特許第6469949号(P6469949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469949
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20190204BHJP
   A61K 8/96 20060101ALI20190204BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20190204BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20190204BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20190204BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/96
   A61Q15/00
   A61Q19/10
   C11D3/37
   C11D3/48
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-220715(P2013-220715)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-101356(P2014-101356A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2016年8月9日
【審判番号】不服2018-5519(P2018-5519/J1)
【審判請求日】2018年4月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-235165(P2012-235165)
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118382
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 央子
(72)【発明者】
【氏名】望月 佑次
(72)【発明者】
【氏名】岡山 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】劉 暢
【合議体】
【審判長】 阪野 誠司
【審判官】 長谷川 茜
【審判官】 冨永 みどり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−67734(JP,A)
【文献】 特開2005−15359(JP,A)
【文献】 特開2006−183030(JP,A)
【文献】 特開平10−183193(JP,A)
【文献】 特開2011−88844(JP,A)
【文献】 特開2007−146030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/
A61Q
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリクオタニウム−10、並びに(B)塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分を含有する、加齢臭除去用の皮膚洗浄用組成物。
【請求項2】
ノネナールの除去のために用いられる、請求項1に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項3】
更に、(C)ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−22、及びポリクオタニウム−39からなる群より選ばれるカチオン性ポリマーを含有する、請求項1又は2に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項4】
更に、高級脂肪酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−アシルタウリン塩、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤、及びアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項5】
(C)成分の含有量が、組成物の全体に対して、0.005〜5重量%である、請求項3に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項6】
(A)ポリクオタニウム−10と(B)塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分とを併用して、加齢臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄することを特徴とする、加齢臭除去方法。
【請求項7】
(A)ポリクオタニウム−10、並びに(B)塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選ばれる抗菌成分を含有する、加齢臭が気になる皮膚の部位を洗浄するための皮膚洗浄用組成物。
【請求項8】
ノネナールの除去のために用いられる、請求項7に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項9】
更に、(C)ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−22、及びポリクオタニウム−39からなる群より選ばれるカチオン性ポリマーを含有する、請求項7又は8に記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項10】
更に、高級脂肪酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−アシルタウリン塩、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤、及びアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項7〜9のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項11】
(C)成分の含有量が、組成物の全体に対して、0.005〜5重量%である、請求項9に記載の皮膚洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体臭を抑制できる皮膚洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ニオイに対する人々の関心が高まっている。なかでも、加齢に伴い発生すると考えられている高齢者特有の体臭を気にする人が増えている。この加齢臭とも呼ばれる体臭は、皮膚表面上でω7不飽和脂肪酸が酸化的に分解されて生じる不飽和アルデヒドである2−ノネナールの発生と深く関連することが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
