン制動用のロッカアームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F01L 13/06 20060101AFI20190204BHJP
F01L 1/18 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
F01L13/06 Z
F01L1/18 H
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-515069(P2017-515069)
(86)(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公表番号】特表2017-528646(P2017-528646A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2014069940
(87)【国際公開番号】WO2016041600
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】516350330
【氏名又は名称】イートン ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Eaton SRL
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マヨ チェクール
(72)【発明者】
【氏名】マルコ アレッサンドリア
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ アンドリサーニ
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−527686(JP,A)
【文献】
特表平11−502279(JP,A)
【文献】
特開2011−149398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34− 1/356
F01L 9/00− 9/04
F01L 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼エンジンモードおよびエンジン制動モードにおいて作動可能な排気弁ロッカアームアセンブリにおいて、該排気弁ロッカアームアセンブリは、
加圧オイル供給導管を形成するロッカシャフトと、
該ロッカシャフトを収容しており、該ロッカシャフトの周囲を回転するように構成されたロッカアームであって、該ロッカアームに形成されたオイル供給通路を有している、ロッカアームと、
第1の排気弁に係合しかつ第2の排気弁に係合する弁ブリッジと、
第1の位置と第2の位置との間を可動な第1のプランジャボディを有する、前記ロッカアームに配置された液圧式ラッシュアジャスタアセンブリであって、前記第1の位置においては、前記第1のプランジャボディは、前記弁ブリッジと協働的に係合するように堅く延びている、液圧式ラッシュアジャスタアセンブリと、
前記ロッカアームに配置されており、前記液圧式ラッシュアジャスタアセンブリからオイルを選択的に解放させるように構成された、圧力逃し弁アセンブリと、を備え、
前記ロッカアームに配置されており、前記液圧式ラッシュアジャスタアセンブリにおける圧力を選択的に解放するアクチュエータを有する、逆止弁をさらに備え、前記アクチュエータは、さらに、長手方向ピン部分およびディスク部分を有するニードルを含んでおり、オイル排出回路をさらに備え、該オイル排出回路は、前記ニードルの前記ディスク部分の下側のオイルを選択的に減圧するように構成されており、
前記エンジン制動モードにおいては、加圧オイルが、加圧オイル供給導管と、前記ロッカアームの前記オイル供給通路とを通じて、前記ニードルの前記ディスク部分に作用し、それにより、第1の角度への前記ロッカアームの回転中に前記第1のプランジャボディが前記第1の位置を占めかつ前記弁ブリッジに作用し、前記第2の排気弁が閉鎖されたまま前記第1の排気弁を所定の距離だけ開放させることを特徴とする、排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項2】
前記弁ブリッジは、球状のエレファントフットにおいて前記第1の排気弁に係合しかつ円筒状のエレファントフットにおいて前記第2の排気弁に係合する、請求項1記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項3】
前記圧力逃し弁アセンブリは、圧力逃し弁付勢部材と、プランジャと、支持リングとを有する、請求項1または2記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項4】
前記ロッカアームに配置されたスピゴットをさらに備え、前記エンジン制動モードでは、前記第1の弁を所定の距離だけ開放させた後、前記ロッカアームのさらなる回転により前記スピゴットは前記弁ブリッジを移動させ、前記第1の弁をさらに開放させながら前記第2の弁を開放させる、請求項1または2記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項5】
前記オイル排出回路は、前記ロッカアームに形成された第1の接続通路および出口通路と、前記スピゴットに形成された通過チャネルとによって集合的に形成されている、請求項4記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の接続通路は、前記ディスク部分を収容する前記ロッカアームに形成されたボアを、前記スピゴットを収容するスピゴット収容通路に接続している、請求項5記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項7】
