(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記することがある。)について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
本実施形態の微多孔膜は、共重合高密度ポリエチレンと、高密度ポリエチレンとを含む微多孔膜であって、前記微多孔膜における炭素数3以上のα−オレフィン単位の含量が0.01モル%以上0.6モル%以下であり、前記微多孔膜の粘度平均分子量が30万未満である。このように構成されているため、本実施形態の微多孔膜は、電池の安全性及び生産性の双方に優れる。すなわち、本実施形態の微多孔膜は、ヒューズ温度に到達した際に短時間で電流を遮断することができるため(ヒューズ応答時間が短いため)、電池の安全性に優れる。また、本実施形態の微多孔膜は、摩擦が十分に低減されているため、電池の捲回工程において捲回体からピンを抜く際の捲回体の巻ずれを防止でき、電池の生産性(電池捲回後ピン抜け性)に優れる。
【0014】
本実施形態の微多孔膜は、共重合高密度ポリエチレンと、高密度ポリエチレンを含むポリオレフィン混合物(以下単に「混合物」ともいう)から得られる微多孔膜であることが好ましい。
【0015】
(共重合高密度ポリエチレン)
共重合高密度ポリエチレンとは、エチレンと他のモノマーとの共重合により得られるポリエチレンであって、高密度のものである。
【0016】
共重合高密度ポリエチレンのメルトインデックス(MI)は、シャットダウン時の流動性、収縮力の緩和性及び成型性の観点から、0.1〜5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3である。なお、本実施形態におけるMIは、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値である。当該共重合高密度ポリエチレンの粘度平均分子量(Mv)としては、特に限定されないが、1万〜25万が好ましい。Mvは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0017】
共重合高密度ポリエチレンのコモノマーは、炭素数が3以上のα−オレフィン(以下単に「コモノマー」ともいう)であることが好ましく、以下に限定されないが、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどが挙げられる。なかでも、他のポリエチレンとの親和性の観点から炭素数3のプロピレンがより好ましい。炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量は、当該共重合高密度ポリエチレンのエチレン単位に対して0.1モル%以上であり、0.1〜1モル%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.8モル%である。0.1モル%以上である場合、低融点化の効果が充分に得られる傾向にあり、1モル%以下である場合、充分な結晶化度を確保でき、微多孔膜の充分な透過性を確保できるとともに摩擦係数を低減できるためピン抜け性が良好となる傾向にある。なお、上記含量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
【0018】
当該共重合高密度ポリエチレンの密度は、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量と関係しているが、融点や透過性の観点から、高密度であることが必要である。ここでいう「高密度」(単位:g/cm
3)とは0.93〜0.97であり、好ましくは0.94〜0.96である。なお、本実施形態においてポリエチレンの密度とは、JIS K7112(1999)に記載のD)密度勾配管法に従って測定した値をいう。
【0019】
本実施形態で使用する共重合高密度ポリエチレンは、様々な公知の方法によって製造可能であり、以下に限定されないが、例えば、特公平1−12777号公報に開示されているようなクロム化合物担持触媒やマグネシウム化合物含有チーグラー触媒、又はメタロセン触媒を用いる重合により製造することができる。
【0020】
(高密度ポリエチレン)
本実施形態において、高密度ポリエチレンは、コモノマー単位含量0.1%未満のポリエチレンであり、コモノマーの含まれていないホモポリエチレンが好ましい。なお、ここでいう「高密度」は、上記共重合高密度ポリエチレンについての「高密度」と同じ定義を有する。
【0021】
当該高密度ポリエチレンのMvは、10万以上50万未満であることが好ましく、より好ましくはMvが15万以上35万未満の上記ポリエチレンであり、数種類のポリエチレンをブレンドしてもかまわない。当該高密度ポリエチレンのMvが10万以上である場合、充分な機械強度が確保される傾向にあり、50万未満である場合、ヒューズ温度に到達した際に電流を遮断するのにかかる時間が充分に短くなる傾向にある。
【0022】
(混合物の組成)
前記混合物中に占める共重合高密度ポリエチレンの割合は、ヒューズ特性と透過性の観点から好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは25〜80質量%であり、更に好ましくは30〜70質量%である。10質量%以上である場合、ヒューズ温度が充分に低くなる傾向にあり、90質量%以下である場合、充分な耐熱性が得られる傾向にある。
【0023】
前記混合物中に占める、当該高密度ポリエチレンの割合は、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。10質量%以上である場合、充分な耐熱性が得られる傾向にあり、90質量%以下である場合、ヒューズ応答時間が充分に短くなる傾向にある。
