【文献】
Ming-Jun Jin et al,Improve photo-electron conversion efficiency of ZnO/CdS coaxial nanorods by p-type CdTe coating,NANOTECHNOLOGY,英国,BRISTOL,2012年11月 2日,vol. 23, no. 48,
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の末端キャップ上に配置され、前記第1の末端キャップと接触する第2の末端キャップをさらに備え、前記第2の末端キャップは前記第1の末端キャップと異なる組成を有する、請求項2記載の半導体性ナノ粒子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願明細書において、複数のヘテロ結合を含み、デバイスに使用された場合、発光を高める荷電キャリア注入プロセスを促進する、不動態化されたナノ結晶半導体ナノ粒子(以下、ナノ粒子)が開示される。前記ナノ結晶半導体ナノ粒子は、一部の位置でのみ不動態化され、一方、他の位置では不動態化されない。これらマルチヘテロ接合不動態化ナノ粒子は、容易に製造できる、高性能な光電デバイス、例えば、発光ダイオード(LED)における能動素子として役立ち得る。前記ナノ粒子は、一次元のナノ粒子を含み、前記一次元のナノ粒子は、前記一次元のナノ粒子と接触している1つの末端キャップまたは複数の末端キャップを、各末端に配置している。前記末端キャップも、互いに接触している。前記末端キャップは、前記一次元のナノ粒子を不動態化するのに役立つ。前記ナノ粒子は、少なくとも1つの軸について、対称的であることができ、または、非対称であることができる。前記ナノ粒子は、組成、幾何学的構造および電子的構造または組成および構造(すなわち、幾何学的構造または電子的構造)の両方において、非対称であることができる。
【0010】
一実施形態では、前記ナノ粒子は、その長手方向軸に沿った各反対の末端に末端キャップを含む、一次元のナノ粒子を含む。各末端キャップは、異なる組成を有するため、複数のヘテロ接合を含むナノ粒子を提供する。別の実施形態では、前記ナノ粒子は、その長手方向軸に沿った各反対の末端に末端キャップを含み、さらに、前記一次元のナノ粒子のラジアル表面上または前記末端キャップ上に配置されたノードを含む一次元のナノ粒子を含む。前記ラジアル表面は、ロッドの外側面とも言う。前記末端キャップの1つが、他の末端キャップのいずれかまたは少なくとも前記ノードの1つと異なる組成を有する限り、前記末端キャップは、互いに類似または異なる組成を有することができ、および/または、前記ノードは、互いに類似または異なる組成を有することができる。
【0011】
一実施形態では、複数の末端キャップは、第1の末端キャップと、前記第1の末端キャップを部分的または完全に囲む第2の末端キャップとを含む。前記末端キャップは、三次元のナノ粒子であり、それらの内の少なくとも1つが、前記一次元のナノ粒子と直接接触している。各末端キャップは、前記一次元のナノ粒子と接触していてもよいし、または、接触していなくてもよい。前記第1の末端キャップおよび前記第2の末端キャップは、互いに異なる組成を有し得る。前記ノードも、前記末端キャップより小さいまたは大きいサイズであり得る、三次元のナノ粒子である。
【0012】
「ヘテロ接合」という用語は、別の半導体材料の結晶格子内に成長した、1つの半導体材料を有する構造を意味する。「一次元のナノ粒子」という用語には、前記ナノ粒子の大きさが、第1の出力に対して、前記ナノ粒子の特徴的な次元(例えば、長さ)によって変化する物体を含む意味がある。これは、以下の式(1)に示される。
MαL
d (1)
式(1)中、Mは、前記粒子の大きさであり、および、Lは、前記粒子の長さであり、および、dは、前記粒子の次元数を決定する指数である。例えば、d=1の場合、前記粒子の大きさは、前記粒子の長さに直接比例し、前記粒子は、一次元のナノ粒子と呼ばれる。d=2の場合、前記粒子は、2次元の物体、例えば、プレートである。一方、d=3は、三次元の物体、例えば、円筒または球を規定する。前記一次元のナノ粒子(d=1の粒子)としては、ナノロッド、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノウィスカー、ナノリボン等があげられる。一実施形態では、前記一次元のナノ粒子は、湾曲していてもよいし、または、波状でもよい(曲がりくねるように)、すなわち、1と1.5との間であるdの値を有してもよい。
【0013】
前記一次元のナノ粒子は、特徴的な厚み寸法(例えば、円形の断面積に関する直径、または、正方形もしくは矩形の断面積に関する対角線)が、直径1nmから1000ナノメートル(nm)、好ましくは2nmから50nm、およびより好ましくは、5nmから20nm(例えば、約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20nm)である断面積を有する。ナノロッドは、特徴的な寸法が前述の範囲内にある円形の断面積を有する剛性ロッドである。ナノワイヤまたはナノウィスカーは、曲線であり、種々の曲がりくねったまたはうねうねした形状を有する。ナノリボンは、4または5本の線状面で結合された断面積を有する。このような断面積としては、例えば、正方形、矩形、平行六面体、菱面体等があげられる。ナノチューブは、前記ナノロッドの全体の長さを横切る、実質的に同軸の孔を有することにより、チューブ様である。これらの一次元のナノ粒子のアスペクト比は、2以上、好ましくは5以上、およびより好ましくは10以上である。
