(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前の期間における前記第1の平均金利および前記第2の金利のそれぞれの組合せに対する前記着目期間までの第2の平均金利は、前記第1の平均金利と前記前の期間までの期間数の積と、前記第2の金利の和を、前記着目期間までの期間数で除算して求められ、
前記第1の金利および前記第1の平均金利のそれぞれの組合せに対する前記第2の金利の発生確率は、前記第1の金利に対する前記第1の平均金利の発生確率と、前記第1の金利から前記第2の金利への遷移確率との積として求められるものであることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
前記第4の平均金利の発生確率に加算される前記第2の平均金利の発生確率の前記一部は、前記第2の平均金利と前記第4の平均金利の間の差が小さくなるにしたがって増大し、前記第5の平均金利の発生確率に加算される前記第2の平均金利の発生確率の前記残部は、前記第2の平均金利と前記第5の平均金利の間の差が小さくなるにしたがって増大するように決定されるものであることを特徴とする、請求項3に記載のプログラム。
前記複数の平均金利の数は、前記複数の金利の数から1を減算した値の整数倍に1を加算した値であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。
本発明の非限定的な実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0014】
モンテカルロ・シミュレーションで算出された銀行短期金利で資金を借り入れた場合の平均利息の予想値は、あくまでサンプリングによる推定であるため、シミュレーションの実行の度に変化し、金利の変動確率が部分的にしか反映されず、その信頼性は低い。
【0015】
発明者は、現在の銀行短期金利に基づいて、或る期間iでの各金利X
p,iから次の期間i+1での各金利X
j,i+1への銀行短期金利の遷移確率T(X
p,i,X
j,i+1)に従って、最初の期間i=1から最後の期間i=Mまでの各平均金利Y
k,Mの確率を求めることができる、と認識した。しかし、発明者は、銀行短期金利X
p,iおよびX
j,i+1の取り得る値の数は多く、120以上の期間における平均金利の膨大な数の中間の予測値をパーソナル・コンピュータで計算すると、24時間でも処理が完了しない、と認識した。一方、発明者は、取り得る中間の予測値を限定された数の値に近似することによって、120以上の期間における平均金利の各予測値を通常のパーソナル・コンピュータにより短時間で算出することができる、と認識した。
【0016】
実施形態の目的は、金利の遷移確率に従って、将来の或る期間までの各予測平均金利の確率をコンピュータで求めることである。
実施形態の目的は、金利の遷移確率に従って、将来の或る期間までの各予測平均金利の確率をコンピュータにより短時間で求めることができるようにすることである。
【0017】
図1は、実施形態による、情報処理装置10の概略的構成(configuration)の例を示している。
【0018】
図1において、情報処理装置10は、例えば、デスクトップ型、ノートブック型またはタブレット型のパーソナル・コンピュータであっても、または電子卓上計算機若しくはスマートフォンであってもよい。情報処理装置10は、例えば、プロセッサ102、記憶部104、内部バス、ネットワーク・インタフェース(NW/IF)108、入力部122、表示部124、および音響部126を含んでいる。ネットワーク・インタフェース108は、ネットワーク(5)に接続可能である。
【0019】
情報処理装置10は、外付けドライブ(図示せず)に接続可能である。外付けドライブは、ソフトウェアが記録された例えば光ディスクまたは磁気ディスクのような記録媒体を読み取るためのものであってもよい。そのソフトウェアは、例えば、OS、データベース管理システム(DBMS)、アプリケーション・プログラム、等を含んでいてもよい。アプリケーション・プログラムは、平均金利を計算するためのアプリケーションを含んでいてもよい。記憶部104は、データベースを含んでいてもよい。
【0020】
プロセッサ102は、コンピュータ用のCPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部104には、例えば、ROM、RAM、SD(セキュア・ディジタル)メモリまたはUSBメモリ等のフラッシュ・メモリのような半導体メモリ、および/またはハードディスク・ドライブ(HDD)が含まれていてもよい。
【0021】
プロセッサ102は、例えば集積回路として実装された専用のプロセッサであってもよい。また、プロセッサ102は、記憶部104に格納されたアプリケーション・プログラムに従って動作するものであってもよい。アプリケーション・プログラムは、記録媒体に格納されていて、外付けドライブによって記録媒体から読み出されて情報処理装置10にインストールされてもよい。
【0022】
入力部122は、例えば、複数のキー、タッチパッド、テンキー、キーボード、タッチパネル、および/またはポインティング・デバイスを含んでいてもよい。表示部124は、例えば、液晶表示装置、またはタッチパネル付き液晶表示装置であってもよい。音響部126は、例えば、マイクロホン、スピーカおよびレシーバを含んでいてもよい。
【0023】
図2は、実施形態による、情報処理装置10およびサーバ装置20を含むシステム2の概略的構成の例を示している。
【0024】
システム2は、ネットワーク5に接続された、情報処理装置10およびサーバ装置20を含んでいる。ネットワーク5は、例えば、イントラネットまたはLANまたはインターネットのようなIP(Internet Protocol)ネットワークであってもよい。サーバ装置20および情報処理装置10は、それぞれ、サーバ−クライアント・システムのサーバおよびクライアントであってもよい。
【0025】
サーバ装置20は、情報処理装置であり、例えば、プロセッサ202、メモリ204、内部バス、記憶装置206、およびネットワーク・インタフェース(NW I/F)208を含むコンピュータであってもよい。また、サーバ装置20は、例えば、1つ以上のサーバ・ユニットまたはサーバ・ブレードを含むものであってもよい。
【0026】
サーバ装置20は、外付けドライブ(図示せず)に接続可能である。外付けドライブは、ソフトウェアが記録された、例えば光ディスクまたは磁気ディスクのような記録媒体を読み取るためのものであってもよい。そのソフトウェアは、例えば、OS、データベース管理システム(DBMS)、アプリケーション・プログラム、等を含んでいてもよい。アプリケーション・プログラムは、平均金利を計算するためのアプリケーションを含んでいてもよい。記憶装置206は、データベースを含んでいてもよい。サーバ装置20の記憶装置206におけるデータベースは、
図1の情報処理装置10の記憶部104におけるデータベースの少なくとも一部を含むものであってもよい。なお、
図1の情報処理装置10の記憶部104は、
図2のサーバ装置20のメモリ204および記憶装置206にそれぞれ対応するメモリおよび記憶装置を含んでいてもよい。
【0027】
プロセッサ202は、コンピュータ用のCPUであってもよい。メモリ204には、例えば、主記憶装置および半導体メモリ等が含まれる。記憶装置206には、例えばSDメモリまたはUSBメモリ等のフラッシュ・メモリのような半導体メモリ、および/またはハードディスク・ドライブが含まれていてもよい。
【0028】
プロセッサ202は、例えば集積回路として実装された専用のプロセッサであってもよい。また、プロセッサ202は、記憶部としてのメモリ204および/または記憶装置206に格納されたアプリケーション・プログラムに従って動作するものであってもよい。アプリケーション・プログラムは、記録媒体に格納されていて、外付けドライブによって記録媒体から読み出されてサーバ装置20にインストールされてもよい。
【0029】
図3は、情報処理装置10のプロセッサ102の概略的な構成の例を示している。
【0030】
プロセッサ102は、制御部1020、アプリケーション部1024、条件設定部1026、金利遷移確率生成部1028、平均金利確率算出部1030、表示処理部1032、およびその他の処理部1040を含んでいる。制御部1020は、アプリケーション部1024、条件設定部1026、金利遷移確率生成部1028、平均金利確率算出部1030、表示処理部1032および処理部1040に制御信号を供給して、これらの要素の動作を制御してもよい。
【0031】
情報処理装置10は、サーバ−クライアント・システムにおけるクライアントとして動作してもよい。この場合、サーバ装置20は、サーバ−クライアント・システムにおけるサーバとして動作し、
図1の情報処理装置10用のソフトウェアの少なくとも一部または全ての機能を実行してもよい。
【0032】
以下の説明において、単位期間を、例として1箇月として説明するが、単位期間は、例えば、1日、7日、10日、2箇月、6箇月のような他の時間長さであってもよい。また、i番目の期間である当月または着目月iにおいて取り得るj番目の金利(短期金利)をX
