(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
(監視システムの全体構成)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る監視システムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る監視システムの全体構成を示す概念図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る監視システムは、三次元的な移動が可能なドローン装置3によって、監視対象である被監視者を追跡しつつ監視する監視システムであって、無線通信を含む通信ネットワーク5上に、被監視者が所持する情報端末装置1と、監視者が所持する監視用端末2と、管理サーバ4と、ドローン装置3とが接続されている。なお、
図1において、情報端末装置1及び監視用端末2とは、1つのみ記載しているが、複数の情報端末装置1及び監視用端末2が通信ネットワーク5に接続されているものとする。
【0018】
通信ネットワーク5は、無線通信網を含み、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワークであり、この通信ネットワーク5には、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。
【0019】
無線基地局6は、中継装置7を通じて通信ネットワーク5に接続され、情報端末装置1との間で無線通信接続を確立し、情報端末装置1による通話やデータ通信を提供する装置である。なお、本実施形態における無線基地局6は、通信ネットワーク5上において、各情報端末装置1がどのセルに在圏しているのかを管理する位置情報取得部としての機能を果たす。具体的には、情報端末装置1から送信された位置登録の要求に基づいて、当該情報端末装置1の位置を特定する。この位置登録要求は、ユーザーの移動などによって在圏するセルが切り替えられた場合、情報端末装置1から、新たに在圏することになったセルを管理する無線基地局に対して送信され、この位置登録要求とともにフェムトセル基地局に割り当てられている基地局識別情報に基づいて、情報端末装置1の位置を把握することができる。
【0020】
中継装置7は、通信ネットワーク5に接続するためのモデムやターミナルアダプタ、ゲートウェイ装置等のノード装置であり、通信経路の選択や、データ(信号)の相互変換を行い、無線基地局6と、通信ネットワーク5との間における中継処理を行う。衛星8は、地球上空における所定の軌道上を周回する位置情報衛星であり、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。
【0021】
管理サーバ4は、通信ネットワーク5上に配置されて、ドローン装置の管理、監視者及び被監視者を含むユーザー管理、データ収集管理など、システム全体を管理・制御するサーバ装置であり、通信ネットワーク5を介してドローン装置3及び情報端末装置1と接続されている。また、管理サーバ4には、Webサーバが含まれ、WWW(World Wide Web)等のドキュメントシステムにおいて、HTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどの情報送信を行うサーバコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、HTML文書や画像などの情報を蓄積しておき、監視用端末2上で実行されるWebブラウザなどのアプリケーションの要求に応じて、コンテンツ(Webページ)の配信を行い、ドローン装置3から取得した位置情報や画像情報を監視用端末2へ配信されている。
【0022】
情報端末装置1は、監視対象に携帯される端末であって、CPUによる演算処理機能、及び無線通信機能を有する携帯電話機又はスマートフォンであり、一般的な基地局等の中継点と無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。また、情報端末装置1は、無線基地局6との間で無線通信を行う機能と、アプリケーションを実行する機能も備えている。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W−CDMAの他、PHS(Personal Handyphone System)方式等が挙げられる。また、上述した通信方式とは別の無線インターフェースとして、無線LANの規格等に準じたIPパケットの送受による通信方式に対応した機能も備えている。さらに、この情報端末装置1は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、及びGPS機能等の機能が搭載され、携帯情報端末(PDA)としての機能も果たす。
【0023】
監視用端末2は、被監視者を監視する監視者が所持する情報端末であって、CPUによる演算処理機能、及び通信インターフェースによる通信処理機能を備えた情報処理端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータや、所定の機能を特化させた専用装置により実現することができ、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機等も含まれる。
【0024】
ドローン装置3は、空中に飛行可能であって三次元的な移動が可能な飛行体である。本実施形態では、CPUによる演算処理機能、及び無線通信機能を有しており、情報端末装置1の位置情報を取得して、情報端末装置1を追跡するようになっている。また、このドローン装置3には、ドローン装置3の外部を撮影する撮像手段が搭載されており、情報端末装置1及び情報端末装置1を所持する被監視者を撮影するようになっている。
【0025】
このドローン装置3は、
図2に示すように、演算処理装置を内部に搭載する本体302と、本体302から上方に向けて対称に設けられた4つのメインロータ301と、本体302に設けられ、斜め下方に向けられた撮像装置36と、本体302の下部に設けられ、着陸時に胴体をささえ、着陸時の衝撃を吸収するランディングギア303,303から構成されている。メインロータ301は、回転によって上向きの揚力を発生させる回転翼であり、本実施形態では、本体302から延設され、回転可能な軸部301bと、軸部301bに設けられ、水平方向に向けて突出する複数の羽根部301cと、羽根部301cの外周に設けられたリング上の外枠301aとから構成されている。これら4つのメインロータ301が、本体内の演算処理装置の制御されて回転することで、垂直方向及び水平方向への移動が可能となっており、また、地上から見てヘリコプターが空中の一点に留まっている状態となるホバリング機能を有している。
【0026】