従来、このような体臭を防止する技術としては、香水等でマスキングしたり、炭の臭い吸着効能を利用する方法(特許文献1)等が知られている。また、ワレモコウの根部及び根茎部からの抽出物を用いる方法(特許文献2)や、縮合型カキタンニンを用いる方法(特許文献3)等も提案されている。
【0004】
また、体臭が気になる人は、入浴時に体臭の除去を気にするあまり、石鹸やボディソープ、洗顔料、シャンプーといった従来の身体洗浄剤又は頭皮洗浄剤で強く洗い過ぎてしまうことがある。しかし、体臭抑制効果が十分でない従来の洗浄剤で過度に皮膚洗浄することは角質層の剥離等を引き起こしてしまう場合があり好ましくない。
【0005】
従って、体臭抑制効果に優れた更なる有用な皮膚洗浄用組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−145747号公報
【特許文献2】特開2011−183019号公報
【特許文献3】特許第4212220号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】S.Haseet al., The Journal of Investigative Dermatology, Vol.116, No.4, 520-524, 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高度に体臭抑制効果を発揮できる新規の皮膚洗浄用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリクオタニウム−10という特定のカチオン性ポリマーと、抗菌成分とを組み合わせて皮膚洗浄のために用いることにより、両成分の作用が相俟って相乗効果的に著しく高い体臭抑制効果を発揮できることを見出した。また更に本発明者等は検討を進め、ポリクオタニウム−10及び抗菌成分と共に、ポリクオタニウム−7等の他のカチオン性ポリマーを組み合わせて皮膚の洗浄を行うことにより、一層高い体臭抑制効果を発揮できることをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
従って、本発明は以下を提供する。
[項1] (A)ポリクオタニウム−10、及び(B)抗菌成分を含有する、体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物。
[項2] 加齢臭の抑制のために用いられる、項1に記載の皮膚洗浄用組成物。
[項3] ノネナールの除去のために用いられる、項1又は2に記載の皮膚洗浄用組成物。
[項4] (B)成分として、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、シメン−5−オール、トリクロカルバン、トリクロサン、クロルヘキシジン、サリチル酸、アクリノール、エタノール、クレゾール、グルコン酸、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、及び塩酸アルキルジアミノグリシンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1〜3のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
[項5] 更に、(C)他のカチオン性ポリマーを含有する、項1〜4のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
[項6] (C)成分として、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−33、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−43、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−49、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−52、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−61、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−65、ポリクオタニウム−68、及びポリクオタニウム−92からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1〜5のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
[項7] 更に、高級脂肪酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−アシルタウリン塩、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤、ポリオキシエチレン−分岐アルキルエーテル、ポリオキシエチレン−アルキルエーテル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン−ソルビタンエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−アルキルアリールエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−グリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、コレステロール、及び胆汁酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1〜6のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
[項8] (A)ポリクオタニウム−10と(B)抗菌成分とを併用して、体臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄することを特徴とする、体臭抑制方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、高度に体臭抑制効果を発揮できる有用な新規の皮膚洗浄用組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書中で使用される用語は、特に他を言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられている点が理解されるべきである。