【0014】
前記一次元のナノ粒子は、II−VI(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等)およびIII−V(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlAs、AlP、AlSb等)およびIV(Ge、Si、Pb等)のグループの材料のもの、ならびにそれらのアロイまたはそれらの混合物を有する半導体を含む。
【0015】
前記一次元のナノ粒子、前記第1の末端キャップおよび前記第2の末端キャップは、それぞれ半導体を含む。前記ナノロッドと前記第1の末端キャップとの間の界面は、第1のヘテロ接合を提供する。一方、前記第1の末端キャップと前記第2の末端キャップとの間の界面は、第2のヘテロ接合を提供する。このように、前記ナノ粒子は、複数のヘテロ接合を含み得る。
【0016】
これから、
図1Aを参照して、ナノ粒子100は、第1の末端104および第2の末端106を有する一次元のナノ粒子102を含む。第1の末端キャップ108は、前記一次元のナノ粒子における第1の末端104および第2の末端106に配置されており、一次元のナノ粒子102と直接接触している。第1の末端キャップ108と前記一次元のナノ粒子における第1の末端104との間の界面は、第1のヘテロ接合103を形成している。一実施形態では、第1の末端キャップ108は、一次元のナノ粒子102の末端と接触しており、一次元のナノ粒子102における長手方向の部分とは接触していない。第1の末端キャップ108は、一次元のナノ粒子102の全体を囲んでいないのが好ましい。
【0017】
第2の末端キャップ110は、第1の末端キャップ108と接触しており、一次元のナノ粒子102における一方または両方の端部において、第1の末端キャップ108を囲んでいる。第2の末端キャップ110は、第1の末端キャップ108を、部分的または完全に囲んでもよい。第2の末端キャップ110は、一次元のナノ粒子102の全体を囲んでいないのが好ましい。
【0018】
第2の末端キャップ110と第1の末端キャップ108との間の界面は、第2のヘテロ接合109を形成している。したがって、
図1におけるナノ粒子100は、二重ヘテロ接合ナノ粒子である。より多くの末端キャップが第2の末端キャップ110上に配置されている場合には、ナノ粒子100は、3つ以上のヘテロ接合を有するであろう。典型的な実施形態では、ナノ粒子100は、3つ以上のヘテロ接合、好ましくは4つ以上のヘテロ接合、または好ましくは、5つ以上のヘテロ接合を有してもよい。
【0019】
一実施形態では、前記第1の末端キャップと接触している前記一次元のナノ粒子におけるヘテロ接合は、I型または準II型のバンドアライメントを有する。別の実施形態では、前記第2の末端キャップが第1の末端キャップと接触している箇所は、I型または準II型のバンドアライメントを有する。
【0020】
前記一次元のナノ粒子は、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノウィスカー等を含み得る。典型的な実施形態では、前記ナノ粒子は、ナノロッドである。「一次元」のナノ粒子は、その直径より大きい長さを有し、上記式(1)に示すように、その大きさが第1の出力に対するその長さに対して変化するために、「一次元」のナノ粒子と呼ばれる。
【0021】
前記一次元のナノ粒子は、10から100ナノメートル、好ましくは12から50ナノメートル、およびより好ましくは、14から30ナノメートルの長さを有し得る。前記一次元のナノ粒子は、2から10ナノメートル、好ましくは3から7ナノメートルの直径を有し得る。前記一次元のナノ粒子は、約3以上、好ましくは約7以上、およびより好ましくは、約12以上のアスペクト比を有する。前記一次元のナノ粒子は、ナノ結晶であり、二成分、三成分または四成分の半導体を含む。前記半導体は、必要に応じて、5つ以上の元素を含み得る。
【0022】
前記一次元のナノ粒子に使用される半導体は、II−VIグループの化合物、II−Vグループの化合物、III−VIグループの化合物、III−Vグループの化合物、IV−VIグループの化合物、I−III−VIグループの化合物、II−IV−VIグループの化合物またはII−IV−Vグループの化合物である。より好ましくは、前記一次元のナノ粒子は、Si、Ge、Pb、SiGe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、PbTe等または、少なくとも1つの前述の半導体を含む組み合わせからなる群から選択され得る。典型的な実施形態では、前記一次元のナノ粒子は、CdSを含む。
【0023】