【0024】
本実施形態の微多孔膜は、粘度平均分子量が50万以上の高密度ポリエチレンを含まないことが好ましい。すなわち、前記混合物が、粘度平均分子量が50万以上の高密度ポリエチレンを含まないことが好ましい。粘度平均分子量が50万以上の高密度ポリエチレンを含まない混合物とすることで、分子量分布が広くなることを防止でき、溶融粘度の上昇に起因するヒューズ応答時間増加や、不良率(欠点)の増加を防止できる傾向にある。
【0025】
また、本実施形態の微多孔膜は、耐熱性を向上させる観点から、さらにポリプロピレンを含むことが好ましい。すなわち、前記混合物に、さらにポリプロピレンを含有させることが好ましい。この場合、当該混合物とポリプロピレンの総量に対するポリプロピレンの割合は、耐熱性と良好なシャットダウン機能を両立させる観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%であり、さらに好ましくは4〜10質量%である。
【0026】
本実施形態における混合物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;無機フィラー;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、混合物中における共重合高密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの合計100質量部に対して、20質量部以下であることがシャットダウン性能等を向上させる観点から好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0027】
上記のとおり、本実施形態において、前記共重合高密度ポリエチレンは、MIが0.1〜5であり、かつ、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%であり、さらに、前記高密度ポリエチレンは、粘度平均分子量が10万以上50万未満であることが好ましい。すなわち、MIが0.1〜5であり、かつ、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%である共重合高密度ポリエチレンと、粘度平均分子量が10万以上50万未満である高密度ポリエチレンとを含む混合物から本実施形態の微多孔膜を得ることが好ましい。換言すると、本実施形態の微多孔膜は、MIが0.1〜5であり、かつ、炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量が0.1〜1モル%である共重合高密度ポリエチレンと、粘度平均分子量が10万以上50万未満である高密度ポリエチレンとを含む混合物からなることが好ましい。
【0028】
上記のような組成を有する混合物から得られた微多孔膜が、とりわけヒューズ温度に到達した際の反応速度が速く(ヒューズ応答時間が短い)、摩擦抵抗が低い(動摩擦係数が小さい)理由は定かではないが、比較的分子量の低い共重合高密度ポリエチレンと、比較的分子量の低い高密度ポリエチレンを混合することで、樹脂の溶融特性が向上しヒューズ温度到達時の反応速度が速くなり、また結晶融点が低い為に結晶性が上がり摩擦抵抗が低くできる為と考えられる。なお、上記の作用機序に限定されるものではなく、上述した構成を満たす微多孔膜である限り、本実施形態の所望の効果を得ることができる。
【0029】
(微多孔膜)
本実施形態の微多孔膜の粘度平均分子量は、30万未満であり、好ましくは5万以上30万未満、より好ましくは15万以上30万未満である。粘度平均分子量が30万未満であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる。さらに、電池用セパレータとしたときに、粘度平均分子量が30万未満であると、温度上昇時に孔を閉塞しやすくより良好なシャットダウン機能が得られる。さらにまた、粘度平均分子量が5万以上であると、溶融成形の際のメルトテンションが大きくなり成形性が良好になると共に、重合体同士の絡み合いにより高強度となる傾向にあるため好ましい。微多孔膜の粘度平均分子量は、後述する方法で測定することができる。
【0030】
本実施形態の微多孔膜の分子量分布Mw/Mnは、1以上10以下であり、好ましくは2以上9以下であり、より好ましくは2以上8以下である。分子量分布Mw/Mnが8以下であると、電池の安全性の試験である衝撃試験で重要となる高速引張強度において強度が高くなる傾向であるため好ましい。また、分子量分布Mw/Mnが2以上であると、溶融混練性が向上するため好ましい。微多孔膜の分子量分布Mw/Mnは、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0031】
本実施形態の微多孔膜の炭素数3以上のα−オレフィン単位の含量は0.01モル%以上0.6モル%以下であり、好ましくは0.05〜0.6モル%であり、より好ましくは0.1〜0.5モル%である。炭素数3以上のα−オレフィン単位の含量は、ヒューズ温度、ヒューズ応答時間の観点から0.01モル%以上であり、透過性、動摩擦係数、破膜温度の観点から0.6モル%以下である。上記含量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
【0032】
本実施形態にかかる微多孔膜は、非常に小さな孔が多数集まって緻密な連通孔を形成した多孔構造を有しているため、イオン伝導性に非常に優れると同時に耐電圧特性も良好であり、しかも高強度であるという特徴を有する。微多孔膜は、上述した材料からなる単層膜であってもよく、積層膜であってもよい。