前記スピゴットは、前記スピゴット収容通路に沿って前記ロッカアームに対して並進するように構成されており、前記ロッカアームの所定の回転は、前記第1の接続通路と、前記通過チャネルと、前記出口通路とを整列させ、前記ニードルの前記ディスク部分の下側からオイルを放圧する、請求項6記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項8】
前記液圧式ラッシュアジャスタアセンブリは、さらに、前記第1のプランジャボディによって少なくとも部分的に収容された第2のプランジャボディを有しており、該第2のプランジャボディは弁座を形成している、請求項1または2記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項9】
前記逆止弁は、前記第1のプランジャボディと前記第2のプランジャボディとの間に配置されており、前記逆止弁は、さらに、前記第2のプランジャボディにおける前記弁座に対して選択的に着座するチェックボールを有する、請求項8記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項10】
燃焼エンジンモードおよびエンジン制動モードにおいて作動可能な排気弁ロッカアームアセンブリにおいて、該排気弁ロッカアームアセンブリは、
加圧オイル供給導管を形成するロッカシャフトと、
該ロッカシャフトを収容しており、かつ該ロッカシャフトの周囲を回転するように構成されたロッカアームであって、該ロッカアームに形成されたオイル供給通路を有する、ロッカアームと、
第1の排気弁および第2の排気弁に係合する弁ブリッジと、
第1の位置と第2の位置との間を可動な第1のプランジャボディであって、前記第1の位置においては、前記第1のプランジャボディは、前記弁ブリッジと協働的に係合するように堅く延びている、第1のプランジャボディと、
前記ロッカアームに配置されており、かつ前記第1のプランジャボディに作用する圧力を選択的に解放するアクチュエータを有する、逆止弁であって、前記アクチュエータは、長手方向ピン部分およびディスク部分を有するニードルを含む、逆止弁と、
前記アクチュエータの前記ディスク部分の下側のオイルを選択的に減圧するように構成されたオイル排出回路と、を備え、
前記エンジン制動モードにおいて、前記ロッカアームは、
(i)前記加圧オイルが、前記加圧オイル供給導管を通り、前記ロッカアームの前記オイル供給通路を通って、前記ニードルの前記ディスク部分に作用し、それにより、前記第1のプランジャボディが前記第1の位置を占めかつ前記弁ブリッジに作用し、前記第2の弁が閉鎖されたまま前記第1の排気弁を所定の距離だけ開放させる、第1の所定の角度と、
(ii)前記オイル排出回路が開放し、前記アクチュエータの前記ディスク部分の下側からオイル圧力を解放させる、第2の所定の角度と、
(iii)前記ロッカアームの前記オイル供給通路が前記加圧オイル供給導管から切断される、第3の所定の角度と、に回転するように構成されていることを特徴とする、排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項11】
前記ロッカアームに配置されており、かつ前記ロッカアームに配置された、前記第1のプランジャボディを有する液圧式ラッシュアジャスタアセンブリからオイルを選択的に解放するように構成された、圧力逃し弁アセンブリをさらに備える、請求項10記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項12】
前記圧力逃し弁アセンブリは、圧力逃し弁付勢部材と、プランジャと、支持リングとを有する、請求項11記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項13】
前記ロッカアームに配置されたスピゴットをさらに備え、前記エンジン制動モードでは、前記第1の弁を所定の距離だけ開放させた後、前記ロッカアームのさらなる回転により前記スピゴットは前記弁ブリッジを移動させ、前記第1の弁をさらに開放させながら前記第2の弁を開放させる、請求項10記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項14】
前記オイル排出回路は、前記ロッカアームに形成された第1の接続通路および出口通路と、前記スピゴットに形成された通過チャネルとによって集合的に形成されている、請求項13記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の接続通路は、前記ディスク部分を収容する前記ロッカアームに形成されたボアを、前記スピゴットを収容するスピゴット収容通路に接続している、請求項14記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項16】
前記スピゴットは、前記スピゴット収容通路に沿って前記ロッカアームに対して並進するように構成されており、前記ロッカアームの所定の回転は、前記第1の接続通路と、前記通過チャネルと、前記出口通路とを整列させ、前記ニードルの前記ディスク部分の下側からオイルを放圧する、請求項15記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項17】
前記液圧式ラッシュアジャスタアセンブリは、さらに、前記第1のプランジャボディによって少なくとも部分的に収容された第2のプランジャボディを有しており、該第2のプランジャボディは弁座を形成している、請求項11記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項18】