なお、本実施形態において、このドローン装置3は、予め設定された位置を基地30として着陸可能となっている。当該基地30は電磁誘導方式の充電台となっており、この基地30に所定のドローン装置3が着陸すると無線充電されるようになっている。
【0027】
(各装置の内部構造)
次いで、上述した監視システムを構成する各装置の内部構造について説明する。
図3は、本実施形態に係るドローン装置3の内部構成であり、
図4は、本実施形態に係る情報端末装置1の内部構成を示すブロック図であり、
図5は、本実施形態に係る管理サーバ4の内部構成を示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0028】
(1)ドローン装置3
先ず、ドローン装置3の内部構成について説明する。
図3に示すように、位置情報を取得するモジュール群として、無線インターフェース31と、ドローン位置情報取得部37と、監視対象位置取得部33と、メモリ38とを備えている。
【0029】
無線インターフェース31は、通話を行うための移動通信用のプロトコルによる無線通信と、例えば無線LAN等のデータ通信用のプロトコルによる無線通信とを実行する機能を備えている。無線インターフェース31は、無線LAN接続を行うためにIEEE 802.11bに準拠した送受信装置であり、本システムによる認証を受けるために、無線基地局6と一致するESSIDが割り当てられている。なお、この無線インターフェース31は、モバイルコンピュータやPDAにおいては、無線LANアダプタ等により実現することができる。
【0030】
メモリ38は、各種のデータやプログラムを蓄積する記憶装置であり、本実施形態では、追跡対象となる情報端末装置1の識別情報(IPアドレス等)、ドローン位置情報取得部37で取得されたドローン位置情報、情報端末装置1又は管理サーバ4から送信された監視位置情報、及び地図情報等が蓄積されている。この蓄積されるドローン位置情報及び監視位置情報には、時刻情報が付加されているものとする。また、地図情報とは、緯度・経度等の座標情報を基にした地理的情報であり、所定地域の地形や、道路・路線、河川、建築物等が、緯度及び経度の座標上にベクトルデータやポリゴンデータによって表記されている。さらに、この地図情報には、被監視者が移動する経路をルート情報として記録されており、このルート情報に基づいて、被監者がルートから外れて移動しているか否かを判断することができるようになっている。
【0031】
ドローン位置情報取得部37は、自機の現在位置をドローン位置情報として取得するモジュールであり、例えば、GPS(Global Positioning System)のように、衛星8からのGPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算したり、無線基地局6の基地局識別子や、この基地局からの信号強度などの電波状況から、ドローン装置3自身で自機の位置情報を取得することが可能となっている。このドローン位置情報取得部37で取得されたドローン位置情報は、地図情報で特定可能な座標情報であり、この位置情報は、取得した際の時刻情報が付加されてメモリ38内に蓄積される。
【0032】
監視対象位置取得部33は、管理サーバ4又は情報端末装置1から、当該情報端末装置1の監視位置情報を取得するモジュールである。本実施形態では、監視位置情報を管理サーバ4から取得する構成となっている。この監視位置情報もメモリ38の地図情報で特定可能な座標情報であるとともに、時刻情報が付加されている。
【0033】
また、ドローン装置3には、被監視者の異常を検知した際、その異常を被監視者又は周りに知らせるため報知手段311と、不審者に対して攻撃する攻撃手段312とを備えている。報知手段311とは、スピーカーなどの出力手段からサイレン音などを出力させ、周りの人に被監視者に異常が発生した旨を報知したり、目的地までのルートが定まっている場合には、そのルートから外れたことを警告したりする。
【0034】
また、攻撃手段312としては、例えば、内部に特殊染料が入ったカラーボールを不審者に対して発射させる手段であってもよいし、例えば、テーザー銃のように、電極が射出されて相手に刺ささり、電極と本体とを繋ぐワイヤーを用いて本体で発生させた電流を電極に流がすものであってもよい。なお、報知手段311及び攻撃手段312は、制御部34から異常検知信号が入力されることで、実行されるようになっている。
【0035】
また、ドローン装置3には、ドローン装置3の駆動を制御するモジュール群として、制御部34と、ドローン駆動装置35と、撮像装置36と各種センサ39とを備えている。各種センサ39は、ドローン装置3の位置、高度、速度及び方向などの各種情報を取得するセンサ群であり、本実施形態では、物体の加速度を計測する3軸加速度計と、物体の角度や角速度を検出する3軸ジャイロスコープ、気圧計、水平方向の速度測定用カメラ、磁場の大きさ・方向を計測する3軸磁気センサ、及び対地面の高度測定用超音波センサ、障害物を検知する障害物監視レーダー等が搭載されている。
【0036】
撮像装置36は、静止画、又は動画を撮影するデジタルカメラやビデオカメラ等であり、レンズ及び固定撮像素子等から構成され、入射された被写体像を表す光がCCDの受光面に結像され、カメラ信号処理回路及びA/D変換器等を介して、制御部34に画像データが送信される。
【0037】
ドローン駆動装置35は、メインロータ301やランディングギア303などを含むドローン装置3の駆動機構であって、制御部34の制御信号に基づいて各装置を駆動させ、所定の高さに飛行させたり、所定位置に移動させる。
【0038】
制御部34は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行っている。
【0039】
この制御部34には、撮影制御部34bと、移動制御部34aと、異常検知部34cとを備えている。撮影制御部34bは、監視位置情報及びドローン位置情報に基づいて撮像装置36の撮影方向を制御するモジュールである。この撮影制御部34bは、撮像装置36の制御を行うモジュールであり、レンズ、シャッター、絞り、フォーカス機構、ズーム機構等を備え、イメージセンサに露光させる撮像光の調整を行う。また、撮影制御部34bは、レンズ方向を調整する機能を有している。このレンズ調整機能としては、撮像装置36のレンズ部分を本体302に対して水平方向又は垂直方向に駆動させてレンズ方向を変更させるものでもよく、また、移動制御部34aを制御して、ドローン装置3自体を駆動させて撮像装置36のレンズの方向を変更させるものでもよい。
【0040】
移動制御部34aは、ドローン位置情報と監視位置情報とに基づいて、自機の移動制御を行うモジュールであり、移動制御部34aは、監視位置情報を取得すると、ドローン位置情報取得部37からドローン位置情報を取得し、ドローン装置3を監視対象である情報端末装置1の位置から所定の範囲内に位置ように移動させる。具体的には、
