(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できる程度に詳細に説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態に実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図中、明確に表現するために、層、膜、板、領域等の厚さを拡大して示す。明細書全般に亘って同じ参照番号が付されている部分は、同じ構成要素であることを意味する。層、膜、領域、基板などの要素が他の要素の「上に」あるとしたとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合だけではなく、これらの間に他の要素がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとしたときには、これらの間に他の要素がないことを意味する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の1画素を示す配置図であり、
図2は、
図1におけるII−II線に沿って切り取った断面図である。
【0026】
図1および
図2を参照すれば、透明ガラス製またはプラスチック製の絶縁基板110の上に複数のゲート線121が形成されている。
【0027】
ゲート線121はゲート信号を伝達し、
図1において主として横方向に伸びている。各ゲート線121は、ゲート線121から突出した複数のゲート電極124と、他の層または外部駆動回路との接続のための大面積のゲートパッド部(図示せず)と、を備える。
【0028】
ゲート線121の上には、窒化ケイ素(SiNx)と酸化ケイ素(SiOx)のうちの少なくとも一方を含む絶縁物からなるゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140の上には、複数の半導体154が形成されている。
【0029】
半導体154は、酸化物半導体であってもよい。半導体層150は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を主体とする酸化物、またはこれらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO
4)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−Oxide)、または亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−Oxide)を含む。酸化物半導体154は、インクジェットなどの溶液工程によって形成されてもよい。具体的に、半導体154は、GIZO、ZTO(ZnSnO)、IZO、InZTOなどの酸化物半導体であってもよい。
【0030】
図示はしないが、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板において、もし、半導体154がインジウム(In)を含むGIZO(Gallium Indium Zinc Oxide)である場合、半導体154は、相対的にインジウム(In)含有量が高いGIZO(Gallium Indium Zinc Oxide)からなる下部膜と、相対的にインジウム含有量が低いGIZOからなる上部膜を有する二重膜構造であってもよい。このように、インジウム含有量が相対的に低いGIZO膜を上部膜として配置することにより、製造工程から発生し得るインジウム表面突起の生成を低減することができる。
【0031】
また、図示はしないが、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板において、半導体154の上部表面はフッ素化(fluorination)処理されていてもよい。このように、半導体154の上部表面をフッ素化処理することにより、製造工程から発生し得るインジウム表面突起の生成を低減することができる。
【0032】
半導体154の上には、バッファ層163、165が形成されている。
【0033】
バッファ層163、165は、錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物、GZO(Gallium Zinc Oxide)を含む。このとき、バッファ層163、165内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率(weight percent)は、約0%より大きく且つ約20%以下であってもよい。
【0034】
バッファ層163、165の上には、データ線(data line)171と、ソース電極173およびドレイン電極175が形成されている。
【0035】
バッファ層163、165の周縁部は、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175の周縁部と平面形状がほとんど同じであり、バッファ層163、165の周縁部は、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175の周縁部と比較して、アンダーカット(undercut)が発生しない。
【0036】
データ線171はデータ信号を伝達し、主として縦方向に伸びてゲート線121と交差する。各データ線171は、ゲート電極124に向かって伸びた複数のソース電極173と、他の層または外部駆動回路との接続のための大面積のデータパッド部(図示せず)と、を備える。
【0037】
ドレイン電極175はデータ線171と分離されており、ゲート電極124を中心としてソース電極173と向かい合う。
【0038】
データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175は、銅(Cu)などの低抵抗金属を含む。
【0039】
バッファ層163、165は、酸化物半導体からなる半導体154とデータ線171、ソース電極173およびドレイン電極175間の接触特性を高め、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175を構成する金属成分が半導体154に拡散されることを防ぐ役割を果たす。
【0040】
