(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6470902
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】反応容器を搬送するデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
G01N35/04 H
G01N35/04 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-1606(P2014-1606)
(22)【出願日】2014年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-134541(P2014-134541A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2016年12月20日
(31)【優先権主張番号】13150593.5
(32)【優先日】2013年1月9日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】イエルク フィルツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】フーゴ ヴィルメス
【審査官】
素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−086073(JP,A)
【文献】
国際公開第94/014073(WO,A1)
【文献】
特開2010−217041(JP,A)
【文献】
特開昭51−140792(JP,A)
【文献】
実開昭51−131991(JP,U)
【文献】
特開平02−173570(JP,A)
【文献】
特表2002−513936(JP,A)
【文献】
特表2005−526243(JP,A)
【文献】
特表平07−506184(JP,A)
【文献】
特表平05−506096(JP,A)
【文献】
特開平02−170055(JP,A)
【文献】
特開平01−161154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器を1つずつ受容する多数の受容位置(4,6)を有し、自動分析装置において反応容器を搬送する、円形のデバイス(1)であって、
電動式歯車(28)と噛み合う歯状リング(10)と、
円形のベースプレート(16)と、
前記ベースプレート(16)に取り外し可能に接続される複数の円形リングセグメント形状ホルダ(2)と、を有し、
前記ベースプレート(16)は、中心へ向いた周縁のナイフエッジ(20)を有し、該ナイフエッジ(20)は、前記ベースプレート(16)の底面から下方向へずれて設けられており、該ナイフエッジ(20)が、回転可能に設けられたシリンダ(24)の周囲溝(22)に係合するように構成され、
前記円形リングセグメント形状ホルダ(2)に前記受容位置(4,6)を設けてあり、該受容位置(4,6)は、それぞれ上方開口の中空シリンダとして形成されていて、当該デバイス(1)において異なる半径に配置されており、該異なる半径に配置された前記受容位置(4)と前記受容位置(6)とがウェブ(8)によってジグザグ配列で連結されている、デバイス。
【請求項2】
より小さい半径に配置された前記受容位置(4)は、より大きい半径に配置された前記受容位置(6)よりも、高く配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記歯状リング(10)は、前記ベースプレート(16)に取り外し可能に接続される前記円形リングセグメント形状ホルダ(2)が歯状縁部を有することによって、形成されている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ベースプレート(16)は金属製であり、
前記円形リングセグメント形状ホルダ(2)はプラスチック製である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記円形リングセグメント形状ホルダ(2)は、接続部品(18)によって前記ベースプレート(16)に取り外し可能に接続されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
一部の又は全部の前記円形リングセグメント形状ホルダ(2)が同一の形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ベースプレート(16)が前記円形リングセグメント形状ホルダ(2)によって全体的に覆われるように、前記円形リングセグメント形状ホルダ(2)の数が選択されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の反応容器を搬送するデバイス(1)を備えた自動分析装置であって、
前記ベースプレート(16)の前記ナイフエッジ(20)と係合する前記周囲溝(22)を備えた前記シリンダ(24)が2つ以上設けられており、これによって前記デバイス(1)が回転可能に取り付けられている、分析装置。
