特許第6469992号(P6469992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469992
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】化粧料サンプル
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20190204BHJP
   A61K 8/00 20060101ALN20190204BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALN20190204BHJP
【FI】
   A45D40/00 V
   !A61K8/00
   !A61Q1/06
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-171664(P2014-171664)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-43179(P2016-43179A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 廉雄
(72)【発明者】
【氏名】平尾 卓也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 誠士
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3068287(JP,U)
【文献】 実開平02−106121(JP,U)
【文献】 落合孝明,金型設計屋2代目が教える「量産設計の基本」(3)角Rを付ける理由、そして公差とな何か?,[online],2012年 6月20日,インターネット,URL,http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1206/20/news008.html
【文献】 冠木公明著,プラスチック成形品の信頼性設計,日本,株式会社 工業調査会,2002年 8月15日,初版,p.106−108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00
A61K 8/00
A61Q 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性化粧料を試供させるためのサンプルであって、その表面に少量の油性化粧料が層状に保持される略板状の化粧料保持部と、この化粧料保持部の裏面側に設けられ表面側の油性化粧料に手を触れることなく全体を持ち上げることのできる把持部とを備え、上記化粧料保持部の、油性化粧料を保持する表面の周縁部には、化粧料脱落防止用の環状壁が設けられ、この環状壁の上面が、径方向断面が凸円弧状の曲面に形成され、同じくこの環状壁の内周面が、径方向断面が凹円弧状の曲面に形成されており、上記化粧料保持部の表面に設けられた環状壁の高さHが0.1〜1.0mmに設定され、この環状壁上面の、径方向断面における凸円弧状の曲率半径Rが0.08〜0.3mmに設定され、同じくこの環状壁内周面の、径方向断面における凹円弧状の曲率半径Sが0.5〜1.5mmに設定されていることを特徴とする化粧料サンプル。
【請求項2】
上記化粧料保持部の、油性化粧料を保持する表面が、上記化粧料保持部を上にしてこの化粧料サンプルを垂直に立てた状態において、垂直方向に対し45〜60°傾斜している請求項1記載の化粧料サンプル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試供用のサンプルとして顧客に配布される化粧料サンプルに関するものである。
【0002】
従来、化粧品会社では、新製品の広告や何らかのキャンペーンを行う場合、新製品やキャンペーンにかかる商品の中身をサンプル分として少量だけ包装した化粧料サンプルを、店頭や街頭で無料配布したり、ダイレクトメールで送付したりすることが多い。
【0003】
このような化粧料サンプルのうち、口紅やアイシャドウといった油性化粧料のサンプルルとしては、例えば、図7に示すようなカードタイプのものが汎用されている。このものは、厚紙を積層した台紙1において、その表層部分に切欠き穴2を設け、その下層に化粧料3を少量だけ塗工して上記切欠き穴2から露出させ、切欠き穴2の開口をフィルム4で被覆したものである。このサンプルを使用するには、まず、フィルム4を剥がし、内側の化粧料3を化粧チップ等で擦り取って、唇や肌に塗布することが行われる。
【0004】
