(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基体のうちの、前記流路が形成されている領域である流路形成部と、前記ブレーキキャリパの外面に固定されている領域である固定部とは、別々の部材で構成されている、
請求項1に記載のアンチロックブレーキシステム。
前記基体のうちの、前記流路が形成されている領域である流路形成部と、前記ブレーキキャリパの外面に固定されている領域である固定部とは、一つの部材で構成されている、
請求項1に記載のアンチロックブレーキシステム。
前記基体は、前記モータサイクルを側方視した状態において、前記ブレーキキャリパの外面のうちの、該ブレーキキャリパが配設されているロータの外側に位置する領域に固定されている、
請求項1〜7の何れか一項に記載のアンチロックブレーキシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るアンチロックブレーキシステムについて、図面を用いて説明する。
なお、以下で説明する構成等は、一例であり、本発明に係るブレーキ液圧制御装置及びアンチロックブレーキシステムは、そのような構成等である場合に限定されない。また、各図においては、同一の又は類似する部材又は部分に同一の符号を付している場合がある。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。また、重複する説明については、適宜簡略化又は省略している。
【0011】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムを説明する。
<アンチロックブレーキシステムの構成>
実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの、構成を示すシステム図である。
【0012】
図1に示されるように、アンチロックブレーキシステム1は、モータサイクル100(自動二輪車又は自動三輪車)に搭載され、ブレーキ液圧制御装置2と、ブレーキ液圧制御装置2を電気的に制御する制御器3(ECU)と、を備えている。制御器3がブレーキ液圧制御装置2を制御することによって、モータサイクル100のアンチロックブレーキ制御が行われる。アンチロックブレーキシステム1は、ブレーキ液圧制御装置2を少なくとも1つ有している。アンチロックブレーキシステム1は、特に、ポンプレス式であるとよい。
【0013】
ブレーキ液圧制御装置2は、マスタシリンダ41と、ブレーキ42のブレーキキャリパ43に設けられているホイールシリンダ44と、の間においてブレーキ液を移動可能にする液圧回路30を備えている。液圧回路30は、流路31,32,33,35,36と、逆止弁34と、入口側電磁弁15(インレットバルブ)と、出口側電磁弁16(アウトレットバルブ)と、アキュムレータ18と、を備えており、ブレーキ液によって満たされている。入口側電磁弁15及び出口側電磁弁16の開閉制御によってホイールシリンダ44に掛かる液圧が制御されることで、車輪のブレーキ制御が行われる。
【0014】
マスタシリンダ41は、操縦者の操作によってブレーキレバー45の動きに連動して移動するピストン部(図示省略)を備えており、流路31に接続されている。ピストン部の移動によって液圧回路30内のブレーキ液を増圧又は減圧させる。流路31のマスタシリンダ41に接続されている側の端部は、後述される基体6に形成されているマスタシリンダポート12に対応している。
【0015】
流路31は、下流において、流路32と流路33とに分岐している。流路32は、フィルタを介して入口側電磁弁15の入口側に接続されている。また、流路33は、逆止弁34を介して出口側電磁弁16の出口側に接続されている。流路33の逆止弁34と出口側電磁弁16との間に、アキュムレータ18が接続されている。
【0016】
入口側電磁弁15の出口側には、フィルタを介して流路35が接続されている。流路35は、入口側電磁弁15に接続されている側の端部と反対側の端部においてホイールシリンダ44に接続されている。出口側電磁弁16の入口側には、フィルタを介して流路36が接続されている。流路36は、出口側電磁弁16に接続されている側の端部と反対側の端部において流路35に接続されている。流路35のホイールシリンダ44に接続されている側の端部は、後述される基体6に形成されているホイールシリンダポート13に対応している。
【0017】
入口側電磁弁15は、非通電時開の電磁弁であり、非通電時には、絞りを介して入口側電磁弁15の入口から出口及び出口から入口の双方向へのブレーキ液の流れを開放する。アンチロックブレーキ制御が行われ、入口側電磁弁15が通電されると、入口側電磁弁15はソレノイドによって閉止状態となり、入口側電磁弁15の入口と出口との間のブレーキ液の流れが遮断される。なお、入口側電磁弁15の入口及び出口は、説明の便宜上用いられるものであり、流路32側が入口と定義され、流路35側が出口と定義される。入口側電磁弁15は、他の構造であってもよい。入口側電磁弁15は、本発明における「バルブ」に相当する。