【請求項9】
前記デバイス(1)が歯状リング(10)を有し、該歯状リング(10)と噛み合う少なくとも1つの電動式歯車(28)が設けられている、請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
前記シリンダ(24)を少なくとも3つ含み、該シリンダ(24)の1つが、前記デバイス(1)の中心の方へ回動可能であることによる自己リセット式である、請求項8又は9に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置において反応容器を搬送するためのデバイスに関する。このデバイスは、円形ベースプレートと、反応容器用に設けられ、前記ベースプレートに取り外し可能に接続される複数の円形リングセグメント(円弧)形状ホルダと、を備える。
【背景技術】
【0002】
血液、血漿、血清、もしくは尿などの体液サンプル又は他の生物学的サンプルの生理学的パラメータを測定する数多くの検出及び分析方法は、対応する分析装置において自動的に実行される。
【0003】
現在の分析装置は、多数のサンプルを用いた多種多様な検出反応及び分析を実行することができる。臨床研究室又は血液バンクにおいて現在用いられている種類の分析装置は、分析対象の一次サンプルが入っているサンプル容器を送出するための領域を含む。サンプル容器を分析装置に供給するため、通常、搬送システムが設けられている。搬送システムは、まずサンプル容器をサンプル識別デバイスに搬送し、該識別デバイスが、サンプル容器に割り当てられているサンプル固有の情報を検出し、当該情報を記憶ユニットに送信する。その後、サンプル容器はサンプリングステーションに搬送される。サンプルピペッティングデバイスを用いて、サンプル液のアリコート(aliquot)を少なくとも1つサンプル容器から取り出し、反応容器に移す。
【0004】
一般的に、反応容器は使い捨てのキュベットの形態であり、分析装置のキュベットコンテナに保存され、保存コンテナから規定の受容位置へ自動的に搬送される。キュベットを再使用するシステムもあり、この場合のキュベットは、洗浄後に再使用される。異なるタイプの試験に固有の反応混合物を提供するために必要な試薬は、試薬ステーションに保存された試薬コンテナに配置されている。試薬コンテナは、自動的に又は手動で分析装置へ送出される。
【0005】
光度測定(例えば濁度測定、比濁分析、蛍光強度測定、もしくは発光測定(luminometric))又は放射測定の原理に基づいた測定システムが特に一般的である。これらの方法によって、追加の分離ステップを設定する必要なく、液体サンプル内分析物の定性的及び定量的な検出が可能となる。多くの場合、分析物の濃度や活性などの臨床関連パラメータは、患者の体液のアリコートが、反応容器内で同時に又は連続して1以上の試験試薬と混合され、その結果、生化学的反応が始まり、試験混合物の光学特性に測定可能な変化が生じることによって、測定される。
【0006】
続いて、測定システムによって測定結果を記憶ユニットに転送して評価する。この後、分析装置はサンプル固有の測定値を、例えばモニタ、プリンタ、又はネットワーク接続などの出力媒体を介してユーザに提供する。
【0007】
多くの場合、反応混合物の入った反応容器(キュベット)は、円形の搬送ホイール上で様々な測定システムに送出される。通常、この種のホイールは、自動分析装置において垂直中心軸を有するように配置され、その外周に沿って反応容器のための多数の受容位置を有する。反応容器は一般的に円筒形であり、その中心軸が搬送ホイールの中心軸に対して平行に配置される。このため、反応容器を上方から受容位置に挿入し、搬送ホイールの回転によって別の位置に移動させ、そこで再び取り出すか、又はサンプル液もしくは試薬液を充填することができる。
【0008】
場合によっては、反応容器のためのこの種の搬送ホイールは、受容位置の数に応じて相当に大きい直径を有する。大型の分析装置では、搬送ホイールの直径は容易に80〜90センチメートルに達し得る。一方では同時に、グリッパアームやピペッティングデバイスなどによる予定された自動アクセスを可能とするために、高い位置決め精度を確実に維持する必要がある。したがって、搬送ホイールは通常極めて堅固であり、ワンピース(一部品)設計である。このため、搬送ホイールの製造は難しく、結果として高価であるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、自動分析装置において反応容器を搬送するデバイスであって、高い位置決め精度を可能とすると共により簡単かつ費用対効果に優れた方法で製造可能であるデバイスの実現を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記目的は、搬送ホイールが、円形のベースプレートと、このベースプレートに取り外し可能に接続された複数の円形リングセグメント(円弧)形状ホルダと、を有することによって、達成される。
