(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、へら釣りを行う際にはへら竿(釣竿)を置くための竿掛けが使用される。該竿掛けは、釣り座や釣り台、釣船等の桟に、万力で固定して使用される。該竿掛けは、炭素繊維等の強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻回し加熱焼成して形成された複数の筒状体を備え、それらの筒状体同士を着脱自在に連結させて長さを調整する。例えば、長いへら竿を使用する場合には、多数の筒状体を継ぎ合わせて竿掛けを長くする。逆に、短いへら竿を使用する場合には、使用する筒状体の本数を減らして竿掛けの全長を短くする。このような竿掛けの先端に枕を取り付け、万力の支持軸部を竿掛けの後端部に差し込むようにして万力に竿掛けをセットし、枕にへら竿の中途部分を支持させ、また、万力の竿受けにはへら竿の元部を支持させる。
【0003】
これらの筒状体同士を連結するための構造として印籠継ぎがある。この印籠継ぎは、一方の筒状体の端部に芯材を挿入して固定し、この芯材を他方の筒状体の端部に挿入して着脱自在に連結するものである。このような印籠継ぎでは、一方の筒状体の芯材の外周面と他方の筒状体の内周面との間の摩擦力によって連結状態を維持する構成であるため、芯材の外径と筒状体の内径の寸法精度が重要になる。その一方、長期の使用によって芯材の外周面や筒状体の内周面が摩耗したり、あるいは、温度等の影響で寸法が変化する可能性がある。そのため、連結状態において、一方の筒状体の端面と他方の筒状体の端面とが当接せずに両端面の間に所定の隙間が形成される構成とされる。しかしながら、筒状体同士の間に隙間が形成されると、その隙間から芯材が見えることになるため、連結部分の美観が損なわれるという問題がある。特にへら釣りにおいては、竿や竿掛け、枕、万力、玉網といった各種の釣り用品の素材や装飾に対して釣り人は風情や趣味性を強く求める。従って、筒状体同士の連結部分に隙間が存在していることは外観上好ましくない。
【0004】
かかる問題に対して本出願人は既に下記特許文献1所載の連結構造を提案している。該連結構造では、筒状体の端面同士の間の隙間をスリーブで覆い隠すというものである。このようにスリーブで隙間を外側から覆うことで良好な外観体裁が得られる。しかしながら、かかる構成においても、一方の筒状体の芯材を若干テーパ状に形成しておいてその芯材を他方の筒状体に強く押し込むことによって摩擦力を発生させ、その摩擦力で連結状態を維持する構成であるため、他方の筒状体に向けて一方の筒状体の芯材を必要以上に強く押し込みやすい。つまり、芯材の停止位置が定まっていないため、必要以上に芯材を押し込もうとする結果、摩擦力が過度に大きくなりやすい。そのため、逆に連結状態を解除する際には芯材が抜けにくくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、良好な外観体裁が得られると共に連結及び連結解除の操作性に優れた筒状体の連結構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る筒状体の連結構造は、竿掛けや玉ノ柄を構成する
第一及び第二の筒状体同士を着脱自在に連結するための構造であって、
第一及び第二の筒状体はそれぞれプリプレグの巻回により形成された筒状体本体を備え、第一の筒状体の
筒状体本体には
該筒状体本体の端面から所定長さ突出するように雄側部材が挿入固定され、
第二の筒状体の筒状体本体の端部に小径部が形成され、該小径部の外周面に雌側筒体が装着されており、第一の筒状体の筒状体本体の端面が
雌側筒体の端面に当接するまで雄側部材の突出部は
雌側筒体に嵌入可能であり、雄側部材の突出部の外周面と
雌側筒体の内周面のうち一方には軸線方向に延びる係合凹溝が形成され且つ他方には係合凹溝に係合する係合凸条が形成され、雄側部材の突出部を
雌側筒体に嵌入した状態で、雄側部材の突出部の外周面と
雌側筒体の内周面との間のクリアランス分、一方の筒状体を他方の筒状体に対して周方向に回転させることにより、雄側部材の突出部の外周面と
