特許第6469892号(P6469892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6469892バーニング損傷を低減するための燃料供給ノズル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469892
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】バーニング損傷を低減するための燃料供給ノズル
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20190204BHJP
   F23D 11/38 20060101ALI20190204BHJP
   F23D 14/82 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   F23R3/28 B
   F23D11/38 Z
   F23D14/82
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-560589(P2017-560589)
(86)(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公表番号】特表2018-521286(P2018-521286A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】KR2016005190
(87)【国際公開番号】WO2016186423
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2017年11月20日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0071066
(32)【優先日】2015年5月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン ヘヴィー インダストリーズ アンド コンストラクション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロー、ユー ジン
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−019258(JP,A)
【文献】 特表2010−513838(JP,A)
【文献】 特開平08−233271(JP,A)
【文献】 特開平01−130015(JP,A)
【文献】 特開平09−145058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 11/38
F23D 14/82
F23R 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器の内部に燃料を噴射する燃料供給ノズルにおいて、
前記燃料供給ノズルは、基部から先端部まで延びる外壁面および内壁面を有する管の形態をなし、前記内壁面の内側には前記基部から前記先端部まで延びる第1燃料排出流路を含み、
前記燃料供給ノズルは前記先端部から一定の距離離隔した前記外壁面に設けられた少なくとも一つ以上のベインを含み、前記ベインには前記第1燃料排出流路と連通するベイン燃料出口を具備し、
前記先端部に隣接した一定区間の外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄く形成されたバーニング区間を含み、
前記燃料供給ノズルは、前記基部から延びるノズル本体と、前記ノズル本体の端部と着脱可能に結合し、前記バーニング区間が設けられたノズルカバーを含み、
前記ノズル本体は前記ノズルカバーと結合する端部に螺子山が加工され、前記ノズルカバーは前記ノズル本体と結合する端部に前記螺子山に対応する螺子溝が加工された、燃料供給ノズル。
【請求項2】
燃焼器の内部に燃料を噴射する燃料供給ノズルにおいて、
前記燃料供給ノズルは、基部から先端部まで延びる外壁面および内壁面を有する管の形態をなし、前記内壁面の内側には前記基部から前記先端部まで延びる第1燃料排出流路を含み、
前記燃料供給ノズルは前記先端部から一定の距離離隔した前記外壁面に設けられた少なくとも一つ以上のベインを含み、前記ベインには前記第1燃料排出流路と連通するベイン燃料出口を具備し、
前記先端部に隣接した一定区間の外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄く形成されたバーニング区間を含み、
前記燃料供給ノズルは、前記基部から延びるノズル本体と、前記ノズル本体の端部と着脱可能に結合し、前記バーニング区間が設けられたノズルカバーを含み、