【0013】
(1.体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物)
本発明による体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物は、(A)ポリクオタニウム−10及び(B)抗菌成分を含有する。
【0014】
(A)ポリクオタニウム−10
本発明の体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物は、ポリクオタニウム−10(以下、単に(A)成分ともいう)を含有する。
【0015】
ポリクオタニウムは、4級アミノ基を側鎖として有する高分子化合物の総称として当該分野で周知のカチオン性ポリマーである。ポリクオタニウムは、FDA(米国食品医薬品局)にも化粧料原料として認められている。そして、ポリクオタニウムに番号をそれぞれ付したものが、PCPC(米国化粧品工業会;旧CTFA)において、INCI(化粧品原料国際命名法)に従ってINCI名として登録されている。
【0016】
ポリクオタニウム−10は、INCI名として登録されたカチオン性ポリマー化合物であり、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体である。ポリクオタニウム−10は、別名、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースともいう。
【0017】
ポリクオタニウム−10は、合成によって入手してもよく、また市販品を用いても良い。このような市販品としては、例えば、ポイズC-150L(花王)、ポイズC-60H(花王)、ポイズC-80M(花王)、MIRAPOL
PQ−10(三晶)、ジェルナー(ダイセル化学工業)、UCARE Polymer(ダウ・ケミカル日本)、カチナールHC−100(東邦化学工業)、カチナールHC-200(東邦化学工業)、カチナールLC−100(東邦化学工業)、カチナールLC-200(東邦化学工業)、Merquat10(ナルコジャパン)、CELQUAT
SC-230M(アクゾノーベル)等を挙げることができる。また、ポリクオタニウム−10を含有する市販の混合原料を使用してもよく、このような混合原料としては、例えば、DNシリコンエマルジョン100000(大日本化成)、レオガードG(ライオン)、レオガードGP(ライオン)、レオガードKGP(ライオン)、レオガードLP(ライオン)、レオガードMGP(ライオン)、レオガードMLP(ライオン)等を挙げることができる。
【0018】
本発明に用いられるポリクオタニウム−10の分子量としては、本発明の効果を奏し得る限り特に限定されず、任意の分子量のものが用いられ得る。一例として、本発明には、分子量30万以上、好ましくは50万以上、より好ましくは80万以上、更に好ましくは100万以上、より更に好ましくは120万以上のポリクオタニウム−10が用いられ得る。本発明に用いられるポリクオタニウム−10の分子量の上限値は、特に限定されないが、通常500万以下、好ましくは300万以下のものを用いることができる。
【0019】
本発明に用いられるポリクオタニウム−10の窒素含量も、本発明の効果を奏し得る限り特に限定されず、任意の窒素含量のものが用いられ得る。一例として、本発明に用いられるポリクオタニウム−10の窒素含量は、0.5〜5%程度であるのがよく、1〜3%程度であるものがより好ましい。
【0020】
本発明の皮膚洗浄用組成物において、(A)成分の含有量は、該組成物の製剤形態や求められる効果の程度等に応じて適宜設定され得る。一例として、組成物全体に対して、(A)成分が、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%となる範囲が例示される。
【0021】
(B)抗菌成分
本発明の体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物は、上記(A)成分に加えて、抗菌成分(以下、単に(B)成分ともいう)を含有する。
【0022】
抗菌成分とは、殺菌又は静菌作用を発揮して、雑菌(グラム陽性細菌やグラム陰性細菌等)の増殖を抑えることができる当該分野で公知の任意の成分をいう。具体的には、抗菌成分として、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、シメン−5−オール、トリクロカルバン、トリクロサン、クロルヘキシジン、サリチル酸、アクリノール、エタノール、クレゾール、グルコン酸、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン等を挙げることができるが、これらに限定されない。より確実に高く本発明の効果を発揮できるという観点から、本発明の皮膚洗浄用組成物には、好ましくは、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、シメン−5−オール、トリクロカルバン、トリクロサン、クロルヘキシジン、サリチル酸、より好ましくは、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノールを用いるのがよい。
【0023】
本発明の皮膚洗浄用組成物において、(B)成分の含有量は、該組成物の製剤形態や求められる効果の程度等に応じて適宜設定され得る。一例として、組成物全体に対して、(B)成分が、0.001〜2重量%、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%となる範囲が例示される。
【0024】
また、本発明の体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物において、(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の比率については、特に制限されないが、より一層効果的に本発明の効果を発揮できるという観点から、一例として、(A)成分の含有量1重量部当たり、(B)成分の含有量が総量で0.0002〜200重量部、好ましくは0.003〜20重量部、より好ましくは0.05〜5重量部となる比率が例示される。
【0025】
(C)他のカチオン性ポリマー
本発明の皮膚洗浄用組成物は、上記(A)及び(B)成分に加えて、更に(C)他のカチオン性ポリマーを含有することが好ましい。このように、ポリクオタニウム−10以外の他のカチオン性ポリマーを含むことによって、体臭抑制効果をより一層効果的に発揮できる。