雌側筒体の内周面との間の周方向の摩擦力で連結状態が維持されるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る筒状体の連結構造は、竿掛けや玉ノ柄を構成する第一及び第二の筒状体同士を着脱自在に連結するための構造であって、第一及び第二の筒状体はそれぞれプリプレグの巻回により形成された筒状体本体を備え、第一の筒状体の筒状体本体には該筒状体本体の端面から所定長さ突出するように雄側部材が挿入固定され、第二の筒状体の筒状体本体の端部には雌側筒体が装着されており、第一の筒状体の筒状体本体の端面が雌側筒体の端面に当接するまで雄側部材の突出部は雌側筒体に嵌入可能であり、雄側部材の突出部の外周面には軸線方向に延びる係合凹溝が形成され且つ雌側筒体の内周面には係合凹溝に係合する係合凸条が形成されており、雄側部材の突出部を雌側筒体に嵌入した状態で、雄側部材の突出部の外周面と雌側筒体の内周面との間のクリアランス分、一方の筒状体を他方の筒状体に対して周方向に回転させることにより、雄側部材の突出部の外周面と雌側筒体の内周面との間の周方向の摩擦力で連結状態が維持されるように構成されており、係合凸条に対応した雌側筒体の外周面の位置には竹の芽状の凹部が形成され、且つ、第一の筒状体の筒状体本体の端面と雌側筒体の端面が当接する箇所が竹の節の筋の模様とされて、連結部分が竹の節に模されていることを特徴とする。
【0008】
該構成の連結構造にあっては、第一の筒状体と第二の筒状体とを連結するに際して第一の筒状体の雄側部材を第二の筒状体に挿入していくのであるが、雄側部材の外周面と第二の筒状体の端部内周面には係合凹溝又は係合凸条が形成されているので、第二の筒状体に対して第一の筒状体が所定の周方向の位置になった状態で挿入していくことになる。雄側部材を挿入していくとやがて第一の筒状体の筒状体本体の端面が第二の筒状体の端面に当接し、それ以上挿入することができない状態となる。そして、その状態から第一の筒状体を第二の筒状体に対して周方向に回転させる。雄側部材の突出部の外周面と第二の筒状体の端部内周面との間には僅かではあるがクリアランスが存在している。従って、そのクリアランスに相当する角度、第一の筒状体を第二の筒状体に対して相対的に回転させると、係合凹溝の壁面が係合凸条に乗り上げようとし、雄側部材は周方向の反対側に押されて、いわゆるこじた状態となる。このような周方向の回転によって雄側部材の外周面と第二の筒状体の端部内周面との間に摩擦力が生まれ、その摩擦力によって連結状態が維持される。竿掛けや玉ノ柄は、通常の釣竿とは異なり、竿を振るという操作が行われないため、小さい摩擦力であっても筒状体同士の連結状態は維持される。そして、連結状態では、第一の筒状体の筒状体本体の端面と第二の筒状体の端面とが当接した状態となっているので、両者の間に隙間が存在せず、良好な外観を得ることができる。また、連結状態を解除する場合には、第一の筒状体を第二の筒状体に対して反対側に少しの角度回転させて、こじた状態を解除すればよく、そこから雄側部材を楽に抜き出すことができる。
【0009】
特に、第一及び第二の筒状体はそれぞれプリプレグを巻回して形成した筒状体本体を備え、第二の筒状体の筒状体本体の端部に雌側筒体が装着され、該雌側筒体に雄側部材が嵌入されると共に雌側筒体の内周面に係合凹溝又は係合凸条が形成されていることが好ましい。筒状体本体がプリプレグから形成されたものである場合、筒状体本体の全長が長いことから、その内周面に係合凹溝や係合凸条を形成するとその製造が複雑になる。そこで、別体の雌側筒体の内周面に係合凹溝や係合凸条を形成するようにしてそれを筒状体本体の端部に装着するようにすると、製造が容易になり、寸法精度も向上し、寸法管理も容易になる。雄側部材と雌側筒体は何れも筒状体本体とは別体にて形成されるため、筒状体本体とは別に雄側部材と雌側筒体との間で寸法を管理することができ、所定の挿入感覚や回転感覚、所定の摩擦力が得られる雄側部材と雌側筒体の組み合わせを予め見つけておいて、その雄側部材と雌側筒体をセットで保管しておくことにより、製造が容易になる。
【0010】