j,iとする。ここで、月iの番号iをi=0、1、2、...、Mとする。月iにおいて取り得るN個の金利X
j,iをX
j,i=X
1,i、X
2,i、...、X
N,i=x
1、x
2、...、x
N、j=1、2、...、Nとする。また、開始時の0番目の月0からi番目の月iまでの期間にわたる取り得るk番目の近似の平均金利をZ
k,iとする。0番目の月0からi番目の月iまでの期間にわたる平均金利は、この平均金利に最も近い近似平均金利Z
k,iの金利番号kを用いて平均金利Y
k,iと記述する。ここで、月iにおいて取り得るα(N−1)+1個の近似の平均金利Z
k,iをZ
k,i=Z
1,i、Z
2,i、...、Z
α(N−1)+1,i=z
1、z
2、...、z
α(N−1)+1、k=1、2、...、α(N−1)+1とする。αは1または2以上の整数である。当月iにおける金利X
j,i、および当月iまでの平均金利Y
k,iの近似平均金利Z
k,iは、それぞれ、次の前月i=i+1における前月iの金利X
p,i、および平均金利Z
q,i、または次の当月i(=i+1)の前月i−1における金利X
p,i−1、および平均金利Z
q,i−1として設定される。
【0033】
当月iの金利がX
j,iで、開始時i=0から当月iまでの期間にわたる平均金利がY
k,iとなる確率P(X
j,i,Y
k,i)は、前月i−1の金利X
p,i−1に対する前月i−1までの平均金利Z
q,i−1の発生確率P(X
p,i−1,Z
q,i−1)と、前月i−1における金利X
p,i−1から当月iの金利X
j,iへの金利遷移確率T(X
p,X
j)との積として次式で表される。
P(X
j,i,Y
k,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)
【0034】
複数の金利Y
k,iを用意して、金利Y
k,iを、金利Y
k,iに近い近似金利Z
k,iに置き換える場合、前月i−1の各金利X
p,i−1、前月i−1までの各平均金利Z
q,i−1、各当月iの金利の組合せについて、金利が近似平均金利Z
k,iとなる確率P(X
j,i,Z
k,i)は、各次式で表されてもよい。
P(X
j,i,Y
k,i)≒P(X
j,i,Z
k,i)
この場合、前月i−1の金利X
p,i−1および前月i−1までの平均金利Z
q,i−1の全ての組合せに対して、当月iの各金利X
j,iの場合に当月iまでの近似平均金利がZ
k,iとなる合計の確率P(X
j,i,Z
k,i)は、次式で表される。
【数1】
ここで、Aは、当月iの金利X
j,iの場合に、前月i−1の平均金利Z
q,i−1と当月金利X
j,iから算出される月iまでの近似の平均金利がZ
k,iとなるような全ての取り得るqの値の集合である。
【0035】
図4Aおよび4Bは、前月i−1における取り得る複数の金利X
p,i−1=x
1〜x
Nの各々から当月iにおける取り得る複数の金利X
j,i=x
1〜x
Nの各々への遷移確率を表す金利遷移確率マトリックスTの例を示している。ここで、金利番号pおよびjの各々は、p=1、2、...、N、j=1、2、...、Nの整数であり、X
pは当月iに対する前月i−1の短期の金利を表し、X
jは当月iの短期の金利を表す。
【0036】
図4Aおよび4Bの金利遷移確率マトリックスT(X
p,X
j)において、各要素E
p,jは、マトリックスTの左側の列の金利X
p,i−1=x
1〜x
Nの各々から、マトリックスTの上側の行の金利X
j,i=x
1〜x
Nの各々への遷移確率を表している。マトリックスTにおいて、各1行の成分の合計は1であってもよい。マトリックスTにおいて、対角成分の値は他の近隣の成分の値より大きい。
【0037】
金利遷移確率マトリックスTでは、過去の短期金利データに基づいて下限金利x
1と上限金利x
Nが設定され、1つの期間の金利から次の期間の金利への平均的な金利遷移確率E
p,jが設定される。また、計算上の金利の最小変動幅を表す金利の間隔(x
k−x
k−1)は、例えば、正規分布を変換するなどして決定してもよい。さらに、ユーザの専門的見地に基づいて、個々の遷移確率、等を修正してもよい。
【0038】
図4Aにおいて、取り得る金利x
1〜x
Nの数NはN=3である。
図4Aにおいて、前月i−1の金利X
p,i−1=x
1=1.0%から、当月iの金利X
j,i=x
1=1.0%、x
2=2.0%、x
3=3.0%への遷移確率は、それぞれE
p,j=E
1,1=0.2、E
1,2=0.7、E
1,3=0.1である。また、前月i−1の金利x
2=2.0%から、当月iの金利x
1=1.0%、x
2=2.0%、x
3=3.0%への遷移確率は、それぞれE
2,1=0.2、E
2,2=0.6、E
2,3=0.2である。また、前月i−1の金利x
3=3.0%から、当月iの金利x
1=1.0%、x
2=2.0%、x
3=3.0%への遷移確率は、それぞれE
3,1=0.1、E
3,2=0.3、E
3,3=0.6である。
【0039】
図4Bにおいて、取り得る金利x
1〜x
Nの数NはN=10である。
図4Bにおいて、前月i−1の金利X
p,i−1=x
1=1.0%から、当月iの金利X
j,i=x
1=1.0%、x
2=2.0%、x
3=3.0%、...、x
10=10.0%への遷移確率は、それぞれE
p,j=0.7、0.2、0.0、...、0.0である。また、前月i−1の金利x
2=2.0%から、当月iの金利1.0%、2.0%、3.0%、4.0%、...、10.0%への遷移確率は、それぞれ0.2、0.6、0.1、0.0、...、0.0である。また、前月i−1の金利x
3=3.0%から、当月iの金利2.0%、3.0%、4.0%、5.0%への遷移確率は、それぞれ0.2、0.5、0.2、0.1である。また、前月i−1の金利x
4=4.0%から、当月iの金利3.0%、4.0%、5.0%、6.0%への遷移確率は、それぞれ0.2、0.5、0.2、0.1である。また、前月i−1の金利x
5=5.0%から、当月iの金利4.0%、5.0%、6.0%への遷移確率は、それぞれ0.2、0.6、0.2である。また、前月i−1の金利x
6=6.0%から、当月iの金利4.0%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%への遷移確率は、それぞれ0.1、0.2、0.5、0.1、0.1である。また、前月i−1の金利x
7=7.0%から、当月iの金利5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%への遷移確率は、それぞれ0.1、0.2、0.5、0.1、0.1である。また、前月i−1の金利x
8=8.0%から、当月iの金利6.0%、7.0%、8.0%、9.0%への遷移確率は、それぞれ0.1、0.3、0.5、0.1である。また、前月i−1の金利x
9=9.0%から、当月iの金利6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%への遷移確率は、それぞれ0.1、0.1、0.2、0.5、0.1である。また、前月i−1の金利x
10=10.0%から、当月iの金利7.0%、8.0%、9.0%、10.0%への遷移確率は、それぞれ0.1、0.2、0.3、0.4である。
【0040】
例として、
図4Aの金利遷移マトリックスTが用いられ、開始時i=0における金利X
0,0が、例としてX
0,0=x
2=2.0%と決定されているものとする。従って、開始時i=0での平均金利もZ
0,0=X
0,0/1=2.0%である。
【0041】
図5Aは、実施形態による開始時i=0(期間0)の第0段の開始金利X
0,0の状態から、各金利遷移後の期間1の第1段の金利X
k,1および平均金利Z
q,1の状態への状態遷移図の例を示している。また、
図5Bは、実施形態による、第1段以後の期間i−1の第i−1段の金利X
p,i−1および平均金利Z
q,i−1の状態から、各金利遷移後の期間iの第i段の金利X
j,iおよび平均金利Y
k,iの状態へ、さらに対応する金利X
j,iおよび近似の平均金利Z
k,iの状態への状態遷移図の例を示している。
【0042】
図5Aにおいて、第0段において、開始金利はX
p,i=X
0,0であり、平均金利はZ
q,i=Z
0,0であり、現在の金利X
0,0および平均金利Z
0,0の発生確率P
i=P
0=P(X
0,0,Z
0,0)は1.0である。次の第1段における、N個の金利X
1,1、X
2,1、...、X
N,1と、α(N−1)+1個の近似の平均金利Z
1,1、Z
2,1、...、Z
α(N−1)+1,1との各組合せの状態(一点鎖線内)が、記憶領域として予め用意される。この組合せの状態の数は、N×(α(N−1)+1)=(α(N−1)+1)×Nである。
【0043】
第0段における金利X
0,0および平均金利Z
0,0の状態から、期間1の第1段における次の金利X
1,1の状態へは、金利遷移確率T(X
0,X
1)で遷移する。第1段までの平均金利は、第0段の平均金利と第i段の金利を用いて、Y
β,1=(Z
0,0×1+X
1,1)/2で表される。また、第1段の金利X
1,1および平均金利Y
β,1=(Z
0,0×1+X
1,1)/2の状態の発生確率P
1=P(X