本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板によれば、バッファ層163、165は、錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物、GZOを含み、バッファ層163、165内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%よりも大きく且つ約20%以下である。このため、バッファ層163、165のオーバエッチングを防ぐことができて、バッファ層163、165のオーバエッチングによってデータ線171、ソース電極173およびドレイン電極175が浮き上がることを防ぐことができる。
【0041】
図示はしないが、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175は、銅(Cu)を含む下部膜と、銅(Cu)およびマンガン(Mn)を含む上部膜を備えていてもよい。しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板のデータ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175はこれに限定されるものではなく、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175は他の種々の低い比抵抗を有する金属から作製されてもよい。
【0042】
一つのゲート電極124と、一つのソース電極173および一つのドレイン電極175は、半導体154とともに一つの薄膜トランジスタ(thin−film−transistor;TFT)を構成し、薄膜トランジスタのチャネルは、ソース電極173とドレイン電極175との間の半導体154に形成される。
【0043】
データ線171およびドレイン電極175の上には、保護膜(passivation layer)180が形成されている。保護膜180は、窒化ケイ素や酸化ケイ素などの無機絶縁物、有機絶縁物、低誘電率絶縁物などから成膜される。
【0044】
保護膜180には、ドレイン電極175を露出させる複数の接触孔(contact hole)185が形成されている。
【0045】
保護膜180の上には、複数の画素電極(pixel electrode)191が形成されている。画素電極191は、接触孔185を介してドレイン電極175と物理的・電気的に接続されており、ドレイン電極175からデータ電圧が印加される。データ電圧が印加された画素電極191は、共通電圧(common voltage)が印加される共通電極(common electrode)(図示せず)と共に電場を生成することにより、両電極間の液晶層(図示せず)の液晶分子の方向を決定する。画素電極191と共通電極は蓄電器[以下、「液晶キャパシタ(liquid crystal capacitor)」と称する。]を構成して薄膜トランジスタがターンオフ(turn−off)された後にも印加された電圧を維持する。
【0046】
画素電極191は、維持電極線(図示せず)と重なり合ってストレージキャパシタ(storage capacitor)を構成してもよく、これにより液晶蓄電器の電圧維持能力を強化させることができる。
【0047】
画素電極191は、ITOまたはIZOなどの透明導電体から作製されてもよい。
【0048】
以下、
図1および
図2に示す薄膜トランジスタ表示板を本発明の一実施形態により製造する方法について、
図3から
図9と上述した
図1および
図2に基づいて詳述する。
図3と、
図5および
図8は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の製造方法を順次に示す配置図であり、
図4は、
図3の薄膜トランジスタ表示板をIV−IV線に沿って切り取った断面図であり、
図6は、
図5の薄膜トランジスタ表示板をVI−VI線に沿って切り取った断面図である。また、
図7Aから
図7Fは、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の製造方法を順次に示す断面図であり、
図9は、
図8の薄膜トランジスタ表示板をIX−IX線に沿って切り取った断面図である。
【0049】
図3および
図4に示すように、透明ガラス製またはプラスチック製の絶縁基板110の上に金属膜を形成した後にパターニングしてゲート電極124を有するゲート線121を形成する。
【0050】
次いで、
図5および
図6に示すように、ゲート絶縁膜140と、半導体層154と、バッファ層163、165と、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175を形成する。
【0051】
以下、
図7Aから
図7Fに基づき、ゲート絶縁膜140と、半導体層154と、バッファ層163、165と、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175を形成する方法について詳しく説明する。
【0052】
まず、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ゲート電極124の上にゲート絶縁膜140と、半導体膜150と、遮断膜160および金属膜170をこの順に積層する。このとき、ゲート絶縁膜140は窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiOx)を含んでいてもよく、半導体膜150は酸化物半導体を含み、例えば、GIZO、ZTO(ZnSnO)、IZOなどを含んでいてもよい。遮断膜160は、錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたGZOを含み、遮断膜160内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%よりも大きく、且つ、約20%以下であってもよい。金属膜170は、銅(Cu)を含む下部膜と、銅(Cu)およびマンガン(Mn)を含む上部膜を備えていてもよい。しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の製造方法において、金属膜170は他の種々の低い比抵抗を有する金属を含んでいてもよい。
【0053】
酸化物半導体は真空蒸着によって積層してもよく、溶液状の酸化物半導体を塗布して積層してもよい。
【0054】
図示はしないが、半導体膜150は、相対的にインジウム(In)含有量が高いGIZO(Gallium Indium Zinc Oxide)からなる下部膜と、相対的にインジウム含有量が低いGIZOからなる上部膜を備える二重膜構造であってもよい。