更に、雌側筒体は筒状体本体の端部外周面に装着されていることが好ましい。雌側筒体を筒状体本体の端部内周面に装着する構成とすることもできるが、その構成では、第一の筒状体の筒状体本体の外周面と第二の筒状体の筒状体本体の外周面との間に大きな段差が生じやすい。その段差を小さくしたり段差をなくして略面一とするためには、第一の筒状体の筒状体本体の内周面と雄側部材の外周面との間に別途の筒状のスペーサを介在させたり、あるいは、雄側部材を段付きの構成としたりする必要がある。それに対して、雌側筒体を筒状体本体の端部外周面に装着する構成とすれば、別途のスペーサや段付きの雄側部材が不要になり、製造が容易になる。
【0011】
また更に、第二の筒状体の筒状体本体の端部に小径部が形成され、該小径部の外周面に雌側筒体が装着されていることが好ましく、雌側筒体の外周面と第二の筒状体の筒状体本体の外周面との間の段差を小さくすることができて外周面を略面一に連続させることもでき、より一層良好な外観が得られる。
【0012】
また、雌側筒体の内周面に係合凸条が形成され、該係合凸条に対応した雌側筒体の外周面に凹部が形成されていることが好ましく、その凹部を外周面の模様として使用することにより、装飾のバリエーションが増加する。通常、外周面に凹部を形成すると、凹部を形成した箇所の肉厚が薄くなって強度が低下するが、内周面に係合凸条が形成されているので、肉厚低下を防止することができる。
【0013】
更に、雌側筒体の内周面の全周のうち一箇所のみに係合凸条が形成され、雌側筒体の外周面の凹部は竹の節の芽状に形成されていることが好ましい。凹部が全周のうちの一箇所のみに形成されていて竹の節の芽状に形成されていることにより、より一層リアルな装飾を施すことができる。特に、竹の芽の窪みは大きく深いものであるため、それを模した凹部を形成する場合にはその部分の強度低下が問題となりやすいが、内周面に係合凸条が形成されているので、外周面に竹の芽状の凹部を形成しても強度を容易に確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る筒状体の連結構造にあっては、連結部分に隙間が発生しないので、良好な外観を得られる。また、従来のような軸線方向の押し込み操作によって摩擦力を生じさせて連結状態を維持する構造ではなく、端面同士が当接する位置までは楽に挿入、抜き出し操作が可能であって、当接位置において少しの角度回転操作することによって摩擦力を生じさせる構造となっているので、連結及び連結解除の操作性も優れている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<全体構成>
以下、本発明の一実施形態に係るについて
図1〜
図5を参酌しつつ説明する。本実施形態では筒状体の連結構造をへら竿の竿掛けに適用した場合について説明する。
図1に竿掛けの部品構造を概略で示している。該竿掛けは、長さの異なる複数の筒状体1,2,3を備えている。本実施形態では一例として三本の筒状体1,2,3から構成される場合を示しているが、この本数は任意である。かかる竿掛けはその先端に枕4が取り付けられ、元部が万力5に取り付けられて使用される。例えば、全長の短い使用状態とする場合には中央の二番目の筒状体2を使用せずに一番目の筒状体1と三番目の筒状体3を連結して使用し、全長の長い使用状態とする場合には一番目の筒状体1に二番目の筒状体2を連結し、二番目の筒状体2に三番目の筒状体3を連結する、即ち、全ての筒状体1,2,3を連結して使用する。枕4は、その取り付け軸部4aを一番目の筒状体1の先端部に嵌入して取り付け、その二股状部4bにへら竿を支持させるようにして使用する。万力5の支持軸部5aには三番目の筒状体3の基端部が外嵌される。本実施形態における連結構造は、各筒状体1,2,3同士を連結する部分に採用されている。以下、一番目の筒状体1を第二の筒状体とし、二番目の筒状体2を第一の筒状体として、二番目の筒状体2の先端部と一番目の筒状体1の基端部とを連結する場合を例に説明する。尚、筒状体1,2,3同士は、一方が雄側で他方が雌側であり、従って、一つの筒状体はその両端部のうちの一方(一端部)が雄側で他方(他端部)が雌側である。但し、両端部共に雄側や雌側であってもよい。