図6(a)に示すように、ドローン装置3と情報端末装置1との水平方向の距離d1と、ドローン装置3と情報端末装置1との直接の距離d3を予め設定しておき、その設定距離d1に基づいて、ドローン装置3と情報端末装置1との距離がd3となるように、地面からドローン装置3を所定の高度d2となるように制御する。ここで距離d1は、ドローン位置情報と監視位置情報とに基づいて地図情報で距離を算出し、高度d2はドローン装置3内の高度センサで計測される。
【0041】
また、移動制御部34aは、追跡中において、トンネルなどの障害物9がある場合、前記の距離d3を変更して追跡する機能を有している。具体的に、ドローン装置3には、障害物監視レーダーを備えており、この障害物監視レーダーに基づいて障害物9を監視し、障害物9を検出した場合には、
図6(b)に示すように、移動制御部34aによってメインロータ301を駆動させて、ドローン装置3を上下のいずれかに移動させて障害物を回避して情報端末装置1を追跡する。なお、障害物監視レーダーとしては、撮影画像を解析して障害物を検出するステレオカメラ、レーザー光を照射し、反射した光で障害物を検出するレーザーレーダー、又は、電波を送信、反射した電波で障害物を検出するミリ波レーダー等を用いることをできる。なお、この障害物9を回避した際の位置情報、高度情報などの移動経路は、履歴情報として管理サーバ4へ送信される。
【0042】
また、制御部34は、被監視者の異常を検知する異常検知部34cを有している。具体的に、異常検知部34cは、被管理者に異常が発生していないか否かを判断するモジュールである。本実施形態では、撮像装置36が撮影した画像を解析して被監視者の異常を検知したり、メモリ38内に蓄積されたルート情報と監視位置情報とを比較して、被監視者がルートから外れて移動していることを検知する。ここで、画像を解析して異常を検知方法とは、撮影された画像を解析し、他人の暴力行為などの動きを検知したり、急病で被監視者がしゃがみ込んだり、倒れてしまった場合など、所定位置に被監視者が滞留していることを検知したりすることで、異常発生と判断するようになっている。
【0043】
そして、異常検知部34cにおいて、異常発生と判断した場合には、異常発生信号を報知手段311及び攻撃手段312に送信して報知手段311及び攻撃手段312を駆動制御させるとともに、異常発生信号を通信ネットワーク5を介して管理サーバ4に送信する。管理サーバ4では、この異常発生信号を取得すると、監視用端末2に対してリアルタイムに通知するようになっている。
【0044】
また、ドローン装置3には、データを配信するモジュール群として、データ送信部32を備えている。データ送信部32は、通信ネットワーク5を通じて、ドローン装置3の駆動情報を送信する位置情報送信部や撮像装置36で撮影された画像情報を管理サーバ4に配信する画像送信部の機能を有するモジュールである。本実施形態では、ドローン位置情報及び画像情報を送信する際、メモリ38内の自機を特定する識別情報と、取得時の時刻情報とを関連付けられて送信するようになっている。
【0045】
(2)情報端末装置
次いで、情報端末装置1の内部構成について説明する。
図4に示すように、情報端末装置1は、無線インターフェース11、メモリ15と、アプリケーション実行部14と、出力インターフェース13と、入力インターフェース12とを備えている。
【0046】
無線インターフェース11は、通話を行うための移動通信用のプロトコルによる無線通信と、例えば無線LAN等のデータ通信用のプロトコルによる無線通信とを実行する機能を備えている。無線インターフェース11は、無線LAN接続を行うためにIEEE 802.11bに準拠した送受信装置であり、モバイルコンピュータやPDAにおいては、無線LANアダプタ等により実現することができる。そして、無線インターフェース11を介して、監視位置情報取得部16で取得した位置情報を監視位置情報として、ドローン装置3又は管理サーバ4へ送信するようになっている。
【0047】
入力インターフェース12は、操作ボタンやタッチパネルなどユーザー操作を入力するデバイスである。また、出力インターフェース13は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース13には、液晶ディスプレイなどの表示部13aが含まれている。メモリ15は、OS(Operating System)や各種のアプリケーション用のプログラム、その他のデータ等などを記憶する記憶装置であり、このメモリ15内には、監視位置情報取得部16が取得した位置情報を一時的に蓄積する。
【0048】
監視位置情報取得部16は、自機の現在位置を示す位置情報を取得し、記録するモジュールであり、例えば、GPS(Global Positioning System)のように、衛星8からの信号によって自機の位置を検出したり、携帯電話の無線基地局6からの電波強度などによって位置を検出する。検出された監視位置情報は、メモリ15に送信される。
【0049】
アプリケーション実行部14は、一般のOSやブラウザソフトなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、通常はCPU等により実現される。このアプリケーション実行部14によって、所定時間毎に、監視位置してするとともにメモリ15内に蓄積する。また、アプリケーション実行部14は、この位置情報を監視位置情報として、管理サーバ4又はドローン装置3に配信するようになっている。なお、この監視位置情報には、位置情報を取得した際の時刻情報が付加されているものとする。
【0050】
なお、監視用端末2の内部構成については、監視位置情報取得部16及び無線インターフェース11を除いて、上述した情報端末装置1と同様である。すなわち、監視用端末2の通信インターフェースは、無線通信に限定されず、データ通信全般を行うための通信インターフェースであり、無線等による非接触通信や、ケーブル,アダプタ手段等により接触(有線)通信をする機能を備えている。また、通信インターフェースには、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信を行う近距離無線通信機能も備えていてもよい。
【0051】
また、監視用端末2では、監視位置情報取得部16のような位置情報を取得する機能は必ずしも必要ではなく、この機能モジュールは省略してもよい。一方、監視用端末2のアプリケーション実行部は、一般のOSやブラウザソフト、電子メール、画像表示ソフトなどのアプリケーションを実行する機能を有し、ブラウザソフトを実行することによって、Webページを閲覧するためのブラウザ機能を有している。ブラウザ機能としては、インターネットからHTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイルなどをダウンロードし、レイアウトを解析して表示部上に表示・再生する。これにより、メモリ内に蓄積された地図情報の地図上に被監視者の位置情報や撮影された画像が表示され、閲覧可能となっている。