前記逆止弁は、前記第1のプランジャボディと前記第2のプランジャボディとの間に配置されており、前記逆止弁は、さらに、前記第2のプランジャボディにおける弁座に対して選択的に着座するチェックボールを有する、請求項16記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【請求項19】
前記スピゴットは、弁ブリッジを移動させる前に前記スピゴット収容通路に沿って摺動可能に並進するように構成されている、請求項16記載の排気弁ロッカアームアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、概して、弁列アセンブリにおいて使用するためのロッカアームアセンブリ、特に、圧縮制動機能を提供するロッカアームアセンブリに関する。
【0002】
背景
圧縮エンジンブレーキは、大型または中型ディーゼルエンジンによって動力を与えられる比較的大型の車両、例えばトラックにおいて、ホイールブレーキに加えて補助的なブレーキとして使用することができる。圧縮エンジン制動システムは、作動させられると、当該シリンダ内のピストンがその圧縮行程の上死点位置の近くにあるときにエンジンシリンダ排気弁の付加的な開放を提供し、これにより、圧縮空気を排気弁から放出することができるように配置されている。これにより、エンジンは、動力消費空気圧縮機として機能し、これは、車両を減速させる。
【0003】
圧縮エンジンブレーキとともに使用される典型的な弁列アセンブリにおいて、排気弁はロッカアームによって作動させられ、ロッカアームは、弁ブリッジによって排気弁に係合する。ロッカアームは、回転するカムシャフトにおけるカムに応答して揺動し、弁ブリッジに対して押し下げられ、弁ブリッジ自体は排気弁に対して押し下げられ、排気弁を開放させる。弁列アセンブリにおける構成部材間に生じるあらゆる隙間もしくはギャップを排除するために、液圧式ラッシュアジャスタが弁列アセンブリに設けられていてもよい。
【0004】
ここに提供される背景の説明は、開示の内容を概略的に示すという目的のものである。この背景技術のセクションで説明されている限りにおける、本明細書に名前が挙がっている発明者らの業績、および、さもなければ出願の時点で従来技術として限定されないかもしれない説明の態様は、本開示に対する従来技術としては明示的にも、暗示的にも認められない。
【0005】
概要
燃焼エンジンモードおよびエンジン制動モードで作動可能な排気弁ロッカアームアセンブリは、ロッカシャフトおよびロッカアームを有することができる。ロッカシャフトは、加圧オイル供給導管を形成することができる。ロッカアームは、ロッカシャフトを収容することができ、ロッカシャフトの周囲を回転するように構成されている。ロッカアームは、ロッカアームに形成されたオイル供給通路を有することができる。弁ブリッジは、第1の排気弁および第2の排気弁に係合することができる。液圧式ラッシュアジャスタアセンブリは、ロッカアームに配置することができ、第1の位置と第2の位置との間を可動な第1のプランジャボディを有する。第1の位置において、第1のプランジャボディは、弁ブリッジと協働的に係合するように堅く延びている。圧力逃し弁アセンブリは、ロッカアームに配置することができ、液圧式ラッシュアジャスタアセンブリからオイルを選択的に解放するように構成することができる。エンジン制動モードでは、加圧オイルは、加圧オイル供給導管を通り、ロッカアームオイル供給通路を通って、アクチュエータに逆らって連通させられ、これにより、第1のプランジャは第1の位置を占め、第1の角度へのロッカアームの回転中に弁ブリッジに作用し、第2の弁が閉鎖されたまま第1の弁を所定の距離だけ開放させる。
【0006】
付加的な特徴によれば、圧力逃し弁アセンブリは、圧力逃し弁付勢部材と、プランジャと、支持リングとを有することができる。逆止弁は、ロッカアームに配置することができ、液圧式ラッシュアジャスタにおける圧力を選択的に解放するアクチュエータを有する。アクチュエータは、さらに、長手方向ピン部分およびディスク部分を有するニードルを有することができる。
【0007】
その他の特徴によれば、排気弁ロッカアームアセンブリは、さらに、オイル排出回路を有することができる。オイル排出回路は、ニードルのディスク部分の下側のオイルを選択的に減圧するように構成することができる。スピゴットをロッカアームに配置することができる。エンジン制動モードでは、第1の弁を所定の距離だけ開放させた後、ロッカアームのさらなる回転によりスピゴットは弁ブリッジを移動させ、第1の弁をさらに開放させながら第2の弁を開放させる。
【0008】
付加的な特徴によれば、オイル排出回路は、ロッカアームに形成された第1の接続通路および出口通路と、スピゴットに形成された通過チャネルとによって集合的に形成することができる。第1の接続通路は、ディスク部分を収容する、ロッカアームに形成されたボアを、スピゴットを収容するスピゴット収容通路に接続することができる。スピゴットは、スピゴット収容通路に沿ってロッカアームに対して並進するように構成することができる。ロッカアームの所定の回転は、第1の接続通路と、通過チャネルと、出口通路とを整列させ、ニードルのディスク部分の下側からオイルを減圧する。
【0009】
さらに別の特徴によれば、液圧式ラッシュアジャスタアセンブリは、さらに、少なくとも部分的に第1のプランジャボディによって収容された第2のプランジャボディを有することができる。第2のプランジャボディは弁座を形成することができる。逆止弁は、第1および第2のプランジャボディの間に配置することができる。逆止弁は、さらに、第2のプランジャボディにおける弁座に対して選択的に着座するチェックボールを有することができる。
【0010】
