(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6470525
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】車両用エアクリーナー及びエアクリーナー製作のための金型ユニット
(51)【国際特許分類】
F02M 35/024 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
F02M35/024 511A
F02M35/024 511B
F02M35/024 511Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-171373(P2014-171373)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-200299(P2015-200299A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年7月25日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0041915
(32)【優先日】2014年4月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙潤根
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
韓国登録特許第10−1318188(KR,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0110146(US,A1)
【文献】
特開2008−038842(JP,A)
【文献】
特開2011−072962(JP,A)
【文献】
特開2004−124741(JP,A)
【文献】
特開平10−318056(JP,A)
【文献】
特開2007−113569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/02−09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部には収容空間が形成され、一側には空気を吸入することができる吸気口が形成され、上側には側方に折り曲げられた支持部が形成され、収容空間の上側に所定の厚さを持つ板状の補強部材が形成されたボディー、
前記ボディーの上側に結合され、内部には収容空間が形成され、一側に空気を排出することができる排出口が形成され、下側には側方に折り曲げられた係合部が形成されたカバー、
結合された前記ボディーとカバーの前面に設けられる開口部で、濾過部材が収納または引出される出入口の役目をする収納口、及び
板状のもので、前記収納口の前面に結合されて収納口を開閉する蓋、
を含み、
前記ボディーの支持部とカバーの係合部は、折曲部が互いに対応するように形成され、支持部と係合部が係合された後に超音波などで振動を発生させることによって互いに融着され、
前記ボディーの支持部の下側には、超音波などによる振動融着の際、融着ジグが結合されるように多段に折り曲げられた装着溝が形成され、
前記装着溝は、前記ボディーの上側から側方に所定の長さだけ伸ばされ、下方に折り曲げられ、さらに側方に伸ばされることで形成されることを特徴とする車両用エアクリーナー。
【請求項2】
前記ボディーの側面には所定の間隔をなす格子状のリブが外側に突設されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用エアクリーナー。
【請求項3】
前記ボディーの支持部は側方に所定の長さだけ伸ばされてから下方に伸ばされ、さらに側方に伸ばされることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアクリーナー。
【請求項4】
前記カバーの係合部は側方に所定の長さだけ伸ばされてから下方に伸ばされ、さらに側方に伸ばされたことを特徴とする請求項1に記載の車両用エアクリーナー。
【請求項5】
前記ボディーの支持部は、上側に濾過部材が挿合されることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアクリーナー。
【請求項6】
前記ボディーの支持部と濾過部材との間には駆動部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアクリーナー。
【請求項7】
前記ボディーの駆動部材は複数のカムが装着された複数のカムシャフトとカムシャフトを互いに連結する傘歯車とからなり、駆動部材の駆動によって濾過部材が収納または引出可能であることを特徴とする請求項6に記載の車両用エアクリーナー。