前記ノズル本体は前記ノズルカバーと結合する端部の外周面に沿って複数個の固定子が備えられ、前記ノズルカバーは前記ノズル本体と結合する端部に前記固定子が係止される固定溝が備えられた、燃料供給ノズル。
【請求項3】
前記バーニング区間は、前記第1燃料排出流路を囲む外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄くなるように加工された複数個の離隔した加工部を含む、請求項に記載の燃料供給ノズル。
【請求項4】
前記バーニング区間は、前記第1燃料排出流路を囲む外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄くなるように加工された複数個の離隔した加工部を含む、請求項に記載の燃料供給ノズル。
【請求項5】
前記加工部は、前記外壁面と内壁面の間の厚さが1〜1.5mm範囲にあるように形成された、請求項に記載の燃料供給ノズル。
【請求項6】
前記加工部は、前記外壁面と内壁面の間の厚さが1〜1.5mm範囲にあるように形成された、請求項に記載の燃料供給ノズル。
【請求項7】
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面に備えられる、請求項1、3および5のいずれか1項に記載の燃料供給ノズル。
【請求項8】
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面に備えられる、請求項2、4および6のいずれか1項に記載の燃料供給ノズル。
【請求項9】
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面にさらに形成され、前記加工溝は前記加工部の加工が終了した地点を境界線として前記加工部と重ならない位置に備えられる、請求項またはに記載の燃料供給ノズル。
【請求項10】
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面にさらに形成され、前記加工溝は前記加工部の加工が終了した地点を境界線として前記加工部と重ならない位置に備えられる、請求項またはに記載の燃料供給ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離可能なノズルを使って損傷ノズルの経済的な取り換えが可能な燃料供給ノズルであって、より詳細には、ノズルの端部でバーニング現象が発生する場合、前記バーニング現象が発生したノズルの範囲を最小化させることによってバーニング被害を受けたノズルのみの取り換えが可能な、燃料供給ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン発電で一般に使われているタービン発電機は、燃料を圧縮空気を通じて燃焼させることによって強力なエネルギーを生成し、これを利用してタービンを回転させる原理で作動する。
【0003】
ここで、タービン発電機の燃焼が起きる部分である燃焼器の内部のノズル端部には相当な高温が発生することになる。
【0004】
したがって、場合によっては前記ノズルの端部に火炎の逆火が発生し、これに伴い、ノズルが溶けるか損傷を受けてしまい、本来の機能を発揮できなくなる場合が発生する。これを、いわゆるバーニング損傷(burning damage)という。
【0005】
従来は、ノズルの端部に高温による損傷が発生した場合、高温による損傷を受けたノズルの端部だけでなくノズル全体を取り換えなければならなかったため、相当な費用および時間、そして労働力の損失があった。また、前記バーニング現象による被害の拡散を減らすことができず、ノズルの相当部分が被害を受ける問題点が存在する。
【0006】
したがって、ノズルの端部に高温の火炎によるバーニング損傷が発生して被害を受けた場合に、バーニング損傷による被害を受けたノズル端部のみの取り換えが可能な方法および前記のバーニング損傷が発生する範囲を最小化させ得るノズルの設計技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
(特許文献1)アメリカ登録特許US8,079,218
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前述した問題点を解決するために創案されたもので、本発明の目的は、燃焼室内部のバーニング現象からノズルを最大限保護してバーニング損傷を最小化させ得るノズル構造およびバーニング損傷が発生したノズルのみを部分的に取り換え可能な新しいノズル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、燃焼器の内部に燃料を噴射する燃料供給ノズルに関するものであって、前記燃料供給ノズルは、基部から先端部まで延びる外壁面および内壁面を有する管の形態をなし、前記内壁面の内側には前記基部から先端部まで延びる第1燃料排出流路を含み、前記燃料供給ノズルは前記先端部から一定の距離離隔した前記外壁面に設けられた少なくとも一つ以上のベインを含み、前記ベインには前記第1燃料排出流路と連通するベイン燃料出口を具備し、前記先端部に隣接した一定区間の外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄く形成されたバーニング区間を含む。