図1(A)を再度参照する。一次元のナノ粒子102は、互いに向かい合っている第1の末端104および第2の末端106を含む。第1の末端キャップ108は、前記一次元のナノ粒子における第1の末端104および第2の末端106と接触している。一実施形態では、第1の末端キャップ108は、一次元のナノ粒子102における第1の末端104および第2の末端106を完全に覆っていてもよい。別の実施形態では、第1の末端キャップ108は、第1の末端104および第2の末端106と、接線方向に接触していてもよい。第1の末端キャップ108は、一般的には、形状が球状または楕円体状であり、円形または楕円形状の断面積を有する。一実施形態では、前記第1および第2の末端キャップは、円筒形状あることができるが、前記一次元のナノ粒子より小さいアスペクト比を有する。
【0024】
第1の末端キャップ108の直径は、前記一次元のナノ粒子の直径の、約0.5から約1.5倍、好ましくは約0.7から約1.2倍である。一実施形態では、前記第1の末端キャップの直径は、1から15ナノメートル、好ましくは2から12ナノメートルである。
【0025】
一実施形態では、上記のように、前記ナノ粒子は、組成的に非対称であるが、構造的に対称であり得る。言い換えれば、一次元のナノ粒子102の対向する末端と接触している、第1の末端キャップ108および/または第2の末端キャップ110は、前記対向する末端で異なる組成を有し得るが、寸法的および幾何学的には同一である。このことは、以下の
図1(B)において、さらに詳述される。
【0026】
(ここでは示さない)別の実施形態では、第1の末端キャップ108および/または第2の末端キャップ110は、組成的に同一であるが、異なるサイズまたは異なる形状であり得る。このようなナノ粒子は、組成的に対称であるが、寸法的および幾何学的に非対称であると言われる。
【0027】
第2の末端キャップ110は、第1の末端キャップ108との接触に加えて、一次元のナノ粒子102とも接触している。一実施形態では、前記第2の末端キャップは、一次元のナノ粒子102と接触することなく、前記第1の末端キャップと接触している。一実施形態では、第2の末端キャップ110は、第1の末端キャップ108を、部分的に覆っているか、または、完全に覆っているかのいずれかである。第2の末端キャップ110は、一般的には、形状が球状または楕円体状であり、円形または楕円形状の断面積を有する。第1の末端キャップ108および第2の末端キャップ110は、円形または楕円形状の断面積を有するが、これらの末端キャップは、正方形、矩形、三角形または多角形の断面積を有することも可能である。正方形、矩形、三角形または多角形の断面積は、テンプレートを使用して合成されることができ、前記一次元のナノ粒子は、合成中に前記テンプレートに配置される。第1の末端キャップ108および第2の末端キャップ110は、前記一次元のナノ粒子における一方の末端(104もしくは106のいずれか)のみと接触することができ、または、前記ナノ粒子の末端104および106の両方と接触することができる。一実施形態では、第2の末端キャップ110は、任意である。すなわち、前記一次元のナノ粒子は、前記一次元のナノ粒子の各末端に配置された第1の末端キャップ108のみを有する。ただし、各第1の末端キャップ108は、互いに組成が異なる。このことは、
図1(B)において、さらに詳細に説明される。
【0028】
一実施形態では、第1の末端キャップ108および第2の末端キャップ110は、一次元のナノ粒子102上に、同心円状に取り付けられる。すなわち、第1の末端キャップ108および第2の末端キャップ110は、符号120で反映される軸AA’に、中心的に配置される。
図1(A)は、一次元のナノ粒子102、第1の末端キャップ108および第2の末端キャップ110は、軸120について中心的に配置されているが、第1の末端キャップ108および/または第2の末端キャップ110は、一次元のナノ粒子102について、偏心的に取り付けられることが可能である。
【0029】
第2の末端キャップ110の直径は、前記一次元のナノ粒子の直径の、約1.0から約3.0倍、好ましくは約1.5から約2.7倍である。一実施形態では、第2の末端キャップ110の直径は、2から30ナノメートル、好ましくは3から15ナノメートルである。
【0030】
前記第1の末端キャップおよび前記第2の末端キャップは、互いに化学的に異なり、Si、Ge、Pb、SiGe、ZnO、TiO
2、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、TlSb、PbS、PbSe、PbTe等または、少なくとも1つの前述の半導体を含む組み合わせからなる群から選択され得る。典型的な実施形態では、前記第1の末端キャップは、CdTeまたはCdSeであり、一方、前記第2の末端キャップは、ZnSeである。
【0031】
不動態化分子、例えば、アルキルホスフィン、アルキルホスフィン酸化物、アミン、カルボン酸等が、前記ナノロッドにおけるヘテロ構造体の表面に配置されてもよい。これにより、溶解性および合体性を変化させることが可能となる。フォトルミネッセンスに関する量子効果は、表面不動態化分子および/または無機の末端キャップにより変化し得る。
【0032】