1,1,Y
β,1)は、前段の状態の発生確率と、金利X
0,0からX
1,1の状態への金利遷移確率との積P
0×T(X
0,X
1)で表される。ここで、金利番号βは、1<β≦k<α(N−1)+1の範囲の番号である。
【0044】
次いで、遷移後の金利X
1,1および平均金利Y
β,1の状態が、近似化によって、(α(N−1)+1)×N個の、金利X
1,1〜X
N,1と平均金利Z
1,1〜Z
α(N−1)+1,1の各組合せの状態の中の、当月iの金利X
j,1および最も近い近似の平均金利Z
β,1の状態に遷移しまたは結合される。ここで、Y
β,1=Z
β,1であってもよい。次いで、遷移後の金利X
j,1および近似の平均金利Z
β,1の状態の発生確率は、P
1=P(X
j,1,Z
β,1)=P(X
j,1,Y
β,1)と設定されて記憶される。
【0045】
また、第0段における金利X
0,0および平均金利Z
0,0の状態から、期間1の第1段における別の次の金利X
j,1の状態へは、金利遷移確率T(X
0,X
j)で遷移する。第1段までの平均金利は、Y
k,1=(Z
0,0×1+X
j,1)/2で表される。また、第1段の金利X
j,1および平均金利Y
k,1=(Z
0,0×1+X
j,1)/2の状態の発生確率P
1=P(X
j,1,Y
k,1)は、前段の状態の発生確率と、金利X
0,0からX
j,1の状態への金利遷移確率の積P
0×T(X
0,X
j)で表される。ここで、1<k<α(N−1)+1である。
【0046】
次いで、遷移後の金利X
j,1および平均金利Y
k,1の状態が、近似化によって、(α(N−1)+1)×N個の、金利X
1,1〜X
N,1と平均金利Z
1,1〜Z
α(N−1)+1,1の各組合せの状態の中の、当月iの金利X
j,1および最も近い近似の平均金利Z
k,1の状態に遷移しまたは結合される。ここで、Y
k,1=Z
k,1であってもよい。次いで、遷移後の金利X
j,1および近似の平均金利Z
k,1の状態の発生確率は、P
1=P(X
j,1,Z
k,1)=P(X
j,1,Y
k,1)と設定されて記憶される。
【0047】
また、第0段における金利X
0,0および平均金利Z
0,0の状態から、期間1の第1段におけるさらに別の次の金利X
N,1の状態へは、金利遷移確率T(X
0,X
N)で遷移する。第1段までの平均金利は、Y
γ,1=(Z
0,0×1+X
N,1)/2で表される。また、第1段の金利X
N,1および平均金利Y
k,1=(Z
0,0×1+X
N,1)/2の状態の発生確率P
1=P(X
N,1,Y
γ,1)は、前段の状態の発生確率と、金利X
0,0からX
N,1の状態への金利遷移確率との積P
0×T(X
0,X
N)で表される。ここで、金利番号γは、1<k≦γ<α(N−1)+1の範囲の番号である。
【0048】
次いで、遷移後の金利X
N,1および平均金利Y
γ,1の状態が、近似化によって、(α(N−1)+1)×N個の、金利X
1,1〜X
N,1と平均金利Z
1,1〜Z
α(N−1)+1,1の各組合せの状態の中の、当月iの金利X
N,1および最も近い近似の平均金利Z
γ,1の状態に遷移しまたは結合される。ここで、Y
γ,1=Z
γ,1であってもよい。次いで、遷移後の金利X
N,1および近似の平均金利Z
γ,1の状態の発生確率は、P
1=P(X
N,1,Z
γ,1)=P(X
N,1,Y
γ,1)と設定されて記憶される。
【0049】
従って、第1段では、用意された(α(N−1)+1)×N個の状態の記憶領域の中のN個の記憶領域に、現在の金利、平均金利および発生確率が記憶される。
【0050】
一方、次の第2段では、近似化を行わない場合、前段の記憶領域のN個の金利X
1,1〜X
N,1に対する平均金利Y
β,1〜Y
γ,1および発生確率の各組合せに対して、次段のN個の金利に対する平均金利および各発生確率が算出されてN
2個の記憶領域に記憶される。以降の第i段では、近似化を行わない場合、同様に、N
i−1個の記憶領域の前段i−1の金利に対する平均金利および発生確率の各組合せに対して、第i段のN個の金利に対する平均金利および発生確率が算出されてN
i個の記憶領域に記憶される。この場合、段数iが増大するに従って処理が指数関数的に増大し、通常のパーソナル・コンピュータの処理能力では、各記憶領域に対するアクセスおよび算出処理に膨大な時間を要する。例えば、最後の期間i=Mが120箇月の場合、記憶領域の数はN
120にも達する。
【0051】
図5Bにおいて、前段の第i−1段(i≧2)の1つの状態において、金利がX
p,i−1で、平均金利がZ
q,i−1で、金利X
p,i−1と平均金利Z
q,i−1の組合せの発生確率がP(X
p,i−1,Z
q,i−1)であるものとする。第i段における、N個の金利X
1,i、X
2,i、...、X
N,iと、α(N−1)+1個の近似の平均金利Z
1,i、Z
2,i、...、Z
α(N−1)+1,iとの各組合せの状態(一点鎖線内)が、記憶領域として予め用意される。
【0052】
第i−1段での金利X
p,i−1および平均金利Z
q,i−1の状態から、当期間iの第i段における金利X
1,iの状態へは、金利遷移確率T(X
p,X
1)で遷移する。第i段での平均金利は、Y
β,i=(Z
q,i−1×i+X
1,i)/(i+1)で表される。また、第i段の金利X
1,iおよび平均金利Y
β,i=(Z
q,i−1×i+X
1,i)/(i+1)の状態の発生確率P
i=P(X
1,i,Y
β,i)は、P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
1)で表される。
【0053】
次いで、遷移後の金利X
1,iおよび平均金利Y
β,iの状態が、近似化によって、(α(N−1)+1)×N個の、金利X
1,i〜X
N,iと平均金利Z
1,i〜Z
α(N−1)+1,iの組合せの状態の中の、当月iの金利X
1,iおよび最も近い平均金利Z
β,iの状態に遷移されまたは結合される。ここで、Y
β,1=Z
β,1であってもよい。次いで、遷移後の金利X
1,iおよび近似の平均金利Z
β,iの発生確率は、P
1=P(X
1,i,Z
β,i)=P(X
1,i,Y
β,i)と設定されて記憶される。
【0054】
また、第i−1段での金利X
p,i−1および平均金利Z
q,i−1の状態から、当期間iの第i段における金利X
j,1の状態へは、金利遷移確率T(X
p,X
j)で遷移する。第i段での平均金利は、Y
k,i=(Z
q,i−1×i+X
j,i)/(i+1)で表される。また、第i段の金利X
j,1および平均金利Y
k,i=(Z
q,i−1×i+X
j,i)/(i+1)の状態の発生確率P
i=P(X
j,i,Y
k,i)は、P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)で表される。
【0055】
次いで、遷移後の金利X
j,iおよび平均金利Y
β,iの状態が、近似化によって、(α(N−1)+1)×N個の、金利X
1,i〜X
N,iと平均金利Z
1,i〜Z
α(N−1)+1,iの組合せの状態の中の、当月iの金利X
j,iおよび最も近い平均金利Z
k,iの状態に遷移されまたは結合される。ここで、Y
k,1=Z
k,1であってもよい。次いで、遷移後の金利X
j,iおよび近似の平均金利Z
k,iの発生確率は、P
1=P(X
j,i,Z
k,i)=P(X
j,i,Z
q,i)と設定されて記憶される。
【0056】
また、第i−1段での金利X
p,i−1および平均金利Z
q,i−1の状態から、当期間iの第i段における金利X
N,iの状態へは、金利遷移確率T(X
p,X
N)で遷移する。第i段での平均金利は、Y
γ,i=(Z
q,i−1×i+X
N,i)/(i+1)で表される。また、第i段の金利X
N,iおよび平均金利Y
γ,i=(Z
q,i−1×i+X
N,i)/(i+1)の状態の発生確率P
i(X
j,i,Y
γ,i)は、P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)で表される。
【0057】
次いで、遷移後の金利X
N,iおよび平均金利Y
γ,iの状態が、近似化によって、(α(N−1)+1)×N個の、金利X
1,i〜X
N,iと平均金利Z
1,i〜Z
α(N−1)+1,iの組合せの状態の中の、当月iの金利X
j,iおよび最も近い平均金利Z
γ,iの状態に遷移されまたは結合される。ここで、Y
γ,1=Z
γ,1であってもよい。次いで、遷移後の金利X
N,iおよび近似の平均金利Z
γ,iの発生確率は、P
1=P(X
N,i,Z
γ,i)=P(X
N,i,Y
γ,i)と設定されて記憶される。
【0058】
図5Bの例では、遷移後の第i段での平均金利Y
k,iを、限定された数α(N−1)+1個の近似の平均金利z
1、z
2、...、z
α(N−1)+1の中の対応するいずれか1つの近似の平均金利Z
k,iに置換し、第i段の金利X
j,i毎に、それぞれの近似前の平均金利Y
k,iの発生確率を近似後の平均金利Z
k,iの発生確率として合計して、その発生確率とする。次の第i+1段では、前段での限定された数α(N−1)+1個の近似平均金利z
1〜z