【0010】
本発明の一実施形態に係る前記燃料供給ノズルは、前記基部から延びるノズル本体と、前記ノズル本体の端部と結合し、前記バーニング区間が設けられたノズルカバーを含み、前記ノズル本体は前記ノズルカバーと結合する端部に螺子山が加工され、前記ノズルカバーは前記ノズル本体と結合する端部に前記螺子山に対応する螺子溝が加工される。
【0011】
そして、本発明の他の実施形態に係る前記燃料供給ノズルは、前記基部から延びるノズル本体と、前記ノズル本体の端部と結合し、前記バーニング区間が設けられたノズルカバーを含み、前記ノズル本体は前記ノズルカバーと結合する端部の外周面に沿って複数個の固定子が備えられ、前記ノズルカバーは前記ノズル本体と結合する端部に前記固定子が係止される固定溝が備えられる。
【0012】
ここで、前記バーニング区間は、前記第1燃料排出流路を囲む外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄くなるように加工された複数個の離隔した加工部を含むものであり得る。
【0013】
そして、前記加工部は前記外壁面と内壁面の間の厚さが1〜1.5mm範囲にあるように形成され得る。
【0014】
また、前記燃料供給ノズルは一定深さの加工溝をノズルカバーの表面に備えてもよい。
【0015】
そして、前記加工部と前記加工溝がノズルカバーの表面に共に形成される場合、前記加工溝は前記加工部の加工が終了した地点を境界線として前記加工部と重ならない位置に備えられることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
前述のような本発明の「分離可能なノズルを用いて損傷ノズルの経済的な取り換えが可能な燃料供給ノズル」は、バーニング現象を最小化させ、バーニング損傷が発生したノズル部分だけの取り換えが可能なノズル構造を備えることによって、ノズルの修理および補修の作業時間を短縮できる長所が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係る第1燃料排出流路および第2燃料排出流路を含む燃料供給ノズルの断面図。
図2】本発明の一実施例に係る第1燃料排出流路を含む燃料供給ノズルの断面図。
図3】本発明の一実施例に係る螺子山および螺子溝が加工された燃料供給ノズルの断面図。
図4】本発明の一実施例に係る固定子および固定溝が加工された燃料供給ノズルの断面図。
図5】本発明の一実施例に係る複数個の加工部および加工溝がノズルカバーおよび境界に加工されたノズル後端部の断面図。
図6】本発明の一実施例に係る厚さが薄く加工されたノズルカバーおよび境界に加工された加工溝を図示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにおいて、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されるとしても、できるかぎり、同じ符号を用いるようにしている。また、本発明の実施例の説明において、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0019】
また、本発明の実施例の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順序などが限定されるものではない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は該他の構成要素に直接連結されるか接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されることもあり得ると理解されるべきである。
【0020】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料供給ノズルの断面図を示している。
【0021】
以下では図1に図示された方向を基準として、前記燃料供給ノズル100の最右側を先端部10とし、これと反対となる左側を基部とする。そして、図1以外の他の添付された図面に対しても燃料供給ノズルの方向を同一に維持することにする。
【0022】
前記燃料供給ノズル100は、燃料を高圧で噴出するように内部に第2燃料排出流路20が備えられ得るが、前記第2燃料排出流路20を通じて液体燃料が供給される。
【0023】
そして、前記第2燃料排出流路20と壁を挟んで第1燃料排出流路30が設けられており、ここには燃料と空気の混合ガスが注入される。第1燃料排出流路30の末端に接する先端部10部分は混合ガスが流れないように塞がっているため、前記混合ガスはベイン31に流れ、最終的にはベイン31に設けられているベイン燃料出口32に噴出する。