【0026】
このような(C)他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性を示す任意の高分子重合体であり得る。具体的には、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−33、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−43、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−49、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−52、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−61、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−65、ポリクオタニウム−68、ポリクオタニウム−92等のような、ポリクオタニウム−10以外のポリクオタニウム類等を挙げることができるが、これらに限定されない。より確実に高く本発明の効果を発揮できるという観点から、本発明の皮膚洗浄用組成物には、(C)成分として、好ましくは、ポリクオタニウム−10以外のポリクオタニウム類が用いられ、より好ましくはポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−52が用いられ、更に好ましくはポリクオタニウム−7が用いられる。
【0027】
上記(C)成分の重量平均分子量としては、本発明の効果を奏し得る限り特に限定されず、任意の分子量のものが用いられ得る。一例として、本発明には、分子量30万以上、好ましくは50万以上、より好ましくは80万以上、更に好ましくは100万以上、より更に好ましくは120万以上のカチオン性ポリマーが用いられ得る。(C)成分の分子量の上限値は、特に限定されないが、通常500万以下、好ましくは300万以下のものを用いることができる。
【0028】
上記(C)成分の窒素含量も、本発明の効果を奏し得る限り特に限定されず、任意の窒素含量のものが用いられ得る。一例として、本発明に用いられる(C)の窒素含量として、0.5〜5%程度のものを挙げることができる。
【0029】
本発明の皮膚洗浄用組成物における、前記(C)成分の含有量は、該組成物の製剤形態や求められる効果の程度等に応じて適宜設定され得る。一例として、組成物全体に対して、(C)成分が、0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜1重量%となる範囲が例示される。
【0030】
更に本発明の体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物において、(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の比率については、特に制限されないが、より一層効果的に本発明の効果を増強できるという観点から、一例として、(A)成分の含有量1重量部当たり、(C)成分の含有量が総量で0.001〜500重量部、好ましくは0.003〜60重量部、より好ましくは0.05〜10重量部となる比率が例示される。
【0031】
(D)高級脂肪酸塩
本発明の皮膚洗浄用組成物は、上記(A)及び(B)成分、更に必要に応じて(C)成分に加えて、更に(D)高級脂肪酸塩を含むことが好ましい。このように(D)高級脂肪酸塩を含有することによって、より一層効果的に体臭抑制効果を発揮することができる。
【0032】
高級脂肪酸塩とは、高級脂肪酸を塩基で中和したものを指し、脂肪酸石鹸とも呼ばれる化合物である。
【0033】
高級脂肪酸塩を形成する高級脂肪酸としては通常、炭素数8〜26程度のもの、好ましくは炭素数8〜22程度のものが用いられる。高級脂肪酸は、直鎖脂肪酸であっても分岐鎖脂肪酸であってもよく、更に飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよい。好ましくは、直鎖の飽和脂肪酸である。高級脂肪酸として、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、2−パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、リノエライジン酸、アラキドン酸、ペトロセリン酸、リチノレイン酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、高級脂肪酸としては、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の混合脂肪酸が用いられても良い。好ましくは、本発明に用いられる高級脂肪酸塩を形成する高級脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸であるのがよい。
【0034】
上記高級脂肪酸を中和する塩基は、特に限定されず、任意の塩基が用いられ得る。具体的には、高級脂肪酸を中和する塩基として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基;トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明に用いられる高級脂肪酸塩を形成する塩基は無機塩基及び/又はアルカノールアミンであるのがよい。
【0035】
本発明の皮膚洗浄用組成物には、上記のような高級脂肪酸塩を、高級脂肪酸塩として配合してもよいし、又は高級脂肪酸と塩基とをそれぞれ独立して配合し、当該組成物中で高級脂肪酸塩を形成させてもよい。高級脂肪酸と塩基との中和率は、通常60〜100%程度、好ましくは70〜90%程度であり、中和されずに残存する高級脂肪酸を多少含んでいても差し支えない。
【0036】
また、本発明の皮膚洗浄用組成物に含まれる高級脂肪酸塩は、1種だけでもよく、また2種以上の任意の組み合わせであってもよい。洗浄用組成物としての泡質や泡立ちを向上させるという観点からは、本発明の皮膚洗浄用組成物には、2種以上の高級脂肪酸塩を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0037】
本発明の皮膚洗浄用組成物における、前記(D)成分の含有量は、該組成物の製剤形態や求められる効果の程度等に応じて適宜設定され得る。一例として、組成物全体に対して、(D)成分が総量で、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%となる範囲が例示される。