【0033】
本実施形態にかかる微多孔膜の膜厚は、0.1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは3μm以上25μm以下である。機械的強度の観点から0.1μm以上が好ましく、電池の高容量化の観点から100μm以下が好ましい。微多孔膜の膜厚は、ダイリップ間隔、延伸工程における延伸倍率等を制御すること等によって調整することができる。上記膜厚は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0034】
本実施形態にかかる微多孔膜の気孔率は、好ましくは25%以上95%以下、より好ましく30%以上65%以下、更に好ましくは35%以上55%以下である。イオン伝導性向上の観点から25%以上が好ましく、耐電圧特性の観点から95%以下が好ましい。微多孔膜の気孔率は、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。上記気孔率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0035】
本実施形態にかかる微多孔膜の透気度は、好ましくは100〜600秒、より好ましくは120〜550秒、更に好ましくは150〜500秒である。透気度が600秒以下である場合、充分な透過性が確保される傾向にあり、透気度が100秒以上である場合、孔径が過剰に大きくなることを防止できる傾向にある。微多孔膜の透気度は、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。上記透気度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0036】
本実施形態にかかる微多孔膜の突刺強度は、電池捲回時の耐破断性や、電極間の短絡による電池不良の観点から、好ましくは1〜20N/20μm、更に好ましくは2〜18N/20μmである。微多孔膜の突刺強度は、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。上記突刺強度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0037】
本実施形態にかかる微多孔膜のヒューズ温度は、過充電試験などで電池が加熱されたときに、電流を遮断するという効果を充分に発現する観点から、140℃以下が好ましく、より好ましくは138℃以下、更に好ましくは137℃以下である。ヒューズ温度が140℃以下である場合、例えば、過充電試験等で、シャットダウンによる電流遮断の遅れが生じることが防止され、電池の発熱が防止される傾向にある。微多孔膜のヒューズ温度は、共重合高密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。上記ヒューズ温度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0038】
本実施形態にかかる微多孔膜の破膜温度は150℃以上が好ましく、より好ましくは155℃以上である。破膜温度が150℃以上である場合、150℃電池オーブン試験などでセパレータの破膜が防止される傾向にある。微多孔膜の破膜温度は、共重合高密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。上記破膜温度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0039】
本実施形態にかかる微多孔膜は、電池捲回後のピン抜け性に優れる。電池捲回工程では、正極、セパレータ、負極をピンに巻き付けることにより電池の捲回を行い、その後捲回体から前記ピンを引き抜くが、捲回体の巻きずれが発生する課題があった。前記の通り、本実施形態にかかる微多孔膜は、電池捲回後のピン抜け性に優れるが、その理由については微多孔膜の動摩擦係数が関係していると考えられる。微多孔膜の動摩擦係数は、共重合高密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御することや、これらを組み合わせることによって調整することができる。なお、電池捲回後ピン抜け性は、後述する方法で評価することができる。
【0040】
本実施形態にかかる微多孔膜の動摩擦係数は、0.2以下であることが好ましく、より好ましく0.18以下である。0.2以下であると、電池捲回性が良好になる傾向にあり、好ましい。なお、動摩擦係数は、後述の実施例に示す方法で測定することができる。
【0041】
(製造方法)
微多孔膜を製造する方法としては特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。(1)ポリオレフィン樹脂組成物(共重合高密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを含む組成物、以下同じ。)と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出することにより多孔化させる方法、(2)ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法。
【0042】
以下、微多孔膜を製造する方法の一例として、ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、孔形成材を抽出する方法について説明する。
【0043】