【0024】
前記第1燃料排出流路30は、内側には第2燃料排出流路20に対して壁で塞がっている一方、外側には内壁面130と外壁面140からなる構造によって塞がっている環状の空間に形成されている。
【0025】
図示してはいないが、内壁面130と外壁面140が中空構造をなしてその間に空間が設けられてもよく、あるいはその空間に金属物質が満たされてもよい。
【0026】
このような燃料供給ノズル100の内壁面130と外壁面140の間の厚さは、一定ではなく一部分が薄く形成されているが、これは運転中にバーニング現象が発生した場合、厚さの薄い部分が先に溶融するようにすることによって燃料供給ノズル100の全体が損傷することを防止するためである。このように、内壁面130と外壁面140の間の厚さが他の区間より薄く形成された区間をバーニング区間と呼ぶことにする。
【0027】
一方、図2は液体燃料を噴射する第2燃料排出流路20がない燃料供給ノズル100の実施例を図示したものである。図示された通り、第1燃料排出流路30は図1の実施例に備えられた第2燃料排出流路20がなく、単一の形態で製作される。この場合、燃料供給ノズル100の内部は燃料と空気の混合ガスでいっぱいとなる。
【0028】
第1燃料排出流路30の役割は、基本として前記ベインのベイン燃料出口32に燃料を供給することである。そして、追加の役割として、前記ベイン31のベイン燃料出口32で発生した火炎の逆火によって燃料供給ノズル100の端部が損傷する場合、燃料供給ノズル100の端部に位置する外壁面140および内壁面130が溶けてしまい、これによって開放された第1燃料排出流路30の流路を通じて燃料が燃料供給ノズル100の先端部10から排出されることによって第1燃料排出流路30の上流側、すなわちノズル本体110側の追加的なバーニング損傷を防止する役割もする。
【0029】
より具体的には、前記ベイン31は、図1で図示された通り、先端部10を基準として噴出した混合ガスの流れの上流側に位置するため、前記ベイン燃料出口32から噴射した混合ガスに逆火が発生する場合、火炎は前記先端部10の側面部に隣接して上流側に後退する。このような火炎の後退によって火炎は先端部10の側面部に直接的に熱を加えることになり、その結果、前記外壁面140と内壁面130によって密閉された第1燃料排出流路30が開放されて、混合ガスをベイン31の下流側(図面上右側)で噴射することになる。このように外壁面140と内壁面130が溶けて第1燃料排出流路30が開放されると、混合ガスはベイン31のベイン燃料出口32と溶けて開放された第1燃料排出流路30で噴出し、これはバーニング区間の破断を引き起こす。
【0030】
すなわち、前記第1燃料排出流路30は、正常の運転時にはベイン燃料出口32にのみ燃料である混合ガスを噴出し、バーニング損傷によって燃料供給ノズル100の前端が溶けたか破断した場合にのみ、溶けた内壁面130および外壁面140を通じて燃料を排出するのである。
【0031】
ここで、溶けて開放された破断部位はベイン31に比べて下流側に位置し、かつベイン燃料出口32に比べてより多くの流量の混合ガスを噴出することになるので、火炎を破断部位の下流に前進させ、これを通じて燃料供給ノズル100に発生した逆火現象を遮断することができる。
【0032】
特に、外壁面140と内壁面130が逆火の発生時に容易に溶けて第1燃料排出流路30が開放され得るようにするために、内壁面130と外壁面140の間の一部分の厚さを薄く形成している。この部分的に薄く形成された部分が逆火の発生時に破断する部分であり、厚さが薄い部分の位置を調節することによって破断部位を意図的に制御することが可能である。本発明の実施例において、逆火を効果的に除去するために、内壁面130と外壁面140は先端部10に隣接した部分の厚さを薄く形成している。これは、先端部10側に近く破断するほど火炎を下流側に前進させる効果が強く表われるためである。
【0033】
図2は本発明の一実施例に係る燃料供給ノズル100を図示したものであるが、第2燃料排出流路20がなく、第1燃料排出流路30でのみ構成された燃料供給ノズル100を図示している。
【0034】
図1の実施例によると、燃料である混合ガスと液体燃料がそれぞれの排出流路を通じて排出されている反面、図2の実施例は、燃料としては混合ガスのみを使用し、この混合ガスが第1燃料排出流路30を通じてベイン燃料出口32に噴出する。図2の実施例も第1燃料排出流路30を形成する内壁面130と外壁面140の間の一部分の厚さを薄く形成して、その部分が逆火発生時に溶けるか破断が起きるように構成した点は同じである。
【0035】
図3は本発明の他の一実施例を示した図面であるが、螺子山と螺子溝が加工された燃料供給ノズルの断面図を図示している。