【0038】
更に本発明の体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物において、(A)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の比率については、特に制限されないが、より一層効果的に本発明の効果を増強できるという観点から、一例として、(A)成分の含有量1重量部当たり、(D)成分の含有量が総量で0.2〜5000重量部、好ましくは1〜800重量部、より好ましくは5〜300重量部となる比率が例示される。
【0039】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、体臭抑制効果をより一層高めるために、体臭抑制効果が知られている他の成分を更に含んでも良い。このような成分としては、特に限定されないが、炭、泥、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン等の臭い吸着作用を有する多孔性物質;カキタンニン(柿渋)、ワレモコウ、チャ、アメリカマンサク(ハマメリス)、シソ、コガネバナ(オウゴン)、キュウリ、サンショウ、パセリ等の植物抽出物等を挙げることができる。
上記成分の含有量は、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択できるが、通常、組成物全体に対して0.0001〜20重量%程度、好ましくは0.001〜10重量%程度とするのがよい。
【0040】
また、本発明の皮膚洗浄用組成物は、前述した各成分に加えて、他の有用な作用を付加するため、抗炎症成分、老化防止成分、美白成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、保湿成分、角質柔軟成分、ビタミン類、無機塩類(塩化ナトリウム等)、血行促進成、皮脂吸着成分等の各種成分を1種または2種以上組み合わせて配合してもよい。これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、化粧品分野などにおいて使用され得るものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。上記のような各種成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0041】
また本発明の皮膚洗浄用組成物は、上記各成分に加えて用途あるいは剤形に応じて、医薬品、医薬部外品、又は化粧品などの分野に通常使用される成分を適宜配合しても良い。配合できる成分としては、特に制限されないが、例えば、基剤又は担体、界面活性剤、粘度調整剤、酸化防止剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料等の添加剤を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に組み合わせて配合することができる。とりわけ、本発明の皮膚洗浄用組成物は界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を含むことによって、より一層効果的に体臭抑制効果を発揮することができる。
【0042】
基剤又は担体としては、水などの水系基剤;エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなグリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、ジグリセリン、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール;などが挙げられる。好ましくは、水系基剤であり、より好ましくは水である。本発明の皮膚洗浄用組成物が水を含有する場合、その配合量は、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択できるが、皮膚洗浄用組成物の全体に対して例えば約30〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜80重量%である。
【0043】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキルエーテルカルボン酸塩;ラウレス硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN−アシルタウリン塩;ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液等のアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタイン液等のアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;POE−オクチルドデシルアルコールやPOE−2−デシルテトラデシルアルコール等のPOE−分岐アルキルエーテル;POE
−オレイルアルコールエーテルやPOE−セチルアルコールエーテル等のPOE−アルキルエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート及びソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル;POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノイソステアレート、及びPOE−ソルビタンモノラウレート等のPOE−ソルビタンエステル;グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル;POE−グリセリンモノオレエート、POE−グリセリンモノステアレート、及びPOE−グリセリンモノミリステート等のPOE−グリセリン脂肪酸エステル;POE−ジヒドロコレステロールエステル、POE−硬化ヒマシ油、及びPOE−硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE−硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;POE−オクチルフェニルエーテル等のPOE−アルキルアリールエーテル;モノイソステアリルグリセリルエーテルやモノミリスチルグリセリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル;POE−モノステアリルグリセリルエーテル、POE−モノミリスチルグリセリルエーテル等のPOE−グリセリンアルキルエーテル;ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、及びジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等の各種非イオン界面活性剤:あるいはレシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、コレステロール、胆汁酸などの天然由来の界面活性剤等を例示することができる。これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。本発明の皮膚洗浄用組成物が上記のような界面活性剤を含有する場合、その配合量は適宜選択できるが、皮膚洗浄用組成物の全体に対して例えば約0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。また上記のような界面活性剤を含む場合、特に限定されないが、(A)成分の含有量1重量部当たり、前記界面活性剤の含有量が総量で例えば約0.2〜5000重量部、好ましくは1〜800重量部、より好ましくは5〜300重量部である。
【0044】
粘度調整剤としては、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、部分架橋ポリアクリル酸、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、ノントライト、ザウコナイト、ラポナイト等の増粘剤;プロピレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ベンゼンスルホン酸塩、炭素数1〜4程度の低級アルキルベンゼンスルホン酸塩等の減粘剤;等を例示することができる。
【0045】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、L−システイン塩酸塩などが挙げられる。
【0046】
防腐剤又は保存剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸およびその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオールなどが挙げられる。
【0047】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。
【0048】
キレート剤としては、例えば、キレート剤としては、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA−2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸などが挙げられる。中でも、エデト酸ナトリウムが好ましい。
【0049】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ビチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
刺激低減剤としては、例えば、甘草エキス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0050】
香料としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のテルペノイド類が挙げられる。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよいが、清涼感や香りなどの官能面や安全性の面から、1−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオールが好ましく、l−メントールが特に好ましい。前記テルペノイド類は、精油に含有した状態で使用することもでき、好ましい精油は、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油等である。
【0051】
上記のような添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0052】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、上記(A)及び(B)成分を配合し、また必要に応じて更なる成分を配合して、常法に従い、種々の洗浄用組成物の形態に調製され得る。製剤形態は特に限定されず、ボディソープ、ボディ用石鹸、洗顔料、洗顔用石鹸、シャンプー等の任意の剤型であり得るが、好ましくはボディソープ、ボディ用石鹸、洗顔料、シャンプーであり、特に好ましくはボディソープ、又はシャンプーである。また、本発明の皮膚洗浄用組成物は、液状、ゲル状、ペースト状、固形状等の任意の形状であり得る。
【0053】
また、本発明の皮膚洗浄用組成物は、取り扱いし易く、また体臭(特に加齢臭)が気になる部位を洗浄する際にしっかりと擦り洗いするのに適したものとするために、適度な粘度を有することが好ましい。このような観点から、本発明の皮膚洗浄用組成物の粘度(25℃)は、特に限定はされないが、好ましくは10〜50000mPa・s程度、より好ましくは100〜30000mPa・s程度、更に好ましくは500〜10000mPa・s程度とするのがよい。主に、粘度調整剤の種類や使用量を適宜選択することにより、上記粘度の皮膚洗浄用組成物とすることができる。
【0054】
本明細書において粘度(25℃)は、第16改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法に準拠し、単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)にて測定した粘度をいう。具体的には、RB-80H(東機産業)を使用して測定される値をいい、ロータや回転速度等の条件の選定は、本機の取扱説明書に準拠し、25℃における粘度を測定する。
単一円筒形回転粘度計に関する説明を以下に記載する。単一円筒形回転粘度計は、液体中の円筒を一定角速度で回転させたときのトルクを測定する粘度計である。あらかじめ粘度計校正用標準液を用いて実験的に装置定数KBを定めることにより、液体の粘度ηを次式によって算出する。
η=KB
× T/ω
η:液体の粘度(mPa・s)
KB:装置定数(rad/cm3
ω:角速度(rad/s)
T:円筒面に作用するトルク(10-7N・m)
【0055】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、通常pH2.0〜12.0の液性を備えていればよいが、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚に適用した場合の使用感のよさという観点から、好ましくはpH3.0〜12.0、より好ましくはpH5.0〜11.0、特に好ましくはpH7.0〜10.5程度であることが望ましい。