【0052】
なお、このWebページ上にアクセスする際には、監視用端末2の表示画面に、ログインフォームを表示させるようになっており、ユーザー操作による認証情報の入力が促される。そして、通信ネットワーク5を介して管理サーバ4へ、入力された認証情報に基づいて、監視者記録部411aを照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認されるようになっており、認証されたユーザーに対してのみ、情報端末装置1の位置情報や画像情報が配信されるようになっている。
【0053】
(3)サーバ装置
次いで、管理サーバ4の内部構成について説明する。管理サーバ4は、単一のサーバ装置の他、Webサーバやデータベースサーバなど複数のサーバ群から構成することができ、本実施形態では、
図5に示すように、通信インターフェース43と、制御部42と、記憶部41とを備えている。通信インターフェース43は、通信ネットワーク5を通じて、情報端末装置1、ドローン装置3、及び各サーバ装置との間でデータの送受信を行う通信インターフェースである。記憶部41は、本システムに関する各種の情報を蓄積するデータベース群であり、ここでは、顧客データベース411と、履歴データベース412と、地図情報記録部413と、ドローン装置データベース414とを備えている。
【0054】
顧客データベース411は、監視者及び被監視者に関する情報を蓄積するデータベースであり、本実施形態では、監視者記録部411aと、被監視者記録部411bとを備えている。監視者記録部411aには、監視用端末2を識別する監視者識別情報(監視用端末2のIPアドレス等)に、監視者に関する情報(端末のメールアドレス、電話番号、監視者の氏名や年齢などの個人情報)、自宅の位置情報、情報端末装置1を識別する被監視者識別情報、及びドローン装置3を識別するドローン識別情報が関連付けて記録されている。また、被監視者記録部411bには、情報端末装置1を識別する被監視者識別情報(情報端末装置1のIPアドレス等)に、監視者に関する情報(端末のメールアドレス、電話番号、監視者の氏名や年齢などの個人情報)が関連付けて記録されている。
【0055】
履歴データベース412は、情報端末装置1の監視記録を蓄積するデータベースであり、被監視者識別情報に、ドローン識別情報、及びドローン装置3から取得したドローン位置情報及び情報端末装置1から取得した監視位置情報の履歴を関連付けて記録されている。なお、この監視位置情報及びドローン位置情報には、時刻情報が付加されており、この時刻の順に配列されている。また、この履歴データベース412には、ドローン装置3から送信された画像情報についても併せて記録している。具体的には、画像情報と併せて取得したドローン識別情報に基づいて、該当する被監視者識別情報を特定し、その被監視者識別情報のテーブルデータに画像情報が関連付けて記録されている。
【0056】
地図情報記録部413は、所定地域の地理的情報を蓄積する地図情報を蓄積する記憶装置であり、本実施形態では、監視者の自宅や学校などの目的地の候補地(店舗等)が、緯度及び経度の座標上にベクトルデータ等で蓄積されている。また、この地図情報には、被監視者が移動する経路をルート情報として記録されており、このルート情報に基づいて、被監者がルートから外れて移動しているか否かを判断することができるようになっている。なお、このルートを作成する場合には、外部のサーバ装置から交通情報を取得して、指定された通学路や交通量の少ない道をルート情報として設定することもできる。なお、この地図情報は、情報端末装置1又は監視用端末2に送信され、それぞれのメモリ内にも蓄積されている。
【0057】
ドローン装置データベース414は、ドローン装置3に関する情報を蓄積するデータベースであり、ドローン装置3を識別する識別情報(IPアドレス)に、ドローン装置3の型番やシリアル番号、バッテリー容量などドローン装置3に関する情報が蓄積されている。
【0058】
制御部42は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行っている。そして、本実施形態において、制御部42には、認証部421と、会員登録部425と、データ受信部422と、管理部424と、データ配信部423とを備えている。
【0059】
認証部421は、アクセス者の正当性を検証するコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、通信ネットワーク5を通じて情報端末装置1又は監視用端末2のIPアドレス等の識別子を取得し、顧客データベース411を照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認するモジュールである。
【0060】
会員登録部425は、本システムを利用する顧客の会員登録を処理するモジュールであり、監視用端末2からのアクセスを受け付けて会員登録を行う。具体的に、会員登録部425は、先ず、情報端末装置1を特定するための識別情報として、情報端末装置1のIPアドレス、MACアドレスなどを取得して顧客データベース411に記録するとともに、この識別情報に、被監視者が所持する監視用端末2に関する情報(識別情報(IPアドレス、MACアドレス)、監視用端末2のメールアドレス、電話番号、被監視者の氏名や年齢などの個人情報)、ドローン識別情報、被監視者識別情報などを顧客データベース411に関連付けて記録する。なお、ドローン装置3は、会員登録時に、監視者がドローン装置3を選択することもでき、また、サーバ側で任意に選択してもよい。この選択されたドローン装置3は、後日、監視者宅に配送される。
【0061】
また、監視対象である被監視者が所持する情報端末装置1を特定するための識別情報として、情報端末装置1のIPアドレス、MACアドレスなどを取得して被監視者記録部411bに記録するとともに、この識別情報に、監視用端末2のメールアドレス、電話番号、被監視者の氏名や年齢などの個人情報を記録する。
【0062】
データ受信部422は、情報端末装置1及びドローン装置3から各種のデータを取得するモジュールであり、ドローン装置3からドローン位置情報を取得するとともに、情報端末装置1から監視位置情報を取得する。これらの各位置情報には、送信先である情報端末装置1を識別する被監視者識別情報や、ドローン装置3を識別するドローン識別情報が付加されているとともに、取得時の時刻情報が含まれている。また、データ受信部422は、ドローン装置3のデータ送信部32から送信された画像情報を取得する機能も有している。この画像情報についても、送信先であるドローン識別情報が付加されているとともに、撮影時の時刻情報が付加されている。そして、データ受信部422は、これらのドローン位置情報、監視位置情報及び画像情報を管理部424に入力する。
