特許第6469954号(P6469954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469954
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】ハイブリッド型ステッピングモーター
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/04 20060101AFI20190204BHJP
   H02K 1/14 20060101ALI20190204BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   H02K1/04 Z
   H02K1/14 Z
   H02K3/34 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-45219(P2014-45219)
(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2015-171249(P2015-171249A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】武藤 淳
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−132108(JP,A)
【文献】 特開平10−322951(JP,A)
【文献】 特開2000−152546(JP,A)
【文献】 特開2009−089493(JP,A)
【文献】 特開2009−201338(JP,A)
【文献】 特開2000−201468(JP,A)
【文献】 特開2004−023937(JP,A)
【文献】 特開2008−278550(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/065544(WO,A1)
【文献】 特開2003−111329(JP,A)
【文献】 特開2002−199627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/04
H02K 1/14
H02K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成されたヨーク部(16)と、前記ヨーク部(16)内に回転子(12)を配置した際の当該回転子(12)の軸方向と直交する方向に、前記ヨーク部(16)から内側に突設される複数のティース部(17)とからなる固定子コア(11)を有し、前記固定子コア(11)は、複数の鋼板を積層して形成され、かつ両端面の鋼板のティース部(17)の幅を細く形成して構成され、
前記固定子コア(11)のティース部(17)における前記軸方向両端面には、段部(18)が形成され、前記ティース部(17)の両端面に跨って前記段部(18)に係合する両端部(31)を有する略U字形状の保護部材(30)を設け、
前記幅を細く形成した両端面の鋼板のティース部(17b)の先端部をモーターのフランジ部(14)とブラケット(15)のハウジング部(14a,15a)に嵌め合うことで内径嵌め合い部を構成して組み立てられることを特徴とするハイブリッド型ステッピングモーター
【請求項2】
前記保護部材(30)に突部(32)、前記固定子コア(11)の軸方向両端のティース部(17)に穴部(23)を設け、前記保護部材(30)の突部を前記ティース部(17)の穴部に挿入させて位置決め固定を行なうことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド型ステッピングモーター
【請求項3】
前記保護部材(30)を前記固定子コア(11)のヨーク部に沿うように形成された環状部で連結して固定子カバー(42)を形成し、該固定子カバー(42)の保護部材(30)を前記ティース部(17)にそれぞれ組み付けたことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド型ステッピングモーター
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステッピングモーター、特にハイブリッド型ステッピングモーターに適用可能なモーターの固定子構造を有するハイブリッド型ステッピングモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のモーターの固定子としては、複数の鋼板を積層して固定子コアが形成されており、固定子コアには電線を巻回するためのティースを有している。電線は、固定子コアとの間で絶縁が保たれる必要がある。このため、例えば、固定子コアの露出部分を絶縁材料によりコーティングし、かつ電線も絶縁材料により被覆して、絶縁性を確保する必要がある。そして、絶縁コーティングされた固定子コアのティースに電線を巻回する。しかしながら、電線を巻回する際に、固定子コアのティースのエッジ部分に、電線が食い込んで、絶縁性能を劣化し、耐圧低下を引き起こす問題があった。