【0017】
<一番目の筒状体1>
一番目の筒状体1は、二番目の筒状体2と略同一径であるが、径が異なっていてもよい。該一番目の筒状体1は、筒状体本体10と、該筒状体本体10の端部外周面に装着された雌側筒体11とを備えている。筒状体本体10は、炭素繊維等の強化繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻回し焼成して形成されたものである。該筒状体本体10は、主部101と、端部に形成されて主部101よりも段差部102を介して一段小径とされた小径部103とを備えている。該小径部103の外周面に雌側筒体11が例えば接着により固定されるが、雌側筒体11を着脱自在に取付固定する構成としてもよく、そのように着脱自在の構成とすれば雌側筒体11の交換が容易になる。
【0018】
雌側筒体11はその一端面が段差部102に当接するようにして装着され、雌側筒体11の外周面と筒状体本体10の主部101の外周面とは略面一となる。即ち、筒状体本体10の主部101の外周面と小径部103の外周面との間の段差は、雌側筒体11の肉厚と略等しい。従って、例えば雌側筒体11の外周面の模様と筒状体本体10の主部101の外周面の模様を連続するものとすることにより、雌側筒体11を筒状体本体10に外装着した構成であっても筒状体本体10の主部101から雌側筒体11まで外観上、一連の連続性が得られ、一体感のあるデザインとなる。尚、雌側筒体11の外周面と筒状体本体10の主部101の外周面との間に段差を設けてもよく、その段差を装飾や模様の一つとして利用してもよい。
【0019】
雌側筒体11は、本実施形態では径略一定のストレート筒であって、その外径は筒状体本体10の主部101の外径と略同一とされ、その内径は筒状体本体10の小径部103の外径と略同一とされる。雌側筒体11は筒状体本体10の小径部103よりも長く、従って、雌側筒体11の一端側の所定領域は筒状体本体10の小径部103の外側に重なり合った状態にあり、残る他端側の所定領域(残部領域)は筒状体本体10の小径部103から軸線方向に突出した状態にある。筒状体本体10の小径部103から軸線方向に突出した雌側筒体11の突出領域の長さは任意であるが、少なくとも後述する雄側部材21の突出部と同じかあるいはそれよりも長く、雄側部材21の突出部の全長が雌側筒体11の内側に進入できる長さである。
【0020】
雌側筒体11の内周面には、雄側部材21の係合凹溝22と係合可能な係合凸条12が全周のうちの一箇所のみに形成されている。該係合凸条12は、軸線方向に直線状に延びて形成されている。係合凸条12は、筒状体本体10の小径部103から軸線方向に突出した領域に形成されており、筒状体本体10の小径部103に重なり合っている領域には形成されていない。尚、本実施形態では、係合凸条12は、筒状体本体10に向かい合った一端面とは反対側の他端面から奥側に向けて延びているが、この他端面から少し奥側に離れた位置から延設されていてもよい。また、雌側筒体11の内周面のうち、小径部103の外側に重なった重なり領域には係合凸条12が形成されていないことから、その重なり領域の内周面は全周に亘って凹凸のない滑らかな面となっている。但し、雌側筒体11の全長に亘って係合凸条12を形成してもよく、その場合には、小径部103の全周のうち係合凸条12が当接する箇所を内側に局所的に変形させるようにしながら小径部103に雌側筒体11を嵌合して装着してもよいし、小径部103の外周面に係合凸条12が係合する係合凹溝を予め形成しておいてもよい。雌側筒体11の係合凸条12は断面視(横断面視)弧状に形成されており、雌側筒体11の内周面から緩やかな立ち上がり角度で内側に向けて立ち上がって形成されている。かかる係合凸条12の内周面からの立ち上がり形状については更に後述する。
【0021】