【0018】
出口側電磁弁16は、非通電時閉の電磁弁であり、非通電時には、出口側電磁弁16の入口と出口との間のブレーキ液の流れを遮断する。アンチロックブレーキ制御が行われ、出口側電磁弁16が通電されると、出口側電磁弁16はソレノイドによって開放状態となり、出口側電磁弁16の入口から出口へのブレーキ液の流れが開放される。なお、出口側電磁弁16の入口及び出口は、説明の便宜上用いられるものであり、流路36側が入口と定義され、流路33側が出口と定義される。出口側電磁弁16は、他の構造であってもよい。出口側電磁弁16は、本発明における「バルブ」に相当する。
【0019】
逆止弁34は、下流側、つまり流路33において、アキュムレータ18から流路31,32への方向の流れを許容する。
【0020】
アンチロックブレーキシステム1で実行されるブレーキ制御は、例えば、公知の制御である。液圧回路30は、例えば、以下のように動作する。
【0021】
ブレーキレバー45の操作によって通常のブレーキ制御がなされている際に、例えば、車輪回転センサ(図示省略)を介して、制御器3が車輪のロック又はロックの可能性を検知すると、アンチロックブレーキ制御が開始される。
【0022】
アンチロックブレーキ制御が開始されると、制御器3は、入口側電磁弁15を閉止させ、ホイールシリンダ44へのブレーキ液の供給を遮断して、ホイールシリンダ44の増圧を止める。一方、制御器3は、出口側電磁弁16を開放させ、ホイールシリンダ44からアキュムレータ18へのブレーキ液の流動を可能にし、ホイールシリンダ44の減圧を行う。これにより、車輪のロックが解除又は回避される。制御器3は、ホイールシリンダ44の所定量の減圧がなされたと判断すると、出口側電磁弁16を閉止させ、短時間の間、入口側電磁弁15を開放させて、ホイールシリンダ44の増圧を行う。
【0023】
制御器3が、出口側電磁弁16の開閉を1回のみ行ってもよく、また、複数回行ってもよい。制御器3が出口側電磁弁16の開閉を複数回行う場合には、ホイールシリンダ44の増減圧が複数回繰り返されることとなる。
【0024】
アンチロックブレーキ制御が終了すると、制御器3は、入口側電磁弁15を開放させ、通常のブレーキ制御に戻る。
【0025】
ブレーキレバー45が戻されると、マスタシリンダ41内が大気圧状態となり、ホイールシリンダ44内のブレーキ液が戻される。また、この大気圧状態の発生によって、アキュムレータ18内のブレーキ液が逆止弁34を介して戻される。
【0026】
<ブレーキ液圧制御装置の構成>
実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムのブレーキ液圧制御装置の構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの、ブレーキ液圧制御装置の構成を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの、ブレーキ液圧制御装置の構成を示す分解斜視図である。
【0027】
図2及び
図3に示されるように、ブレーキ液圧制御装置2は、バルブケース5と、内部に液圧回路30の流路31,32,33,35,36が形成されている基体6と、を備えている。入口側電磁弁15及び出口側電磁弁16は、基体6に保持され、バルブケース5に収容される。
【0028】
基体6は、アルミニウム合金等の金属製の部材であり、少なくとも第1の面7、第2の面8、及び第3の面9を有している。特に、第1の面7、第2の面8、及び第3の面9が、互いに直交しているとよい。例えば、基体6は、直方体形状であり、流路31,32,33,35,36は、切削によって形成されている。
【0029】
基体6には、入口側電磁弁15を収容するインレットバルブ孔10と、出口側電磁弁16を収容するアウトレットバルブ孔11と、マスタシリンダ41に接続するためのマスタシリンダポート12と、ホイールシリンダ44に接続するホイールシリンダポート13と、アキュムレータ18に接続するためのアキュムレータポート14と、が形成されている。アキュムレータ18は、アキュムレータポート14に接続されている、基体6と別体の部材であってもよく、また、アキュムレータポート14の内側に形成されている空間自体が封止されたものであってもよい。インレットバルブ孔10及びアウトレットバルブ孔11は、第1の面7に形成されており、マスタシリンダポート12及びホイールシリンダポート13は、第2の面8に形成されており、アキュムレータポート14は、第3の面9に形成されている。そのように構成されることで、ブレーキ液圧制御装置2が小型化及び軽量化される。
【0030】