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と上記の孔形成材を溶融混練する。溶融混練方法としては、以下に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入することで、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で孔形成材を導入して混練する方法が挙げられる。
【0044】
(孔形成材)
上記孔形成材としては、以下に限定されないが、例えば、可塑剤、無機材又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0045】
可塑剤としては、特に限定されないが、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒の具体例としては、以下に限定されないが、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。なお、これらの可塑剤は、抽出後、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。
【0046】
可塑剤の中でも、流動パラフィンは、ポリオレフィン樹脂がポリエチレンやポリプロピレンの場合には、これらとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こりにくく、均一な延伸が実施し易くなる傾向にあるため好ましい。
【0047】
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲であれば特に限定されない。例えば、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とからなる組成物中に占める可塑剤の質量分率は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。可塑剤の質量分率が90質量%以下であると、溶融成形時のメルトテンションが成形性向上のために十分なものとなる傾向にある。一方、可塑剤の質量分率が20質量%以上であると、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤との混合物を高倍率で延伸した場合でもポリオレフィン分子鎖の切断が起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し易く、強度も増加し易い。
【0048】
(製膜工程)
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、以下に限定されないが、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、以下に限定されないが、例えば、金属、水、空気、或いは可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導の効率が高いため、金属製のロールを用いることが好ましい。また、押出した混練物を金属製のロールに接触させる際に、ロール間で挟み込むことは、熱伝導の効率がさらに高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上する傾向にあるためより好ましい。溶融混練物をTダイからシート状に押出す際のダイリップ間隔は200μm以上3,000μm以下であることが好ましく、500μm以上2,500μm以下であることがより好ましい。ダイリップ間隔が200μm以上であると、メヤニ等が低減され、スジや欠点など膜品位への影響が少なく、その後の延伸工程において膜破断などのリスクが低減される傾向にある。一方、ダイリップ間隔が3,000μm以下であると、冷却速度が速く冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる傾向にある。
【0049】
(可塑剤除去工程)
次いで、シート状成形体から孔形成材を除去して微多孔膜とする。孔形成材を除去する方法としては、以下に限定されないが、例えば、抽出溶剤にシート状成形体を浸漬して孔形成材を抽出し、充分に乾燥させる方法が挙げられる。孔形成材を抽出する方法はバッチ式、連続式のいずれであってもよい。微多孔膜の収縮を抑えるために、浸漬、乾燥の一連の工程中にシート状成形体の端部を拘束することが好ましい。また、微多孔膜中の孔形成材残存量は微多孔膜全体の質量に対して1質量%未満にすることが好ましい。
【0050】
孔形成材を抽出する際に用いられる抽出溶剤としては、ポリオレフィン樹脂に対して貧溶媒で、かつ孔形成材に対して良溶媒であり、沸点がポリオレフィン樹脂の融点より低いものを用いることが好ましい。このような抽出溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。なお、これらの抽出溶剤は、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。また、孔形成材として無機材を用いる場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を抽出溶剤として用いることができる。
【0051】
(延伸工程)
また、上記シート状成形体または微多孔膜を延伸することが好ましい。延伸は前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前に行ってもよい。また、前記シート状成形体から孔形成材を抽出した微多孔膜に対して行ってもよい。さらに、前記シート状成形体から孔形成材を抽出する前と後に行ってもよい。