【0063】
管理部424は、制御部42内の各モジュール全体を制御するモジュールであり、各データベースを参照して、監視用端末2、情報端末装置1、及びドローン装置3の紐付けを管理する。例えば、情報端末装置1からの監視位置情報を対応するドローン装置3に配信したり、各位置情報及び画像情報を対応する監視用端末2へ配信したりする。また、この管理部424には、履歴記録部424aとを備えている。履歴記録部424aは、データ受信部422で取得した位置情報及び画像情報を履歴データベース412に蓄積するモジュールである。
【0064】
具体的に履歴記録部424aは、情報端末装置1から監視位置情報を取得すると、その監視位置情報と併せて取得された被監視者識別情報を抽出し、その識別に基づいて、履歴データベース412を参照して、該当する情報端末装置1のテーブルに監視位置情報の履歴を時刻情報とともに記録する。一方、ドローン装置3からドローン位置情報又は画像情報を取得すると、そのドローン位置情報と併せて取得されたドローン識別情報を抽出し、顧客データベース411で関連付けされた被監視者識別情報を抽出する。そして、その被監視者識別情報に基づいて、履歴データベース412を参照して、該当する情報端末装置1のテーブルにドローン位置情報の記録、又は画像情報を時刻情報とともに関連付けて記録する。
【0065】
データ配信部423は、管理部424の制御により、各データを配信するモジュールである。本実施形態では、例えば、被監視者の情報端末装置1に紐付けられた監視用端末2に対して、リアルタイムにドローン位置情報及び監視位置情報を地図情報記録部413の地図情報に表示可能な形式で配信する。なお、この配信の際、データ配信部423は、当該管理サーバ4へのアクセスを規制する認証部421により認証されたユーザーに対して、配信を行うようになっている。
【0066】
また、データ配信部423は、追跡開始及び追跡終了を示す信号をドローン装置3又は情報端末装置1から取得すると、これらの情報も監視用端末2に対して配信するようになっている。さらに、データ配信部423は、ドローン装置3から受信され、履歴データベース412に記録された画像についても、通信ネットワーク5を介して監視用端末2に配信する。このような動画を配信するタイミングとしては、画像を撮影する度に配信してもよいし、所定時間毎に纏めて配信してもよい。さらに、データ配信部423は、ドローン装置3が異常発生を検知し、管理サーバ4が異常検知信号を取得した場合には、監視用端末2に対して異常が発生した旨を知らせる警報情報と、異常発生前後の画像情報とを併せて監視用端末2に配信するようになっている。上記のような監視用端末2に対する通知は、Webデータとして配信してもよく、また、電子メールを用いて送信してもよい。
【0067】
(監視方法)
以上の構成を有する監視システムを動作させることで、本発明の監視方法を実施することができる。
図7は、本実施形態に係る監視方法を示すシーケンス図である。なお、ここでは、会員登録の処理は完了しており、顧客データベース411内に、情報端末装置1及び監視用端末2の各情報が蓄積されているとともに、自宅にはドローン装置3が配達されているものとする。また、ここでは、被監視者が自宅を出発して、再度、自宅に戻るまでをドローン装置3で追跡する場合を例に説明するものとし、ドローン装置3の電源は常時入れられており、基地30上に配置されているものとする。
【0068】
先ず、
図7に示すように、監視対象に携帯される情報端末装置1の監視位置情報取得部16では、一定時間毎に、自機の現在位置を監視位置情報として取得しており(S101)、その都度、アプリケーション実行部14では、その位置情報が予め設定された自宅エリア外か否かを判断する(S102)。ここで、エリア外でない場合には(S102における“N”)、エリア外となるまで位置情報を取得し続ける。その後、被監視者が情報端末装置1を所持して外に出掛け、情報端末装置1の位置がエリア外となると(S102における“Y”)、アプリケーション実行部14は、その外出信号と、その位置情報を監視位置情報として、通信ネットワーク5を介して管理サーバ4に送信する(S103)。この際、監視位置情報には、被監視者識別情報と時刻情報とが付加されて送信される。
【0069】
ここで、アプリケーション実行部14は、その後も位置情報を定期的に取得しており、当該位置が設定された自宅であるか否かを判断して(S121)、自宅以外では(S121における“N”)、位置情報を取得し、管理サーバ4へ配信しつづける。なお、ここでは、情報端末装置1自身が自宅エリア内か否かを判断したが、本発明は、これに限定するものではなく、例えば、取得した監視位置情報を管理サーバ4へ送信して、管理サーバ4でエリア内か否かを判断してもよい。また、情報端末装置1のアプリケーション実行部14上で追跡開始のトリガーを受け付けるようにしてもよい。この場合、ユーザー操作で追跡開始の操作が行われると外出信号が管理サーバ4へ送信される。
【0070】
管理サーバ4のデータ受信部422が、外出信号と監視位置情報を取得すると(S104)、履歴記録部424aでは、履歴データベース412に新しい履歴テーブルデータを生成する。具体的には、監視位置情報に付加された被監視者識別情報に基づいてテーブルデータを生成し、そのテーブルデータに監視位置情報を時刻情報とともに記録する。また、履歴記録部424aは、顧客データベース411を参照して、被監視者識別情報に関連付けられたドローン装置3を抽出し、そのドローン識別情報を履歴データベース412のテーブルに紐付ける。その後、管理部424では、紐付けられたドローン装置3に対して監視位置情報を配信する(S105)。なお、以後、情報端末装置1から送信された監視位置情報は、履歴記録部424aによって履歴として履歴データベース412に記録される。また、データ配信部423は、外出信号を取得すると、被監視者識別情報に基づいて、顧客データベース411を参照して、被監視者識別情報に関連付けられた監視用端末2に対して、外出開始を知らせる通知情報を電子メール又はWebデータ等で配信する。
【0071】
ドローン装置3の監視対象位置取得部33は、管理サーバ4から監視位置情報を取得すると(S106)、制御部34の制御によってドローン位置情報取得部37が、自機の現在位置をドローン位置情報として取得する(S107)。そして、移動制御部34aは、メモリ38内に蓄積された地図情報を参照して、ドローン位置情報と監視位置情報とに基づいて、自機の移動制御を行う(S108)。具体的に、移動制御部34aは、メモリ38内に蓄積された設定距離d3及び設定距離d1に基づいて、ドローン装置3を所定の高度d2となるように移動制御する。また、移動制御部34aは、監視位置情報及びドローン位置情報に基づいて、撮像装置36が情報端末装置1の方向を向くように撮像装置36の撮影方向を制御して、撮影可能か否かを判断する(S109)。