【0036】
前述した本発明の特徴の一つである「部分取り換えが可能なノズルの構成」のための一実施例を図示したものが図3であるが、図示された実施例は、螺子締結構造を利用して燃料供給ノズルの各要素を結合し分離できるようになっている。具体的には、ノズル本体110とノズルカバー120が螺子構造を利用して結合および分離され得る。
【0037】
例えば、燃料供給ノズル100の端部にバーニング現象が発生する場合、火炎の位置上、ノズル本体110よりはノズルカバー120が溶けるか損傷する可能性がはるかに高い。
【0038】
このような実施例において、第1燃料排出流路30を形成する内壁面130および外壁面140のうち厚さが薄い部分はノズルカバー120に形成されており、このため、逆火によって破断する部分はノズルカバー120側にのみ存在する。したがって、バーニング損傷が起きた後の燃料供給ノズル100の修理および補修作業は、溶けたか破断したノズルカバー120だけを螺子構造を利用して簡単に分離した後、新しいノズルカバー120に速かに取り換えることができる。
【0039】
図4は固定子および固定溝を具備することによって部分取り換えが可能な燃料供給ノズルの実施例を図示したものである。
【0040】
図4の実施例は、溶けたか損傷を受けたノズルカバー120を容易に取り換えるための手段であって、前述した図3の螺子締結構造の代わりに、固定子112と固定溝122を具備した構造を有している。
【0041】
前記固定子112および固定溝122の結合構造は、ノズル本体110の外側面に、円周方向に複数個が一定の間隔で配列された固定子112の端部の折れた爪(claw)がノズルカバー120に備えられた固定溝122の段に係止されて相互固定される構造である。
【0042】
このような固定子112と固定溝122の構造は、ノズルカバー120をノズル本体110に結合しようとする場合には、若干の力を加えてノズル本体110方向にノズルカバー120を押し込むことによって、固定子112の段の部分(爪)を固定溝122に弾力的に係止させて固定させればよい。
【0043】
反対に、ノズルカバー120を分離しようとする場合には、前記固定子112の段の部分を持ち上げて固定溝122から離脱させた後、ノズルカバー120を引っ張って抜き取ればよい。
【0044】
図5は本発明の一実施例であって、複数個の加工部123および加工溝125がノズルカバー120の内側およびノズルカバー120の境界に加工されたノズル後端部の断面図を図示している。
【0045】
ノズルカバーの端部124には、前述した通り、第1燃料排出流路30の端部の外側を囲んでいる内壁面130および外壁面140の間の厚さを薄く加工して、これを通じてのノズル全体の損傷を防止するための構造が必要である。
【0046】
ただし、図5では、このような構造として、ノズルカバーの端部124の全内周面にわたって厚さを薄く形成する代わりに、内側の一定部分の厚さをのみ薄く形成した構造ということに特徴がある。例えば、図5のように、ノズルカバーの端部124の内面に長さ方向に掘られた溝を複数個形成することによって、部分的にノズルカバーの端部124の厚さを薄くすることである。このような溝の加工は、円周方向に沿ってまたは斜線で形成するなどの多様な形態で加工され得、本実施例ではこのような加工がなされた構成を纏めて加工部123と呼んでいる。
【0047】
前記薄く加工された一定部分のノズルカバー端部124の加工部123の厚さは、1〜1.5mm程度となるのが好ましい。
【0048】
図6は本発明の他の実施例であって、ノズルカバー120の外側の円周面に沿って一定深さの加工溝125を形成することによってノズルが完全に損傷することを防止できるもう一つの構造を示している。
【0049】
燃料供給ノズル100の端部で発生したバーニング現象は、次第にノズル本体110方向に進行されるが、このような進行過程中に逆火が加工溝125に接触する。ここで、加工溝125によって外壁面140と内壁面130の間の厚さはかなり薄く(1〜1.5mm程度)形成されたため、加工溝125を境界として燃料供給ノズル100の端部が溶けて落ち、このため、追加のバーニング損傷が燃料供給ノズル100の全体に拡散しなくなる。
【0050】
ここで、図5および図6には加工部123および加工溝125の加工がノズルカバーの端部124の内側面と外側面にそれぞれなされるものと図示されているが、このような加工は図示された面の反対面になされてもよく、また、内側面と外側面に同時に加工されてもよい。
【0051】
また、前述した加工部123および加工溝125は、一つの燃料供給ノズル100に同時に備えられてもよい。この時、加工溝125は加工部123の加工が終了した地点を境界線として加工部123と重ならないようにノズルカバー120の外側の円周面に沿って形成されることが好ましい。これは、耐久性を考慮して、加工溝125と加工部123が重なることによって、局部的に過度に厚さが薄い部分が発生しないようにする必要性があるためである。