図1(B)は、前記一次元のナノ粒子の対向する末端に配置されている、2つの第1の末端キャップ108Aおよび108Bのみを有する一次元のナノ粒子を図解する。2つの第1の末端キャップ108Aおよび108Bは、互いに異なる組成を有することにより、2つのヘテロ接合を有する前記一次元のナノ粒子を提供する。一実施形態では、前記一次元のナノ粒子は、そのラジアル表面に配置されているノード−第1のノード122Aおよび第2のノード122Bを有し得る。ノード122Aおよび122Bは、半導体(例えば前記第1の末端キャップおよび前記第2の末端キャップに関して上記列記したもの)を含み、前記一次元のナノ粒子におけるラジアル表面に沿って、ランダムに分布されている。前記一次元のナノ粒子の合成中に、前記ノードは、前記一次元のナノ粒子の前記表面上にランダムに、核形成し、成長する。前記ノードと前記一次元のナノ粒子におけるラジアル表面との接触点は、ヘテロ接合である。
【0033】
マルチヘテロ接合のナノ粒子を製造するために、前記ノードおよび前記末端キャップが、互いに異なる組成を有することが望ましい。ノード122Aおよび122Bは、所望のヘテロ接合の数に応じて、同一の組成、または、互いに異なる組成を有し得る。前記ナノ粒子が、同一の組成を有する2つの第1の末端キャップ108のみを有する場合には、マルチヘテロ接合のナノ粒子を製造するために、ノード122Aおよび/または122Bは、第1の末端キャップ108の組成とは異なる組成を有する。各末端キャップ108Aおよび108Bが、互いに異なる組成を有する場合には、前記ノードは、互いに類似し、前記末端キャップの一方と同一であり得る組成を有し得る。一実施形態では、前記ノードは、前記末端キャップのいずれかの組成とは異なる組成を有し得る。第1のノード122Aと前記一次元のナノ粒子におけるラジアル表面との接触点で生じるヘテロ接合は、第2のノード122Bと前記同じラジアル表面との接触点で生じるヘテロ接合とは異なる。前記一次元のナノ粒子におけるラジアル表面と接触する、異なる半導体組成を有する種々のノードを有することにより、前記ナノ粒子は、複数のヘテロ接合を有し得る。
【0034】
前記ナノ粒子における二重ヘテロ接合の存在は、前記ナノ粒子の発光中心を制御し、変化させるのに使用され得る点で有利である。これは、発光特性に影響を与えるのに使用されることができ、電荷移動の変化を促進するのにも使用されることができる。前記ヘテロ接合は、(キャリアの種類−電子または正孔に応じて)選択的な障壁を提供する。一方同時に、前記コアの発光中心の良好な不動態化を可能にする。すなわち、前記ヘテロ接合は、一方の種類のキャリアに関する良好な障壁として挙動し、一方、(I型のコア/シェルと同等の)表面不動態化の利益を提供するのに加えて、別の種類のキャリアの注入を促進する。
【0035】
前記ヘテロ接合を形成する材料の組成は、前記バンドギャップおよびバンドオフセットに影響を与えるのに使用され得る。エネルギーギャップまたはバンドギャップとも呼ばれる、前記バンドギャップは、非電子状態が存在し得る固体におけるエネルギー範囲である。固体の電子バンド構造のグラフにおいて、前記バンドギャップは、一般的には、絶縁体および半導体における、価電子帯の上面と伝導帯の底面との間の(エレクトロンボルトでの)エネルギー差を意味する。
【0036】
これは、核についてのその軌道から外殻電子を遊離し、可動電荷キャリアになるのに使用されるエネルギーに相当する。前記可動電荷キャリアは、前記固体材料内を自由に移動できる。したがって、前記バンドギャップは、固体の電気伝導性を決定する重要な要因の1つである。大きなバンドギャップを有する物質は、一般的には、絶縁体であり、より小さいバンドギャップを有するものが、半導体である。一方、導体は、価電子帯と伝導帯とが重なっているため、非常に小さいバンドギャップを有するか、または、バンドギャップを有さないかのいずれかである。バンドオフセットは、荷電キャリアの操作に使用されることもできる。前記バンドギャップおよびバンドオフセットは、対応する材料の特徴的な吸収/発光ピーク位置等の光学特性を決定するのに使用され得る。
【0037】
前記一次元のナノ粒子、前記第1の末端キャップおよび/または前記第2の末端キャップの組成およびサイズ(直径または長さ)を変化させることにより、前記エネルギーバンドギャップおよびバンドオフセットは、変化させ得る。前記エネルギーバンドギャップを変化させることは、前記ナノ粒子において発生する光の波長、効率および強度を変化させるのに使用され得る。一実施形態では、前記第1の末端キャップと前記一次元のナノ粒子との間の伝導帯オフセットは、前記第1の末端キャップと前記第2の末端キャップとの間の伝導帯オフセットより非常に高く、前記第1の末端キャップと前記一次元のナノ粒子との間の価電子帯オフセットは、前記第1の末端キャップと前記第2の末端キャップとの間のものより非常に低い。別の実施形態では、前記第1の末端キャップと一次元のナノ粒子との間の伝導帯オフセットは、前記第1の末端キャップと前記第2の末端キャップとの間のものより非常に低く、前記第1の末端キャップと一次元のナノ粒子との間の価電子帯オフセットは、前記第1の末端キャップと前記第2の末端キャップとの間のものより非常に低い。さらに別の実施形態では、前記第1の末端キャップにより形成される2つのヘテロ接合の内の一方は、他方より、小さい伝導帯オフセットおよび大きい価電子帯オフセットを有する。前記他方は、より大きい伝導帯オフセットおよびより小さい価電子帯オフセットを有する。
【0038】