【0052】
延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができるが、得られる微多孔膜の強度等を向上させる観点から二軸延伸が好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる微多孔膜が裂けにくくなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、以下に限定されないが、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点からは同時二軸延伸が好ましい。
【0053】
ここで、同時二軸延伸とは、MD(微多孔膜連続成形の機械方向)の延伸とTD(微多孔膜のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD及びTDの延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD又はTDに延伸がなされているときは、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
【0054】
延伸倍率は、面倍率で20倍以上100倍以下の範囲であることが好ましく、25倍以上70倍以下の範囲であることがより好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MDに4倍以上10倍以下、TDに4倍以上10倍以下の範囲であることが好ましく、MDに5倍以上8倍以下、TDに5倍以上8倍以下の範囲であることがより好ましい。総面積倍率が20倍以上であると、得られる微多孔膜に十分な強度を付与できる傾向にあり、一方、総面積倍率が100倍以下であると、延伸工程における膜破断を防ぎ、高い生産性が得られる傾向にある。
【0055】
(熱固定)
微多孔膜には、収縮を抑制する観点から熱固定を目的として熱処理を施すことが好ましい。熱処理の方法としては、物性の調整を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の延伸率で行う延伸操作、及び/又は、延伸応力低減を目的として、所定の温度雰囲気及び所定の緩和率で行う緩和操作が挙げられる。延伸操作を行った後に緩和操作を行っても構わない。これらの熱処理は、テンターやロール延伸機を用いて行うことができる。
【0056】
延伸操作は、膜のMD及び/又はTDに1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上の延伸を施すことが、さらなる高強度かつ高気孔率な微多孔膜が得られる観点から好ましい。
【0057】
緩和操作は、膜のMD及び/又はTDへの縮小操作のことである。緩和率とは、緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値のことである。なお、MD、TD双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。緩和率は、1.0以下であることが好ましく、0.97以下であることがより好ましく、0.95以下であることがさらに好ましい。緩和率は膜品位の観点から0.5以上であることが好ましい。緩和操作は、MD、TD両方向で行ってもよいが、MD或いはTD片方だけ行ってもよい。
【0058】
この可塑剤抽出後の延伸及び緩和操作は、好ましくはTDに行う。延伸及び緩和操作における温度は、ポリオレフィン樹脂の融点(以下、「Tm」ともいう。)より低いことが好ましく、Tmより1℃から25℃低い範囲がより好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲であると、熱収縮率低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
【0059】
(電池用セパレータ及び電池)
本実施形態の微多孔膜は、とりわけ、電池用セパレータとしての用途に好ましく用いられる。すなわち、本実施形態の電池用セパレータは、本実施形態の微多孔膜を含む。また、本実施形態の電池は、本実施形態の微多孔膜を含む。
【実施例】
【0060】
以下、実施例によって本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。下記の実施例及び比較例において、部はすべて質量部である。
【0061】
実施例及び比較例において示される特性の試験方法は次のとおりである。
【0062】
(1)膜厚
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:「PEACOCK No.25」(商標))にて測定した。
【0063】
(2)気孔率
10cm角のサンプルを採り、その体積と質量から次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積(cm3)−質量(g)/ポリマー組成物の密度)/体積(cm3)×100
【0064】
(3)突刺強度
カトーテック製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重(N)を測定した。
【0065】
(4)透気度
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計にて測定した。
【0066】
(5)微多孔膜中のポリプロピレン含量(wt%)