α(N−1)+1、第i+1段の各金利およびそれぞれの発生確率に基づいて、各金利に対する平均金利および発生確率が算出される。次いで、同様に、第i+1段での平均金利Y
k,i+1が、α(N−1)+1個の近似平均金利z
1〜z
α(N−1)+1の中の1つの近似平均金利Z
k,i+1に置換されて、金利X
j,i+1毎に、それぞれの近似前の平均金利Y
k,i+1の発生確率が近似後の平均金利Z
k,i+1の発生確率として合計されてその発生確率とされる。このような近似処理が、最後の期間i=Mの第M段まで繰り返される。この場合、段数iが増大しても、各第i段の記憶領域の数は、(α(N−1)+1)×Nであり、N
2個のオーダに抑えられ、通常のパーソナル・コンピュータの処理能力で、各記憶領域に対するアクセスおよび算出処理を短時間(例えば、数分)で実行できる。例えば、最後の期間i=Mが120箇月の場合でも、記憶領域の数はN
2個のオーダで済む。
【0059】
図5Cおよび5Dは、近似前の平均金利Y
k,iの発生確率P
i=P(X
j,i,Y
k,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)に基づく、近似の平均金利Z
k,iの発生確率P
i(X
j,i,Z
k,i)の決定のしかたの例を説明するための図である。
【0060】
図5Cおよび5Dにおいて、近似前の平均金利Y
k,i、近似の平均金利Z
k,i、近似の平均金利Z
k+1,iの間の大小関係は、Z
k,i<Y
k,i<Z
k+1,iであるものとする。
【0061】
図5Cにおいて、近似前の平均金利Y
k,iが近似の平均金利Z
k,iに最も近い場合、金利X
j,iおよび平均金利Y
k,iの状態は、金利X
j,iおよび平均金利Z
k,iの状態に遷移しまたは結合される。この場合、近似前の平均金利Y
k,iの発生確率P
i=P(X
j,i,Y
k,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)は、近似平均金利Z
k,iの発生確率P
i=P(X
j,i,Z
k,i)(各第i段の初期値は0)に加算される。この場合、近似前の平均金利Z
k,iに2番目に近い近似平均金利Z
k+1,i(初期値は0)には、何も加算されない。一方、第i段の金利X
j,iおよび他の平均金利Y
β,iの状態の平均金利Y
β,iが、同じ近似の平均金利Z
k,iに最も近い場合、近似の平均金利Z
k,iの発生確率P(X
j,i,Z
k,i)には、金利X
j,iおよび平均金利Y
β,iの状態の発生確率P(X
j,i,Y
β,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)も加算される。
【0062】
図5Dにおいて、近似前の平均金利Y
k,iの発生確率P
i=P(X
j,i,Y
k,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)は、近似前の平均金利Y
k,iと、近似の平均金利Z
k,iとの間の差、および近似の平均金利Z
k+1,iとの間の差に応じて2つの部分に分けられて、近似の平均金利Z
k,iとZ
k+1,iの発生確率P(X
j,i,Z
k,i)、P(X
j,i,Z
k+1,i)にそれぞれ加算される。例えば、近似の平均金利Z
k,iの発生確率P(X
j,i,Z
k,i)には、少なくとも一部P(X
j,i,Y
k,i)×(Z
k+1,i−Y
k,i)/(Z
k+1,i−Z
k,i)が加算される。また、近似平均金利Z
k+1,iの発生確率P(X
j,i,Z
k+1,i)には、残部P(X
j,i,Y
k,i)×(Y
k,i−Z
k,i)/(Z
k+1,i−Z
k,i)が加算される。近似の平均金利Z
k,iとZ
k+1,iの発生確率P(X
j,i,Z
k,i)、P(X
j,i,Z
k+1,i)には、金利X
j,iおよび他の平均金利Y
β,iの状態の発生確率P(X
j,i,Y
β,i)=P(X
j,i−1,Y
β,i−1)×T(X
p,X
j)の少なくとも一部も加算され得る。
【0063】
また、Z
k−1,i<Y
k,i<Z
k,iの場合、近似前の平均金利Y
k,iの発生確率P
i=P(X
j,i,Y
k,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)は、近似前の平均金利Y
k,iと、近似の平均金利Z
k,iとの間の差、および近似の平均金利Z
k−1,iとの間の差に応じて2つの部分に分けられて、近似の平均金利Z
k,iとZ
k−1,iの発生確率P(X
j,i,Z
k,i)、P(X
j,i,Z
k−1,i)にそれぞれ加算される。例えば、近似の平均金利Z
k,iの発生確率P(X
j,i,Z
k,i)には、少なくとも一部P(X
j,i,Y
k,i)×(Y
k,i−Z
k−1,i)/(Z
k,i−Z
k−1,i)が加算される。また、近似平均金利Z
k−1,iの発生確率P(X
j,i,Z
k−1,i)には、残部P(X
j,i,Y
k,i)×(Z
k,i−Y
k,i)/(Z
k,i−Z
k−1,i)が加算される。
【0064】
図6A〜6Cは、各月iにおける当月金利X
j,i、前月平均金利Z
q,i−1および前月金利X
p,i−1の各組合せに対して、当月iまでの各平均金利Y
k,iとその発生確率P(X
j,i,Y
k,i)および近似の平均金利Z
k,iを求めるためのテーブルの例を示している。
【0065】
図6Aのテーブルは、当月i=1における3種類の当月金利X
j,iと、開始時である前月i−1=0における5種類の前月までの平均金利Z
q,0、および3種類の前月金利X
p,0とに関する全ての組み合わせを含む45行(3×5×3=45)のエントリを含んでいる。ここで、3種類の当月金利X
j,1および前月金利X
p,0は、x
1=1.0%、x
2=2.0%、x
3=3.0%であるものとする。前月の5種類の平均金利Z
q,i−1は、z
1=1.0%、z
2=1.5%、z
3=2.0%、z
4=2.5%、z
5=3.0%であるものとする。
図6B、6Cも同様である。
【0066】
図6Aにおいて、前月i−1=0におけるq=1、2、4、5に対応する平均金利Z
q,i−1=Z
q,0=1.0%、1.5%、2.5%、3.0%について、発生確率P(X
p,0,Z
q,0)は全て0である。また、前月i−1=0におけるp=1、3に対応する金利について、発生確率P(X
p,0,Z
q,0)は全て0である。前月i−1=0で平均金利Z
q,0の発生確率P(X
p,0,Z
q,0)が0の場合、当月i=1の当月金利X
j,iの発生確率はP(X
j,1,Y
k,1)=0となり、計算の対象外である。
【0067】
前月i−1=0でのq=3の平均金利Z
q,i−1=Z
3,0=2.0%かつp=2の金利X
p,i−1=X
2,0=2.0%の発生確率P(X
p,0,Z
q,0)は1.0である。この場合、当月i=1の金利がX
j、i=1.0%、2.0%、3.0%となるそれぞれの発生確率は、
図4Aの金利遷移マトリクスTに従ってT(X
p,X
j)×P(X
p,0,Z
q,0)=0.2%、0.6%、0.2%である。また、当月iまでの平均金利Y
k,1はそれぞれ1.5%、2.0%、2.5%であり、対応する近似の平均金利Z
k,1もそれぞれ1.5%、2.0%、2.5%である。ここで、近似の各平均金利Z
k,1は、各平均金利Y
k,1に最も近い平均金利z
k=1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%の中の値である。従って、当月i=1の金利X
j,1=1.0%および当月i=1までの近似の平均金利Z
k,1=1.5%となる発生確率P(1.0,1.5)は、0.2である。同様に、当月i=1の金利X
j,1=2.0%および当月i=1までの近似の平均金利Z
k,1=2.0%となる発生確率P(2.0,2.0)は、0.6である。同様に、当月i=1の金利X
j,1=3.0%および当月i=1までの近似の平均金利Z
k,1=2.5%となる発生確率P(3.0,2.5)は、0.2である。
【0068】
図7A〜7Dは、各月i=0〜3における当月金利X
j,iおよび当月までの近似の平均金利Z
k,iについての発生確率P(X
j,i,Z
k,i)のテーブルの例を示している。ここで、j=1〜3、k=1〜5である。
【0069】
図7Aは、開始時i=0の金利X
0,0および近似の平均金利Z
0,0についての発生確率P(X
0,0,Z
0,0)のテーブルの例を示している。この場合、開始時i=0の金利X
0,0=X
2,0=2.0%と近似の平均金利Z
0,0=Z
3,0=2.0%の組合せの状態の発生確率はP(2.0,2.0)=1.0である。他の発生確率はP(X
j,i,Z
k,i)=0である。
【0070】
図7Bは、月i=1における当月i=1の金利X
j,iおよび当月i=1までの近似の平均金利Z
k,1についての発生確率P(X
j,1,Z
k,1)のテーブルの例を示している。この場合、当月i=1の金利X
1,1=1.0%および当月i=1までの近似の平均金利Z
2,1=1.5%について、発生確率は
図6AからP(1.0,1.5)=0.2と設定される。また、当月i=1の金利X
2,1=2.0%および当月i=1までの近似の平均金利Z
3,1=2.0%について、発生確率は