他に、電線が直接的に接触しないように、電線と接する部分に樹脂製の絶縁部材を固定子コアに被せている。しかしながら、電線が巻回される部分を覆うように、固定子コアのティース部分およびスロット形状に合わせて絶縁部材を成形し、固定子コアのスロットに樹脂部材を挿入している。これでは絶縁部材を挿入する工程が必要となり、作業に時間が掛かる。また、鋼板の積層方向に沿うスロットの全長に亘って絶縁部材が固定子コアを保護するので、鋼板の積層枚数を変更すると、絶縁部材の形状も変更しなくてはならない。これでは、絶縁部材のコストが高くなってしまう。また、絶縁部材がスロット内に設けられることで電線を巻回する領域が狭く限定され、巻線効率が低下する。さらに、固定子コアと電線の間に絶縁部材が設けられることで、電流が流れて発熱した電線から固定子コアへ熱が伝わり難くなり、放熱性が低下するという問題があった。
【0003】
これに鑑みて、特許文献1では、図9および図10に示すように環状に形成されるヨーク部101と、前記ヨーク部101内に可動子を配置した際の当該可動子の軸方向と直交する方向に、前記ヨーク部101から内側に突設される複数のティース部102とを有する固定子コア100に、軸方向における前記ティース部102の両端面に取り付けられ、当該ティース部102の角を保護すると共に、前記ティース部102間のスロット103においては前記ティース部102の前記軸方向の全長の半分よりも短く形成された保護部材104を装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−132108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の先行技術では、固定子用保護部材104は、ティース部102の両側のスロット103に亘るUの字状に形成されている。この固定子用保護部材104の端部104aは、スロット103に挿入されている。挿入される端部104aは、スロット103の積層方向の全長、すなわち、ティース部102の積層方向の全長の半分よりも短く、ティース部102を介して積層方向に対向する固定子用保護部材104と組み合わさっても、ティース部102の全長を覆わない構成としているが、ティース部102の両端面に挿入される端部104aがあるので、電線105を巻回する領域が狭く限定され、巻線効率が低下すること、および、固定子と電線105の間に隙間ができてしまうことで、電流が流れて発熱する電線から固定子へ熱が伝わり難くなり、放熱性が低下するという問題は、解決されていない。
特許文献1には、変形例1として、端部がスロット103に全く挿入されない固定子用保護部材104の例が示されている。この例においては、上記問題は解決されるが、固定子用保護部材104を固定するために接着が必要であり、さらに接着固定する際の位置決めが難しく、生産上の問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点(欠点)に着目してなされたもので、絶縁コーティングされた固定子コアの積厚方向両端のティース部に段差を設け、この段差に固定子用保護部材の端部を組み付けることにより上記問題点を解決することができるモーターの固定子構造を有するハイブリッド型ステッピングモーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、環状に形成されたヨーク部(16)と、前記ヨーク部(16)内に回転子(12)を配置した際の当該回転子(12)の軸方向と直交する方向に、前記ヨーク部(16)から内側に突設される複数のティース部(17)とからなる固定子コア(11)を有し、前記固定子コア(11)は、複数の鋼板を積層して形成され、かつ両端面の鋼板のティース部(17)の幅を細く形成して構成され、前記固定子コア(11)のティース部(17)における前記軸方向両端面には、段部(18)が形成され、前記ティース部(17)の両端面に跨って前記段部(18)に係合する両端部(31)を有する略U字形状の保護部材(30)を設け、前記幅を細く形成した両端面の鋼板のティース部(17b)の先端部をモーターのフランジ部(14)とブラケット(15)のハウジング部(14a,15a)に嵌め合うことで内径嵌め合い部を構成して組み立てられることにある。
本発明は、前記保護部材(30)に突部(32)、前記固定子コア(11)の軸方向両端のティース部(17)に穴部(23)を設け、前記保護部材(30)の突部を前記ティース部(17)の穴部に挿入させて位置決め固定を行なうことにある。
また、本発明は、前記保護部材(30)を前記固定子コア(11)のヨーク部に沿うように形成された環状部で連結して固定子カバー(42)を形成し、該固定子カバー(42)の保護部材(30)を前記ティース部(17)にそれぞれ組み付けたことにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固定子コアのティース部における軸方向両端面には、段部が形成され、ティース部の両端面に跨って段部に係合する略U字形状の保護部材を設けたので、保護部材の端部がティース部の側面と面一になっていることから、電線を巻回するスロットの領域を制限しないので、巻線効率が向上する。また、固定子コアと電線の間に隙間が生じることがないので、電流が流れることで発熱した電線から固定子コアへ熱が効率よく伝わり、放熱性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のモーターの固定子構造を有する回転電動機をハイブリッド型ステッピングモーターに採用した実施の形態を示す半断面図である。
図2】本発明のモーターの固定子構造を有する回転電動機の実施の形態による固定子用保護部材を取り付けた固定子コアを示す平面図である。
図3】モーターの固定子コアに電線を巻回した際の図2のA−A線断面図である。
図4図2の固定子コアの積層態様を示す概念斜視図である。