本開示の別の例による、燃焼エンジンモードおよびエンジン制動モードにおいて作動可能な排気弁ロッカアームアセンブリは、加圧オイル供給導管を形成するロッカシャフトを有する。ロッカアームは、ロッカシャフトを収容することができ、ロッカシャフトの周囲を回転するように構成することができる。ロッカアームは、ロッカアームに形成されたオイル供給通路を有することができる。弁ブリッジは、第1の排気弁および第2の排気弁に係合することができる。第1のプランジャボディは第1の位置と第2の位置との間を可動であることができる。第1の位置において、第1のプランジャボディは、弁ブリッジと協働的に係合するように堅く延びている。逆止弁は、ロッカアームに配置することができ、第1のプランジャボディに作用する圧力を選択的に解放するアクチュエータを有する。オイル排出回路は、アクチュエータのディスク部分の下側のオイルを選択的に減圧するように構成することができる。エンジン制動モードでは、ロッカアームは、(i)加圧オイルが、加圧オイル供給導管を通り、ロッカアームオイル供給通路を通って、アクチュエータに逆らって連通させられる第1の所定の角度に回転するように構成されている。第1のプランジャは、第1の位置を占め、弁ブリッジに作用し、第2の弁が閉鎖されたまま第1の弁を所定の距離だけ開放させる。ロッカアームは、(ii)オイル排出回路が開放し、アクチュエータのディスク部分の下側からオイル圧力を解放する第2の所定の角度と、(iii)ロッカアームオイル供給通路が加圧オイル回路から切断される第3の所定の角度とに回転し続ける。
【0011】
付加的な特徴によれば、排気弁ロッカアームアセンブリは、さらに、ロッカアームに配置された、液圧式ラッシュアジャスタアセンブリからオイルを選択的に解放するように構成された圧力逃し弁アセンブリを有することができる。圧力逃し弁アセンブリは、圧力逃し弁付勢部材と、プランジャと、支持リングとを有することができる。スピゴットをロッカアームに配置することができる。エンジン制動モードでは、第1の弁を所定の距離だけ開放させた後、ロッカアームのさらなる回転によりスピゴットは弁ブリッジを移動させ、第1の弁をさらに開放させながら第2の弁を開放させることができる。
【0012】
さらに別の特徴によれば、オイル排出回路は、ロッカアームに形成された第1の接続通路および出口通路と、スピゴットに形成された通過チャネルとによって集合的に形成されている。第1の接続通路は、ディスク部分を収容する、ロッカアームに形成されたボアを、スピゴットを収容するスピゴット収容通路に接続することができる。スピゴットは、ロッカアームに対してスピゴット収容通路に沿って並進するように構成することができる。ロッカアームの所定の回転は、第1の接続通路と、通過チャネルと、出口通路とを整列させ、ニードルのディスク部分の下側からオイルを減圧する。液圧式ラッシュアジャスタアセンブリは、さらに、少なくとも部分的に第1のプランジャボディによって収容された第2のプランジャボディを有することができる。第2のプランジャボディは弁座を形成することができる。逆止弁は、第1および第2のプランジャボディの間に配置することができる。逆止弁は、さらに、第2のプランジャボディにおける弁座に対して選択的に着座するチェックボールを有することができる。スピゴットは、ブリッジ部分を移動させる前にスピゴット収容通路に沿って摺動可能に並進するように構成することができる。
【0013】
図面の簡単な説明
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の一例に従って構成された、圧縮エンジン制動とともに使用するための排気弁ロッカアームアセンブリを含むロッカアームアセンブリを備える部分的な弁列アセンブリの透視図である。
【
図2】
図1の弁列アセンブリの排気弁ロッカアームアセンブリの分解図である。
【
図3】デフォルト燃焼モードにおいて示された、
図1の弁列アセンブリの排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図4】エンジン制動モードにおいて示された、
図3の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図4A】基礎円における
図4の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【
図5】最初にロッカアームが反時計回り方向に回転し、第1の排気弁が開放し始めるエンジン制動モードにおいて示された、
図4の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図5A】空動きシャフトが2mmだけ空動きしたときの
図5の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【
図6】ロッカアームが反時計回り方向にさらに回転し、第1の排気弁がさらに開放しているエンジン制動モードにおいて示された、
図5の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図6A】空動きシャフトが終了したときの
図6の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【
図7】ロッカアームが反時計回り方向にさらに回転したエンジン制動モードにおいて示され、かつ第1および第2の排気弁の両方が開放した状態で示された、
図6の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図7A】ブリッジが水平位置にあるときの
図7の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【
図8】ロッカアームが反時計回り方向にさらに回転し、両排気弁が完全に開放しているエンジン制動モードにおいて示された、
図7の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図8A】弁が完全リフト状態にある