【0072】
ドローン装置3をと情報端末装置1とが距離d3であること、かつ、撮像装置36が情報端末装置1の方向を向いていることのいずれかの条件が満たさない場合には(S109における“N”)、条件が満たされるまで移動制御する。その後、ドローン装置3と情報端末装置1とが距離d3となるとともに、撮像装置36が情報端末装置1の方向を向いた場合には(S109における“Y”)、撮影制御部34bの制御によって撮像装置36を駆動させ、情報端末装置1及び非監視者を撮影する(S110)。撮影された画像情報は、メモリ38に一時的に蓄積される。
【0073】
ここで、被監視者を撮影した場合、異常検知部34cでは、撮影された映像を解析して、被監視者に対して異常が検知されているか否かを判断する(S111)。異常が発生していない場合には(S111における“N”)、撮影された画像や位置情報を配信するステップに遷移する。一方、異常が発生している場合には(S111における“Y”)、報知手段311及び攻撃手段312を駆動制御して、サイレンを出力する報知処理を行ったり、不審者に対してカラーボールや電極を射出させる攻撃処理を実行する(S112)。さらに、異常が発生した旨を知らせる異常検知信号を管理サーバ4に対して送信する。この異常検知信号は、管理サーバ4を介して関連付けられた監視用端末2に対して配信される。そして、異常を検知した場合も、その後、撮影された画像や位置情報を配信するステップに遷移する。
【0074】
撮影された画像や位置情報を配信するステップでは、制御部34の制御によってデータ送信部32から通信ネットワーク5を通じて、管理サーバ4にドローン位置情報と、撮像装置36が撮影した画像とが送信される(S113)。その後、ドローン装置3では、監視終了信号を取得しているか否かを判断し(S120)、監視終了信号を取得していない場合には(S120における“N”)、監視終了信号取得するまで、ステップS106〜ステップS113までの処理を繰り返す。
【0075】
管理サーバ4のデータ受信部422において、ドローン装置3から取得したドローン位置情報の履歴と、画像情報とを受信すると、履歴記録部424aでは、これらの情報を履歴データベース412に記録する(S114)。具体的に、履歴記録部424aは、ドローン位置情報及び画像情報と併せて取得したドローン識別情報に基づいて、該当する履歴テーブルを特定し、その履歴テーブル内にドローン位置情報や画像情報を時刻情報とともに履歴として記録する。
【0076】
その後、監視用端末2から管理サーバ4のWebサイトに対して、アクセスがあると(S115)、管理サーバ4の認証部421では、監視用端末2の表示画面に、ログインフォームを表示させ、ユーザー操作による認証情報の入力を受け付ける。そして、通信ネットワーク5を介して取得された監視者識別情報に基づいて、監視者記録部411aを照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認する(S116)。認証不可の場合にはアクセスを拒否し、認証された場合には、データ配信部423は、認証部421により認証された監視用端末2に対して位置情報の履歴や画像情報の配信を行う(S117)。なお、本実施形態において、認証部421は、利用時毎にID及びパスワードの入力を求めてもよいし、使用者の承諾がある場合には、端末情報のみで認証を許可するようにしてもよい。また、被監視者の位置情報及び画像情報は、監視用端末2からのアクセス有無にかかわらず、監視者記録部411aに記録されたメールアドレスなどを用いて、所定時間毎又はリアルタイムに電子メール形式で監視用端末2に配信してもよい。
【0077】
監視用端末2が位置情報の履歴や画像情報を受信すると(S118)、監視用端末2のアプリケーション実行部では、ブラウザソフトや電子メールソフトが実行され、地図上に情報端末装置1の位置情報や、画像情報が表示される(S119)。このような上記のステップS103〜ステップS119の処理は、被監視者が自宅に戻るまで繰り返される(S121における“N”)。被監視者が自宅に到着すると(S121における“Y”)、データ送信部32は、到着信号を管理サーバ4へ送信する(S122)。管理サーバ4の履歴記録部424aでは、その到着信号を取得すると(S123)、履歴データベース412の記録を終了するとともに、監視終了信号をドローン装置3へ送信する(S124)。
【0078】
ドローン装置3では、監視終了信号を取得すると、追跡制御を終了して追跡を終了する(S125)。ここで、ドローン装置3は、基地30へ自動的に帰還制御してもよいし、着陸後にユーザーが基地30へ運んでもよい。また、管理サーバ4のデータ配信部423は、監視用端末2に対して、監視が終了した旨を知らせる監視終了通知を電子メール形式等で通知する。
【0079】
なお、本実施形態において、データ送信部32は、ドローン位置情報と画像情報とを併せて管理サーバ4へ送信したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、ドローン位置情報は、移動開始(S108)から撮影処理実行(S110)までの間に所定時間毎に管理サーバ4へ配信され、画像情報は、撮影処理実行(S110)の後に送信されるなど、位置情報と画像情報とを別のタイミングで管理サーバ4へ送信してもよい。この場合には、ドローン装置3が被監視者に追いつく前におけるドローン装置3の移動履歴も記録でき、どのくらいの時間で被監視者に追いついたかなど詳細な情報を取得することができる。
【0080】
(作用・効果)
このような本実施形態では、三次元的な移動が可能なドローン装置3は、監視対象に携帯される情報端末装置1から、情報端末装置1の現在位置を示す監視位置情報を取得し、その監視位置情報と、自機の現在位置を示すドローン位置情報とに基づいて、自機の移動制御を行っているので、被監視者の位置と自機の位置とに基づいて、情報端末装置1を追跡することができるので、犯罪に巻き込まれる恐れのある被監視者には、ドローン装置が追跡していることで安心感を与えることができる。さらに、犯罪者側にとっては、被監視者の近くにいた場合であっても、その被監視者は、ドローン装置によって監視されていることが目視できるため、それ以降の行為を思いとどまらせる、或いは逃走心理を引き起こさせるというように、犯罪抑止力を発揮することが期待できる。また、本実施形態の管理サーバ4では、履歴データベース412内に、ドローン位置情報及び監視位置情報の履歴を取得して記録し、データ配信部423によって、その履歴を監視用端末2へ配信するので、親などの監視者は被監視者の位置情報を常時確認することができる。