【請求項8】
前記補強部材には、上下方向に所定の深さを持つ孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用エアクリーナー。
【請求項9】
請求項1のエアクリーナーケースを製作するための金型ユニットであって、
直方体状のもので、内側面には、外側に湾入し、所定の幅及び長さを持つ第1係合凹部が形成された下型、
蓋状のもので、前記下型の上側に結合され、第1係合凹部の上側に延設され、外側に湾入した第2係合凹部が形成された上型、及び
前記第1係合凹部及び第2係合凹部にわたって係合され、前記ボディーの側面外側に対応する形状に形成され、内向面には格子状の格子溝が所定の間隔で形成されたスライド型、を含むことを特徴とする車両用エアクリーナー製作のための金型ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用エアクリーナー及びエアクリーナー製作のための金型ユニットに係り、より詳しくはエアクリーナーケースの気密性を高め、剛性を増大させることで、走行中に発生する放射騷音を減らしてNVH性能を改善することができる車両用エアクリーナー及びエアクリーナー製作のための金型ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両の吸気システムは、外部の空気を吸入して燃焼に用いる。したがって、エンジンに異物が流入すれば、異常燃焼するとか、エンジンでトラブルが発生してエンジンが破損されるなどの問題が発生する。よって、吸入される外部空気はエアクリーナーを通過し、濾過部材によって空気に含まれた不純物が濾過されるように構成される。
前記濾過部材は消耗品でエアクリーナーの内部に設けられ、一定の期間毎に入れ替えなければならない。大韓民国特許公開第2013−0061599A号の“車両用エアクリーナー”においては、エアクリーナーを引き出し型に構成することで、ボディーからカバーを脱去しなくても前面の交替カバーを用いて濾過部材を容易に収納及び引出できるようにした。
【0003】
前記車両用エアクリーナーにおいては、エアクリーナーのカバーとボディーは超音波を用いた振動融着によって結合する。一般に、超音波融着は超音波の振動を用いて加工対象物を融着するもので、融着器に電源を入力してパワーサプライ(Power Supply)で電気エネルギーを発生させ、発生した電気エネルギーを振動子とブースター(Booster)によって機械的な振動エネルギーに変換した後、振動エネルギーを工具ホーンを通じて加工対象物に伝達する。そして、工具ホーンを通じて加工対象物に振動エネルギーが伝達されれば、瞬間的に強力な振動による摩擦熱が発生し、加工対象物との接合面で溶融及び接着がなされる。このような超音波融着法はプラスチックや金属の融着、織物やフィルムの封合、ケーブルターミナルの融着などに広く使われている。
【0004】
しかし、従来は、カバーとボディーが融着される融着面が上側に位置して、濾過部材が収納または引出される収納口に位置するため、カバーとボディーの融着工程の後に変形による寸法安全性を確保しにくい問題があった。前記のような問題点を解決するために、従来より下げて融着面を形成すると、十分な空間が確保されずシール構造が形成されない問題があった。
また、カバーとボディーの融着の際、カバーとボディーを固定するために形成されるフランジ構造によって、成形の条件上、剛性を増大させることができる補強リブは一方向の縦方向にしか形成出来ないと言う欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許公開第10−2013−0061599A号
【特許文献2】特開2003−184669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、一体型補強構造を付け加えてカバー及びボディーの剛性を増大させ、融着面を下向に調整しながらも十分な空間を確保して安定したシール構造を具現し、ボディーの剛性を増大させるための補強リブをさらに形成してエアクリーナーの剛性を増大することによってNVH性能を改善することができる車両用エアクリーナー及びエアクリーナー製作のための金型ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明による車両用エアクリーナーは、内部には収容空間が形成され、一側には空気を吸入することができる吸気口が形成され、上側には側方に折り曲げられた支持部が形成され、収容空間の上側に所定の厚さを持つ板状の補強部材が形成されたボディー、前記ボディーの上側に結合され、内部には収容空間が形成され、一側に空気を排出することができる排出口が形成され、下側には側方に折り曲げられた係合部が形成されたカバー、結合された前記ボディーとカバーの前面に設けられる開口部で、濾過部材が収納または引出される出入口の役目をする収納口、及び板状のもので、前記収納口の前面に結合されて収納口を開閉する蓋、を含