図8の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【
図9】初期弁閉鎖中に示された、
図8の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図9A】初期弁閉鎖中の
図9の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【
図10】さらなる弁閉鎖中に示された、
図9の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図10A】さらなる弁閉鎖中の
図10の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【
図11】
図1のロッカアームアセンブリのロッカシャフトの透視図である。
【
図12】排気弁ロッカアームアセンブリのオイル回路の仮想透視図である。
【
図13】
図12の線13−13に沿って見た排気弁ロッカアームアセンブリの断面図である。
【
図14】付加的な特徴に従って構成された排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【
図15】本開示の択一的な例に従って構成された排出チャネルを示す、
図14の排気弁ロッカアームアセンブリの概略図である。
【0015】
詳細な説明
最初に
図1を参照すると、本開示の一例に従って構成された部分的な弁列アセンブリが示されており、概して符号10で識別されている。部分的な弁列アセンブリ10は、エンジン制動を利用し、6気筒エンジンの3気筒バンク部分において使用するように構成されて示されている。しかしながら、本教示がそのように限定されていないということが認識されるであろう。これに関して、本開示は、エンジン制動を利用するあらゆる弁列アセンブリにおいて使用されてもよい。
【0016】
部分的な弁列アセンブリ10は、ロッカアームアセンブリ20を支持するロッカアセンブリハウジング12を有することができる。ロッカアームアセンブリ20は、一連の吸気弁ロッカアームアセンブリ28と、一連の排気弁ロッカアームアセンブリ30とを有している。ロッカシャフト34はロッカハウジング12によって収容されている。本明細書において詳細に説明するように、ロッカシャフト34は、エンジン制動中に排気弁ロッカアームアセンブリ30へオイルを連通させるために、ロッカアームアセンブリ20、特に排気弁ロッカアームアセンブリ30と協働する。
【0017】
ここで
図2および
図3をさらに参照して、排気弁ロッカアームアセンブリ30をさらに説明する。排気弁ロッカアームアセンブリ30は、概して、ロッカアーム40と、弁ブリッジ42と、圧力逃し弁アセンブリ43と、スピゴットアセンブリ44と、カプセルまたは液圧式ラッシュアジャスタ(HLA)アセンブリ46とを有することができる。弁ブリッジ42は、エンジン(図示せず)のシリンダに関連した第1および第2の排気弁50,52(
図3)に係合する。第1および第2の排気弁50,52は、対応するエレファントフットまたはEフット50a,52aを有する。Eフット50aおよび52aにより、弁ブリッジ42は、対応する弁棒50および52にいかなる側方荷重も生じることなく移動することができる。Eフット50aは球状である。Eフット52aは円筒状である。プッシュロッド54(
図3)は、カムシャフト(図示せず)のリフトプロフィルに基づき上下に移動する。プッシュロッド54の上方移動は、ロッカアーム40に固定されたアーム56を押し上げ、ひいては、ロッカアーム40を、ロッカシャフト34の周囲で反時計回りに回転させる。
【0018】
HLAアセンブリ46は、第1のプランジャボディ62および第2のプランジャボディ64を有するプランジャアセンブリ60を含むことができる。第2のプランジャボディ64は、部分的に第1のプランジャボディ62によって収容することができる。プランジャアセンブリ60は、ロッカアーム40に形成された第1のボア66によって収容されている。第1のプランジャボディ62は、第1の閉鎖された端部68を有することができる。第1の閉鎖された端部68は、弁ブリッジ42に対して作用する、第1のソケット72に収容された第1のスピゴット70を形成している。第2のプランジャボディ64は、弁座76(
図4)を形成した開口を有する。チェックボールアセンブリ80は、第1および第2のプランジャボディ62および64の間に位置決めすることができる。チェックボールアセンブリ80は、第1の付勢部材82と、ケージ84と、第2の付勢部材86と、チェックボール90とを有することができる。スナップリング92は、ロッカアーム40の第1のボア66に設けられた半径方向溝に嵌合している。スナップリング92は、第1のプランジャボディ62を第1のボア66に保持している。
【0019】
アクチュエータまたはニードル100は、ロッカアーム40の第2のボア104に収容されている。ニードル100は、HLAアセンブリ46における圧力を選択的に解放するアクチュエータとして作用する。ニードル100は、長手方向ピン部分110と、上側ディスク部分112とを有する。第1のキャップ116は、第2のボア104において、プレート117と複数のファスナ118とによってロッカアーム40に固定されており、第2のボア104の内部に付勢部材120を捕捉している。付勢部材120は、第1のキャップ116と、ニードル100の上側ディスク部分112との間で作用する。図示した例では、付勢部材120は、
図3に示したように、ニードル100を下方へ付勢する。
【0020】