図6AからP(2.0,2.0)=0.6と設定される。当月i=1の金利X
5,1=3.0%および当月i=1までの近似の平均金利Z
4,1=2.5%について、発生確率は
図6Aから、P(3.0,2.5)=0.2と設定される。他の発生確率P(X
j,i,Y
k,i)=0と設定される。
【0071】
従って、次の当月i=i+1=2の第2段において、前月i−1=1の金利X
p,i−1=X
1,1=1.0%かつ前月i−1=1までの平均金利Z
q,i−1=Z
2,1=1.5%の組合せの発生確率は、
図6AのP(X
j,i,Z
k,i)=P(1.0,1.5)を参照して、P(X
p,i−1,Z
q,i−1)=P(X
1,1,Z
2,1)=P(1.0,1.5)=0.2と設定される。同様に、次の当月i=2の第2段で、前月i−1=1の金利X
p,i−1=X
2,1=2.0%かつ前月i−1=1までの平均金利Z
q,i−1=Z
3,1=2.0%の組合せの発生確率は、
図6AからP(X
2,1,Z
3,1)=P(2.0,2.0)=0.6と設定される。同様に、次の当月i=2の第2段で、前月i−1=1の金利X
p,i−1=X
3,1=3.0%かつ前月i−1=1までの平均金利Z
q,i−1=Z
4,1=2.5%の組合せの発生確率は、
図6AからP(X
3,1,Z
4,1)=P(3.0,2.5)=0.2と設定される。
【0072】
図6Bは、2番目の月i=2での当月金利X
j,i、前月平均金利Z
q,i−1および前月金利X
p,i−1の各組合せに対して、当月iまでの各平均金利Y
k,iとその発生確率P(X
j,i,Y
k,i)および近似の平均金利Z
k,iを求めるためのテーブルの例を示している。
【0073】
図6Bにおいて、前月i−1=1における金利がX
p,1=1.0%、2.0%、3.0%、かつ前月i−1=1までの平均金利がZ
q,i−1=1.5%、2.0%、2.5%となる確率は、それぞれP(X
p,i−1,Z
q,i−1)=0.2、0.6、0.2である。
【0074】
図6Bにおいて、前月i−1=1におけるq=1および5の平均金利Z
q,i−1=Z
q,1=1.0%、3.0%について、発生確率P(X
p,1,Z
q,1)は全て0である。また、前月i−1=1におけるq=2の平均金利Z
q,i−1=Z
2,1=1.5%、かつp=2および3の金利X
p,i−1=X
p,1=2.0%および3.0%について、発生確率P(X
p,1,Z
q,1)は全て0である。また、前月i−1=1におけるq=3の平均金利Z
3,1=2.0%、かつp=1および3の金利X
p,1=1.0%および3.0%について、発生確率P(X
p,1,Z
q,1)は全て0である。また、前月i−1=1のq=4の平均金利Z
q,1=2.5%かつp=1および2の金利X
p,1=1.0%および2.0%について、発生確率P(X
p,1,Z
q,1)は全て0である。
【0075】
前月i−1=1におけるq=2の平均金利Z
q,i−1=Z
2,1=1.5%、かつp=1の金利X
p,i−1=X
1,1=1.0%について、発生確率が0.2である。従って、前月i−1=1までの平均金利Z
q,i−1=Z
2,1=1.5%および前月i−1=1の金利X
p,i−1=X
1,1=1.0%の状態から、当月i=2の金利X
j、i=X
1、2=1.0%、X
2、2=2.0%、X
3、2=3.0%となる確率は、金利遷移マトリクスTの遷移確率0.2、0.7、0.1に従って、それぞれ0.2×0.2=0.04、0.2×0.7=0.14、0.2×0.1=0.02である。一方、当月i=2までの平均金利Y
k,2は、当月i=2の金利X
j、i=X
1、2=1.0%、X
2、2=2.0%、X
3、2=3.0%に対してそれぞれY
k,2=1.333333333%、1.666666667%、2.0%であり、それぞれの近似の平均金利Z
k,iはZ
2,2=1.5%、Z
2,2=1.5%、Z
3,2=2.0%である。従って、前月i−1=1までの平均金利Z
2,1=1.5%および前月i−1=1の金利X
1,1=1.0%に対して、当月i=2の金利X
1,2=1.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
2,2=1.5%となる発生確率P(1.0,1.5)は、0.04と設定される。また、前月i−1=1までの平均金利Z
2,1=1.5%および前月i−1=1の金利X
1,1=1.0%に対して、当月i=2の金利X
2,2=2.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
2,2=1.5%となる発生確率P(2.0,1.5)は、0.14と設定される。また、前月i−1=1までの平均金利Z
2,1=1.5%および前月i−1=1の金利X
1,1=1.0%に対して、当月i=2の金利X
3,2=3.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
k,i=Z
3,2=2.0%となる発生確率P(3.0,2.0)は、0.02と設定される。
【0076】
前月i−1=1におけるq=3の平均金利Z
3,1=2.0%、かつp=2に対応する金利X
2,1=2.0%について、発生確率が0.6である。従って、前月i−1=1までの平均金利Z
3,1=2.0%および前月i−1=1の金利X
2,1=2.0%の状態から、当月i=2の金利X
1、2=1.0%、X
2、2=2.0%、X
3、2=3.0%となる確率は、遷移確率0.2、0.7、0.1に従って、それぞれ0.6×0.2=0.12、0.6×0.6=0.36、0.6×0.2=0.12である。一方、当月i=2までの平均金利Y
k,2は、当月i=2の金利X
1、2=1.0%、X
2、2=2.0%、X
3、2=3.0%に対してそれぞれ1.666666667%、2.0%、2.333333333%であり、それぞれの近似の平均金利Z
k,iはZ
2,2=1.5%、Z
3,2=2.0%、Z
4,2=2.5%である。従って、前月i−1=1までの平均金利Z
3,1=2.0%および前月i−1=1の金利X
2,1=2.0%に対して、当月i=2の金利X
1,2=1.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
2,2=1.5%となる発生確率P(1.0,1.5)は、0.12と設定される。また、前月i−1=1までの平均金利Z
3,1=2.0%および前月i−1=1の金利X
2,1=2.0%に対して、当月i=2の金利X
2,2=2.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
3,2=2.0%となる発生確率P(2.0,2.0)は、0.36と設定される。また、前月i−1=1までの平均金利Z
3,1=2.0%および前月i−1=1の金利X
2,1=2.0%に対して、当月i=2の金利X
3,2=3.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
4,2=2.5%となる発生確率P(3.0,2.5)は、0.12と設定される。
【0077】
前月i−1=1におけるq=4の平均金利Z
4,1=2.5%、かつp=3の金利X
3,1=3.0%について、発生確率が0.2である。従って、前月i−1=1までの平均金利Z
4,1=2.5%および前月i−1=1の金利X
3,1=3.0%の状態から、当月i=2の金利X
1、2=1.0%、X
2、2=2.0%、X
3、2=3.0%となる確率は、遷移確率0.1、0.3、0.6に従って、それぞれ0.2×0.1=0.02、0.2×0.3=0.06、0.2×0.6=0.12である。一方、当月i=2までの平均金利Y
k,2は、当月i=2の金利X
1、2=1.0%、X
2、2=2.0%、X
3、2=3.0%に対してそれぞれ2.0%、2.333333333%、2.666666667%であり、それぞれの近似の平均金利Z
k,iはZ
3,2=2.0%、Z
4,2=2.5%、Z
4,2=2.5%である。従って、前月i−1=1までの平均金利Z
4,i−1=2.5%および前月i−1=1の金利Z
3,1=3.0%に対して、当月i=2の金利X
1,2=1.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
3,2=2.0%となる発生確率P(1.0,2.0)は、0.02と設定される。また、前月i−1=1までの平均金利Z
4,1=2.5%および前月i−1=1の金利X
5,1=3.0%に対して、当月i=2の金利X
2,2=2.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
4,2=2.5%となる発生確率P(2.0,2.5)は、0.06と設定される。また、前月i−1=1までの平均金利Z
4,1=2.5%および前月i−1=1の金利X
3,1=3.0%に対して、当月i=2の金利X
3,2=3.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
4,2=2.5%となる発生確率P(3.0,2.5)は、0.12と設定される。
【0078】
図7Cは、月i=2における当月i=2の金利X
j,iおよび当月i=2までの近似の平均金利Z