み、前記ボディーの支持部とカバーの係合部は、折曲部が互いに対応するように形成され、支持部と係合部が係合された後に超音波などで振動を発生させることによって互いに融着され、前記ボディーの支持部の下側には、超音波などによる振動融着の際、融着ジグが結合されるように多段に折り曲げられた装着溝が形成され、前記
装着溝は、前記ボディーの上側から側方に所定の長さだけ伸ばされ、下方に折り曲げられ、さらに側方に伸ばされることで形成されることを特徴とする。
【0008】
前記ボディーの側面には所定の間隔をなす格子状のリブが外側に突設されたことを特徴とする。
【0009】
前記ボディーの支持部は側方に所定の長さだけ伸ばされてから下方に伸ばされ、さらに側方に伸ばされることを特徴とする。
【0010】
前記カバーの係合部は側方に所定の長さだけ伸ばされてから下方に伸ばされ、さらに側方に伸ばされたことを特徴とする。
【0013】
前記ボディーの支持部は、上側に濾過部材が挿合されることを特徴とする。
【0014】
前記ボディーの支持部と濾過部材
との間には駆動部材が設けられることを特徴とする。
【0015】
前記ボディーの駆動部材は複数のカムが装着された複数のカムシャフトとカムシャフトを互いに連結する傘歯車とからなり、駆動部材の駆動によって濾過部材が収納または引出可能であることを特徴とする。
【0016】
前記補強部材には、上下方向に所定の深さを持つ
孔が形成されたことを特徴とする。
【0017】
本発明
による車両用エアクリーナー製作のための金型ユニットは、請求項1の
エアクリーナーを製作するための金型ユニットであって、直方体状のもので、内側面には、外側に湾入し、所定の幅及び長さを持つ第1係合凹部が形成された下型、蓋状のもので、前記下型の上側に結合され、第1係合凹部の上側に延設され、外側に湾入した第2係合凹部が形成された上型、及び前記第1係合凹部及び第2係合凹部にわたって係合され、前記ボディーの側面外側に対応する形状に形成され、内向面には格子状の格子溝が所定の間隔で形成されたスライド型、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来は縦方向のリブのみが形成可能であったが、上型、下型の外にスライド型を付け加え、スライド型によって横方向のリブをさらに形成することができる利点がある。
ボディーに格子状のリブを適用することにより、エアクリーナーの自体剛性が増大してNVH性能を改善する効果を有するようになる。
また、ボディー形成の際、支持部の内側に補強部材をさらに成形することにより、エアクリーナーの剛性を増大させる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例による車両用エアクリーナーを示す図である。
【
図4】本発明の一実施例による車両用エアクリーナー金型ユニットを示す図である。
【
図6】本発明の他の実施例による車両用エアクリーナーの駆動部材及び濾過部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例による車両用エアクリーナー及びエアクリーナー製作のための金型ユニットについて説明する。
図1は本発明の一実施例による車両用エアクリーナーを示す図、
図2は
図1のボディー100を詳細に示す図、
図3は
図1のA−A線に沿った断面図である。 また、
図4は本発明の一実施例による車両用エアクリーナー金型ユニット200、400、600を示す図、
図5は
図4のスライド型600を詳細に示す図である。
図6は本発明の他の実施例による車両用エアクリーナーの駆動部材900及び濾過部材800を示す図である。
【0021】
本発明の好適な一実施例による車両用エアクリーナーは、内部に収容空間が形成され、一側には空気を吸入することができる吸気口110が形成され、上側には側方に折り曲げられた支持部130が形成され、収容空間の上側に所定の厚さを持つ板状の補強部材150が形成されたボディー100、ボディー100の上側に結合され、内部には収容空間が形成され、一側に空気を排出することができる排出口310が形成され、下側には側方に折り曲げられた係合部330が形成されたカバー300、結合されたボディー100とカバー300の前面に設けられる開口部で、濾過部材800が収納または引出される出入口の役目をする収納口500、及び板状のもので、収納口500の前面に結合され、収納口500を開閉する蓋700、を含む。
【0022】