バルブケース5は、例えば、樹脂製である。電源線17は、バルブケース5に形成されている開口を貫通する状態で配設されている。つまり、電源線17のうちのバルブケース5の内側に配線されている領域と、電源線17のうちのバルブケース5の外側に配線されている領域と、は、コネクタを介さずに接続されている。電源線17は、バルブケース5の内側において、入口側電磁弁15又は出口側電磁弁16に電気的に接続されている。制御器3は、電源線17を介して入口側電磁弁15及び出口側電磁弁16を駆動制御して、ブレーキ液圧制御装置2の動作を制御する。より具体的には、制御器3は、入口側電磁弁15及び出口側電磁弁16を駆動制御して、液圧回路30の各流路を開放又は閉止する。
【0031】
<アンチロックブレーキシステムの搭載>
実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの搭載について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの、モータサイクルへの搭載状態を説明するための図である。なお、
図4では、アンチロックブレーキシステム1が自動二輪車に搭載される場合を示しているが、自動三輪車に搭載される場合についても同様である。
【0032】
図4に示されるように、モータサイクル100は、胴体部101と、前輪106と、後輪113と、胴体部101と前輪106とを連結する連結部130Aと、胴体部101と後輪113とを連結する連結部130Bと、を備えている。胴体部101は、運転者が着座するシート117を含む。
【0033】
連結部130Aは、前方において胴体部101に回動可能に軸支された一対のフロントフォーク102を含む。フロントフォーク102は、上端側のフロントフォーク上端部103と、懸架装置としてのフロントサスペンション104と、下端側のフロントフォーク下端部105と、を含む。フロントフォーク上端部103とフロントフォーク下端部105とがフロントサスペンション104を介して連結されることで、フロントフォーク102が、その軸線に沿って伸縮可能になっている。前輪106は、フロントフォーク下端部105に回動可能に軸支されている。フロントフォーク下端部105には、ブレーキキャリパ107、つまり、
図1におけるブレーキキャリパ43が取り付けられており、また、前輪106にはロータ108が同軸で取り付けられている。ブレーキキャリパ107とロータ108とは、フロントブレーキ109、つまり、
図1におけるブレーキ42を構成している。フロントフォーク上端部103の上端にはハンドルバー110が取り付けられている。
【0034】
モータサイクル100は、後方において胴体部101に揺動可能に軸支された一対のリアフォークとしてのスイングアーム111と、胴体部101とスイングアーム111との間に設けられた懸架装置としてのリアサスペンション112と、を備えている。連結部130Bは、スイングアーム111を含む。スイングアーム111の後端にはブレーキキャリパ114、つまり、
図1におけるブレーキキャリパ43が取り付けられており、また、後輪113にはロータ115が同軸で取り付けられている。ブレーキキャリパ114とロータ115とは、リアブレーキ116、つまり、
図1におけるブレーキ42を構成している。
【0035】
つまり、連結部130Aは、モータサイクル100において、胴体部101と前輪106とを連結する構成要素として定義され、フロントフォーク102と、前輪側のブレーキキャリパ107と、を含む。また、連結部130Bは、胴体部101と後輪113との間を連結する構成要素と定義され、スイングアーム111と、後輪側のブレーキキャリパ114と、を含む。また、モータサイクル100において、連結部130Aのうちの、フロントサスペンション104の図示しないバネを基準とする胴体部101側がバネ上と定義され、前輪106側がバネ下と定義される。また、モータサイクル100において、連結部130Bのうちの、リアサスペンション112が連結される箇所を基準とする胴体部101側がバネ上と定義され、後輪113側がバネ下と定義される。
【0036】
アンチロックブレーキシステム1のブレーキ液圧制御装置2は、モータサイクル100において、ブレーキキャリパ107及びブレーキキャリパ114に固定されている。つまり、アンチロックブレーキシステム1のブレーキ液圧制御装置2は、モータサイクル100において、連結部130A,130Bのうちのバネ下に配設されている。特に、ブレーキ液圧制御装置2は、モータサイクル100において、一次接地部位及び二次接地部位以外の部位に配設されているとよい。ここで、モータサイクル100が倒れた際に路面等の外部の物体に最初に接触(一次接地)するモータサイクル100の部位が、一次接地部位と定義され、一次接地に続いて二番目に路面等の外部の物体に接触(二次接地)するモータサイクル100の部位が、二次接地部位と定義される。