図2および3は、前記ナノ粒子の組成を変化させることにより、前記バンドギャップがどのように変化され(空間的に変調され)得るかを示す。
図2において、前記ナノ粒子は、セレン化カドミウム(CdSe)である前記第1の末端キャップ、および、セレン化亜鉛(ZnSe)である前記第2の末端キャップを有する、硫化カドミウム(CdS)の一次元のナノ粒子を含む。
図2では、前記硫化カドミウムの一次元のナノ粒子と前記セレン化カドミウムの第1の末端キャップとの間の界面が、前記第1のヘテロ接合である。一方、前記セレン化亜鉛の第2の末端キャップと前記セレン化カドミウムの第1の末端キャップとの間の界面が、前記第2のヘテロ接合である。
【0039】
図2から、前記硫化カドミウムの前記伝導帯と前記価電子帯との間のバンドギャップが、2.4エレクトロンボルトより大きく、一方、前記セレン化カドミウムの前記伝導帯と前記価電子帯との間のバンドギャップが、1.7エレクトロンボルトより大きく、前記セレン化亜鉛の前記伝導帯と前記価電子帯との間のバンドギャップが、2.7エレクトロンボルトより大きいことが分かる。
【0040】
前記硫化カドミウムの一次元のナノ粒子を、前記セレン化カドミウムの末端キャップで末端をキャップすることにより、荷電キャリアは、セレン化カドミウムの領域に制限されるであろう。有効なバンドギャップ(すなわち、励起子エネルギーレベル)は、前記ナノ粒子を不動態化しながら、2.4エレクトロンボルト(eV)から、1.7eVに低下し得る。このエネルギーバンドギャップの差(すなわち、励起子エネルギーレベル)は、前記ナノ粒子の発光特性に影響を与え、前記ナノ粒子を使用する任意のデバイスの発光特性にも影響を与え得る。ここに記載したバンドギャップエネルギーは、個々の材料のバルク特性に基づくほんの一例である。ナノ粒子は、量子閉じ込め効果のために、前記バルク材料より、種々のバンドギャップを有し得る。
【0041】
前記第1および前記第2の末端キャップの組成を変化させることにより、前記伝導帯と前記価電子帯との間のバンドギャップが、変化し得る。例えば、
図3において、前記伝導帯と前記価電子帯との間のバンドギャップが、テルル化カドミウムを含む第1の末端キャップを使用することにより減少し得ることが分かる。
図3において、前記一次元のナノ粒子は、硫化カドミウムを含み、一方、前記第1の末端キャップは、テルル化カドミウムを含み、前記第2の末端キャップは、セレン化亜鉛を含むことが分かる。前記硫化カドミウムの一次元のナノ粒子を、前記テルル化カドミウムの第1の末端キャップで末端をキャップすることにより、荷電キャリアは、印加されたバイアス下において、テルル化カドミウムの領域に制限されるであろう。そのバンド幅は、1.75eVに低下する。一方、前記キャップさせた構成要素は、不動態化される。
【0042】
これから、前記ナノ粒子を製造するための反応が、以下に詳述される。下記略称は、反応物質を詳述するのに使用される。「TOPO、TOP、TBP、HDA、HPA、ODPA、OA、ODE、TDPAおよびTOA」は、トリオクチルホスフィン酸化物、トリオクチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、ヘキサデシルアミン、ヘキシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、オクチルアミン、オクタデセン、テトラデシルホスホン酸およびトリオクチルアミンをそれぞれ意味する。
【0043】
前記ナノ粒子は、各種の種々の方法により製造されてもよい。一実施形態では、前記ナノ粒子を製造する1つの方法において、半導体(例えば、カドミウム酸化物)の第1の前駆体を、第1の溶媒(例えば、トリオクチルホスフィン酸化物)において、第1の界面活性剤(例えば、N−オクチルデシルホスホン酸)と反応させて、第1の錯体(例えば、Cd−ODPA−カドミウム−N−オクチルデシルホスホン酸)を形成する。前記第1の界面活性剤は、前記粒子が互いに接触するのを防止する。前記第1の錯体は、150から400℃、具体的には200から350℃の温度で、好ましくは、不活性な雰囲気において形成される。前記不活性な雰囲気は、窒素、アルゴン、二酸化炭素等を含む。典型的な実施形態では、前記不活性な雰囲気は、窒素またはアルゴンを含み、実質的には、酸素および水を含まない。前記反応は、バッチ反応器または連続的な反応器において行われ得る。典型的な実施形態では、前記第1の反応は、バッチ反応器において行われる。
【0044】
前記第1の錯体を含む混合物に、第2の前駆体(例えば、TOPに溶解された硫黄(S))を添加して、前記一次元のナノ粒子を製造する。前記一次元のナノ粒子の長さおよび直径は、前記第1および第2の前駆体の量ならびに前記第1の界面活性剤の量を調整することにより変化し得る。前記反応の温度および時間も、前記一次元のナノ粒子の寸法を変化させるのに変化し得る。前記一次元のナノ粒子の成長中における反応温度は、一般的には、前記一次元のナノ粒子の成長中に低下する。一実施形態では、前記反応温度は、前記一次元のナノ粒子の成長中に、400℃から、350℃以下に、好ましくは330℃以下に低下する。前記一次元のナノ粒子の成長を、300℃以下に、好ましくは275℃以下に、および好ましくは、250℃以下に温度を低下させることにより終了させる。次いで、前記第1の末端キャップおよび前記第2の末端キャップを、前記一次元のナノ粒子に反応させる不動態化処理のために、前記一次元のナノ粒子を精製し、保存する。前記精製は、任意であり、沈降遠心、デカンタージュ、ろ過等により行われ得る。