【0055】
また、図示はしないが、半導体膜150を積層した後、半導体膜150の上部表面をフッ素化(fluorination)処理してもよい。
【0056】
図7Dに示すように、金属膜170の上に感光膜を塗布した後に露光および現像して厚さが異なる第1感光膜パターン400aを形成する。このとき、第1感光膜パターン400a中の、配線部分に配設された感光膜400aの第1厚さT1は、チャネル部分に配設された感光膜400aの第2厚さT2よりも厚く形成し、残りの部分の感光膜は全て除去する。このとき、配線部分に配設された感光膜400aの厚さと、チャネル部分に配設された感光膜400aの厚さとの比は、後述するエッチング工程における工程条件に応じて異ならせる必要があるが、チャネル部分の感光膜400aの厚さを、配線部分の感光膜400aの厚さの1/2以下にすることが好ましい。
【0057】
このように、位置に応じて感光膜の厚さを異ならせて形成する方法は種々あるが、露光マスクに透明領域(transparent area)と遮光領域(light blocking area)だけではなく、半透明領域(semi−transparent area)を設けることがその例である。半透光領域には、スリット(slit)パターン、格子パターン(lattice pattern)または透過率が中間であるか、または厚さが中間である薄膜が設けられる。スリットパターンを用いるときには、スリットの幅やスリット同士の間隔が写真工程に用いる露光器の分解能(resolution)よりも小さいことが好ましい。他の例としては、リフロー(reflow)可能な感光膜を用いることが挙げられる。すなわち、透明領域と遮光領域のみを有する通常のマスクを用いてリフロー可能な感光膜パターンを形成した後にリフローさせて感光膜が残留しない領域に流下させることにより薄肉部を形成する。
【0058】
次いで、
図7Eに示すように、第1感光膜パターン400aをマスクとして、金属膜170と、遮断膜160および半導体膜150をエッチングして、第1金属パターン174と、遮断パターン167および半導体層154を形成する。
【0059】
このとき、銅または銅およびマンガンを含む金属膜170と、錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたGZOを含む遮断膜160と、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)などの酸化物半導体を同時にエッチング可能な第1エッチング液を用いる。第1エッチング液は、フッ酸化水素とフッ化アンモニウムを含む。
【0060】
遮断膜160に含まれている錫(Sn)の成分の割合が非常に高い場合、例えば、約70%以上である場合、第1エッチング液によって、遮断膜160はエッチングされないこともあるが、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の製造方法によれば、遮断膜160内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%以上且つ約20%以下である場合もあるために、遮断膜160は第1エッチング液によってエッチングされ得る。
【0061】
その後、
図7Fに示すように、エッチバック(etch back)によってチャネル部分の第1感光膜パターン400aを除去する。このとき、他の部分の第1感光膜パターン400aも一部除去されて感光膜パターンの幅が減った第2感光膜パターン400bとなる。
【0062】
次いで、第2感光膜パターン400bをマスクとして、第1金属パターン174および遮断パターン167をエッチングして、バッファ層163、165と、ソース電極173およびドレイン電極175を完成する。このとき、銅または銅およびマンガンを含む第1金属パターン174と、錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたGZOを含む遮断パターン167を同時にエッチング可能な第2エッチング液を用いる。第2エッチング液は、5−アミノテトラゾールを含んでいてもよい。
【0063】
一般に、5−アミノテトラゾールを含む第2エッチング液に対して、銅または銅およびマンガンを含む金属とガリウム亜鉛酸化物を含む酸化物のエッチング速度は互いに異なる場合がある。すなわち、第2エッチング液を用いてエッチングするとき、銅または銅およびマンガンを含む金属のエッチング速度よりもガリウム亜鉛酸化物を含む酸化物のエッチング速度の方がさらに大きい。この場合、ガリウム亜鉛酸化物を含む酸化物を含む遮断パターン167がオーバエッチングされて、遮断パターン167がオーバエッチングされる場合、その上に配設される金属パターン174が浮き上がる結果、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175が浮き上がってしまう。
【0064】
しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法によれば、バッファ層163、165は、錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物(GZO)からなる。錫(Sn)は、硝酸(NHO
3)によってエッチングされない。したがって、5−アミノテトラゾールを含む第2エッチング液を用いてエッチングするとき、遮断パターン167のエッチング速度を下げることができる。
【0065】
したがって、遮断パターン167がオーバエッチングされて、その上に形成されるデータ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175が浮き上がることを防ぐことができる。
【0066】
すなわち、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の製造方法によれば、バッファ層163、165を構成する遮断膜160を錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物、GZOを含めて形成し、遮断膜160内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%よりも大きく、且つ、約20%以下となるように形成することにより、第1エッチング液を用いてソース電極173およびドレイン電極175を構成する金属膜170と、遮断膜160および酸化物半導体を含む半導体膜150を同時にエッチングすることができ、第2エッチング液を用いて金属パターン174と遮断パターン167を同時にエッチングするとき、遮断パターン167のオーバエッチングを防ぐことができる。