k,iについての発生確率P(X
j,i,Z
k,i)のテーブルの例を示している。この場合、当月i=2の金利X
1,2=1.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
2,2=1.5%について、発生確率は
図6BからP(1.0,1.5)=0.04+0.12=0.16と設定される。また、当月i=2の金利X
1,2=1.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
3,2=2.0%について、発生確率は
図6BからP(1.0,2.0)=0.02と設定される。また、当月i=2の金利X
2,2=2.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
2,2=1.5%について、発生確率は
図6BからP(2.0,1.5)=0.14と設定される。また、当月i=2の金利X
2,2=2.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
3,2=2.0%について、発生確率は
図6BからP(2.0,2.0)=0.36と設定される。また、当月i=2の金利X
2,2=2.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
4,2=2.5%について、発生確率は
図6BからP(2.0,2.5)=0.06と設定される。また、当月i=2の金利X
3,2=3.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
3,2=2.0%について、発生確率は
図6BからP(3.0,2.0)=0.02と設定される。また、当月i=2の金利X
3,2=3.0%および当月i=2までの近似の平均金利Z
4,2=2.5%について、発生確率は
図6BからP(3.0,2.5)=0.12+0.12=0.24と設定される。他の発生確率P(X
j,i,Y
k,i)=0と設定される。
【0079】
従って、次の当月i=i+1=3の第3段において、前月i−1=2の金利X
p,i−1=X
1,2=1.0%かつ前月i−1=2までの平均金利Z
q,i−1=Z
2,2=1.5%の組合せの発生確率は、
図6BのP(X
j,i,Z
k,i)=P(1.0,1.5)を参照して、P(X
1,2,Z
q,2)=P(1.0,1.5)=0.16と設定される。同様に、前月i−1=2の金利X
1,2=1.0%かつ前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%の組合せの発生確率は、
図6BからP(X
1,2,Z
3,2)=P(1.0,2.0)=0.02と設定される。同様に、前月i−1=2の金利X
2,2=2.0%かつ前月i−1=2までの平均金利Z
2,2=1.5%の組合せの発生確率は、
図6BからP(X
2,2,Z
2,2)=P(2.0,1.5)=0.14と設定される。同様に、前月i−1=2の金利X
2,2=2.0%かつ前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%の組合せの発生確率は、
図6BからP(X
2,2,Z
3,2)=P(2.0,2.0)=0.36と設定される。同様に、前月i−1=2の金利X
2,1=2.0%かつ前月i−1=2までの平均金利Z
4,1=2.5%の組合せの発生確率は、
図6BからP(X
2,2,Z
4,2)=P(2.0,2.5)=0.06と設定される。同様に、前月i−1=2の金利X
3,1=3.0%かつ前月i−1=2までの平均金利Z
3,1=2.0%の組合せの発生確率は、
図6BからP(X
3,2,Z
3,2)=P(3.0,2.0)=0.02と設定される。同様に、前月i−1=2の金利X
3,1=3.0%かつ前月i−1=2までの平均金利Z
4,1=2.5%の組合せの発生確率は、
図6BからP(X
3,2,Z
4,2)=P(3.0,2.5)=0.24と設定される。
【0080】
第2段での平均金利Z
k,i=1.5%、2.0%、2.5%の発生確率は、
図7CからそれぞれPr(1.5)=0.16+0.14=0.30、Pr(2.0)=0.02+0.36+0.02=0.40、Pr(2.5)=0.06+0.24=0.30となる。
【0081】
図6Cは、3番目の月i=3での当月金利X
j,i、前月平均金利Z
q,i−1および前月金利X
p,i−1の各組合せに対して、当月iまでの各平均金利Y
k,iとその発生確率P(X
j,i,X
k,i)および近似の平均金利Z
k,iを求めるためのテーブルの例を示している。
【0082】
図6Cにおいて、前月i−1=2までの平均金利Z
2,2=1.5%および前月i−1=2の金利X
1,2=1.0%となる確率はP(X
1,2,Z
2,2)=0.16である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
2,2=1.5%および前月i−1=2の金利X
2,2=2.0%となる確率はP(X
2,2,Z
2,2)=0.14である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%および前月i−1=2の金利X
1,2=1.0%となる確率はP(X
1,2,Z
3,2)=0.02である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%および前月i−1=2における金利X
2,2=2.0%となる確率は、P(X
2,2,Z
3,2)=0.42である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%および前月i−1=2の金利X
3,2=3.0%となる確率はP(X
3,2,Z
3,2)=0.14である。
【0083】
当月i=3の金利の番号j=1について、前月i−1=2までの平均金利Z
2,i−1=1.5%および前月i−1=2の金利X
1,i−1=1.0%の状態から、当月i=3の金利X
1、3=1.0%となる確率は、遷移確率0.2に従って、0.16×0.2=0.032である。この場合、当月i=3までの平均金利Y
k,iは、当月i=3の金利X
1、3=1.0%に対して1.375%であり、その近似の平均金利Z
k,iはZ
2,2=1.5%である。
【0084】
以下、同様に、前月i−1=2までの平均金利Z
2,2=1.5%および前月i−1=2の金利X
2,2=2.0%に対する当月i=3の金利X
1、3=1.0%の発生確率は、0.16×0.2=0.028である。この場合、当月i=3までの平均金利Y
k,iは、当月i=3の金利X
1、3=1.0%に対して1.375%であり、その近似の平均金利Z
k,iはZ
2,2=1.5%である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%および前月i−1=2の金利X
1,2=1.0%に対する当月i=3の金利X
1、3=1.0%の発生確率は、0.02×0.2=0.004である。この場合、当月i=3までの平均金利Y
k,iは、当月i=3の金利X
1、3=1.0%に対して1.75%であり、その近似の平均金利Z
k,iはZ
2,2=2.0%である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%および前月i−1=2の金利X
2,2=2.0%に対する当月i=3の金利X
1、3=1.0%の発生確率は、0.42×0.2=0.084である。この場合、当月i=3までの平均金利Y
k,iは、当月i=3の金利X
1、3=1.0%に対して1.75%であり、その近似の平均金利Z
k,iはZ
3,2=2.0%である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
3,2=2.0%および前月i−1=2の金利X
3,2=3.0%に対する当月i=3の金利X
1、3=1.0%の発生確率は、0.14×0.1=0.014である。この場合、当月i=3までの平均金利Y
k,iは、当月i=3の金利X
1、3=1.0%に対して1.75%であり、その近似の平均金利Z
k,iはZ
3,2=2.0%である。また、前月i−1=2までの平均金利Z
4,2=2.5%および前月i−1=2の金利X
3,2=3.0%に対する当月i=3の金利X
1、3=1.0%の発生確率は、0.12×0.1=0.012である。この場合、当月i=3までの平均金利Y
k,iは、当月i=3の金利X
1、3=1.0%に対して2.125%であり、その近似の平均金利Z
k,iはZ
3,2=2.0%である。
【0085】
当月金利の他の番号j=2、3についても、同様の手順で、
図6Cのテーブルの値が得られる。
【0086】
図7Dは、月i=3における当月i=3の金利X
j,iおよび当月i=3までの近似の平均金利Z
k,iについての発生確率P(X
j,i,Z
k,i)のテーブルの例を示している。この場合、当月i=3の金利X
1,3=1.0%および当月i=3までの近似の平均金利Y
2,3=1.5%について、発生確率は
図6CからP(1.0,1.5)=0.032+0.028=0.06と設定される。また、当月i=3の金利X
1,3=1.0%および当月i=3までの近似の平均金利Z