【0045】
次いで、前記第1の末端キャップを、(前記第1の末端キャップの前駆体−例えば、セレン前駆体である)第3の前駆体を、溶媒および前記一次元のナノ粒子を含む反応混合物に添加することにより合成する。前記第1の末端キャップの形成により、前記一次元のナノ粒子の長手方向の成長が終了する。前記第3の前駆体を、反応器における、更なる溶媒(例えば、トリオクチルホスフィン)と共に、前記一次元のナノ粒子の混合物に添加する。前記反応温度を、100℃以上、具体的には225℃以上、およびより具体的には250℃以上に上昇させる。前記一次元のナノ粒子と前記第3の前駆体との間の反応により、前記一次元のナノ粒子上に前記第1の末端キャップが生じる。次いで、前記第1の末端キャップを伴う前記一次元のナノ粒子を、前記反応混合物の残留物から分離し、前述の方法により精製し得る。典型的な実施形態では、前記第1の末端キャップを含む前記一次元のナノ粒子を、溶媒に溶解し、続けて遠心することにより精製する。
【0046】
次いで、前記第2の末端キャップを、前記第1の末端キャップ上に反応させる。これは、前記第1の末端キャップにより不動態化された前記一次元のナノ粒子上に、前記第2の末端キャップを成長させることにより達成される。前記第1の末端キャップは、前記一次元のナノ粒子の末端を不動態化する。(前記第2の末端キャップの前駆体−例えば、酢酸亜鉛である)第4の前駆体を、溶媒および配位子、または、複数の溶媒および配位子と共に、反応器に入れる。前記溶媒を、脱気した後に、150℃以上の温度に加熱し得る。加熱中に、場合により、中間体(例えば、オレイン酸亜鉛)が形成される場合がある。次いで、前記反応溶液を、100℃以下、好ましくは50℃以下に冷却する。前記一次元のナノ粒子と、前記一次元のナノ粒子に反応した前記第1の末端キャップを伴って、第5の前駆体(例えば、セレン前駆体)と共に、反応容器に添加して、前記第2の末端キャップを形成し得る。前記第5の前駆体を、前記反応容器内にゆっくり注入する。前記反応容器の温度を、前記第5の前駆体の注入中に、200℃以上、好ましくは約250℃以上に上昇させる。前記第2の末端キャップの厚みは、前記反応容器に添加される前記第4および第5の前駆体の量により決定される。(現時点で、前記第1の末端キャップおよび前記第2の末端キャップで末端がキャップされた一次元のナノ粒子を含む)得られたナノ粒子を、必要に応じて分離し、精製する。分離および精製の方法は、上記に詳述している。
【0047】
前述の方法において、前記第1の前駆体および前記第4の前駆体は、バリウム、インジウム、亜鉛、カドミウム、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、タリウムまたは鉛を含む。前記第2の前駆体、前記第3の前駆体および前記第5の前駆体は、セレン、テルル、硫黄、ヒ素、ビスマス、リンまたはスズを含む。
【0048】
上記詳述した方法では、前記第1の前駆体を、前記第1の錯体の総重量に基づいて、10から30重量パーセントの量で、前記反応混合物に添加する。前記第1の界面活性剤を、前記第1の錯体の総重量に基づいて、70から90重量パーセントの量で、前記反応混合物に添加する。前記第2の前駆体を、前記一次元のナノ粒子の総重量に基づいて、20から50重量パーセントの量で、前記反応混合物に添加する。前記第2の前駆体に対する前記第1の前駆体のモル比は、4:1から1:1である。
【0049】
前記第3の前駆体を、前記不動態化されたナノ粒子の総重量に基づいて、20から50重量パーセントの量で、前記反応混合物に添加する。前記第4の前駆体を、前記不動態化されたナノ粒子の総重量に基づいて、5から20重量パーセントの量で、前記反応混合物に添加する。前記第5の前駆体を、前記不動態化されたナノ粒子の総重量に基づいて、5から20重量パーセントの量で、前記反応混合物に添加する。前記第5の前駆体に対する前記第4の前駆体のモル比は、4:1から1:1である。前記ヘテロ接合は、局在する。すなわち、前記ヘテロ接合は、前記一次元のナノ粒子の末端、前記第1の末端キャップと前記第2の末端キャップとの間、または、前記一次元のナノ粒子上のノードに存在する。
【0050】
複数のヘテロ接合を有する前記ナノ粒子は、各種の種々の用途に使用され得る。これらのナノ粒子は、レーザ、トランジスタ、バイポーラトランジスタ、太陽電池等に使用され得る。前記ナノ粒子は、溶液において容易に処理され得る。
【0051】
一実施形態では、前記ナノ粒子は、II型のねじれ型バンドオフセットが電子および正孔の効果的な注入を可能にする、2種類のヘテロ接合を含む。一方、I型オフセットは、非常に効果的な発光のための再結合中心を規定する。さらに、これらのナノ粒子の異方性のロッド形状は、ナノ結晶の性能を改善する。前記異方性の形状は、デバイス内の適切な電荷層の半導体成分のアライメントを可能にする。
【0052】
前記ナノ粒子は、ELデバイスに使用され得る。典型的なELデバイスは、
図4に示される。