【0037】
また、アンチロックブレーキシステム1の制御器3は、モータサイクル100において、胴体部101に配設されている。例えば、制御器3は、胴体部101においてシート117の下方に配設されている。制御器3は、モータサイクル100において、連結部130A,130Bのうちのバネ上に配設されていてもよい。つまり、制御器3は、モータサイクル100において、ブレーキ液圧制御装置2の基体6から離れた箇所に配設されている。
【0038】
また、アンチロックブレーキシステム1が、ポンプレス式ではない場合には、アンチロックブレーキシステム1のポンプが、モータサイクル100において、胴体部101に配設されていてもよく、また、連結部130A,130Bのうちのバネ上に配設されていてもよい。つまり、アンチロックブレーキシステム1のポンプは、モータサイクル100において、連結部130A,130Bのうちのバネ下以外に配設されているとよい。
【0039】
また、ブレーキ液圧制御装置2は、マスタシリンダ41に油圧管(ブレーキ配管)を介して接続されている。前輪用のブレーキ液圧制御装置2に接続されるマスタシリンダ41は、ハンドルバー110に設けられているフロントブレーキレバー118、つまり、
図1におけるブレーキレバー45に近接して配設される。また、後輪用のブレーキ液圧制御装置2に接続されるマスタシリンダ41は、リアブレーキレバー119、つまり、
図1におけるブレーキレバー45に近接して配設される。
【0040】
アンチロックブレーキシステム1は、例えば、運転者によってフロントブレーキレバー118が操作されると、ブレーキ液圧制御装置2によってフロントブレーキ109を制動動作させる。また、アンチロックブレーキシステム1は、例えば、運転者によってリアブレーキレバー119が操作されると、ブレーキ液圧制御装置2によってリアブレーキ116を制動動作させる。また、アンチロックブレーキシステム1は、例えば、アンチロックブレーキ制御中に、ブレーキ液圧制御装置2と制御器3によってフロントブレーキ109及びリアブレーキ116を制動動作させる。
【0041】
なお、
図4では、アンチロックブレーキシステム1が、2つのブレーキ液圧制御装置2と、1つの制御器3と、を備えている場合を示しているが、そのような場合に限定されない。つまり、制御器3は、各ブレーキ液圧制御装置2に対して夫々設けられていてもよい。また、アンチロックブレーキシステム1が、複数のブレーキ液圧制御装置2に対して1つの共通のマスタシリンダ41を有していてもよい。
【0042】
<ブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細>
実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムのブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの、ブレーキ液圧制御装置のモータサイクルへの搭載状態の詳細を説明するための斜視図である。
図6は、本発明の実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの、ブレーキ液圧制御装置のモータサイクルへの搭載状態の詳細を説明するための分解斜視図である。
【0043】
図5及び
図6に示されるように、基体6には、流路31,32,33,35,36が形成されている領域である流路形成部21と、ブレーキキャリパ43に固定される領域である固定部22と、が形成されている。固定部22には、例えば、ボルトを挿入するための貫通孔が形成されている。貫通孔が複数形成されて、基体6がブレーキキャリパ43の外面に、複数のボルト、ボルト及びピンの組み合わせ等によって、つまり、他の方法によって固定されていてもよい。基体6のうちの流路形成部21と固定部22とが、別々の部材で構成されていてもよく、また、一つの部材で構成されていてもよい。
【0044】
固定部22は、ブレーキキャリパ43の外面に固定される。固定部22は、モータサイクル100を側方視した状態において、ブレーキキャリパ43の外面のうちのロータ108,115の外側に位置する領域に、固定されるとよい。例えば、固定部22は、ブレーキキャリパ43の外面に既に形成されているネジ穴を流用することによって、固定される。そして、そのネジ穴が、モータサイクル100を側方視した状態において、ブレーキキャリパ43の外面のうちのロータ108,115の外側に位置する領域に形成されているとよい。
【0045】
基体6のホイールシリンダポート13と、ブレーキキャリパ43に形成されているホイールシリンダ44に連通する流路と、は、直結されてもよく、また、管を介して接続されてもよい。基体6のホイールシリンダポート13と、ブレーキキャリパ43に形成されているホイールシリンダ44に連通する流路と、が直結されている場合には、ブレーキ液圧制御装置2の構造が簡略化される。