本発明のエアクリーナーの空気の流れを説明すれば、車両の外部から吸入された空気はボディー100の吸気口110を通じてエアクリーナーに吸入され、濾過部材800によって不純物が濾過された後、カバー300の排出口310を通じてエンジン(図示せず)に供給される。車両用エアクリーナーは、ボディー100とカバー300が密閉空間を形成し、密閉空間内、つまりボディー100の支持部130の上側に濾過部材800が結合される。濾過部材800の交替の際には前方の蓋700を開閉し、収納口500を通じて濾過部材800を収納または引き出すようになるものである。
【0023】
濾過部材800は収納口500を通じてエアクリーナーに収納または装着される。収納口500はボディー100及びカバー300の支持部130と係合部330が互いに接触する部分の一側に形成される。よって、収納口500は濾過部材800に対応する形状に形成される。本実施例においては、濾過部材800が濾過紙や合成纎維を使う乾式のものとして例を挙げて説明したが、場合によっては湿式のものとしても利用することができ、このような内容は設計や環境によっていくらでも変更可能である。
【0024】
また、濾過部材800は、不純物を濾過させる濾過紙810と、濾過紙の上側に形成され、濾過紙810の外周を取り囲むように形成される枠部材830とからなる。濾過紙810は多段で積層されて十分な濾過面積を持つように形成され、枠部材830はエアクリーナーの内側収容空間に対応する形状の枠からなり、上側でフランジが側方に拡張突出してボディー100にかかって堅く支持される。
ボディー100の側面には所定の間隔で格子状のリブ160、170が外側に突設される。従来は、ボディーの成形特性上、金型ユニットの除去方向のために縦方向リブのみが形成されるため、幅方向剛性が低かった。そして、従来の金型ユニットの特性上、幅方向剛性の増大のための別途の補強構造の適用が難しかった。特に、座面が広い場合、中心部の剛性が低いため、車両の振動や衝撃による破損の危険性が高かった。
【0025】
しかし、本発明においては、縦方向のリブ160だけでなく、横方向のリブ170も形成するように金型ユニット200、400、600を別に形成して射出成形することにより、従来のボディーに比べて剛性を増大させることができる。 このような効果は従来の金型ユニットによっては得られにくいので、別途の金型ユニット200、400、600を用いて成形することにより、エアクリーナーの変位を拘束し、別の横方向のリブ170及び補強部材150などの補強構造を適用するようにした。ここで、車両用エアクリーナー金型ユニット200、400、600についての詳細な内容は後述する。
【0026】
ボディー100の支持部130は側方に所定の長さだけ伸ばされてから下方に伸ばされ、さらに側方に伸ばされる。また、カバー300の係合部330は側方に所定の長さだけ伸ばされてから下方に伸ばされ、さらに側方に伸ばされる。したがって、ボディー100の支持部130とカバー300の係合部330は互いに対応して密着し、より堅く係合される。また、ボディー100とカバー300が結合された後、超音波によって左右への振動を加えて互いに融着させることにより、互いに堅く密着してエアクリーナーの気密効果が高くなる。場合によっては、支持部130と係合部330にさらに係合突起331と係合孔131を形成して、二重固定及び密閉の効果を具現することができる。また、支持部130と係合部330の端部にはそれぞれ上下側に伸ばされた延長部133、333を形成することができる。
【0027】
ボディー100には支持部130の下側に装着溝190が形成される。支持部130はボディー100の上側から側方に所定の長さだけ伸ばされてから下方に折り曲げられ、さらに側方に伸ばされる。装着溝190には、ボディー100とカバー300が超音波などによって振動融着されるとき、融着ジグ(図示せず)が結合される。したがって、ボディー100とカバー300の融着の際、別途のジグを使わない利点があり、支持部130と装着溝190によってボディー100とカバー300がより堅く支持される効果がある。
【0028】
ボディー100には、ボディー100と一体成形され、断面逆“U”字形の補強部材150が形成される。補強部材150によってボディー100とカバー300の締結剛性が増大する効果がある。また、補強部材150には、上下方向に所定の深さを持つ複数の補強孔151が形成される。よって、補強孔151は、ボディー100の成形後に金型ユニット200、400、600が除去されるとき、金型ユニット200、400、600が除去方向を従来の除去方向とは異なるように変更することができるので、ボディー100の成形の際に作業工程をより容易に行うことができ、このような補強孔151はボディー100の支持部130などにも形成することができる。
【0029】