3,3=2.0%について、発生確率は、
図6CからP(1.0,2.0)=0.004+0.084+0.014+0.012=0.114と設定される。また、当月i=3の金利X
2,3=2.0%および当月i=3までの近似の平均金利Z
2,3=1.5%について、発生確率は、
図6CからP(2.0,1.5)=0.112+0.084=0.196と設定される。また、当月i=3の金利X
2,3=2.0%および当月i=3までの近似の平均金利Z
3,2=2.0%について、発生確率は、
図6CからP(2.0,2.0)=0.014+0.252+0.042=0.308と設定される。また、当月i=3の金利X
2,3=2.0%および当月i=3までの近似の平均金利Z
4,2=2.5%について、発生確率は、
図6Cから、P(2.0,2.5)=0.036と設定される。また、当月i=3の金利Y
3,3=3.0%および当月i=3までの近似の平均金利Z
3,3=2.0%について、発生確率は、
図6CからP(3.0,2.0)=0.016+0.002+0.028=0.046と設定される。また、当月i=3の金利X
j,i=Y
3,3=3.0%および当月i=4までの近似の平均金利Z
4,3=2.5%について、発生確率は、
図6CからP(3.0,2.5)=0.084+0.084+0.072=0.24と設定される。他の発生確率P(X
j,i,Y
k,i)=0である。
【0087】
第3段での平均金利Z
k,i=1.5%、2.0%、2.5%の発生確率は、
図7DからそれぞれPr(1.5)=0.06+0.196=0.256、Pr(2.0)=0.114+0.308+0.046=0.468、Pr(2.5)=0.036+0.24=0.276である。
【0088】
図8A〜8Cは、情報処理装置10によって実行される、開始時i=0から期間数i=Mの終了時での期間の各平均金利の予測される発生確率を求めるための処理のフローチャートの例を示している。
【0089】
図8Aを参照すると、ステップ402において、情報処理装置10のプロセッサ102(またはその条件設定部1026)は、ユーザの入力操作に従って、各平均金利を求める対象期間の開始時の日付および月数M、開始時i=0での金利X
0,0を設定する。また、プロセッサ102(条件設定部1026)は、対応する金利遷移マトリックスを読み込む。プロセッサ102(条件設定部1026)は、さらに、ユーザの入力操作に従って、適用する変動金利の範囲(最大値と最小値)、複数の金利の値の間隔、発生確率を求める平均金利の値の間隔を設定してもよい。
【0090】
図9は、条件設定のための表示画面の例を示している。
図9において、表示画面は、開始金利X
0として入力された値“3.0%”、期間数Mとして“2015年4月1日から120箇月後まで”、金利範囲として“1.0〜10.0%”、金利の間隔として“1.0%”、平均金利の間隔として“0.5%”を含んでいる。また、これらの設定に対して、プロセッサ102(条件設定部1026)は、表示画面に、1%間隔で金利“X
1=1.0%”、“X
2=2.0%”、“X
3=3.0%”、...、“X
10=10.0%”を表示する。また、プロセッサ102(条件設定部1026)は、表示画面に、0.5%間隔で、平均金利“X
1=1.0%”、“X
2=1.5%”、“X
3=2.0%”、...、“X
10=10.0%”を表示する。この場合、N=10、α=2である。ユーザによる
図9のソフトウェア・ボタン“実行”の押下によって、ステップ404以降の処理が開始される。
【0091】
ステップ404において、プロセッサ102(またはその平均金利確率算出部1030)は、記憶領域としての、当月平均金利確率P(X
j,i,Y
k,i)、前月平均金利確率P(X
p,i−1,Z
q,i−1)、および全期間平均金利確率Pr(Z
k)の各値を、0(ゼロ)に初期化する。また、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、記憶領域としての開始時の平均金利確率P(X
0,0,Z
0,0)の値を1.0に初期化する。
【0092】
当月平均金利確率P(X
j,i,Y
k,i)は、N個の前月金利X
p,i−1とα(N−1)+1個の前月平均金利Z
q,i−1の各組合せに対して、前月平均金利確率と、N個の当月の金利への金利遷移確率との積P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)で表される。ここで、p=1〜N、q=1〜α(N−1)+1、j=1〜Nなので、当月平均金利確率P(X
j,i,Z
k,i)はN
2×(α(N−1)+1)個の記憶領域として設定される。
【0093】
また、前月平均金利確率P(X
p,i,Z
q,i−1)は、p=1〜N、q=1〜α(N−1)+1なので、N×(α(N−1)+1)個の記憶領域として設定される。
【0094】
当月の近似前の平均金利Y
k,iは、(α(N−1)+1)個の前月平均金利Z
q,i−1と、前月までの期間数iと、N個の当月金利X
j,iとに応じた値を有し、(Z
q,i−1×i+X
j,i)/(i+1)で表される。ここで、q=1〜α(N−1)+1、j=1〜Nなので、当月の近似前の平均金利Y
k,iは(α(N−1)+1)×N個の記憶領域として設定される。
【0095】
ステップ406において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、最初の当月または着目の月をi=1と設定する。
【0096】
ステップ412において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、当月iが最後の期間の月数M以下かどうかを判定する。当月iが最後の期間の月数M以下であると判定された場合、手順は
図8Bのステップ414に進む。当月iが最後の期間の月数M以下でない、即ち月数Mを超えると判定された場合、手順は
図8Cのステップ462に進む。
【0097】
図8Bを参照すると、ステップ414において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、前月金利X
p,i−1、前月平均金利Z
q,i−1および当月金利X
j,iの各組合せに対するN
2×(α(N−1)+1)個の平均金利確率P(X
j,i,Z
k,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)の加算先となるN×(α(N−1)+1)個の近似平均金利確率P(X
j,i,Z
k,i)を0に初期化する。次いで、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、当月iの金利X
j,iの金利番号jを最初の値j=1に設定し、従って当月iの金利X
j,i=X
1,i=x
1と設定する。
【0098】
ステップ416において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、金利番号jが最大値N以下かどうか(j≧N)を判定する。jが最大値N以下であると判定された場合、手順はステップ418に進む。jが最大値N以下でない、即ちNを超えると判定された場合、手順はステップ454に進む。
【0099】
ステップ418において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、平均金利番号qを最初の値q=1に設定し、従ってZ
q,i−1=Z
1,1=z
1と設定する。
【0100】
ステップ420において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、平均金利番号qが最大値α(N−1)+1以下かどうか(q≦α(N−1)+1)を判定する。qが最大値α(N−1)+1以下であると判定された場合、手順はステップ422に進む。qが最大値α(N−1)+1以下でない、即ちα(N−1)+1を超えると判定された場合、手順はステップ444に進む。
【0101】
ステップ422において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、当月iの平均金利Y
k,i=(Z
q,i−1×i+X
j,i)/(i+1)を計算し、求めた平均金利Y
k,iを、α(N−1)+1個の近似の平均金利Z
k,iの中の最も近い平均金利Z
k,iに置き換えまたは対応させる。代替形態として、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、求めた平均金利Y
k,iを、上述のように、α(N−1)+1個の近似の平均金利Z
k,iの中の一致する1つまたは最も近い2つの値に対応づけてもよい。ここで、近似値は、例えば、α=2の場合、round(2×Y
k,i)/2であってもよい。ここで、round(x)はxの小数点以下の四捨五入を表す。代替形態として、近似値は、例えば、[2×Y
k,i]/2であってもよい。ここで、[x]は、小数点以下を切り捨てるガウス関数を表す。
【0102】
ステップ424において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、前月i−1の金利番号pを最初の値p=1に設定し、従ってX