【0011】
本発明によると、反応容器用受容位置を有するホルダが容易に交換可能であり、システムの柔軟性が増すという利点もある。例えば、分析装置において、以前に用いたものと寸法が異なる別のタイプの反応容器を用いる場合に、搬送ホイール全体を分解して、適切な受容位置を有する複雑な構造の新しい搬送ホイールに取り替える必要はなくなり、交換する必要があるのはベースプレートに取り付けたホルダのみとなる。さらに、受容位置のいくつかが汚染された場合、搬送ホイール全体を分解して洗浄する必要はなく、汚染によって影響を受けたホルダのみを交換するか又は取り外して洗浄すれば良い。
【0012】
つまり、本発明の主題は、自動分析システムにおいて反応容器を搬送する円形デバイスにある。当該デバイスは、反応容器をそれぞれ1つずつ受容する多数の受容位置を有する。本発明に係るデバイスは、円形ベースプレートと、このベースプレートに取り外し可能に接続された複数の円形リングセグメント(円弧)形状ホルダと、を含む。円形リングセグメント形状ホルダは、反応容器用受容位置を含む。
【0013】
円形のベースプレートは、好ましくはワンピース(一部品)で形成され、位置決め精度に必要な堅牢性を搬送デバイスが有することを確実とする。かなり高いレベルの堅牢性には、ベースプレートを金属製、具体的にはスチール製とすることが有利である。これによって、高度のねじり剛性が得られ、反応容器の位置決めを特に精密に行うことができる。この結果、例えばグリッパアームやピペッティングデバイスなどの自動分析装置の他のデバイスとの正確な相互作用が確実となる。
【0014】
反応容器用受容位置を備えた円形リングセグメント形状ホルダは、取り外し可能に圧着してベースプレートに接続される。ホルダをベースプレートに圧着接続する接続部品として、例えばボルト又はねじボルトが適している。
【0015】
円形リングセグメント形状ホルダは、プラスチック製とするのが好ましい。これは、ホルダの製造を簡単かつ費用対効果に優れた方法で、しかし精密に、例えば射出成形によって実行可能であるという利点がある。円形リングセグメント形状ホルダを製造するために適切なプラスチックは、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリオキシメチレンであり、そして導電性プラスチックである。
【0016】
好適な態様において、一部の又は全ての円形リングセグメント形状ホルダを同一の形状とする。これによって製造プロセス及び組立てが簡略化される。円形リングセグメント形状ホルダは、円形ベースプレートを全体的に覆う数として、ベースプレート上に円形リングセグメントによる閉じたリングが形成されるように、製造される。この円形リングセグメント形状ホルダは、射出成形によって1つの型で多数製造することができ、簡単な組立てによってベースプレート上に留めることができる。
【0017】
追加的又は代替的な有利な態様において、円形リングセグメント形状ホルダは、円形搬送デバイスにおいて異なる半径に、すなわち同心円状に配置された、受容位置を有する。
この受容位置は、それぞれ上方開口の中空シリンダとして形成され、異なる半径に配置された各受容位置がウェブによってジグザグ配列で連結される。このように、ホイール径は同じままで、反応容器用受容位置の数を増やすことができる。受容位置は、異なる半径の円の弧にある各円形リングセグメントに配置される。受容位置は、異なる半径の少なくとも2つの円の弧に配置され得る。同様に、異なる半径の3、4、5個、又はそれ以上の円の弧に配置することも可能である。この場合、より小さい半径に配置された受容位置は、より大きい半径に配置された受容位置よりも高く配置してあると、有益である。すなわち、ホイールにおいて内側に配置された受容位置の上縁を、外側に配置された受容位置の上縁よりも高くする。これによって、受容位置の反応容器に外側から半径方向にアクセスするグリッパアームが、内側にある受容位置に容易に到達可能であるという利点がうまれる。
【0018】
さらなる態様において、本発明に係る反応容器の搬送デバイスは、電動式歯車に噛み合う歯状リングを有する。歯状リングは、反応容器用円形搬送デバイスを回転させ制御するように機能する。搬送デバイスに空間的に近接して設けられた歯車がモータにより駆動され、自動分析装置の制御デバイスによって制御される。搬送デバイスは、搬送デバイスの歯状リングに噛み合う歯車の運動により駆動されて、受容位置に配された反応容器が位置決めされる。好適には、歯状リングは円形搬送デバイスの外周縁に配置し、例えば前述のホイールの軸駆動装置の場合に起こり得るような、材料の弾性に起因した振動又はねじれによる不正確な位置決めが生じないようになっている。
【0019】