雌側筒体11は任意の材質から構成でき、例えば、筒状体本体10と同様にプリプレグから形成することもできるが、合成樹脂を射出成形することにより形成することが好ましい。合成樹脂は射出成形に適した種々のものであってよいが、特には長さが1mm以下の短繊維を混合した合成樹脂が好ましく、更に、その短繊維の長さは特に0.5mm以下であることが好ましい。短繊維としてはカーボン繊維等であってよい。尚、汎用の筒体を所定長さにカットすると共にその内周面を加工して係合凸条12を形成してもよい。また、合成樹脂の他、金属を使用してもよいし、竹等の自然素材を用いてもよい。
【0022】
<二番目の筒状体2>
二番目の筒状体2は、筒状体本体20と、該筒状体本体20の端部内周面に装着された雄側部材21とを備えている。この二番目の筒状体2の筒状体本体20も、上述した一番目の筒状体1の筒状体本体10と同様にプリプレグから形成されたものである。該筒状体本体10は少なくとも端部近傍において径略一定とされている。雄側部材21は本実施形態では中実状としているが中空状であってもよい。何れにしても雄側部材21は一番目の筒状体1に挿入される芯材として機能する。雄側部材21の外径は略一定であって、即ち、雄側部材21は径略一定のストレート形状であって、その外径は筒状体本体20の内径と略等しく、雄側部材21は筒状体本体20の内周面に例えば接着により固定される。雄側部材21は、筒状体本体20の端面から所定長さ突出するように筒状体本体20に挿入され装着されている。筒状体本体20の端面から突出した雄側部材21の突出部が雌側筒体11に嵌入される。従って、雄側部材21の突出部の長さは、雌側筒体11の全長のうち小径部103から突出した突出領域の長さ以下とされて、雄側部材21の突出部の全体が雌側筒体11に挿入可能に構成されている。
【0023】
そして、雄側部材21の外周面には、雌側筒体11の係合凸条12と係合可能な係合凹溝22が全周のうち一箇所のみに形成されている。該係合凹溝22も係合凸条12と同様に軸線方向に延びており、本実施形態では、雄側部材21の全長に亘って形成されているが、少なくとも突出部の全長に亘って形成される。係合凹溝22は係合凸条12と軸線方向に沿って係合するため、その横断面形状は係合凸条12の横断面形状に対応したものとされる。
【0024】
雄側部材21の材質も任意であるが、雌側筒体11と同様に各種の合成樹脂や金属を使用でき、射出成形によって形成してもよいし、切削加工等によって形成してもよい。また、射出成形する場合、係合凹溝22を含めて射出成形してもよいし、その射出成形した後に係合凹溝22を切削加工により形成してもよい。また、汎用の棒材を所定長さにカットして使用してもよい。
【0025】
<連結操作と連結解除操作>
次に、筒状体1,2同士を連結する際の操作と連結状態について説明する。筒状体1,2同士を連結する際には、一番目の筒状体1の雌側筒体11に二番目の筒状体2の雄側部材21の突出部を挿入していく。その際、雌側筒体11の内周面と雄側部材21の突出部の外周面にはそれぞれ係合凸条12と係合凹溝22が形成されているので、係合凸条12と係合凹溝22が互いに係合するように、一番目の筒状体1と二番目の筒状体2の周方向の角度、向きを合わせて、雌側筒体11に雄側部材21の突出部を挿入していく。
【0026】
そして、
図3のように雌側筒体11の端面に二番目の筒状体2の筒状体本体20の端面が当接するまで挿入する。即ち、釣り人は、雌側筒体11の端面に二番目の筒状体2の筒状体本体20の端面が当接するまで挿入操作を行えばよく、常に一定の位置まで容易に挿入することができる。その挿入完了状態から一番目の筒状体1に対して二番目の筒状体2を何れかの方向に向けて軸線回りに相対的に回転させる。
図4(a)のように雌側筒体11の内周面と雄側部材21の突出部の外周面との間には所定のクリアランスが存在している。尚、
図4及び
図5ではクリアランスを大きく誇張して図示している。このクリアランスは僅かではあるが、そのクリアランスの存在によって相対的に回転させることができる。一番目の筒状体1に対して二番目の筒状体2を回転させると、係合凹溝22の壁面が係合凸条12に乗り上げていく。即ち、係合凹溝22の壁面が係合凸条12を押すことになるが、その反力によって雄側部材21の突出部は反対側に押されて雌側筒体11の内周面に押し付けられることになって所定の摩擦力が発生する。このように一番目の筒状体1に対して二番目の筒状体2を軸線回りに回転させると、いわゆるこじた状態となり、雌側筒体11の内周面と雄側部材21の突出部の外周面との間に周方向の摩擦力が発生して、その摩擦力で筒状体1,2同士の連結状態が維持されることになる。