【0056】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、後述の試験例に示されるように、加齢臭の一因とされているノネナールを除去する効果に特に優れている。従って、本発明の皮膚洗浄用組成物は、加齢臭が気になる人に特に好適に用いられる。斯かる観点に鑑みると、本発明の体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物は、加齢臭が気になり始める30代以降、特に40代以降の人に好適である。また加齢臭は、女性よりも、汗の分泌量が多く、またタバコや多量のアルコールの摂取等により皮脂分泌量が多くなりがちな男性で多いとされている。よって、本発明の体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物は、加齢臭の気になる男性に特に有益である。
【0057】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、体臭(特に加齢臭)が気になる皮膚の部位を洗浄するために用いられることが好ましい。具体的には、ノネナールの発生量が多い部位(例えば、耳の後ろ、襟足、脇の下、胸、背中、頭皮、鼻の周り、足の裏等)を本発明の皮膚洗浄用組成物でしっかりと洗浄することによって、より一層高い体臭(特に加齢臭)抑制効果を発揮することができる。1回の使用量は、本発明の効果を発揮し得る限りにおいて特に限定されないが、ボディソープの態様の場合、例えば、適量(約1〜10g程度)用いて全身を洗えばよい。洗浄後は、水(温水又は冷水)で洗い流すことで用いられる。シャンプーの態様の場合も同様に、例えば、適量(約1〜10g程度)を用いて頭皮全体をしっかりと洗浄し、その後、水(温水又は冷水)で洗い流せばよい。
【0058】
(2.体臭抑制方法)
前述したように、ポリクオタニウム−10及び抗菌成分を組み合わせて用いて皮膚を洗浄することにより、体臭を効果的に抑制できることが確認されている。
従って、本発明は更に別の観点から、(A)ポリクオタニウム−10と(B)抗菌成分とを併用して、体臭発生が気になる皮膚の部位を洗浄することを特徴とする、体臭抑制方法を提供する。本方法は、特に美容を目的とした方法(美容方法)として使用される。
上記方法において、(A)及び(B)成分の種類やその配合割合、他に配合され得る成分の種類やその配合割合、使用態様等については、上記「(1.体臭抑制用の皮膚洗浄用組成物)」で記載されたものと同様である。
【実施例】
【0059】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0060】
<試験例1:体臭洗浄力評価1>
下記表1に示す各試験製剤(実施例1〜3及び比較例1〜3)を用いて、trans-2-ノネナール除去効果について評価を行った。
【表1】
【0061】
先ず、豚皮を生理食塩水で2時間浸漬後、2cm×2cm角に豚皮を切り分けた。この2cm×2cm豚皮表面に、エタノール溶媒に溶解させた5%(w/w)trans-2-ノネナールを30μL塗布し、乾燥させた。別途、各試験製剤(実施例1〜3及び比較例1〜3)を、10%(w/w)となるように精製水で希釈した。2cm×2cm角(幅:0.5cm)に切り分けたスポンジに各試験製剤の10%水溶液1mLを付け、該スポンジを手で20回プッシュすることで泡立てた。trans-2-ノネナール塗布後の2cm×2cm豚皮に対して、各試験製剤を付けて泡立てたスポンジで擦ることにより30秒間洗浄した(4ストローク/秒)。また、コントロールとして、精製水のみで同様にスポンジ洗浄した2cm×2cm角の豚皮も用意した。スポンジで洗浄後、3Lの精製水にて各豚皮を30秒間リンスし、その後水気を拭き取った。500mLの三角フラスコに洗浄後の豚皮をそれぞれ入れた。Mono
Trap DCC18(シリカモノリス捕集剤, ジーエルサイエンス株式会社製)を、該三角フラスコのシリコンラバーに吊り、密栓後、室温で2時間静置させた。2時間後、Mono
Trap DCC18を回収し、溶媒抽出するためにMT Extract Cup(ジーエルサイエンス株式会社製)に入れ、そこにクロロホルム1mLを添加した後、超音波を5分間照射した。このようにして得られた各抽出液を、後述の測定条件下でガスクロマトグラフィー(GC)測定によりtrans-2-ノネナールを定量した。
【0062】
(GC測定条件)
・機種:ガスクロマトグラフGC-17A(株式会社島津製作所製)
・カラム:VF-5ms 30m×0.25mmφ×0.25μm(VARIAN製)
・キャリヤーガス:He, 圧力:100kPa,
全流量:16ml/min
・スプリット比 10:1
・温度条件:60℃→昇温(10℃/min)→150℃→昇温(20℃/min)→200℃,
11.5min
・注入口:250℃、検出器:250℃(FID)
・注入量:8μl
【0063】
上記GC測定条件下で、各実施例、比較例、及びコントロールについて測定した値に基づき、以下の計算式Iに従って、trans-2-ノネナール洗浄率を算出した。
trans-2-ノネナール洗浄率(%)={(コントロールでの値−各実施例又は比較例での値)/コントロールでの値}×100 (式I)
【0064】
この結果を、上記表1の最下欄に併せて示す。この結果から明らかなように、従来の石鹸成分である高級脂肪酸塩のみで洗浄した場合でも、ある程度はノネナールを除去することができたが、まだ十分ではない(比較例1)。また、この高級脂肪酸塩にポリクオタニウム−10又は抗菌成分をそれぞれ単独で配合した場合では、ノネナール除去増強効果は全く又は殆んど認められない(比較例2、比較例3)。一方、全く予想外のことに、ポリクオタニウム−10と抗菌成分とを組み合わせて用いて洗浄した場合に、ノネナール除去効果が相乗効果的に著しく高められることが認められた。また、ポリクオタニウム−10及び抗菌成分(塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール)と共に、他のカチオン性ポリマー(ポリクオタニウム−7)を更に組み合わせて配合した場合には、特に著しく高いノネナール洗浄効果が発揮されることも明らかとなった。以上の結果より、本発明の皮膚洗浄用組成物が、体臭(特に加齢臭)の抑制に効果的であることが分かる。
【0065】
<試験例2:体臭洗浄力評価2>
下記表2に示す合成界面活性剤を含むような各種試験製剤(実施例4及び比較例4〜5)を用いて、trans-2-ノネナール除去効果について評価を行った。
【表2】
【0066】