【0046】
<アンチロックブレーキシステムの作用>
実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムの作用について説明する。
ブレーキ液圧制御装置2は、内部に流路31,32,33,35,36が形成されている基体6と、流路32,36を開放又は閉止するバルブ(入口側電磁弁15,出口側電磁弁16)と、を備え、基体6は、ブレーキキャリパ43に固定されている。つまり、基体6が胴体部101に固定されていない。そのため、例えば、ブレーキシステムが、ブレーキ液圧制御装置2が組み込まれるものであるか否かに応じて、胴体部101の各部品のレイアウトを異ならせることの必要性が低減され、また、胴体部101にアンチロックブレーキシステム1の管を複雑な経路で配設することの必要性が低減される。そして、更に、基体6がブレーキキャリパ43の外面に固定されているため、ブレーキキャリパ43の内部からの熱が基体6の流路形成部21等に伝搬することが抑制される。そのため、ブレーキ液圧制御装置2の性能を確保しつつ、モータサイクル100のコスト性、製造性等を向上することができる。
【0047】
また、ブレーキ液圧制御装置2では、基体6が、モータサイクル100を側方視した状態において、ブレーキキャリパ43の外面のうちのロータ108,115の外側に位置する領域に、固定される。そのため、ブレーキキャリパ43の内部からの熱が基体6の流路形成部21等に伝搬することが更に抑制されて、ブレーキ液圧制御装置2の性能の確保が更に確実化される。
【0048】
また、ブレーキ液圧制御装置2では、バルブ(入口側電磁弁15,出口側電磁弁16)の制御器3が、モータサイクル100において、ブレーキ液圧制御装置2の基体6から離れた箇所に配設されている。つまり、小型化及び軽量化されたブレーキ液圧制御装置2が、バネ下に配設されることとなって、モータサイクル100の運動性能が低下してしまうことが抑制される。また、ブレーキキャリパ43の内部からの熱が制御器3に伝搬することが抑制されて、制御器3の故障等が低減される。
【0049】
また、ブレーキ液圧制御装置2では、インレットバルブ孔10及びアウトレットバルブ孔11は、第1の面7に形成されており、マスタシリンダポート12及びホイールシリンダポート13は、第2の面8に形成されており、アキュムレータポート14は、第3の面9に形成されている。そのため、小型化及び軽量化されたブレーキ液圧制御装置2が、バネ下に配設されることとなって、モータサイクル100の運動性能が低下してしまうことが抑制される。
【0050】
また、アンチロックブレーキシステム1は、ポンプレス式であるとよく、そのような場合には、液圧回路30の圧力供給源となるポンプを基体6に取り付ける必要がなくなって、小型化及び軽量化されたブレーキ液圧制御装置2が、バネ下に配設されることとなり、モータサイクル100の運動性能が低下してしまうことが抑制される。
【0051】
また、ブレーキ液圧制御装置2では、アンチロックブレーキシステム1がポンプレス式ではない場合において、ポンプがバネ下に配設されない。そのため、小型化及び軽量化されたブレーキ液圧制御装置2が、バネ下に配設されることとなり、モータサイクル100の運動性能が低下してしまうことが抑制される。
【0052】
実施の形態2.
以下に、実施の形態2に係るアンチロックブレーキシステムについて説明する。
なお、実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムと重複する説明は、適宜省略している。
【0053】
<ブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細>
実施の形態2に係るアンチロックブレーキシステムのブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細について説明する。
図7は、本発明の実施の形態2に係るアンチロックブレーキシステムの、ブレーキ液圧制御装置のモータサイクルへの搭載状態の詳細を説明するための分解斜視図である。
【0054】
図7に示されるように、固定部22は、ブレーキキャリパ43の外面に、断熱材51を介して固定されている。例えば、固定部22がブレーキキャリパ43の外面にボルト及びネジ穴を用いて固定される場合には、断熱材51がワッシャであるとよい。
【0055】
<アンチロックブレーキシステムの作用>
実施の形態2に係るアンチロックブレーキシステムの作用について説明する。
ブレーキ液圧制御装置2では、基体6が、断熱材51を介して固定されている。そのため、ブレーキキャリパ43の内部からの熱が基体6の流路形成部21等に伝搬することが更に抑制されて、ブレーキ液圧制御装置2の性能の確保が更に確実化される。
【0056】
実施の形態3.