【0052】
一方、前記ノズルカバー120を構成する構成のうち、ノズルカバー120の端部124とその他の構成をなす金属材質に、差、より正確には融点に差を置いて、さらに確実に本発明の効果を得ることもできる。
【0053】
具体的には、ノズルカバーの端部124をなす金属はその融点をバーニング現象が起きた時の温度よりも若干低い金属に設定し、それ以外のノズルカバー120の構成をなす部分の金属はその融点をバーニング現象が起きた時の温度よりもかなり高い金属に設定すると、ノズルカバーの端部124が先に溶けて落ちるため、バーニング現象がそれ以上進行できず、また、ノズルカバー120の部分的な取り換えだけでも整備を完了することができるようになる。
【0054】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。本明細書によれば、以下の各項目に記載の事項もまた開示される。
[項目1]
燃焼器の内部に燃料を噴射する燃料供給ノズルにおいて、
前記燃料供給ノズルは、基部から先端部まで延びる外壁面および内壁面を有する管の形態をなし、前記内壁面の内側には前記基部から前記先端部まで延びる第1燃料排出流路を含み、
前記燃料供給ノズルは前記先端部から一定の距離離隔した前記外壁面に設けられた少なくとも一つ以上のベインを含み、前記ベインには前記第1燃料排出流路と連通するベイン燃料出口を具備し、
前記先端部に隣接した一定区間の外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄く形成されたバーニング区間を含む、燃料供給ノズル。
[項目2]
前記燃料供給ノズルは、前記基部から延びるノズル本体と、前記ノズル本体の端部と結合し、前記バーニング区間が設けられたノズルカバーを含み、
前記ノズル本体は前記ノズルカバーと結合する端部に螺子山が加工され、前記ノズルカバーは前記ノズル本体と結合する端部に前記螺子山に対応する螺子溝が加工された、項目1に記載の燃料供給ノズル。
[項目3]
前記燃料供給ノズルは、前記基部から延びるノズル本体と、前記ノズル本体の端部と結合し、前記バーニング区間が設けられたノズルカバーを含み、
前記ノズル本体は前記ノズルカバーと結合する端部の外周面に沿って複数個の固定子が備えられ、前記ノズルカバーは前記ノズル本体と結合する端部に前記固定子が係止される固定溝が備えられた、項目1に記載の燃料供給ノズル。
[項目4]
前記バーニング区間は、前記第1燃料排出流路を囲む外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄くなるように加工された複数個の離隔した加工部を含む、項目2に記載の燃料供給ノズル。
[項目5]
前記バーニング区間は、前記第1燃料排出流路を囲む外壁面および内壁面の間の厚さが他の区間より薄くなるように加工された複数個の離隔した加工部を含む、項目3に記載の燃料供給ノズル。
[項目6]
前記加工部は、前記外壁面と内壁面の間の厚さが1〜1.5mm範囲にあるように形成された、項目4に記載の燃料供給ノズル。
[項目7]
前記加工部は、前記外壁面と内壁面の間の厚さが1〜1.5mm範囲にあるように形成された、項目5に記載の燃料供給ノズル。
[項目8]
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面に備えられる、項目2、4および6のいずれか1項に記載の燃料供給ノズル。
[項目9]
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面に備えられる、項目3、5および7のいずれか1項に記載の燃料供給ノズル。
[項目10]
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面にさらに形成され、前記加工溝は前記加工部の加工が終了した地点を境界線として前記加工部と重ならない位置に備えられる、項目4または6に記載の燃料供給ノズル。
[項目11]
前記燃料供給ノズルは、一定深さの加工溝がノズルカバーの表面にさらに形成され、前記加工溝は前記加工部の加工が終了した地点を境界線として前記加工部と重ならない位置に備えられる、項目5または7に記載の燃料供給ノズル。
【符号の説明】
【0055】
10:先端部
20:第2燃料排出流路
30:第1燃料排出流路
31:ベイン
32:ベイン燃料出口
100:燃料供給ノズル
110:ノズル本体
111:螺子
112:固定子
120:ノズルカバー
121:螺子溝
122:固定溝
123:加工部
124:ノズルカバー端部
125:加工溝
130:内壁面
140:外壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6