【0027】
係合凹溝22の壁面が係合凸条12に乗り上げて係合凸条12を押している連結状態を
図5に拡大して示している。直線50は、係合凹溝22の壁面と係合凸条12が当接している接触点Tと雌側筒体11の中心とを結ぶ直線である。直線51は、直線50と直交する直線であってその直線51に沿って係合凹溝22の壁面から係合凸条12に力Pが作用する。直線52は、接触点Tにおける接線であり、この直線52と直線51との間の角度θが小さいほど係合凹溝22の壁面が係合凸条12に乗り上げやすくなり、いわゆるこじた状態となりやすい。従って角度θは45度以下が好ましく、雌側筒体11の内周面からの係合凸条12の立ち上がり形状は角度θが45度以下となるような形状とされることが好ましい。
【0028】
一方、連結状態を解除して一番目の筒状体1から二番目の筒状体2を分離する場合には、連結する際に回転した方向とは逆の方向に二番目の筒状体2を回転させて、
図4(a)の状態に戻し、その後、雄側部材21を軸線方向にスライドさせて雌側筒体11から引き抜けばよい。
【0029】
以上のように構成された連結構造にあっては、
図3に示すような連結状態において、雌側筒体11の端面と二番目の筒状体2の筒状体本体20の端面とが当接して両者の間に隙間が発生しない。即ち、連結部分に隙間が発生しないので、良好な外観体裁が得られる。また、一番目の筒状体1の筒状体本体10に小径部103を形成してその小径部103に雌側筒体11を外装着しているので、筒状体本体10の外周面と雌側筒体11の外周面との間の段差を小さくしたり、あるいは、段差なく略面一としたりすることもできる。従って、連結部分の外観をより一層良好なものとすることができる。
【0030】
また、二番目の筒状体2を一番目の筒状体1に強く差し込む必要はないので、連結操作が楽である。しかも、雌側筒体11の端面に二番目の筒状体2の筒状体本体20の端面が当接するまで差し込めばよいので、常に所定位置まで容易に挿入することができる。そして、所定位置まで挿入した後に、少しの回転操作で連結状態を維持することができ、また、逆方向に少し回転させれば連結状態を解除することができて、その状態から楽に抜いて分離することができる。
【0031】
更に、筒状体本体10とは別体の雌側筒体11の内周面に係合凸条12を形成するようにしているので、雄側部材21と雌側筒体11との間で寸法管理して、良好な操作感覚が得られる雄側部材21と雌側筒体11のセットを保管しておいてそのセットを使用して製造することができる。また、外観や質感の異なる雌側筒体11を種々用意しておけば、筒状体1全体を変更しなくても雌側筒体11のみ変更することで、容易にバリエーションを増やすことができ、釣り人の好みにあった仕様、カスタマイズにも容易に対応することができる。
【0032】
尚、雌側筒体11の形状、特に外周面の形状は目的とする装飾形態に応じて種々変更可能であって、塗装に合わせて雌側筒体11の外周面に種々の凹凸形状を設けてよい。例えば、雌側筒体11の外周面に凹部を形成する場合には、全周のうち内周面の係合凸条12に対応した外周面の位置に凹部を形成することが好ましく、特に、竹の節の芽状に凹部を形成して、連結部分を竹の節のようにすることが好ましい。
【0033】
その一例を
図6及び
図7に示している。
図6のように、雌側筒体11の内周面に係合凸条12を形成すると共にその係合凸条12の形成箇所に対応した外周面の位置に竹の節の芽状の凹部13を形成する。該竹の節の芽状の凹部13は、二番目の筒状体2との継合側に向けて徐々にその深さが深くなっている。このような竹の節の芽状の凹部13を外周面に形成しても、その内側には係合凸条12が形成されているので、凹部13の形成箇所の肉厚を容易に確保することができる。尚、この実施形態では、雌側筒体11の継合側の端部近傍と二番目の筒状体2の筒状体本体20における継合側の端部近傍とを、端に向かうほど徐々に大径となるように形成して、竹の節の形状に似せている。そして、