図5図2の固定子コアのティース部の段部に組み付けられる固定子用保護部材の組み付け態様を示す概念斜視図である。
図6】固定子用保護部材の他の変形例を示す斜視図である。
図7】固定子用保護部材を環状部で連結した固定子カバーを示す斜視図である。
図8図7の固定子カバーを固定子コアのティース部の段部に組み付ける状態を示す概念斜視図である。
図9】従来のモーターの固定子コアのティース部に固定子用保護部材を取り付けた構造を示す斜視図である。
図10図9のティース部に固定子用保護部材を取り付けた構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図8を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の固定子構造を有する回転電動機を対象となるハイブリッド型ステッピングモーターに採用した実施の形態であり、ステッピングモーターのフランジ、ブラケットを固定子に内径嵌め合いで組み立てる構造を示したものである。
図2−5は、本発明の固定子構造を有するハイブリッド型ステッピングモーターの一実施の形態を示す図である。
【0011】
まず、図1のステッピングモーターの構成を説明すると、ステッピングモーター10は、固定子コア11と回転子12の間のギャップが数10μmであり、固定子コア11と回転子12を軸受13で回転自在に固定しているフランジ14とブラケット15との組み立てにおいて、同程度の精度が求められる。特に高精度の組み立てが必要であるステッピングモーター10(特にハイブリッド型ステッピングモーター)の場合、図1のように、固定子コア11の内径側11aとフランジ14およびブラケット15の回転子の軸受13を固定するハウジング部14a、15aとを嵌め合うことで精度良く組み立てを行っている(内径嵌め合い)。固定子コア11は、図4に示すように、積層された多数の鋼板11bと、鋼板11bの両側に配置される鋼板11cで構成されている。このため、内径嵌め合いを行なうステッピングモーターは、内径嵌め合い分の固定子コア11の鋼板11cを積層する必要がある。図4では一枚ずつの鋼板11cが多数の鋼板11bの両側に配置されている。
【0012】
図2図5において、絶縁コーティングされた固定子コア11は、環状に形成されたヨーク部16と、ヨーク部16内に回転子を配置した際の当該回転子の軸方向と直交する方向に、前記ヨーク部16から円周方向に一定間隔で内側に突設される複数のティース部17とで構成されている。
固定子コア11は、ヨーク部16と、ティース部17とを備え、全体に樹脂によるコーティングが施されている。
前記固定子コア11の鋼板11bは一定幅mのティース部17aを有し、前記固定子コア11の鋼板11cは鋼板11よりも幅の狭い幅nを持つティース部17bを有している。
本実施形態に係る固定子コア11は、図4に示すように、複数の同形状の鋼板11bを積層し、その積厚方向の両端には、ティース部17の幅のみを細くした内径側嵌め合い分の固定子コア11の鋼板11cを積層し、接着剤やカシメ加工等により固定することで形成されている。
【0013】
この固定子コア11のティース部17には、図4に示すように固定子コア11を構成する積層された鋼板11bと、鋼板11bの両側に配置される鋼板11cでティース部17が構成されており、図5に示すように鋼板11bのティース部17aと鋼板11cのティース部17bの幅の違いによる段部18が形成されている。
前記ティース部17は、図2に示すように電線50を巻回する部位であり、複数のティース部17が周方向に一定間隔で並んで設けられている。このティース部17は、実際に電線50が巻回されるティース巻回部19と、ティース巻回部19の半径方向の内方向側に形成されるティース先端部20と、を備えている。ティース先端部20は、ティース巻回部19から隣接する他のティース部17に向かって両方向へ伸びて形成されている。ティース先端部20の内方向側には、電動機を構成した際に回転子(不図示)と対面する円弧状のギャップ面21が形成されている。ティース巻回部19同士の間には、巻回した電線50を収納するスロット22が設けられている。
30はティース部17の段部18に組み付けられる固定子用保護部材で、この保護部材30は、横断面が略U字形状または略コ字形状に形成され、略直角に折り曲げられた両端部31をティース部17の段部18に係合して位置決めが図られている。50はティース部17に巻回される電線である。固定子用保護部材30の両端部31の厚みは、鋼板11bと鋼板11cの幅の違いによって生じる前記段部18の幅(m-n)とほぼ一致するように形成されている。
【0014】
本実施形態では、図5に示すように、固定子コア11のティース部17の積層方向の両端面の内径側嵌め合い分の鋼板11cにより形成される段部18に、固定子用保護部材30の端部31が嵌め込まれるようにして組み付けて取り付けられている。固定子用保護部材30は、たとえば、樹脂などの絶縁材料により形成されている。固定子用保護部材30は、図2に示すように、全てのティース部17に跨るようにして取り付けられ、ティース部17のティース巻回部19の角部(図3参照)を覆っている。
前記内径側嵌め合い分の固定子コア11の鋼板11cのティース部17には、固定用の穴23を設け、かつ固定子用保護部材30の裏面側に固定用の突部32を設け、前記固定子用保護部材30の端部31をティースの段部18に嵌め込むと共に、前記ティース部17の穴23に固定子用保護部材30の裏面の突部32を嵌め込むことにより、より強固に固定用保護部材30を固定することができる。