図4は、二重ヘテロ接合を有するナノ粒子を含むELデバイス300を図解する。デバイス300は、基板302、第1の電極304、正孔注入層306、正孔輸送層308、(本願明細書に開示の不動態化されたナノ粒子を含む)ナノ粒子層310、電子輸送層312および第2の電極314を含む。基板302は、一般的には、光学的に透明な電気絶縁性のガラスまたは光学的に透明な電気絶縁性のポリマーを含む。第1の電極304は、光学的に透明な導電性ポリマーまたは金属酸化物を含んでもよい。第1の電極304は、例えば、インジウムスズ酸化物、スズ酸化物、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンの薄膜等である。正孔注入層306に使用するための適切な正孔注入材料は、PEDOT:PPS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)であり、前記PEDOT:PPSは、2つの異性体のポリマー混合物である。
【0053】
正孔輸送層308は、ポリ(9,9−ジオクチル−フルオレン−コ−N−(4−ブチル−フェニル)−ジフェニルアミン)(TFB)、ポリ(N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)(ポリ−TPD)、ポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸コポリマー(PFI)またはニッケル酸化物(NiO)を含む。ナノ粒子層310は、上記詳述したナノ粒子を含む。一方、電子輸送層312は、亜鉛酸化物またはチタン酸化物のナノ粒子を含む。(カソードとして役立つ)第2の電極314は、金属膜を含む。その例は、アルミニウム膜である。他の材料が、第1の電極304、正孔注入層306、正孔輸送層308、電子輸送層312および第2の電極314に使用されてもよい。
【0054】
本願明細書に開示の不動態化されたナノ粒子は、前記ナノ粒子が、同じ成分を有するが、不動態化されたナノロッドの形式でない比較の組成と好ましく比較するフォトルミネッセンス強度を生じる点において、両組成が同一の強度の光で照射される場合、有益である。前記不動態化されたナノ粒子は、550から700ナノメートルの波長領域で、約630ナノメートルのピーク強度を有する光を発生させる。前記末端キャップのサイズを変化させることにより、前記ナノロッドにより発せられる光の色も、変化し得る。
【0055】
一実施形態では、前記不動態化されたナノ粒子は、表面上に配置された場合、互いに平行に自己組織化し得る。前記一次元のナノ粒子の高いアスペクト比が、自己組織化のこの形成を可能にする。前記自己組織化は、向上したフォトルミネッセンス効率を可能にし、光により照射された際、各種の色を発生させるのにも使用され得る。
【0056】
本願明細書に記載の組成および方法は、下記の非限定的な実施例により例示される。
【実施例】
【0057】
実施例1
本実施例は、前記不動態化されたナノ粒子の製造を説明する。反応を、N
2雰囲気下において、標準的なシュレンクラインにおいて行った。技術的な等級のトリオクチルホスフィン酸化物(TOPO)(90%)、技術的な等級のトリオクチルホスフィン(TOP)(90%)、技術的な等級のオクチルアミン(OA)(90%)、技術的な等級のオクタデセン(ODE)(90%)、CdO(99.5%)、酢酸Zn(99.99%)、S粉末(99.998%)、およびSe粉末(99.99%)を、Sigma Aldrichから取得した。N−オクタデシルホスホン酸(ODPA)を、PCI Synthesisから取得した。ACS等級のクロロホルムおよびメタノールを、Fischer Scientificから取得した。材料は、そのまま使用した。
【0058】
一次元のナノ粒子−CdSナノロッドの調製
まず、2.0グラム(g)(5.2ミリモル(mmol))のTOPO、0.67g(2.0mmol)のODPAおよび0.13g(2.0mmol)のCdOを、50mlの三頸丸底フラスコに準備した。前記混合物を、真空下において、150℃で30分間脱気し、次いで、攪拌下において、350℃に加熱した。Cd−ODPA錯体を350℃で形成したことで、前記フラスコにおける褐色の溶液は、約1時間後に光学的に無色透明になった。次いで、前記溶液を、150℃で10分間脱気して、錯体の副産物、例えば、O
2およびH
2Oを除去した。脱気後、前記溶液を、N
2雰囲気下において、350℃に加熱した。1.5ミリリットル(ml)のTOPに溶解した16ミリグラム(mg)(0.5mmol)のSを含む硫黄(S)前駆体を、シリンジで前記フラスコ内に、急速に注入した。その結果として、前記反応混合物が、前記CdSの成長が行われる330℃に冷却された。15分後、前記CdSナノロッドの成長を、CdSナノロッド上でのCdSeの成長が行われる250℃に冷却することにより終了させた。一定分量の前記CdSナノロッドを取り出し、メタノールおよびブタノールでの沈殿により、分析用に洗浄した。前記CdS/CdSeヘテロ構造体を、前記同じ反応フラスコにSe前駆体を添加することにより形成し、以下に記載のようにN
2雰囲気下で維持した。
【0059】
前記第1の末端キャップによるナノロッドの不動態化−CdS/CdSeナノロッドヘテロ構造体