【0067】
その後、第2感光膜パターン400bを除去する。
【0068】
次いで、
図8および
図9に示すように、データ線171およびドレイン電極175の上に保護膜180を積層し、ドレイン電極175を露出させる接触孔185を形成する。
【0069】
次いで、
図1および
図2に示すように、金属層を積層した後に写真エッチングして、接触孔185を介してドレイン電極175と接続される画素電極191を完成する。
【0070】
このように、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の製造方法によれば、バッファ層163、165を構成する遮断膜160を錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物、GZOを含めて形成し、遮断膜160内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%よりも大きく、且つ、約20%以下となるように形成することにより、第1エッチング液を用いてソース電極173およびドレイン電極175を構成する金属膜170と、遮断膜160および酸化物半導体を含む半導体膜150を同時にエッチングすることができ、第2エッチング液を用いて金属パターン174と遮断パターン167を同時にエッチングするとき、遮断パターン167のオーバエッチングを防ぐことができる。
【0071】
上述した実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板およびその製造方法によれば、ゲート電極124が半導体154の下に配設されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲート電極124が半導体154の上に配設される場合にも適用可能である。
【0072】
以下、
図10および
図11に基づき、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板について説明する。
図10は、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の1画素を示す配置図であり、
図11は、
図10のXI−XI線に沿って切り取った断面図である。
【0073】
図10および
図11を参照すれば、この実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板は、
図1および
図2に示す実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板とほとんど同様である。同じ構成要素についての具体的な説明は省略する。
【0074】
図10および
図11を参照すれば、絶縁基板110の上にゲート電極124を有するゲート線121が形成されており、その上にゲート絶縁膜140が配設される。
【0075】
ゲート絶縁膜140の上には半導体154が配設される。半導体154は酸化物半導体であってもよい。半導体層150は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を主体とする酸化物、またはこれらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO
4)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−Oxide)、または亜鉛−主席酸化物(Zn−Sn−Oxide)を含む。酸化物半導体154は、インクジェットなどの溶液工程によって形成可能である。具体的に、半導体154は、GIZO、ZTO(ZnSnO)、IZO、InZTOなどの酸化物半導体であってもよい。
【0076】
半導体154の上には、第1バッファ層163a、165bが形成されている。
【0077】
バッファ層164は、錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物、GZOを含む。このとき、バッファ層164内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%よりも大きく、且つ、約20%以下であってもよい。
【0078】
第1バッファ層163a、165bの上には、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175が形成されている。
【0079】
第1バッファ層163a、165bは、酸化物半導体からなる半導体154とデータ線171、ソース電極173およびドレイン電極175間の接触特性を高め、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175を構成する金属成分が半導体154に拡散されることを防ぐ役割を果たす。
【0080】
しかしながら、この実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板は、
図1および
図2に示す実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板とは異なり、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175の上に配設される第2バッファ層163b、165bをさらに備える。第1バッファ層163a、165bおよび第2バッファ層163b、165bの周縁部は、データ線171、ソース電極173およびドレイン電極175の周縁部と平面状がほとんど同じであり、第1バッファ層163a、165bおよび第2バッファ層163b、165bの周縁部は、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175の周縁部と比較して、アンダーカットが発生しない。
【0081】
第2バッファ層163a、165bは、データ線171と、ソース電極173およびドレイン電極175を保護する役割を果たす。
【0082】
図1および
図2、そして
図3から