しかしながら、化粧料のなかでも口紅は、実際には、スティックタイプの商品が多いため、このようなカードタイプの化粧料サンプルでは、実際に唇にスティックタイプの化粧料を塗布する場合の伸びやすさや肌触りの感触を実感することができず、試供品として充分に満足できるものとは言えない。
【0005】
一方、図8に示すように、スティックタイプの口紅化粧料を模した使い捨ての試供用口紅が提案されている(特許文献1を参照)。このものは、実際の商品形状を模した筒状のボディ5の先端に、傾斜した端面6が設けられており、この端面6に、1回ないし数回分の口紅化粧料7が盛られた構造になっている。8はキャップである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3068287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のものは、端面6に盛られた口紅化粧料7が、端面6から滑り落ちやすく、これを唇に当てて塗ろうとしても、唇に口紅化粧料7が付着する前に、端面6から浮き上がってずれたり、脱落したりしやすいという問題がある。そのため、端面6を砂目様の粗面にしたり、縦横に延びる小さな溝を多数設けたり、凹球面にしたりすることが提案されているが、口紅化粧料7の量が、1回分あるかないかのごく少量である場合には、これらの対応が一定の効果を奏するものの、口紅化粧料7の量が1回分を超えて多くなると、あまり効果がない。したがって、このものは、かろうじて1回だけ使用して使い捨てる店頭用のサンプルとして用いるか、従来と同様、刷毛やチップの使用を推奨するしかなく、スティックタイプの実際の商品の使用感をじっくり試すためのサンプルとしては、まだまだ不充分なものである。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、肌や唇に直接当てて化粧料を塗布しても化粧料がずれたり脱落したりせず、その伸び具合や感触をしっかり試すことのできる、優れた化粧料サンプルの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、油性化粧料を試供させるためのサンプルであって、その表面に少量の油性化粧料が層状に保持される略板状の化粧料保持部と、この化粧料保持部の裏面側に設けられ表面側の油性化粧料に手を触れることなく全体を持ち上げることのできる把持部とを備え、上記化粧料保持部の、油性化粧料を保持する表面の周縁部には、化粧料脱落防止用の環状壁が設けられ、この環状壁の上面が、径方向断面が凸円弧状の曲面に形成され、同じくこの環状壁の内周面が、径方向断面が凹円弧状の曲面に形成されており、上記化粧料保持部の表面に設けられた環状壁の高さHが0.1〜1.0mmに設定され、この環状壁上面の、径方向断面における凸円弧状の曲率半径Rが0.08〜0.3mmに設定され、同じくこの環状壁内周面の、径方向断面における凹円弧状の曲率半径Sが0.5〜1.5mmに設定されている化粧料サンプルを第1の要旨とする。
【0010】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記化粧料保持部の、油性化粧料を保持する表面が、上記化粧料保持部を上にしてこの化粧料サンプルを垂直に立てた状態において、垂直方向に対し45〜60°傾斜している化粧料サンプルを第2の要旨とする。
【0011】
なお、本発明において、上記環状壁の上面および内周面の「径方向」とは、その環状の中心から環状壁に向かって垂線を延ばす方向をいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧料サンプルは、その表面に少量の油性化粧料が層状に保持される略板状の化粧料保持部と、全体を持ち上げるための把持部とを備えている。したがって、この把持部を持って、上記化粧料保持部の油性化粧料保持面を肌(唇を含む)に当てることにより、実際に、それがスティックタイプの油性化粧料であるかのような動作で、それを肌に塗布したときの色味と使用感を実感することができる。
【0013】
しかも、上記化粧料保持部の、油性化粧料を保持する表面の周縁部に、化粧料脱落防止用の、特殊な形状の環状壁が設けられているため、2、3回分の化粧料を層状に保持させた場合であっても、これを肌に当ててうまく塗布することができ、化粧料だけがずれたり落下したりすることがない。そして、肌への感触も滑らかで違和感がない。
【0014】