【0015】
また、図6に示すように、固定子用保護部材30の両側面部には背面側に向けて立設された一対の壁部33が設けられている。壁部33があることで、ティース部17に電線50が巻回される際に、電線50の一部がティース部17の内方向または外方向に脱落して電線50の巻回が崩れることを防止できる。
【0016】
以上のように、本実施形態では、ティース部17に固定子用保護部材30が取り付けられている。この固定子用保護部材30は、ティース部17の角部を保護し、代わりに、電線50の巻回方向に滑らかな曲面を露出している。したがって、固定子用保護部材30を介して電線50をティース部17に巻回する際にティース部17の角に電線50が食い込んで破損することがなく、絶縁性能や耐圧性能が低下することを抑制できる。
また、固定子用保護部材30を、ティース部17の両端面に取り付ける際に、端部31をティース部17の段部18に嵌め込むだけなので、作業性が向上し、作業時間を短縮できる。
さらに、固定子用保護部材30の端部31は、内径嵌め合い分の鋼板11cで構成されたティース部17の段部18に嵌め込まれるので、端部31により電線50を巻回する領域が狭く限定されることがなくなり、巻線効率が低下することがない。さらに、固定子コア11と電線50が密着して巻回できるで、電流が流れて発熱する電線50から固定子コア11へ熱も効率よく伝わり、放熱性が向上する。
(固定子の内径嵌め合い部分は、もともとモーターの特性に影響しない部分を利用している。その部分を固定子用保護部材30の端部31が嵌めこまれても、モーターの特性には影響しない。)
【0017】
次に図7図8には、本発明の他の実施の形態を示す。
図7のように、ティース部17に対応する複数の固定子用保護部材30の一端部を一定間隔で環状部41に連結して固定子カバー42の形状にしたものである。
環状部41は、ティース部17の基端部を囲むようにヨーク部16の内周に沿った形状に多角形に形成されており、ティース部17の周囲に巻きつけられた電線50が外方向に脱落して巻回が崩れることを防止する壁部を兼ねている。さらに固定子用保護部材30の内側には壁部43を軸方向に立設して電線50の巻回が崩れることを防止するストッパーとしている。
各固定子用保護部材30の両端部31が、固定子コア11の各ティース部17の段部18に嵌め込まれて、固定子カバー42が固定されている。そして、前記ティース部17の穴23に固定子用保護部材30の裏面の突部32を嵌め込むことにより、より強固に固定用保護部材30を固定することができる。
上記内容の効果に加え、各スロットに、積厚方向両端に、それぞれ固定子用保護部材30を固定する作業が、積厚方向両端に固定子カバー42を被せるだけになるので、作業性が向上する。また、同相間のスロット間の渡り線の処理も、固定子カバー42の上方、軸方向に突設した渡り線処理部44で行なうことができる。
【0018】
以上説明してきたように、前記実施の形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
固定子用保護部材30の端部31は、内径側嵌め合い分の鋼板11cで構成されたティース部17の段部18に嵌め込まれるので、固定子用保護部材30の端部31により電線50を巻回する領域が狭く限定されることがなくなり、巻線効率が低下することがない。さらに、固定子コア11と電線50が密着して巻回できるで、電流が流れて発熱する電線50から固定子コア11へ熱も効率よく伝わり、放熱性が向上する。
これは固定子の内径側嵌め合い部分は、もともとモーターの特性に影響しない部分を利用している。その部分に固定子用保護部材30の端部31が嵌めこまれても、モーターの特性には影響しない。
【0019】
また、図7および図8の実施の形態では、各スロットに、積厚方向両端に、それぞれ固定子用保護部材30を固定する作業が、積厚方向両端に固定子カバー42を被せるだけで固定子用保護部材30をティース部17に組み付けることができるので、作業性が向上する。さらに、同相間のスロット間の渡り線の処理も、固定子カバー42の渡り線処理部44で行なうことができる。またさらに、固定子コア11の積厚が変わっても固定子カバー42を変更する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
なお、本発明は、前記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、固定子用保護部材30は、ティース部17の段部18に嵌め込むことができればよいので、端部31の長さは任意に設定することができる。また、固定用の突部32は、ティース部17の穴23に係合すればよいので、円柱形状、あるいは角柱形状いずれの形状でもよい。また、固定用の突部32の数も必要に応じて設定すればよい。等、その他、本発明の技術的範囲であれば、任意に変更して実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0021】
10 ステッピングモーター
11 固定子コア
11b,11c 鋼板
12 回転子
13 軸受
14 フランジ
15 ブラケット
16 ヨーク部
17 ティース部
17a,17b ティース部
18 段部
19 ティース巻回部
20 ティース先端部
21 ギャップ面
22 スロット
23 穴
30 固定子用保護部材
31 両端部
42 固定子カバー
50 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10