圧力逃し弁アセンブリ43をここでより詳細に説明する。概して、圧力逃し弁アセンブリ43は、HLAアセンブリ46からオイルを解放することができ、エンジンポンプに逆らって押し戻すオイルの量を最小限に減じるかまたは排除する。圧力逃し弁アセンブリ43は、概して、付勢部材122と、プランジャ124と、支持リング126とを有することができる。本明細書において認識されるように、圧力逃し弁アセンブリ43は、HLAアセンブリ46の第1のプランジャボディ62内の圧力が所定のしきい値に達したときに開放するように構成することができる。1つの非制限的な例では、圧力逃し弁アセンブリ43は、圧力がある圧力しきい値に達したときに開放することができる。圧力逃し弁アセンブリ43の1つの利点において、HLAアセンブリ46に進入するオイルは、同じ方向でHLAアセンブリ46から出ることができる。これに関して、オイルの慣性は、概して、HLAアセンブリ46に進入するところから、圧力逃し弁アセンブリ43に向かってHLAアセンブリ46から出るところまで維持することができる。このような構成により、HLAアセンブリ46がオイルを比較的迅速に排出することができ、排出段階の間でさえもHLAアセンブリ46内の圧力を極めて低く維持する。さらに、この構成は、HLAアセンブリ46を排出するために比較的小さな力を必要とし、弁動作制御にとって有利である。さらに説明すると、HLAアセンブリ46を排出するための力は、2つの弁50,52のうちの一方から得られる。もし大きな力が必要とされる場合、2つの弁50,52のうちの一方は、閉鎖中に下降させられてしまい、弁50,52の同時閉鎖は不可能になる。(本願の構成のように)HLAアセンブリ46を排出するための所要の力が減じられると、2つの弁50,52はほとんど並列(同時)に閉鎖することができ、制御にとって有利であり、閉鎖速度を高める。加えて、付勢部材120の強度は、大きい必要がない。なぜならば、アクチュエータ100を下方位置に維持するための所要の力も減じられるからである。
【0021】
スピゴットアセンブリ44をより詳細に説明する。スピゴットアセンブリ44は、概して、空動きシャフトまたは第2のスピゴット130を有することができる。空動きシャフトまたは第2のスピゴット130は、第2のソケット132によって収容される遠位端部と、ロッカアーム40に形成された第3のボア136内へ延びた近位端部とを有する。カラー138は、第2のスピゴット130の中間部分から延びていることができる。第2のスピゴット130は、ロッカアーム40を通って形成された通路139を通って延びていることができる。第2のキャップ140は、第3のボア136においてロッカアーム40に固定されており、第3のボア136の内部に付勢部材144を捕捉している。付勢部材144は、第2のキャップ140と、第2のスピゴット130の近位端部に固定されたスナップリング148との間で作用する。説明するように、第2のスピゴット130は、ロッカアーム40と接触したままであり、通路139内でその軸線に沿って並進することができる。
【0022】
ここで
図4および
図11〜
図13を参照して、ロッカアームアセンブリ20のオイル回路150をここで説明する。ロッカシャフト34は、中央加圧オイル供給導管152と、ベントオイル通路または導管154と、潤滑導管156と、ラッシュアジャスタオイル導管180とを形成することができる。ベントオイル導管154は、ロッカシャフト34の軸線に対して概して平行にかつベントオイル導管154に対して横方向に延びるベントローブ157を有することができる。接続通路158(
図11)は、中央加圧オイル供給導管152を、ロッカアーム40に形成されたオイル供給通路160に接続することができる。ラッシュアジャスタオイル導管180は、オイルをHLAアセンブリ46に供給するために使用することができる。
【0023】
ここで
図4〜
図9に戻って、排気弁ロッカアームアセンブリ30に設けられたオイル排出回路210を説明する。オイル排出回路210は、集合的に、第1の接続通路220と、第2の接続通路222と、出口通路224と、通過チャネル230とによって形成されている。第1の接続通路220と、第2の接続通路222と、出口通路224とが、ロッカアーム40に形成されている。通過チャネル230は、第2のスピゴット130を貫通して形成されている。概して、第1の接続通路220および第2の接続通路222は、ニードル100の上側ディスク部分112を収容するロッカアーム40の第2のボア104を、第2のスピゴット130を収容するロッカアーム40の第3のボア136に接続している。第2のスピゴット130が第3のボア136において上方へ移動すると、通過チャネル230が、第2の接続通路222および出口通路224と整列し(
図6参照)、上側ディスク部分112の下側からオイルを減圧し、最終的にオイルを出口通路224から流出させる。
【0024】
本明細書において説明されているように、加圧オイル供給導管152と、接続通路158と、オイル供給通路160とは、ニードル100の上側ディスク部分112を上方へ押し付けるために第2のボア104に加圧オイルを供給するように協働する。ロッカアーム40がロッカシャフト34の周囲で回転すると、ベントローブ157がオイル供給通路160と整列し、ベントオイル導管154を通じて第2のボア104からオイルをベントさせる。本明細書に説明されているように、オイルは、排出オイル回路210からも排出される。第2のボア104において圧力が降下すると、第2のばね120がニードル100を下方へ押し付け、これにより、長手方向ピン110がボール90に対して作用し、ボールを弁座76から離反させる。次いで、オイルは、弁座76を通って流れ、圧力逃し弁アセンブリ43を通ってHLAアセンブリ46から流出することができる。
【0025】
本明細書において認識されるように、排気弁ロッカアームアセンブリ30は、エンジンの制動がオフになっているときのデフォルト燃焼エンジンモード(
図3)、およびエンジン制動モード(
図4〜