以下に、実施の形態3に係るアンチロックブレーキシステムについて説明する。
なお、実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムと重複する説明は、適宜省略している。
【0057】
<ブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細>
実施の形態3に係るアンチロックブレーキシステムのブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細について説明する。
図8は、本発明の実施の形態3に係るアンチロックブレーキシステムの、ブレーキ液圧制御装置のモータサイクルへの搭載状態の詳細を説明するための分解斜視図である。
【0058】
図8に示されるように、基体6に、放熱部23が形成されている。特に、放熱部23が固定部22に形成されているとよい。基体6のうちの、放熱部23と、流路形成部21又は固定部22と、が、別々の部材で構成されていてもよい。放熱部23は、例えば、複数のフィンであり、モータサイクル100の走行によって生じる走行風が、フィン間に取り込まれる。
【0059】
<アンチロックブレーキシステムの作用>
実施の形態3に係るアンチロックブレーキシステムの作用について説明する。
ブレーキ液圧制御装置2では、基体6に、放熱部23が形成されている。そのため、ブレーキキャリパ43の内部からの熱が基体6の流路形成部21等に伝搬することが更に抑制されて、ブレーキ液圧制御装置2の性能の確保が更に確実化される。
【0060】
実施の形態4.
以下に、実施の形態4に係るアンチロックブレーキシステムについて説明する。
なお、実施の形態1に係るアンチロックブレーキシステムと重複する説明は、適宜省略している。
【0061】
<ブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細>
実施の形態4に係るアンチロックブレーキシステムのブレーキ液圧制御装置の搭載の詳細について説明する。
図9は、本発明の実施の形態4に係るアンチロックブレーキシステムの、ブレーキ液圧制御装置のモータサイクルへの搭載状態の詳細を説明するための斜視図である。なお、
図9では、モータサイクル100の走行によって生じる走行風を矢印で示している。また、
図9では、ブレーキ液圧制御装置2がロータ108,115の軸に対する走行風の下流側に配設されている場合を示しているが、そのような場合に限定されない。
【0062】
図9に示されるように、ブレーキ液圧制御装置2は、基体6を冷却する冷却器4を備えている。冷却器4は、モータサイクル100の走行によって生じる走行風を基体6に導く導風部61を有している。例えば、導風部61は、折り曲げられた板であり、走行風の上流側は走行風と平行であり、走行風の下流側は、徐々に基体6に近づく形状である。導風部61の走行風の下流側の端部は、基体6と比較して、走行風の上流側に位置する。そのように構成されることで、負圧によって、走行風を基体6に導くことが可能である。導風部61の走行風の下流側の端部が、基体6と比較して、走行風の下流側に位置していてもよい。そのように構成される場合には、正圧によって、走行風を基体6に導くことが可能である。冷却器4が、導風部61を有し、且つ、基体6に冷却液を供給するものであってもよく、また、導風部61を有さず、且つ、基体6に冷却液を供給するものであってもよい。
【0063】
特に、冷却器4が、固定部22を冷却するものであるとよい。導風部61は、基体6の一部によって構成されてもよく、ブレーキキャリパ43の一部によって構成されてもよく、また、それら以外によって構成されてもよい。
【0064】
<アンチロックブレーキシステムの作用>
実施の形態4に係るアンチロックブレーキシステムの作用について説明する。
ブレーキ液圧制御装置2は、基体6を冷却する冷却器4を備えている。そのため、ブレーキキャリパ43の内部からの熱が基体6の流路形成部21等に伝搬することが更に抑制されて、ブレーキ液圧制御装置2の性能の確保が更に確実化される。
【0065】
また、冷却器4は、モータサイクル100の走行によって生じる走行風を基体6に導く導風部61を有している。そのため、簡易な構造で基体6を冷却することが可能である。特に、導風部61が、負圧によって走行風を基体6に導くものである場合には、導風部61を省スペース化することが可能となる。
【0066】
以上、実施の形態1〜実施の形態4について説明したが、本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各実施の形態の全て又は一部が組み合わされてもよい。