【0081】
また、本実施形態において、ドローン装置3は、監視位置情報及びドローン位置情報に基づいて撮像装置36の撮影方向を制御して、被監視者の方向を撮影しているので、犯罪者にとっては、そのドローン装置に近づくと撮影されると考えて、それ以降の行為を思いとどまらせる、或いは逃走心理を引き起こさせるというように、犯罪抑止力を発揮することが期待できる。また、その撮影された画像は、管理サーバ4に送信され、通信ネットワーク5を介して監視用端末2へ配信されているので、監視者は監視対象となる被監視者を常時映像として監視することができる。
【0082】
さらに、本実施形態において、管理サーバのデータ配信部423は、当該管理サーバへのアクセスを規制する認証部421により認証されたユーザーに対して、配信を行っているので、認証部421によって認証されたユーザーのみ、被監視者の位置情報や画像を閲覧可能となり、不審者に被監視者の情報を与えることを防止してセキュリティを高めることができる。
【0083】
また、本実施形態では、異常検知部34cにおいて、被験者の異常を検知して、報知手段311や攻撃手段312を駆動制御しているので、例え、犯罪行為が生じた場合でも即時に警報を鳴らしたり、犯罪者に対して攻撃を行うので、犯罪者の犯罪行為を止めさせることができる。この際、異常検知信号は、管理サーバ4を介して監視用端末2へリアルタイムに送信されるので、保護者は異常があった旨を即時に知ることができる。また、本実施形態では、外出開始、及び帰宅した際にそれぞれ監視用端末2に対して通知しているので、ドローン装置3が正常に稼働していることを通知させ、監視者に安心感を与えることができる。さらに、本実施形態では、被監視者が所定のルートから外れた場合、報知手段311によって警告を行うようになっているので、子供などが帰宅時に寄り道してしまうことを抑止させることができる。
【0084】
[第2実施形態]
次いで、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、ドローン装置3にスケジュール機能を持たせ、ドローン装置3が被監視者を目的地まで追跡した後、自動で自宅まで帰還する場合について説明する。
図8は、本実施形態に係る管理サーバ4の内部構成を示すブロック図であり、
図9は、本実施形態に係るドローン装置3の移動状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0085】
本実施形態では、
図8に示すように、管理サーバ4の管理部424には、スケジュール管理部424bが備えられる。スケジュール管理部424bは、監視者が設定した被監視者に対する監視のスケジュールを受け付け、スケジュール情報を生成するモジュールである。このスケジュール情報には、出発地の位置情報と目的地の位置情報とが含まれるとともに、出発地から目的地までのルート情報や、ドローン装置3の帰還時におけるルート情報が含まれる。なお、このスケジュール情報には、各位置に対する到着時刻も設定可能である。
【0086】
ここで本実施形態では、
図9に示すように、目的地である学校近くに充電用の基地30aが配置されており、帰還前にこの基地30aで充電を行わせるようになっている。そして、この基地30aの位置情報についてもスケジュール情報に含まれている。これらの各情報が含まれたスケジュール情報は、監視用端末2のWebページ上で設定可能であり、生成されたスケジュール情報は、データ配信部423によって、ドローン装置3に送信されてドローン装置3内のメモリ38に蓄積される。
【0087】
そして、
図9に示すように、自宅から学校まで追跡する場合には、先ず、ドローン装置3は、上述した第1実施形態と同様に情報端末装置1を所持する被監視者を追跡する。その後、被監視者が目的地である学校に到着したことを検知すると、ドローン装置3は自動で自宅へ帰還する帰還制御モードとなる。
【0088】
帰還制御モードでは、先ず、基地30aの位置情報に基づいて基地30aまで移動し、一定時間充電した後に、所定のルートで自宅まで帰還移動し、自宅の基地30上に着陸して処理を終了する。この際、ドローン装置3では、自己のドローン位置情報を取得しつつ、メモリ38内のスケジュール情報のルート情報を参照し、ルート情報とドローン位置情報を対比して自宅へ移動するように制御している。なお、学校から自宅までのルート情報としては、基地30aから自宅までの最短距離を経路としてもよいし、道路に沿った経路となっていてもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、ドローン装置3のスケジュール情報に、被監視者が学校から帰宅する時間に学校に待機するスケジュールを追加して、帰宅時間となったら、監視位置情報を取得して追跡を開始し、学校から自宅まで被管理者を追跡するように制御してもよい。
【0090】
このような実施形態によれば、被監視者を学校や塾などの目的地まで追跡した後、被監視者が自宅に一定時間帰宅しない場合であっても、ドローン装置3は自動で自宅まで帰還するので、被監視者を追跡可能とするとともに、ドローン装置3を回収するなどの煩雑な作業をなくすことができる。
【0091】
[第3実施形態]
次いで、第3実施形態について説明する。ここでは、目的地までの距離が長く、複数のドローン装置3で追跡する場合の処理について説明する。
図10は、本実施形態に係るドローン装置3の移動状態を示す説明図である。なお、本実施形態において、上述した第1及び第2実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0092】
本実施形態では、
図10に示すように、自宅に配置されるドローン装置3aと、自宅と学校の中間地点に配置されるドローン装置3bとを有している。ドローン装置3a及び3bは、上述した第2実施形態で説明した機能を有する装置である。また、学校付近に基地30dが設置され、中間地点P1には基地30b及び30cが設置されている。
【0093】
そして、管理サーバ4のスケジュール管理部424bでは、ドローン装置3a及びドローン装置3bのそれぞれに、各自のスケジュール情報を生成して各装置に配信しており、ドローン装置3a及びドローン装置3bのメモリ38内には、各スケジュール情報が蓄積されている。
【0094】
具体的には、ドローン装置3aのメモリ38内には、自宅(基地30)の位置情報、中間地点P1までの位置情報、及び基地30bの位置情報を含むとともに、自宅から中間地点P1までのルート情報、中間地点P1から基地30bまでのルート情報、及び基地30bから自宅までのルート情報が含まれている。また、このスケジュール情報には、ドローン装置3bは追跡が終了した後、基地30bに着陸して充電を行い、その後、自宅へ帰還する自動帰還モードが設定されている。なお、基地30bから自宅へのルート情報としては、基地30bから自宅までの最短距離を経路としてもよいし、道路に沿った経路となっていてもよい。