また、ボディー100の支持部130とカバー300の係合部330との間の空間に濾過部材800の枠部材830が結合される。この際、枠部材830の上側と支持部130との間にクランプ部材180が設けられることにより、より安定的に濾過部材800を支持することができ、ボディー100とカバー300の安定したシールが可能となる。
図6は本発明のさらに他の実施例による車両用エアクリーナーの駆動部材900と濾過部材800を示す図である。同図は、エアクリーナー内に内蔵される駆動部材900と駆動部材900の上側に結合される濾過部材800とを示す。これは、
図1のエアクリーナーボディー100の支持部130と濾過部材800の上側との間に駆動部材900がさらに設けられたものを示して説明する。
【0030】
ボディー100の駆動部材900は、複数のカム910が装着された複数のカムシャフト930とカムシャフト930を互いに連結する傘歯車950とからなる。よって、駆動部材900の駆動によって濾過部材800が収納または引出可能になる。
より詳細に説明すれば、駆動部材900は、使用者が駆動部材900に設けられた取っ手970を回転させると、取っ手970の回転によってカムシャフト930が回転し、カムシャフト930の回転によってカム910が回転することにより、濾過部材800が上下方向に昇降しながら収納または引出される。カムシャフト930はボディー100及びカバー300の収納口500側の面を除いた残りの3面にそれぞれ設けられ、カムシャフト930とカムシャフト930が合う端部には傘歯車950が設けられ、取っ手970の回転時にすべてのカムシャフト930が噛合って回転する。
【0031】
カムシャフト930上には長手方向に沿って複数のカム910が設置される。カム910はカムシャフト930の軸径より大きな直径を持つように形成され、一側が拡張するように形成されたもので、使用者がカムシャフト930の一端に設けられた取っ手970を把持した状態で回転させる場合、カム910の突出部が下向きになり、ボディー100に形成された支持部130に支持されて濾過部材800を上昇させる役目をする。
カム910は、
図6に示したように、一側に突出した部分の中で図面上の上面及び側面が直角を成すように形成され、下面はラウンド状に形成されることにより、一方向にだけ回転するように形成される。
【0032】
すなわち、カム910の直角に突出した部分では支持部130の接触によって回転ができなくなり、ラウンド状部分でだけ回転できるようになる。
また、カム910の他側には回転制限突起911が突設される。回転制限突起911は、使用者がカムシャフト930を回転させて濾過部材800を上昇させる場合、所定の加圧力を加える場合にだけ回転するようにした構成のものであり、車両の走行振動や衝撃などによって自然にカムシャフト930が回転することを制限する役目をする。
【0033】
したがって、駆動部材900は、
図6に示したように、濾過部材800のフランジ下部に結合された状態で初期にボディー100及びカバー300に形成された収納口500に挿入される場合には、カム910の拡張突出した部分が水平方向になるように回転した状態で挿入され、濾過部材800が全て挿入された後には、取っ手970を回転させることで、カム910の拡張突出した部分が下方に向かうようにカムシャフト930を回転させる。よって、ボディー100に形成された支持部130にカム910の突出した部分が支持され、濾過部材800が上方に上昇しながら収納口500の上側と密着する。
【0034】
この際、取っ手970が設けられたカムシャフト930を回転させるときにカムシャフト930が回転する構造で、一対のカムシャフト930を同時に回転させることもでき、場合によって一対のカムシャフト930のいずれか一カムシャフト930だけ回転させてもすべてのカムシャフト930が回転できるようになる。
したがって、駆動部材900の駆動によって濾過部材800がエアクリーナーのボディー100及びカバー300と密着するので、エアクリーナー内に流動する流動圧によっても搖れず、振動音が発生しなくなる。
【0035】
また、濾過部材800がボディー100及びカバー300と密着しているので、空気の漏出を防止することができ、それにより漏出音の発生を遮断することができる。さらに、駆動部材900を回転させる簡単な動作によって濾過部材800がボディー100及びカバー300と容易に簡便に密着するので、ギャップの発生による騷音発生を除去する効果がある。
車両用エアクリーナーによれば、ボディー100の側面に横方向のリブ170を付け加え、ボディー100の内側に補強部材150を重ねて当てることにより、エアクリーナーの剛性が増大することになる。よって、車両走行中に発生する振動や衝撃などによって発生する脈動がエアクリーナー内で加振されて騷音や振動などの発生を防止し、車両のNVH性能を改善する効果がある。