図6)において作動することができる。排気弁ロッカアームアセンブリ30がデフォルト燃焼エンジンモード(
図3)において作動しているとき、オイル制御弁152は閉鎖されている(通電されていない)。その結果、ロッカアーム40に形成されたオイル供給通路160は、低圧レベルを有している。その他の圧力が用いられてもよい。低圧であるため、付勢部材120がニードル100を下方へ押し付け、長手方向ピン部分110がボール90を弁座76から離反させる。したがって、チェックボールアセンブリ80は開放し、HLAアセンブリ46を“ソフト”にさせ、弁ブリッジ42に加わる下方への力に影響することがない。デフォルト燃焼エンジンモード(
図3)において、反時計回り方向でのロッカアーム40の回転が継続し、第2のスピゴット130におけるカラー138をロッカアーム40に係合させる。ロッカアーム40の回転が継続することによって、第1および第2の弁50および52の双方が一緒に開放する。
【0026】
ここで特に
図4を参照して、エンジン制動モードにおける排気弁ロッカアームアセンブリ30の作動を説明する。制動モードでは、オイル供給通路160におけるオイル圧力が増大させられ、付勢部材120の付勢に反してニードル100を上方へ移動させる。その結果、長手方向ピン部分110はチェックボール90から離反させられる。HLAアセンブリ46は、弁ブリッジ42に向かって堅く延びた第1のプランジャボディ62を備える非戻り弁として機能する。特に、
図4において、第2のスピゴット130の通過チャネル230が第2の接続通路222および出口通路224と整列させられていないので、排出オイル回路210が遮断される。
図4Aは、基礎円における
図4の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【0027】
ここで
図5に転じると、ロッカアーム40は、ロッカシャフト34の周囲でさらに反時計回りに回転させられている。図示した例において、ロッカアーム40は2.72度だけ回転させられている。HLAアセンブリ46は堅いので、第1のスピゴット70が弁ブリッジ42に対して第1のソケット72を押し付け、第1の弁50を第1の弁座170から離反させる。この例では、第1の弁50は、第1の弁座170から2.85mmの距離だけ離反する。その他の距離(およびロッカアーム40の回転角度)が考えられることが認識されるであろう。特に、第2の弁52は、第2の弁座172に対して閉鎖されたままである。第2のスピゴット130におけるカラー138は、ロッカアーム40に向かって移動しながら、まだロッカアーム40には達していない。
【0028】
図5において、第2のスピゴット130は、約2mmの空動きだけ移動しており、(第2のソケット132を介して)弁ブリッジ42と接触したままである。特に、第2のスピゴット130の通過チャネル230は、第1および第2の接続通路220および222を出口通路224に連通させ始める。この位置から、ニードル100の上側ディスク部分112の下側からのオイルはオイル排出回路210から流出している。しかしながら、
図5では、付勢部材120の力が、HLAアセンブリ46内に生ぜしめられる力よりも小さく、チェックボールアセンブリ80を閉鎖したままに保持するので、長手方向ピン110を押し下げることはできない。オイル供給通路160は接続通路158と連通したままである。
図5Aは、空動きシャフトが2mmの空動きのときの、
図5の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【0029】
ここで
図6を参照すると、ロッカアーム40は、ロッカシャフト34の周囲でさらに反時計回りに回転させられている。図示した例において、ロッカアーム40は4.41度だけ回転させられている。再び、HLAアセンブリ46は堅いままであり、第1のスピゴット70が弁ブリッジ42に対して第1のソケット72を押し付け続け、第1の弁50を第1の弁座170からさらに離反させる。この例では、第1の弁50は、第1の弁座170から4.09mmの距離だけ離反する。その他の距離(およびロッカアーム40の回転角度)が考えられることが認識されるであろう。この時点で、カラー138はロッカアーム40と接触させられており(空動きは終了している)、第1および第2の弁50および52の双方が同時に開放させられる。通過チャネル230は完全に第1および第2の接続通路220および222ならびに出口通路224と整列させられ、ニードル100の上側ディスク部分112の下側からのオイルを、オイル排出回路210を通じて減圧させる。しかしながら、
図6では、付勢部材120の力が、HLAアセンブリ46内に生ぜしめられる力よりも小さく、チェックボールアセンブリ80を閉鎖したままに保持するので、長手方向ピン110を押し下げることはできない。オイル供給通路160は接続通路158と連通したままである。
図6Aは、空動きシャフトが終了したときの
図6の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【0030】
ここで
図7に転じると、ロッカアーム40は、ロッカシャフト34の周囲でさらに反時計回りに回転させられている。図示した例において、ロッカアーム40は8.82度だけ回転させられており、ブリッジ42は水平位置にある。再び、HLAアセンブリ46は堅いままである。それにもかかわらず、第2のスピゴット130はブリッジ42を下方へ押し付け、第1および第2の弁50および52をそれぞれの弁座170および172から離反させて開放させる。この例では、第1および第2の弁50および52は、同じリフト量を有しており、それぞれの弁座170および172から9.1mmの距離だけ離反させられる。その他の距離(およびロッカアーム40の回転角度)が考えられることが認識されるであろう。弁50および52からの力は第2のソケット132に完全に加えられ、チェックボールアセンブリ80が開放位置へ移動させられるときHLAアセンブリ46はもはや荷重を受けていない(チェックボール90は弁座から離反させられている)。オイル供給通路160はもはや接続通路158と連通しておらず、したがって、ニードル100の上側ディスク部分112の下側からのオイルが流出し、ニードル100を下方へ移動させる。この時点で、付勢部材120の力は、チェックボール90を開放させるのに十分である。