そして、本発明では、特に、上記化粧料保持部の表面に設けられた環状壁の高さHが0.1〜1.0mmに設定され、この環状壁上面の、径方向断面における凸円弧状の曲率半径Rが0.08〜0.3mmに設定され、同じくこの環状壁内周面の、径方向断面における凹円弧状の曲率半径Sが0.5〜1.5mmに設定されているため、とりわけ、肌への使用感が良好で、化粧料保持性能にも優れてる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
図2】(a)は図1のX−X′断面の拡大図、(b)はその要部をさらに拡大した説明図である。
図3】(a)は上記実施の形態である化粧料サンプルをブリスターパックに収容した例を示す平面図、(b)は上記ブリスターパックを開いた状態を示す説明図である。
図4図3(b)のY−Y′矢視図である。
図5】(a)〜(c)は、いずれも上記実施の形態における天面部の変形例を示す説明図である。
図6】(a)は本発明の他の実施の形態を示す正面図、(b)はそのZ−Z′断面の拡大図である。
図7】従来の化粧料サンプルの一例を示す斜視図である。
図8】従来の化粧料サンプルの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態である化粧料サンプル10の斜視図であり、図2(a)は、そのX−X′断面の拡大図である。すなわち、この化粧料サンプル10は、全体が有天略筒状に一体成形された樹脂ケース11の天面部12に、油性化粧料(この例では口紅化粧料)13を充填保持したものである。なお、油性化粧料13は、流動性の高い状態で充填されるため、表面張力によってその中央がやや盛り上がった形状で層状に保持されている。
【0018】
より詳しく説明すると、上記樹脂ケース11は、その胴体部14の上部は円筒状で、その下部が、この部分の持ちやすさを考慮して、四角筒状の袴部14aになっている。そして、上記樹脂ケース11の天面部12は、筒状の胴体部14に対し、角度60°の傾斜面になっており、その表面の周縁部に、浅い環状壁15が形成されている。
【0019】
上記環状壁15は、この部分をさらに拡大して示す図2(b)(油性化粧料13の図示を省略)に示すように、その上面15aが、径方向断面が凸円弧状の曲面に形成され、同じくこの環状壁15の内周面15bが、径方向断面が凹円弧状の曲面に形成されている。したがって、この環状壁15の、油性化粧料13と接する部分は、全てなだらかな曲面となっており、平面で油性化粧料13と接する場合に比べて接触面積が大きくなっている。
【0020】
この化粧料サンプル10は、通常、樹脂ケース11自体が、サンプルとなる油性化粧料13の色と略同一の色に着色され、一目で、この化粧料サンプル10の油性化粧料13の色が把握できるようになっている。したがって、顧客は、この化粧料サンプル10の袴部14aに指をかけてこれを把持し、天面部12の表面に充填保持された油性化粧料13を唇に押し当てて横にずらすことにより、実際のスティックタイプの油性化粧料を唇に塗布する場合と同様にして、この化粧料サンプル10を試すことができる。
【0021】
そして、この化粧料サンプル10によれば、油性化粧料13を唇に塗布する際、油性化粧料13の片側にかかる横向きの力を、環状壁15の、その反対側の部分における湾曲した内周面15bで受けることができるため、油性化粧料13自身は、この環状壁15の内側に、安定した状態で保持される。したがって、ずれや脱落を生じることがなく、これをスムーズに塗布することができる。しかも、この環状壁15の形状によれば、唇に油性化粧料13を塗布する動作時に、上記環状壁15が唇に引っかかる等して違和感を与えるようなことがなく、その使用感も良好である。
【0022】
なお、上記化粧料サンプル10は、色見本を兼ねるテスターとして店頭で陳列して、来店する顧客に試供させるのに用いることができる他、例えば、図3(a)に示すように、色の異なる化粧料サンプル10を複数本組み合わせ、簡易な二つ折りのブリスターパック20を用いてパッケージ化する等して、店頭や街頭で配布したり、ダイレクトメールで送付したりすることができる。
【0023】
上記ブリスターパック20は、これを左右に開いた状態を示す図3(b)と、そのY−Y′矢視図である図4に示すように、その左右の面21、22を互いに重ね合わせることによって、複数(この例では3本)の化粧料サンプル10を互いに独立した状態で挟み込んで保持できるようになっている。すなわち、向かって左側の面21には、右側の面22と嵌合するために一段高くなった突出面23から下向きに、横倒しになった化粧料サンプル10を、その約3分の2の深さまで嵌入しうる凹部24が、3個形成されている。そして、各凹部24には、化粧料サンプル10を取り出しやすくするために、その左右縁部(奥側の凹部24aについては片方のみ)に平面視半円状の凹部25が延設されている。