【0036】
また、ボディー100とカバー300が融着される融着部を従来に比べて下側に形成することができ、エアクリーナー内の収容空間を充分に確保することができ、ボディー100とカバー300の全周にわたる融着が可能な利点がある。特に、濾過部材800をカムシャフト930によって収納または引出できるように構成することにより、駆動部材900を装着する場合にも十分な空間が確保されて安定したシールが可能である。また、前記のように形成することにより、振動融着の際に基本剛性を確保することができ、装着溝190によって融着変位を拘束して融着品質の向上及び寸法整合性の増大を可能にする利点がある。よって、車両用エアクリーナーの安定したシール性能を確保し、気密性の増大及び締結剛性の増大によって重量及び原価を節減する効果がある。
【0037】
図4及び
図5に本発明の車両用エアクリーナーを成形するための金型ユニット200、400、600を別々に示した。
本発明の好適な一実施例による車両用エアクリーナー金型ユニット200、400、600は、直方体状のもので、内側面には外側に湾入した所定の幅及び長さを持つ第1係合凹部210が形成された下型200、蓋状のもので、下型200の上側に結合され、第1係合凹部210の上側に延設され、外側に湾入した第2係合凹部410が形成された上型400、及び第1係合凹部210と第2係合凹部410にわたって係合され、ボディー100の側面外側に対応する形状に形成され、内向面には格子状の格子溝610が所定の間隔で形成されたスライド型600、を含む。
【0038】
図5に示すように、上型400と下型200の外に別に形成されたスライド型600が上型400と下型200の両側内側に挿入される。スライド型600は所定の厚さ及び所定の幅を持ち、上下方向に長く形成されたもので、内向面には横方向及び縦方向に格子状の格子溝610が形成される。格子溝610により、従来とは異なり、ボディー100の側面に縦方向のリブ160だけでなく、横方向のリブ170もさらに形成してボディー100の剛性を増大させることができる。ここで、スライド型600は上型400及び下型200に形成された第2係合凹部410及び第1係合凹部210に対応するように形成され、上下方向にスライドして係合される。
【0039】
車両用エアクリーナーの製作の際には、まず金型ユニット200、400、600によってボディー100とカバー300をそれぞれ成形製作した後、超音波などで左右に振動させてボディー100とカバー300を融着させる。
ボディー100の製作を具体的に説明すれば、補強部材150の外側部分は上型400によって形成され、補強部材150の内側部分は下型200によって形成され、中心側はスライド型600が結合された後に成形される。よって、ボディー100から金型ユニット200、400、600を除去する際には、上型400及び下型200の除去後にスライド型600を除去する順で除去される。
【0040】
その後、それぞれ成形されたボディー100とカバー300を結合し、ボディー100の支持部130側に形成された装着溝190に融着ジグを固定して左右に振動させることによって融着される。
前記のような車両用エアクリーナー金型ユニットによれば、従来の縦方向のリブのみ形成できたものを、上型及び下型の外にスライド型を付け加え、スライド型によって横方向のリブをさらに形成することができる利点がある。よって、ボディーに格子状のリブを適用することにより、エアクリーナー自体の剛性が増大してNVH性能の改善効果が得られる。また、ボディーの形成の際、支持部の内側に補強部材をさらに成形することにより、エアクリーナーの剛性を増大させる利点がある。
【0041】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エアクリーナーケースの気密性を高め、剛性を増大させることで、走行中に発生する放射騷音を減らしてNVH性能を改善することができる車両用エアクリーナーに適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
100 ボディー
110 吸気口
130 支持部
131 係合孔
133 延長部
150 補強部材
151 補強孔
160 縦リブ
170 横リブ
180 クランプ部材
190 装着溝
300 カバー
310 排出口
330 係合部
331 係合突起
333 延長部
500 収納口
700 蓋
800 濾過部材
810 濾過紙
830 枠部材
900 駆動部材
910 カム
911 回転制限突起
930 カムシャフト
950 傘歯車
970 取っ手
200 下型
210 第1係止凹部
400 上型
410 第2係止凹部
600 スライド型
610 格子溝