図7Aは、ブリッジが水平位置にあるときの
図7の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【0031】
ここで
図8を参照すると、ロッカアーム40は、ロッカシャフト34の周囲でさらに反時計回りに回転させられている。図示した例において、ロッカアーム40は12.9度だけ回転させられている。この時点で、ロッカアーム40は12.9度だけ回転しており、第1および第2の弁50および52はそれぞれの弁座170および172からの最大リフト量にある。図示した例では、第1および第2の弁50および52は、それぞれの弁座170および172から15.2mmだけ移動させられている。図示したように、ロッカアーム40におけるオイル供給通路160は、中央加圧オイル供給導管152の接続通路158から完全に切断されており、今やベントローブ157によってベントオイル導管154に接続されている。この位置では、加圧オイルの供給は中断され、オイル圧力はオイル供給通路160において降下する。その結果、付勢部材120はニードル100を下方へ押し付け、それにより、長手方向ピン部分110はチェックボール90を弁座76から押し離し、HLAアセンブリ46を開放させる。チェックボール90が開放すると、HLAアセンブリ46は再び“ソフト”になり、弁閉鎖の間、第1の弁50に、さもなければ第1の弁50の閉鎖を阻止する恐れがあるいかなる力も作用させない。プッシュロッド54が、カム(図示せず)における基礎円と一致した位置を占めると、燃焼モードが選択されるまで上記プロセスが継続的に反復する。
図8Aは、弁が完全リフト量にある
図8の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【0032】
図9を参照すると、ロッカアーム40は、弁閉鎖状態に向かって時計回りに回転し始める。弁50および52が閉鎖しているとき、オイル供給通路160はもはやベントオイル導管154と連通していないが、排出オイル回路210は開放したままであり、必要であれば、ニードル100の上側ディスク部分112の下側からのオイルを排出させ続ける。HLAアセンブリ46は、ブリッジ42によって上方へ押され始め、圧力逃し弁43(
図2、
図12および
図13)を通じてオイルを排出する。
図9Aは、初期弁閉鎖の間の
図9の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【0033】
図10を参照すると、別の弁閉鎖が示されている。弁50および52がそれぞれの弁座170および172に接近していくとき、オイル供給通路160は、再び接続通路158と流体連通するように移動する。しかしながら、この時点で、排出オイル回路210はまだ開放しているかまたは周囲と連通しているので、接続通路158から流入する加圧オイルはニードル100を押し上げることはできない。これは、チェックボールアセンブリ80が、より長い時間にわたり開放されたままとなり、HLAアセンブリ46が完全に排出することを促進することを保証する。
図10Aは、さらなる弁閉鎖の間の
図10の位置を示す、本教示の排気弁ロッカアームアセンブリのためのカム角度対弁リフト量のプロットである。
【0034】
ここで
図14および
図15を参照して、付加的な特徴に従って構成されたロッカアーム340を説明する。ロッカアーム340は、頭に数字3を加えた符号によって示された、上述のものと同様の構成部材を有することができる。概して、ロッカアーム340は、ロッカシャフト334から搬送されたオイル供給を、ニードル400を収容するボア304に接続する作動加圧オイル供給通路460を有することができる。圧力逃し弁アセンブリ343は、ボア404から圧力を逃がすために、ロッカアーム340上に構成することができる。1つの例では、圧力逃し弁アセンブリ343は、上述の圧力逃し弁43と同様に構成することができる。ロッカアーム340は、加圧オイル供給通路480と、排出通路482とを有することもできる。加圧オイル供給通路480は、オイルをロッカシャフト334からHLAアセンブリ346のプランジャアセンブリ360に連通させる。排出通路483は、オイルを、プランジャアセンブリ360から、スピゴットアセンブリ344を収容するボア336から排出する。1つの例では、オイルは、スピゴット430に形成された通過チャネル530を通り、最終的にボア336を通って連通させることができる。上述の圧力逃し弁アセンブリ43のように、
図14および
図15に示された構成により、HLAアセンブリのプランジャアセンブリは、エンジンポンプに反するいかなる戻しオイル圧力も生じることなく、収縮することができる。
【0035】
実施の形態の前記説明は、例示および説明の目的のために提供されている。網羅的であることまたは開示を制限することは意図されていない。特定の実施の形態の個々の要素または特徴は、概して、当該特定の実施の形態に限定されるのではなく、適用可能であれば、相互に交換可能であり、特に図示または説明されていないとしても、選択された実施の形態において用いることができる。同じことが、多くの形式で変化させられてもよい。このような変化は、開示からの逸脱と見なされるべきではなく、全てのこのような修正は、開示の範囲内に含まれることが意図されている。