ポリオレフィン中に含まれるポリプロピレンwt%が4、9、20、30、40wt%である微多孔膜を準備し、示差走査熱量計(DSC)より、ポリプロピレンに帰属される結晶融解熱量(J/g)を測定した。プロピレン結晶融解熱量に対するプロピレン含量(wt%)の関係を示すプロットに基づき、最小二乗法を用い、原点を通る近似直線を検量線と定義した。この検量線を使用して、DSCで得られるポリプロピレン結晶融解熱量から微多孔膜中のポリプロピレン含量(wt%)を求めた。
図1に得られた検量線の例を示す。
なお、結晶融解熱量は以下の方法で求めた。DSCサンプルは、微多孔膜を直径5mmの円形に打ち抜き、重ね合わせて3mgとし、直径5mmのアルミ製サンプルパン内に入れて、クリンピングカバーでシールすることにより作成した。島津製作所製DSC(品名:DSC−60A)を用いて上記のDSCサンプルを窒素雰囲気下にて、30〜200℃まで10℃/分で昇温した後、200℃にて5分間温度保持した。さらに200〜30℃まで10℃/分にて冷却した後30℃にて5分間温度保持し、再び30〜200℃まで10℃/分にて昇温した際に測定される数値をポリプロピレン結晶融解熱量とした。
【0067】
(6)コモノマー単位含量(炭素数が3以上のα−オレフィン単位の含量)
13C−NMRスペクトルにおいて、コモノマー由来のシグナル強度の積分値のモル換算値(A)を、(A)とエチレン単位由来のシグナル強度の積分値のモル換算量(B)との和で除して得られた商に100を乗じることにより、コモノマー単位含量(モル%)を求めた。ただし、微多孔膜中にポリプロピレンが含有される場合は、前記により求められたポリプロピレン含量(wt%)に相当するコモノマー単位含量(モル%)を除いた値を微多孔膜のコモノマー単位含量(モル%)とした。
例えば、コモノマーとしてプロピレンを用いる場合、下記の構造モデルにおいて、I1、I1’、I2、I3、Iα、Iβ、Iγ、Im及びIMをそれぞれ対応する炭素に由来する13C−NMRスペクトルのシグナル強度とすると、コモノマー単位含量は下式で表される。
コモノマー単位含量(モル%)=(A)/[(A)+(B)]×100
(ここで、(A)=(I1+Im+Iα/2)/3、(B)=(I1+I2+I3+IM+Iα/2+Iβ+Iγ)/2)となる。)
ここで、末端の影響は小さいため無視することができ、I1、I2及びI3をIm、Iα、Iβ及びIγを2Imとして上式を整理すると、コモノマー単位含量は下式で表される。
コモノマー単位含量(モル%)=Im/[Im+(IM+5Im)/2]×100
【0068】
【化1】
【0069】
(7)メルトインデックス(MI)
JIS K−7210に基づき、温度190℃、荷重2.16kgで測定したメルトインデックスをMIとした。
【0070】
(8)ヒューズ温度
図2(A)に概略図として示した測定装置を用いてヒューズ温度を測定した。
図2(A)に示すように、微多孔膜1は厚さ10μmのニッケル箔2A及び2Bの間に配され、これらはガラス板3A及び3Bにより固定した。ニッケル箔2A、2Bは電気抵抗測定装置4(安藤電気製LCRメーター「AG−4311」(商標))に接続され、熱電対5は温度計6と接続され、データーコレクター7は電気抵抗装置4及び温度計6と接続されるものとした。さらに、微多孔膜1を加熱するオーブン8を設置した。
この装置を更に詳細に説明する。
図2(B)に示すように、ニッケル箔2A上に微多孔膜1を重ねて、縦方向に「テフロン(登録商標)」テープ(図の斜線部)でニッケル箔2Aに固定した。なお、微多孔膜1に電解液として1mol/リットルのホウフッ化リチウム溶液(溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチルラクトン=1/1/2)を含浸させたものを使用した。ニッケル箔2B上には
図2(C)に示すように「テフロン(登録商標)」テープ(図の斜線部)を貼り合わせ、箔2Bの中央部分に15mm×10mmの窓の部分を残してマスキングした。
ニッケル箔2Aとニッケル箔2Bとを、微多孔膜1をはさむような形で重ね合わせ、更にその両側からガラス板3A、3Bによって2枚のニッケル箔をはさみこんだ。このとき、箔2Bの窓の部分と、微多孔膜1が相対する位置に来るようにした。
2枚のガラス板は市販のダブルクリップではさむことにより固定した。熱電対5は「テフロン(登録商標)」テープでガラス板に固定した。
このような装置で連続的に温度と電気抵抗を測定した。なお、温度は25℃から200℃まで2℃/minの速度にて昇温させ、電気抵抗値は1kHzの交流にて測定を行った。ヒューズ温度は、微多孔膜の電気抵抗値が10
3Ωに達するときの温度と定義した。
【0071】
(9)ヒューズ応答時間
前記のヒューズ温度測定において、電気抵抗値が10
2Ωから10
3Ωに到達するまでの時間をヒューズ応答時間と定義した。
【0072】
(10)破膜(ショート)温度
前記のヒューズ温度測定において、電気抵抗値が10
2Ωから10
3Ωに到達し、その後、電気抵抗値が10
3Ωを下回るときの温度を破膜(ショート)温度とした。
【0073】
(11)粘度平均分子量(Mv)
ASTM−D4020に基づき測定した。ポリオレフィン原料または、微多孔膜を135℃のデカリン溶液に溶解して、極限粘度[η]を測定し、次式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
[η]=6.77×10
−4Mv
0.67
また、ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10
−4Mv
0.80【0074】
(12)動摩擦係数
カトーテック株式会社製、KES−SE摩擦試験機を用い、荷重50g、接触子面積10×10=100mm