図6(b)や
図7に示しているように、連結状態においては、雌側筒体11の端面と二番目の筒状体2の筒状体本体20の端面とが当接して両者の間に隙間が形成されないので、その端面同士が当接する箇所Qを竹の節の筋の模様とすることができる。
【0034】
尚、上記実施形態では、一番目の筒状体1の筒状体本体10に小径部103を設けてその小径部103の外周面に雌側筒体11を装着したが、筒状体本体10に小径部103を設けずに筒状体本体10の端部近傍を段差のないストレート形状等の形状としてその外周面に雌側筒体11を装着するようにしてもよい。
【0035】
また、雌側筒体11を筒状体本体10の外周面に装着するのではなく、
図8のように筒状体本体10の内周面に雌側筒体11を装着するようにしてもよい。このように筒状体本体10の内周面に雌側筒体11を装着する構成では、二番目の筒状体2の筒状体本体20と雄側部材21との間には別途筒状のスリーブ23を介装させてもよい。このスリーブ23を介装させない場合には、二番目の筒状体2の筒状体本体20の外径が一番目のそれに対して小径となり、連結部分に段差が生じることになる。その段差を活かす模様、装飾とする場合もあるが、
図8に示すようにスリーブ23を介装させるとその段差をなくして一番目の筒状体1の筒状体本体10の外周面と二番目の筒状体2の筒状体本体20の外周面とを略面一とすることができる。一番目の筒状体1の筒状体本体10の外周面と二番目の筒状体2の筒状体本体20の外周面とを略面一とするのではなく若干の段差を形成する場合であっても、スリーブ23を介装させることによって容易にその段差を調節できる。このようにスリーブ23を介装させることによって、一番目の筒状体1の筒状体本体10と二番目の筒状体2の筒状体本体20との間の外径の関係をスリーブ23の肉厚によって容易に調整することができる。尚、雌側筒体11を筒状体本体10の内側に装着する構成では、係合凹溝22を雌側筒体11の全長に亘って形成することが好ましく製造が容易になる。
【0036】
同様に、雌側筒体11を筒状体本体10の内側に装着する構成において、
図8に示したようなスリーブ23を介装するのではなく、
図9に示すように雄側部材21を段付きの構成としてもよい。即ち、雄側部材21が筒状体本体20の内周面に装着するための主部211と該主部211よりも小径の雄部212とを備えた構成として、該雄部212の外周面に係合凹溝22を形成するようにしてもよい。この場合、雄部212と主部211との間には段差部213が形成されるため、雄部212の係合凹溝22の終端は、製造上、曲面状となって浅くなりやすい。従って、雄部212と主部211との間の段差部213が筒状体本体20の端面よりも奥まった内側に位置するように雄側部材21を筒状体本体20に挿入固定して、係合凹溝22が完全な深さで形成されている領域のみを突出させてそこに雌側筒体11の係合凸条12を係合させるようにして、雌側筒体11の端面と二番目の筒状体2の筒状体本体20の端面が隙間なく当接できるようにする。
【0037】
尚、上記実施形態では、雌側筒体11に係合凸条12が形成され、雄側部材21に係合凹溝22が形成された構成について説明したが、逆であってもよい。即ち、雌側筒体11に係合凹溝が形成され、雄側部材21に係合凸条が形成された構成としてもよい。また、係合凹溝22と係合凸条12の組が一組のみの場合について説明したが、二組以上形成された構成であってもよい。また、上述したような外周面の凹部13も一つではなく複数形成してもよい。
【0038】
また、雌側筒体11を備える構成について説明したが、雌側筒体11を設けずに筒状体本体10の内周面に直接係合凸条や係合凹溝を形成するようにしてもよい。
【0039】
また更に、上記実施形態においては竿掛けを例に説明したが、へら釣りに用いられる玉網の柄(玉ノ柄)であってもよい。玉ノ柄もその長さ調整のため、複数の筒状体を連結する構造とされ、その連結部分に上述したような連結構造を採用することができる。