先ず、豚皮を生理食塩水で2時間浸漬後、2cm×2cm角に豚皮を切り分けた。この2cm×2cm豚皮表面に、エタノール溶媒に溶解させた5%(w/w)trans-2-ノネナールを30μL塗布し、乾燥させた。別途、各試験製剤(実施例4及び比較例4〜5)を、10%(w/w)となるように精製水で希釈した。2cm×2cm角(幅:0.5cm)に切り分けたスポンジに各試験製剤の10%水溶液1mLを付け、該スポンジを手で20回プッシュすることで泡立てた。trans-2-ノネナール塗布後の2cm×2cm豚皮に対して、各試験製剤を付けて泡立てたスポンジで擦ることにより30秒間洗浄した(4ストローク/秒)。また、コントロールとして、精製水のみで同様にスポンジ洗浄した2cm×2cm角の豚皮も用意した。スポンジで洗浄後、3Lの精製水にて各豚皮を30秒間リンスし、その後水気を拭き取った。500mLの三角フラスコに洗浄後の豚皮をそれぞれ入れた。Mono
Trap DCC18(シリカモノリス捕集剤, ジーエルサイエンス株式会社製)を、該三角フラスコのシリコンラバーに吊り、密栓後、室温で2時間静置させた。2時間後、Mono
Trap DCC18を回収し、溶媒抽出するためにMT Extract Cup(ジーエルサイエンス株式会社製)に入れ、そこにクロロホルム1mLを添加した後、超音波を5分間照射した。このようにして得られた各抽出液を、後述の測定条件下でガスクロマトグラフィー(GC)測定によりtrans-2-ノネナールを定量した。
【0067】
(GC測定条件)
・機種:7890A(Agilent
Technologies製)
・カラム:HP-INNOwax
30m×0.25mmφ×0.25μm(Agilent Technologies製)
・キャリヤーガス:He, 圧力:100kPa,
全流量:16ml/min
・スプリット比 3:1
・温度条件:60℃→昇温(10℃/min)→150℃
→昇温(20℃/min)→200℃, 11.5min
・注入口:250℃、検出器:250℃(FID)
・注入量:2μl
【0068】
上記GC測定条件下で、各実施例、比較例、及びコントロールについて測定した値に基づき、上記試験例1と同じ計算式Iに従って、trans-2-ノネナール洗浄率を算出した。
【0069】
この結果を、上記表2の最下欄に併せて示す。この結果から明らかなように、合成界面活性剤をベースに含むコントロールを用いた場合でも、ある程度はノネナールを除去できたが未だ十分ではない(比較例5)。また、これに抗菌成分としてイソプロピルメチルフェノールのみを添加した場合にもノネナール除去増強効果は殆んど認められない(比較例4)。一方、上記試験例1の結果と同様に、ポリクオタニウム−10と抗菌成分(イソプロピルメチルフェノール)とを組み合わせて用いて洗浄した場合には、ノネナール除去効果が著しく高められることが認められた。よって、本発明の皮膚洗浄用組成物が体臭抑制に特に効果的であることが理解される。
【0070】
以下、本発明の製剤処方例を示す。
【0071】
<製剤処方例1:ボディソープ>
ラウリン酸 5重量%
パルミチン酸 5重量%
ステアリン酸 5重量%
水酸化カリウム 適量
グリセリン 5重量%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01重量%
エデト酸2ナトリウム 0.05重量%
フェノキシエタノール 0.3重量%
塩化ベンザルコニウム 0.1重量%
ラウレス硫酸ナトリウム 5重量%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5重量%
ポリクオタニウム-10 0.5重量%
ポリクオタニウム-7 0.2重量%
チャエキス 0.1重量%
カキタンニン 0.05重量%
炭 0.05重量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.3重量%
水 残部
合計 100重量%
【0072】
<製剤処方例2:ボディソープ>
ミリスチン酸 7重量%
パルミチン酸 3重量%
オレイン酸 3重量%
水酸化カリウム 適量
プロピレングリコール 10重量%
トコフェロール 0.05重量%
エデト酸2ナトリウム 0.05重量%
フェノキシエタノール 0.3重量%
ココイルメチルタウリンナトリウム 5重量%
ココアンホ酢酸ナトリウム 5重量%
ベントナイト 0.3重量%
キサンタンガム 0.1重量%
ポリクオタニウム-10 0.3重量%
ポリクオタニウム-7 0.3重量%
イソプロピルメチルフェノール 0.2重量%
l-メントール 0.2重量%
水 残部
合計 100重量%
【0073】
<製剤処方例3:洗顔料>
ラウリン酸 5重量%
ミリスチン酸 10重量%
パルミチン酸 7重量%
ステアリン酸 7重量%
水酸化カリウム 適量
1、3-ブチレングリコール 5重量%
グリセリン 5重量%
トコフェロール 0.05重量%
エデト酸2ナトリウム 0.05重量%
フェノキシエタノール 0.3重量%
サリチル酸 0.2重量%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5重量%
ポリクオタニウム-10 0.3重量%
ポリクオタニウム-7 0.1重量%
l-メントール 0.3重量%
香料
0.2重量%
水 残部
合計 100重量%
【0074】
<製剤処方例4:シャンプー>
ラウレス硫酸ナトリウム 30重量%
ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン 5重量%
ラウロイルメチルアラニンナトリウム 5重量%
ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン
5重量%
クエン酸 適量
メチルパラベン 0.2重量%
エデト酸2ナトリウム 0.1重量%
塩化ベンザルコニウム 1重量%
ポリクオタニウム-10 0.6重量%
ポリクオタニウム-39 0.1重量%
ポリクオタニウム-7 0.1重量%
水 残部
合計 100重量%
【0075】
<製剤処方例5:シャンプー>
カリ石けん素地
15重量%
POEラウリルエーテル酢酸Na 5重量%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5重量%
ヤシ油脂肪酸TEA液 5重量%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液 5重量%
クエン酸
適量
メチルパラベン
0.2重量%
エデト酸2ナトリウム 0.1重量%
塩化ベンザルコニウム
1重量%
ポリクオタニウム-10 0.6重量%
ポリクオタニウム-39 0.1重量%
ポリクオタニウム-7
0.1重量%
水 残部
合計 100重量%