好適な態様において、歯状リングは、ベースプレートに取り外し可能に接続された円形リングセグメント形状ホルダが歯状縁部を有することによって、形成される。特に、ホルダがプラスチック製で、プラスチックの射出成形によって製造可能である場合に、歯状リングの簡単な製造が可能となる。すなわち、搬送デバイスの歯状リングは、従来のワンパート(一部品)設計(one-part design)におけるようなギザギザ加工(ミリング)を不要とする。したがって、デバイス全体をさらに優れた費用対効果で製造することができる。それぞれのホルダの歯状リング部は、隣り合って当接するホルダの端部において、歯状プロファイルのピッチが維持されるように、すなわち歯の間隔がセグメント境界をまたいで維持されるように、設計しなければならない。
【0020】
本発明に係る搬送デバイスのさらなる態様において、ベースプレートは、中心へ向いた周縁ナイフエッジを有し、
このナイフエッジは、ベースプレートの底面から下方向へずれて設けられており、該ナイフエッジが、回転可能に設けられたシリンダの周囲溝に係合する。これによって、円形搬送デバイスの回転可能な支持及び固定が得られる。シリンダの数及び分布は、安定したナイフエッジベアリング構造が保証され、ベースプレートが全方向において固定されるように設定される。
【0021】
本発明はさらに、本発明に係る反応容器を搬送するデバイスを備えた自動分析装置にも関わる。この分析装置において、デバイスは回転可能に取り付けられている。
【0022】
有利な態様において、分析装置は、本発明に係る反応容器用搬送デバイスの歯状リングと噛み合うように配置された少なくとも1つの電動式歯車を有する。搬送デバイスの歯状リングに噛み合う電動式歯車によって、搬送デバイスが駆動され、つまり、受容位置に配された反応容器の位置決めが実行される。
【0023】
さらなる態様において、分析装置は、回転可能に設けられた周囲溝付きシリンダを少なくとも2つ有する。回転可能シリンダは、ベースプレートの周縁に
ベースプレートの底面から下方向へずれて設けられ且つ中心へ向かって延出したナイフエッジと係合するように配置されている。当該シリンダの数及び分布は、安定したナイフエッジベアリング構造が保証され、ベースプレートが全方向において固定されるように設定される。
【0024】
さらに有利な態様において、分析装置は、これらの回転可能に設けられたシリンダを3つ有する。これらのシリンダを円形搬送デバイス内側の二等辺三角形の頂点に配置することで、搬送デバイスの均一な保持を全方向において保証できるという利点がある。好ましくは、シリンダの1つを、円形搬送デバイスの中心の方へ回動可能とすることによる自己リセット式にする。これは、例えば適切なばね構成によって達成可能である。この弾性支持によって、ベースプレート及びホルダを配置した搬送デバイスを極めて容易に組み立て完成させることができる。
【0025】
本発明はさらに、複数の受容位置を備えた円形リングセグメント(円弧)形状ホルダに関わる。各受容位置は、1つの反応容器ごとに設けられている。この種のホルダは、円形ベースプレートへの取り付けに適しており、したがって、自動分析装置において反応容器を搬送する円形デバイスを製造するのに適している。
【0026】
有利な態様において、ホルダは、プラスチック、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、又は導電性プラスチックで形成される。
【0027】
さらなる態様において、ホルダは歯状縁部を有する。
【0028】
ホルダの受容位置は、円形リングセグメントの異なる半径に同心円状に配置されていると好ましい。より小さい半径に配置された、すなわち内側にある受容位置は、より大きい半径に配置された、すなわち外側にある受容位置よりも、高く配置されていると好ましい。受容位置は、異なる半径の少なくとも2つの円の弧に配置することができる。同様に、異なる半径の3、4、5個、又はそれ以上の円の弧に配置することも可能である。
【0029】
本発明による利点は、具体的には、円形のベースプレート及び受容位置用ホルダを別個に製造できることから、堅牢であると同時に製造が容易なキュベット搬送用ホイールが利用可能となることである。プラスチックの射出成形を用いることにより、このような態様の製造プロセスは特に柔軟性が高く、例えば電動式制御のための歯状リングや、異なる高さ及び半径に配置される反応容器用受容位置など、多くの異なる類の要求を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下の図面を参照して本発明につき詳述する。
【
図1】プラスチック製で、反応容器用受容位置を有する円形リングセグメント形状ホルダを示す。
【
図2】本発明に係る搬送デバイスのための駆動ユニットを示す。
【
図3】
図1に示した円形リングセグメント形状ホルダを受ける円形ベースプレートを示す。
【
図4】ナイフエッジベアリング構造としての固定設置回転可能シリンダを示す。
【
図5】ナイフエッジベアリング構造としてのばね設置回転可能シリンダを示す。
【
図6】ナイフエッジベアリング構造の横断面を示す。
【
図7】組み立てられた2つの
図1に示すホルダの軸方向の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