CdSナノロッドの形成に続けて、1.0mlのTOPに溶解した20mg(0.25mmol)のSeを含むSe前駆体を、シリジンポンプにより、1時間あたりに4ml(ml/h)の速度で、250℃でゆっくり注入した(合計注入時間約15分)。次いで、前記反応フラスコを、エアジェットにより急速に冷却する前に、前記反応混合物を、250℃でさらに5分間経過させた。一定分量のCdS/CdSeナノロッドヘテロ構造体を取り出し、メタノールおよびブタノールでの沈殿により、分析用に洗浄した。最終的な溶液を、クロロホルムに溶解し、毎分2000回転(rpm)で遠心した。沈殿物を、クロロホルムに再度溶解し、溶液として保存した。前記溶液を10倍に希釈した場合、前記CdSバンド−エッジ吸収ピークは、0.75に相当する。
【0060】
前記第2の末端キャップの形成−CdS/CdSe/ZnSe二重ヘテロ接合ナノロッド
CdS/CdSe/ZnSe二重ヘテロ接合ナノロッドを、CdS/CdSeナノロッドヘテロ構造体上に、ZnSeを成長させることにより合成した。Zn前駆体については、6mlのODE、2mlのOAおよび0.18g(1.0mmol)の酢酸Znを、100℃で30分間脱気した。前記混合物を、N
2雰囲気下において、250℃に加熱した。この結果として、1時間後にオレイン酸Znが形成された。50℃に冷却した後、2mlの予め調製されたCdS/CdSe溶液を、オレイン酸Zn溶液内に注入した。前記混合物におけるクロロホルムを、真空下において30分間蒸発させた。ZnSeの成長を、1.0mlのTOPに溶解した20mg(0.25mmol)のSeを含むSe前駆体をゆっくり注入することにより、250℃で開始させた。CdS/CdSeナノロッドヘテロ構造体上のZnSeの厚みは、注入されたSeの量により調整した。前記ZnSeの成長を、所望量のSe前駆体を注入した後、加熱マントルを取り外すことで終了させた。洗浄手順は、前記CdSナノロッドに関して記載したのと同じとした。
【0061】
前記第2の末端キャップを形成するための代替的な方法−CdS/CdSe/ZnSe二重ヘテロ接合ナノロッド
配位性溶媒、例えば、TOAを、ZnSeを成長させるのに、代替的に使用し得る。5mlのTOA、1.2mlのOAおよび0.18g(1.0mmol)の酢酸Znを、100℃で30分間脱気した。前記混合物を、N
2雰囲気下において、250℃に加熱した。この結果として、1時間後にオレイン酸Znが形成された。50℃に冷却した後、2mlの予め調製されたCdS/CdSe溶液を、オレイン酸Zn溶液内に注入した。前記混合物におけるクロロホルムを、真空下において30分間蒸発させた。ZnSeの成長を、1.0mlのTOPに溶解した20mg(0.25mmol)のSeを含むSe前駆体をゆっくり注入することにより、250℃で開始させた。CdS/CdSeナノロッドヘテロ構造体上のZnSeの厚みを、注入したSeの量で調整した。前記ZnSeの成長を、所望量のSe前駆体を注入した後、加熱マントルを取り外すことで終了させた。洗浄手順は、前記CdSナノロッドに関して記載したのと同じとした。
【0062】
実施例2
本実施例を、エレクトロルミネッセントデバイスにおける前記ナノ粒子の使用を説明するために行った。
図4に示したデバイスを使用した。デバイス300は、ガラス基板302、インジウムスズ酸化物を含む第1の電極304、PEDOT:PSSを含む正孔注入層306、TFBを含む正孔輸送層308、以下に詳述する内容のナノ粒子層310、亜鉛酸化物のナノ粒子を含む電子輸送層312およびアルミニウムを含む第2の電極314を含む。
【0063】
ナノ粒子層310は、本願明細書に開示のナノ粒子(CdSeを含む第1の末端キャップおよびZnSeを含む第2の末端キャップにより不動態化された、CdSナノロッド)、または、コアがCdSeであり、シェルがZnSeであるコア−シェル量子ドットを含む比較材料のいずれかを含む。
【0064】
前記各材料を含む前記ELデバイスのEL性能を、
図5に示す。
図5(A)は、前記コア−シェル(CdSe/ZnS)量子ドットに関するELスペクトルを示す。一方、
図5(B)は、本願明細書に開示のナノ粒子(CdSeを含む第1の末端キャップおよびZnSeを含む第2の末端キャップにより不動態化された、CdSナノロッド)に関するELスペクトルを示す。
【0065】
図5(A)および5(B)から、不動態化されたナノロッドに関するELスペクトルは、より長い波長にシフトしたことが分かる。前記コアシェル量子ドットは、600ナノメートルでのピーク強度を有する。一方、前記不動態化されたナノロッドは、630ナノメートルのピーク発光を有する。前記不動態化されたナノロッドを含むデバイスは、前記コアシェル量子ドットを含むデバイスに関する約4Vと比較して、約2.5VのEL強度に関する、かなり低いターンオン電圧を有する。
【0066】
図6は、前記コア−シェルCdSe/ZnS量子ドットおよび前記ナノ粒子(CdSeを含む第1の末端キャップおよびZnSeを含む第2の末端キャップにより不動態化された、CdSナノロッド)に関する、積算EL対印加電圧を示すグラフである。
図6から、前記積算ELは、低い電圧領域において、前記量子ドットについてより、CdSeを含む第1の末端キャップおよびZnSeを含む第2の末端キャップにより不動態化された、CdSナノロッドについて大きいことが分かる。