【0095】
一方、ドローン装置3bのメモリ38には、中間地点P1の待機場所(基地30c)の位置情報、目的地である学校の位置情報、及び学校近くの基地30dの位置情報を含むとともに、基地30cから中間地点P1までのルート情報、中間地点P1から学校までのルート情報、基地30dから基地30cまでのルート情報が含まれている。また、このスケジュール情報には、学校まで到着した後に自動帰還モードとなるように設定されている。具体的には、ドローン装置3bが学校まで追跡が終了した後、当該基地30dに着陸して充電を行い、その後、待機場所である基地30cへ帰還するように設定されている。なお、基地30dから基地30cまでのルート情報としては、基地30dから基地30cまでの最短距離を経路としてもよいし、道路に沿った経路となっていてもよい。
【0096】
このような構成を有する監視システムを動作させると、ドローン装置3aは、先ず、上述した第1実施形態と同様に被監視者を追跡する。この際、ドローン装置3aは出発した信号を管理サーバ4へ送信し、管理サーバ4はその出発した信号を監視位置情報とともに履歴データベース412に履歴として記録するとともに、ドローン装置3bに送信する。ドローン装置3bでは、その情報を取得すると、情報内の時刻情報に基づいて、中間地点P1の到着時刻を予測し、到着時刻に中間地点P1に到着するように移動制御を開始する。
【0097】
ドローン装置3aでは、自宅から中間地点P1までのルート情報を保持しており、被監視者がそのルートから外れた場合には、報知手段311によって、警告を行うようにして監視を行いつつ、中間地点P1まで追跡するとともに被監視者を撮影する処理を行い、所得されたドローン位置情報及び画像情報はリアルタイムに管理サーバ4へ送信される。その後、ドローン装置3aは、情報端末装置1が中間地点P1に到着したことを検知すると、ドローン装置3は自動帰還モードとなり、先ず、基地30bの位置情報に基づいて基地30bまで移動し、一定時間充電した後に、所定のルートで自宅まで帰還移動するようになっている。この際、ドローン装置3では、自己のドローン位置情報を取得しつつ、メモリ38内のスケジュール情報を参照し、ルート情報に従って基地30cへ帰還制御するようになっている。帰還後は、自宅の基地30上に着陸して終了する。
【0098】
一方、ドローン装置3bでは、中間地点P1から監視位置情報を管理サーバ4から取得して情報端末装置1を追跡する。この際、ドローン装置3bでは、被監視者を撮影した画像とドローン位置情報をリアルタイムに管理サーバ4へ送信する。ドローン装置3bでは、情報端末装置1が学校に到着するまで追跡する。そして情報端末装置1が学校に到着したことを検知すると、ドローン装置3bは自動帰還モードとなり、先ず、基地30dの位置情報に基づいて基地30dまで移動し、一定時間充電した後に、所定のルートで待機場所の基地30cまで帰還移動するようになっている。この際、ドローン装置3bにおいても、自己のドローン位置情報を取得しつつ、メモリ38内のスケジュール情報を参照し、ルート情報に従って基地30cへ帰還制御するようになっている。帰還後は、待機場所の基地30c上に着陸して処理を終了する。
【0099】
このような実施形態によれば、被監視者の目的地に距離があり、一台のドローン装置3では追跡不能である場合でも、複数のドローン装置3a及び3bを用いることで、被監視者を学校や塾などの目的地まで追跡することができる。また、この場合であっても、ドローン装置3a及び3bは、所定の位置まで追跡した後は、自動で所定位置まで帰還するので、ドローン装置3を回収するなどの煩雑な作業をなくすことができる。
【0100】
なお、本実施形態においても、ドローン装置3a及び3bのスケジュール情報に、被監視者を帰宅時に追跡するようなスケジュールを追加してもよい。この場合、ドローン装置3bのメモリ38には、帰宅予定時刻に学校近くに待機するとともに、中間地点P1まで追跡した後、基地30cに帰還するスケジュールが追加される。一方、ドローン装置3aは、帰宅予定時刻に基地30bに待機するとともに、帰宅開始信号を管理サーバ4から取得すると、中間地点P1の到着時刻を予測し、その時刻前に中間地点P1に到着するように制御する。そして、情報端末装置1が中間地点P1に到着した後は、自宅まで被監視者を追跡するように移動制御する。
【0101】
[変更例]
なお、上述した各実施形態では、情報端末装置1で取得された監視位置情報は管理サーバ4へ送信され、その後管理サーバ4からドローン装置3へ配信される構成としたが、本発明は、これに限定するものではなく、情報端末装置1からドローン装置3へ直接、監視位置情報を送信する構成であってもよい。
【0102】
この場合には、情報端末装置1のメモリ38には、通信先であるドローン装置のIPアドレス等が蓄積されており、ステップS103において、無線インターフェース11は、移動開始信号と監視位置情報とをドローン装置3へ送信する。ドローン装置3の監視対象位置取得部33は、情報端末装置1から、当該情報端末装置1の監視位置情報を取得する。そして、移動制御部34aでは、ドローン位置情報を取得し、監視位置情報とドローン位置情報とに基づいて情報端末装置1を追跡する移動制御を開始する。
【0103】
その後、ドローン装置3のデータ送信部32では、ステップS113において、ドローン位置情報と画像情報とに加え、取得した監視位置情報も併せて管理サーバ4へ送信するようになっている。管理サーバ4の履歴記録部424aでは、ドローン装置3から取得したドローン位置情報、監視位置情報、及び画像情報の履歴を取得して、履歴データベース412に随時記録し、その履歴情報を監視用端末2へ配信するようになっている。
【0104】
このような変更例によれば、情報端末装置1とドローン装置3とが直接通信を行うため、ドローン装置3は、即時に情報端末装置1の監視位置情報を検知して追跡することができるとともに、管理サーバ4側の処理負担を軽減することができる。
【0105】
さらに、上述した実施形態では、ドローン装置3,3a,3bにおいて、被監視者の異常を検知したが、例えば、異常検知部34cの機能を管理サーバ4に持たせてもよい。この場合、管理サーバ4では、ドローン装置3,3a,3bから送信された画像情報や監視位置情報に基づいて異常の有無を判別し、異常が発生したと判断した場合には、異常検知信号をドローン装置3に対して送信する。ドローン装置3の制御部34では、この異常検知信号に基づいて、報知手段311又は攻撃手段312を駆動制御する。この場合には、画像解析などの処理は管理サーバ4側で処理するので、ドローン装置の製造コストを低減させることができる。