p,i−1=X
1,i−1=x
1と設定する。
【0103】
ステップ426において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、前月i−1の金利番号pが最大値N以下かどうか(p≦N)を判定する。pが最大値N以下であると判定された場合、手順はステップ428に進む。pが最大値N以下でない、即ちNを超えると判定された場合、手順はステップ434に進む。
【0104】
ステップ428において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、前月i−1の各金利番号pに対して、当月iの金利番号jと前月i−1の平均金利番号qの組合せに対する平均金利確率P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)を、当月iの平均金利確率P(X
j,i,Y
k,i)として算出する。次いで、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、平均金利確率P(X
j,i,Y
k,i)=P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)を、当月iの対応する加算先の近似平均金利確率P(X
j,i,Z
k,i)に加算する(P(X
j,i,Z
k,i)=P(X
j,i,Z
k,i)+P(X
j,i,Y
k,i))。ここで、発生確率P(X
p,i−1,Z
q,i−1)×T(X
p,X
j)は、前月金利X
p,i−1および前月平均金利Z
q,i−1に対する当月iの金利X
j,iまたは平均金利Y
k,iの発生確率を表す。
【0105】
代替形態として、当月iまでの平均金利Y
k,iが2つの近似平均金利Z
k,iとZ
k+1,iまたはZ
k−1,iの間の値であった場合、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、平均金利Y
k,iとZ
k,iの間および平均金利X
k,iとY
k+1,iまたはZ
k−1,iの間の差または距離に応じて、平均金利確率P(X
j,i,Y
k,i)の少なくとも一部を近似平均金利確率P(X
j,i,Y
k,i)に加算し、その残部を近似平均金利確率P(X
j,i,Z
k+1,i)またはP(X
j,i,Z
k−1,i)に加算してもよい。ここで、少なくとも一部が全部の場合、残部は0(ゼロ)である。
【0106】
ステップ430において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、前月i−1の金利X
pの金利番号pを1だけ増分する(p=p+1)。その後、手順はステップ420に戻る。
【0107】
ステップ434において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、前月i−1の平均金利Z
q,i−1の金利番号qを1だけ増分する(q=q+1)。その後、手順はステップ420に戻る。
【0108】
ステップ444において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、当月iの金利X
j,i−1の金利番号jを1だけ増分する(j=j+1)。その後、手順はステップ416に戻る。
【0109】
ステップ454において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、ステップ422〜434で求めた当月iの近似平均金利確率P(X
j,i,Z
k,i)を、次の月i(=i+1)における前月i−1の平均金利P(X
p,i−1,Z
q,i−1)として設定する。次いで、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、当月iを1だけ増分する(i=i+1)。その後、手順は
図8Aのステップ412に戻る。
【0110】
図8Cを参照すると、ステップ462において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、最後の月Mにおける近似平均金利Z
k,Mの金利番号kを最初の値k=1に設定し、従ってZ
k,M=Z
1,M=z
1と設定する。
【0111】
ステップ464において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、金利番号kが最大値α(N−1)+1以下かどうか(k≦α(N−1)+1)を判定する。kが最大値α(N−1)+1以下であると判定された場合、手順はステップ466に進む。kが最大値α(N−1)+1以下でない、即ちα(N−1)+1を超えると判定された場合、手順はステップ480に進む。
【0112】
ステップ466において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、最後の月Mの金利X
j,Mの金利番号jを最初の値j=1に設定し、従ってX
j,M=X
1,M=x
1と設定する。
【0113】
ステップ468において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、金利番号jが最大値N以下かどうか(j≦N)を判定する。jが最大値N以下であると判定された場合、手順はステップ470に進む。jが最大値N以下でない、即ちNを超えると判定された場合、手順はステップ476に進む。
【0114】
ステップ470において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、金利番号jおよび平均金利番号kに対する最後の月Mの加算先の近似平均金利確率P(X
j,M,Z
k,M)を、各平均金利Z
kの全期間平均金利確率Pr(Z
k)(初期値は0)に加算する(Pr(Z
k)=Pr(Z
k)+P(X
j,M,Z
k,M))。
【0115】
ステップ472において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、最後の月Mの金利X
j,Mの金利番号jを1だけ増分する(j=j+1)。その後、手順はステップ468に戻る。ステップ468〜472によって、各1つの平均金利番号kに対する全ての金利番号j=1〜Nに関する近似平均金利確率P(X
j,M,Z
k,M)の総和を、平均金利番号kに対する全期間平均金利確率Pr(Z
k)として算出することができる。
【0116】
ステップ476において、プロセッサ102(平均金利確率算出部1030)は、最後の月Mの近似平均金利Z
k,Mの金利番号kを1だけ増分する(k=k+1)。その後、手順はステップ464に戻る。このようにして、α(N−1)+1個の平均金利Z
kに関する全期間Mにわたる各平均金利確率Pr(Z
k)が算出される。
【0117】
ステップ480において、プロセッサ102(またはその表示処理部1032)は、算出された各平均金利Z
kの全期間Mにわたる平均金利確率Pr(Z
k)の値を表示する。その後、手順は
図8A〜8Cのルーチンを出る。
【0118】
図10は、処理結果としての、各平均金利Z
kの全期間(月数M)にわたる平均金利確率Pr(Z
k)の値を表示する表示画面の例を示している。
【0119】
図10において、表示画面は、複数の平均金利Z
1〜Z
19のそれぞれの発生確率を表示する。例えば、開始時の金利をX
0,0=X
3,0=3.0%とし、
図4Bの金利遷移マトリックスを用いた場合、平均金利Z
1=1.0%の発生確率はPr(1.0)=0.611であり、平均金利Z
2=1.5%の発生確率はPr(1.5)=0.061である。また、平均金利Z
3=2.0%の発生確率はPr(2.0)=0.144、平均金利Z
4=2.5%の発生確率はPr(2.5)=0.034、平均金利Z
5=3.0%の発生確率はPr(3.0)=0.122である。また、平均金利Z
6=3.5%の発生確率はPr(3.5)=0.012、平均金利Z
7=3.5%の発生確率はPr(3.5)=0.012である。実験したところ、この処理は、市販のパーソナル・コンピュータを用いて約16秒で完了した。このように、実施形態によれば、最後の月Mにおける各平均金利の発生確率を短時間で求めて表示することができる。
【0120】
上述の説明では、1番目の期間または月i=1の前に開始時i=0を設定したが、開始時i=0を設定せずに、開始期間または月i=1から開始してもよい。この場合、第i段での平均金利は、例えば、Y
k,i=(Z
q,i−1×(i−1)+X
j,i)/iで表される。
【0121】
実施形態によれば、開始時から各期間までの各段階で算出された平均金利を、限定された数の近似の平均金利に置換しまたは対応させることによって、複数の期間にわたる各平均金利の発生確率を、パーソナル・コンピュータにより短時間で算出することができる。
【0122】
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形及びバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理及び請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。