図9に基づいて説明した実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板およびその製造方法の多くの特徴は、この実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板にいずれも適用可能である。
【0083】
以下、
図12および
図13に基づき、本発明の1実験例について説明する。
図12は、本発明の他の実験例によるエッチング量(Etch thickness)を示すグラフであり、
図13は、本発明の他の実験例によるエッチング速度結果(Etch rate)を示すグラフである。
【0084】
この実験例においては、フッ酸化水素とフッ化アンモニウムを含む第1エッチング液を用いて、酸化錫(SnO
2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物をエッチングするとき、酸化錫(SnO
2)の割合を変化させながら、酸化錫(SnO
2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物中のエッチングされた厚さを測定して、その結果を
図12に示す。また、第1エッチング液を用いて、銅、酸化錫(SnO
2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物、InZTOからなる酸化物半導体をエッチングするとき、酸化錫(SnO
2)の割合を変化させながらエッチング速度を測定して、その結果を
図13に示す。
【0085】
図12および
図13を参照すれば、酸化錫(SnO
2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物内の酸化錫(SnO
2)の割合が高くなるにつれて、酸化錫(SnO
2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物のエッチング量は減っていることが分かる。しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板およびその製造方法によれば、バッファ層163、165は錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物からなり、バッファ層163、165内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%よりも大きく、且つ、約20%以下であるため、第1エッチング液を用いてバッファ層163、165を構成する錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物をエッチングすることができるということが分かる。
【0086】
次いで、
図14に基づき、本発明の他の実験例について説明する。
図14は、本発明の他の実験例によるエッチング速度結果を示すグラフである。
【0087】
この実験例においては、5−アミノテトラゾールを含む第2エッチング液を用いて、酸化物半導体内の錫(Sn)の成分を変化させ、酸化物半導体、具体的に、錫(Sn)がドーピングされたInZTOをエッチングするとき、エッチング速度を測定し、これを
図14に示す。
【0088】
図14を参照すれば、第2エッチング液を用いて、酸化物半導体をエッチングするとき、錫(Sn)の量が増えるにつれてエッチング速度は下がり、錫(Sn)の量が減るにつれてエッチング速度は急激に上がることが分かる。
【0089】
次いで、表1を参照して、本発明の他の実験例について説明する。この実験例においては、第1エッチング液と第2エッチング液を用いて錫(Sn)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物をエッチングし、ドーピングされた錫(Sn)の質量百分率を変化させながら、エッチング速度を測定し、その結果を表1に示す。
【0091】
表1を参照すれば、ドーピングされた錫(Sn)の量が約70%以下の値を有する場合、ガリウム亜鉛酸化物を第1エッチング液を用いてエッチングするとき、エッチング速度の変化は激しくなく、エッチングが上手に行われることが分かる。
【0092】
また、第2エッチング液を用いてガリウム亜鉛酸化物をエッチングするとき、錫(Sn)がドーピングされていない場合、ガリウム亜鉛酸化物のエッチング速度が非常に大きいことが分かる。なお、錫(Sn)の質量百分率が20%よりも大きい場合、ガリウム亜鉛酸化物がエッチングされないことが分かる。しかしながら、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板の場合、バッファ層の錫(Sn)の質量百分率は約0%よりも大きく、且つ、約20%以下であることから、第2エッチング液によってエッチングされ得ることが分かる。
【0093】
このように、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板およびその製造方法によれば、バッファ層163、165は錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)がドーピングされたガリウム亜鉛酸化物からなり、バッファ層163、165内の錫(Sn)または酸化錫(SnOx;X=1−2)の質量百分率は約0%よりも大きく、且つ、約20%以下であるため、オーバエッチングを防ぎながらも、第1エッチング液および第2エッチング液によって、バッファ層163、165がエッチングされ得ることが分かる。
【0094】
上述した実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板およびその製造方法の場合、画素電極と接続されたドレイン電極を有すると説明したが、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ表示板およびその製造方法は、液晶表示装置、有機発光表示装置、プラズマ表示装置のように、薄膜トランジスタが用いられるあらゆるフラットパネル表示装置に適用可能であるということはいうまでもない。
【0095】
以上、本発明の好適な実施形態について詳述したが、本発明の権利範囲はこれに何ら限定されるものではなく、下記の請求範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形および改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。