全ての図面を通して、共通の部分は同じ参照符号で示す。
【0032】
図1は、反応容器用受容位置4,6を有する円形リングセグメント(円弧)形状ホルダ2を示す。ホルダ2は、円形リングセグメント(円弧)の形状を有し、反応容器用に合計16の受容位置4,6を有する。8個の受容位置4が第1の円弧上に配置され、その他の8個の受容位置6が、第1の円弧よりも半径が大きい、すなわち第1の円弧よりも外側にある第2の円弧上に配置されている。
【0033】
受容位置4,6は、上方開口の中空シリンダとして設計されている。内側円弧に配置された受容位置4は、外側円弧に配置された受容位置6よりも高いので、外側から半径方向に近付く搬送アームは、受容位置4,6の全てに問題なく到達することが可能となっている。受容位置4,6はウェブ8によってジグザグ配列で連結されていて、より堅牢にしてある。
【0034】
ホルダ2は、射出成形によってプラスチックから形成され、ベースプレート16にホルダ2を装着するための円筒形ボア11を有する。ホルダ2の長さは、同じ半径に1列に配置された複数のホルダ2が閉じた円を作る長さとしてある。
【0035】
ホルダ2の外縁半径上に、歯状リング10が配置されている。歯状リング10の歯は、方位角境界(azimuthal border)12において、同形ホルダ2が円上に並置されたときに歯間のピッチすなわち間隔がセグメント境界をまたいで一定のままであるように設計されている。
【0036】
図2は、駆動装置14を有する組み立て後の搬送デバイス1を示す。ホルダ2は、ねじボルト18によって円形のベースプレート16に取り付けられている。ベースプレート16は、スチールから形成したワンピース品(一部品)である。ベースプレート16は、その内周に、半径方向内側に向いた、少し下方向にずれて設けられたナイフエッジ20を有する。ナイフエッジ20は、回転可能に設けられたシリンダ24の周囲に形成された溝22と係合する。このナイフエッジベアリング構造については後述する。
【0037】
上述の歯状リング10は、上記のように構成された、反応容器を搬送する搬送デバイス1の外周に沿って延在している。駆動装置14によって駆動される歯車28が歯状リング10と噛み合う。駆動装置14は、自動分析装置の制御ユニット(詳細には図示せず)によって制御され、この制御ユニットが搬送デバイスの位置決めを制御する。
【0038】
図3は、上述のベースプレート16を全体的に示す。ベースプレート16は円形の主形状を有し、下方向にずれたナイフエッジ20を備えている。ねじボルト18によってホルダ2を装着するための多数のねじ孔30が、ベースプレート16全体に形成されている。
【0039】
図4は、中心の方向から見た搬送デバイス1の詳細を示す。ベースプレート16にホルダ2を装着するためのねじボルト18が見える。また、搬送デバイス1を支持するシリンダ24も図示されている。シリンダ24は、回転可能に設けられたシリンダ24の周囲に形成された溝22を有する。シリンダ24は、底板32上に軸を中心として回転可能に留められている。
【0040】
図5は、ばねを介して設けられた別のシリンダ24を示す。すなわち、当該シリンダ24は、底板32上に直接でなく、留め部品34により回動可能に留められている。留め部品34は、シリンダ24の軸に対してずれているが平行である第2の軸に従い、底板32上に回転可能に留められている。この軸に対応させたばね36を介して、搬送デバイス1に対して外向きに作用する付勢力が加わる。ただし、付勢力による動きは機械的に制限される。搬送デバイス1のしっかりした支持が、この弾性ベアリングと、
図4を参照して説明した別の2つの固定ベアリングとによって、得られる。その2つの固定ベアリングは、底板32上の二等辺三角形の頂点に留められている。弾性ベアリングを内側に回動させることによって、搬送デバイス1は容易に取り外すことができる。
【0041】
図6は、シリンダ24を有するベアリング構造のうちの1つのベアリングの断面を示し、特に、溝22に対するナイフエッジ20の係合が図示されている。同図は、下方向にずれたナイフエッジ20を有するベースプレート16の断面も示す。
【0042】
図7は、搬送デバイス1に関する軸方向の上面図であり、2つの隣接したホルダ2を示す。また、上述の受容位置4,6も示し、ウェブ8がそれらを連結している。さらに、ベースプレート16に留めるためのねじ18及び歯状リング10も図示されている。境界12をまたいで歯状リング10の歯の間隔が一定であることが確認できる。
【0043】
最後に、
図8は、駆動装置14を有する組み立て後の搬送デバイス1を示す。搬送デバイス1は、底板32上の二等辺三角形の頂点に設けられたシリンダ24による3つのベアリングに支持されている。
【符号の説明】
【0044】
1 搬送デバイス
2 ホルダ
4,6 受容位置
8 ウェブ
10 歯状リング
11 ボア
12 境界
14 駆動装置
16 ベースプレート
18 ねじボルト
20 ナイフエッジ
22 溝
24 シリンダ
28 歯車
30 ねじ孔
32 底板
34 留め部品
36 ばね