【0024】
また、向かって右側の面22には、左側の面21と嵌合するために一段低くなった凹み面26から下向きに、横倒しになった化粧料サンプル10の上から約3分の1の部分を嵌入しうる凹部27が、左側の面21の凹部24の配置と左右対称の配置で、3個設けられている。なお、奥側の凹部27aは他の2つの凹部27より長く延びており、各凹部27、27aの内周面は、その片端から途中まで灰色に着色されている。したがって、各化粧料サンプル10は、その胴体部14(図1参照)の根元部分が、この灰色の着色部28に隠されて、全体が、スティックタイプの商品においてその繰り出し筒から油性化粧料が繰り出された状態になっているかのように見えて、見栄えがよい。
【0025】
そして、このブリスターパック20入りの化粧料サンプルセットを入手した顧客は、ブリスターパック20を開き、凹部24内から化粧料サンプル10を1個ずつ取り出して色を試すようにすれば、他の化粧料サンプル10が勝手に転がって、その先端の油性化粧料13が周囲を汚したりすることがなく、使い勝手がよい。
【0026】
なお、上記の例において、化粧料サンプル10の樹脂ケース11は、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS)からなり、射出成形による一体成形品である。ただし、成形方法および材料樹脂の種類は、これに限るものではなく、成形性と着色性に優れたものであれば、どのような製法、材料によっても差し支えない。そして、天面部12に設けられた環状壁15の部分を除いた全体の厚みは、通常、0.5〜2.0mmが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5mmである。上記厚みが薄すぎると、強度的に弱くなって保管時や運搬時にひび等の損傷が発生するおそれがあり、逆に厚みが厚すぎると、重たくなって化粧料サンプル10としての取り扱い性が悪くなるおそれがある。
【0027】
また、上記の例において、上記樹脂ケース11の天面部12に設けられる環状壁15の形状は、すでに述べたように、その内側に充填される油性化粧料13を安定的に保持する上で、重要である。また、この部分を唇に当てたときに違和感を与えないためにもその先端形状が重要である。これらの見地から、上記環状壁15の上面15aは、上記の例のように、その径方向断面が凸円弧状の曲面であることが必要であり、同じく上記環状壁15の内周面15bは、径方向断面が凹円弧状の曲面であることが必要である。
【0028】
そして、上記化粧料サンプル10は、上記環状壁15の高さH〔図2(b)参照〕が0.1〜1.0mmに設定され、この環状壁上面15aの、径方向断面における凸円弧状の曲率半径Rが0.08〜0.3mmに設定され、同じくこの環状壁内周面15bの、径方向断面における凹円弧状の曲率半径Sが0.5〜1.5mmに設定されていなければならない。すなわち、上記環状壁15の形状がこのように設定されていると、とりわけ、肌への使用感が良好で、化粧料保持性能にも優れたものとなる。
【0029】
ちなみに、上記の例では、樹脂ケース11の胴体部14における円筒部分の外径が12.3mm、天面部12の傾斜角度が60°になっており、この天面部12の周縁部に形成される環状壁15は、その高さHが0.4mm、上面15aの曲率半径Rが0.15mm、内周面15bの曲率半径Sが1.0mmに設定されている〔図2(b)を参照〕。
【0030】
なお、上記天面部12の形状は、上記の例では平板状であるが、油性化粧料13の組成によっては、平板状の天面部12からずれやすくなる場合もある。その場合は、例えば図5(a)に示すように、天面部12を凹んだ湾曲面にしたり、あるいは図5(b)に示すように、天面部12の表面をシボ面にしたり、意図的に凹凸溝を形成したりしても差し支えない。したがって、本発明において、「略板状の化粧料保持部」である天面部12には、湾曲した略板状や凹凸が付与された略板状の天面部も含む趣旨である。
【0031】
また、上記の例において、天面部12を、胴体部14に対し60°の角度で傾斜させたのは、油性化粧料13として口紅化粧料を用いる場合、このように、45〜60°程度の傾斜をつけることが、唇への塗布作業がしやすく好適だからである。ただし、場合によっては、図5(c)に示すように、天面図12に傾斜をつけないものであっても差し支えない。
【0032】