2(0.5mmφの硬質ステンレス線SUS304製ピアノ線を互いに隙間なく、かつ、重ならないように20本巻きつけたもの)、接触子送りスピード1mm/sec、張力6kPa、温度23℃、湿度50%の条件にて幅50mm×測定方向200mmのサンプルサイズについてTD方向に3回測定し、その平均を求めた。なお、当該動摩擦係数の値は電池作成時に負極に接する面の値を用いた。
【0075】
(13)電池捲回後ピン抜け性(電池捲回性)
皆藤製作所株式会社製手動捲回機を使用し、当該装置の全体構成を示す
図3(A)のように、長さ3m、巾60mmの捲取サンプル(12)を2枚重ねで荷重400gにてピン(9)に捲回した後、
図3(B)に示す捲取部構成において、ピンI(10)を抜き、巻取りサンプル(12)を手で引っ張りピンII(11)からはずし、抜き終わったサンプルの捲回姿からピン抜け特性を下記基準で評価した。
○;ピンに引っ張られ、ピン接触部分がピンを抜く前に対して2mm以上ずれるものの割合 1個/100個以下
△;ピンに引っ張られ、ピン接触部分がピンを抜く前に対して2mm以上ずれるものの割合 2〜4個/100個
×;ピンに引っ張られ、ピン接触部分がピンを抜く前に対して2mm以上ずれるものの割合 5個/100個以上
【0076】
(14)不良率(欠点)
実施例および比較例で得られた微多孔膜100m
2分について、目視観測を行い、面積10m
2あたりの0.3mm
2以上の未溶融ポリマーゲル(欠点)の個数を数えた。上記個数から、下記基準にて評価した。
○:10m
2あたり1個未満
△:10m
2あたり1個以上3個未満
×:10m
2あたり3個以上
【0077】
(15)微多孔膜の分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定より算出した。装置はWaters社製のALC/GPC−150−C−plus型(商標)を用い、東ソー(株)製のGMH6−HT(商標)の30cmのカラム2本とGMH6−HTL(商標)の30cmのカラム2本を直列接続して使用し、オルトジクロロベンゼンを移動相溶媒として、試料濃度0.05wt%で140℃にて測定を行った。なお、標準物質として市販の分子量既知の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、求められた各試料のポリスチレン換算の分子量分布データに、0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)を乗じることにより、ポリエチレン換算の分子量分布データを取得した。これより、各試料の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を算出することで、分子量分布(Mw/Mn)を得た。
【0078】
(16)高速引張強度
島津製作所製の高速衝撃試験機、HITS−T10型(商標)を用いて、TDサンプル(形状;幅10mm×長さ60mm)について高速引張強度を測定した。その際、サンプルはチャック間距離を20mmとし、サンプルの両端部(各20mm)をフィルム用グリップにて固定した。また、負荷速度は2m/秒として測定した。
【0079】
〔実施例1〕
MI0.8(Mv15万)であり、コモノマーとしてプロピレンを含み、プロピレン単位含量0.6モル%であり、密度0.95である共重合高密度ポリエチレン(以下、「PE1」ともいう。)20部と、Mv25万であり、コモノマー単位含量0.0%であり、密度0.95であるホモ高密度ポリエチレン(以下、「PE10」ともいう。)18部と、Mv40万であり、コモノマー単位含量0.0%であり、密度0.91であるホモポリプロピレン(以下、「PP」ともいう。)2部と、酸化防止剤として該組成物に対して0.3部のテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとを混合し、二軸押出機にフィーダーを介して投入した。更に流動パラフィン(松村石油(株)製P−350(商標))60部をサイドフィードで押出機に注入し、200℃条件で混練し、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1500μmのゲル状シートを成形した。このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機で7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムを塩化メチレン槽に導き、塩化メチレン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後塩化メチレンを乾燥除去し微多孔膜を得た。得られた微多孔膜を、熱固定(「HS」ともいう。)を行なうべくTDテンターに導き、熱固定温度125℃、延伸倍率1.6倍でHSを行い、その後、0.85倍の緩和操作(即ち、HS緩和率が0.85倍)を行い、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜について、各種特性を評価した結果を表1に示す。
【0080】
〔実施例2〕
MI1.0(Mv12万)であり、コモノマーとしてプロピレンを含み、プロピレン単位含量0.8モル%であり、密度0.94である共重合高密度ポリエチレン(以下、「PE2」ともいう。)12部と、PE10を26部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0081】
〔実施例3〕
PE1を12部と、Mv40万であり、コモノマー単位含量0.0%であり、密度0.95であるホモ高密度ポリエチレン(以下、「PE11」ともいう。)26部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0082】