また、上記樹脂ケース11の胴体部14は、上記の例では、上部を円筒状とし、下部を四角筒状の袴部14aとしたが、これに限らず、例えば全体を四角筒や六角筒等の多角筒状にしたり、持ちやすい湾曲形状や凹凸形状を付加したりしたものであってもよい。あるいは、完全な筒状体ではなく、例えば図6(a)およびそのZ−Z′断面の拡大図である図6(b)に示すように、その周壁の大半が切り欠かれて、天面部12の裏面側から、ごく幅の狭い把持部30が延びている形になっているものであってもよい。この構成によれば、樹脂ケース11に使用する樹脂量を大幅に低減することができ、材料費のコストダウンを図ることができる。そして、上記把持部30を手で持てば、その先端の天面部12に充填保持された油性化粧料13を、肌に当てて塗布することができ、良好に使用することができる。
【0033】
さらに、化粧料サンプル10の胴体部14の少なくとも一部と嵌合してこれらを安定した形で保持することのできるホルダーを準備し、化粧料サンプル10を、アタッチメントとしてつぎつぎと交換できるようにしてもよい。このようにすれば、化粧料サンプル10の胴体部14の形状を、より簡単なものにすることができる。
【0034】
なお、上記の例は、油性化粧料13として口紅化粧料を用いたが、これに限らず、アイカラー、チークカラー、フェイスシャドウ、コンシーラー等、各種の油性化粧料を用いることができる。
【実施例】
【0035】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。
【0036】
〔実施例1〜7、比較例1〜4〕
まず、油性化粧料として、下記の組成の口紅化粧料を準備した。そして、このものを、
後記の表1〜表3に示す樹脂ケースの天面部に、それぞれ0.1gずつ充填保持させることにより、目的とする実施例品、比較例品となる化粧料サンプルを得た。
〈口紅化粧料の組成〉
パラフィンワックス 5.0重量部
セレシン 5.0 〃
マイクロクリスタリンワックス 3.0 〃
ワセリン 10.0 〃
水添ポリイソブテン 20.0 〃
リンゴ酸ジイソステアリル 10.0 〃
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 残量
赤201 0.2 〃
赤202 1.0 〃
酸化鉄 0.5 〃
酸化チタン 1.0 〃
パール 3.0 〃
【0037】
そして、これらの実施例品、比較例品に対し、下記の各評価項目について下記の手順に従って評価を行い、その結果を後記の表1〜表3に併せて示した。
【0038】
〈充填性〉
各化粧料サンプルを30個ずつ準備し、それぞれの天面部における口紅化粧料の充填状態について観察した。そして、30個のうち、口紅化粧料が天面部の側面側に垂れていたり、周縁部まで充分に充填されていなかったりする充填不良品の個数を数えて、下記のとおり評価した。
○…0個 △…1〜9個 ×…10個以上
【0039】
〈耐熱性〉
各化粧料サンプルを30個ずつ準備し、55℃の雰囲気下において、図2(a)に示すような横倒しの姿勢で、24時間放置した。そして、30個のうち、口紅化粧料がずれたり脱落したものの個数を数えて、下記のとおり評価した。
○…0個 △…1〜9個 ×…10個以上
【0040】
〈感触〉
専門モニター15名に、各化粧料サンプルを試供させ、唇に塗布したときの感触を、その使い始めと使い終わりの2つの時期に分けて評価させた。評価基準は下記のとおりとし、最も多い人数の評価を、その評価とした。
○…全く違和感がない ○′…殆ど違和感がなく問題ない △…やや違和感があり気になる ×…大きな違和感があり使用しにくい
【0041】
〈使用中のずれ〉
各化粧料サンプルを30個ずつ準備し、専門モニター15名が、各化粧料サンプルを2個ずつ試供し、計30個のうち、使用中に口紅化粧料がずれたり脱落したりしたものの個数を数えて合計して、下記のとおり評価した。
○…0個 △…1〜9個 ×…10個以上
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
上記表1〜表3の結果から、実施例品は、いずれも各評価項目について概ね良好な評価が得られていることがわかる。これに対し、比較例品は、いずれかの項目において「△」もしくは「×」の評価があり、実用に適していないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、スティックタイプの油性化粧料を試供するためのサンプルとして利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 化粧料サンプル
12 天面部
13 油性化粧料
14 胴体部
15 環状壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8