〔実施例4〕
MI2.0(Mv10万)であり、コモノマーとしてプロピレンを含み、プロピレン単位含量0.4モル%であり、密度0.95である共重合高密度ポリエチレン(以下、「PE3」ともいう。)16部と、PE10を12部と、PE11を8部と、PP4部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0083】
〔実施例5〕
PE1を11.2部と、PE10を26.8部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0084】
〔実施例6〕
PE1を12部と、PE10を28部とをポリエチレン原料として使用し、PPは不使用とした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0085】
〔実施例7〕
PE2を28部と、PE11を10部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0086】
〔実施例8〕
PE3を12部と、Mv15万であり、コモノマー単位含量0.0%であり、密度0.97であるホモ高密度ポリエチレン(以下、「PE9」ともいう。)8部と、PE10を20部とをポリエチレン原料として使用し、PPは不使用とした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0087】
〔実施例9〕
PE2を12部と、PE10を20部と、PP8部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0088】
〔実施例10〕
PE1を30部と、PE11を8部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0089】
〔
参考例11〕
MI0.8(Mv12万)であり、コモノマーとしてプロピレンを含み、プロピレン単位含量1.3モル%であり、密度0.94である共重合高密度ポリエチレン(以下、「PE4」ともいう。)12部と、PE10を18部と、PE11を8部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0090】
〔実施例12〕
MI2.5(Mv9万)であり、コモノマーとしてブテンを含み、ブテン単位含量0.6モル%であり、密度0.94である共重合高密度ポリエチレン(以下、「PE5」ともいう。)18部と、PE9を10部と、PE11を10部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0091】
〔実施例13〕
PE5を18部と、PE9を10部と、Mv70万であり、コモノマー単位含量0.0%であり、密度0.95であるホモ高密度ポリエチレン(以下、「PE12」ともいう。)10部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0092】
〔実施例14〕
MI5.0(Mv7万)であり、コモノマーとしてブテンを含み、ブテン単位含量0.5モル%であり、密度0.95である共重合高密度ポリエチレン(以下、「PE6」ともいう。)20部と、PE10を7.2部と、PE12を10部と、PP2.8部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
【0093】
〔比較例1〕
PE1を12部と、PE10を14部と、PE12を12部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
【0094】
〔比較例2〕
PE1を20部と、PE12を18部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
【0095】
〔比較例3〕
PE3を12部と、PE10を16部と、Mv200万であり、コモノマー単位含量0.0%であり、密度0.95である超高分子量ポリエチレン(以下、「PE13」ともいう。)8部と、PP4部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
【0096】
〔比較例4〕
MI0.3(Mv17万)であり、コモノマーとしてブテンを含み、ブテン単位含量1.8モル%であり、密度0.92である共重合低密度ポリエチレン(以下、「PE8」ともいう。)20部と、PE10を18部と、PP2部とをポリオレフィン原料として使用した以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
【0097】
〔比較例5〕
PE9を8部と、PE10を32部とをポリエチレン原料として使用し、PPは不使用とした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
【0098】
〔比較例6〕
MI0.02(Mv40万)であり、コモノマーとしてプロピレンを含み、プロピレン単位含量1.6モル%であり、密度0.93である共重合高密度ポリエチレン(以下、「PE7」ともいう。)20部と、PE10を20部とをポリオレフィン原料として使用し、PPは不使用とした以外は、実施例1と同様の製膜を行った。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
本出願は、2015年7月14日出願の日本特許出願(特願2015−140389号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。